JP6130453B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、てこクランク機構とワンウェイクラッチ等の一方向回転阻止機構を備えた動力伝達装置に関する。
従来、ガソリンエンジンなどの内燃機関からなる原動機からの駆動力が伝達される入力軸と、入力軸の回転中心軸線と平行に配置された出力軸と、複数のてこクランク機構とを備える四節リンク機構型の無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の無段変速機において、てこクランク機構は、入力軸と一体的に回転可能な回転部が設けられ、その回転部の回転半径を調節自在な回転半径調節機構と、揺動端部が設けられ出力軸に揺動自在に軸支された揺動リンクと、一方の端部が回転半径調節機構の回転部に回転自在に接続し、他方の端部が揺動リンクの揺動端部に連結されたコネクティングロッドとを有している。
揺動リンクと出力軸との間には、揺動リンクが、出力軸を中心として、一方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを固定し、他方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを空転させる一方向回転阻止機構としてのワンウェイクラッチが設けられている。
回転半径調節機構は、入力軸に対して偏心した状態で入力軸と一体的に回転する円盤状のカム部と、このカム部に対して偏心した状態で回転自在であり、コネクティングロッドが回転自在に外嵌している回転部と、複数のピニオンを軸方向に備えるピニオンシャフトとで構成されている。ピニオンシャフトは、副駆動源(調節用駆動源)から伝達された駆動力によって回転する。
なお、回転半径調節機構は、特許文献1に示されるものの他、中心から偏心して穿設された貫通孔を有する円盤状の回転部と、回転部の貫通孔の内周面に取り付けられた内歯ギヤと、入力軸に固定され内歯ギヤに噛合する第1ピニオンと、副駆動源(調節用駆動源)からの駆動力が伝達されるキャリアと、それぞれがキャリアによって自転及び公転自在に軸支され、内歯ギヤに噛合する2個の第2ピニオンとで構成されたものもある。この場合、第1ピニオンと2つの第2ピニオンは、それらの中心軸線を頂点とする三角形が正三角形になるように配置されている。
カム部には、入力軸の回転中心軸線方向に貫通し、カム部の中心に対して偏心した位置に穿設された貫通孔が形成されている。また、カム部には、入力軸の回転中心軸線を挟んでカム部の中心と反対側となる領域に、カム部の外周面と貫通孔の内周面とを連通させる切欠孔が形成されている。そして、隣接するカム部同士は、ボルトで固定されてカム部連結体を構成している。
カム部連結体は、その軸方向一端に入力端部が連結され、カム部連結体と入力端部とで、カムシャフト(入力軸)が構成される。なお、カムシャフトは、特許文献1に示される構成のものの他、中空の棒状体の外面に、カム部又はカム部連結体をスプライン結合等で取り付けて構成したものもある。
カム部連結体は、各カム部の貫通孔が連なることによって中空となっており、内部にピニオンシャフトが挿入される。そして、カム部連結体に挿入されたピニオンシャフトは、各カム部の切欠孔から露出する。
回転部は、カムシャフトを受け入れる受入孔が設けられている。その受入孔の内周面には内歯が形成されている。その内歯は、各カム部の切欠(貫通孔)から露出しているピニオンシャフトと噛合する。
カムシャフトとピニオンシャフトの回転速度が同一の場合には、カム部に対して偏心した状態で回転自在な回転部がカム部に対して相対回転しないので、回転部の中心(入力側支点)の回転運動の半径が維持される。一方、カムシャフトとピニオンシャフトの回転速度が異なる場合には、回転部がカム部に対して相対回転し、入力側支点の回転運動の半径が変更されて、変速比が変化する。
この無段変速機では、カムシャフトを回転させることによって、カム部とともに回転部を回転させると、回転部に外嵌しているコネクティングロッドの一方の端部が回転運動して、コネクティングロッドの他方の端部と連結されている揺動リンクが揺動する。そして、揺動リンクは、ワンウェイクラッチを介して出力軸に軸支されているので、一方側に回転するときのみ出力軸に回転駆動力(トルク)を伝達する。
また、カム部は、それぞれ位相が異なるように設定され、複数のカム部で入力軸の回転中心軸線の周方向を一回りするようになっている。そのため、各カム部に設けられた回転部に外嵌したコネクティングロッドによって、各揺動リンクが順にトルクを出力軸に伝達し、出力軸をスムーズに回転させることができるようになっている。
また、この無段変速機では、入力軸の累積回転回数とピニオンシャフトの累積回転回数を計数し、それらの差分を用いて回転半径調節機構の回転部の回転半径を推定し、その回転半径に基づいて変速比や出力軸に伝達されるトルクを制御している。
特開2012−251608号公報
従来の無段変速機において、変速比や出力軸に伝達されるトルクの制御は、入力軸側の構成部材である入力軸とピニオンシャフトの回転数から推定した回転部の回転半径に基づいて行われている。
しかし、揺動リンクと回転半径調節機構の回転部とに連結され、回転部の回転運動を揺動リンクの揺動運動に変換するコネクティングロッドにねじれやたわみが生じている場合、そのようにして推定された回転半径は、入力軸と出力軸の回転数から求められる実際の変速比や出力軸に伝達されるトルクの制御に対する実効的な値とはならないおそれがあった。
その結果、従来の無段変速機では、実際の変速比や出力軸に伝達されるトルクを精度よく制御することができないおそれがあった。
そこで、出願人は、この問題を解決すべく、揺動部の外周に被検出部材を設け、被検出部材までの距離の変化を検出することによって、回転部の回転半径を算出する動力伝達装置を出願した。
ところで、揺動範囲から回転半径を求める動力伝達装置では、低車速時に、揺動に伴う揺動範囲を検出するセンサの信号の振幅値が、ノイズ(雑音)に埋もれてしまい、回転部の回転半径(又はギヤニュートラル)を明確に判定することができないという問題があった。
この問題を解決すべく信号雑音比(signal-noise ratio)を上げるために電磁シールド構造を施して高感度センサを用いることも考えられるがコストが嵩む。
本発明は、以上の点に鑑み、高感度センサを用いることなく回転半径を精度よく検出することができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
原動機の駆動力が伝達される入力軸と、
前記入力軸の回転中心軸線と平行に配置された出力軸と、
前記出力軸に揺動自在に軸支され且つ揺動端部を有する揺動部と、
前記入力軸の回転運動を前記揺動部の揺動運動に変換するてこクランク機構と、
前記揺動部が前記出力軸に対して一方側に回転しようとするとき前記揺動部を前記出力軸に固定し、前記揺動部が前記出力軸に対して他方側に回転しようとするとき前記揺動部を前記出力軸に対して空転させる一方向回転阻止機構と、を備え、
前記てこクランク機構は、前記入力軸と一体的に回転可能な回転部と、前記回転部の回転半径を調節自在な回転半径調節機構と、前記揺動部と、一方の端部が前記回転部に連結され、他方の端部が前記揺動端部に連結されたコネクティングロッドとを備え、
前記揺動部は、前記出力軸に軸支される環状部を有し、
前記回転部の前記回転半径を前記回転半径調節機構で変化させることによって、変速比を変更可能な動力伝達装置であって、
前記原動機の回転数を検出する駆動源回転数検出部と、
前記原動機の回転数から該回転数に同期した直交関数を生成する直交関数生成部と、
前記原動機の駆動力に同期して揺動する揺動部の位相を検出する位相検出部と、
前記位相検出部で検出された位相信号を前記直交関数で同期検波することで該位相信号において前記直交関数と相関する成分を検出する相関成分検出部と、
前記相関する成分に基づいて前記回転部の回転半径を算出する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、位相検出部で検出された信号に基づいて回転部の回転半径を精度よく求めることができる。
[2]また、本発明においては、前記駆動源が始動したときに前記変速比が無限大となるように前記制御部によって算出された回転半径に基づいて前記回転半径調節機構によって前記回転半径を調節し、前記変速比が無限大となったときの回転半径を記憶する記憶装置を備えることが好ましい。
本発明によれば、変速比が無限大となるギヤニュートラルGNを高精度に検出して学習することができ、動力伝達装置の変速比の制御性が向上する。
[3]また、本発明においては、前記原動機が内燃機関である場合には、前記内燃機関が始動したときは前記内燃機関がアイドリング回転になったときであることが好ましい。
本発明によれば、アイドリング中に内燃機関の回転数が安定した状態でギヤニュートラルGNを検出し、学習することができる。
[4]また、本発明においては、動力伝達装置が、第1基準変速ユニットと、前記第1基準変速ユニットとの偏心方向の位相差が90°である第2基準変速ユニットとを備える場合には、前記第1基準変速ユニット及び前記第2基準変速ユニットに、前記位相検出部を設け、前記直交関数生成部は、前記第1基準変速ユニット及び前記第2基準変速ユニットに設けられた前記位相検出部から送信される波形を用いることが好ましい。
かかる構成によれば、1つの変速ユニットに設けられた位相検出部から受信した波形を元にπ/2だけ位相をずらした波形を算出する必要がなく、演算処理の負荷を低減することができる。
[5]また、本発明においては、前記直交関数生成部は、1つの変速ユニットの位相検出部から出力される位相信号を第1基準信号とし、該第1基準信号の位相をπ/2だけずらした位相信号を第2基準信号として、直交関数を生成することができる。
本発明によれば、1つの位相検出部で検出された信号から高精度に回転部の回転半径を求めることができる。
本発明の動力伝達装置の第1実施形態の無段変速機を示す断面図。 第1実施形態の無段変速機のてこクランク機構を示す説明図。 第1実施形態の無段変速機のてこクランク機構の回転半径の変化を示す説明図であり、図3Aは回転半径が「最大」、図3Bは回転半径が「最大」よりも小さい「中」、図3Cは回転半径が「中」よりも小さい「小」、図3Dは回転半径が「0」の状態を示す。 第1実施形態の無段変速機のてこクランク機構の回転半径の変化に対する出力側支点の揺動範囲の変化を示す説明図であり、図4Aは回転半径が「最大」の場合の揺動範囲を示し、図4Bは回転半径が「中」の場合の揺動範囲を示し、図4Cは回転半径が「小」である場合の揺動範囲を示し、図4Dは回転半径が「0」の場合の揺動範囲を示す。 第1実施形態の無段変速機の揺動リンクと被検出部材の形状を軸方向から示す説明図。 第1実施形態の動力伝達装置を示すブロック図。 第1実施形態の動力伝達装置の制御部の処理を示すフローチャート。 第1実施形態の動力伝達装置の制御部の演算処理を示すブロック図。 本発明の第2実施形態の動力伝達装置を示すブロック図。 第2実施形態の動力伝達装置の制御部の演算処理を示すブロック図。 図11Aは車両の走行速度の変化を示すグラフ。図11Bは距離センサの信号の変化を示すグラフ。図11Cは実施形態の制御部の演算処理を行った結果の回転半径の値の変化を示すグラフ。
図面を参照して、本発明の動力伝達装置の実施形態を説明する。本実施形態の動力伝達装置は、四節リンク機構型の無段変速機を備えている。この無段変速機は、変速比h(h=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)を無限大(∞)にして出力軸の回転速度を「0」にできる変速機、いわゆるIVT(Infinity Variable Transmission)の一種である。また、本実施形態は、無段変速機を車両に搭載した場合の実施形態であるが、本発明の無段変速機は、船舶等、他の乗り物や無人機等の他の移動体にも搭載し得るものである。
[第1実施形態]
図1〜図8を参照して、第1本実施形態の動力伝達装置について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の無段変速機1は、原動機からの動力が伝達される入力軸2と、入力軸2の回転中心軸線P1と平行に配置された出力軸3と、入力軸2の回転中心軸線P1上に設けられた8個の回転半径調節機構4とを備える。図1では、中央2つの回転半径調節機構を省略している。
入力軸2は、内燃機関からなる原動機ENGからの駆動力が伝達されることで回転中心軸線P1を中心に回転する。なお、原動機としては、内燃機関に限らず、電動機等を用いてもよい。
出力軸3は、図示省略したデファレンシャルギヤを介して車両の駆動輪(図示省略)に回転駆動力を伝達させる。なお、デファレンシャルギヤの代わりにプロペラシャフトを設けてもよい。
回転半径調節機構4は、入力軸2の回転中心軸線P1上に設けられたカムディスク5(カム部)と、カムディスク5に回転自在に外嵌している回転ディスク6(回転部)とを有する。
カムディスク5は、円盤状であり、入力軸2の回転中心軸線P1に対して偏心した状態で、入力軸2と一体的に回転可能に、2個1組で設けられている。各1組のカムディスク5は、入力軸2の一方から順に45°ずつ位相をずらして配置され、8組のカムディスク5で入力軸2の回転中心軸線P1の周方向を一回りするように配置されている。
カムディスク5には、入力軸2の回転中心軸線P1方向に貫通し、カムディスク5の中心P2に対して偏心した位置に穿設された貫通孔5aが形成されている。また、カムディスク5には、入力軸2の回転中心軸線P1を挟んでカムディスク5の中心P2と反対側となる領域に、カムディスク5の外周面と貫通孔5aの内周面とを連通させる切欠孔5bが形成されている。
2個1組のカムディスク5同士はボルト(図示省略)で固定されている。また、2個1組のカムディスク5の一方は、隣接する回転半径調節機構4が有する他の2個1組のカムディスク5の他方と一体的に形成され、一体型カム部を構成している。このようにして、複数のカムディスク5が連結されて、入力軸2(カムシャフト)が構成されている。
なお、2個1組のカムディスク5同士は、ボルトではなく、他の手段で固定してもよい。また、一体型カム部は、一体成型で形成してもよく、又は2つのカムディスク5を溶接して一体化してもよい。
回転ディスク6は、図2に示すように、その中心P3から偏心した位置に受入孔6aが設けられた円盤状であり、入力軸2の回転中心軸線P1に対して回転可能に設けられている。その受入孔6aには、各1組のカムディスク5が、回転自在に嵌め込まれている。また、回転ディスク6の受入孔6aには、図1に示すように、1組のカムディスク5の間となる位置に、内歯6bが設けられている。
また、回転ディスク6の受入孔6aは、入力軸2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2(受入孔6aの中心)までの距離Lxとカムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Lyとが同一となるように、カムディスク5に対して偏心している。
複数のカムディスク5を連結することによって構成された入力軸2は、カムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えている。これにより、入力軸2は、原動機ENGとは反対側の一方端が開口し、原動機ENG側の他方端が閉塞した中空軸形状となっている。
挿通孔50には、回転中心軸線P1と同心に、ピニオンシャフト7が入力軸2と相対回転自在となるように挿入されている。
ピニオンシャフト7は、回転ディスク6の内歯6bと対応する位置にピニオン7aを有している。また、ピニオンシャフト7は、入力軸2の回転中心軸線P1方向において隣接するピニオン7aの間に位置させてピニオン軸受7bが設けられている。このピニオン軸受7bを介して、ピニオンシャフト7は、入力軸2を支えている。
ピニオン7aは、ピニオンシャフト7と一体に形成されている。ピニオン7aは、カムディスク5の切欠孔5bを介して、回転ディスク6の内歯6bと噛合する。なお、ピニオン7aをピニオンシャフト7と別体に構成してピニオンシャフト7にスプライン結合で連結させてもよい。本実施形態においては、単にピニオン7aというときは、ピニオンシャフト7を含むものとして定義する。
また、ピニオンシャフト7は、遊星歯車機構などで構成される差動機構8が接続されている。
差動機構8は、図1に示すように、例えば、遊星歯車機構として構成され、回転自在なサンギヤ9と、入力軸2に連結された回転自在な第1リングギヤ10と、ピニオンシャフト7に連結された回転自在な第2リングギヤ11と、サンギヤ9及び第1リングギヤ10と噛合する大径部12aと、第2リングギヤ11と噛合する小径部12bとからなる段付ピニオン12を回転自在に軸支するキャリア13とを有している。キャリア13は自身も回転自在に配置されている。これにより、段付きピニオン12は、自転自在であると共に、サンギヤ9に対して公転自在となっている。
サンギヤ9は、ピニオンシャフト7用の電動アクチュエータからなる調節用駆動源14の回転軸14aに連結されており、調節用駆動源14から駆動力が伝達される。
ピニオンシャフト7の回転速度を入力軸2の回転速度と同一にした場合、サンギヤ9と第1リングギヤ10とが同一速度で回転することとなる。その結果、サンギヤ9、第1リングギヤ10、第2リングギヤ11及びキャリア13の4個の要素が相対回転不能なロック状態となって、第2リングギヤ11と連結するピニオンシャフト7が入力軸2と同一速度で回転する。
ピニオンシャフト7の回転速度を入力軸2の回転速度よりも遅くした場合、サンギヤ9の回転数をNs、第1リングギヤ10の回転数をNR1、サンギヤ9と第1リングギヤ10のギヤ比(第1リングギヤ10の歯数/サンギヤ9の歯数)をjとすると、キャリア13の回転数が(j・NR1+Ns)/(j+1)となる。
また、サンギヤ9と第2リングギヤ11のギヤ比((第2リングギヤ11の歯数/サンギヤ9の歯数)×(段付ピニオン12の大径部12aの歯数/小径部12bの歯数))をkとすると、第2リングギヤ11の回転数が{j(k+1)NR1+(k−j)Ns}/{k(j+1)}となる。
すなわち、入力軸2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とに差がある場合、ピニオンシャフト7のピニオン7aと噛合する回転ディスク6の内歯6bを介して伝達された調節用駆動源14からの駆動力により、回転ディスク6は、カムディスク5の中心P2を中心に回転する。
ところで、図2に示すように、回転ディスク6は、カムディスク5に対して、入力軸2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2までの距離Lxと、カムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Lyとが同一となるように偏心している。
そのため、回転ディスク6の中心P3を入力軸2の回転中心軸線P1と同一線上に位置させて、入力軸2の回転中心軸線P1と回転ディスク6の中心P3との距離(回転半径調節機構4の回転半径)、すなわち、偏心量R1を「0」にすることもできる。
回転ディスク6には、一方(入力軸2側)の端部に大径の入力側環状部15aを有し、他方(出力軸3)の端部に入力側環状部15aよりも小径の出力側環状部15bを有するコネクティングロッド15の入力側環状部15aが外嵌されて回転自在に接続されている。
回転ディスク6と入力側環状部15aとの間には、軸方向に2個並べた2個1組のボールベアリングからなるコネクティングロッド軸受16が配置されている。
出力軸3には、ワンウェイクラッチ17(一方向回転阻止機構)を介して、8個の揺動リンク18が、コネクティングロッド15に対応させて揺動自在に軸支されている。
ワンウェイクラッチ17は、揺動リンク18と出力軸3との間に設けられ、揺動リンク18が出力軸3に対して一方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を固定し(固定状態)、揺動リンク18が出力軸3に対して他方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を空転させる(空転状態)。
揺動リンク18には、コネクティングロッド15の出力側環状部15bに連結される揺動端部18aが設けられている。揺動端部18aには、出力側環状部15bを軸方向から挟み込むように突出した一対の突片18bが設けられている。一対の突片18bには、出力側環状部15bの内径に対応する差込孔18cが穿設されている。
差込孔18c及び出力側環状部15bに、揺動軸としての連結ピン19が挿入されることによって、コネクティングロッド15と揺動リンク18とが、相対回転可能に連結される。
また、揺動リンク18には、出力軸3が挿通される環状部18dが設けられている。環状部18dは、ワンウェイクラッチ17を介して、出力軸3に揺動可能に軸支されている。
本実施形態の無段変速機1では、上記のような構成を有する回転半径調節機構4と、揺動リンク18と、コネクティングロッド15とによって、てこクランク機構20が構成されている。
また、変速機ケース21は、原動機ENGに固定されている一端壁部21aと、一端壁部21aに対向して配置されている他端壁部21bと、てこクランク機構20及びワンウェイクラッチ17を間隔を存して覆い、一端壁部21aの外縁と他端壁部21bの外縁とを連結する周壁部21cとによって形成されている。
一端壁部21aと他端壁部21bには、入力軸を軸支するための開口部と、出力軸3を軸支するための開口部が形成されており、それらの開口部には、軸受22が嵌合されている。
なお、本実施形態においては、8個のてこクランク機構20を備えたものを説明した。しかし、本発明の無段変速機におけるてこクランク機構の数は、その数に限られず、例えば、1個以上7個以下のてこクランク機構を備えていてもよいし、9個以上のてこクランク機構を備えていてもよい。
また、本実施形態においては、複数のカムディスク5を連結して入力軸2(カムシャフト)を構成し、入力軸2がカムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えるものを説明した。しかし、本発明の無段変速機における入力軸はこれに限らない。
例えば、一端が開口する挿通孔を有する中空軸体を用いて、円盤状のカムディスクに中空軸体を挿通できるように貫通孔を本実施形態のものよりも大きく形成して、カムディスクを中空軸体の外周面にスプライン結合させて入力軸を構成させてもよい。
この場合、中空軸体には、カムディスクの切欠孔に対応させて切欠孔が設けられる。そして、入力軸内に挿入されるピニオンは、中空軸体の切欠孔及びカムディスクの切欠孔を介して、回転ディスクの内歯と噛合させればよい。
また、本実施形態においては、一方向回転阻止機構としてワンウェイクラッチ17を用いたものを説明した。しかし、本発明の動力伝達装置における一方向回転阻止機構はワンウェイクラッチに限らず、例えば、揺動リンクから出力軸にトルクを伝達可能な回転方向を切換自在に構成されるツーウェイクラッチを用いてもよい。
次に、図3〜図4を参照して、本実施形態の無段変速機のてこクランク機構20について説明する。
図2に示すように、てこクランク機構20は、コネクティングロッド15と、揺動リンク18と、回転ディスク6を有しその回転半径を調節自在な回転半径調節機構4とで構成されている。てこクランク機構20によって、入力軸の回転運動が、揺動リンク18の揺動運動に変換される。
てこクランク機構20では、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)が、「0」でない場合、入力軸2とピニオンシャフト7とを同一速度で回転させると、各コネクティングロッド15が位相を変えながら、入力軸2と出力軸3との間で揺動端部18aを出力軸3側に押したり入力軸2側に引いたりを交互に繰り返して、揺動リンク18を揺動させる。
そして、揺動リンク18と出力軸3との間にはワンウェイクラッチ17が設けられているので、コネクティングロッド15によって、揺動リンク18が出力軸3に対して一方側に、出力軸3の回転速度を超える速度で回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して固定され、出力軸3にトルクを伝達する。一方、揺動リンク18が出力軸3に対して他方側に回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して空回りし、出力軸3にトルクを伝達しない。
本実施形態の無段変速機1では、8個のてこクランク機構20の回転半径調節機構4が、それぞれ45度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は、8個のてこクランク機構20で順に回転させられる。
図3A〜Dは、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)を変化させた状態のピニオンシャフト7と回転ディスク6との位置関係を示す図である。
図3Aは、偏心量R1を「最大」とした状態を示し、入力軸2の回転中心軸線P1とカムディスク5の中心P2と回転ディスク6の中心P3とが一直線に並ぶように、ピニオンシャフト7と回転ディスク6とが位置する。この場合の変速比hは「最小」となる。
図3Bは、偏心量R1を図3Aよりも小さい「中」とした状態を示し、図3Cは、偏心量R1を図3Bよりも更に小さい「小」とした状態を示している。変速比hは、図3Bでは図3Aの変速比hよりも大きい「中」となり、図3Cでは図3Bの変速比hよりも大きい「大」となる。
図3Dは、偏心量R1を「0」とした状態を示し、入力軸2の回転中心軸線P1と、回転ディスク6の中心P3とが同心に位置する。この場合の変速比hは「無限大(∞)」となる。
図4A〜Dは、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)と、揺動リンク18の揺動運動の揺動範囲θ2との関係を示す図である。
図4Aは、偏心量R1が図3Aの「最大」である場合(変速比hが「最小」である場合)の揺動範囲θ2を示し、図4Bは、偏心量R1が図3Bの「中」である場合(変速比hが「中」である場合)の揺動範囲θ2を示し、図4Cは、偏心量R1が図3Cの「小」である場合(変速比hが「大」である場合)の揺動範囲θ2を示し、図4Dは、偏心量R1が図3Dの「0」である場合(変速比hが「無限大(∞)」である場合)の揺動範囲θ2を示す。
ここで、R2は、出力軸3の回転中心軸線P5からコネクティングロッド15と揺動端部18aとの連結点、すなわち、連結ピン19の中心(出力側支点P4)までの距離である。また、θ1は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の回転位相である。
この図4A〜Dから明らかなように、偏心量R1が小さくなるにつれ、揺動リンク18の揺動範囲θ2が狭くなり、偏心量R1が「0」になった場合には、揺動リンク18は揺動しなくなる。
次に、図5を参照して、本実施形態の無段変速機1の揺動リンク18の構成及び位相の検出方法について詳細に説明する。
図5に示すように、揺動リンク18は、コネクティングロッド15と連結する揺動端部18aと、出力軸3に軸支される環状部18dと、環状部18dの外周面に設けられた被検出部18eとを有している。なお、図2においては、揺動リンク18の被検出部18eは省略している。
また、無段変速機1は、変速機ケース21に固定され、被検出部18eまでの距離xを検出する距離センサ23を備えている。なお、図5においては、変速機ケース21は図示省略している。
さらに、無段変速機1は、距離センサ23が検出した値に基づいて、予め求めておいた距離xと位相θとの関係の表すデータから、揺動リンク18の位相θを算出し、その算出した位相θに基づいて、回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)を推定する制御部ECUを備えている。
すなわち、距離センサ23と制御部ECUとによって、位相検出部と制御部が構成されている。
揺動リンク18の被検出部18eの距離センサ23側の面の形状は、その面から距離センサ23までの距離xの変化率が揺動リンク18の位相θの変化に対し一定となる形状となっている。
具体的には、揺動リンク18の位相θと、距離センサ23から被検出部18eの距離センサ23側の面までの距離xとの関係が直線となるように、被検出部18eの距離センサ23側の面が形成されている。
また、図5に示すように、被検出部18eが、揺動リンク18の環状部18dの周方向に向かって延び、その中心角が揺動リンク18の最大揺動範囲θ2よりも大きく形成されている。
本実施形態の無段変速機1では、制御部ECUが、てこクランク機構20から最終的にトルクが伝達される出力軸3に軸支されている揺動リンク18の位相θに基づいて、回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)を推定している。
そのため、本実施形態の無段変速機1では、揺動リンク18よりも入力軸2側の構成部材(例えば、コネクティングロッド15)にねじれやたわみが生じている場合であっても、推定される回転半径(偏心量R1)の値が、変速比hや出力軸3に伝達されるトルクの制御に対する実効的な値になる。
また、本実施形態の無段変速機1では、被検出部18eの距離センサ23側の面の形状が、その面から距離センサ23までの距離xの変化率が揺動リンク18の位相θの変化に対し一定となる形状となっており、揺動リンク18の位相θの全範囲において、距離xの変化率が小さい範囲が存在しない。
そのため、本実施形態の無段変速機1では、被検出部18eの距離センサ23側の面の形状を単純な円弧にした場合のように、揺動リンク18の位相θが変化しているにも関わらず距離xがほぼ変化しないということがなく、揺動リンク18の位相θの全範囲において、精度よく距離xを検出することができる。
また、本実施形態の無段変速機1では、被検出部18eが、揺動リンク18の環状部18dの周方向に向かって延び、その中心角が揺動リンク18の最大揺動範囲θ2よりも大きく形成されている。
そのため、本実施形態の無段変速機1では、揺動リンク18の位相θがどのような値であっても、被検出部18eが距離センサ23に対向するので、距離センサ23が、常に距離xを検出し、距離xの変化から揺動リンク18の位相変化を求めて、回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)を推定することができる。
したがって、本実施形態の無段変速機1によれば、揺動リンク18の位相θ検出し、回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)を精度よく推定することができる。そして、そのようにして推定された回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)に基づいて、フィードバック等の制御を行っているので、出力軸3に伝達されるトルクや変速比hを精度よく制御することができる。
ところで、車両が極めて低速で走行している場合などでは、距離センサ23によって検出した距離の最大値と最小値との変化量よりもノイズ(雑音)の影響が大きくなってしまう場合がある。この場合、微小な偏心量R1領域の振幅値がノイズ(雑音)に埋もれてしまい、偏心量R1を明確に判定することができないという問題がある。
この問題を解決すべく距離センサ23の信号雑音比(signal-noise ratio)を上げるために、距離センサ23に電磁シールド構造を施すことも考えられるがコストが嵩んでしまう。
そこで、本実施形態の動力伝達装置では、8つのてこクランク機構のうちの何れか1つを第1基準変速ユニットと定義し、第1基準変速ユニットに対して、てこクランク機構のカムディスクの偏心方向の位相がπ/2(90°)だけずれている1つのてこクランク機構を第2基準変速ユニットと定義している。
図6に示すように、第1基準変速ユニットと第2基準変速ユニットに距離センサ23を夫々設けている。各距離センサ23の検出信号は制御部ECUで受信される。制御部ECUは、両距離センサ23から受信した検出信号を増幅回路で増幅させる。
また、制御部ECUは、原動機に設けられた回転数センサから回転数信号を受信する。制御部ECUは、受信した回転数信号から基準となる基準余弦波を生成する。
そして、基準余弦波と増幅された2つの検出信号を処理して、偏心量R1を高精度で検出する。
図7に示すように、制御部ECUは、原動機が作動中である場合には、STEP1で、原動機がアイドリング回転であるか否かを確認する。なお、原動機を始動させたばかりのときは、暖気のために燃料が多く供給され、アイドリング回転も通常より高くなる。このため、原動機始動のときには、STEP1のアイドリング回転数の判定値を高く補正している。原動機がアイドリング回転でないときには、STEP1を繰り返す。
STEP1で原動機がアイドリング回転であるときには、STEP2に進み、距離センサ23の信号から原動機の回転数の1次成分を取り出して、R1を検出する。
そして、STEP3に進み、偏心量R1が「0」になるように最急降下法を用いて調節用駆動源14を制御する。そして、STEP4に進み、距離センサ23の信号の変化がないか又は変化がないと判定してもいい程度に微小な変化しか検出されていないか否かを確認して変速比が無限大のギヤニュートラル状態であるか否かを確認する。
ギヤニュートラル状態でない場合には、STEP2に戻る。STEP4でギヤニュートラル状態である場合には、STEP5に進み、ギヤニュートラルとなる距離xを学習、制御部内の記憶装置に記憶して、動力伝達装置の準備を完了する。
次に、図8を参照して、制御部ECUの信号処理の詳細を説明する。制御部ECUは、原動機の回転軸(クランクシャフト)の角速度センサから受信した角速度ωにローパスフィルタ処理を施した後、この角速度ωを用いて、次式(1)からθを求める。
θ=ωt−∫(dω/dt)tdt ・・・(1)
そして、制御部ECUは算出したθを用いてcosθを求める。
また、各距離センサ23から受信した信号(電圧)は直流である。また、距離センサ23の波形は複数の正弦波又は余弦波が組み合わされたものである。ここで、雑音(ノイズ)などの周波数を除いた有効な周波数の範囲において最も低い周波数を1次成分と定義し、この周波数から高くなる順に各周波数を2次成分、3次成分と順に定義する。例えば、アイドリング回転数が600rpmであるときを考えてみると、周波数は10Hzとなるので、1次成分を10Hzと定義し、20Hzを2次成分、30Hzを3次成分と順次定義する。
ここでは、距離センサ23の信号を交流成分に変換して解析したいので、信号波形の1次成分以下の周波数成分をカットすべく、1次ハイパスフィルタ処理(例えば、fc=2Hz)を施して直流を夫々除去して交流成分に変換する。
そして、各距離センサ23からの1次ハイパスフィルタ処理済の検出値と、原動機の回転角速度から算出したCOSθの余弦波とを積算して検波する。その後、例えば4次成分のローパスフィルタ処理(例えば、fc=5Hz)を夫々施して、周波数成分(次数成分)の振幅の平均値をとり、各値を二乗してから和して平方根を取り除き、得られた値を同期検波後のセンサ信号とする。
仮に、原動機の回転速度の1次成分の値(0からピーク値までの値)が1Vの場合、1次COSθとの積の二乗和の平方根は0.5Vとなる。
本実施形態の動力伝達装置によれば、電磁シールドを用いることなく、同期検波処理によって、距離センサの信号雑音比(S/N)を上げることができる。
また、本実施形態では、カムディスクの偏心方向の位相差がπ/2(90°)の2つのてこクランク機構を第1及び第2変速ユニットとして夫々に距離センサ23を設けている。そして、この2つの距離センサ23から得られる信号を、原動機の回転速度から求めたCOSθで同期検波している。このため、原動機の回転速度から互いが直交関係の直交関数を2つ算出する必要がなく、具体例を挙げれば、原動機の回転速度の変動から正弦波と余弦波を算出する必要がなく、制御部の演算処理工程数を減少させることができ、迅速に偏心量R1の学習を行うことができる。
また、一方の距離センサ23が故障しても、他方の距離センサ23の検出値に基づき、原動機の回転速度の変動から正弦波と余弦波を算出すれば、同期検波を行うことも可能であり、動力伝達装置の信頼性を向上させることができる。
図11Aのグラフは車両の走行速度の変化を示している。図11Bのグラフは図11Aに対応する距離センサの信号の変化を示している。図11Bのグラフは、本実施形態の制御部による演算処理を適用する前の従来の回転半径の値の変化を示しているとも言える。図11Bからも明らかなように低速時においては、距離センサ23の信号が雑音(ノイズ)に埋もれてしまい、回転部としての回転ディスク6の回転半径を精度よく検出することができない。図11Cのグラフは第1実施形態の制御部の演算処理を行った結果の回転半径の値の変化を示している。図11Cのグラフの信号の中央の値が平均値となる。
[第2実施形態]
次に、図9及び図10を参照して、本発明の動力伝達装置の第2実施形態について説明する。
図9に示すように、第2実施形態の動力伝達装置は、距離センサ23が1つしか設けられておらず、制御部ECUは、原動機の回転角速度センサからの信号に基づき、基準となる基準余弦波を得ると共に、基準余弦波の位相をπ/2(90°)ずらした基準となる基準正弦波を求める点を除き、第1実施形態と同一に構成される。
制御部ECUは、原動機の回転軸(クランクシャフト)の角速度センサから受信した角速度ωにローパスフィルタ処理を施した後、この角速度ωを用いて、次式(1)からθを求める。
θ=ωt−∫(dω/dt)tdt ・・・(1)
そして、制御部ECUは算出したθを用いて余弦波cosθを求める。
また、求められたcosθの位相をπ/2(90°)ずらして、正弦波sinθを求める。
図10に示すように、距離センサ23から受信した信号(電圧)は直流である。また、距離センサ23の波形は複数の正弦波又は余弦波が組み合わされたものである。ここで、雑音(ノイズ)などの周波数を除いた有効な周波数の範囲において最も低い周波数を1次成分と定義し、この周波数から高くなる順に各周波数を2次成分、3次成分と順に定義する。ここでは、距離センサ23の信号を交流成分に変換して解析したいので、信号波形の1次成分以下の周波数成分をカットすべく、1次ハイパスフィルタ処理(例えば、fc=2Hz)を施して直流を夫々除去して交流成分に変換する。
そして、距離センサ23からの1次ハイパスフィルタ処理済の検出値を、原動機の回転角速度から算出したcosθの余弦波とsinθの正弦波とに夫々積算して検波する。その後、例えば4次成分のローパスフィルタ処理(例えば、fc=5Hz)を夫々施して、周波数成分(次数成分)の振幅の平均値をとり、各値を二乗してから和して平方根を取り除き、得られた値を同期検波後のセンサ信号とする。
仮に、原動機の回転速度の1次成分の値(0からピーク値までの値)が1Vの場合、1次COSθとの積の二乗和の平方根は0.5Vとなる。
本実施形態の動力伝達装置によれば、電磁シールドを用いることなく、同期検波処理によって、距離センサの信号雑音比(S/N)を上げることができる。
また、第2実施形態の動力伝達装置によっても、図11A〜図11Cに示すグラフのように、回転部としての回転ディスク6の回転半径を精度よく検出することができる。図11Aのグラフは車両の走行速度の変化を示している。図11Bのグラフは図11Aに対応する距離センサの信号の変化を示している。図11Bのグラフは、本実施形態の制御部による演算処理を適用する前の従来の回転半径の値の変化を示しているとも言える。図11Cのグラフは第1実施形態の制御部の演算処理を行った結果の回転半径の値の変化を示している。図11Cのグラフの信号の中央の値が平均値となる。
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は両実施形態に限られるものではない。
例えば、両実施形態においては、距離センサ23を用いて、被検出部18e又は被検出部材26までの距離を検出し、その値に基づいて、揺動リンク18の位相θを算出し、回転ディスク6の回転半径(偏心量R1)の推定を行っている。しかし、本発明の位相検出部及び制御部は、必ずしもそのような構成に限定されるものではなく、揺動リンクの位相を検出し、その位相に基づいて回転部の回転半径を算出できるものであればよい。
また、本発明の無段変速機の被検出部材の形状は、実施形態に示したような形状に限られるものではなく、揺動リンクの環状部の径に変化が生じた際に接触しないような形状であればよい。例えば、重量増加を抑えるための肉抜き等をしてもよい。
また、本実施形態においては、変速ユニットとしてのてこクランク機構が8つ設けられた無段変速機を用いて説明したが、本発明の変速ユニットの数はこれに限らず、複数あればよい。第1実施形態の動力伝達装置においては、位相差が90°となる2つの変速ユニットを備えていればよい。
また、両実施形態においては、各てこクランク機構のカム部の偏心方向を入力軸の一方から順に45°間隔で偏心させたものを説明したが、本発明の複数のカム部の偏心方向はこれに限らない。例えば、てこクランク機構を6つで構成し、6つのカム部を入力軸の一方から順に120°、120°、−60°、120°、120°、又は、180°、60°、180°、60°、180°の偏心方向の位相間隔で配置してもよい。
1 無段変速機
2 入力軸
3 出力軸
4 回転半径調節機構
5 カムディスク(カム部)
5a 貫通孔
5b 切欠孔
6 回転ディスク(回転部)
6a 受入孔
6b 内歯
7 ピニオンシャフト
7a ピニオン
7b ピニオン軸受
8 差動機構
9 サンギヤ
10 第1リングギヤ
11 第2リングギヤ
12 段付ピニオン
12a 大径部
12b 小径部
13 キャリア
14 アクチュエータ(調節用駆動源)
14a 回転軸
15 コネクティングロッド
15a 入力側環状部
15b 出力側環状部
16 コネクティングロッド軸受
17 ワンウェイクラッチ(一方向回転阻止機構)
18 揺動リンク(揺動部)
18a 揺動端部
18b 突片
18c 差込孔
18d 環状部
18e 被検出部(被検出部材)
19 連結ピン
20 てこクランク機構
21 変速機ケース
21a 一端壁部
21b 他端壁部
21c 周壁部
22 軸受
23 距離センサ
ENG 原動機
P1 入力軸の回転中心軸線
P2 カムディスク5の中心
P3 回転ディスク6の中心(入力側支点)
P4 連結ピン19の中心(出力側支点)
P5 出力軸3の回転中心軸線
Lx P1とP2の距離
Ly P2とP3の距離
R1 P1とP3の距離(偏心量,回転部の回転半径)
R2 P4とP5の距離(揺動リンク18の長さ)
θ1 回転ディスク6の位相
θ2 揺動リンク18の揺動範囲
θ 揺動リンクの位相
x 被検出部材の外周面から距離センサまでの距離。

Claims (5)

  1. 原動機の駆動力が伝達される入力軸と、
    前記入力軸の回転中心軸線と平行に配置された出力軸と、
    前記出力軸に揺動自在に軸支され且つ揺動端部を有する揺動部と、
    前記入力軸の回転運動を前記揺動部の揺動運動に変換するてこクランク機構と、
    前記揺動部が前記出力軸に対して一方側に回転しようとするとき前記揺動部を前記出力軸に固定し、前記揺動部が前記出力軸に対して他方側に回転しようとするとき前記揺動部を前記出力軸に対して空転させる一方向回転阻止機構と、を備え、
    前記てこクランク機構は、前記入力軸と一体的に回転可能な回転部と、前記回転部の回転半径を調節自在な回転半径調節機構と、前記揺動部と、一方の端部が前記回転部に連結され、他方の端部が前記揺動端部に連結されたコネクティングロッドとを備え、
    前記揺動部は、前記出力軸に軸支される環状部を有し、
    前記回転部の前記回転半径を前記回転半径調節機構で変化させることによって、変速比を変更可能な動力伝達装置であって、
    前記原動機の回転数を検出する駆動源回転数検出部と、
    前記原動機の回転数から該回転数に同期した直交関数を生成する直交関数生成部と、
    前記原動機の駆動力に同期して揺動する揺動部の位相を検出する位相検出部と、
    前記位相検出部で検出された位相信号を前記直交関数で同期検波することで該位相信号において前記直交関数と相関する成分を検出する相関成分検出部と、
    前記相関する成分に基づいて前記回転部の回転半径を算出する制御部と、を備えることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記原動機が始動したときに前記変速比が無限大となるように前記制御部によって算出された回転半径に基づいて前記回転半径調節機構によって前記回転半径を調節し、
    前記変速比が無限大となったときの回転半径を記憶する記憶装置を備えることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2記載の動力伝達装置であって、
    前記原動機は内燃機関であり、
    前記内燃機関が始動したときは前記内燃機関がアイドリング回転になったときであることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の動力伝達装置であって、
    第1基準変速ユニットと、前記第1基準変速ユニットとの偏心方向の位相差が90°である第2基準変速ユニットとを備え、
    前記第1基準変速ユニット及び前記第2基準変速ユニットは、前記位相検出部を備え、
    前記直交関数生成部は、前記第1基準変速ユニット及び前記第2基準変速ユニットに設けられた前記位相検出部から送信される波形を用いることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記直交関数生成部は、1つの変速ユニットの位相検出部から出力される位相信号を第1基準信号とし、該第1基準信号の位相をπ/2だけずらした位相信号を第2基準信号として、直交関数を生成することを特徴とする動力伝達装置。
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