JP6179069B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、親水化剤として加水分解性基含有有機金属化合物を含み、かつ安定性、特にポットライフ(可使時間)の長い安定した水性塗料組成物に関する。
塗装用の塗料組成物として、有機溶剤系の塗料のほか、自然環境への配慮や塗装作業環境の改善の点から水を分散媒とする水性塗料が知られている。また、建材、特に屋根材、外壁などの建材の塗装という面からは、水性塗料組成物には汚染付着防止性が優れることが要求される。
汚染付着防止性を向上させる方法の1つとして、アルコキシシラン等のオルガノシリケート化合物に代表される加水分解性基含有有機金属化合物を親水化剤として配合し、形成される塗膜の表面で加水分解性基を加水分解して塗膜表面を親水性にすることが行われている。
親水化剤を配合する水性塗料組成物は、通常、バインダー樹脂としての合成樹脂を主とする水性塗料成分と、親水化剤を主とし、要すれば硬化剤や硬化促進剤を配合した親水化剤成分とからなる2液型の水性塗料として調製され、塗装直前に両方の塗料成分を混合して塗装される(特許文献1〜5)。ところで、均一な塗膜を形成するためには水性塗料成分と親水化剤成分とが均一に混合できること、さらに、塗装作業を余裕を持って行うためには混合後のポットライフ(可使時間)が長いことが要求される。
これら特許文献1〜5に記載の親水化剤を含む水性塗料において、オルガノシリケートなどの親水化剤の均一分散性が問題となっており、特に特許文献1、3および5では、親水化剤側にノニオン性乳化剤を配合しておくことにより分散性を高めている。また、特許文献2、3および4ではオルガノシリケートをノニオン変性することにより分散性やポットライフの延長効果を得ようとしている。
特開平11−343462号公報 特開2002−129111号公報 特開2002−129110号公報 特開2007−153930号公報 特開2008−013771号公報
本発明の目的は、親水化剤を含む水性塗料組成物、特にフッ素樹脂等の合成樹脂を塗料成分とする水性塗料組成物における親水化剤の分散性および塗料組成物のポットライフを向上させる別の方法を提供することにある。
本発明者らはかかる課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の酸価を有する合成樹脂を塗料成分として用い、しかも、塗料成分側にノニオン性乳化剤を追加的に配合することにより、親水化剤の分散性および塗料組成物のポットライフを向上させ得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(I)2.5〜20mgKOH/gの酸価を有する合成樹脂(A)とノニオン性乳化剤(B)とを含む水性塗料成分、および
(II)水分散性オルガノシリケート化合物(C)を含む親水化剤成分
を含み、
水性塗料成分(I)中のノニオン性乳化剤(B)の含有量が0.5〜5質量%/樹脂固形分であることを特徴とする2成分系水性塗料組成物に関する。
前記合成樹脂(A)が、フッ素−アクリル複合樹脂、フッ素樹脂またはアクリル樹脂であることが好ましい。
前記ノニオン性乳化剤(B)のHLB値が10〜20であることが好ましい。
前記水分散性オルガノシリケート化合物(C)が、ノニオン変性されたアルキル基を有することが好ましい。
本発明の水性塗料組成物によれば、親水化剤の分散性および塗料組成物のポットライフを向上させることができる。
本発明の水性塗料組成物は、水性塗料成分(I)と親水化剤成分(II)の2成分系で構成される。水性塗料成分(I)と親水化剤成分(II)とは、別個に存在する成分である。
水性塗料成分(I)は、2.5〜20mgKOH/gの酸価を有する合成樹脂(A)とノニオン性乳化剤(B)とを含む。
合成樹脂(A)としては、フッ素−アクリル複合樹脂、フッ素樹脂またはアクリル樹脂などの1種または2種以上があげられる。
フッ素樹脂としては、たとえばフルオロオレフィン単位を含む樹脂、含フッ素ウレタン樹脂、フッ素化アクリルシリコーン樹脂などがあげられる。これらのフッ素樹脂またはアクリル−フッ素複合樹脂は水溶性または水分散性であってもよい。水溶性または水分散性とするために、水酸基、カルボキシル基、−SOF、SOM(Mは水素原子、NH基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)などが導入されていることが好ましい。
さらには、フッ素樹脂またはアクリル−フッ素複合樹脂を中和し、水溶性を高めてもよい。中和に使用する中和剤としては、アンモニア;ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミンなどの有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などがあげられる。これらのうちアンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが入手の利便性、エマルションの安定性などの点で好ましく、特にアンモニアとトリエチルアミンが取り扱い性容易の点で有利である。
中和剤は、水溶液の形態で使用することが好ましいが、ガスまたは固形分の形態で使用してもよい。
具体的なフッ素樹脂としては、耐候性、溶剤溶解性、防汚性、透明性に優れる点からポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、VdF/TFE/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/TFE/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体(PFA)、エチレン(Et)/TFE共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフルオロオレフィン系ポリマー;TFEやCTFE、HFPなどのフルオロオレフィンと官能基含有モノマーを共重合した官能基含有フルオロオレフィン系ポリマーなどが好ましいが、これらに限定されるものではない。
また、フッ素−アクリル複合樹脂としては、少なくとも1種のフルオロオレフィン単位を含む含フッ素重合体粒子をシード粒子とし、アクリル酸エステル系又はメタクリル酸エステル系単量体を少なくとも1種類含むアクリル系単量体を用いて得られるフッ素シード重合体粒子などがあげられる。
含フッ素重合体粒子には、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体、たとえばエチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;ビニルエーテル系単量体、アリルエーテル系単量体、ビニルエステル系単量体などを共重合してもよい。シード粒子として特に好ましい含フッ素重合体は、耐候性、アクリル樹脂相溶性が良好な点からVdF単位を含む含フッ素共重合体であり、具体的には、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/HFP共重合体などが挙げられる。
合成樹脂として、さらにアクリル樹脂も有用である。アクリル樹脂も酸価が2.5〜20mgKOH/gである必要がある。
本発明で用いる合成樹脂は酸価が2.5〜20mgKOH/gである必要がある。酸価が、2.5mgKOH/gよりも小さいとポットライフ、造膜性に劣り、一方、20mgKOH/gより大きくなると耐水性、貯蔵安定性に劣り、いずれも本発明の効果が奏されない。好ましい酸価の下限は、安定性が良好な点から5mgKOH/g、さらにはポットライフが良好な点から8mgKOH/gである。好ましい上限は、耐水性が良好な点から15mgKOH/g、さらには貯蔵安定性が良好な点から12mgKOH/gである。
合成樹脂の酸価を2.5〜20mgKOH/gに調整する方法としては、たとえば導入するカルボキシル基の量を調整すればよい。
本発明において塗膜形成用の樹脂として、酸価が2.5〜20mgKOH/gの合成樹脂と共に、酸価が上記範囲外の他の樹脂を併用してもよい。併用可能な他の樹脂としては、たとえばウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂などがあげられる。なかでも耐久性、耐候性、透明性、相溶性が良好な点から、アクリルシリコーン樹脂などが好ましい。
本発明において、水性塗料成分(I)には、ノニオン性乳化剤が0.5〜5質量%/樹脂固形分含まれていることも重要な特徴である。
水性塗料成分(I)中のノニオン性乳化剤の濃度が0.5質量%/樹脂固形分よりも小さくなると目的とする安定性や相溶性が得られず、本発明の効果が奏されない。好ましい下限は、安定性や相溶性が良好な点から0.7質量%/樹脂固形分である。上限は、耐候性が良好な点から5質量%/樹脂固形分、好ましくは耐水性が良好な点から2質量%/樹脂固形分である。
使用するノニオン性乳化剤としては、非芳香族系でかつ非反応性のノニオン性乳化剤が好ましく、たとえばエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド・ブロック共重合体、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル系乳化剤などがあげられる。これらのうち、分散安定性が良好な点からポリオキシアルキレンアルキルエーテル系乳化剤が好ましい。
本発明において用いるノニオン性乳化剤は、オルガノシリケート化合物としてアルキレンオキサイド変性オルガノシリケート化合物を用いる場合、オルガノシリケート化合物を変性しているアルキレンオキサイド鎖と構造が似ている方がより好ましいことから、ポリオキシエチレン鎖を含み、さらにポリプロピレンオキサイド鎖、ポリブチレンオキサイド鎖を含んでいてもよい。
市販品としては、たとえばエマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:15.3)、エマルゲン123P(ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、HLB:16.9)、エマルゲンLS114(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、HLB:14)、エマルゲンLS106(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、HLB:12.5)、エマルゲンLS110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、HLB:13.4)(いずれも第一工業製薬(株)製);ノイゲンXL−70(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、HLB:13.2)、ノイゲンXL−140(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、HLB:15.9)、ノイゲンXL−400(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、HLB:18.4)、ノイゲンTDS−70(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:12.1)、ノイゲンTDS−120(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:14.8)、ノイゲンTDS−500F(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、HLB:18.3)(いずれも第一工業製薬(株)製)などがあげられる。
ノニオン性乳化剤のHLB値は、相溶性が良好な点から、10〜20であることが好ましく、特に12〜19であることが好ましい。
また、水性塗料成分(I)中のノニオン性乳化剤の濃度が0.5〜5質量%/樹脂固形分である限りは、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、リン酸エステル塩、パーフルオロアルキル脂肪酸塩などのアニオン性乳化剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン−無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子化合物の保護コロイドなどが共存していてもよい。
水性塗料成分(I)中の、上記ノニオン性乳化剤以外の乳化剤としては、特に芳香族アニオン性乳化剤と非芳香族ノニオン性乳化剤が含まれていることが好ましい。
水性塗料成分(I)中のフッ素樹脂の濃度は、用途などによっても異なるが、通常、20〜80質量%の範囲から選択すればよい。
本発明の水性塗料組成物のもう1つの成分である親水化剤成分(II)は、オルガノシリケート化合物(C)を含んでいる。親水化剤としてのオルガノシリケート化合物としては、特許文献1〜5などに記載の化合物のほか、国際公開第94/06870号パンフレットに記載されている化合物が本発明においても使用でき、加水分解性基が加水分解することにより親水性基となり、塗膜表面を親水化することによって汚染付着防止効果が奏される。
オルガノシリケート化合物としては、たとえば式(II):Si(OR)(式中、Rは水素原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の有機基、たとえば直鎖または分岐鎖状のアルキル基、単環でも多環でもよいアリール基など)で示される4官能オルガノシリケート化合物、またはその縮合物;または式(II)の4官能オルガノシリケート化合物またはその縮合物の少なくとも1つのOR基がノニオン性基、たとえばポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖を必ず含む)を含む有機基で置換されたノニオン変性アルキル基を有するオルガノシリケート化合物;たとえばテトラジエトキシシラン、テトラトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラジプロポキシシラン、ジポリエトキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリブトキシシランなどがあげられる。なお、親水化能を有する限り、官能基数が1〜3のオルガノシリケート化合物であってもよい。
式(II)で示される4官能オルガノシリケート化合物としては、たとえばテトラヒドロキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランなど;およびこれらの縮合物が例示できる。
オルガノシリケート化合物(C)としては、ノニオン変性されたアルキル基を有するものが特に好ましい。
ノニオン変性オルガノシリケート化合物としては、たとえば少なくとも1つの加水分解性基がアルキレンオキサイド鎖、たとえばエチレンオキサイド鎖を含む、変性されたオルガノシリケート化合物が好ましく挙げられる。なお、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖を含んでいてもよい。
なかでも、貯蔵安定性が良好な点から、アルキレンオキサイド変性オルガノシリケート、エチレンオキサイド変性オルガノシリケートが好ましい。
親水化剤成分(II)には必ずしもノニオン性乳化剤を配合する必要はないが、水性塗料成分(I)との均一分散性をさらに高めるなどのために、配合してもよい。配合するノニオン性乳化剤は水性塗料成分(I)に配合するものと同じでも異なっていてもよい。
親水化剤成分(II)は、水性塗料成分(I)のフッ素樹脂100質量部に対して、通常、1〜40質量部用いることが好ましく、5〜20質量部用いることがより好ましい。
本発明の水性塗料組成物においては、水性塗料成分(I)と親水化剤成分(II)とが別個に存在している。水性塗料成分(I)と親水化剤成分(II)とを塗装直前に混合し、均一な組成物としたのち塗装される。本発明の水性塗料組成物は、水性塗料成分(I)に特定の酸価を有するフッ素樹脂を用い、しかも、ノニオン性乳化剤を特定量配合したことにより、親水化剤であるオルガノシリケート化合物を均一に分散混合できると同時に、オルガノシリケート化合物の加水分解を適切にコントロールすることができるので、混合してから塗装可能な時間(ポットライフ)を大幅に長くすることができる。
これまでも親水化剤成分(II)の合成時に非芳香族ノニオン性乳化剤をオルガノシリケートに予め混合し、分散性を向上させるものはあったが、オルガノシリケート100質量部に対して100質量部前後も用いられており、50質量部前後しか用いない場合には、追加でアルコール成分などを50質量部(対オルガノシリケート100質量部)用いる必要があった。今回、水性塗料成分(I)にノニオン性乳化剤、特に芳香族アニオン性乳化剤と非芳香族ノニオン性乳化剤を併用することにより、従来より少ない量のノニオン性乳化剤(1〜12質量部/親水化剤100質量部)で効果的な化学的安定性と親水化剤の分散性が得られる。
本発明においては、通常、硬化剤は使用しない。したがって、硬化剤として使用されているヒドラジド化合物などは添加しない。ただ、親水化剤としてのオルガノシリケート化合物の加水分解を促進する触媒、たとえばブチル錫トリオクトエート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、金属アルコキシド類、ルイス酸、有機または無機プロトン酸などは添加してもよい。
本発明の水性塗料組成物には、通常の塗料添加物を配合してもよい。たとえば、顔料入りの水性塗料組成物を調製する場合は、水性塗料成分(I)に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタンなどの顔料、消泡剤、増粘剤、顔料分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と造膜補助剤の所定量を撹拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない水性塗料組成物を調製する場合は、水性塗料成分(I)に、必要に応じ、水、造膜補助剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で撹拌混合すればよい。
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することもできる。
本発明の水性塗料組成物を適用する基材としては特に限定されず、溶融めっき鋼板、ステンレススチール板、アルミニウム鋼板、などの金属系基材;スレート、窯業系サイジング材、発泡コンクリート、ガラスなどのセラミック系基材;塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルムなどのプラスチック基材に適用できる。溶融めっき鋼板としては、たとえば溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板などがあげられる。
本発明の水性塗料組成物を各種の基材に塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。たとえば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装などの塗装方法が採用できる。
塗装後の乾燥方法は特に制限されず、周囲温度での自然乾燥でもよいし、乾燥時間を掛けての低温(5〜60℃)での乾燥でも、短時間での高温(60℃以上)での乾燥でもよい。
塗料組成物としては、耐候性塗料組成物、特に建築・建材用の耐候性塗料組成物、自動車の内・外装用塗料組成物、電気製品の内・外装塗料用組成物、事務機器あるいは厨房器具類の塗料組成物などが例示でき、特に耐候性・耐久性が良好な点から建材用の耐候性塗料組成物に有利に適用できる。
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(水性塗料成分(I)の調製)
VdF系重合体シード粒子としてVdF/TFE/CTFE共重合体(=72.1/14.9/13(モル%))(VTC)の粒子の水性分散液(固形分濃度45.5質量%)131gを攪拌翼、冷却管、温度計を備えた0.5L容のガラス製セパラブル4つ口フラスコに仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤としてニューコール707SF(日本乳化剤(株)製)を13.1gおよび水を84g添加した。攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、メチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)とRUVA93(大塚化学(株)製)の77.6g/44.39g/2.4g/1.1gのアクリル系重合体用の混合単量体溶液を調製し、これと、過硫酸アンモニウム(APS)の1%水溶液16gを2時間かけて上記フラスコ中に滴下し、シード重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、400メッシュの金網で濾過して青白色のアクリル−フッ素複合重合体粒子(平均粒子径210nm)の水性分散体369.6gを製造した。得られたアクリル−フッ素複合重合体のフッ素含有量は40質量%であり、酸価は10mgKOH/gであった。また、得られたアクリル−フッ素複合重合体水性分散体における樹脂固形分は、50質量%であった。
ついでノニオン性乳化剤としてエマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:15.3。50%水溶液)3.7gを加えて充分に混合して水性塗料成分(I)を調製した。
(水性塗料成分(I)と親水化剤成分(II)との混合)
上記で調製した水性塗料成分(I)100g(樹脂含有量50質量%のエマルション)に親水化剤成分(II)としてノニオン変性オルガノシリケート(エチレンオキサイド変性オルガノシリケート)8gを攪拌棒で均一になるまで攪拌混合し、得られた混合液の状態を次の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)外観
混合時点、混合1時間後、混合3時間後、混合16時間後および混合40時間後に、目視で液の状態を観察する。保管は、20℃、湿度65%RHで行う。
A:異常なし
B:異物(粒)が発生する
C:ゲル化する
(2)粘度
JIS K5600−2−2に準拠して60rpmで測定する。
実施例2〜3
アクリル系重合体用のアクリル系単量体混合物として、アクリル酸(AA)の共重合割合をそれぞれ1.1%、2.8%に調整した単量体混合物を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、それぞれ酸価が6mgKOH/gおよび15mgKOH/gのアクリル−フッ素複合重合体を得た。
得られた重合体粒子の水性分散液を用い、実施例1と同様にして親水化剤成分(II)と混合してクリア塗料用の混合液を調製し、混合液の保管状態を調べた。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、水性塗料成分(I)の代わりに酸価2.4mgKOH/gのアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体を用いたほかは同様にして比較用の水性塗料成分を調製し、実施例1と同様にして親水化剤成分(II)と混合してクリア塗料用の混合液を調製し、混合液の保管状態を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0006179069
表1から、酸価により、ポットライフの調整が可能であることが分かる。
実施例4
実施例1で製造した酸価10mgKOH/gのアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体(アンモニア中和物)にエマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値15.3)を1質量%/樹脂固形分添加して水性塗料成分(I)を調製した。
ついで、実施例1と同様にして親水化剤成分(II)を混合し、得られた混合液をガラス板上にアプリケーター10MILにより塗布し、25℃にて1日間乾燥して塗膜を形成した。
得られた塗膜について、つぎの要領でヘイズ値、光透過率および光沢を測定した。結果を表2に示す。
(ヘイズ値および透過率)
測定装置:ヘイズガードII(東洋精機製作所製)
測定方法:透明プラスチックのへイズ、光透過率標準試験方法ASTM D 1003準拠。
ヘイズ値(%)が小さいほど透明性が高く、光透過率(%)が高いほど透明性が高い。
(光沢)
測定装置:変角光沢計(日本電色工業(株)製VGS−SENSOR)
JIS K 5400−6.7に従って60°鏡面光沢度を調べる。
実施例5〜14
実施例4において、ノニオン性乳化剤としてエマルゲン120に代えて、エマルゲン123P(HLB値16.9)、エマルゲンLS106(HLB値12.5)、エマルゲンLS110(HLB値13.4)、エマルゲンLS114(HLB値14)、ノイゲンXL−70(HLB値13.2)ノイゲンXL−140(HLB値15.9)、ノイゲンXL−400(HLB値18.4)、ノイゲンTDS−70(HLB値12.1)、ノイゲンTDS−120(HLB値14.8)、ノイゲンTDS−500F(HLB値18.3)をそれぞれ用いたほかは同様にして混合液を調製し、塗膜を形成して、ヘイズ値、光透過率および光沢を測定した。結果を表2に示す。
実施例15
水133gを攪拌翼、冷却管、温度計を備えた0.5L容のガラス製セパラブル4つ口フラスコに仕込み攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製)12.9g、水130g、メチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)の119.7g/74.0g/3.9gのアクリル系重合体用の混合単量体溶液をホモジナイザーで乳化し、過硫酸アンモニウム(APS)の1%水溶液31.6gを加えた乳化液を調製した。2時間かけて上記フラスコ中に乳化液を滴下し重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、400メッシュの金網で濾過して青白色のアクリル重合体粒子(平均粒子径131nm)の水性分散体505.1gを製造した。得られたアクリル重合体の酸価は15mgKOH/gであった。また、得られたアクリル重合体水性分散体における樹脂固形分は、50質量%であった。
得られたアクリル重合体水性分散体を用いた以外は、実施例8と同様にノニオン性乳化剤を混合して水性塗料成分(I)を調製し、更に親水化剤成分(II)を混合した。得られた混合液をガラス板上にアプリケーター10MILにより塗布し、25℃にて1日間乾燥して塗膜を形成し、ヘイズ値、光透過率および光沢を測定した。結果を表2に示す。
比較例2
実施例4において、ノニオン性乳化剤を添加しなかったほかは同様にして混合液を調製し、塗膜を形成して、ヘイズ値、光透過率および光沢を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006179069
表2から、ノニオン性乳化剤を水性塗料成分にあらかじめ混合することにより、相溶性の向上がみられることが分かる。

Claims (3)

  1. (I)12mgKOH/gの酸価を有する合成樹脂(A)とノニオン性乳化剤(B)とアニオン性乳化剤とを含む水性塗料成分、および
    (II)水分散性オルガノシリケート化合物(C)を含む親水化剤成分
    を含み、
    水性塗料成分(I)中のノニオン性乳化剤(B)の含有量が0.5〜5質量%/樹脂固形分であり、
    前記ノニオン性乳化剤(B)のHLB値が10〜20であることを特徴とする2成分系水性塗料組成物。
  2. 前記合成樹脂(A)が、フッ素−アクリル複合樹脂、フッ素樹脂またはアクリル樹脂である請求項1記載の2成分系水性塗料組成物。
  3. 前記水分散性オルガノシリケート化合物(C)が、ノニオン変性されたアルキル基を有する請求項1または2記載の2成分系水性塗料組成物。
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