JP6070080B2 - Cu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法 - Google Patents

Cu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Cu−Zn−Si系合金の棒状または管状の鋳塊を連続的に製造するCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法に関するものである。
従来、各種部品の素材として、被削性に優れた銅合金である快削黄銅が広く用いられている。この快削黄銅は、Cu−Zn合金にPbを添加することで被削性を向上させたものである。しかし、近年では、環境問題等の観点から、Pbの使用が規制されており、その用途が大幅に制限されている。
そこで、Pbの含有量を大幅に低減しても優れた被削性を有する銅合金として、例えば特許文献1に示すCu−Zn−Si系合金が提供されている。このCu−Zn−Si系合金は、Pbを含有していないことから、例えば、飲料水等と接触する上水道用配管の水栓金具、給排水金具、バルブ、水道メータ金具等の各種部品に用いられている。
ここで、上述の部品は、通常、大型の鋳塊を押出加工することにより棒材とし、この棒材に対して、鍛造加工、切削加工等を行うことによって製造されている。しかし、押出加工を行って棒材を製造する場合には、大型の鋳塊を製造する鋳造工程と、鋳塊を加熱する加熱工程と、加熱した鋳塊を押し出す押出工程と、多くの工程を行う必要があり、多大な製造コスト及び製造時間を要するものであった。
そこで、銅合金の棒材を低コストで効率良く製造する方法として、例えば特許文献2に開示されているように、銅合金の溶湯が貯留された鋳造炉に鋳型を設置し、棒状または管状の鋳塊を連続的に鋳造するニアネットシェイプ連続鋳造法が提供されている。なお、上述の鋳型においては、通常、固体潤滑性を有する黒鉛製のモールドが用いられている。
特開2000−119775号公報 特開2010−105004号公報
ところで、特許文献2に示すように、棒状または管状の鋳塊を連続的に鋳造する場合には、鋳塊を一定の速度で連続的に引き抜くことなく、引き抜きと停止とを繰り返し行う間欠引き出しを行うのが一般的である。このように間欠引き出しを実施した場合には、鋳塊の表面に、間欠引き出しの周期に同調したオシレーションマークと呼ばれる模様が形成される。このオシレーションマークは、間欠引き出し時における溶湯の湯境に相当することになるが、製造条件によっては、オシレーションマークの部分にクラックが生じたり、深い凹凸が生じたりして、表面欠陥を伴うことがある。ここで、本明細書においては、オシレーションマークに伴う表面欠陥等の深さを、オシレーションマーク深さと称する。
上述のオシレーションマーク深さが深い場合には、後工程における欠陥やトラブルを未然に防止するために、鋳塊の表面を切削して表面欠陥を除去する必要があった。特に、断面積が10000mm以下の鋳塊を製造する場合には、鋳塊表面の切削によって歩留まりが大幅に低下することから、上述のオシレーションマーク深さを十分に低減する必要があった。
ここで、特許文献1に開示されたCu−Zn−Si系合金は、固相と液相とが混在する温度幅が広いため、モールド内において固液共存域が幅広く存在し、凝固シェルの強度が不足する傾向にある。このため、間欠引き出し時に凝固シェルが破断しやすく、上述のオシレーションマーク深さが深くなってしまうといった問題があった。
また、上述のCu−Zn−Si系合金に含有されているSiは黒鉛と反応しやすい元素であることから、溶湯中のSiとモールドの黒鉛とが反応することで鋳塊の表面が荒れてしまい、オシレーションマーク深さが深くなるといった問題があった。
本発明は、以上のような事情を背景としてなされたものであって、Cu−Zn−Si系合金からなる断面積10000mm以下の棒状または管状の鋳塊を連続して鋳造した場合であっても、オシレーションマーク深さを十分に低減でき、表面品質に優れた鋳塊を製造することが可能なCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
この課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、鋳塊の間欠引き出しのパターンを適正化することにより、固相と液相とが混在する温度幅が広いCu−Zn−Si系合金であっても、オシレーションマーク深さを低減できるとの知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、本発明のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法は、Cuの含有量が69mass%以上79mass%以下の範囲内とされ、Siの含有量が2.0mass%以上4.0mass%未満の範囲内とされたCu−Zn−Si系合金からなる断面積10000mm以下の棒状または管状の鋳塊を間欠的に引き出して連続鋳造するCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法であって、前記Cu−Zn−Si系合金の溶湯が貯留される鋳造炉と、この鋳造炉に連結されたモールドと、を有する連続鋳造機を用いて、前記モールド内で凝固した前記鋳塊を引き抜き方向に移動させる際の最高移動速度Dmaxに対して、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax以上とされた引き抜き動作と、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax未満とされた停止動作とからなる間欠引き抜きサイクルを繰り返し実施する構成とされており、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記鋳塊の引き抜き方向の移動距離が7mm以上とされ、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記停止動作の時間Tが3秒以上とされていることを特徴としている。なお、棒状または管状の鋳塊の断面積は小さいほどオシレーションマーク深さが製品歩留に影響することから、断面積が1000mm以下の棒状又は管状の鋳塊に適用することがより望ましい。
上述の構成のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法においては、鋳塊を引き抜き方向に移動させる際の最高移動速度Dmaxとした場合に、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax以上の場合を引き抜き動作とし、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax未満の場合を停止動作と定義し、これら引き抜き動作と停止動作からなる間欠引き抜きサイクルを繰り返し実施することで、鋳塊を間欠的に引き出す構成としている。
そして、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記鋳塊の引き抜き方向の移動距離が7mm以上とされているので、溶湯がモールド内に一定の流速で流れ込むことになる。
また、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記停止動作の時間Tが3秒以上とされているので、モールド内に流れ込んだ溶湯が急冷されて十分な厚さの凝固シェルが形成されることになる。よって、引き抜き時における凝固シェルの破断を抑制でき、オシレーションマーク深さを低減することが可能となる。
ここで、1回の間欠引き抜きサイクルにおける鋳塊の引き抜き方向の移動距離が7mm未満では、鋳塊を引き抜き方向に移動させた際に流れ込む溶湯量が少なく、鋳造炉側の高温の溶湯を十分に供給することができなくなる。すなわち、モールド近傍の比較的温度の低い溶湯がモールド内に供給されることになり、モールド内に固相と液相とが混在した固液共存領域が幅広く存在することになる。
また、1回の間欠引き抜きサイクルにおける前記停止動作の時間Tが3秒未満の場合には、溶湯の冷却・凝固が不十分となり、十分な厚さの凝固シェルを形成することができなくなる。
以上のことから、本発明では、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記鋳塊の引き抜き方向の移動距離を7mm以上、かつ、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記停止動作の時間Tを3秒以上に設定している。
本発明のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法においては、前記間欠引き抜きサイクルにおける前記引き抜き動作の時間Tと前記停止動作の時間Tとの比T/Tが、1/10≦T/T≦1/2の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記引き抜き動作の時間Tと前記停止動作の時間Tとの比T/Tが、1/2以下とされているので、前記停止動作の時間Tが十分に確保され、十分な厚さの凝固シェルを形成することが可能となる。また、T/Tが、1/10以上とされているので、前記停止動作の時間Tが不必要に長くならず、一定の鋳造速度を確保することができ、生産性の向上を図ることができる。
また、本発明のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法においては、前記モールドが、断熱部材を介して前記鋳造炉の坩堝に連結された構造とされており、前記坩堝及び前記モールドは、熱伝導率が100W/(m・K)以上の材料で構成され、前記断熱部材は、熱伝導率が50W/(m・K)以下の材料からなり、厚さが10mm以上100mm以下とされていることが好ましい。
この場合、モールドにおける冷却能力を高くした場合でも、坩堝側の溶湯が温度低下することが抑制されることになり、坩堝及びモールド内において、固相と液相とが混在した固液共存領域が幅広く存在することを抑制でき、高温の溶湯をモールド内で急冷して十分な厚さの凝固シェルを形成することができる。ここで、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、断熱部材の厚さを25mm以上とすることが好ましい。
本発明によれば、Cu−Zn−Si系合金からなる断面積10000mm以下の棒状または管状の鋳塊を連続して鋳造した場合であっても、オシレーションマーク深さを十分に低減でき、表面品質に優れた鋳塊を製造することが可能なCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法で用いられる連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法における間欠引き抜きパターンを示す説明図である。 オシレーションマーク深さを測定した一例を示す鋳塊(オシレーションマーク深さ150μm未満)の断面写真である。 オシレーションマーク深さを測定した一例を示す鋳塊(オシレーションマーク深さ150μm未満)の断面写真である。 オシレーションマーク深さを測定した一例を示す鋳塊(オシレーションマーク深さ150μm以上500μm未満)の断面写真である。 オシレーションマーク深さを測定した一例を示す鋳塊(オシレーションマーク深さ500μm以上)の断面写真である。
以下に、本発明の一実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法、及び、Cu−Zn−Si系合金素材について説明する。
本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法は、Cuの含有量が69mass%以上79mass%以下の範囲内とされ、Siの含有量が2.0mass%以上4.0mass%未満の範囲内とされたCu−Zn−Si系合金からなる棒状または管状の鋳塊1を連続的に鋳造するものである。
ここで、本実施形態では、Cuの含有量が69mass%以上79mass%以下、Siの含有量が2.0mass%以上4.0mass%未満、残部がZnと不可避不純物とからなるCu−Zn−Si合金の鋳塊1としている。
また、製出される鋳塊1は、断面積が1mm以上10000mm以下とされた断面円形の棒状鋳塊1とされている。
次に、本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法に用いられる連続鋳造装置10について図1を参照して説明する。
この連続鋳造装置10は、鋳造炉20と、鋳造炉20に連結された鋳型30と、鋳型30から製出された鋳塊1を引き抜くピンチロール12と、このピンチロール12の動作を制御する制御部14と、を備えている。
鋳造炉20は、溶解原料を加熱溶解して所定の組成の銅合金溶湯を製出するものであり、溶解原料が投入される原料投入口21と、溶解原料及び銅合金溶湯が保持される坩堝22と、この坩堝22を加熱する加熱手段27と、を備えている。
本実施形態では、加熱手段27は、坩堝22の周囲に配設されたカーボンヒータとされており、図示しない電源装置に接続されている。
また、坩堝22は、熱伝導率が100W/(m・K)以上の材料で構成されており、本実施形態では、熱伝導率が150W/(m・K)の黒鉛で構成されている。
この坩堝22の下部には、側壁の一部から水平方向に延在した連結部23が設けられており、この連結部23の端面に鋳型30が連結される構成とされている。また、連結部23には、坩堝22内の銅合金溶湯を鋳型30へと供給する溶湯供給路24が設けられている。
鋳型30は、供給された銅合金溶湯が注入される筒状のモールド31と、このモールド31を冷却する冷却手段32と、を備えている。
本実施形態では、冷却手段32は、モールド31の外周側に配設された水冷ジャケットとされており、冷却水を循環させることでモールド31を冷却する構成とされている。
また、モールド31は、熱伝導率が100W/(m・K)以上の材料で構成されており、本実施形態では、熱伝導率が150W/(m・K)の黒鉛で構成されている。
この鋳型30は、モールド31の内周孔が水平方向を向くようにして、上述の連結部23の端面に連結されている。
ピンチロール12は、鋳型30から製出される鋳塊1を挟み込み、引き抜き方向Fへ引き抜くものである。本実施形態では、制御部14によってピンチロール12の動作を制御することにより、鋳塊1を間欠的に引き抜いて、鋳塊1を連続的に製出する構成とされている。
そして、鋳型30のモールド31と鋳造炉20の坩堝22(連結部23)との間に、熱伝導率が50W/(m・K)以下の材料からなり、厚さtが、10mm≦t≦100mmの範囲内とされた断熱部材40が配設されている。
断熱部材40は、一般的に市販されているものを用いることができる。本実施形態では、主成分のボロンナイトライド(BN)に酸化アルミニウム(Al)及び/又は酸化ケイ素(SiO)が添加されており、その熱伝導率が8W/(m・K)、厚さtが25mmとされている。
次に、上述した連続鋳造装置10を用いた本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法について説明する。
まず、鋳造炉20の原料投入口21から、坩堝22内に溶解原料を投入する。原料としては、Cu単体、Zn単体およびSi単体やCu−Zn母合金およびCu−Si母合金等を用いることができる。また、ZnおよびSiを含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
次に、カーボンヒータ(加熱手段27)に通電を行い、坩堝22内に装入された溶解原料を加熱して溶解し、上述した組成の銅合金溶湯を製出する。
この銅合金溶湯は、坩堝22内において所定の温度にまで加熱されて保持される。そして、この銅合金溶湯が、連結部23の溶湯供給路24を介して鋳型30へと供給される。
鋳型30内に供給された銅合金溶湯は、モールド31内で冷却されて凝固して鋳塊1となる。この鋳塊1がピンチロール12で間欠的に引き抜かれることによって、モールド31内に銅合金溶湯が順次供給され、鋳塊1が連続的に製造される。
ここで、本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法においては、鋳塊1の間欠引き抜きパターンに特徴を有している。
本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法においては、図2に示すように、モールド31内で凝固した鋳塊1を引き抜き方向Fに移動させる際の最高移動速度Dmaxとした場合において、引き抜き方向Fへの移動速度が0.1×Dmax以上とされた引き抜き動作と、引き抜き方向Fへの移動速度が0.1×Dmax未満とされた停止動作とからなる間欠引き抜きサイクルを繰り返し実施する構成とされている。
そして、1回の間欠引き抜きサイクルにおける鋳塊1の引き抜き方向Fの移動距離が5mm以上とされ、1回の間欠引き抜きサイクルにおける停止動作時間Tが3秒以上とされている。
ここで、停止動作は、上述のように引き抜き方向Fへの移動速度が0.1×Dmax未満とされた状態を示しており、図2に示すように、引き抜き方向Fとは反対側(鋳造炉20側)に向けて後退させる動作も含むものとする。
また、本実施形態では、間欠引き抜きサイクルにおける引き抜き動作時間Tと停止動作時間Tとの比T/Tが、1/10≦T/T≦1/2の範囲内とされている。
次に、上述のように間欠引き抜きを実施した場合のモールド31内の凝固状況について説明する。
まず、引き抜き動作によって鋳塊1を引き抜き方向Fに大きく移動させることにより、鋳造炉20内の高温の銅合金溶湯がモールド31内に一定以上の流速で流れこむことになる。
その後、停止動作時間Tを一定時間確保することによって、モールド31内の銅合金溶湯を急冷して凝固を十分に進行させる。
モールド内において凝固シェルが十分な厚さで形成された後に、再度、引き抜き動作によって鋳塊1を引き抜き方向Fに大きく移動させる。
このように間欠引き出しパターンを繰り返し行うことにより、棒状の鋳塊1が連続的に製出される。
以上のような構成とされた本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法によれば、上述のように、1回の間欠引き抜きサイクルにおける鋳塊1の引き抜き方向Fの移動距離が5mm以上とされ、1回の間欠引き抜きサイクルにおける停止動作時間Tが3秒以上とされているので、モールド31内に流れ込んだ高温の銅合金溶湯を急冷して十分に凝固させることができ、モールド31内において十分な厚さの凝固シェルを形成することができる。よって、引き抜き時における凝固シェルの破断を抑制でき、オシレーションマーク深さを低減することが可能となる。
また、本実施形態では、間欠引き抜きサイクルにおける引き抜き動作時間Tと停止動作時間Tとの比T/Tが、1/10≦T/T≦1/2の範囲内とされているので、停止動作時間Tが十分に確保されて十分な厚さの凝固シェルを形成することが可能となるとともに、一定の鋳造速度を確保することができ、生産性の向上を図ることができる。なお、上述の鋳造速度は、間欠引き抜きサイクル(引き抜き動作+停止動作)における鋳塊移動速度の平均値となる。
また、本実施形態では、鋳造炉20の坩堝22、及び、鋳型30のモールド31が、熱伝導率が150W/(m・K)の黒鉛で構成されており、坩堝22とモールド31との間に、熱伝導率が50W/(m・K)以下の材料からなり、厚さtが10mm≦t≦100mmの断熱部材40が配設されているので、モールド31における冷却能力を高くした場合でも、坩堝22側の銅合金溶湯が温度低下することが抑制されることになり、坩堝22及びモールド31内において、固相と液相とが混在した固液共存領域が幅広く存在することを抑制でき、高温の銅合金溶湯をモールド31内で急冷して十分な厚さの凝固シェルを形成することができる。
特に、本実施形態では、鋳型30が水冷ジャケットを有するものとされ、モールド31における冷却能力が高くなっているので、モールド31内の銅合金溶湯を急冷することができ、十分な厚さの凝固シェルを確実に形成することが可能となる。
このように、本実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法によって製造された棒状鋳塊1(Cu−Zn−Si系合金素材)は、オシレーションマーク深さが浅く、表面品質に優れているので、後工程における表面研削量を低減することができ、歩留まりの向上を図ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態であるCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法、及び、Cu−Zn−Si系合金素材について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、鋳塊を水平方向に引き抜く構成として説明したが、これに限定されることはなく、鋳型を坩堝の底面に配置して鋳塊を下方に引き抜く構成としてもよいし、鋳型を坩堝の上部に配置して鋳塊を上方へ引き抜く構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、Cuの含有量が69mass%以上79mass%以下、Siの含有量が2.0mass%以上4.0mass%未満、残部がZnと不可避不純物とからなるCu−Zn−Si合金を対象とするものとして説明したが、これに限定されることはなく、Sn,P,Sb,As,Al,Mn,Ni,Bi,Te,Se,Cr,Ti等の他の添加元素を含むものとしてもよい。これらの添加元素は、銅合金の各種特性を向上させる作用効果を有することから、用途に応じて適宜添加されるものである。これらの添加元素を含む場合でも、本発明のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法を適用することにより、オシレーションマーク深さを低減することが可能となる。
さらに、断面円形の棒状鋳塊を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、断面多角形の棒状鋳塊であってもよいし、内周孔を有する管状鋳塊であってもよい。なお、管状鋳塊の場合の断面積は、内周孔部分の面積を差し引いた実面積である。
また、本実施形態では、断熱部材を配設したものとして説明したが、これに限定されることはなく、断熱部材を配設していなくてもよい。
さらに、本実施形態では、冷却ジャケットを備えた鋳型を使用するものとして説明したが、鋳型の構造に限定はなく、例えばモールド内に二重管からなる水冷プローブを挿入した鋳型であってもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
溶解原料として、Cu−21mass%Zn−3mass%SiのCu−Zn−Si合金を準備した。この組成の溶解原料を、図1に示す鋳造炉の坩堝内に50kg装入して、カーボンヒータによって溶解した。
鋳型として、表1に示すように、水冷ジャケットを備えたジャケット方式のものと、水冷プローブを挿入したプローブ方式のものを準備した。
また、鋳型のモールドと鋳造炉の坩堝との間に、断熱部材を配設した。断熱部材は、主成分のボロンナイトライド(BN)に酸化アルミニウム(Al)及び/又は酸化ケイ素(SiO)が添加されており、その熱伝導率が8W/(m・K)、厚さtが25mmのものを用いた。
そして、表1に示す間欠引き抜きパターンによって、断面積706mm、外径30mmの円管状鋳塊の引き抜きを行い、50kgの鋳造を行った。
得られた鋳塊を、引き抜き方向に平行な面で切断して断面観察を行い、オシレーションマーク深さを測定した。そして、オシレーションマーク深さが150μm未満のものを◎、150μm以上500μm未満のものを○、500μm以上のものを×、として評価した。オシレーションマーク深さの評価結果を表1に示す。
また、オシレーションマーク深さが150μm未満の鋳塊の断面観察写真を図3、4に、オシレーションマーク深さが150μm以上500μm未満の鋳塊の断面観察写真を図5に、オシレーションマーク深さが500μm以上の鋳塊の断面観察写真を図6に示す。
1サイクル当りの移動距離若しくは停止動作時間のいずれかが本発明の範囲より短い比較例1,3及び4は、オシレーションマーク深さが500μm以上と深かった。
また、1サイクル当りの移動距離及び停止動作時間がいずれも本発明の範囲より短い比較例2でも、オシレーションマーク深さが500μm以上と深かった。
これに対して、1サイクル当りの移動距離が7mm以上、停止動作時間が3秒以上とされた本発明例1−6、8−23においては、すべてオシレーションマーク深さが500μm未満であった。
以上、本発明によれば、オシレーションマーク深さを十分に低減でき、表面品質に優れた鋳塊を製造することが可能であることが確認された。
1 鋳塊
10 連続鋳造装置
20 鋳造炉
21 坩堝
30 鋳型
31 モールド

Claims (3)

  1. Cuの含有量が69mass%以上79mass%以下の範囲内とされ、Siの含有量が2.0mass%以上4.0mass%未満の範囲内とされたCu−Zn−Si系合金からなる断面積10000mm以下の棒状または管状の鋳塊を間欠的に引き出して連続鋳造するCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法であって、
    前記Cu−Zn−Si系合金の溶湯が貯留される鋳造炉と、この鋳造炉に連結されたモールドと、を有する連続鋳造機を用いて、
    前記モールド内で凝固した前記鋳塊を引き抜き方向に移動させる際の最高移動速度Dmaxに対して、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax以上とされた引き抜き動作と、引き抜き方向への移動速度が0.1×Dmax未満とされた停止動作とからなる間欠引き抜きサイクルを繰り返し実施する構成とされており、
    1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記鋳塊の引き抜き方向の移動距離が7mm以上とされ、1回の前記間欠引き抜きサイクルにおける前記停止動作の時間Tが3秒以上とされていることを特徴とするCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法。
  2. 請求項1に記載のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法において、
    前記間欠引き抜きサイクルにおける前記引き抜き動作の時間Tと前記停止動作の時間Tとの比T/Tが、1/10≦T/T≦1/2の範囲内とされていることを特徴とするCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法において、
    前記モールドが、断熱部材を介して前記鋳造炉の坩堝に連結された構造とされており、前記坩堝及び前記モールドは、熱伝導率が100W/(m・K)以上の材料で構成され、前記断熱部材は、熱伝導率が50W/(m・K)以下の材料からなり、厚さが10mm以上100mm以下とされていることを特徴とするCu−Zn−Si系合金の連続鋳造方法。
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