JP6100563B2 - ニッケルナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
従来の技術において、粒径100nm以下のニッケル粒子については、以下のような製造方法が提案されている。
ニッケル化合物溶液とヒドラジン化合物溶液とから、ニッケル−ヒドラジン錯体溶液を生成する工程と、
前記生成したニッケル−ヒドラジン錯体溶液を固液分離し、ニッケル−ヒドラジン錯体を得る工程と、
前記得られたニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄し、洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体を得る工程と、
前記洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体と、凝集防止剤と、アルカリとを、溶媒へ添加してニッケルナノ粒子を製造する工程とを有することを特徴とするニッケルナノ粒子の製造方法である。
第2の発明は、
前記ニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄する工程において、
洗浄液として純水を用い、当該洗浄液を、ニッケル−ヒドラジン錯体を通過させることで洗浄を行い、当該洗浄後における洗浄液の酸化還元電位が−700mV以上となるまで洗浄を継続することを特徴とする第1の発明に記載のニッケルナノ粒子の製造方法である。
第3の発明は、
前記ニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄する工程の後、洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体の含有する水分量が2質量%以下になるまで乾燥させることを特徴とする、第1または第2の発明のいずれかに記載のニッケルナノ粒子の製造方法である。
第4の発明は、
前記凝集防止剤としてポリエチレンイミンを用いることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載のニッケルナノ粒子の製造方法である。
第5の発明は、
前記ポリエチレンイミンの平均分子量が20000以下であることを特徴とする第4の発明に記載のニッケルナノ粒子の製造方法である。
第6の発明は、
前記ポリエチレンイミンの平均分子量が2000以下であることを特徴とする第4の発明に記載のニッケルナノ粒子の製造方法である。
本発明に係るニッケルナノ粒子の製造方法は、ニッケル−ヒドラジン錯体の製造工程、ニッケル−ヒドラジン錯体の分離工程、ニッケル−ヒドラジン錯体の洗浄工程、ニッケル−ヒドラジン錯体の乾燥工程、凝集防止剤の溶解工程、ニッケル−ヒドラジン錯体の再分散工程、ニッケルナノ粒子の製造工程を有する。まず、当該各製造工程について説明する。
ニッケル−ヒドラジン錯体を製造する工程である。
まず、ニッケル塩の水溶液を準備する。ニッケル塩としては、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケルなどから選択される1種類以上用いることが出来るが、原料コストや作業性の観点から塩化ニッケルまたは硫酸ニッケルが好ましい。
ニッケル塩水溶液の濃度は、0.1〜3.0モル/Lが好ましい。0.1モル/L以上であれば生産性が良く、3.0モル/L以下であれば、製造したニッケル−ヒドラジン錯体の凝集が回避出来る。
溶媒として、濃度が40〜80質量%のヒドラジン水溶液を準備する。ヒドラジン水溶液の濃度が40質量%以上であれば反応が効率良く進行し、80質量%以下であれば操作上の安全面から好ましいからである。
ヒドラジン原料としては、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物(80質量%)、ヒドラジン塩化物を用いることが出来るが、安全面の観点からヒドラジン一水和物が好ましい。
溶媒へのヒドラジンの添加量は、当該ヒドラジン水溶液に添加されるニッケル1モルに対して、当量を超えた過剰量である2.0〜12モル、好ましくは2.5〜12モル、さらに好ましくは2.5〜6.0モルとする。当該ヒドラジン水溶液中に、ニッケル1モルに対してヒドラジンが2.0モル以上であれば、未反応のニッケルが生ぜず、ヒドラジンが12モル以下であれば添加効率が保てるからである。
準備したニッケル塩の水溶液を、大気下、N2、Arなどの不活性ガス雰囲気下、好ましくはN2雰囲気下に置き、撹拌羽根を用いて700rpm以下で撹拌しながら20〜60℃、好ましくは40℃〜60℃に加温する。
当該添加中のヒドラジン水溶液の液温は20〜60℃、好ましくは20〜30℃とする。
生成するニッケル−ヒドラジン錯体は[Ni(N2H4)3]Cl2、[Ni(N2H4)2]Cl2と考えられる。ニッケル−ヒドラジン錯体の一次形状は殆ど球状となるが、楕円状、針状であってもよい。ニッケル−ヒドラジン錯体の二次凝集径は1μm以下とすることが好ましい。
製造したニッケル−ヒドラジン錯体を、溶液から固液分離する。
具体的には、生成したニッケル−ヒドラジン錯体を、加圧ろ過、吸引ろ過、フィルタープレス等(但し、孔径が1μm以下であることが好ましい。)を用いて溶液から分離する。この際、分離された固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)に厚みがあることが望ましい。これは、後述する洗浄工程において通水洗浄する際に、短時間でも固形物に保水させ、未反応であった遊離のヒドラジンを分散、分離するためである。例えば、当該厚みの最も薄い箇所でも1mm以上、最も厚い箇所でも30mm以下となるように分離装置の設定、または、ニッケル−ヒドラジン錯体量を調整することが好ましい。この結果、後工程のニッケル−ヒドラジン錯体の洗浄工程において、固形物における保水性と通水性とのバランスを図ることとなり、当該固形物内部の未反応であった遊離のヒドラジンの残留を除去することができるからである。
固液分離した固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を洗浄し未反応であった遊離のヒドラジン(本発明において「未反応ヒドラジン」と記載する場合もある。)を除去する。これは、当該工程において固形物内部の未反応であった遊離のヒドラジンを除去することにより、後工程である「ニッケルナノ粒子の製造工程」において、容易且つ良好にニッケルナノ粒子が生成するからである。
具体的な洗浄方法としては、上記固液分離して得られた1mm〜30mmの厚みを有する固形物へ、洗浄溶媒を通過させることで洗浄するのが好ましい。洗浄溶媒には純水、エタノール、2−プロパノール、アセトン、またはこれらの混合溶媒を用いることができるが、コスト、生産性の観点から純水が最も好ましい。
このように固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を定置し、通水することで固形物内にある未反応のヒドラジンを好適に洗い出すことができる。
洗浄を終了した固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を乾燥させる。
具体的には、上記洗浄を終了した固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を回収し、乾燥装置にて乾燥させる。乾燥装置はN2ガスを流した乾燥機やオーブン、真空乾燥機などが使用できるが、真空乾燥機の方が固形物内部の水分も除去することができるため好ましい。乾燥させる際には固形物をできるだけ細かく粉砕し、その厚みが、できるだけ薄くなるように広げておくことが好ましい。こうすることで水分が蒸発しやすくなる。固形物の乾燥条件は、乾燥温度は20〜50℃、好ましくは30〜50℃、減圧度は大気圧を基準として、−0.05MPa以下が好ましい。減圧時にはN2ガスを流して乾燥を促進させることも可能である。乾燥させた固形物中の水分量が2質量%以下となる迄、実施することが望ましい。固形物中の水分量が2質量%以下であれば、ニッケル−ヒドラジン錯体の分解を抑制することが可能だからである。
上記より得られた乾燥させたニッケル−ヒドラジン錯体と、凝集防止剤と、アルカリとを、溶媒へ添加して分散液を得る。
具体的には、乾燥させたニッケル−ヒドラジン錯体を、凝集防止剤を分散または溶解させた溶媒(純水が好ましい。)中に添加し、超音波処理やミキサーなどによって攪拌し、ニッケル−ヒドラジン錯体を溶媒中に分散させ、分散液を得ることが好ましい。尚、本発明において、溶媒に凝集防止剤を添加して「分散または溶解させた旨」を記載したのは、当該溶媒への凝集防止剤の添加量と溶解度との関係から、凝集防止剤が当該溶媒に溶解する場合と、溶解しきれずに分散する場合とがあることを説明したものである。
尤も、乾燥させたニッケル−ヒドラジン錯体の分散は、次のニッケルナノ粒子製造工程でアルカリの添加と同時に行っても良いが、より分散性の高いニッケルナノ粒子を得るためには、予め溶媒等の液に分散させる方が良い。また凝集防止剤の添加は、ニッケル−ヒドラジン錯体を溶媒中に分散させた後でも良い。溶媒の温度は、ニッケル−ヒドラジン錯体の分解を回避する観点から30℃以下が好ましい。
本発明に係る凝集防止剤はニッケル−ヒドラジン錯体の再分散工程において溶媒中に分散させておき、本発明に係るニッケルナノ粒子をペーストやインクの原料として使用する際、当該ニッケルナノ粒子の凝集を抑制し分散性を維持させる為のものである。つまり、本発明に係る凝集防止剤は、ニッケル−ヒドラジン錯体から生成するニッケルナノ粒子の表面に付着して被覆することで、ニッケルナノ粒子同士の凝集を抑制するものである。そして、上記ニッケル−ヒドラジン錯体の再分散工程において溶媒(純水が好ましい。)中に分散させる観点から、当該凝集防止剤は水溶性であることが好ましい。
当該凝集防止剤の添加量が、前記ニッケル化合物溶液中に含有されるニッケル量の3.0モル%以下(但し、凝集防止剤のモル数は、当該凝集防止剤の平均分子量をもって算出した。)であれば、後述するニッケルナノ粒子の製造工程においてニッケルの還元が進み、ニッケルナノ粒子を得ることが出来る。さらに、当該凝集防止剤の添加量が、前記ニッケル化合物溶液中に含有されるニッケル量の0.02モル%以上(同上)、0.3モル%以下(同上)、さらに好ましくは0.026%以上(同上)、0.26モル%以下(同上)であれば分散性の良好なニッケルナノ粒子を得ることが出来た。
水中に分散したニッケル−ヒドラジン錯体から、ニッケルナノ粒子を製造する工程である。
得られた分散液を攪拌しながら20〜60℃、好ましくは30〜50℃まで昇温してからアルカリを添加する。分散液が60℃以下なら、ニッケル−ヒドラジン錯体が安定だからである。このとき撹拌羽根等を用いて十分に撹拌することが好ましい(例えば700rpm)。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が使用できる。これらアルカリ水溶液の濃度は、50質量%以下であると水溶液の粘度が上昇せず、作業性に優れる。
加温された分散液へのアルカリの添加量は、分散液に含まれるニッケル−ヒドラジン錯体中のニッケル1モルに対して、3〜12モル、好ましくは6〜12モル、最も好ましくは12モルである。
分散液への、アルカリの添加方法は、一挙に添加することが好ましく、添加時間10秒以内で加圧添加することも好ましい。添加速度が速いと、ニッケル−ヒドラジン錯体の還元が一斉に開始され、生成するニッケルナノ粒子の粒径分布が狭くなり好ましい。
アルカリの添加時の雰囲気は、大気下、N2雰囲気下、Arなどの不活性ガス雰囲気下とするのが好ましい、中でもN2雰囲気下が好ましい。
当該アルカリの添加後、分散液を1時間〜4時間、好ましくは1時間〜2時間、熟成させてニッケルナノ粒子を生成させる。
固液分離および洗浄方法としては、加圧ろ過、吸引ろ過、フィルタープレス等が使用できる(但し、孔径が0.5μm以下であることが好ましい。)。洗浄水は、製造したニッケルナノ粒子の重量の10倍以下が好ましく、さらには5〜7倍が好ましい。
乾燥は低温乾燥が好ましいので、真空乾燥機、N2、Arなどの不活性ガス流通下での乾燥が好ましい。具体的には、20℃〜50℃、好ましくは30℃〜50℃の温度下とし、N2雰囲気下か、真空乾燥にて12時間以上乾燥させることが好ましい。
また、当該真空乾燥の前に、固液分離されたニッケルナノ粒子をエタノール、2−プロパノール等を用いてアルコール洗浄し、水分を除去しておくことも好ましい構成である。
本発明に係るニッケルナノ粒子は、表面が凝集防止剤によって被覆され、走査型電子顕微鏡画像から算出した一次粒子径が100nm以下であり、動的光散乱粒度分布測定により測定される二次粒子径が200nm以下に分散しているニッケルナノ粒子である。
当該構成を有する本発明に係るニッケルナノ粒子は、平均粒径100nm以下であっても有機溶媒中での分散に優れていた。この結果、例えば、ニッケルナノ粒子に、所定量のテルピネオールおよび所定量のエチルセルロースを加えて3本ロールで混練するといった公知の方法で、容易に、一次粒子径が100nm以下であり、かつ二次凝集の少ない分散性の良好な高特性のニッケルペーストを製造することが出来た。
製造されたニッケルペーストは、小型化、高性能化されたエレクトロニクス用途のニッケルペーストとして好適なものであった。
(ニッケル−ヒドラジン錯体の製造)
塩化ニッケル・六水和物(和光純薬工業製)15.21gを純水27.67gに溶解させ、15分間かけて温度60℃に調温し、N2雰囲気下で回転羽根により700rpmで撹拌しながら、20℃に調温した80質量%ヒドラジン一水和物(昭和化学製)9.98gを、1g/minの速度で連続的に添加し、ニッケル−ヒドラジン錯体を生成した。
ニッケル−ヒドラジン錯体が生成した液を、加圧ろ過器(KST−142、東洋濾紙会社製)を使用し、固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を回収した。濾紙は孔径1.0μmのPTFE濾紙(H100A142C、東洋濾紙会社製)を用いた。
回収された固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)は、PTFE濾紙上に、厚みが最も薄い箇所で2mm以上、最も厚い箇所で5mm以下であった。次に純水500mlを投入することで、未反応のヒドラジンなどの不純物を洗い流した。この時、通水後の洗浄液の酸化還元電位は−448mVであった。
洗浄した固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)を減圧乾燥機内に装填し、減圧度を−0.05MPa以下にしてN2ガスを流しながら、室温で12時間以上減圧乾燥を行った。
純水17g中にポリエチレンイミン(和光純薬工業製、平均分子量600)を0.1g(平均分子量換算でニッケル量に対し0.26モル%)添加し、超音波分散によって溶解させた。
乾燥した固形物(ニッケル−ヒドラジン錯体)12gを上記ポリエチレンイミンを溶解させた溶液と混合し、超音波処理をしながら10分間程度攪拌を行い、分散液を得た。
N2雰囲気下にて、当該分散液を攪拌しながら15分間で50℃まで昇温し、20℃に調温した濃度50質量%の水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業製)63.21gを一挙に添加した。当該水酸化ナトリウム溶液添加後、当該分散液を2時間熟成し、ニッケルナノ粒子を製造した。
生成した固形物(ニッケルナノ粒子)を加圧ろ過器によって回収し、純水2Lで洗浄した。濾紙は孔径0.2μmのPTFE濾紙(H020A142C、東洋濾紙会社製)を用いた。そして、生成した固形物を2−プロパノール300mlでアルコール洗浄した。その後、固形物(ニッケルナノ粒子)を減圧乾燥機内に装填し、−0.05MPa以下に減圧しN2ガスを流しながら、室温で12時間減圧乾燥を行って実施例1に係るニッケルナノ粒子を得た。
〈一次粒子径測定〉
実施例1に係るニッケルナノ粒子の一次粒子径を、走査型電子顕微鏡S−4700(日立製作所製)を用いて測定した。具体的には、当該走査型電子顕微鏡により得られた11万倍率(一部50万倍率)の画像を用い、粒子径測定用ソフトウェアMotic Images Plus(ホーザン製)により、ニッケルナノ粒子の一次粒子径を算出した。
算出する粒子数は信頼性の観点より、200個以上の粒子から算出した。算出した粒子径の値を計算ソフトにてヒストグラム解析をすることで、一次粒子径を算出した。ここで言う一次粒子径はヒストグラム解析をした頻度分布における50%粒子径である。
実施例1で得られたニッケルナノ粒子は、略球状の形をしていた。そして、ニッケルナノ粒子の一次粒子径は88nmであった。
実施例1に係るニッケルナノ粒子の5万倍率のSEM写真を、図1に示す。
実施例1に係るニッケルナノ粒子の二次粒子径を、動的光散乱粒度分布測定装置を用いて測定した。具体的には、製造したニッケルナノ粒子0.5gを、溶媒である2−プロパノール100ml中に添加した。次に、その溶媒へ、超音波生成機us−600TCVP(ニッセイ製)にて30秒間超音波を照射し、ニッケルナノ粒子を溶媒中へ分散させた。ニッケルナノ粒子分散後の溶媒に対し、液温25℃の条件にて動的光散乱粒度分布測定装置FPAR−1000(大塚電子製)を用いて二次粒子径を測定した。ここで言う二次粒子径とは、測定された二次粒子の粒度分布の50%粒子径である。
実施例1で得られたニッケルナノ粒子の二次粒子径は160nmであった。
実施例1に係るニッケルナノ粒子の再凝集のし難さを沈降度にて評価した。具体的には、実施例1に係るニッケルナノ粒子0.5gを、溶媒である2−プロパノール100ml中に添加した。次に、その溶媒へ、超音波生成機us−600TCVP(ニッセイ製)にて30秒間超音波を照射し、溶媒中にニッケルナノ粒子を分散させた。ニッケルナノ粒子分散後の分散液を、ガラス製試験管A・15(マルエム製)に移した後、当該試験管の口に栓をし、試験管立てにて24時間室温で静置した。そして、静置後のニッケルナノ粒子の沈殿具合を目視で確認して、評価を行った。
評価方法としては、分散液全体が黒色をしており、沈降している粒子がなければ○、上澄みが、静置初期よりも薄くなっており、沈降物が確認される場合には△、上澄みが透明で、粒子が再凝集により完全に沈降している場合には×と評価した。
実施例1に係るニッケルナノ粒子は、24時間静置後も沈降せずに良好な分散性を示していた。
以上の結果を表1に示す。
実施例1の製造方法において、ポリエチレンイミンの添加量を0.01g(平均分子量換算でニッケルに対し0.026モル%)に変化させた以外は同様の製法にてニッケルナノ粒子の製造を行った。
得られたニッケルナノ粒子は略球状の形をしており、一次粒子径が80nm、二次粒子径は181nmであった。またニッケルナノ粒子の分散液は24時間静置後も良好な分散性を示していた。
得られた実施例2に係るニッケルナノ粒子の特性を、実施例1と同様に表1に示す。
実施例2に係るニッケルナノ粒子の5万倍率のSEM写真を、図2に示す。
実施例2に係るニッケルナノ粒子は、24時間静置後も沈降せずに良好な分散性を示していた。
実施例1の製造方法において、ニッケル−ヒドラジン錯体を生成した後、錯体の洗浄を行わずにニッケルナノ粒子の合成を行った。
まず実施例1と同様にしてニッケル−ヒドラジン錯体の生成を行った。この時の懸濁液の酸化還元電位は−755mVであった。次に錯体の懸濁液を50℃まで冷却した後、ポリエチレンイミン(和光純薬工業製、平均分子量600)0.1g(平均分子量換算でニッケルに対し0.26モル%)を純水1gに溶解させた水溶液を添加した。ポリエチレンイミン水溶液を添加して10分間攪拌した後、水酸化ナトリウム溶液を添加して反応を行った。
その結果、4時間熟成後においても錯体のほとんどはニッケル単体に還元されず、ニッケルナノ粒子を生成することはできなかった。このことより、錯体の洗浄工程がなければニッケルナノ粒子の製造が困難であることが分かった。
比較例1に係るニッケルナノ粒子は得られなかったので、表1にはデータを記載していない。
比較例1に係るニッケル粒子の5万倍率のSEM写真を、図3に示す。
比較例1の製造方法においてニッケル−ヒドラジン錯体がニッケル単体に還元されなかったことから、ポリエチレンイミンの添加量を、比較例2では0.01g(平均分子量換算でニッケルに対し0.026モル%)に減量して添加、比較例3では添加なし、として反応を行った。その結果、2時間熟成後にニッケル粒子を得た。
しかしながら、得られたニッケル粒子は、一次粒子径が比較例2では233nm、比較例3では228nmであり、ニッケルナノ粒子を得ることは出来なかった。一方、二次粒子径は、比較例2では274nm、比較例3では228nmであった。比較例1および比較例2、3の結果より、ニッケルーヒドラジンの錯体洗浄工程がなければ、ニッケルナノ粒子を得ることが困難であることが確認された。
得られた比較例2、3に係るニッケル粒子の特性を、実施例1と同様に表1に示す。
比較例2、3に係るニッケル粒子の5万倍率のSEM写真を、図4、5に示す。
比較例2、3に係るニッケル粒子は、24時間静置後、粒子が再凝集により完全に沈降していた。
実施例1の製造方法において、ポリエチレンイミンを添加しないこと以外は同様の製法にて合成を行い、ニッケルナノ粒子を得た。
得られた比較例4に係るニッケルナノ粒子の特性を表に示す。得られたニッケルナノ粒子は一次粒子径が78nmと、100nm以下となったが、二次粒子径が275nmであり二次凝集していることが分かった。また沈降度評価においても24時間静置後に再凝集して沈殿することから、分散性が良好でないことが分かった。このことより、ポリエチレンイミンを添加しなければ、分散性の良好なニッケルナノ粒子を得ることが困難であることが分かった。
得られた比較例4に係るニッケルナノ粒子の特性を、実施例1と同様に表1に示す。
比較例4に係るニッケルナノ粒子の5万倍率のSEM写真を、図6に示す。
比較例4に係るニッケルナノ粒子は、24時間静置後、粒子が再凝集により完全に沈降していた。
実施例1の製造方法において、ポリエチレンイミンの添加量を3.0g(平均分子量換算でニッケルに対し7.8モル%)として反応を行なった以外は、同様の製法にて合成を行った。
その結果、ニッケルの還元が進まず、ニッケルナノ粒子を得ることは出来なかった。
比較例5に係るニッケルナノ粒子は得られなかったので、表1にはデータを記載していない。
比較例5に係る粒子の5万倍率のSEM写真を、図7に示す。
上述した実施例、比較例より以下のことが判明した。
本発明に係るニッケル−ヒドラジン錯体からニッケル粒子を製造する製造方法において、ニッケル−ヒドラジン錯体の洗浄を本発明条件にすること、またアルカリ添加前に凝集防止剤を添加することで、一次粒子径が100nm以下であり、二次粒子径が200nm以下に分散しており、再凝集しにくい良好なニッケルナノ粒子を、容易に製造することができた。
これに対し、錯体の洗浄を行わないで凝集防止剤をアルカリ添加前に添加する製造方法や、凝集防止剤を添加しない製造方法、凝集防止剤の添加量が適切でない製造方法では、一次粒子径が100nm以下で、かつ分散性の良好なニッケルナノ粒子を得ることは困難であった。
Claims (6)
- ニッケル化合物溶液とヒドラジン化合物溶液とから、ニッケル−ヒドラジン錯体溶液を生成する工程と、
前記生成したニッケル−ヒドラジン錯体溶液を固液分離し、ニッケル−ヒドラジン錯体を得る工程と、
前記得られたニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄し、洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体を得る工程と、
前記洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体と、凝集防止剤と、アルカリとを、溶媒へ添加してニッケルナノ粒子を製造する工程とを有することを特徴とするニッケルナノ粒子の製造方法。 - 前記ニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄する工程において、
洗浄液として純水を用い、当該洗浄液を、ニッケル−ヒドラジン錯体を通過させることで洗浄を行い、当該洗浄後における洗浄液の酸化還元電位が−700mV以上となるまで洗浄を継続することを特徴とする請求項1に記載のニッケルナノ粒子の製造方法。 - 前記ニッケル−ヒドラジン錯体を洗浄する工程の後、洗浄されたニッケル−ヒドラジン錯体の含有する水分量が2質量%以下になるまで乾燥させることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のニッケルナノ粒子の製造方法。
- 前記凝集防止剤としてポリエチレンイミンを用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のニッケルナノ粒子の製造方法。
- 前記ポリエチレンイミンの平均分子量が20000以下であることを特徴とする請求項4に記載のニッケルナノ粒子の製造方法。
- 前記ポリエチレンイミンの平均分子量が2000以下であることを特徴とする請求項4に記載のニッケルナノ粒子の製造方法。
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