JP6083303B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、サーキット走行時のラップタイムを改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
近年、レーシングタイヤでは、ラップタイムを短縮するために、面内曲げ剛性を高めてコーナリングフォースを向上する一方で、面外曲げ剛性を低減して接地性を向上することが求められている。即ち、面外曲げ剛性を低減してトレッド面を撓み易くすることで接地面を広げ、その広い接地面において高い面内曲げ剛性による優れたコーナリングフォースを得ることで、これらの相乗によりコーナリング性能を一段と向上し、ラップタイムを短縮することが出来る。
従来、空気入りタイヤにおいて、ベルト構造にアラミド繊維コード等の高強度の有機繊維コード(非金属材料)を使用することが為されている(例えば、特許文献1参照)。このような高強度の有機繊維コードをベルト層に用いた場合、コードの曲げ剛性が低いため面外曲げ剛性を低減することが出来、その一方で、コードの引張剛性が高いため面内曲げ剛性は高く保つことが出来るので、上述のように低い面外曲げ剛性と高い面内曲げ剛性との相乗によるコーナリング性能の向上が見込める。
しかし、上述のように有機繊維コードを用いた場合、面外曲げ剛性が低いことによって、タイヤの接地面の中央部付近が浮き上がるバックリングが生じ易くなり、却って実接地面積(実際に接地する面積)が減少すると云う問題がある。このようにバックリングが生じて実接地面積が減少すると、特に継続走行時に発生する局部的なゴム劣化がタイヤ性能に大きく影響するようになる。即ち、バックリングが生じたタイヤでは、実接地面積が小さい分、局部的なゴム劣化が生じた部分が実接地面内で占める割合が大きくなり、ゴム劣化によるタイヤ性能の悪化が顕著に現れるようになる。
そのため、ベルト層に有機繊維コードを用いることで高い面内曲げ剛性と低い面外曲げ剛性とを両立してコーナリング性能を高める場合に、上述のバックリングの発生を抑制して、ラップタイムの急落を抑制する(耐ドロップ性を向上する)ことが求められている。
特開2007−015533号公報
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、高い面内曲げ剛性と低い面外曲げ剛性とによってコーナリング性能を高めてラップタイムを改善した空気入りタイヤにおいて、バックリングを抑制して耐ドロップ性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された少なくとも2層の非金属材料からなるベルト層とを有する空気入りタイヤであって、前記ベルト層と前記カーカス層との層間にベルト下補強層を配置し、該ベルト下補強層を構成する補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を0±10°の範囲にすると共に、前記ベルト下補強層の幅を前記ベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置する最内ベルト層の幅の80%以上110%以下にする一方で、下記(1)式で表される前記ベルト下補強層の端部領域における剛性係数GS を下記(2)式で表される前記ベルト下補強層のセンター領域における剛性係数GC よりも低くしたことを特徴とする。
S =MS ×π×dS 2 ×ES /50 (1)
C =MC ×π×dC 2 ×EC /50 (2)
(但し、MS はベルト下補強層の端部領域における補強コードの初期モジュラス(MPa)、dS はベルト下補強層の端部領域における補強コードの半径(mm)、ES はベルト下補強層の端部領域における断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm)、MC はベルト下補強層のセンター領域における補強コードの初期モジュラス(MPa)、dC はベルト下補強層のセンター領域における補強コードの半径(mm)、EC はベルト下補強層のセンター領域における断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm))
本発明は、上述のように、ベルト層を非金属材料から構成しているので、面外曲げ剛性を低減して接地面積を大きくしながら、面内曲げ剛性を高度に維持してコーナリングフォースを向上して、広い接地面において優れたコーナリングフォースを発揮してコーナリング性能を改善することで最速ラップタイムを短縮することが出来る。その一方で、ベルト層とカーカス層との層間に、最内ベルト層の幅の80%以上110%以下の幅を有し、タイヤ周方向に対する傾斜角度が0±10°の範囲にある補強コードからなるベルト下補強層を配置しているので、面外曲げ剛性の低下に伴うバックリングを抑制し、継続走行時のラップタイムの急落を抑制する(耐ドロップ性を向上する)ことが出来る。更に、このベルト下補強層は、そのセンター領域と端部領域とで補強コードの初期モジュラス、コード半径、打ち込み本数から算出される剛性係数が異なり、ベルト下補強層の端部領域における剛性係数GS がセンター領域における剛性係数GC よりも低くなっているので、ベルト下補強層によりバックリングに影響しない端部領域が過度に補強されることを防止し、バックリングの抑制と耐ドロップ性の向上とを効果的に両立することが出来る。
本発明においては、ベルト下補強層の端部領域における剛性係数GS とベルト下補強層のセンター領域における剛性係数GC との比GS /GC が0.3〜0.9の範囲であることが好ましい。このように剛性係数の比を設定することで、センター領域と端部領域との剛性のバランスが更に良好になり、優れた耐ドロップ性を維持しながら、最速ラップタイムを向上することが出来る。
このとき、ベルト下補強層の端部領域における補強コードの打ち込み本数ES とベルト下補強層のセンター領域における補強コードの打ち込み本数EC との比ES /EC が0.3〜0.9の範囲であることが好ましい。また、ベルト下補強層の端部領域における補強コードの半径DS とベルト下補強層のセンター領域における補強コードの半径DC との比DS /DC が0.55〜0.93の範囲であることが好ましい。このように打ち込み本数の比やコード径の比を限定することで、上述の剛性係数の関係を達成し、ベルト剛性のバランスを良好にして、優れた耐ドロップ性を維持しながら、最速ラップタイムを改善することが出来る。
本発明においては、ベルト下補強層を構成する補強コードがナイロン繊維コード、ポリエステル繊維コード、アラミド繊維コードのいずれかであることが好ましい。このようにベルト下補強層を特定の有機繊維コードから構成することで、面外曲げ剛性を低く維持したまま効果的にバックリングを抑制することが出来る。
本発明においては、ベルト層を構成する非金属材料がアラミド繊維コードであることが好ましい。このようにアラミド繊維コードを用いることで、面外曲げ剛性を低減しながら面内曲げ剛性を高めることが出来るので、コーナリング性能と接地性を両立してラップタイムを改善することが出来る。
本発明の空気入りタイヤは、レーシング用空気入りタイヤとして好適に用いることが出来る。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのカーカス層、ベルト下補強層、ベルト層、及びベルトカバー層を抽出して示す平面図である。 本発明及び従来の空気入りタイヤのサーキット走行時のラップタイムの推移を示す説明図である。 本発明の空気入りタイヤのベルト下補強層のタイヤ幅方向の位置と剛性係数との関係の一例を示す説明図である。 本発明の空気入りタイヤのベルト下補強層のタイヤ幅方向の位置と剛性係数との関係の他の例を示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態からなるレーシング用空気入りタイヤを示す。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間には1層のカーカス層4が装架され、このカーカス層4の端部がビードコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。ビードコア5の外周側にはゴムからなる断面三角形状のビードフィラー6が配置されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、タイヤ径方向内側から1層のベルト下補強層10、2層の非金属材料からなるベルト層7,8、ベルトカバー層9がいずれもタイヤ全周に亘って配置されている。
このような断面形状を有する空気入りタイヤにおいて、カーカス層4、ベルト下補強層10、ベルト層7,8、ベルトカバー層9は、図2に示すように配置される。即ち、カーカス層4はタイヤ径方向に対して傾斜するカーカスコード4aを含み、このカーカスコード4aのタイヤ周方向に対する傾斜角度αが45°以上90°未満に設定されている。また、2層のベルト層7,8は、それぞれタイヤ周方向に対して傾斜するベルトコード7a,8aを含み、かつ層間でこれらベルトコード7a,8aが互いに交差するように配置されている。また、これらベルトコード7a,8aのタイヤ周方向に対する傾斜角度βは10°〜40°の範囲に設定されている。更に、外周側のベルト層8の更に外周側に設けられたベルトカバー層9は、略タイヤ周方向に配列されたコード9aを含む。尚、略タイヤ周方向とは、タイヤ周方向に対して0±10°の範囲を意味する。
本発明の空気入りタイヤは、このように構成することで、面内曲げ剛性を高めてコーナリングフォースを向上する一方で面外曲げ剛性を低減して接地性を向上し、広い接地面において優れたコーナリングフォースを発揮するようにし、コーナリング性能を向上してラップタイムを改善している。このとき、カーカスコード4aの傾斜角度αが45°より小さいと、カーカスコード4aがタイヤ周方向に沿って配列するようになるので面内曲げ剛性が低減してコーナリング性能を充分に向上することが出来ない。また、ベルトコード7a,8aの傾斜角度βが10°より小さいとトレッド部1の剛性が高くなり過ぎてコントロール性が低下する。逆に、この傾斜角度βが40°より大きいとトレッド部1の剛性が低くなりタイヤ接地形状が悪化することになる。
一方、カーカス層4とベルト層7との層間に設けられたベルト下補強層10は、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コード10aから構成され、この補強コード10aのタイヤ周方向に対する傾斜角度θは0±10°の範囲に設定されている。また、このベルト下補強層10の幅wは、ベルト層7,8のうちタイヤ径方向最内側に位置するベルト層7(以下、最内ベルト層7という)の幅Wの80%以上110%以下に設定されている。
このようにベルト下補強層10を設けることで、上述のように面外曲げ剛性を低減した結果発生し易くなるバックリングを抑制して、耐ドロップ性を向上することが出来る。即ち、上記ベルト下補強層10によってバックリングを抑えて実接地面積を大きく維持することが出来るので、継続走行時に局部的なゴム劣化が発生しても、局部的なゴム劣化が生じた部分が実接地面内で占める割合が小さく、ゴム劣化が生じていない部分によってタイヤ性能が保たれるので、タイヤ全体としての性能が良好に維持され、継続走行時のラップタイムの急落を抑制する(耐ドロップ性を向上する)ことが出来る。
このとき、補強コード10aがタイヤ周方向に対して10°よりも大きく傾斜していると、直線性が損なわれるので最速ラップタイムが悪化する。また、ベルト下補強層10の幅wが最内ベルト層7の幅Wの80%より小さいと、ベルト下補強層10を設けてもバックリングを抑制する効果が得られない。逆に、ベルト下補強層10の幅wが最内ベルト層7の幅Wの110%より大きいと、タイヤ剛性が過多になり、最速ラップタイムを向上することが出来ない。
更に、本発明においてベルト下補強層10は、そのセンター領域10cと端部領域10sとで剛性の大きさが異なっている。具体的には、下記(1)式で表されるベルト下補強層10の端部領域10sにおける剛性係数GS が下記(2)式で表されるベルト下補強層10のセンター領域10cにおける剛性係数GC よりも低くなっている。
S =MS ×π×dS 2 ×ES /50 (1)
C =MC ×π×dC 2 ×EC /50 (2)
(但し、MS はベルト下補強層10の端部領域10sにおける補強コードの初期モジュラス(MPa)、dS はベルト下補強層10の端部領域10sにおける補強コードの半径(mm)、ES はベルト下補強層10の端部領域10sにおける断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm)、MC はベルト下補強層10のセンター領域10cにおける補強コードの初期モジュラス(MPa)、dC はベルト下補強層10のセンター領域10cにおける補強コードの半径(mm)、EC はベルト下補強層10のセンター領域10cにおける断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm))
このように剛性係数を設定することで、タイヤ接地面の中でタイヤ周方向の接地長が長くバックリングが生じ易いタイヤ幅方向中央側の領域(特に、タイヤ赤道面E近傍の領域)を確実に補強する一方で、バックリングに影響しないタイヤ幅方向端部側の領域がベルト下補強層10により過度に補強されることを防止することが出来る。これにより、バックリングの抑制と耐ドロップ性の向上とを効果的に両立することが出来る。
剛性係数の大小関係が逆転してしまうと、ベルト下補強層10のセンター領域10cの剛性が低くなるため、バックリングが生じ易いタイヤ幅方向中央側を充分に補強することが出来ない。
尚、本発明において、ベルト下補強層10のセンター領域10cとは、タイヤ赤道面Eからタイヤ幅方向両側に最内ベルト層7の幅Wの35%ずつ離間した点までの領域(即ち、ベルト下補強層10のタイヤ幅方向センター側の最内ベルト層7の幅Wの70%の領域)である。また、ベルト下補強層10のセンター領域10cにおける剛性係数GC とは、ベルト下補強層10のセンター領域10c全域における剛性係数の平均値である。また、ベルト下補強層10の端部領域10sとは、タイヤ赤道面Eからタイヤ幅方向両側に最内ベルト層7の幅Wの35%ずつ離間した点よりも更にタイヤ幅方向外側の領域(即ち、ベルト下補強層10全体からタイヤ幅方向センター側の最内ベルト層7の幅Wの70%の領域であるセンター部10cを除いた両端の部分)である。また、ベルト下補強層10の端部領域10sにおける剛性係数GS とは、ベルト下補強層10の端部領域10s全域における剛性係数の平均値である。
ここで、上述のように構成した本発明の空気入りタイヤの効果について、特にサーキット走行時のラップタイムの推移を以って説明する。図3は、本発明及び従来の空気入りタイヤのサーキット走行時のラップタイムの推移を示す。この図3では、ラップタイムを走行時間の逆数で示しており、グラフの頂点(最速ラップタイム)が最もラップタイムが短くなっている。
図3の点線は、従来の空気入りタイヤのサーキット走行時のラップタイムの推移を示す。即ち、従来の空気入りタイヤでは、一般的に、走行開始から徐々にラップタイムが向上するが、周回を繰り返し、周回回数(ラップ)が一定数を超えるとゴム劣化等の影響が大きくなり徐々にラップタイムが悪化する。一方、単純にベルト層7に非金属材料を用いて面内曲げ剛性及び面外曲げ剛性を設定した場合、図3の一点鎖線に示すように、最速ラップタイムを改善することが出来るものの、その後、上述のバックリングの影響によりラップタイムの急落(ドロップ)が発生し、従来の空気入りタイヤよりも多数周回後のラップタイムが悪化する。これに対して、上述のベルト下補強層10を備えた本発明の空気入りタイヤでは、図3の実線に示すように、最速ラップタイムを改善するだけでなく、その後のラップタイムの悪化を抑制し、多数周回後であっても優れたラップタイムを維持することが出来る。
本発明では、ベルト下補強層10の端部領域10sにおける剛性係数GS とベルト下補強層10のセンター領域10cにおける剛性係数GC との比GS /GC が0.3〜0.9の範囲であることが好ましい。このように剛性係数の比を設定することで、センター領域10cと端部領域10sとの剛性のバランスが更に良好になり、優れた耐ドロップ性を維持しながら、最速ラップタイムを向上することが出来る。剛性係数の比GS /GC が0.3より小さいと、端部領域10sの剛性が著しく低くなるため、最速ラップタイムを改善する効果が充分に得られないうえ、耐ドロップ性も十分ではなくなってしまう。剛性係数の比GS /GC が0.9より大きいと、センター領域10cと端部領域10sとの間に剛性係数の差が殆ど無くなり、実質的に剛性係数が一定のベルト下補強層10を設けたのと同じことになるため、剛性のバランス化による効果が得られない。
剛性係数GC ,GS は、上述のように補強コードの打ち込み本数EC ,ES やコード半径dC ,dS によって定義される値であるので、ベルト下補強層10の端部領域10sにおける補強コードの打ち込み本数ES とベルト下補強層10のセンター領域10cにおける補強コードの打ち込み本数EC との比ES /EC を0.3〜0.9の範囲にすることや、ベルト下補強層10の端部領域10sにおける補強コードの半径dS とベルト下補強層10のセンター領域10cにおける補強コードの半径dC との比dS /dC を0.55〜0.93の範囲にすることで、上述の剛性係数の関係を達成することが出来る。即ち、打ち込み本数の比ES /EC や、補強コードの半径の比dS /dC を特定の範囲に限定することで、よりベルト下補強層10の剛性のバランスを良好にして、優れた耐ドロップ性を維持しながら、最速ラップタイムを改善することが出来る。
このとき、打ち込み本数の比ES /EC が0.3より小さいと最速ラップタイムを改善する効果が充分に得られないうえ、耐ドロップ性も十分ではなくなってしまう。また、打ち込み本数の比ES /EC が0.9より大きいとセンター領域10cと端部領域10sとの差が殆ど無くなるため剛性のバランス化による効果が得られない。同様に、補強コードの半径の比dS /dC が0.55より小さいと最速ラップタイムを改善する効果が充分に得られないうえ、耐ドロップ性も十分ではなくなってしまう。また、補強コードの半径の比dS /dC が0.93より大きいとセンター領域10cと端部領域10sとの差が殆ど無くなるため剛性のバランス化による効果が得られない。
尚、これら補強コードの打ち込み本数ES ,EC や補強コードの半径dS ,dC も、剛性係数GS ,GC と同様に、各領域(センター領域10c及び端部領域10s)全体における平均値である。
本発明では、上述のように、センター領域10c及び端部領域10sの剛性係数GS ,GC は、各領域における平均値として定義されているので、例えば、図4に例示するように、センター領域10cと端部領域10sとで剛性係数がそれぞれ略一定の値をとり、センター領域10cと端部領域10sとの境界において数値に落差が生じるように設定しても良い。或いは、図5に例示するように、タイヤ赤道面E側からタイヤ幅方向外側に向かうに従って、徐々に剛性係数が低くなるように設定しても良い(尚、図5では、実線が実際の剛性係数を表し、一点鎖線が各領域における平均値を表す)。特に、後者(図5)については、ベルト下補強層10が補強コードを埋設したゴムストリップ材を連続的に巻回して製造される場合に、タイヤ赤道面E側からタイヤ幅方向外側に向かうに従って、その巻回密度を小さくすることでも設定することが出来る。尚、補強コードの打ち込み本数ES ,EC や補強コードの半径dS ,dC についても同様である。
本発明では、カーカスコード4aの材質は特に限定されないが、カーカスコード4aとしては、ナイロン繊維コード,レーヨン繊維コード,アラミド繊維コード等の有機繊維コードを挙げることが出来る。図示の例では、1層のカーカス層4が設けられているが、カーカス層4は1層以上を設ければ、特に層数については限定されない。
本発明では、ベルトコード7a,8aの材質は非金属材料であれば特に限定されないが、ベルトコード7a,8aとしては、好ましくはアラミド繊維コードを用いると良い。アラミド繊維コードであれば、面外曲げ剛性を低減する一方で面内曲げ剛性を高めることが出来るので、コーナリング性能と接地性とを両立してラップタイムを向上することが出来る。尚、図示の例では、2層のベルト層7,8が設けられているが、ベルト層は2層以上を設ければ、特に層数については限定されない。
本発明では、ベルトカバー層9を構成するコード9aの材質は特に限定されないが、好ましくはナイロン繊維コード,レーヨン繊維コード、アラミド繊維コード等を用いると良い。図示の例では、1層のベルトカバー層9が設けられているが、複数層を設けても構わない。逆に、ベルトカバー層9を設けない場合であっても、上述のようにベルト下補強層10を配置すれば、最速ラップタイムを改善すると共に、多数周回後のラップタイムを維持する効果を得ることが出来る。
本発明では、ベルト下補強層10を構成する補強コード10aの材質は特に限定されないが、好ましくはナイロン繊維コード、ポリエステル繊維コード、アラミド繊維コードのいずれかであると良い。これら材質を選択することで、面外曲げ剛性を低く維持したまま効果的にバックリングを抑制することが出来る。尚、ベルト下補強層10として、上述の繊維(ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維)からなるコードではなくモノフィラメントを用いることは、荷重耐久性の低下を招くため好ましくない。
本発明のベルト下補強層10における補強コード10aの打ち込み本数は15〜65本/50mmの範囲であることが好ましい。また、ベルト下補強層10を構成する補強コード10aとしては、下記(3)式で表わされる撚り係数Kが800〜4000のものを用いることが好ましい。
K=T×D1/2 (3)
(但し、Tは補強コードの撚り数(回/10cm)であり、Dは補強コードの総繊度(dtex)である。)
上記説明では、サーキットを超高速で走行するレーシング用空気入りタイヤを例示したが、本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤ等にも用いることが出来る。
タイヤサイズが330/710R18であり、ナイロン繊維コードを用いた1層のカーカス層を備えた図1に示す断面構造の空気入りタイヤにおいて、ベルト層の材質、ベルト下補強層の有無、最内ベルト層幅に対するベルト下補強層の幅、ベルト下補強層のコード角度、ベルト下補強層の端部領域およびセンター領域のそれぞれにおける補強コードの打ち込み本数ES ,EC 、補強コードの半径dS ,dC 、剛性係数GS ,GC 、補強コードの材質、ベルト下補強層の剛性係数の比GS /GC 、補強コードの打ち込み本数の比ES /EC 、補強コードの半径の比dS /dC を表1のように異ならせた従来例1、比較例1、実施例1〜12の14種類の試験タイヤを製作した。
尚、これら14種類の試験タイヤにおいて、ベルト下補強層として用いたナイロン繊維コード(表1中では「ナイロンコード」と記載)は撚り係数Kが1600であり、ポリエステル繊維コード(表1中では「ポリエステルコード」と記載)は撚り係数Kが2200である。
これら14種類の試験タイヤについて、下記の評価方法により最速ラップタイム、20ラップのラップタイムを評価し、その結果を表1に併せて示した。
最速ラップタイム
各試験タイヤをリムサイズ13Jのホイールに組み付け、空気圧を120kPaとして排気量3500ccのGT車に装着し、1周約3.7kmの競技用のサーキットを20周走行し、1周にかかる走行時間(秒)を1周毎に計測した。測定された1周にかかる走行時間(ラップタイム)のうち最速のものを最速ラップタイムとした。評価結果は、測定された実数値にて示した。この値が小さいほど最速ラップタイムが小さいことを意味する。
20ラップのラップタイム
各試験タイヤをリムサイズ13Jのホイールに組み付け、空気圧を120kPaとして排気量3500ccのGT車に装着し、1周約3.7kmの競技用のサーキットを20周走行し、20ラップの際に1周にかかる走行時間(秒)を20ラップのラップタイムとして計測した。評価結果は、測定された実施例にて示した。この値が小さいほど20ラップのラップタイムが小さいことを意味する。
Figure 0006083303
Figure 0006083303
表1,2から判るように、実施例1〜12はいずれもベルト層にスチールコードを用いる一方でベルト下補強層を有さない従来例1よりも最速ラップタイムを短縮すると共に、20ラップのラップタイムを短縮した。即ち、継続走行時のラップタイムの急落(ドロップ)を抑制した。特に、ベルト下補強層の剛性係数の比GS /GC が好ましい範囲内である実施例2〜4、ベルト下補強層の剛性係数の比GS /GC 及び補強コードの打ち込み本数の比ES /EC が好ましい範囲内である実施例6〜8、ベルト下補強層の剛性係数の比GS /GC 及び補強コードの半径の比dS /dC が好ましい範囲内である実施例10〜12は、より効果的に最速ラップタイムと20ラップのラップタイムを短縮した。
一方、ベルト層をアラミド繊維コードのみから構成してベルト下補強層を用いない比較例1は、最速ラップタイムは向上するものの、20ラップのラップタイムが大幅に悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7,8 ベルト層
9 ベルトカバー層
10 ベルト下補強層
10c センター領域
10s 端部領域
E タイヤ赤道面

Claims (7)

  1. 一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された少なくとも2層の非金属材料からなるベルト層とを有する空気入りタイヤであって、前記ベルト層と前記カーカス層との層間にベルト下補強層を配置し、該ベルト下補強層を構成する補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を0±10°の範囲にすると共に、前記ベルト下補強層の幅を前記ベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置する最内ベルト層の幅の80%以上110%以下にする一方で、下記(1)式で表される前記ベルト下補強層の端部領域における剛性係数GS を下記(2)式で表される前記ベルト下補強層のセンター領域における剛性係数GC よりも低くしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
    S =MS ×π×dS 2 ×ES /50 (1)
    C =MC ×π×dC 2 ×EC /50 (2)
    (但し、MS はベルト下補強層の端部領域における補強コードの初期モジュラス(MPa)、dS はベルト下補強層の端部領域における補強コードの半径(mm)、ES はベルト下補強層の端部領域における断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm)、MC はベルト下補強層のセンター領域における補強コードの初期モジュラス(MPa)、dC はベルト下補強層のセンター領域における補強コードの半径(mm)、EC はベルト下補強層のセンター領域における断面幅50mm当たりの補強コードの打ち込み本数(本/50mm))
  2. 前記ベルト下補強層の端部領域における剛性係数GS と前記ベルト下補強層のセンター領域における剛性係数GC との比GS /GC が0.3〜0.9の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルト下補強層の端部領域における補強コードの打ち込み本数ES と前記ベルト下補強層のセンター領域における補強コードの打ち込み本数EC との比ES /EC が0.3〜0.9の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルト下補強層の端部領域における補強コードの半径DS と前記ベルト下補強層のセンター領域における補強コードの半径DC との比DS /DC が0.55〜0.93の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ベルト下補強層を構成する補強コードがナイロン繊維コード、ポリエステル繊維コード、アラミド繊維コードのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ベルト層を構成する非金属材料がアラミド繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. レーシング用空気入りタイヤであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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