1つの態様では、本発明は、芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する芯粒子を含む複合粒子を提供する。有機シリカ粒子は、非共有相互作用によって、共有結合によって、または代替の機構によって、有機芯材料上に保持されることができる。
ここで用いられる「有機シリカ」は、T0よりも高いいずれかの呼称を有するT単位として存在するケイ素を含み、そして有機基、例えばC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、もしくはC2〜C4アルキニルである結合されたR基、を有する固体材料である。有機シリカ粒子は、0.5以上、例えば1〜4または2〜4のCのSiに対するモル比および/または1.75以下、例えば1.5以下、例えば1.25〜1.75のOのSiに対するモル比を有している。例えば、有機シリカは、随意選択的に50モルパーセントまでのテトラアルコキシオルトシリケートを伴う、1種もしくは2種以上の有機シラン化合物の少なくとも部分的な加水分解および縮合によって、シロキサン結合を形成することによって、調製することができる。
有機シリカ中のT単位は、NMR分析を参照することにより記述することができるが、しかしながら有機シリカ粒子中のそれらの存在は、ここに議論された特定の有機シラン化合物の使用から推測することができる。酸化ケイ素含有材料の29Si NMRスペクトルは、よく分離された幾つかの領域に信号パターンを示す。有機シリカのNMRスペクトル中のこれらの信号パターンは、種々のシロキサン官能基の存在に基づいており、通常はM、D、TおよびQ構造単位と表される。M、D、TおよびQの表記は、ケイ素に結合された酸素原子の数を、モノオキソ(例えば、1つの酸素に結合されたケイ素)、ジオキソ(すなわち、2つの酸素に結合されたケイ素)、トリオキソ(すなわち、3つの酸素に結合されたケイ素)、および第四級(すなわち、4つの酸素に結合されたケイ素)それぞれを表し、ここでケイ素の残りの(非酸素)結合は、炭素原子に対して、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、または他の置換もしくは非置換有機基の一部としてである。
炭素原子(M、DおよびT単位中の)が、飽和脂肪族基、例えばメチル基の一部である場合には、M、D、TおよびQ単位の29Si NMR信号は、よく分離された領域に、それぞれ2〜20ppmの間、0〜約−25ppmの間、約−40〜約−70ppmの間、および約−75〜約−130ppmの間の化学シフトで現れる。T単位の炭素がアルケニル基の一部である場合には、化学シフトは、対応するアルキル置換基のシフトの約10〜15ppm高磁場に現れる。従って、29Si NMRは、有機シリカ粒子中のケイ素原子の性質を特徴付けるための強力な分析技術である。有機シリカ粒子中のケイ素原子の性質は、よく分解されたスペクトル領域に亘る29Si NMR信号の分布から決定することができる。
また、有機シリカ粒子中のT単位の由来は、有機シリカ粒子が生成されたプロセスを参照することによって容易に理解される。ここで議論されたように、有機シリカ粒子は、有機シラン化合物の少なくとも部分的な加水分解および反応からもたらされる。便宜上、以下の説明には、具体的な有機シラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(VTMS)を用いるが、しかしながらこの分析は、ここに議論されたいずれかの他の有機シラン化合物に容易に適用される。VTMS粒子は、加水分解および反応して、シロキサン結合を介して互いに結合したビニル−ケイ素基のネットワークを生成する。図21は、この反応によって形成することができるネットワークの例である。ケイ素原子は、それらが結合された3つの酸素と1つの炭素を有するので、全てT単位である。3で示されたケイ素原子は、3つの酸素が更なるケイ素原子に結合されているので、T3単位である。2で示されたケイ素原子は、2つの酸素が更なるケイ素原子に結合されているので、T2単位である。1で示されたケイ素原子は、ただ1つの酸素が更なるケイ素原子に結合されているので、T1単位である。更には、VTMS中のケイ素は、VTMS中の酸素原子が1つのケイ素原子およびメチル基に結合されており、それらのいずれも更なるケイ素原子には結合されていないので、T0単位である。対照的に、無機シリカ(すなわち、SiO2)中のケイ素原子は、それぞれのケイ素原子が4つの酸素原子に結合されているので、全てQ単位である。例えば、単体のテトラアルコキシオルトシリケート、例えばテトラメトキシオルトシリケートの加水分解および反応からのシリカ粒子の生成は、酸化ケイ素のネットワークをもたらし、その中ではケイ素は全てQ単位として存在する。
ここで議論されているように、NMRスペクトルは、Bruker Avance II NMRスペクトロメーターを用いて、それぞれ400.13MHzの1H共振周波数、および79.49MHzの29Si共振周波数で、取得できた。4−mmの二重共鳴マジック角度回転(MAS)固体状態NMRプローブが用いられた。典型的には、8000Hzのマジック角度回転および10msのCP接触時間が用いられた。NMR測定の感度を向上させるために、MASと同期されたNMR信号の20フルエコーが、Carr-Purcell-Meiboom-Gill(CPMG)シーケンスと称される、一連の再集束RFパルスを用いて発生された。ここではCP/CPMG/MASと称される、CP/MASおよびCPMG技術の組合わせは、係数6を超える信号増幅を与え、それが、比較的に短い時間で、良好な29Si NMR信号を得ることを可能にさせる。典型的には、NMR測定は、6.5msの再集束パルスの間の継続時間、3sの繰り返し時間(recycle delay)、および1000〜4000の間のスキャン数で行われた。ppmでの1Hおよび29Si NMR化学シフトは、テトラメチルシラン標準を参照した。
複合粒子の芯粒子は、有機材料から本質的になる、または有機材料からなる。有機材料は、いずれかの好適な有機材料であることができ、そしてワックスおよび有機ポリマー材料から選択することができる。好適なワックスとしては、天然ワックス、例えばカルナウバ蝋、ホホバワックス、および蜜蝋、ならびに合成ワックス、例えばポリオレフィンワックスが挙げられる。用語ポリオレフィンワックスは、通常は、エタン、プロペンおよび他のα−オレフィンのホモポリマーおよび共重合体を表す。天然および合成ワックスの両方が、完全に無定形または少なくとも部分的に結晶性であることができるが、しかしながら典型的には室温で展性がある。ポリオレフィンワックスは、しばしばチーグラープロセスで高圧重合で、または分解反応によって調製され、そして極性の方法で変性することができる(Ullmann、Encyclopedia of Industrial Chemistry、Weinheim、Basel、Cambridge、New York、Tokyo、5th edition、Volume A 28、p.146 ffを参照)。種々のポリオレフィンワックスが、Clariant GmbHから入手可能である。また、ポリオレフィンワックスは、極性試薬で酸化またはグラフト化されることができる。ワックスの選択は、所望の融点または他の熱的挙動によって部分的には影響される可能性がある。
好適な有機ポリマー材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステル−アクリル共重合体、ポリエステル−アクリル混合物、ポリエステル−スチレン共重合体、ポリエステル−スチレン混合物、スチレン−アクリル樹脂、およびアクリル樹脂が挙げられるが、それらには限定されない。特定の好ましい態様では、有機ポリマー材料は、縮合ポリマー、例えば、ポリエステルおよびポリウレタンである。結晶性および無定形ポリマーの両方、あるいは結晶性および無定形ドメインを有するポリマーを用いることができる。例示的なポリエステルとしては、トナーおよび他の用途における使用のために用いられるもの、例えば米国特許および米国特許出願公開第2011/0065034号明細書、第2011/0086301号明細書、第7,951,519号明細書、および第2011/0053078号明細書、およびFukuriら、Journal of Imaging Science and Technology、55(1)、010509-010509-8、2011(これらの内容を参照することによって本明細書の内容とする)中に開示されているものが挙げられる。例示的なポリウレタンとしては、国際公開第2012/054664号中に開示されているものが挙げられ、これを参照することによって本明細書の内容とする。ポリマーの数平均質量は、約1000〜約50,000、例えば約2000〜約3000、約3000〜約5000、約5000〜約10000、約10000〜約20000、約20000〜約30000、約30000〜約40000、または約40000〜約50000の範囲であることができる。
特定の態様では、有機材料は、エチレン性不飽和基、例えばエチレン基もしくはアルキレン基、を含む重合されたエチレン性不飽和モノマーを更に含む。特定の態様では、エチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和基では重合を起こさない。むしろ、そのモノマーの別の基が重合される。例えば、シラン含有モノマーは、他のモノマーとシロキサン結合を形成することによって、またはSi−もしくはSi−O基を介して芯材料と結合することによって、重合することができる。特定の他の態様では、エチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和基で、それ自体および/または有機ポリマー材料と重合を起こして、有機ポリマー材料を架橋する。エチレン性不飽和モノマーの限定するものではない例としては、スチレンおよびメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
有機シリカ粒子は、有機シラン化合物の反応から誘導される。典型的には、少なくとも部分的な加水分解に続いて、加水分解生成物は、重合および/または縮合を起こして、有機シリカ粒子を形成する。有機シリカ粒子は、ケイ素に結合される有機基の共有もしくは非共有相互作用を介して、または他の機構を介して、芯粒子の表面に保持されることができる。幾つかの態様では、ケイ素に結合された有機基は、芯粒子の表面上の官能基と反応することができて、共有結合を形成し、それが有機シリカ粒子を芯粒子に付着させる。例えば、有機シラン化合物がエチレン性不飽和有機基を有している場合には、このエチレン性不飽和基は、芯粒子の表面上に存在する可能性があるエチレン性不飽和有機基と反応することができる。あるいは、もしくは加えて、有機シリカ中のSi−O基は、芯粒子の表面と反応または相互作用することができる。
有機シラン化合物は、式:R1SiR2 3を有することができ、ここで、R1は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、またはC2〜C4アルキニルであり、そしてR2は、アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、またはイソプロポキシ、クロロ、ブロモもしくはヨードである。好適な有機シラン化合物の限定するものではない例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、およびトリメトキシプロピルシランが挙げられる。
複合粒子は、好ましくは1.1〜2.0、例えば1.15〜2.0の真円度Rを有しており、ここで真円度は、式:R=P2/(4πS)によって定められ、ここでPは粒子の断面の周長であり、そしてSは粒子の断面積であり、80kVで行われた透過型電子顕微鏡写真によって観察された500超の粒子で測定される。好ましくは、複合粒子は、1.2〜1.6(例えば、1.2〜1.5)の真円度Rを有している。
複合粒子の真円度は、TEM(透過型電子顕微鏡写真)の評価によって定めることができる。慣用の画像解析ソフトウエアが、粒子の断面の周長Pを規定するのに用いられる。同じソフトウエアが、粒子の断面積Sを計算するのに用いられる。それらの測定は、複数の粒子、好ましくは少なくとも500個の粒子について、複数のTEM画像で、なされる。粒子の真円度は、P2/(4πS)に等しい(John C. Russ、The Image Processing Handbook、CRC Press、4th edition、2002)。理想的な球状の粒子の真円度は、1.0である。
特定の態様では、複合粒子は、疎水化剤で処理される。典型的には、疎水化剤は、複合粒子に、共有または非共有のいずれかで結合される。特定の態様では、疎水化剤は、シリコーン流体であることができる。シリコーン流体は、非官能化シリコーン流体または官能化シリコーン流体であることができる。有用な非官能化シリコーン流体の限定するものではない例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン共重合体、フルオロアルキルシロキサン共重合体、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、フェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、ポリアルキレンオキシド変性シリコーン、D3、D4、およびD5型などの環状ポリシロキサンなどが挙げられる。
官能化されたシリコーン流体は、例えば、ビニル、ヒドリド、シラノール、アミノ、およびエポキシからなる群から選択された官能基を含むことができる。これらの官能基は、シリコーンポリマーの主鎖に直接に結合することができ、または中間のアルキル、アルケニル、もしくはアリール基を介して結合することができる。
特定の態様では、疎水化剤は、疎水化シランを含んでいる。例えば、疎水化シランは、式:R3 4−nSiXnの化合物であることができ、ここでnは1〜3であり、それぞれのR3は、独立して水素、C1〜C18アルキル基、C3〜C18ハロアルキル基、およびC6〜C14芳香族基からなる群から選択され、そしてそれぞれのXは、独立してC1〜C18アルコキシ基もしくはハロである。
特定の態様では、疎水化剤は、官能化シランを含んでいる。官能化シランは、アクリレート、メタクリレート、アミノ、無水物、エポキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、硫黄、ビニル、イソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの官能基を含むことができる。
特定の態様では、疎水化剤は、シラザンを含み、例えば、疎水化剤は、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、環状シラザンなどであることができる。
特定の態様では、疎水化剤は、電荷変性剤、例えば、米国特許出願公開第2010/0009280号明細書中に開示されたものの1種もしくは2種以上を含んでおり、その内容を参照することによって本明細書の内容とする。例示的な電荷変性剤としては、限定するものではないが、式:An−Zc−Yb−Ar(EW)aを有する試薬が挙げられ、ここでArは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、それを介して電荷変性剤が表面に結合され、aは、1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。具体的な電荷変性剤としては、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)が挙げられるが、それらには限定されない。
あるいは、もしくは加えて、米国特許出願公開第2011/0244382号明細書中に開示されたジメチルシロキサン共重合体を、複合粒子を処理するために用いることができ、その内容を参照することによって本明細書の内容とする。例示的なジメチルシロキサン共重合体としては、下記の式の共重合体が挙げられる。
式中、R1は、−H、−CH3であり、R2=−H、−CH3、R3=−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH2Ar、−CH2CH2Ar、−Ar、−CH2CH2CF3、または−CH2CH2−Rfであり、Rfは、C1〜C8ペルフルオロアルキル基であり、R4は−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH2CH2CF3、または−CH2CH2−Rfであり、Rfは、C1〜C8ペルフルオロアルキル基であり、R5は、−CH3、−CH2CH3、−CH2Ar、−CH2CH2Ar、または−Arであり、R6は、−H、−OH、−OCH3、または−OCH2CH3であり、Arは、非置換フェニルまたは、1つもしくは2つ以上のメチル、ハロゲン、エチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、または−CH2CF3基で置換されたフェニルであり、n、mおよびkは、整数であって、n≧1、m≧0、そしてk≧0であり、そしてこの共重合体は、208〜20000の分子量を有している。
他の態様では、本発明は、本発明の複合粒子を調製する方法を提供する。本方法は、以下の工程(a)〜(c)を含んでいる。
(a)ポリマーもしくはワックス粒子および界面活性剤を含む水性分散液を準備する工程、この分散液のpHは、8以上である、
(b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、この水性分散液に加えて、混合物を形成する工程、ここでこの有機シラン化合物は、式:R1SiR2 3を有しており、ここでR1はC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、またはC2〜C4アルキニルであり、そしてここでR2は、アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、もしくはイソプロポキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、ならびに、
(c)この有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子のこの水性分散液を形成する工程。
1つの態様によって複合粒子を生成するには、約5質量%のワックスを有する水性のワックス分散液が提供される。商業的なワックス分散液を用いることができ、そして水で希釈して、その濃度を調整することができる。好適なワックス分散液としては、LubrizolのAquaslip(商標)分散液、ParameltのSyncera(商標)エマルジョン、BYK ChemieのAquacer(商標)エマルジョン、およびSasol Wax North America CorporationのHydrawax(商標)エマルジョンが挙げられる。典型的な商業的なワックス分散液は、表面剤、例えば界面活性剤を含んでいる。所望により、更なる界面活性剤を加えることができる。例示的な界面活性剤としては、アルキレングリコールまたはエトキシル化アルコール、およびワックスとの使用に好適な他の界面活性剤を挙げることができる。あるいは、もしくは加えて、シラン表面剤、例えば以下に記載されたものを用いることができる。分散液のpHは,典型的には少なくとも8に、例えば8〜8.5、8.5〜9、9〜9.5、9.5〜10、10〜10.5、10.5〜11、11〜11.5、11.5〜12、または12〜12.5に調整される。
複合粒子を形成するために、有機シラン化合物の水溶液が、約2:1の有機シラン化合物のワックスに対する質量比、例えば、有機シラン化合物の質量で約1.5:1〜約2.5:1で調製される。ワックスに対するシランの量の増加は、有機シリカ粒子径、ワックス粒子表面上に配置された有機シリカ粒子の数、またはその両方を増大させる可能性がある。シラン溶液は、ワックス分散液の体積の、約25%、例えば約20%〜約30%を有することができる。シラン溶液は、それが溶解するまで、例えばビニルトリメトキシシランの場合には、約0.5〜1時間撹拌される。ワックス分散液は、好適な塩基、例えば水酸化アンモニウムを用いて、所望のpHにされる。有機シラン化合物溶液は、次いでワックス分散液にゆっくりと、例えば約1分間に亘って、例えば約30秒間〜約90秒間に亘って、加えられる。反応は、周囲温度、例えば、20℃〜25℃で、適切な時間、例えば約3時間〜約7時間、例えば、約5時間に亘って、進行せしめられる。
ある態様では、複合粒子は、表面剤を含むポリマーラテックスから調製される。1つの態様では、ポリマーラテックスは、相転換によって調製することができる。簡単には、ポリマーは、溶媒中に溶解される。ポリマーが溶媒中に完全に溶解された後に、塩基(例えば、水環化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン)が加えられて、ポリマー中の酸基を中和する。次いで、水がポリマー/溶媒溶液に加えられて分散液を形成し、それに続いて、ラテックスから留去されて、水中のポリマーラテックスが形成される。ラテックスの粒子径に影響するパラメータとしては、樹脂の酸価、塩基の種類および量、ならびにポリマーを溶解するのに用いられる溶媒が挙げられる。
ポリマーラテックスまたは分散液の形成は、有機溶媒中のポリマーの溶液の調製から始めることができる。このポリマーは、約6.5〜約7.5のpHで水に不溶であるが、しかしながら分散剤の添加なしに、水中で安定なラテックスを形成するのに十分な酸性であるいずれかのポリマーであることができる。このポリマーは、複合粒子と関連して本明細書中で説明したようなものであることができる。このポリマーは、約5〜約50mgKOH/g、例えば、約5〜約10、約10〜約20、約20〜約30、約30〜約40、または約40〜約50mgKOH/gの酸価を有することができる。
溶媒は、好ましくは、ポリマーを可溶化させ、そして水に少なくともいくらかの溶解性を示す、の両方であるものである。有機溶媒の水への溶解性は、100mLの水に1g超であらなければならない。例えば、メチルエチルケトンは、水に12質量%の溶解性を有している。例示的な溶媒としては、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、塩素化溶剤、窒素含有溶剤および2種もしくは3種以上の溶媒の混合物、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、酢酸メチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、N,Nジメチルホルムアミド、フタル酸ジオクチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、およびこれらのいずれかの混合物が挙げられる。
ポリマー/溶媒溶液は、溶媒中に約60質量%のポリマー、例えば約20質量%〜約70質量%、約40質量%〜約65質量%、または約50質量%もしくは約55質量%〜約62質量%を含むことができる。溶媒としては、溶媒の混合物、例えばメチルエチルケトンもしくは酢酸エチル中の、20質量%のイソプロピルアルコールを挙げることができる。穏やかな加熱、例えば、溶媒の沸点より十分に低い加熱が、ポリマーの溶解を促進する。
次いで、ポリマーの酸基の少なくとも一部を中和するように、塩基が加えられる。化学量論的量の塩基を用いることができる。また、化学量論的量未満の塩基も、用いることができる。以下に説明される表面剤を、この時点で溶液に加えることができ、それに次いで水が、撹拌しながらゆっくりと加えられて、分散液が調製される。ポリマー/溶媒溶液をエマルジョン化するのに十分な水を加えなければならず、過剰の水は、単に、分散液を希釈するだけである。幾つかの態様では、水は、4.5質量部の水に1質量部の溶媒〜約5:1、例えば約4:1〜約5.5:1、または約3.5:1〜約6:1の比率で加えることができる。
表面剤は、水をポリマー/溶媒溶液に加える前に、またはラテックスの形成の後に、溶媒/ポリマー相に加えることができる。用いられる場合には、表面剤は、好ましくは、ポリマー/溶媒溶液に加えられる。表面剤は、ポリマーに対して、約1質量%〜約30質量%、例えば約1質量%〜約10質量%、約10質量%〜約20質量%、または約20質量%〜約30質量%の量で用いることができる。表面剤は、式:SiH3−xR3 xR4Qを有するシリル化表面剤であることができ、ここでxは、1、2または3であり、R3は、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、またはイソプロポキシ)、クロロ、ブロモ、またはヨードであり、R4は、C3〜C22の分岐もしくは非分岐アルキレンまたはアルケニレンであり、そしてQは、H、Cl、Br、F、ヒドロキシル、カルボン酸、エポキシ、アミン、または置換もしくは非置換ビニル、アクリレート、またはメタクリレートである。好ましくは、xは2または3である。R4は、更に、エーテル、エステル、またはアミン結合を含むことができ、あるいは芳香族であることができる。1つの態様では、表面剤は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。R1が、クロロ、ブロモ、またはヨードである場合には、表面剤の加水分解が、対応する酸を生成し(例えば、HCl)、これが反応媒質のpHを変化させる。このことは、今度は、本明細書の他の箇所で議論した試薬量の調整を必要とさせる可能性がある。加水分解に続いて、表面剤は、水に不溶性であるか、または限定された溶解度を有しなければならず、加水分解されていない表面剤は、ポリマーを溶解させるのに用いられる溶媒に可溶でなければならない。他の態様では、表面剤は、シリル化されていないが、しかしながらポリエチレン系ポリマー、第四級アミン系有機化合物、ポリビニルピロリドンまたは他のポリピロリドン系界面活性剤、あるいはスルフェートアニオン性成分を有するアニオン性界面活性剤である。
分散液の形成に続いて、分散液は、溶媒を留去させるように、水の沸点未満で加熱することができる。また、溶媒は、減圧で留去させることができる。幾つかの態様では、溶媒の除去は、任意である。あるいは、もしくは加えて、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の溶媒が除去される。溶媒は、少なくとも部分的には水と混和することができるので、実質的に全ての溶媒を除去することが望ましい場合には、溶媒の初期の量に対して過剰な流体は除去しなければならない。相図は、当業者が望ましい蒸留温度を選択するのに役立つことができる。表面剤が、反応混合物に既に加えられていない場合には、表面剤は、蒸留の後に得られたラテックスに加えることができる。
幾つかの態様では、スチレン系、アクリル系、またはフリーラジカルプロセスによって重合する他のモノマーを、表面剤と同時に、または別の時に、ラテックス中に混合することができる。モノマーは、ポリマー溶液に加えるか、または転相の前に有機溶媒と混合してポリマーを溶解することができる。あるいは、もしくは加えて、モノマーは、ラテックスが形成された後に、ポリマーミセル中に拡散させることができ、あるいは、商業的なラテックスのポリマーミセル中に拡散させることができる。例示的なモノマーとしては、スチレン、アルキルもしくはビニル置換スチレン、メチルメタクリレート、フッ素化メタクリレート、および他のスチレン系もしくは(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
ラテックス粒子は、更なるモノマーの存在あり、またはなしで、有機シリカ粒子の形成の前に架橋することができる。例えば、炭素−炭素二重結合を有する表面剤が架橋されるか、あるいは、ポリマー自体の中の二重結合が架橋されることができる。架橋のために、ラジカル開始剤が、ラテックス粒子中に拡散されることができる。モノマーがラテックス中に拡散される場合には、開始剤およびモノマーが混合されて、そしてラテックス中に一緒に拡散されることができる。例示的な開始剤としては、熱的もしくはUV活性化ラジカルおよびイオン性開始剤、例えば、アゾビスブチロニトリル(AIBN)および過酸化ベンゾイルが挙げられる。開始剤の添加の後に、系は、活性化温度以上の温度で、4〜8時間に亘って重合することができる。架橋密度は、系中に導入される更なるモノマーの量を変えることによって調整することができる。
他の態様では、ポリマー粒子は、エマルジョンとして供給されることができる。例えば連鎖成長ポリマーのエマルジョン重合は、ポリマー粒子を含む水性エマルジョンをもたらす。そのような方法は、通常はラジカル重合によって成長するポリマー、例えば、ポリオレフィン、アクリルポリマー、例えばポリメタクリル酸メチルおよびフッ素化メタクリレート、スチレン系ポリマー、例えばポリスチレンまたは重合されたアルキルもしくはビニル置換スチレン、ならびにそれらのいずれかの共重合体、例えばスチレン-アクリル酸エステルや架橋ポリスチレンを調製するのに用いられる。商業的なエマルジョンが、広範囲に入手可能であり、そして複合粒子を生成するために用いられる反応条件、例えば、pHの下で安定でなければならない。ポリマーエマルジョンの例としては、BASFから入手可能なJoncryl(商標)スチレン−アクリル樹脂およびDow Chemical Corporationから入手可能なRhoplex(商標)アクリル樹脂が挙げられる。この態様では、表面剤が有機シラン前駆体の添加の前にラテックスに加えられる。表面剤の添加は、商業的なポリマーエマルジョンについては任意であることができ、それらは典型的には、表面剤、例えば界面活性剤で安定化されている。更には、ポリマーの組成物に応じて、ポリマー上の酸基を中和する必要がない可能性がある。
また、いずれかの好適な粒子状材料を、その粒子状材料が、ポリマー分散液と相溶性がある限りにおいては、有機シリカ粒子の形成の前に、ポリマー分散液に加えることができる。好適な粒子状材料の限定するものではない例としては、金属または金属酸化物粒子が挙げられる。そのような材料は、ポリマーに対して約10〜20質量%で加えることができ、そしていずれかの好適な時間に、混合物に加えることができる。これらの粒子は、10nm〜約30nmの数平均粒子径を有することができる。勿論のこと、より小さな金属または金属酸化物粒子で、小さな複合粒子を製造することはより容易である。
例示的な金属粉末としては、いずれかの所望の金属を挙げることができ、そしていずれかの形状、例えば棒、フレークまたは長楕円体(prolate)の形状をとることができる。本発明での使用に適切な金属酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、ゲルマニア、セリア、酸化モリブデン、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化鉄(例えばマグネタイト(Fe3O4)および種々の形態のFe2O3が含まれるが、それには限定されない)、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化錫、あるいはそれらのいずれかの2種もしくは3種以上の混合物または混合酸化物が挙げられる。外部トナー添加剤としての使用のためには、金属酸化物粒子は、典型的にはシリカ、アルミナ、およびチタニアの少なくとも1種を含む。
金属または金属酸化物粒子は、ポリマーと相溶性でなければならない。金属酸化物粒子は、それらを相溶性にするために、疎水化剤で処理される必要がある可能性がある。典型的には、疎水化剤は、金属または金属酸化物粒子と共有もしくは非共有のいずれかで結合される。特定の態様では、疎水化剤は、シリコーン流体であることができる。シリコーン流体は、非官能化シリコーン流体または官能基シリコーン流体であることができる。有用な非官能化シリコーン流体の限定するものではない例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン共重合体、フルオロアルキルシロキサン共重合体、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、フェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、ポリアルキレンオキシド変性シリコーン、D3、D4およびD5型の環状ポリシロキサンなどが挙げられる。あるいは、もしくは加えて、複合粒子自体に関連して議論したいずれかの疎水化剤を、用いることができる。
有機シリカ粒子を形成するために、ポリマー分散液を、約5質量%の固形分(例えば、表面剤+ポリマー)、例えば、約0.1質量%〜約20質量%、例えば約0.1質量%〜約1質量%、約1質量%〜約5質量%、約5質量%〜約10質量%、約10質量%〜約15質量%、または約15質量%〜約20質量%に希釈される。分散液のpHは、例えば水中の25〜30質量%、例えば28質量%の水酸化アンモニウムを添加することによって、少なくとも8、例えば8〜8.5、8.5〜9、9〜9.5、9.5〜10、10〜10.5、10.5〜11、11〜11.5、11.5〜12、または12〜12.5に調整される。少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物は、ラテックスに加えられて、混合物を形成する。有機シリカを調製するための前駆体として用いられる有機シラン化合物は、複合粒子に関連して本明細書で説明したように、式R1SiR2 3を有することができる。少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物は、加水分解されていない有機シラン化合物を水中に溶解することによって得ることができる。結果として得られる溶液は、その中で有機シラン化合物は少なくとも部分的に加水分解されているが、ラテックスに加えられる。ポリマーに対する有機シラン化合物の質量比(すなわち、加水分解されていない有機シラン化合物の質量基準)は、所望の有機シリカ/ポリマー比に応じて、0.1〜2、例えば0,1〜0.5、0.5〜1、1〜1.5、または1.5〜2であることができる。有機シラン化合物が反応せしめられた後に、更なる試薬、例えば前に加えられたのと同量の有機シラン化合物を、水に溶解させて、そしてラテックスに加えることができる。この反応が所望の程度に進行するためには、幾らかの時間、例えば1〜4時間を要する可能性がある。この反応は、室温で進行せしめることができる。
複合粒子の水性分散液は、いずれかの好適な技術を用いて精製することができる。1つの態様では、複合粒子の水性分散液は、ダイヤフィルトレーションによって精製することができる。あるいは、もしくは加えて、商業的なポリマーラテックを、複合粒子の調製の前に精製することができる。
この態様では、複合粒子は、複合粒子に関連して本明細書で説明したように、疎水化剤で処理することができる。
複合粒子は、分散液で用いることができるか、または乾燥することができ、そして粉末として用いることができる。乾燥は、当業者に知られているいずれかの方法、例えば、スプレー乾燥またはトレイ乾燥で行うことができる。複合粒子は、疎水化処理の前に乾燥することができ、あるいは分散液中で疎水化することができる。
あるいは、もしくは加えて、複合粒子の水性分散液は、他の溶媒、例えば有機溶媒中の複合粒子の分散液を調製するために、溶媒交換することができる。例示的な溶媒交換方法としては、ダイヤフィルトレーション/限外濾過および、水性溶媒の蒸発の間の溶媒の添加が挙げられる。
本発明は、更に、本発明の複合粒子と混合されたトナー粒子を含む、トナー組成物を提供する。
複合粒子は、慣用のトナーおよび化学トナーの両方において外部添加剤として用いることができる。慣用のトナーは、多くの既知の方法、例えば、樹脂、顔料粒子、随意選択的に帯電促進添加剤および他の添加剤を、慣用の溶融押出装置および関連装置で混合して加熱することによって調製することができる。粉末の乾式混合のための慣用の装置は、カーボンブラック粒子を樹脂と混合(mixing)または混合(blending)するために用いることができる。他の方法としては、スプレー乾燥などが挙げられる。顔料および他の成分と樹脂との配合に続いて、通常は所望の粒子径および粒子径分布を有するトナー粒子を与えるために、通常機械的な磨砕および分級がなされる。化学トナーは、化学的に調製されたトナーとしても知られているが、液相で精製され、樹脂粒子は、通常は着色剤の存在下に形成される。例えば、ポリマーラテックスが水性顔料分散液と混合され、そして凝固剤を用いて凝集されてポリマー粒子を形成するプロセスが開発されている。他のプロセスは、少なくとも1種のモノマー中での顔料の分散液の水性懸濁重合を含んでいる。また、顔料/ポリエステル樹脂分散液が調製され、そして水と混合されて、次いで溶媒の蒸発が行われる。
複合粒子は、スプレー乾燥することができるが、あるいは液相が、単純に蒸発されて粉末を回収し、この粉末がトナー粒子と混合されて、トナー組成物が調製される。あるいは、結果として得られる粒子は、湿式混合方法によってトナー粒子と混合することができる。例えば、トナーは、良好に混合された分散液が得られるまで、例えば1時間に亘って、複合粒子の分散液とともに超音波処理することができる。1つの態様では、固形分(トナーと添加剤粒子)は、分散液の約55質量%、例えば約50質量%〜約60質量%を構成する。混合物は、次いで、例えばScientific InstrumentsのVortex Genie 2ボルテックスミキサーで、最高速で、5分間処理(vortexed)されなければならない。結果として得た分散液は、パイレックス製ガラスパン(130gの分散液に対して、約2Lのパンが適当である)中で薄層に注がれ、そして室温で、例えば約48時間、良好な通気状態、例えば約80フィート/分の換気フード中で、水分含量が約2質量%未満になるまで、乾燥せしめられる。勿論のこと、必要な乾燥時間が長いか、または短いかは、トナーがどれ程湿潤であるかによる可能性がある。一旦乾燥されたならば、複合粒子がトナー粒子の表面の周りに配置されたトナー粒子を収集することができる。
特定の態様では、複合粒子は、トナー組成物の約0.5質量%〜約7質量%、例えばトナー組成物の0.5質量%〜約1質量%、約1質量%〜約1.5質量%、約1.5質量%〜約2質量%、約2質量%〜約2.5質量%、約2.5質量%〜約3質量%、約3質量%〜約3.5質量%、約3.5質量%〜約4質量%、約4質量%〜約4.5質量%、約4.5質量%〜約5質量%、約5質量%〜約5.5質量%、約5.5質量%〜約6質量%、約6質量%〜約6.5質量%、または約6.5質量%〜約7質量%を構成する。複合粒子は、トナー粒子の表面上に分布することができる。好ましくは、複合粒子の表面被覆率は、トナー表面の約10%〜約90%である。
複合粒子は、当業者によって通常用いられる方法によって、例えば、ヘンシェルミキサーまたは他の流動化ミキサーまたはブレンダの使用によって、トナー粒子と混合されるための十分な機械的強度を有することができる。例えば、複合粒子は、電子写真プロセスの現像サイクルの間に、トナー粒子(表面上に分布された複合粒子を有する)間の衝突に抗して存続する十分な強度を有することができる。粒子の機械的強度は、化学トナーを複合粒子と配合することによって評価することができる。トナー/粒子配合物は、次いでキャリア、例えばシリコーンをコーティングされたCu−Znフェライトキャリア(60〜90μmの粒子径)と混合されて、2%(w/w)のトナー含む混合物を形成する。この混合物は、次いで約70%〜約90%の充填率を有する混合容器に容れられて、そしてこの混合容器を律動的な、三次元の動作で動かすことができる、三次元ミキサーと称される攪拌装置中で混転(tumbled)される。混合容器は、その容器の体積の約6〜約8倍の体積内で、約50〜約70サイクル/分の振動数で動かされる。例示的な攪拌装置としては、Willy A. Bachoven AGから入手可能なTurbulaミキサー、Bioengineering AGから入手可能なInversinaミキサー、およびGlen Millsから入手可能なdynaMix三次元ミキサーが挙げられる。所定の時間の後に、試料はSEMで分析される。以下の例において、40gのキャリア(シリコーンがコーティングされたCu−Znフェライトキャリア(60〜90μmの粒子径、Powdertech Co., Ltd.))が、50mLのガラスジャー中で、添加物配合物当たりに0.8gのトナーと混合された。このジャーは、Willy A. Bachofen AG(スイス国)によって製造されたTURBULA(商標) T 2 Fミキサー(2Lの容量)中に配置された。このミキサー中で、混合容器は、回転、併進、および反転を基にして三次元動作で回転し、そしてその内容物は、絶え間なく変わる、律動的なパルス動作(60サイクル/分)に付される。トナー/キャリア混合物の少量の試料が、62サイクル/分での混合の10、30および60分後に採取され、そしてSEMで解析された。複合粒子が十分な機械的強度を有する場合には、それらはこの混合の間に平らにされたり、または変形したりしない。SEMにおける粒子直径の変化として、いずれの平坦化も変形も現れない。特定の態様では、10分間の混合の後の複合粒子の直径の変化は、25%未満、例えば20%未満または10%未満である。
多くの異なる粒子の種類、粒子径、表面化学、および構造もしくはモルホロジーが、接着剤、エラストマー、コーティング、複合材、プラスチック、および他の用途に通常用いられる、液体および固体ポリマーを基にした系の性能特性を改質するために用いられる。典型的には、粒子は、液状ポリマーを基にした系(ポリマー溶液、分散液、または溶融ポリマー)中に加えられ、そしてそれらの配合プロセスの好適な段階で、生成物が、一旦、その液体の加工形態から、成型の後に熱可塑性物質もしくは熱硬化性物質のいずれかとして、その最終的な固体の生成品の形態へと変化した後の、それらのレオロジー的な性質を改善するために、または機械的、光学的、もしくは電気的性質を改善するために、分散される。
ポリマーの特徴および最終的な用途に応じて、粒子を添加するための装置としては、当技術分野でしられている種々の装置、例えば、接着剤および熱硬化性複合材配合品のためには、遊星形ミキサー、ニーダー、シグマブレードミキサー、および他のミキサーが挙げられる。単軸、および二軸押出機、Bussニーダー、Farrell設備、および他のミキサーは、溶融した熱可塑性物質および熱可塑性物質を基にした複合材(すなわち、補強プラスチック)配合物には、特に好適である。Banburyミキサー、Brabenderミキサー、2本および3本ロールミル、および他のミキサーが、エラストマー配合品のために設計されている。垂直型または水平型の媒体ミル、ボールミル、および他の混合/粉砕装置が、コーティング配合物のために通常用いられる。
加えられる粒子の量、ポリマーマトリックス中への粒子の分散の程度および水準、粒子のポリマーマトリックスとの界面接着力、ならびに粒子の種類、大きさおよびモルホロジーが、そのような粒子を含まない同様の系に対する、その系のレオロジー的、機械的、および光学的性質における変化の原因となることが当技術分野では理解されている。例えば、与えられた系における、正しい大きさ、分散、およびマトリックスとの親和性のための表面化学を有する粒子の1〜30%(w/wポリマー)の存在が、レオロジー的性質を数桁の大きさで、そして機械的性質を数倍変化させることができることが知られている。
ここに開示された複合粒子の使用は、種々の用途、例えば構造接着剤、コーティング、熱可塑性物質、熱硬化性物質、感圧接着剤、および他のエンジニアリングプラスチックにおいて実質的な利点を提供することができる。
本発明は、更に本発明の複合粒子を含む構造接着剤を提供する。
1つの態様では、ここで提供される複合粒子は、構造接着剤に用いることができる。構造接着剤は、慣用の接合技術、例えば溶接または機械的な留め具を置き換える、または補うために用いることができる。構造接着剤として適切であるためには、その接着剤は、高い機械的強度および耐衝撃性が必要とされる。しかしながら、慣用のエポキシ接着剤は、低い破壊靱性を有している。
熱硬化エポキシ系接着剤の固有の脆さは、強化剤の添加によって克服することができ、その強化剤は、硬化されたエポキシ組成物により大きな耐衝撃性を与える。通常の技術としては、フリーラジカル重合可能なモノマーから、エポキシドの中でインサイチュで重合されたエラストマー粒子の添加、共重合体の安定剤の添加、エラストマー分子または別のエラストマー前駆体分子の添加、あるいはコア−シェルポリマーの添加が挙げられる。1つの態様では、ここで提供される複合粒子は、強化剤として用いることができる。そのような複合粒子は、構造接着剤組成物の粘度の過剰な増加なしに、向上した粘弾性および機械的性質、例えば限定するものではないが、より大きな衝撃強度、曲げ弾性率、または剛性を与えることができる。
構造接着剤は、典型的には、高分子量の樹脂、衝撃改質剤および樹脂の硬化剤を含んでいる。例示的な樹脂としては、高分子量エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA系の液状エポキシ樹脂、EPNもしくはECNエポキシ樹脂あるいはエポキシ樹脂および末端カルボキシルのゴム、例えば末端カルボキシルのニトリルゴムの付加物が挙げられるが、それらには限定されない。衝撃改質剤としては、好ましくはここで開示した複合粒子が挙げられ、そしてまた、コア−シェルポリマーもしくは改質ゴム、例えばゴム変性エポキシを挙げることができる。
エポキシエラストマー付加物を、構造接着剤に可撓性を、そして塑性変形を開始する能力を与えるために用いることができる。種々のエポキシ/エラストマー付加物を用いることができる。エラストマー含有付加物は、2種もしくは3種以上の特定の付加物の組み合わせであることができ、そしてそれらの付加物は、23℃の温度で固体付加物または半固体、あるいはそれらの組み合わせであることができる。
付加物自体は、典型的にはエラストマーに対して、約1:5〜5:1部のエポキシを含んでいる。付加物に好適なエラストマーコンパウンドは、熱硬化性エラストマー、例えば、ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン−ブタジエン共重合体、ネオプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリル系エラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート架橋縮合エラストマー、EPDM(エチレン−プロピレンジエンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素などであることができる。エラストマー含有付加物は、構造接着剤の構造的性質、例えば、強度、靭性、剛性、曲げ弾性率など、を改質するために包含される。更には、エラストマー含有付加物は、構造接着剤を、コーティング、例えば水性塗料またはプライマー系または他の慣用のコーティングとより相溶性とするために選択することができる。
フェノキシ樹脂を、高分子量樹脂として用いることができる。フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの高分子量の熱可塑性の縮合生成物およびそれらの誘導体である。用いることができるフェノキシ樹脂の例としては、Inchem Corp.から市販されている製品がある。好適な材料の例としては、PKHB、PKHC、PKHH、PKHJ、PKHPの品種の材料がある。あるいは、もしくは加えて、フェノキシ/ポリエステルハイブリッドおよびエポキシ/フェノキシハイブリッドを用いることができる。
1種もしくは2種以上の硬化剤および/または硬化剤促進剤が、典型的には構造接着剤に含まれる。硬化剤は、ポリマー、フェノキシエポキシ樹脂またはその両方、ならびに存在する可能性のあるいずれかのエポキシ樹脂を架橋することによって、構造接着剤の硬化を援けることができる。また、硬化剤は、構造接着剤の熱硬化を援けることができる。
また、高分子量樹脂は、エポキシ樹脂である、またはエポキシ樹脂を含むことができる。エポキシ樹脂は、構造接着剤を生成し、その材料の接着力、流動特性、強度および剛性を向上させるために用いることができる。1つの例示的なエポキシ樹脂は、フェノール樹脂であることができ、これはノボラック型の、または他の種類の樹脂であることができる。他の好適なエポキシ含有材料としては、ビスフェノールAエピクロロヒドリンエーテルポリマー、またはビスフェノールAエポキシ樹脂(それらはブタジエンもしくは他のポリマー添加剤で改質することができる)、あるいはビスフェノールF型のエポキシ樹脂が挙げられるが、それらには限定されない。
構造接着剤は、他の成分、例えばポリマー、発泡剤、充填剤、流動調整材料、顔料、難燃剤、繊維、または水分除去剤(scavenger)を含むことができる。
構造接着剤が適用される用途に応じて、構造接着剤は、官能基を有することができ、種々の異なるポリマー、例えば熱可塑性物質、エラストマー、プラスとマー、およびそれらの組み合わせなどを含むことができる、1種もしくは2種以上の更なるポリマーまたは共重合体を含むことができる。
特定の態様では、構造接着剤中に、1種もしくは2種以上の熱可塑性ポリエーテルおよび/または熱可塑性エポキシ樹脂を含むことが望ましい可能性がある。熱可塑性ポリエーテルは、典型的には。それらの主鎖中に、ペンダントのヒドロキシル部分および/または芳香族エーテル/アミン繰り返し単位を含んでいる。熱可塑性ポリエーテルは、約5〜約100の範囲のメルトインデックスを有することができる。
1つの態様によれば、熱可塑性ポリエーテルは、第1級アミン、ビス(第2級)ジアミン、環状ジアミン、それらの組み合わせなどを、ジグリシジルエーテルと反応させることによって、あるいは、アミンをエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキシド)と反応させることによって、ポリ(アミノエーテル)を形成させて、形成される。他の態様によれば、熱可塑性ポリエーテルは、2官能性アミンを、ジグリシジルエーテルもしくはジエポキシ官能化ポリ(アルキレン)オキシドと、アミン部分がエポキシ部分と反応を起こして、アミン結合、エーテル結合およびペンダントのヒドロキシル部分を有するポリマー主鎖を形成するのに十分な条件の下で反応させることによって調製される。
更には、熱可塑性ポリエーテルを形成するために、1つの反応基を有するアミンを用いる可能性があることが想定されている。有利には、そのようなアミンは、形成される熱可塑性エーテルの分子量を調整することに役立つ可能性がある。有利には、この熱可塑性ポリエーテルは、広範囲な用途向けに、種々の望ましい特徴、例えば所望の物理的および化学的性質を備えた構造接着剤を提供することができる。
その配合物は、1種もしくは2種以上のエチレンポリマーまたは共重合体、例えばエチレンアクリレート共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、例えばエチレンメタクリレートおよびエチレン酢酸ビニルを含むことができる。
また、1種もしくは2種以上の反応性基、例えばグリシジルメタクリレートまたはマレイン酸無水物で変性された反応性ポリエチレン樹脂を含むことが望ましい可能性がある。
非発泡性および発泡性の両方の構造接着剤が、本明細書では想定されている。未硬化の構造接着剤が発泡性である場合には、1種もしくは2種以上の発泡剤を、所望により、構造接着剤内部に開放型および/または閉鎖型セル構造を形成するように、不活性ガスを生成するために、加えることができる。この方法では、構造接着剤を用いて製造された物品の密度を低下させることが可能である可能性がある。
また、構造接着剤は、粒子状材料、ビーズ、微小球、例えばZeelan Industriesから入手可能なZeospheresなどが挙げられるが、それらには限定されない、1種もしくは2種以上の充填剤を含むことができる。用いることができる充填剤の例としては、シリカ、珪藻土、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズもしくはガラスバブル、ガラス、カーボンもしくはセラミック繊維、ナイロンもしくはポリアミド繊維、酸化防止剤などが挙げられる。
ほとんどどのような付加的な化学薬品、材料なども、それらが構造接着剤の選択された用途に好適である限りにおいて、その構造接着剤に加えることができることが想定されている。
構造接着剤の形成は、種々の新規なまたは既知の技術によって成し遂げることができる。1つの態様によれば、構造接着剤は、ペレット、塊などの固体形態の高分子量樹脂および衝撃改質剤を供給すること、ならびに硬化剤と、その硬化剤が活性化される温度未満の温度で溶融混合すること、によって形成される。次いで、充填剤を加えることができ、続いて硬化剤および随意選択的にいずれかの硬化剤促進剤を加えて、そして混合することができる。
また、本発明は、本発明の複合粒子を含むコーティング組成物を提供する。
種々の産業(例えば、自動車OEM産業)は、その産業で用いられる種々のコーティング中にポリマーを取り入れている。例えば、自動車OEM産業では、自動車またはトラック車体上に塗工される塗料系(すなわち、仕上げ)は、通常は電着可能な塗装層、電着可能な塗装層の少なくとも一部の上に堆積されたプライマー表面層、そのプライマーサーフェーサー層の少なくとも一部の上に堆積された少なくとも1つの着色された下塗り層、ならびに下塗り層の少なくとも一部の上に堆積されたクリアコート層を含んでいる。それらの層のそれぞれは、ポリマーを、コーティング組成物の主要な膜形成成分として用いたコーティング組成物からもたらされる。コーティングに用いられるポリマー、ならびに添加剤は、コーティングの種類および使用者の要求に応じて変わることができる。また、コーティングの性質も、用いられるポリマーおよび/または添加剤の種類に応じて変わる可能性がある。
複合粒子を含む例示的なコーティングは、キャリアをも含んでいる。キャリアは、複合粒子を互いにおよび/または基材と化学的もしくは物理的に固着するいずれかの化合物であることができる。幾つかの態様では、好適なキャリアは、例えばいずれかの好適な樹脂またはポリマーを含むことができる。ここで用いられる樹脂またはポリマーは、天然または合成由来の固体もしくは半固体の有機生成物のいずれかの種類であり、通常は、高分子量もしくは不定の分子量であり、明確な融点を有しない。
好適な樹脂の例としては、ポリアルキレン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリアンヒドリド、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、セルロース、アルキッド、アクリル、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPRまたはEPDM)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレンブロック共重合体(SBC)、およびポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ビニルポリマー、合成ゴム(例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレンゴム、およびポリイソブチレン)、天然ゴム、天然ゴムラテックスおよび共重合体、およびランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、櫛型/ブラシ型共重合体、デンドリマー、オリゴマーおよびそれらの前駆体の混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
キャリアは、少なくとも1種の分散剤を更に含むことができる。好適な分散剤の例としては、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレートならびに、疎水性および親水性基の両方を有するブロック共重合体が挙げられるが、それらには限定されない。更なる例としては、それらのアミン官能化誘導体または酸官能化誘導体が挙げられる。
具体的な分散剤は、用いられる複合粒子の組成物およびコーティング配合物中に用いられる分散液の所望の全体的な性質を基に選ぶことができる。用いることができる例示的な分散剤としては、Chevron Chemical Co,のOLOAシリーズ(改質されたポリイソブチレンコハク酸イミド)、BYK Chemieから全て入手可能な、DisperBYK108、DisperBYK 115、DisperBYK 116、DisperBYK 161、DisperBYK 163、DisperBYK 182、DisperBYK 2150、およびDisperBYK 2050分散剤、NoveonのSolsperse(商標)分散剤、例えば、27000、32000、32500、35140、38500、および39000、ならびにKing IndustriesのK-Sperse(商標)分散剤、例えばK-Sperse 504XD分散剤が挙げられるが、それらには限定されない。
幾つかの態様では、複合粒子の少なくとも一部は、コーティングの表面に接触可能である。コーティングは、いずれかの好適な量の複合粒子を含むことができる。コーティングは、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、約1質量%以上、約5質量%以上、約10質量%以上の複合粒子を含むことができる。あるいは、もしくは加えて、コーティングは、約98質量%以下、約95質量%以下、約90質量%以下、約85質量%以下、約80質量%以下、約75質量%以下の複合粒子を含むことができる。従って、キャリアは、前記の端点のいずれか2つによって拘束された量の複合粒子を含むことができる。例えば、キャリアは、0.05質量%〜約95質量%、約0.1質量%〜約90質量%、約0.5質量%〜約90質量%、約1質量%〜約80質量%、または約10質量%〜約70質量%の複合粒子を含むことができる。
複合粒子を含むコーティングの製造に用いられるコーティング組成物は、ここで提供される粒子、キャリアもしくはキャリア前駆体、ならびにいずれかのコーティング組成物の調製に好適な他の1種の成分もしくは複数の成分を含んでいる。例えば、幾つかの態様では、コーティング組成物は、媒質、例えば有機溶媒、有機溶媒と水の混合物、または水を含む。
幾つかの態様では、コーティング組成物は、少なくとも1種のキャリア前駆体、例えば重合可能なモノマー、硬化性樹脂、プレポリマー、オリゴマー、またはそのコーティング組成物をコーティングに変換させる途中に更に重合または反応されるいずれかの他の前駆体を含んでいる。幾つかの態様では、コーティング組成物は、少なくとも1種の重合可能なモノマーを含み、そしてこの少なくとも1種の重合可能なモノマーは、重合してキャリアを形成する。キャリア前駆体としては、当技術分野で知られているいずれかの硬化性樹脂を挙げることができる。例示的な硬化された樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、またはポリオレフィン樹脂が挙げられるが、それらには限定されない。硬化可能な樹脂は、熱的に、またはいずれかの輻射線源によって硬化することができるものである。同様に、コーティング組成物中のポリマー、オリゴマー、およびモノマーは、熱的に、または放射線重合可能か、または架橋可能であることができる。また、ポリウレタンおよびポリウレアのためのプレポリマー、例えばヒドロキシル−、アミン−、またはイソシアネート−末端のオリゴマーを用いることができる。このようにして、コーティング組成物は、感光性または感熱性であることができる。コーティング組成物の成分が開始剤によって硬化可能である場合には、コーティング組成物は、光開始剤を更に含むことができる。
硬化性樹脂、プレポリマー、ポリマー、モノマー、またはオリゴマーは、コーティング組成物の他の材料と相溶性である(すなわち、1相の配合物を形成する)ように選択することができる。溶解度パラメータは、Polymer Handbook、J. Brandrup, ed.、pp. VII 519-557(1989)中で議論されているように、相溶性を表すのに用いることができ、これを参照することによって本明細書の内容とする。
コーティング組成物は、表面コーティング組成物中に組み込むために好適であると当技術分野で知られているいずれかの種々の成分を更に含むことができる。そのような成分としては、着色剤、顔料、UV安定剤、融合助剤、流動添加剤、消泡剤、界面活性剤、防錆剤、殺生物剤、および抗微生物剤、電荷制御剤などが挙げられる。
融合助剤は、コーティング組成物の成分の乾燥の間の樹脂の軟化を促進し、そしてそのような材料はよく知られている。融合助剤の例としては、エチレングリコールブチルエーテル(Eastman EG from Eastman Chemical Company(Kingsport、テネシー州)から入手可能)およびジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(LyondellBasell(Houston、テキサス州)からArcosolv DPNB溶媒として入手可能)が挙げられるが、それらには限定されない。
流動添加剤は、基材の、コーティング組成物による濡れ、およびコーティング組成物の基材上での平滑化を促進する。典型的な流動添加剤としては、BYK-Chemie(独国)のBYK 301およびBYK 346材料が挙げられる。
消泡剤は、成分の混合に際して、コーティング組成物中の気泡の存在を低減させるように用いることができる。いずれかの好適な消泡剤を、コーティング組成物に用いることができる。好適な消泡剤の例としては、BYK 035(BYK-Chemie、独国)がある。
界面活性剤は、コーティング組成物の表面張力を低下させるように用いることができる。いずれかの好適な界面活性剤を、コーティング組成物に用いることができる。好適な界面活性剤の例としては、SURFYNOL 104 BC(Air Products & Chemicals, Inc.)がある。
コーティング組成物が腐食され易い表面に適用される場合には、防錆剤を、コーティング組成物に用いることができる。種々の防錆剤が、コーティング組成物での使用のために好適である。好適な防錆剤の例としては、安息香酸アンモニウムがある。
電荷制御剤は、コーティング組成物内の複合粒子の電荷または安定性を制御するのに用いることができる。いずれかの好適な電荷制御剤を、コーティング組成物に用いることができる。好適な電荷制御剤の例としては、ポリイソブチレンコハク酸イミド、テトラオクチルアンモニウムブロミドなどが挙げられる。
コーティング組成物は、いずれかの好適な方法で、例えば複合粒子を、キャリアもしくはキャリア前駆体、ならびにコーティング組成物の他の成分(例えば、分散剤、媒質、着色剤、顔料、融合助剤、流動添加剤、消泡剤、界面活性剤、防錆剤、電荷制御剤など)と、いずれかの好適な方法によって混合することによって、調製することができ、それらの方法の多くが当技術分野で知られている。例えば、複合粒子は、キャリアもしくはキャリア前駆体の混合物および好適な媒質に加え、そして次いでいずれかの好適な手段を用いてその中に分散させることができる。あるいは、複合粒子を、媒質に加えて、そして次いでその中に分散させ、キャリアもしくはキャリア前駆体はその後に加えることができる。他の態様では、複合粒子を、キャリアもしくはキャリア前駆体に加え、そして媒質の使用なしに、その中に直接に分散させることができる。ここに記載されたような付加的な成分は、コーティング組成物の調製のいずれかの好適な段階で加えることができる。
複合粒子は、当技術分野で知られているいずれかの方法を用いて、媒質中に分散させることができる。例えば、複合粒子および溶媒は、撹拌しながら混合して、安定な分散液を生成することができ、そして所望により分散剤を加えることができる。また、複合粒子が水に分散可能である場合には、この分散液の水性溶媒は、他の溶媒、例えば有機溶媒に交換することができる。あるいは、分散剤が用いられる場合には、それは粒子と混合することができ、そして結果として得た混合物を、次いで溶媒と混合することができる。複合粒子、分散剤、および溶媒は、当技術分野で知られているいずれかの装置、例えば媒体ミルもしくはボールミル、または他の高剪断混合装置、例えばロータ−ステータミキサーで混合することができる。
コーティング組成物は、いずれかの好適な方法を用いて物品の少なくとも一部に適用することができる。例えば、コーティング組成物は、塗布、浸漬塗工、スプレー、マイクログラビア印刷、スピンコーティング、グラビアコーティング、ウエブコーティング、キャスティングスリットコーティング、スロットコーティング、または他の好適な技術によって適用することができる。
本発明は更に、本発明の複合粒子を含む感圧接着剤を提供する。
感圧接着剤(PSA)は、軽い圧力を加えて接着剤を被着体に接合することによって、接合を形成させる。PSAは、流動と、流動に対する抵抗の均衡で設計される。接着剤が流動するか、または被着体を濡らすに十分に柔軟であるために接合が形成される。接着剤が、接合に応力が適用された場合に、接着剤が流動に抵抗するのに十分に強いために、接合は強度を有している。接着剤および被着体が一旦近接すると、分子の相互作用、例えば接合中に含まれるファンデルワールス力もまた存在し、それが最終的な接合強度に有意に寄与する。PSAは、粘弾性(粘性および弾性)を示し、その両方が適正な接合のために用いられる。
PSAは、通常は、好適な粘着性付与剤(例えば、ロジンエステル)を配合された樹脂を基にしている。樹脂としては、アクリル、ブチルゴム、高い酢酸ビニル含有量のエチレン−酢酸ビニル、天然ゴム、ニトリル、シリコーンゴム、スチレンブロック共重合体(スチレン共重合体接着剤とも称される)、スチレン−ブタジエン−スチレン(高強度PSA用途で用いられる)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(低自己粘着性不織用途で用いられる)、スチレン−エチレン/プロピレン、スチレン−イソプレン−スチレン(低粘度高タックPSA用途で用いられる)、およびビニルエーテルを挙げることができる。
ここで提供される複合粒子は、PSA中に、いずれかの好適な充填量、例えば乾燥フィルム中に10質量%以下で混合することができる。複合粒子は、当技術分野で知られているように、その粒子のPSAの成分との相溶性、あるいはPSAを配合するのに用いられ、そして水性または有機であることができる液状前駆体中でのそれらの分散性を向上させるために、ここに記載したように疎水化もしくは他のように表面処理することができる。例えば、複合粒子の分散液は、樹脂の分散液に加え、そして混合することができる。分散液の連続相は、用いられる樹脂の種類に応じて、水性または有機であることができる。結果として得た混合された分散液が、基材にスプレーされ、刷毛塗りされ、引き延ばされ、または他のように適用された場合には、樹脂粒子および複合粒子で構成された接着剤フィルムが形成される。この接着剤フィルムは、水性もしくは有機溶媒の蒸発、ならびに樹脂および複合粒子の、今や乾燥された感圧接着剤フィルムへの融合を含むが、それらには限定されない、多くのプロセスによって形成される。
本発明は更に、複合粒子を含む熱可塑性および熱硬化性組成物を提供する。
熱可塑性物質は、加熱された場合に軟化し、そして冷却された場合に再度固くなるプラスチックである。熱可塑性物質は、通常は、評価できるほどの化学的変化なしに多くの溶融/凝固サイクルを経由することができ、それがそれらをリサイクルに好適にさせている。また、それらの特徴から、熱可塑性物質は種々の製造技術、射出成形、熱成形および溶着(welding)に向いている。
多くの熱可塑性材料は、付加重合体(連鎖成長ポリマー)、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンである。熱可塑性ポリマーは、溶融/凝固サイクルを経由することができない熱硬化性ポリマーと対照をなしている。
マトリックス中に、選択された大きさおよび濃度の鉱物含有物を混合することによって熱可塑性ポリマーの衝撃強度を向上させる可能性も知られている。所定の熱可塑性物質について、衝撃強度と弾性率との間には妥協があることが見出され、それらの一方は、通常は他方の損失によって向上される。ここで提供される金属酸化物−ポリマー複合粒子の使用により、このトレードオフを克服することができる。例えば、熱可塑性ポリマーは、5質量%以下の複合粒子を含んで生成することができる。
マトリックスは、熱可塑性ポリマーもしくは共重合体または熱可塑性ポリマーもしくは共重合体を含む熱可塑性物質からなることができる。マトリックスは、ポリマーもしくは共重合体の混合物からなることができ、それらは、おそらくはグラフト化を用いるか、または相溶化剤を用いることによる改質によって相溶化されている。
例示的な熱可塑性物質としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリルおよびメタクリルポリマー、スチレンポリマー、ビニルポリマー、それらのポリマーを基にしたポリマーおよび共重合体ブレンド、およびポリ塩化ビニルが挙げられるが、それらには限定されない。また、熱可塑性マトリックまたはコンパウンドは、付加的な充填剤および補強剤および当業者に知られている機能性添加剤を含むことができる。
熱可塑性物質は、乾燥した複合粒子で、それらを、ポリマー溶融物、例えばABS、PC、PMMAと、典型的な熱可塑性物質の配合装置、例えばブラベンダミキサー、単軸押出機および二軸押出機中で、このプラスチックについて推奨された加工条件(T、混合時間)で配合することによって調製することができる。
熱硬化性物質は、乾燥した複合粒子または分散液で、接着剤およびコーティングについてここで記載したのと同じ方法を用いて生成することができる。
以下の例は、本発明を更に説明するが、勿論のこと、その範囲を限定するようには決して理解されてはならない。
例1
この例は、本発明の態様によるポリエステルラテックスの調製を示している。
オーバーヘッド攪拌機および熱電対を備えた500mLの丸底フラスコに、50gのポリエステル樹脂(Reichold Fine-tone T-6694樹脂、酸価13mgKOH/g樹脂、Tg=50〜60℃)、25gのメチルエチルケトン、および6.25gのイソプロピルアルコールを加えた。この混合物を250rpmで撹拌し、そして45℃に3時間維持し、その後、2.17gの10%水酸化アンモニウム溶液(13.6ミリモル)をゆっくりと加えた。この混合物を更に5分間撹拌し、その後、5gのメタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン(MPS)を加えた。この混合物を10分間撹拌し、その後、150gの脱イオン水をゆっくりと加えて、分散液を生成させた。この混合物を95〜98℃に加熱し、そして約40gの液体を留去した。加熱マントルを外し、そして反応混合物を室温に冷却した。
例2
この例は、本発明の態様による有機シリカ−ポリエステル複合粒子の形成を示している。
38gの例1のラテックス(26.4質量%のポリエステル+MPS)を162gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。5gのビニルトリメトキシシラン(VTMS、MW148、34ミリモル)を、25gの脱イオン水に溶解し、そしてマグネティック撹拌バー(300rpm)で約60分間、有機の液滴が完全に溶解し、そして透明の溶液が得られるまで、撹拌した。1gの30%水酸化アンモニウム溶液(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間機械的に撹拌した。VTMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間に亘って進行せしめた。第1のものと同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そして反応混合物に加え、そして反応を更に3時間進行せしめた。結果として得た粒子分散液の透過型電子顕微鏡写真が図1に示されている。結果として得た複合粒子を、室温での溶媒の蒸発によって回収した。結果として得た粉末の走査型電子顕微鏡写真が図2Aに示されており、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された熱プロフィールが図2Bに示されている。
例3
この例は、本発明の態様による有機シリカ−ポリエステル複合粒子の形成を示している。
例1のラテックスは、MPSを添加せずに、ポリマー/溶媒溶液に調製した。むしろ、1gのMPSを40gのラテックスに添加し(約25質量%ポリマー)、そしてMPSの液滴が見えなくなるまで2時間攪拌した。次いで、160gを脱イオン水を加えて、分散液を、5質量%のポリマーまで希釈した。例2のように、VTMS溶液を調製した。1gの30%水酸化アンモニウム溶液(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間機械的に撹拌した。VTMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間に亘って進行せしめた。第1のものと同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そして反応混合物に加え、そして反応を更に5時間進行せしめた。結果として得た複合粒子を、室温での溶媒の蒸発によって回収した。
例4
この例は、本発明の態様によるトナーの調製を示している。
化学トナー試料を、4質量%の例2の複合粒子および十分な黒色ポリエステル化学トナー(粒子径8〜12μm、Sinonar Inc.から供給された)で配合し、80gの試料を作製した。このトナーおよび添加剤を、IKA M20ユニバーサルミル(IKA Works, Inc.(Wilmington、ノースカロライナ州))中で45秒間混合した。このミルは、パルスモード(15秒間のミキサー運転および15秒間のミキサー停止の3サイクル)で運転し、トナーがそのガラス転移点を超えて加熱されないようにした。結果として得たトナーの走査型電子顕微鏡写真が図3に示されている。
例5
この例は、本発明の態様による本発明の複合粒子を含むトナーの摩擦帯電挙動を示している。
複合粒子を、例1および2に従って調製した。Microtrac Nanotrac(商標)252分析計で測定した平均粒子径は、150nmであった。これらの粒子のTEMが図4に示されている。複合粒子は、例5に記載されているように化学トナーに配合した。結果として得たトナーの走査型電子顕微鏡写真が、図5に示されている。現像剤を、2質量%の配合されたトナーを、シリコーンコーティングされたCu−Znフェライトキャリア(60〜90μmの粒子径、Powdertech Co., Ltd.から購入)と混合することによって調製した。この現像剤を、15%RH/18℃(LL条件)または80%RH/30℃(HH条件)に温度および湿度調整された室内で、一晩状態調節した。状態調節の後に、現像剤を、ガラスジャーの中に置き、そしてロールミル上で185rpmで30分間に亘って回転させることによって帯電させた。摩擦静電気電荷測定を、Vertex Image Products, Inc.(Yukon、ペンシルベニア州)によって製造されたVertex T-150摩擦帯電テスターを用いて行った。試料を、ファラデー箱の内側に置き、そして高圧空気ジェットを用いて、トナーをキャリアから吹き飛ばした。キャリアは、トナー粒子と反対の電荷を保持していた。現像剤は、LL条件で−71.9μC/g、そしてHH条件で−12.8μC/gの摩擦帯電を有していたが、HH/LLの比で0.18である。
例6
この例は、本発明の態様による架橋されたポリエステル/MPS/有機シリカ粒子の調製を示している。
200グラムのFine-Tone T6694ポリエステル樹脂、100グラムの2−ブタノン(MEK)、および25グラムのイソプロパノール(IPA)を60で溶解し、そして約2時間に亘って攪拌した。8.68グラムの水酸化アンモニウム(NH4OH、10質量%)を添加しそして10分間撹拌し、次いで20グラムのMPSを攪拌している溶液に添加し、そして更に10分間に亘って攪拌した。次いで、600グラムの脱イオン水を、ポリエステル溶液中に、2〜3時間に亘って、ゆっくりと滴下した。この水は、臨界点に達するまで、有機相中に直ちに乳化し、そしてエマルジョンは、反転して水中油エマルジョンとなり、この時点で、分散液の粘度は劇的に低下した。最終的な生成物は、水の粘稠度を有しており、そして乳白色であり、周辺部の当たりは淡青色に呈色していた。
蒸留受器を、撹拌している分散液に連結した還流凝縮器を備えて準備した。温度を90℃に増加させ、揮発性物質を除去せしめ、そして秤量のためにNalgeneビン中に収集した。蒸留を、全ての揮発性物質が除去されることを確実にするために、125グラムを僅かに超える溶媒(130グラム近傍)が収集されるまで継続した。粒子径分布を、動的光拡散法(DLS)によって測定し、そしてd10=103nm、d50=134nm、d90=185nmであった。
粒子の重合
500mLの4首丸底フラスコ中に、170.53グラムの原料粒子分散液(29.32質量%)を29.47グラムの脱イオン水と混合して、総質量200グラムとした。次いで、0.5グラムのアゾビスブチロニトリル(AIBN)を約6グラムのメタノールに溶解させた。AIBNが溶解される間に、窒素ガス流を、撹拌されている粒子分散液を通して約20分間に亘って泡立たせ、溶解されている酸素を除去した。この分散液を、次いで70℃に加熱し、そしてAIBN溶液を、熱い撹拌されている分散液に滴下で加えた。重合を、完結を確実にするように、15時間に亘って継続した。粒子径分布を再度DLSで測定し、そしてd10=104nm、d50=137nm、d90=181nmであった。
有機シリカ成長
撹拌棒を容れた30mLのNalgeneビン中で、5グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を25グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。その時間の終了近くで、撹拌棒を容れた1リットルの丸底フラスコ中で、24.5グラムの原料の重合された粒子(23.55質量%)を157.5グラムの脱イオン水と混合し、次いで1グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を添加した。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になる粒子分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌を続けた。2時間の撹拌の後に、5グラムのVTMSおよび25グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、重合された粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。DLSで測定された粒子径は、d10:103.6nm、d50:156.7nm、d90:229.6nmであった。粒子の電子顕微鏡写真が図6に示されている。DSCによって測定されたこの材料の熱プロフィールが、図7に示されている。トナーが、例4中に記載されているように、この材料で調製された。結果として得たトナーの走査型電子顕微鏡写真が図8に示されている。
この方法によって、更なる粒子が生成され、そしてTEMおよびCP/CPMG/MAS 29Si NMRによって分析された。例11に説明された方法によって測定された真円度は、1.31±0.17であった。NMRスペクトルが、図22AおよびBに示されている。T3/T2単位の比は、5.4:1であり、VTMSは、84%縮合されていることを示している。
例7
この例は、本発明の態様による、10質量%のスチレンを含む、架橋されたポリエステル/MPS/有機シリカの調製を示している。
200グラムのFine-Tone T6694ポリエステル樹脂、100グラムの2−ブタノン(MEK)および25グラムのイソプロパノール(IPA)を60℃で溶解させ、そして約2時間撹拌した。8.68グラムの水酸化アンモニウム(NH4OH、10質量%)を加え、そして10分間撹拌し、次いで20グラムのMPSを撹拌されている溶液に加え、そして更に10分間撹拌した。次に、600グラムの脱イオン水を、ポリエステル溶液中に、2〜3時間に亘って、ゆっくりと滴下した。この水は、臨界点に到達するまでに、有機相中に直ぐに乳化され、そしてこのエマルジョンは反転して水中油エマルジョンとなり、この時点で分散液の粘度は劇的に低下した。最終的な生成物は、水の粘稠度を有しており、そして乳白色であり、周辺部の当たりは淡青色に呈色していた。
蒸留受器を、撹拌している分散液に連結した還流凝縮器を備えて準備した。温度を90℃に増加させ、揮発性物質を除去せしめ、そして秤量のためにNalgeneビン中に収集した。蒸留を、125グラムを僅かに超える溶媒(130グラム近傍)が収集されるまで継続した。粒子径分布を、動的光拡散法(DLS)によって測定し、そしてd10=73.1nm、d50=113.6nm、d90=182.5nmであった。
スチレンの拡散および重合
500mLの4首丸底フラスコ中で、118グラムの原料粒子分散液(21.17質量%)を132グラムの脱イオン水と混合して、総質量を250グラムとした。撹拌されている混合物を通して窒素を20分間バブリングさせることによってこの分散液から酸素をパージした。次いで、0.25グラムのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を約2.5グラムのスチレンに、アセトニトリルの1滴を加えることによって溶解させ、そして激しくボルテックス(vortexing)した。このスチレン/AIBN溶液を、撹拌されている分散液に滴下で加え、そして次いで室温で60分間に亘って撹拌を継続して、スチレンを粒子中に拡散せしめた。拡散の後に、温度を80℃に上昇させ、そして分散液を6時間に亘って重合した。粒子径分布を、DLSによって再度測定し、そしてd10=76.9nm、d50=113.1nm、d90=172.8nmであった。
有機シリカの成長
撹拌棒を容れた30mLのNalgeneビン中で、5グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、25グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた1リットルの丸底フラスコ中で、100グラムの原料の重合された粒子(10質量%)を100グラムの脱イオン水と混合し、次いで1グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になる粒子分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌を続けた。2時間の撹拌の後に、5グラムのVTMSおよび25グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、重合された粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布をDLSによって再度測定し、そしてd10:77.2nm、d50:115.1nm、d90:184.0nmであった。
例8
この例は本発明の態様による、40%のスチレンを含む、架橋されたポリエステル/MPS/有機シリカの調製を示している。
150グラムのFine-Tone T6694ポリエステル樹脂を、75グラムの2−ブタノン(MEK)および18.75グラムのイソプロパノール(IPA)に60℃で溶解させ、そして約2時間撹拌した。6.5グラムの水酸化アンモニウム(NH4OH、10質量%)を加え、そして10分間撹拌し、次いで15グラムのMPSを撹拌されている溶液に加え、そして約5分間撹拌したままにした。次いで、60グラムのスチレンを撹拌されている溶液に加え、そして更に5分間撹拌したままにした。次に、450グラムの脱イオン水を、ポリエステル溶液中に、2〜3時間に亘って、ゆっくりと滴下した。この水は、臨界点に到達するまでに、有機相中に直ぐに乳化され、そしてこのエマルジョンは反転して水中油エマルジョンとなり、この時点で分散液の粘度は劇的に低下した。最終的な生成物は、水の粘稠度を有しており、そして乳白色であり、周辺部の当たりが淡青色に呈色していた。
蒸留受器を、撹拌している分散液に連結した還流凝縮器を備えて準備した。温度を90℃に増加させ、揮発性物質を除去せしめ、そして秤量のためにNalgeneビン中に収集した。全ての揮発性物質が除去されるのを確実にするために、蒸留を、ちょうど約100グラムの溶媒が収集されるまで継続した。粒子径分布を、動的光拡散法(DLS)によって測定し、そしてd10=116.2nm、d50=161.7nm、d90=232.5nmであった。
重合
分散液を、窒素ガスで約20分間スパージした(sparged)。約2グラムのAIBNを、2〜3滴のアセトニトリルの援けを得てメタノールに溶解させた。スパージした分散液を80℃にし、そして開始剤溶液を滴下で加えた。分散液を6時間に亘って撹拌し、それに次いで加熱マントルを停止し、そして反応を周囲温度で一晩進行させて、重合された粒子の溶液を生成させた。
有機シリカの成長
撹拌棒を容れた500mLのNalgeneビン中で、50グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、250グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた3リットルの丸底フラスコ中で、347.38グラムの原料の重合された粒子(28.77質量%)を約1500グラムの脱イオン水と混合し、次いで10グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になる粒子分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌を続けた。2時間の撹拌の後に、50グラムのVTMSおよび250グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、重合された粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布をDLSによって再度測定し、そしてd10:141.8nm、d50:202.7nm、d90:356.0nmであった。DSCをこの粒子で実施し、そして結果として得た熱プロフィールが図9に示されている。この粒子のSEM顕微鏡写真が図10に示されている。
複合粒子は、例4中に記載されているようにトナーと配合された。40gのCu−Znフェライトキャリア(60〜90μm粒子径、Powdertech Co., Ltd.から購入した)を0.8gのトナー/粒子配合物と、50mLのガラスジャー中で混合した。このジャーを、Willy A. Bachofen AG(スイス国)によって製造されたTURBULA・ T 2 Fミキサー中に容れ、そして3次元運動で101サイクル/分で撹拌した。振とう前および30分間と120分間の振とう後のトナーのSEM顕微鏡写真が図11にある。
例9
この例は、本発明の態様によるスチレン−アクリレート樹脂を含む複合粒子の調製を示している。
撹拌棒を容れた500mLのNalgeneビン中で、50グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、250グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた2リットルの丸底フラスコ中で、102グラムの原料Joncryl 631(48.71質量%、BASF製)を約800グラムの脱イオン水と混合し、次いで5グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になるJoncryl分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌を続けた。2時間の撹拌の後に、50グラムのVTMSおよび250グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、Joncryl粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布をDLSによって測定し、そしてd10:73.1nm、d50=115nm、d90=222nmであった。粒子径分布および電子顕微鏡写真が、図12AおよびBに示されている。
分散液を、Masterflex標準駆動モータを用いたMasterflex Easy Load II ポンプ(Model # 77200-60)と連結された、500,000NMWCおよび420cm2の表面積を備えたGE Healthcare中空繊維カートリッジ(Model # UFP-500-E-4MA)を用いて、ダイヤフィルトレーション処理した。この分散液をフィルタカートリックを通してポンプ送液し、それで水および溶解されているイオンが除去された。液体面が低下するにつれて、脱イオン水をこの分散液に加えて失われた水を置き換えた。この分散液を、測定された上澄みの電導度が100μs未満となるまでダイヤフィルトレーション処理した。300グラムのダイヤフィルトレーション処理された複合粒子分散液(13.56質量%)を、70℃に加熱し、そして6グラムのヘキサメチルジシラザン(HMDZ)を撹拌されている溶液に加えた。この混合物を、HMDZでの完全な処理のために、300rpmで一晩撹拌した。粒子径分布が、図12Cに示されており、d10=82.0nm;d50=129.5nm;d90=194.9nmであった。
例10
この例は、本発明の態様による、スチレン−アクリレート樹脂を含む複合粒子の調製を示している。
撹拌棒を容れた500mLのNalgeneビン中で、25グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、250グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた2リットルの丸底フラスコ中で、102グラムの原料Joncryl 631(48.71質量%、BASF製)を約800グラムの脱イオン水と混合し、次いで5グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になるJoncryl分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌した。2時間の撹拌の後に、25グラムのVTMSおよび250グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、Joncryl粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布をDLSによって測定し、そしてd10:80.1nm、d50=1120.5nm、d90=180.1nmであった。DSCの結果および電子顕微鏡写真が、図13AおよびBに示されている。
例11
この例は、本発明の態様による複合粒子の調製を示している。
撹拌棒を容れた500mLのNalgeneビン中で、50グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を、250グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた3リットルの丸底フラスコ中で、313グラムの、例8の、原料の重合された粒子(28.77質量%)を1487グラムの脱イオン水と混合し、次いで10グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になるポリマー分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌を続けた。2時間の撹拌の後に、50グラムのVTMSおよび250グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、重合された粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布を再度DLSによって測定し、そしてd10:135.7nm、d50=194.8nm、d90=363nmであった。
真円度が、TEMグリッド上に滴下された500超の粒子の解析によって測定された。調製する前に試料を清澄にするために、遠心分離がしばしば用いられた。粒子を、80kVで操作したJEOL 1200で撮像した。MediaCyberneticsのImage-ProTMソフトウエアを、画像を解析し、そして周長および面積を計算して、真円度(周長2/(4π×面積))を計算するために用いた。これらの画像は、互いに接触している粒子を除去するために時折の編集が必要とされた。粒子の真円度は、1.21±0.08であった。
例12
この例は、本発明の態様による複合粒子の調製を示している。
撹拌棒を容れたNalgeneビン中で、100グラムのビニルトリメトキシシラン(VTMS)を500グラムの脱イオン水と混合し、そして室温で60分間で撹拌した。この時間の終了近くで、撹拌棒を容れた丸底フラスコ中で、約200グラムの、例8の、原料のJoncryl 631(BASFから、48.71質量%)を1800グラムの脱イオン水と混合し、次いで10グラムの28%水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。加水分解されたVTMS溶液を約5分間に亘って、撹拌されている基になるJoncryl分散液に、滴下で加え、そして3時間に亘って撹拌した。2時間の撹拌の後に、100グラムのVTMSおよび500グラムの脱イオン水の2バッチ目を準備して、60分間撹拌した。上記の3時間と60分間の撹拌は、ほぼ同時に停止した。この時点で加水分解されたVTMSの第2のバッチを、撹拌されている複合分散液に約5分間に亘って滴下で加えた。この混合物を、3時間に亘って撹拌したままにして、Joncryl粒子上への有機シリカの成長を終わらせた。粒子径分布をDLSによって測定し、そしてd10:88.4nm、d50=120.8nm、d90=259.9nmであった。真円度を、例11で説明したように測定し、そして1.36±0.15であった。
例13
この例は、本発明の態様による複合粒子の調製を示している。
オーバーヘッド攪拌器および熱電対を備えた丸底フラスコ中に、200グラムのポリエステル樹脂(Reichold Fine-tone T-6694樹脂、酸価が13mgKOH/g樹脂、Tg=50〜60℃)を100グラムのメチルエチルケトンおよび25グラムのイソプロピルアルコールと混合した。この混合物を60℃で2時間撹拌し、その後に8.68グラムの10%水酸化アンモニウム溶液をゆっくりと加えた。この混合物を、更に5分間に亘って撹拌し、その後、20グラムのメタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン(MPS)を加えた。この混合物を、10〜15分間に亘って撹拌し、その後、600グラムの脱イオン水をゆっくりと加え、分散液を生成させた。この混合物を93℃に加熱し、そして揮発性成分を留去させた。加熱マントルを取り外し、そして反応混合物を室温に冷却した。
有機シリカの成長:
381.4gの例1のラテックス(26.2質量%のポリエステル+MPS)を1618.61gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。50gのVTMSを250gの脱イオン水中で1時間に亘って加水分解せしめ、それに続いて10gの30質量%の水酸化アンモニウムをゆっくりと加え、そしてこの溶液を5分間撹拌せしめた。VTMS溶液をこのラテックスに5分間に亘って加え、そして反応を室温で3時間進行せしめた。VTMSの第1の溶液と同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加えた。更に3時間に亘って反応を進行せしめた。結果として得た粒子の粒子径分布は、d10=177.9nm、d50=243.5nm、およびd90=343nmであった。この例の方法に従って更なる粒子を生成し、そして例11に従って測定したその真円度は、1.43±0.18であった。
例14
この例は、Finetone MPS粒子、ポリウレタン粒子(Essential IndustriesのR4289ポリウレタン分散液)、またはポリウレタン(DSM ResinsのNeorez R551ポリウレタン)粒子を、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、またはトリメトキシプロピルシランと混合することによる複合粒子の調製を説明している。
Finetone/MPS粒子へのシリカの成長
シラン化合物としてVTMS
38gの例1のラテックス(26.4質量%のポリエステル+MPS)を162gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。5gのビニルトリメトキシシラン(VTMS、MWが148、34ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。1gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。VTMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。VTMSの第1の溶液と同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてATMS
19gの例1のラテックス(26.4質量%のポリエステル+MPS)を81gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのアリルトリメトキシシラン(ATMS、MWが162、13ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。ATMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。ATMSの第1の溶液と同じ、ATMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMMS
19gの例1のラテックス(26.4質量%のポリエステル+MPS)を81gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシメチルシラン(TMMS、MWが136、18.4ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMMSの第1の溶液と同じ、TMMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMPS
19gの例1のラテックス(26.4質量%のポリエステル+MPS)を81gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシ(プロピル)シラン(TMPS、MWが164.15ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMPS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMPSの第1の溶液と同じ、TMPSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
PU(SMPP157)粒子上へのシリカの成長
シラン化合物としてVTMS
15.6gのポリウレタン原料からのラテックス(R4289分散液、32質量%ポリウレタン)を84,4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのビニルトリメトキシシラン(VTMS、MWが148、17ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。VTMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。VTMSの第1の溶液と同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてATMS
15.6gのポリウレタン原料からのラテックス(R4289分散液、32質量%ポリウレタン)を84,4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのアリルトリメトキシシラン(ATMS、MWが162、15.5ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。ATMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。ATMSの第1の溶液と同じ、ATMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMMS
15.6gのポリウレタン原料からのラテックス(R4289分散液、32質量%ポリウレタン)を84,4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシメチルシラン(TMMS、MWが136、18.4ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMMSの第1の溶液と同じ、TMMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMPS
15.6gのポリウレタン原料からのラテックス(R4289分散液、32質量%ポリウレタン)を84,4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシ(プロピル)シラン(TMPS、MWが164、15.3ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMPS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMPSの第1の溶液と同じ、TMPSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
PU(Neorez R551)粒子上へのシリカの成長
シラン化合物としてVTMS
14.6gのポリウレタン原料からのラテックス(Neorez R551分散液、34.3質量%ポリウレタン)を85.4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのビニルトリメトキシシラン(VTMS、MWが148、17ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。VTMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。VTMSの第1の溶液と同じ、VTMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてATMS
14.6gのポリウレタン原料からのラテックス(Neorez R551分散液、34.3質量%ポリウレタン)を85.4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのアリルトリメトキシシラン(ATMS、MWが162、15.5ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。ATMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。ATMSの第1の溶液と同じ、ATMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMMS
14.6gのポリウレタン原料からのラテックス(Neorez R551分散液、34.3質量%ポリウレタン)を85.4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシメチルシラン(TMMS、MWが136、18.4ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMMS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMMSの第1の溶液と同じ、TMMSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
シラン化合物としてTMPS
14.6gのポリウレタン原料からのラテックス(Neorez R551分散液、34.3質量%ポリウレタン)を85.4gの脱イオン水で希釈して、5質量%の分散液を形成させた。2.5gのトリメトキシ(プロピル)シラン(TMPS、MWが164、15.3ミリモル)を12.5gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解され、そして透明の溶液が得られるまで、磁気攪拌棒で約60分間に亘って撹拌した(300rpm)。0.5gの30%水酸化アンモニウム(MW=34)を希釈されたラテックス分散液に加え、そして5分間に亘って機械的に撹拌した。TMPS溶液を1分間に亘って加え、そして反応を、室温で3時間進行せしめた。TMPSの第1の溶液と同じ、TMPSの第2の溶液を調製し、そしてこの反応混合物に加え、そして反応を更に3時間に亘って進行せしめた。
この例中に記載された代表的な複合粒子の粒子径分布を表1中に示した。粒子径は、動的光散乱法によって測定した。
例15
この例は、感圧接着剤中の本発明の複合粒子の使用を示している。
3種の感圧接着剤配合物を調製した。配合物15A(比較)、配合物15B(本発明)、そして配合物15C(本発明)である。それぞれの配合物は、Rhobond PS 68接着剤(Dow Chemical、Midland、ミシガン州)および、最終的な分散液中の樹脂濃度を41.6質量%の樹脂に調整するのに十分な水を含んでいた。配合物15Bおよび15Cは、例12で説明した複合粒子を更に含んでいた。これらの配合物を表2Aに示した。
それぞれの最終分散液を、2分間撹拌し、そして最終分散液を、脱気するために一晩放置することによって調製した。
最終分散液を、#30巻き線棒を用いて2ミルの厚さのポリエステル(Mylar)上に、約1ミルの乾燥膜厚を得るようにキャストした。湿潤状態のコーティングを120℃で40分間、慣用のオーブン中で乾燥させた。これらのフィルムをオーブンから取り出し、そして室温に冷却せしめた。これらのシートを、試験の前に、室温で少なくとも24時間状態調節した。
状態調節に続いて、試料を、AR-1000ピール接着/解放試験機および/Release TesterならびにS-OSI-8 Integrated 8 Bank Shear Testerおよびオーブン(両方ともChemInstruments International)を用いて、製造者の使用説明書に従って、ステンレス鋼基材で試験した。2〜4個の試料をそれぞれの試験のために調製した。それぞれの試験の平均を表2Bおよび2Cに報告した。
剪断力の結果が、図20に図示されている。図20に描かれた結果から明らかなように、本発明の複合粒子の存在によって、全ての試験温度および全ての試験剪断力で、接着剤の剪断強度が向上した。
例16
この例は、本発明の態様による水性のアルキッド分散液中での本発明の複合粒子の使用を示している。
7つの水性アルキッド分散液を調製した。全ての分散液は、表3に示した成分を含んでいた。
分散液16A(対照)は、いずれの添加剤も更には含んではいなかった。分散液16B〜16D(本発明)は、それぞれ1質量%、2質量%および6質量%(樹脂に対して)の例12の複合粒子を更に含んでいた。分散液16E〜16G(比較)は、それぞれ1質量%、3質量%および6質量%(樹脂に対して)のCab-O-Sperse 1012Aヒュームドシリカ分散液を更に含んでいた。これらの分散液は、成分を混合し、そしてその混合物を撹拌することによって調製された。
分散液16A〜16Gは、BYK birdアプリケータを用いて、冷間圧延鋼板を含む基材上への2回の連続した適用によって、それぞれ湿潤状態で3ミルの厚さに、キャストした。
コーティングを、室温で乾燥させた。それぞれの基材について、ケーニッヒねじれ強度試験機を用いて、製造業者の手順に従って、硬度の発現を監視した。測定結果は、1時間、2.5時間、4時間、8時間、24時間、および7日間の時点で得た。結果を、図15A〜15Cに図示した。
図15Aには、分散液16B〜16Dの1時間から24時間の硬度の発現を示している。本発明の複合粒子を6質量%含む分散液16Dは、24時間で約31の硬度を示した。本発明の複合粒子をそれぞれ1質量%および2質量%含む分散液16Dおよび16Cは、24時間で、それぞれ約19および21の硬度を示した。
図15Bには、分散液16E〜16Gの1時間から24時間の硬度の発現を示している。ヒュームドシリカを6質量%含む分散液16Eは、24時間で約23の硬度を示した。ヒュームドシリカをそれぞれ1質量%および2質量%含む分散液16Fおよび16Gは、24時間で、それぞれ約16および18の硬度を示した。
図15Cには、本発明の複合粒子を6質量%含む分散液16Dと、ヒュームドシリカを6質量%含む分散液16F、および対照の分散液16Aの硬度の発現が比較されている。分散液16D(本発明)は、24時間後に約31の硬度を示した。分散液16F(比較)および16A(対照)は、24時間後に、それぞれ約23および19の硬度を示した。
コーティングのヘイズ(20°)および光沢(60°)を、BYK-Gardner GmbHのヘイズ計(カタログ番号4601)を用いて測定した。図19Aには、分散液16A〜16Fでコーティングされた基材によって示された60°光沢が示されている。図19Bには、分散液16A〜16Fでコーティングされた基材によって示された20°ヘイズが示されている。本発明の分散液16B〜16Dは、比較の分散液16E〜16Fよりも高い光沢および低いヘイズを示している。
例17
この例は、本発明の態様による、エポキシ接着剤配合物中の本発明の複合粒子の使用を示している。
11個の2成分型エポキシ接着剤配合物を調製した。それぞれの配合物は、表4に示した成分を含んでいる。
配合物17A〜C(対照)は、複合粒子を含んでいなかった。配合物17D〜17G(本発明)は、例11の複合粒子を更に含んでいた。配合物18H〜18K(本発明)は、例13の複合粒子を更に含んでいた。これらの配合物は、表5および6に示されている。
接着剤配合物を以下のように調製した。
シリカマスターバッチを、シリカを、PP300スピードミキサーカップ中のEpon 828に加えることによって調製した。投入(Wet-in)および混和は、FlackTek製のDAC600スピードミキサー上で真空に引くことなく、1500rpmで30秒間行った。シリカが投入される(wet in)と、粉砕を、DAC600スピードミキサーで100%の真空に設定して、2300rpmで5分間を3回行った。Letbackを、Epon樹脂をシリカマスターバッチと、100%真空の設定で、1500rpmで3分間混合することによって行った。複合粒子(配合物17D〜17K)を加え、そして木製の舌状の押し下げ装置を用いて混合した。Jeffamineポリエーテルアミンを加え、100%真空の設定で、1500rpmで3分間混合し、次いで、混合することなく(すなわち、0rmp)100%真空の設定で1.5分間保持した。
例18に記載されているように金属基材を調製した。シランの適用および乾燥の後に、エポキシ配合物を適用し、全ての試料を80℃で2時間予備硬化し、そして20℃で3時間後硬化した。
Tピールを、ASTM D1876−08に従って測定した。破壊靭性を、ASTM D638に従って引張強度を測定すること、およびASTM D5045に従って片刃(single edged)ノッチ付き曲げ試験を行うことによって定め、それらの試験結果を、KICを計算するために組み合わせた。それらの結果を、図16A〜16Dに図示した。
図16Aおよび16Bには、5質量%〜10質量%のCTBNゴム強化剤(EPON(商標)58005によって供給される)の存在が、エポキシ接着剤のTピール強度および破壊靱性を向上させることが示されている。図16Cには、例11(暗灰色)の複合粒子および例13(明灰色)の複合粒子の存在は、CTBNゴム強化剤を含まないエポキシ接着剤のTピール強度を認めうるほどに増加させないことが示されている。図16Dには、例11(暗灰色)の複合粒子および例13(明灰色)の複合粒子の存在は、CTBNゴム強化剤を含むエポキシ接着剤のTピール強度を、本発明の複合粒子を含まない対照の配合物と比較して、有意に向上させることが示されている。
例18
この例は、本発明の態様による、ポリウレタン接着剤配合物への本発明の複合粒子の使用を示している。
7種のポリウレタン接着剤配合物を調製した。それぞれの配合物は、表7に示した成分を含んでいた。
配合物18A(対照)は、複合粒子を含んでいなかった。配合物18B〜18D(本発明))は、例11の複合粒子を更に含んでいた。配合物18E〜18G(本発明)は、例13の複合粒子を更に含んでいた。これらの配合物は、表8に示されている。
試料の調製は、窒素で満たされたグローブボックス中で行われた。Voranol製品を
8個のイットリウムビーズ(Flacktek製、15mm直径)を備えた最大300長のスピードミキサーカップ中に量り取った。シリカを200℃で一晩乾燥し、そして次いでシリカおよび、本発明の配合品については、複合粒子を秤量して、そしてカップに加えた。混合物をDAC600で、1500rpmで30秒間、1000rpmで2分間、そして800rpm5分間の、7分30秒間の合計時間に亘って粉砕した。このカップをグローブボックスに戻し、そして材料をカップの側面から掻き取って、それをカップの底に集めた。LペーストおよびSuprasec 5025をこのカップ中に量り取った。真空キャップをこのカップの上に配置し、そしてこの混合物を、DAC600上で、最大限の真空下で1000rpmで5分間に亘って混合した。このカップをグローブボックスに戻し、そして材料をカップの側面から掻き取った。触媒をカップ中に量り取った。真空キャップをこのカップの上に配置し、そして混合物をDAC600上で、最大限の真空で、1000rpmで5分間に亘って混合し、配合物を得た。
金属基材を温かいPalmolive水溶液中に浸漬し、緑色のScotchbriteパッドを備えたオービタルスクラバを用いて擦り洗いし、温かいAlconox水溶液中に浸漬し、緑色のScotchbriteパッドで拭き取り、冷たい水道水で、そして次いで脱イオン水ですすぎ、そして2〜12時間乾燥することによって清澄化した。
清澄化した金属基材を、試料の適用のために、オービタルサンダーで磨き、アセトンですすぎ、数滴のシランと適用し(重ね剪断には1滴、Tピールでは各バーについて5滴)、全体の接合面積の被覆するように小さな塗料刷毛で塗布し、そして次いで基材をフードの中で、一晩放置せしめることによって調製した。
重ね剪断およびTピール試料の適用の後で、これらの試料をフード中で室温で3時間予備硬化させ、そして次いで95℃で2時間後硬化させた。
重ね剪断をASTM D1002−05に従って測定した。TピールをASTM D1876 08に従って測定した。それらの結果を図17A〜17dに図示した。
図17Aおよび17Bには、それぞれ例11および13の複合粒子によって与えられる重ね剪断への効果が、本発明の複合粒子を含まない対照の配合物18Aと比較して、示されている。図17Aには、配合物18A〜18Dによって示された重ね剪断強度が示されており、そして図17Bには、配合物18Aおよび18E〜18Gによって示された重ね剪断強度が示されている。
図17Cおよび17Dには、それぞれ例11および13の複合粒子によって与えられたTピール強度への効果が、本発明の複合粒子を含まない対照の配合物18Aと比較して、示されている。図17Cには、配合物18A〜18Dによって示されたTピール強度が示されており、そして図17Dには、配合物18Aおよび18E〜18Gによって示されたTピール強度が示されている。
例19
この例は、本発明の態様による複合粒子の調製を示している。
商業的なカルナウバ蝋分散液(50g、Aquaslip 952分散液、20質量%のワックス、Lubrizol)を150gの脱イオン(DI)水で希釈して5質量%分散液とした。ビニルトリメトキシシラン(10g)を50gの脱イオン水に溶解し、そして有機液滴が完全に溶解し、そして透明な溶液が得られるまで、磁気撹拌棒で60分間撹拌した(300rpm)。水酸化アンモニウム(4gの30質量%水溶液)を希釈されたワックス分散液に加え、そして機械的な撹拌の下で5分間混合して、pHを約11とした。ビニルトリメトキシシラン溶液を、1分間に亘って加えた。反応を、室温で5時間に亘って進行せしめた。有機シラン化合物の添加の前と後にpHを測定した。
ワックスエマルジョンをダイヤフィルとレーション処理して、過剰の試薬および界面活性剤を除去し、そして複合粒子の体積分率を増加させた。蠕動ポンプを用いて、500,000の分子量カットオフ、1mmのチューブ内径を備えたGE Healthcare製のカートリッジ(製品番号、UFP-500-E-4MA)を通して水を流し、そして流れ圧力を常に5psi未満に保持した。エマルジョンの濃度は約20%に増加し、そして次いで蒸留水を連続的に加えて、取り除かれている界面活性剤で満たされた水を置き換えた。完全な精製を確実にするために、1.5リットルの蒸留水をこのために用いた。
Microtrac Nanotrac(商標)252分析計によって測定された平均粒子径は、受け入れたままの分散液の106nmと比較して、128nmであった。複合粒子のTEMは、ワックス粒子の表面に露出された有機シリカ粒子を示している。
例20
この例は、本発明の態様によるトナーの調製を示している。
例19の複合粒子分散液を約20質量%の濃度にした。4gの粒子分散液、40gの乾燥トナー、および70gの脱イオン水の混合物を調製した。この混合物を、超音波処理器の浴中で1時間に亘って超音波処理して、よく混合された分散液を得た。超音波処理した混合物を、Scientific InstrumentsのVortex Genie 2ボルテックスミキサーで、最高速度で5分間ボルテックス処理した。この分散液を、約2リットルのパイレックスガラス容器中に注ぎ、そしてこの容器の底部によく広げて、薄い層を形成させた。この材料を、周囲温度(約23℃)で、換気フード中で、約80フィート/分の通風で、水分含有量が約2質量%未満になるまで、48時間乾燥せしめた。図14には、複合ワックス粒子が、トナー表面によく固着していることを示している。
例21
この例は、有機シラン化合物の代わりにテトラエチルオルソシリケート(「TEOS」)を用いた複合粒子の試みられた調製を示している。
ポリエステル分散液を、水中に26.4%の固形分を含む38gのポリエステルおよびメタクリルオキシプロピルシランで、例1の手順を用いて調製した。この分散液を、162gの脱イオン水で希釈した。この希釈された分散液に、1gの30%のアンモニアを加えた。この混合物のpHは、約10.2であった。この分散液を、オーバーヘッド混合機で、300rpmで5分間混合した。
15gのTEOSを、撹拌しながら、15〜20分間に亘って滴下で加えた。TEOSの添加が完了した後で、この混合物を室温で一晩更に撹拌した。
一晩の撹拌の後に、白色固体の大きな塊が、混合物中に浮遊していた。液相の試料のTEM画像が、図18に描写されている。この画像は、有機シリカがポリエステル粒子上に形成されていないことを示している。
例22
例6に従って生成された複合粒子(30g)を、1リットルのHDPE製のThermo Scientific(商標)Nalgene(商標)ビンに加えた。ヘキサメチルジシラザン(合計で3.3g)を商業的に入手可能なスプレービンを用いて、数回の添加で、粉末に適用した。このビンは、処理剤と粒子の混合を確実にし、ならびにいずれかの累積した圧力を解放するために、密閉し、そしてそれぞれの添加の間に振とうした。このビンとその内容物を密閉し、次いで2本ロールミル上で、約4時間撹拌した。HMDZの複合粒子との反応は、発熱の存在、およびシラザン化合物をスプレーする時の圧力の増加によって確かめられた。反応の後に、このビンの内容物をパイレックスの結晶化用皿に移し、そして真空で150℃で、窒素パージしながら、2時間乾燥させた。結果として得られたオフホワイトの粉末を、真空下で、窒素のパージをしながら、一晩冷却せしめた。
ここに引用されている全ての参照文献は、刊行物、特許出願、および特許を含めて、それぞれの参照文献が、個々に、そして具体的に参照することによって本明細書の内容とすると示され、そしてその全体についてここに説明されていたのと同様に、参照することによって本明細書の内容とする。
用語「a」および「an」および「the」および「at least one」および本発明を記述する文脈(特には、添付の特許請求の範囲における文脈)における同様の指示物は、特に断りのない限り、単数および複数の両方を包含すると理解されなければならない。用語「at least one」とそれに続く1つもしくは2つ以上の品目の列挙の使用(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)は、特に断りのない限り、列挙された品目(AまたはB)から選ばれた1つあるいは列挙された品目(AおよびB)の2つもしくは3つ以上のいずれかの組み合わせを意味すると理解されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、解放型の用語(すなわち、「〜を含むが、しかしながらそれらには限定されない」)であると理解されなければならない。本明細書における範囲の記載は、特に断りのない限り、その範囲に包含されるそれぞれの個々の値を独立して表す省略法としての役割を単に意図されており、そしてそれぞれの個々の値は、それが独立して本明細書中に記載されているように、本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載された全ての方法は、特に断りのない限り、あるいは文脈から明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で実施することができる。いずれかの、および全ての例、または例示的な述語(例えば、「例えば」)の使用は、本発明の理解をよりよくすることを単に意図しており、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書中のいずれの述語も、特許請求されていないいずれかの要素が、本発明の実施に必須であることを意味していると理解されてはならない。
本発明の好ましい態様が、本発明者らによって知られている本発明の実施のためのベストモードを含めて、本明細書に記載されている。それらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読むことによって、当業者には明らかとなるはずである。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて用いるであろうことを想定しており、そして本発明者らは、本明細書中に具体的に記載されたのとは別のように実施されることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法によって許されるように、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正および等価物を包含している。更には、上記の要素のその全ての可能性のある変形におけるいずれかの組み合わせは、特に断りのない限り、あるいは文脈によって明確に否定されないかぎり、本発明に包含される。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子。
(2)前記芯粒子が有機材料を含む、(1)記載の複合粒子。
(3)前記有機材料が、天然ワックスおよび合成ワックスから選択される、(1)記載の複合粒子。
(4)前記有機材料が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステル−スチレン、ポリエステル−アクリル、スチレン−アクリル樹脂、およびアクリル樹脂から選択される、(1)記載の複合粒子。
(5)前記有機材料が、重合されたエチレン性不飽和モノマーを更に含む、(2)記載の複合粒子。
(6)前記重合されたエチレン性不飽和モノマーが、スチレンまたはメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである、(5)記載の複合粒子。
(7)前記有機シリカ粒子が、有機シラン化合物の反応によって誘導される、(1)記載の複合粒子。
(8)前記有機シラン化合物が、式:R 1 SiR 2 3 を有し、式中R 1 は、C 1 〜C 4 アルキル、C 2 〜C 4 アルケニル、またはC 2 〜C 4 アルキニルであり、かつR 2 は、アルコキシ、クロロ、ブロモまたはヨードである、(7)記載の複合粒子。
(9)前記有機シラン化合物が、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、およびトリメトキシプロピルシランから選択される、(8)記載の複合粒子。
(10)前記複合粒子が、1.1〜2.0の真円度Rを有し、該真円度が、式:R=P 2 /(4πS)によって定められ、式中Pは、該粒子の断面の周長であり、そしてSは、該粒子の断面積である、(1)記載の複合粒子。
(11)前記複合粒子が、1.2〜1.6の真円度Rを有する、(10)記載の複合粒子。
(12)(1)記載の複合粒子と混合されているトナー粒子を含むトナー組成物。
(13)(1)記載の複合粒子を含む、構造用接着剤。
(14)(1)記載の複合粒子を含む、感圧接着剤。
(15)(1)記載の複合粒子を含む、コーティング組成物。
(16)(1)記載の複合粒子を含む、熱硬化性ポリマー。
(17)(1)記載の複合粒子を含む、熱可塑性ポリマー。
(18)以下の工程、
(a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有している、
(b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R 1 SiR 2 3 を有しており、式中R 1 は、C 1 〜C 4 アルキル、C 2 〜C 4 アルケニルもしくはC 2 〜C 4 アルキニル、かつR 2 は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、
(c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程、
を含んでなる、複合粒子の調製方法。
(19)前記準備することが、ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤の水性分散液のpHを8以上のpHに調整することを含む、(18)記載の方法。
(20)前記準備することが、ポリマー粒子の水性分散液を、エチレン性不飽和モノマーと混合し、該モノマーを該ポリマー粒子中に移動せしめ、かつ該モノマーを重合することを含む、(18)または(19)記載の方法。
(21)前記準備することが、ポリマーを溶媒に溶解させること、水を加えて水中油エマルジョンを形成すること、および該溶媒を該エマルジョンから留去してポリマー粒子の水性分散液を形成させること、を含む、(18)または(19)記載の方法。
(22)前記溶解させることが、前記ポリマーおよびエチレン性不飽和モノマーを前記溶媒に溶解させることを含む、(21)記載の方法。
(23)前記溶解させることが、前記ポリマーおよび前記表面剤を、前記溶媒に溶解させることを含む、(21)または(22)記載の方法。
(24)前記溶媒を留去した後に、前記表面剤を前記水性分散液に加えることを更に含む、(21)記載の方法。
(25)前記留去の後に、エチレン性不飽和モノマーを前記エマルジョンに加えること、該モノマーを前記ポリマー粒子中に移動せしめること、および該モノマーを重合させること、を更に含む(21)、(23)または(24)記載の方法。
(26)前記表面剤を重合させることを更に含む、(23)または(24)記載の方法。
(27)前記表面剤が、ポリエチレングリコール系ポリマー、第四級アミン系有機化合物、ポリビニルピロリドン系もしくはポリピロリドン系界面活性剤、またはスルフェートアニオン成分を有するアニオン性界面活性剤を含む、(18)記載の方法。
(28)前記表面剤が、SiH 3−x R 3 x R 4 Qを含み、式中xは1、2もしくは3、R 4 は、アルコキシ、クロロ、ブロモもしくはヨード、R4はC 3 〜C 22 分岐もしくは非分岐アルキレンまたはアルケニレンまたは芳香族基であり、随意選択的にエーテル、エステルもしくはアミン結合を含んでおり、かつQは、H、Cl、Br、F、ヒドロキシル、カルボン酸、エポキシ、アミン、または置換もしくは非置換ビニル、アクリレート、またはメタクリレートである、(18)記載の方法。
(29)前記表面剤が、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである、(18)記載の方法。
(30)前記複合粒子の水性分散液を精製する工程(d)を更に含む、(18)記載の方法。
(31)前記精製する工程が、前記複合粒子の水性分散液をダイヤフィルトレーション処理することを含む、(18)記載の方法。
(32)前記複合粒子を疎水化剤で処理する工程(e)を更に含む、(18)記載の方法。
(33)前記疎水化剤が、非官能化シリコーン流体または官能化シリコーン流体を含む、(32)記載の方法。
(34)前記疎水化剤が、式:R 4−n SiX n の化合物であり、式中nは、1〜3の整数、それぞれのRは、独立して水素、C 1 〜C 8 アルキル基、C 3 〜C 8 ハロアルキル基、およびC 6 〜C 14 アリール基から選択され、かつそれぞれのXは、独立してC 1 〜C 16 アルコキシ基またはハロである、(32)記載の方法。
(35)前記疎水化剤が、シラザンである、(32)記載の方法。
(36)前記疎水化剤が、式:An−Z c −Y b −Ar(EW) a の電荷変性剤を含み、式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、かつcは0もしくは1である、(32)記載の方法。
(37)いずれかの工程の前記水性分散液が、エチレン性不飽和モノマーを含む、(18)記載の方法。
(38)前記方法が、前記エチレン性不飽和モノマーを架橋させて、前記ポリマー粒子を架橋させる工程を更に含む、(37)記載の方法。
(39)前記方法が、前記水性分散液を乾燥させる工程(f)を更に含む、(18)記載の方法。
(40)前記芯粒子内部に配置された金属粒子または金属酸化物粒子を更に含む、(1)記載の複合粒子。
(41)前記金属粒子または金属酸化物粒子が、疎水化剤で表面処理されている、(40)記載の方法。