JP6164067B2 - カーボンナノチューブ及びその分散液、並びに自立膜及び複合材料 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノチューブ及びその分散液、並びにカーボンナノチューブを用いた自立膜及び複合材料に関する。
近年、タッチパネル、太陽電池、燃料電池等の電子機器や電子部材に用いる電極の、導電層や触媒層の構成材料等として、炭素系材料が広く用いられてきている。例えば、特許文献1には、一次電池及び二次電池などの電気化学デバイス、特にリチウム電池に有用な材料として、フッ素化多層炭素ナノ材料が提案されている。
特表2009−515813号公報
しかし、特許文献1に記載のカーボンナノチューブは、分散性に乏しく、また、それを用いて形成した膜の体積抵抗率は未だ充分に低いとは言えなかった。
本発明の目的は、分散性に優れ、体積抵抗率が非常に低い膜を形成可能なカーボンナノチューブ及びその分散液を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記カーボンナノチューブからなる自立膜及び前記カーボンナノチューブと重合体とを含む複合材料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った結果、フッ素原子の炭素原子に対する比(F/C)が所定範囲にあり、なおかつ昇温脱離法における150〜950℃での一酸化炭素の脱離量と二酸化炭素の脱離量が所定範囲にあるカーボンナノチューブによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕フッ素原子の炭素原子に対する比(F/C)が0.03〜2.0であり、昇温脱離法における150〜950℃での、一酸化炭素の脱離量が1000〜10000μmol/gであり、かつ二酸化炭素の脱離量が500〜5000μmol/gであるカーボンナノチューブ、
〔2〕単層カーボンナノチューブである前記〔1〕記載のカーボンナノチューブ、
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕に記載のカーボンナノチューブを含む分散液、
〔4〕前記〔1〕又は〔2〕に記載のカーボンナノチューブからなる自立膜、
並びに
〔5〕前記〔1〕又は〔2〕に記載のカーボンナノチューブと重合体とを含む複合材料、
を、提供する。
本発明によれば、分散性に優れ、体積抵抗率が非常に低い膜を形成可能なカーボンナノチューブ、その分散液、前記カーボンナノチューブからなる自立膜、及び前記カーボンナノチューブと重合体とを含む複合材料が得られる。
以下、本発明を、カーボンナノチューブ(以下、CNTという場合がある。)、その分散液、自立膜及び複合材料に項分けして詳細に説明する。
(カーボンナノチューブ)
本発明のCNTは、フッ素原子の炭素原子に対する比(F/C)が0.03〜2.0であり、昇温脱離法における150〜950℃での、一酸化炭素(CO)の脱離量が1000〜10000μmol/gであり、かつ二酸化炭素(CO)の脱離量が500〜5000μmol/gであるものである。
F/C比が0.03未満であると、分散性に乏しく、2.0を超えると自立膜の強度や導電性が悪化する。F/C比としては、本発明のCNTの分散性、導電性及び自立膜の強度を向上させる観点から、好ましくは0.05〜1.5である。F/C比は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
昇温脱離法(Temperature Programmed Desorption)において発生するガス中のCOとCOは、CNT表面に結合している、水酸基、カルボキシル基、ケトン基、ラクトン基、アルデヒド基及びメチル基などの種々の官能基に由来する。本発明のCNTは、上記の通りのCOとCOの脱離量を有しており、その表面には、特に水酸基とカルボキシル基が多く存在しているものと推定される。本発明のCNTは、かかる特性を有することから、例えば、種々の溶媒への分散性に優れている。また、導電性に優れており、体積抵抗率が非常に低い膜を形成可能である。本発明のCNTの効果を高める観点から、COの脱離量は、好ましくは1500〜8000μmol/g、より好ましくは1800〜6000μmol/gであり、COの脱離量は、好ましくは800〜4000μmol/g、より好ましくは1000〜3500μmol/gである。
昇温脱離法におけるCOとCOの脱離量は、公知の方法により求めることができる。すなわち、まず、所定の昇温脱離装置内において、CNTに熱処理を施すことにより、当該CNTの表面から吸着水脱離させる。次いで、この熱処理が施されたCNTをヘリウムガス等の不活性ガス中で所定の温度まで加熱していき当該CNTの表面からの官能基(含酸素原子化合物など)の脱離に伴って発生するCOとCOとをそれぞれ定量する。
昇温脱離法における150〜950℃での、COの脱離量又はCOの脱離量は、CNTを150℃まで加熱し、その後、当該CNTをさらに加熱して、その温度が950℃に上昇するまでの間に脱離した、COの総量又はCOの総量として求められる。
本発明のCNTは、例えば、本発明におけるF/C比及び/又はCOとCOの脱離量を満たさない、任意のCNT(以下、「原料CNT」という場合がある。)の表面をフッ素ガスにより処理することで製造することができる。F/C比及びCOとCOの脱離量は、以下に従い、フッ素ガスによるCNTの処理条件を適宜変更することで調整することができる。
前記原料CNTとしては、単層のものであっても、多層のものであってもよいが、得られる自立膜や複合材料の性能(例えば、導電性および機械的特性)を向上させる観点から、単層から5層のものが好ましく、単層のものがより好ましい。
原料CNTは、その平均直径(Av)と直径の標準偏差(σ)が、通常、0.60>(3σ/Av)>0.20、好ましくは0.60>(3σ/Av)>0.50を満たすものが好適である。ここで、直径とは原料CNTの外径を意味する。また、平均直径(Av)及び直径の標準偏差(σ)は、透過型電子顕微鏡での観察下に、無作為に選択されたカーボンナノチューブ100本の直径を測定した際の平均値及び標準偏差として求められる(後述する平均長さも、同様の方法で長さの測定を行い、その平均値として求められる。)。原料CNTとしては、そのようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
原料CNTの平均直径(Av)は、通常、0.5nm以上、15nm以下が好ましく、1nm以上、10nm以下がより好ましい。
また、原料CNTの平均長さは、好ましくは0.1μm〜1cm、より好ましくは0.1μm〜1mmである。原料CNTの平均長さが上記範囲内にあると、本発明のCNTの配向性が高まり自立膜の形成を容易に行うことができる。
原料CNTの比表面積としては、窒素ガス吸着によるBET比表面積が、通常、600m/g以上、好ましくは700m/g以上であり、その上限が、通常、2500m/gであり、かつ水蒸気吸着によるBET比表面積が、通常、0.01〜50m/g、好ましくは0.1〜30m/gである。また、窒素ガス吸着によるBET比表面積に対する水蒸気吸着によるBET比表面積の比(水蒸気吸着によるBET比表面積/窒素ガス吸着によるBET比表面積)が、通常、0.0001〜0.2、好ましくは0.0005〜0.15である。それらの比表面積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−max」(日本ベル社製)を用いて測定することができる。
また、原料CNTの、昇温脱離法における150〜950℃での、CO脱離量としては、通常、100〜10000μmol/gであり、かつCO脱離量としては、通常、1〜3000μmol/gである。
SGCNTの比表面積及びCOとCOの脱離量が上記範囲内にあると、本発明のCNTの分散性が高まり好適である。
また、原料CNTは、複数の微小孔を有するのが好ましい。中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.4mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。原料CNTが上記のようなマイクロ孔を有することは、本発明のCNTの分散性を高める観点から好ましい。なお、マイクロ孔容積は、例えば、原料CNTの調製方法及び調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、SGCNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、 式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cmである。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
以上の特性を有する原料CNTとしては、以下のスーパーグロース法により得られるCNT(以下、SGCNTという場合がある。)を用いるのが好ましい。
SGCNTは、例えば、表面にカーボンナノチューブ製造用触媒層(以下、「CNT製造用触媒層」という場合がある。)を有する基材(以下、「CNT製造用基材」という場合がある。)上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりカーボンナノチューブを合成する際に、系内に微量の酸化剤を存在させることで、CNT製造用触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、原料ガスとしてアセチレンを主成分とするガス(例えば、アセチレンを50質量%以上含むガス)を用いることで、効率的に製造することができる。
原料CNTの処理に用いるフッ素ガスとしては高純度のものが好ましいが、フッ素ガス中のフッ素濃度は、通常、1質量%以上あればよく、チッ素、アルゴン及びヘリウムなどの不活性ガスにより希釈されていても、また、テトラフルオロエタンやヘキサフルオロエタンのようなフルオロカーボン類;フッ化水素、三フッ化チッ素及び五フッ化ヨウ素等の無機フッ化物;酸素;水蒸気などを含んでいてもよい。本発明のCNTの製造効率を高める観点から、フッ素ガス中のフッ素濃度としては、好ましくは2質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
原料CNTとフッ素ガスとの接触は公知の方法により行うことができる。例えば、ニッケル又はニッケルを含む合金や黒鉛などの、フッ素に耐蝕性を有する材料で製造された反応器中に原料CNTを封入し、フッ素ガスを導入して接触させればよい。
原料CNTと接触させる際のフッ素ガスの圧力としては、通常、0.002〜1.0MPa、好ましくは0.005〜0.5MPaである。かかる範囲であれば、原料CNTにフッ素ガスを効率的に接触させることができる。反応ガスとしては、高純度のフッ素ガスを窒素やアルゴンなどの不活性ガスに希釈して使用するのが安全性と反応性の制御の点で好ましい。
原料CNTとフッ素ガスとの接触は、バッチ式で行ってもよく、断続的にフッ素ガスを置換しながら行うセミバッチ式で行ってもよく、又は流通式で行ってもよい。また、原料CNTとフッ素ガスとを均一に接触させるために反応器に適当な撹拌機構を設けるのが好ましい。撹拌機構としては、各種撹拌翼による撹拌、反応器を機械的に回転あるいは振動させる方法、原料CNTを気体の流通により流動させる方法などが挙げられる。
原料CNTとフッ素ガスとを接触させる際の温度は、通常、100〜500℃の範囲である。反応時間を短縮し、CNTを構成するカーボンとフッ素とを効率よく反応させる観点から、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜400℃である。接触時間は、接触方式や接触条件にもよるが、特に限定されず、10秒間から100時間の範囲内で設定すればよい。
原料CNTとフッ素ガスとを接触させた後、得られた処理後CNTに物理吸着している不要なフッ素ガスや接触時に生じたフッ化水素(HF)を除去するため、処理後CNTを水で洗浄する。洗浄は、例えば、処理後CNTに十分量の水を加え、室温で適宜攪拌した後、ろ過する作業を繰り返し、洗浄排水中にフッ素が実質的に検出されなくなる程度まで行う。
以上により、本発明のCNTが得られる。本発明のCNTの表面には、フッ素原子のほか、水酸基及びカルボキシル基が多く共有結合しているものと推測される。
(分散液)
本発明の分散液は、本発明のCNTを含んでなる。本発明のCNTは、溶媒への分散性に優れたものであることから、その分散液を製造するにあたり、分散剤を必要としない。従って、当該分散液は、通常、本発明のCNTと溶媒とからなる。
分散液の調製に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2イミダゾリジノン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含イオウ系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の分散液には、所望により、結着剤、導電助剤、分散剤、界面活性剤等を含有させてもよい。これらは公知のものを適宜使用すればよい。
本発明の分散液は、例えば、本発明のCNTを溶媒中で混合し、該CNTを分散させることで得ることができる。
混合処理や分散処理は、例えば、ナノマイザー、アルティマイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノミル、スパイクミル、DCPミル、バスケットミル、ペイントコンディショナー、高速攪拌装置等を用いる方法を利用すればよい。
本発明の分散液中、本発明のCNTの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜10質量%である。
本発明の分散液は、CNTが均一に分散しており、CNTの自立膜や複合材料の製造に好適に用いられる。
(自立膜)
本発明の自立膜は、本発明のCNTからなる。ここで、自立膜とは、他の支持体が存在していなくとも膜としての形状を保つことができる膜をいう。自立膜の厚さは、通常、5nm〜100μmの範囲である。自立膜は、長尺の連続シートであってもよい。自立膜の比重としては、通常、0.3〜3.0g/cmが好適である。
本発明の自立膜は、例えば、本発明の分散液を任意の支持体上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、支持体を除去することで得ることができる。また、支持体が多孔性である場合、本発明の分散液を、該支持体を介して濾過し、得られた濾過物を乾燥し、支持体を除去することで得ることができる。なお、本発明の自立膜は、支持体を付けた状態で支持体付自立膜として得てもよい。
前記支持体としては、自立膜の製造中、自立膜を十分に固定することができ、かつ、自立膜形成後、容易に除去できるものであれば特に制限されない。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等の合成樹脂シートや、セルロース、ニトロセルロース、ろ紙、アルミナ等の多孔性シートが挙げられる。
支持体上に分散液を塗布する際は、公知の塗布方法を採用できる。塗布方法としては、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等が挙げられる。
得られた塗膜又は濾過物を乾燥させる際は、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は特に限定されないが、通常、0.1〜150分である。乾燥雰囲気下は、空気中、窒素やアルゴンなど不活性ガス中、真空中など適時選択してよい。
本発明の自立膜を本発明の分散液により形成すると、当該自立膜は分散剤を含まないものとして得ることができる。従って、導電性を高めるために分散剤の除去を行う必要がなく、本発明の自立膜はそのまま導電性に優れたものとなる。
本発明の自立膜としては、特に、前記SGCNTを用いてなるものが好ましい。上述のように、SGCNTの平均直径(Av)は、好ましくは0.5nm以上、15nm以下である。また、その平均長さは、好ましくは0.1μm〜1cmである。本発明の自立膜を、このような形状的特徴を有するSGCNTを用いて形成すると、カーボンナノチューブが互いに交差して網目状構造を形成した構造を有する自立膜が容易に得られる。
本発明の自立膜は、タッチパネル、太陽電池、燃料電池等の電子機器の電極材料等の電極の導電層や触媒層の形成に好適に用いられる。例えば、前記支持体付自立膜を、所定の基材等を用意し、この基材等に、ホットプレス等で圧着させた後、支持体を剥離することで、当該基材等の表面に本発明の自立膜からなる導電層又は触媒層を形成することができる。また、支持体として、所定の基材等を用い、その上に本発明の分散液を塗布し、得られた塗膜を乾燥することで、当該基材等の表面に本発明の自立膜からなる導電層又は触媒層を形成してもよい。
(複合材料)
本発明の複合材料は、本発明のCNTと重合体とを含んでなる。本発明の複合材料は、例えば、本発明の分散液に、目的に応じて重合体を配合することにより得ることができる。当該重合体に特に限定はなく、任意のゴムや樹脂が挙げられる。
本発明の複合材料中、本発明のCNTの含有量は、重合体100質量部に対して、0.01質量部以上とするのが好ましく、0.1質量部以上とするのがより好ましく、0.25質量部以上とするのが更に好ましく、また、10質量部以下とするのが好ましく、7質量部以下とするのがより好ましく、5質量部以下とするのが更に好ましい。重合体100質量部当たりのCNTの量を、0.01質量部以上とすれば、複合材料に充分な導電性や機械的特性を付与することができ、また、10質量部以下とすれば、CNTの損傷を防止しつつ、複合材料中でCNTを均一に分散させることができる。
本発明の分散液への重合体の配合は、ゴム又は樹脂のラテックスを用いて行うのが好適である。
ゴムのラテックスとしては、特に限定されることなく、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)、フッ素ゴムなどが挙げられる。
また、樹脂のラテックスとしては、特に限定されることなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、シリコーン樹脂などのラテックスが挙げられる。
ラテックスの固形分濃度は、特に限定されないが、ラテックス中での均一分散性の点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
本発明の複合材料には公知の添加剤が含まれていてもよい。当該添加剤としては、特に限定されることなく、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料などを挙げることができる。
本発明の複合材料は、例えば、本発明の分散液と、ラテックスと、任意に添加剤とを、公知の方法により混合することで、得ることができる。混合時間は、通常、10分間以上、24時間以下である。
本発明の分散液へのラテックスの配合後、得られた複合材料を、公知の方法に従ってさらに凝固させてもよい。複合材料の凝固は、公知のラテックスの凝固方法に準じて行うことができる。例えば、複合材料を水溶性の有機溶媒に加える方法、酸を複合材料に加える方法、塩を複合材料に加える方法が挙げられる。
さらに、凝固した複合材料を、任意に乾燥させた後、複合材料成形体としてもよい。当該成形体は、上述した複合材料を、所望の成形品形状に応じた成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロール機等により成形して得ることができる。なお、複合材料成形体には、任意に架橋処理を施してもよい。
本発明の複合材料においては、本発明のCNTが均一に分散していることから、例えば、前記のようにして得られる複合材料成形体は優れた導電性や機械的特性を有する。本発明の複合材料は、特に限定されることなく、ホース、タイヤ、電磁波シールドの材料などとして好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、物性等の評価は、以下の方法により行った。
(1)F/C比
測定には、Surface Science Instruments 社製「S−Probe ESCA」を用いた。照射X線はAlKα線とし、X線スポット径は250μm×1000μm(楕円形)とした。また、測定には中和電子銃を用いた。C、O及びFについて、CNTの有姿状態面のサーベイスキャン測定及びナロースキャン測定を実施し、O/C及びO/Fの分析を行い、F/C比を求めた。
(2)昇温脱離法による評価
日本ベル社製の全自動昇温脱離スペクトル装置「TPD−1−ATw」に自立膜を設置し、キャリヤーガス(He)を50mL/分で流通させた。CO及びCOの脱離量は、5℃/分の昇温速度で150℃から950℃に昇温して自立膜を加熱し、その間に生じたCO及びCOを四重極質量分析計で検出し、得られたCO及びCOのガス量からCNTの1gあたりから生ずるガスの量(μmol)を計算し、CO及びCOの脱離量をそれぞれ求めた。
(3)分散性
イオン交換水又はエタノール5mLにCNTを0.001g加え、超音波分散機で60分間分散させ、以下の評価基準に従って分散性を目視で評価した。
〔評価基準〕
○:目で見える凝集物が存在しない
×:目で見える凝集物が存在する
(4)体積抵抗率
自立膜を用い、導電率計(三菱アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)GP」)により四端子法にて測定した。
(CNTの調製)
国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法によりSGCNTを調製した。
得られたSGCNTは、主に単層CNTから構成され、窒素ガス吸着によるBET比表面積が804m/g、水蒸気吸着によるBET比表面積が2.4m/g、それらの比表面積の比が0.003、CO脱離量が797μmol/g、CO脱離量が292μmol/g、マイクロ孔容積が0.44mL/gであった。また、平均直径(Av)が3.3nm、直径分布(3σ)が1.9nm、(3σ/Av)が0.58であり、平均長さが500μmであった。
実施例1
原料CNTとしてSGCNT 0.5gをNi製容器に入れ、SUS製反応器(内容積990mL)に封入し、窒素ガスを500mL/分でフローして150℃で1時間保持し、表1に示す接触温度まで加熱した。反応器内温が前記温度で安定したところで、体積比1:9の、フッ素ガス(純度99.5質量%以上、関東電化工業(株)製)と窒素ガスとの混合ガスに切り替え、500mL/分でフローして反応器内を20分間パージした。次いで、反応容器を密封し、その状態で維持したまま表1に示す接触時間で保持し、SGCNTとフッ素ガスとを接触させた。その後、窒素ガスを流速500mL/分にてフローし、常温まで放冷した。以上により、質量960mgの処理直後のCNTを得た。
フッ素処理後のSGCNTを1Lの三角フラスコに入れ、イオン水交換水300mLを加え、室温で1時間攪拌した。攪拌後、分散液を吸引ろ過した。この洗浄作業を、ろ液のpHが一定になるまで繰り返した。pHは実施例1で3.7であった。以上により、ウエット質量で31.5gの処理後SGCNTを得た。処理後SGCNTのF/C比及びCOとCOの脱離量を表1に示す。
また、イオン交換水10mLに、得られた処理後SGCNTを0.01g(固形分換算)加え、超音波分散機で60分間分散させ、減圧濾過で濾過し、濾過物を濾紙ごと100℃で1時間乾燥させ、乾燥した濾過物を濾紙から剥がし、自立膜を得た。
以上の処理後SGCNT及びその自立膜を用いて各種物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2
接触温度を400℃にしたこと以外は、実施例1と同様に実験を行い、評価した。質量910mgの処理直後のCNTを得た。また、処理後SGCNTのウエット質量は33.4gであった。ろ液のpHは4.4であった。
比較例1
上記のSGCNTについて、上記評価方法に従って分散性を評価し、また、体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006164067
表1より、実施例で得られた処理後SGCNTはいずれも、本発明において規定する所定のF/C比及びCOとCOの脱離量を示しており、比較例1のSGCNTそのものと比べ、分散性に優れ、体積抵抗率が低い自立膜が得られることが分かる。
本発明のCNTは、例えば、タッチパネル、太陽電池、燃料電池等の電子機器や電子部材に用いる電極の、導電層や触媒層の構成材料等として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. フッ素原子の炭素原子に対する比(F/C)が0.03〜2.0であり、昇温脱離法における150〜950℃での、一酸化炭素の脱離量が1000〜10000μmol/gであり、かつ二酸化炭素の脱離量が500〜5000μmol/gであるカーボンナノチューブ。
  2. 単層カーボンナノチューブである請求項1記載のカーボンナノチューブ。
  3. 請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブを含む分散液。
  4. 請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブからなる自立膜。
  5. 請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブと重合体とを含む複合材料。
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