JP6180560B2 - ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する難燃性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Description
従来、かかるポリマーアロイにおける難燃化はブロムを有するハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモン等の難燃助剤の併用が一般的に用いられてきた。例えば5VB難燃化に関しては、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのブレンドに難燃剤、難燃助剤を添加し、更にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンおよびタルクなどの特定のL/Dを有する無機充填材を添加する方法などが提案されている(特許文献1参照)。
芳香族ポリカーボネート樹脂に、ポリカーボネート−オルガノポリシロキサン共重合樹脂を配合することによる難燃性の改良処方は、特許文献3に開示されているが、難燃剤を全く含有しないポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性、長期耐熱性等に優れるものの、OA機器をはじめとする大型機器に要求される薄肉でのUL94 5V規格を満足するほどの難燃性を達成するには不十分であった。また、特定量のケイ素を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂とポリカーボネート−オルガノポリシロキサン共重合樹脂に対してリン酸エステルを配合することによる難燃性改良処方が特許文献4に開示されているが、少量のリン酸エステルでかつケイ酸塩鉱物が添加されていないため、薄肉においてUL94 5V規格を達成するには至らない。さらに有機スルホン酸金属塩を配合することによる難燃性の改良処方についても、特許文献5に開示されているが、これらも一定の難燃効果の向上は見られるものの、OA機器をはじめとする大型機器に要求される薄肉でのUL94 5V規格を満足するほどの難燃性を達成するには不十分であった。他にも、ポリカーボネート樹脂とポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂とスチレン系樹脂に対して、官能基含有シリコーン化合物と無機充填材を配合することによるノンハロ・ノンリンでの難燃効果が開示されている(特許文献6参照)が、シリコーン系難燃剤では、耐熱性を維持したまま、難燃性を付与できるものの、薄肉での5VBといった高難燃性を満足するには不十分である。
かかるように、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の配合により一定の難燃性を有する樹脂組成物は開示されているものの、薄肉においてUL94 5Vを達成するような高いレベルの難燃性を有する樹脂組成物が求められているが得られていないのが現状である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.9モル%、さらに好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明のガラス強化樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×104〜5×104であり、より好ましくは1.4×104〜3×104、さらに好ましくは1.4×104〜2.4×104である。
粘度平均分子量が1×104未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A−1−1成分)は前記A−1−1−1成分とA−1−1−2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、A−1−1成分100重量%中、A−1−1−1成分が2〜40重量%の場合であり、より好ましくはA−1−1−1成分が3〜30重量%であり、さらに好ましくはA−1−1−1成分が4〜20重量%であり、特に好ましくはA−1−1−1成分が5〜20重量%である。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂とは下記一般式[1]で表される二価フェノールおよび下記一般式〔3〕で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを共重合させることにより調製される共重合樹脂である。
二価フェノール(I)からのクロロホルメート化合物を生成するにあたり、本発明の製造方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にクロロホルメート化合物としてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
クロロホルメート形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、好適なクロロホルメート形成性化合物であるホスゲンを使用する場合、ガス化したホスゲンを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、二価フェノール(I)のクロロホルメート化合物の形成に使用する二価フェノール(I)1モルあたり(通常1モルは2当量に相当)、2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
水に不溶性の有機溶媒のモル比は二価フェノール(I)1モルあたり、好ましくは8モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは12モル以上、特に好ましくは14モル以上である。上限は特に制限されないが、装置の大きさやコストの面から50モル以下で充分である。二価フェノール(I)に対する有機溶媒のモル比をかかる範囲内とすることにより、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズおよび規格化分散を、より適正値に制御しやすくなる。
クロロホルメート化合物の生成反応におけるpH範囲は、公知の界面反応条件が利用でき、pHは通常10以上に調製される。
かかる分岐化ポリカーボネート共重合体の製造方法は、クロロホルメート化合物の生成反応時にその混合溶液中に分岐化剤が含まれる方法であっても、該生成反応終了後の界面重縮合反応時に分岐化剤が添加される方法であってもよい。分岐化剤由来のカーボネート構成単位の割合は、該共重合体を構成するカーボネート構成単位全量中、好ましくは0.005〜1.5モル%、より好ましくは0.01〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。なお、かかる分岐構造量については1H−NMR測定により算出することが可能である。
場合により、得られたポリカーボネート共重合体に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート共重合体として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
本発明の樹脂組成物中のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂由来のポリジオルガノシロキサン含有量は0.2〜0.45重量%であり、好ましくは0.25〜0.45重量%、より好ましくは0.3〜0.45重量%、さらに好ましくは0.35〜0.45重量%である。0.2重量%未満では十分な難燃性が発現せず、0.6重量%を超えた場合も難燃性を発現しない。なお、組成物中のポリジオルガノシロキサン含有量はポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(PC−PDMS共重合樹脂)に含まれるPDMS量より下記式により算出した。
組成物中のPDMS量(重量%)={(PC−PDMS共重合樹脂中のPDMS量)/(組成物全体の重量)}×100
本発明の難燃性樹脂組成物はC成分としてスチレン系樹脂を含有する。このスチレン系樹脂は良好な成形加工性と、適度な耐熱性および難燃性を有しているため、これら特性のバランスを保つために好ましい熱可塑性樹脂である。
かかるスチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体、またこれと必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上を共重合して得られる重合体である。
芳香族ビニル化合物としては、特にスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。特に好適なシアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが挙げられ、特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげられる。
これらの中でも、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)が好ましい。また、スチレン系重合体を2種以上混合して使用することも可能である。
還元粘度(ηsp/C)={(t/t0)−1}/0.5
還元粘度が0.2dl/gより小さいと衝撃が低下し、1.0dl/gを越えると流動性が悪くなる。
またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラフトされないシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含有することは従来からよく知られているところであり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の際に発生するフリーの重合体成分を含有するものであってもよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる共重合体の還元粘度は、先に記載の方法で求めた還元粘度(30℃)が好ましくは0.2〜1.0dl/g、より好ましくは0.3〜0.7dl/gであるものである。
またグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対して、グラフト率(重量%)で表して20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜70%のものである。
スチレン系樹脂の含有量はA成分とB成分との合計100重量部に対して、3〜45重量部であり、4〜42.5重量部が好ましく、5〜40重量部がより好ましい。含有量が3重量部未満の場合、十分な流動性が得られず、45重量部を超えた場合、難燃性が維持できない。
本発明のリン系難燃剤としては、ホスフェート化合物、特にアリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は難燃性の向上に効果的であり、かつホスフェート化合物は可塑化効果があるため、耐熱性の低下はあるものの、本発明の樹脂組成物の成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式(I)で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
上記式(I)のホスフェート化合物は、異なるn数を有する化合物の混合物であってもよく、かかる混合物の場合、平均のn数は好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.95〜1.15、特に好ましくは1〜1.14の範囲である。
上記式(I)のR4、R5、R6、およびR7を誘導する一価フェノールの好適な具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、2,6−ジメチルフェノールで、中でも好ましくはフェノール、および2,6−ジメチルフェノールである。
上記式(I)のホスフェート化合物の具体例としては、トリフェニルホスフェートおよびトリ(2,6−キシリル)ホスフェートなどのモノホスフェート化合物、並びにレゾルシノールビスジ(2,6−キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4−ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好適で、中でもレゾルシノールビスジ(2,6−キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4−ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好ましい。
本発明のE成分として使用されるケイ酸塩鉱物は、少なくとも金属酸化物成分とSiO2成分とからなる鉱物であり、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、および鎖状シリケートなどが好適である。E成分のケイ酸塩鉱物は結晶状態を取るものであり、また結晶の形状も繊維状や板状などの各種の形状を取ることができる。
E成分のケイ酸塩鉱物は複合酸化物、酸素酸塩(イオン格子からなる)、固溶体のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組合せ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組合せのいずれであってもよく、更に固溶体においても2種以上の金属酸化物の固溶体、および2種以上の酸素酸塩の固溶体のいずれであってもよい。
E成分のケイ酸塩鉱物は、水和物であってもよい。水和物における結晶水の形態はSi−OHとして水素珪酸イオンとして入るもの、金属陽イオンに対して水酸イオン(OH−)としてイオン的に入るもの、および構造の隙間にH2O分子として入るもののいずれの形態であってもよい。
各金属酸化物成分(MO)におけるケイ酸塩鉱物の具体例としては以下のものが挙げられる。ここでカッコ内の表記はかかるケイ酸塩鉱物を主成分とする鉱物等の名称であり、例示された金属塩としてカッコ内の化合物が使用できることを意味する。
Na2Oをその成分に含むものとしては、Na2O・SiO2、およびその水化物、Na2O・2SiO2、2Na2O・SiO2、Na2O・4SiO2、Na2O・3SiO2・3H2O、Na2O・Al2O3・2SiO2、Na2O・Al2O3・4SiO2(ヒスイ輝石)、2Na2O・3CaO・5SiO2、3Na2O・2CaO・5SiO2、およびNa2O・Al2O3・6SiO2(曹長石)などが挙げられる。
Li2Oをその成分に含むものとしては、Li2O・SiO2、2Li2O・SiO2、Li2O・SiO2・H2O、3Li2O・2SiO2、Li2O・Al2O3・4SiO2(ペタライト)、Li2O・Al2O3・2SiO2(ユークリプタイト)、およびLi2O・Al2O3・4SiO2(スポジュメン)などが挙げられる。
BaOをその成分に含むものとしては、BaO・SiO2、2BaO・SiO2、BaO・Al2O3・2SiO2(セルシアン)、およびBaO・TiO2・3SiO2(ベントアイト)などが挙げられる。
またその他のCaOをその成分に含むケイ酸塩鉱物として高炉スラグやフェライトなどを挙げることができる。
ZnOをその成分に含むものとしては、ZnO・SiO2、2ZnO・SiO2(トロースタイト)、および4ZnO・2SiO2・H2O(異極鉱)などが挙げられる。
MnOをその成分に含むものとしては、MnO・SiO2、2MnO・SiO2、CaO・4MnO・5SiO2(ロードナイト)およびコーズライトなどが挙げられる。
CoOをその成分に含むものとしては、CoO・SiO2および2CoO・SiO2などが挙げられる。
MgOをその成分に含むものとしては、MgO・SiO2(ステアタイト、エンスタタイト)、2MgO・SiO2(フォルステライト)、3MgO・Al2O3・3SiO2(バイロープ)、2MgO・2Al2O3・5SiO2(コーディエライト)、2MgO・3SiO2・5H2O、3MgO・4SiO2・H2O(タルク)、5MgO・8SiO2・9H2O(アタパルジャイト)、4MgO・6SiO2・7H2O(セピオライト)、3MgO・2SiO2・2H2O(クリソライト)、5MgO・2CaO・8SiO2・H2O(透セン石)、5MgO・Al2O3・3SiO2・4H2O(緑泥石)、K2O・6MgO・Al2O3・6SiO2・2H2O(フロゴバイト)、Na2O・3MgO・3Al2O3・8SiO2・H2O(ランセン石)、並びにマグネシウム電気石、直セン石、カミントンセン石、バーミキュライト、スメクタイトなどが挙げられる。
Fe2O3をその成分に含むものとしては、Fe2O3・SiO2などが挙げられる。
Al2O3をその成分に含むものとしては、Al2O3・SiO2(シリマナイト、アンダリューサイト、カイアナイト)、2Al2O3・SiO2、Al2O3・3SiO2、3Al2O3・2SiO2(ムライト)、Al2O3・2SiO2・2H2O(カオリナイト)、Al2O3・4SiO2・H2O(パイロフィライト)、Al2O3・4SiO2・H2O(ベントナイト)、K2O・3Na2O・4Al2O3・8SiO2(カスミ石)、K2O・3Al2O3・6SiO2・2H2O(マスコバイト、セリサイト)、K2O・6MgO・Al2O3・6SiO2・2H2O(フロゴバイト)、並びに各種のゼオライト、フッ素金雲母、および黒雲母などを挙げることができる。
上記ケイ酸塩鉱物の中でも特に好適であるのは、マイカ、タルク、およびワラストナイトである。
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜15μm(より好ましくは0.2〜12μm、更に好ましくは0.3〜10μm、特に好ましくは0.5〜5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm3)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しく好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
ワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
珪酸塩鉱物(より好適には、マイカ、タルク、ワラストナイト)は、表面処理されていないことが好ましいが、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
E成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、0.1〜30重量部であり、好ましくは0.15〜25重量部、より好ましくは0.2〜20重量部である。D成分の含有量が0.1重量部未満では十分な難燃性が得られず、30重量部を超えた場合、耐衝撃性が大幅に失われ、シルバーなどの外観不良が生じる。
本発明の樹脂組成物は、ドリップ防止剤(F成分)を含有する。このドリップ防止剤の含有により、成形品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。
F成分のドリップ防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン工業(株)のポリフロンMPA FA500およびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1およびD−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
ドリップ防止剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.15〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部である。ドリップ防止剤が上記範囲を超えて少なすぎる場合には難燃性が不十分となる。一方、ドリップ防止剤が上記範囲を超えて多すぎる場合にはPTFEが成形品表面に析出し外観不良となるばかりでなく、樹脂組成物のコストアップに繋がり好ましくない。
本発明のポリテトラフルオロエチレン系混合体の製造工程には、開始剤の存在下でスチレン系単量体及びアクリル単量体からなるグループより選ばれた1つ以上の単量体を含むコーティング層を分岐状ポリテトラフルオロエチレンの外部に形成するステップが含まれる。さらに、前記コーティング層形成のステップ後に残存水分含量を0.5重量%以下、好ましくは0.2〜0.4重量%、より好ましくは0.1〜0.3重量%となるように乾燥させるステップを含むことが好ましい。乾燥のステップは、例えば、熱風乾燥又は真空乾燥方法のような当業界に公知にされた方法を用いて行うことができる。
本発明のポリテトラフルオロエチレン系混合体は、懸濁重合法により下記の手順にて製造を行った。
被覆分岐PTFEは分岐状ポリテトラフルオロエチレン粒子および有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体であり、分岐状ポリテトラフルオロエチレンの外部に有機系重合体、好ましくはスチレン系単量体由来単位及び/又はアクリル系単量体由来単位を含む重合体からなるコーティング層を有する。前記コーティング層は、分岐状ポリテトラフルオロエチレンの表面上に形成される。また、前記コーティング層はスチレン系単量体及びアクリル系単量体の共重合体を含むことが好ましい。
(i)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でも、ホスホナイト化合物もしくは下記一般式(II)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
上記の如く、ホスホナイト化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、更に離型剤を配合することが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は透明性に優れることから光を透過させる用途において極めて好適である。
シアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性に優れることから光を透過させる用途において極めて好適である。したがって例えば蛍光増白剤を配合することにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に更に高い光透過性や自然な透明感を付与すること、並びに蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。また極微量の染顔料による微妙な着色のなされ、かつ高い透明性を有するポリカーボネート樹脂組成物もまた提供可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲において、強化フィラーとしてE成分以外の各種充填材を配合することができる。例えば、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、グラファイト、気相成長法極細炭素繊維(繊維径が0.1μm未満)、カーボンナノチューブ(繊維径が0.1μm未満であり、中空状)、フラーレン、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、金属酸化物粒子、金属酸化物繊維、金属酸化物バルーン、並びに各種ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムなど)などが例示される。これらの強化フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
本発明の樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。
(x)その他の添加剤
その他、本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。
かかる添加剤としては、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤(例えばカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(例えばアクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、およびフォトクロミック剤などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜F成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
また、あらかじめ本発明の高濃度のF成分を含有するようA成分とF成分とを溶融混練機で溶融混練し、ペレット化したマスターペレットを製造し、かかるマスターペレットを残りのA成分およびその他の添加剤と混合し溶融混練機でペレット化する方法が挙げられる。
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
本発明の樹脂組成物が利用される成形品の具体的としては、OA機器や家電製品の内部部品やハウジングなどへの応用に好適なものである。これらの製品としては例えば、パソコン、ノートパソコン、CRTディスプレー、プリンター、携帯端末、携帯電話、コピー機、ファックス、記録媒体(CD、CD−ROM、DVD、PD、FDDなど)ドライブ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどを挙げることができ、これらの筐体などの各種部品に本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物から形成された樹脂製品を使用することができる。またその他の樹脂製品としては、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーステレオ部品などの車両用部品を挙げることができる。
(i)組成物中のポリジオルガノシロキサン(PDMS)量
組成物中のPDMS量は添加したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(PC−PDMS共重合樹脂)に含まれるPDMS量より算出した。
(組成物中のPDMS量)={(PC−PDMS共重合樹脂中のPDMS量)×100}/(組成物全体の重量)
(ii)難燃性
UL94規格に従い、厚み0.8mm、1.0mmおよび1.2mmで5V燃焼試験を実施した。なお、難燃性のランクは、5VBクラスに合格することが好ましい。
(iii)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。
(iv)耐熱性
ISO 75−1および75−2に従い、荷重たわみ温度を測定した。なお、測定荷重は1.80MPaで実施した。
(v)流動性
流路厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラルフロー長を射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U]により測定した。なお、測定はシリンダー温度260℃、金型温度70℃、射出圧力98MPaで行った。
表1および表2に示す組成で、C成分のABS樹脂、D成分のFR−1を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物は次の(i)の予備混合物と他の成分とをV型ブレンダーで混合して得た。すなわち、(i)F成分(ドリップ防止剤)とA成分の芳香族ポリカーボネートとの混合物であってF成分がその2.5重量%となるようポリエチレン袋中で該袋全体を振り動かすことで均一に混合された混合物である。C成分のABS樹脂を含む場合は、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。更にD成分のFR−1を添加する場合は、80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第3供給口(第1供給口とベント排気口との間に位置)から、各々所定の割合になるよう押出機に供給した。液注装置は一定量を供給する設定とし、その他の原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで260℃で実施した。
得られたペレットの一部は、80〜90℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片(UL94、ISO179、ISO75−1及びISO75−2準拠)を成形した。
表1および表2中記号表記の各成分は下記の通りである。
PC:芳香族ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製 パンライトL−1225WX]
(B成分)
PC−PDMS−1:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度37)
PC−PDMS−2:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量8.4%、PDMS重合度37)
PC−PDMS−3:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度8)
PC−PDMS−4:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度150)
(C成分)
ABS−1:ABS樹脂[日本A&L(株)製 クララスチックSXH−330(商品名)、ブタジエンゴム成分約17.5重量%、重量平均ゴム粒子径が0.40μm、乳化重合にて製造、滑剤(EBS)を含まない]
ABS−2:ABS樹脂[日本A&L(株)製 クララスチックGA−704(商品名)、ブタジエンゴム成分約17.5重量%、重量平均ゴム粒子径が0.40μm、乳化重合にて製造、滑剤(EBS)を含む]
MBS:コア−シェル型グラフト共重合体[ロームアンドハース(株)製:パラロイド EXL−2678(商品名);コアがポリブタジエン60重量%、シェルがスチレンおよびメチルメタクリレート40重量%であるグラフト共重合体、重量平均粒子径が0.35μm、乳化重合にて製造]
(D成分)
FR−1:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル(大八化学工業(株)製:CR−741(商品名))
FR−2:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学工業(株)製 メガファックF−114P(商品名))
FR−3:Si−H基とメチル基およびフェニル基を含有する有機シロキサン系難燃剤(信越化学工業(株)製 X−40−2600J(商品名))
(E成分)
Talc−1:タルク(林化成(株)製;HST0.8(商品名)、平均粒径3.5μm)
Talc−2:タルク(IMI Fabi S.p.A.(株)製;HTP ultra 5c(商品名)、平均粒径0.5μm)
Talc−3:タルク(勝光山鉱業所(株)製;ビクトリライト SG−A(商品名)、平均粒径15.2μm)
WSN:ワラストナイト(NYCO社製:NYGLOS4)
MICA:マイカ(キンセイマテック(株)製:マイカパウダー MT−200B)
(F成分)
PTFE−1:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMP FA500B(商品名))
PTFE−2:SN3300B7(商品名)(Shine polymer社製、該ポリテトラフルオロエチレン系混合体は、懸濁重合にて製造された分岐状ポリテトラフルオロエチレン粒子とスチレン−アクリロニトリル共重合体粒子の混合物(ポリテトラフルオロエチレン含有量50重量%))
(その他の成分)
DC30M:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学(株)製;ダイヤカルナ30M(商品名))
SL900:脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン(株)製;リケマールSL900(商品名))
IRGX:フェノール系熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製;IRGANOX1076(商品名))
Claims (7)
- (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)および(B)下記一般式[1]で表される二価フェノールおよび下記一般式[3]で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを共重合させることにより得られるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)からなる樹脂成分100重量部に対して、(C)スチレン系樹脂(C成分)3〜45重量部、(D)リン系難燃剤(D成分)3〜35重量部、(E)ケイ酸塩鉱物(E成分)0.1〜30重量部、および(F)ドリップ防止剤(F成分)0.1〜3重量部を含有し、かつ組成物中のB成分由来のポリジオルガノシロキサン含有量が0.2〜0.45重量%である難燃性樹脂組成物(但し、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩を含むものを除く)。
- ケイ酸塩鉱物がタルクである請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- ドリップ防止剤が被覆分岐PTFEである請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
- UL94規格において1.2mmの厚みで5VBを達成することができる請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- UL94規格において1.0mmの厚みで5VBを達成することができる請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- UL94規格において0.8mmの厚みで5VBを達成することができる請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物から得られる成形品。
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