以下の実施形態においては、外部の供給事業者から供給される電力、ガス、水道、熱などの資源の需要家を対象として、各需要家での資源の消費量を計測した計測データを遠隔地にあるサーバで取得するための検針システムを、通信システムの例として説明する。以下では、需要家が集合住宅の各住戸である場合について例示するが、この例に限らず、需要家はたとえば戸建て住宅、事務所、工場などであってもよい。また、以下では、資源が電力である場合を例として説明するが、電力に限らず、電力以外の資源の消費量についてもサーバの取得対象とすることは可能である。
(実施形態1)
本実施形態の通信システム1は、図1に示すように、複数の通信装置201,202,…20n(以下、各々を区別しないときには単に「通信装置2」という)と、親機としてのコンセントレータ3と、サーバ4とを備えている。
通信装置2は集合住宅10の各需要家に設けられている。各通信装置201,202,…20nは、それぞれ各需要家での資源の消費量を計測する計測器5に付設されている。コンセントレータ3は、集合住宅10ごとに設けられており、同じ集合住宅10における複数の需要家に設けられた複数の通信装置2を管理下として、これら管理下の複数の通信装置2と通信可能に構成されている。サーバ4は、コンセントレータ3を介してこのコンセントレータ3の管理下の通信装置2にデータを送信するように構成されている。また、サーバ4は、コンセントレータ3を介して通信装置2から計測器5の計測結果を含む計測データを取得する機能を有している。
検針システムとしての通信システム1は、実際には複数台のコンセントレータ3を備え、これら複数台のコンセントレータ3の各々の管理下にある通信装置2からの計測データを、1台のサーバ4で取得できるように構成されている。コンセントレータ3は、集合住宅10ごとに設けられる構成に限らず、たとえば需要家を複数含んだ地域ごと、あるいは集合住宅10のフロアごとに設けられていてもよい。ただし、本実施形態では、1つの集合住宅10のみに着目して、コンセントレータ3が1台の場合をモデルとして通信システム1の構成および機能を説明する。
以下に、計測器5、通信装置2、コンセントレータ3、サーバ4の各々の具体的な構成について図1を参照して説明する。
計測器5は、電力の供給事業者からの電力(資源)が供給される配電線L1に接続されており、各需要家での使用電力量(資源の消費量)を計測する電力メータである。計測器5は、通信装置2と共にスマートメータ6を構成し、配電線L1に接続されているコンセントレータ3と通信装置2とが通信を行うことにより遠隔検針等を可能にする。スマートメータ6は、通信装置2と計測器5とが筐体(図示せず)を共用することが好ましいが、通信装置2と計測器5とが別に筐体を有していてもよい。
通信装置2とコンセントレータ3との間の通信は、配電線L1を伝送媒体に用いて通信を行う電力線搬送通信(PLC:Power Line Communications)技術を用いて実現される。つまり、通信装置2とコンセントレータ3との間には、配電線L1を伝送媒体に用いた通信路が形成されている。通信装置2は、この通信路(配電線L1)を通してコンセントレータ3との間で電力線搬送通信を行うことにより、計測データをコンセントレータ3に送信する。ここでいう計測データは、少なくとも計測器5で所定期間内に測定された使用電力量を含んでいる。なお、通信装置2は、コンセントレータ3との間で電力線搬送通信を行う構成に限らず、その他の有線通信、あるいは無線通信を行う構成であってもよい。
そのため、通信装置2は、コンセントレータ3との通信を行う(第3)通信インターフェイス(以下、インターフェイスを「I/F」と表記する)21と、計測器5から測定結果を取得する検針部22と、各部の動作を制御する(第1)制御部23とを有している。なお、図1では、通信装置201についてのみ、通信I/F21、検針部22、制御部23を図示しているが、他の通信装置202,…20nも同様の構成である。
通信I/F21は、上述したように計測器5の上流側の配電線L1を伝送媒体に用いて、コンセントレータ3との間で双方向に電力線搬送通信を行うように構成されている。検針部22は、たとえば計測器5の拡張端子(図示せず)に有線接続される構成により、計測器5との間でデータの授受を可能とする。なお、検針部22は、計測器5と有線接続される構成に限らず、たとえば計測器5と無線通信や光通信を行う構成でもよい。
制御部23は、プログラムに従って動作するプロセッサを備えたマイコン(マイクロコンピュータ)のようなデバイスを主構成とし、所定のプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。ここでは、制御部23は、少なくとも検針部22が取得した計測器5の計測結果に基づいて計測データを生成し、この計測データを通信I/F21からコンセントレータ3に送信する機能を有している。さらに、通信装置2は、メモリ(図示せず)を有し、一定時間(たとえば1分、5分、10分等)ごとの計測データを一定期間(たとえば1日)分、メモリに記憶するように構成されている。
コンセントレータ3は、集合住宅10の管理人室あるいは電気室などに配置されている。コンセントレータ3は、自らの管理下となる集合住宅10における複数の需要家の通信装置2から計測データを取得し、取得した計測データをサーバ4に転送する。
そのため、コンセントレータ3は、サーバ4との通信を行う第1通信I/F31と、通信装置2との通信を行う第2通信I/F32と、各部の動作を制御する(第2)制御部33とを有している。
第1通信I/F31は、光ファイバ等を用いた専用回線NT1に接続されており、この専用回線NT1を介してサーバ4との間で双方向に通信を行うように構成されている。第2通信I/F32は、上述したように計測器5の上流側の配電線L1を伝送媒体に用いて、通信装置2との間で双方向に電力線搬送通信を行うように構成されている。なお、コンセントレータ3は、専用回線NT1を介してサーバ4との間の通信を行う構成に限らず、インターネットのような公衆網を介して、あるいは無線通信によりサーバ4と通信する構成であってもよい。
制御部33は、プログラムに従って動作するプロセッサを備えたマイコンのようなデバイスを主構成とし、所定のプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。ここでは、制御部33は、少なくとも集合住宅10における複数の需要家の通信装置2から第2通信I/F32で計測データを取得し、取得した計測データを第1通信I/F31からサーバ4に送信する機能を有している。
また、本実施形態の通信システム1では、複数の通信装置2は各々が他の通信装置2を中継器としてデータを伝送するマルチホップ通信を行うように構成されている。そのため、コンセントレータ3と直接通信できない通信装置2は、通信可能な距離にある他の通信装置2がパケットを中継することにより、コンセントレータ3との間で通信可能となる。したがって、コンセントレータ3は通信装置2と通信を行う際、伝送距離やノイズ等の影響により、全ての通信装置2と直接通信できる環境になくても、全ての通信装置2との間で通信可能になる。具体的には、コンセントレータ3は通信装置2との間で、マルチホッププロトコルに従い通信経路(ルート)を構築するための伝送状況の情報のやりとりを行い、その情報を元に通信ルートを決定している。
サーバ4は、管理範囲内の複数の需要家から計測データを収集するサーバコンピュータからなり、供給事業者である電力会社や、電力会社に代わって節電に係る管理や支援を行う節電事業者(節電アグリゲータ)、その他のサービス提供事業者によって運営されている。ここで、サーバ4は、自らの管理下にある需要家の計測データを定期的に収集する遠隔検針の機能を持つ。つまり、サーバ4は、専用回線NT1を通してコンセントレータ3と通信を行うことにより、このコンセントレータ3の管理下の複数の通信装置2から、コンセントレータ3を介して計測データを収集することができる。
そのため、サーバ4は、コンセントレータ3との通信を行う(第4)通信I/F41と、各部の動作を制御する(第3)制御部42とを有している。
通信I/F41は、専用回線NT1に接続されており、この専用回線NT1を介してコンセントレータ3との間で双方向に通信を行うように構成されている。制御部42は、プログラムに従って動作するプロセッサを備えたマイコンのようなデバイスを主構成とし、所定のプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。ここでは、制御部42は、少なくとも集合住宅10における複数の需要家の通信装置2から通信I/F41で計測データを取得する機能を有している。
なお、サーバ4は、供給事業者等によって運営される上位サーバの下位となり、地域ごとに設けられるエリア管理サーバであってもよい。この場合、サーバ4は、地域ごとにコンセントレータ3から計測データを収集し、上位サーバへ送信するように構成される。これにより、供給事業者等によって運営される上位サーバは、複数のサーバ4から計測データを収集することにより、複数地域の需要家の計測データを効率的に収集することができる。また、サーバ4はこのようなエリア管理サーバと上位サーバとの両方を含んでいてもよい。
次に、上述した通信システム1において、サーバ4が通信装置2から計測データを取得するための構成について説明する。
コンセントレータ3は、制御部33により、定期的に管理下の通信装置2に検針要求を送信するように構成されている。ここで、コンセントレータ3は、予め定められている定期検針時刻(たとえば0:00,0:30,1:00,…)になると、管理下にある複数の通信装置201,202,…20nの各々に対して検針要求を順次送信する。このとき、コンセントレータ3は、検針要求を送信するタイミングが通信装置201,202,…20nごとに異なるように、たとえばスマートメータ6に固有の識別子(メータ番号)に基づいて、あるいはランダムに、検針要求を送信するタイミングを決定する。
通信装置2は、検針要求を受信すると、制御部23により、この検針要求への応答として計測データをコンセントレータ3へ送信するように構成されている。したがって、コンセントレータ3は、自身の管理下にある複数の通信装置2からの計測データを定期的に収集することができる。コンセントレータ3は、制御部33により、このように複数の通信装置2から収集した計測データを集約し、検針情報を生成する。
さらに、コンセントレータ3は、制御部33により、少なくとも管理下にある全ての通信装置2に対し一通り検針要求を送信すると、サーバ4に対して検針情報を送信する。これにより、サーバ4においては、コンセントレータ3の管理下にある複数の通信装置2からの計測データを定期的に取得することができる。このようにサーバ4が複数の通信装置2から定期的に計測データを取得する処理を、以下では「定期検針」という。
なお、定期検針時にコンセントレータ3が通信装置2から計測データを収集する周期は、本実施形態では30分と仮定するが、この例に限らず、たとえば5分、10分、15分など適宜設定可能である。また、定期検針時にコンセントレータ3が収集した計測データ(検針情報)をサーバ4に送信する周期についても、本実施形態では30分と仮定するが、この例に限らず、たとえば12時間、1日など適宜設定可能である。
また、本実施形態の通信システム1は、通信状況などにより定期検針においてサーバ4が取得した計測データに脱漏が生じた場合でも、脱漏している計測データを補完するための検針(以下、「バックアップ検針」という)が行われるように構成されている。
すなわち、サーバ4は、制御部42により、定期検針時に取得した計測データについて、自身の管理下の全ての通信装置2から計測データを取得できているか否かを判断し、脱漏している計測データがあればその計測データを個別に取得するように構成されている。具体的には、サーバ4は、計測データが脱漏している通信装置2に対して、その上位のコンセントレータ3を介して個別に検針要求を送信し、この通信装置2から検針要求への応答として送信される計測データを、コンセントレータ3を介して取得する。
このようにサーバ4は、定期検針において計測データの脱漏があっても、計測データが脱漏している通信装置2からバックアップ検針により個別に計測データを取得するので、脱漏していた分の計測データを補完することができる。
また、サーバ4は、バックアップ検針に限らず、定期検針において、コンセントレータ3を介して通信装置2に個別に検針要求を送信し、この通信装置2から検針要求への応答として送信される計測データをコンセントレータ3経由で取得する構成であってもよい。この場合、コンセントレータ3は、定期検針時、通信装置2からの計測データの収集、集約は行わず、サーバ4から通信装置2への検針要求の中継、通信装置2からサーバ4への計測データの中継を行うことになる。
さらにまた、近年、電力消費に関して、需要家側の電力消費を供給側がある程度制御することにより電力需給の協調を実現するデマンドサイドマネジメント(DSM:demand side management)が注目されている。DSMは、供給事業者である電力会社、あるいは節電事業者によって運営されているサーバ4から各需要家の通信装置2に電力の消費を抑制するための要請である要請情報を送信することで実現される。具体的には、本実施形態の通信システム1においては、サーバ4は、各需要家の通信装置2に対して、その上位のコンセントレータ3を介して個別に要請情報を送信する機能を有している。
この場合に、通信装置2は、たとえば各需要家の設備機器(図示せず)との通信機能を有し、要請情報を設備機器に表示させたり、要請情報に基づいて電力消費のピークを抑制(ピークカット)するように設備機器を制御したりすることが可能になる。
ところで、本実施形態の通信システム1は、サーバ4−コンセントレータ3間の帯域幅よりも、コンセントレータ3−通信装置2間の帯域幅の方が狭い。そのため、サーバ4は、コンセントレータ3を介して各通信装置2に検針要求や要請情報といったデータを送信する際、データ送信の間隔が比較的短ければ、コンセントレータ3−通信装置2間において通信トラフィックが増加して通信の輻輳を生じる可能性がある。そこで、本実施形態の通信システム1は、サーバ4からコンセントレータ3を介して通信装置2に検針要求や要請情報といったデータを送信するに当たり、コンセントレータ3−通信装置2間での通信の輻輳の発生を回避するために、以下の構成を採用している。
すなわち、コンセントレータ3は、上記構成に加えて、監視部34と、判定部35と、第1通知部(通知部)36とを有している。サーバ4は、上記構成に加えて、送信部43と、第1取得部44とを有している。
コンセントレータ3の監視部34は、管理下の通信装置2との間の通信トラフィックを測定するように構成されている。ここでいう通信トラフィックは、通信負荷、通信量を含む。ここでは監視部34は、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックを定期的に測定しており、その測定結果を一定期間分、コンセントレータ3のメモリ(図示せず)に時系列に沿って記憶している。
判定部35は、監視部34の測定結果が所定の閾値以下か否かを判定するように構成されている。閾値は、コンセントレータ3−通信装置2間で通信の輻輳が生じない程度の通信トラフィックであって、予め決められてコンセントレータ3のメモリ(図示せず)に記憶されている。具体的には、判定部35は、一定時間(たとえば1分間)毎に、監視部34で測定された通信トラフィックの代表値(たとえば平均値、中央値など)をメモリ内の閾値と比較する。
通知部としての第1通知部36は、判定部35の判定結果に応じてサーバ4へ通知を行うように構成されている。具体的には、第1通知部36は、判定部35の判定結果に応じた信号を、第1通信I/F31から専用回線NT1を介してサーバ4に送信する。
本実施形態では、第1通知部36は、監視部34の測定結果が閾値以下にある間は、予め一定時間間隔で定められた通知タイミングで許可通知をサーバ4へ送信するように構成されている。つまり、第1通知部36は、監視部34の測定結果が閾値を超えない限りは定期的に許可通知をサーバ4へ送信する。また、第1通知部36は、監視部34の測定結果が閾値を超えるとサーバ4への許可通知の送信を停止し、その後、監視部34の測定結果が閾値以下になるとサーバ4への許可通知の送信を再開する。本実施形態では、通知タイミングの時間間隔は、判定部35が判定を行う時間間隔(たとえば1分間隔)と同一である。
一方、サーバ4の第1取得部44は、第1通知部36からの許可通知を取得するように構成されている。具体的には、第1取得部44は、コンセントレータ3で規定されている上記の通知タイミングに同期して、コンセントレータ3から送信された許可通知を、通信I/F41にて専用回線NT1を介して受信する。
送信部43は、監視部34の測定結果が閾値を超えている期間にデータの送信を抑制するように、第1通知部36からの通知(ここでは許可通知)に従ってコンセントレータ3の管理下の通信装置2に対するデータの送信を制御するように構成されている。具体的には、送信部43は、通信I/F41からコンセントレータ3を介してその管理下の通信装置2に対し、検針要求や要請情報といったデータを送信する機能を有しており、このデータの送信を第1通知部36からの通知に従って制御する。
本実施形態では、送信部43は、第1取得部44が上記の通知タイミングで許可通知を受信すると、次の通知タイミングまでの間は通信装置2へデータを送信するように構成されている。また、送信部43は、通知タイミングで許可通知を受信できなければ、次の通知タイミングまで通信装置2へのデータの送信を中止するように構成されている。
次に、本実施形態の通信システム1の動作について図2を参照して説明する。図2では、サーバ4が、ある特定のコンセントレータ3の管理下にある通信装置201,202,…20nに対して、通信装置201、通信装置202、…通信装置20nの順に検針要求のデータを送信する場合を例示する。
コンセントレータ3は、通知タイミングに第1通知部36からサーバ4へ許可通知を送信する(S1)。サーバ4は、通知タイミングに同期して許可通知を受けると、通信装置2へのデータの送信を開始し、まず通信装置201へデータを送信し(S2)、通信装置20nまで順次データを送信する(S3)。
その後、コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S4)。図2の例では、「A1」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値以下であるため、コンセントレータ3は、次の通知タイミングに第1通知部36からサーバ4へ許可通知を送信する(S5)。
サーバ4は、通知タイミングに同期して許可通知を受けると、再び通信装置2へのデータの送信を開始し、まず通信装置201へデータを送信し(S6)、通信装置20nまで順次データを送信する(S7)。
その後、コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S8)。図2の例では、「A2」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値を超えているため、コンセントレータ3は、次の通知タイミングには第1通知部36からサーバ4へ許可通知を送信しない(図中、破線矢印で示す)。
サーバ4は、通知タイミングに許可通知を受信しないため、次の通知タイミングまでの期間T1においては、通信装置2へのデータの送信を中止する。
その後、コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S9)。図2の例では、「A3」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値以下であるため、コンセントレータ3は、次の通知タイミングには第1通知部36からサーバ4へ許可通知を送信する(S10)。
サーバ4は、通知タイミングに同期して許可通知を受けると、通信装置2へのデータの送信を再開し、まず通信装置201へデータを送信し(S11)、通信装置20nまで順次データを送信する(S12)。
以上説明した構成によれば、コンセントレータ3は、管理下の通信装置2との間の通信トラフィックを測定する監視部34と、監視部34の測定結果が閾値以下か否かを判定する判定部35と、判定結果に応じてサーバ4へ通知を行う第1通知部36とを有している。また、サーバ4は、監視部34の測定結果が閾値を超えている期間にデータの送信を抑制するように、第1通知部36からの通知に従ってコンセントレータの管理下の通信装置2に対するデータの送信を制御する送信部43を有している。
すなわち、サーバ4は、コンセントレータ3の管理下の通信装置2に対し、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックに応じて、通信の輻輳の発生を回避するようにデータを送信することができる。つまり、たとえば通信装置2の台数が増えてコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックが増加すると、通信の輻輳の発生確率が上がるので、このような場合には、サーバ4はデータの送信を一旦中止することにより、通信の輻輳の発生を回避できる。したがって、本実施形態の通信システム1によれば、サーバ4から通信装置2へのデータの送信時において、コンセントレータ3と通信装置2との間での通信の複数の発生確率を低減できるという利点がある。
また、サーバ4は、データ(たとえば検針要求)の送信先の通信装置2からの応答(たとえば計測データ)を待ってから次の通信装置2にデータを送信する構成でも、コンセントレータ3−通信装置2間の通信の輻輳の発生を抑制できる。ただし、この構成では、サーバ4は、通信装置2からの応答があった場合に少なくともいずれの通信装置2からの応答かを識別する処理が必要であるから、複数の通信装置2へのデータ送信が完了するまでに掛かる時間が長くなる。これに対し本実施形態では、サーバ4は、コンセントレータ3で測定された通信トラフィックに基づいてデータの送信を制御するので、コンセントレータ3−通信装置2間の通信の輻輳の発生を抑制しながらも、データ送信が完了するまでに掛かる時間を短くできる。
さらに、本実施形態では、第1通知部36は、監視部34の測定結果が閾値以下にある間は、予め一定時間間隔で定められた通知タイミングで許可通知をサーバ4へ送信する。送信部43は、通知タイミングで許可通知を受信すると次の通知タイミングまでの間は通信装置2へデータを送信し、通知タイミングで許可通知を受信できなければ次の通知タイミングまで通信装置2へのデータの送信を中止する。そのため、コンセントレータ3の第1通知部36からサーバ4へ通知される信号は、許可通知の1種類で足りるという利点がある。
また、本実施形態の変形例として、コンセントレータ3は、判定部35にて通信トラフィックが閾値を超えていると判定された(図2の例ではS8)後、通信トラフィックが閾値以下になると、次の通知タイミングを待たずに許可通知を送信する構成であってもよい。
この場合、判定部35は、少なくとも通信トラフィックが閾値を超えたとの判定後、通信トラフィックが閾値以下になるまでは、通知タイミングの時間間隔よりも短い時間間隔(たとえば1秒間隔)で判定を行い、判定結果を第1通知部36へ随時出力する。第1通知部36は、通知タイミングでのサーバ4への許可通知の送信を中断後、通信トラフィックが閾値以下と判定部35で判定されるまでの期間は、判定部35から、通信トラフィックが閾値以下との判定結果を受けるとすぐにサーバ4へ許可通知を送信する。つまり、第1通知部36は、通信トラフィックが一旦閾値を超えた後で閾値以下まで下がった場合には、通知タイミングか否かに関係なくすぐにサーバ4へ許可通知を送信する。その後、第1通知部36は、監視部34の測定結果が閾値以下にある期間は、一定時間間隔で定められた通知タイミングで許可通知をサーバ4へ送信する。
この変形例では、サーバ4の送信部43は、通知タイミングで許可通知を受信できなければ、次に許可通知を受信するまで通信装置2へのデータの送信を中止するように構成される。つまり、サーバ4は、通知タイミングで許可通知を受信できなければ通信装置2へのデータの送信を中止するが、次の通知タイミングまでの間に許可通知を受けると、次の通知タイミングを待たずに許可通知を受けた時点から通信装置2へのデータの送信を再開する。
これにより、コンセントレータ3は、監視部34で測定された通信トラフィックが閾値以下になった場合、すぐにサーバ4へ許可通知を出して送信部43にデータの送信を再開させることができる。よって、サーバ4は、通知タイミングを待って通信装置2へのデータの送信を再開する場合に比べて、通信トラフィックが変動してから通信装置2へのデータの送信を再開するまでの時間を短くできるという利点がある。
なお、送信部43は、監視部34の測定結果が閾値を超えている期間にデータの送信を抑制するように、第1通知部36からの通知に従ってコンセントレータの管理下の通信装置2に対するデータの送信を制御する構成であればよく、送信を中止する構成に限らない。つまり、送信部43は、通知タイミングで許可通知を受信できなければ次の通知タイミングまで通信装置2へ送信するデータ量を減らしたり、データの送信間隔を広げたりする構成であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の通信システム1は、図3に示すようにコンセントレータ3が第1通知部36に代えて第2通知部37を有し、サーバ4が第1取得部44に代えて第2取得部45を有する点で実施形態1の通信システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、通知部としての第2通知部37は、監視部34の測定結果が閾値を超えると超過通知をサーバ4へ送信し、監視部34の測定結果が閾値以下になると緩和通知をサーバ4へ送信するように構成されている。つまり、超過通知は、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックが閾値を超過したことを示す通知であり、緩和通知は、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックが閾値を超える状態から閾値以下になったことを示す通知である。
また、サーバ4の送信部43は、超過通知を受信するまでの間は通信装置2へデータを送信し、超過通知を受信すると次に緩和通知を受信するまで通信装置2へのデータの送信を中止するように構成されている。つまり、サーバ4は、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックが閾値を超過したことを示す通知があれば、このコンセントレータ3の管理下の通信装置2へのデータ送信を中止する。一方、サーバ4は、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックが閾値以下になったことを示す通知があれば、このコンセントレータ3の管理下の通信装置2へのデータ送信を再開する。
次に、本実施形態の通信システム1の動作について図4を参照して説明する。図4では、サーバ4が、ある特定のコンセントレータ3の管理下にある通信装置201,202,…20nに対して、通信装置201、通信装置202、…通信装置20nの順に検針要求のデータを送信する場合を例示する。
通信システム1の起動直後においては、コンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値以下であるため、コンセントレータ3は、サーバ4へ超過通知、緩和通知のいずれも送信しない。サーバ4は、超過通知を受信するまでは、通信装置2へのデータの送信を行っており、まず通信装置201へデータを送信し(S21)、通信装置20nまで順次データを送信する(S22)。
その後、コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S23)。図4の例では、「A11」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値以下のままであるため、コンセントレータ3は、サーバ4へ超過通知、緩和通知のいずれも送信しない。
サーバ4は、超過通知を受信するまでは、通信装置2へのデータの送信を行っており、まず通信装置201へデータを送信し(S24)、通信装置20nまで順次データを送信する(S25)。
その後、コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S26)。図4の例では、「A12」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値を超えているため、コンセントレータ3は、第2通知部37からサーバ4へ超過通知を送信する(S27)。
サーバ4は、超過通知を受信すると、次に緩和通知を受信するまでの期間T2においては、通信装置2へのデータの送信を中止する。
コンセントレータ3は、前回の判定時点から現時点までの期間に監視部34で測定された通信装置2との間の通信トラフィックが、閾値以下か否かを判定部35にて判定する(S28)。図4の例では、「A13」で示した期間のコンセントレータ3−通信装置2間の通信トラフィックは閾値以下であるため、コンセントレータ3は、次の通知タイミングには第2通知部37からサーバ4へ緩和通知を送信する(S29)。
サーバ4は、緩和通知を受けると、通信装置2へのデータの送信を再開し、まず通信装置201へデータを送信し(S30)、通信装置20nまで順次データを送信する(S31)。
以上説明した本実施形態の通信システム1によれば、第2通知部37は、監視部34の測定結果が閾値を超えると超過通知をサーバ4へ送信し、監視部34の測定結果が閾値以下になると緩和通知をサーバ4へ送信する。送信部43は、超過通知を受信するまでの間は通信装置2へデータを送信し、超過通知を受信すると次に緩和通知を受信するまで通信装置2へのデータの送信を中止する。
そのため、コンセントレータ3は、監視部34で測定された通信トラフィックが閾値を超えた場合、すぐにサーバ4へ超過通知を出して送信部43にデータの送信を中止させることができる。また、コンセントレータ3は、監視部34で測定された通信トラフィックが閾値以下になった場合、すぐにサーバ4へ緩和通知を出して送信部43にデータの送信を再開させることができる。よって、サーバ4は、通知タイミングを待って通信装置2へのデータを送信するか否かを決める場合に比べて、通信トラフィックが変動してから通信装置2へのデータを送信するか否かを決めるまでの時間を短くできるという利点がある。
なお、送信部43は、監視部34の測定結果が閾値を超えている期間にデータの送信を抑制するように、第2通知部37からの通知に従ってコンセントレータ3の管理下の通信装置2へのデータの送信を制御する構成であればよく、送信を中止する構成に限らない。つまり、送信部43は、超過通知を受信すると次に緩和通知を受信するまで通信装置2へ送信するデータ量を減らしたり、データの送信間隔を広げたりする構成であってもよい。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態の通信システム1は、コンセントレータ3を複数台備え、複数台のコンセントレータ3の各々の管理下にある通信装置2の計測データを1台のサーバ4で収集する点で実施形態1または実施形態2の通信システム1と相違する。以下、実施形態1または実施形態2と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態においては、サーバ4は、検針要求等のデータが同じコンセントレータ3の管理下の通信装置2へ続けて送信されることがないように構成されている。すなわち、サーバ4は、別々のコンセントレータ3の管理下の通信装置2へ検針要求等のデータを順番に送信することにより、複数台のコンセントレータ3間においてデータ送信のタイミングを分散させるように構成されている。
本実施形態の通信システム1の動作について、図5を参照して説明する。図5では、サーバ4が、第1のコンセントレータ300および第2のコンセントレータ301の各々の管理下の通信装置2に対して検針要求のデータを送信する場合を例示する。また、サーバ4は、第1のコンセントレータ300の管理下の通信装置201,202,…20nに対しては、通信装置201、通信装置202、…通信装置20nの順に検針要求のデータを送信する。同様に、サーバ4は、第2のコンセントレータ310の管理下の通信装置211,212,…21nに対しては、通信装置211、通信装置212、…通信装置21nの順に検針要求のデータを送信する。
サーバ4は、まず第1のコンセントレータ300の管理下の通信装置201へコンセントレータ300を介してデータを送信する(S41)。サーバ4は、通信装置201へのデータ送信後、第2のコンセントレータ310の管理下の通信装置211へコンセントレータ310を介してデータを送信する(S42)。
その後、サーバ4は、第1のコンセントレータ300の管理下の通信装置202へコンセントレータ300を介してデータを送信する(S43)。ここで、サーバ4は、同じコンセントレータ300の管理下の通信装置201へのデータ送信後、通信装置202へデータを送信するまでに、所定の待ち時間分の送信間隔を確保している。
その後、サーバ4は、第2のコンセントレータ310の管理下の通信装置212へコンセントレータ310を介してデータを送信する(S44)。ここで、サーバ4は、同じコンセントレータ310の管理下の通信装置211へのデータ送信後、通信装置212へデータを送信するまでに、所定の待ち時間分の送信間隔を確保している。
その後もサーバ4は、第1のコンセントレータ300の管理下の通信装置2と第2のコンセントレータ310の管理下の通信装置2とに交互にデータを送信する。そして、サーバ4は、第1のコンセントレータ300の管理下の通信装置20nへデータを送信後(S45)、第2のコンセントレータ310の管理下の通信装置21nへデータを送信して(S46)、全ての通信装置2へのデータ送信が完了する。
以上説明した本実施形態の通信システムによれば、サーバ4は、別々のコンセントレータ3の管理下の通信装置2へ検針要求等のデータを順番に送信することにより、複数台のコンセントレータ3間で通信トラフィック(負荷)を分散させることができる。結果的に、サーバ4は、特定のコンセントレータ3に通信トラフィックが集中することを回避できる。
その他の構成および機能は実施形態1または実施形態2と同様である。