JP6061896B2 - 車両用ブレーキシステムおよびブレーキフェード検知方法 - Google Patents

車両用ブレーキシステムおよびブレーキフェード検知方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両用ブレーキシステムおよびブレーキフェード検知方法に関する。
車両に備えられる摩擦ブレーキ手段の性能低下、すなわちブレーキフェード状態を判定し、ブレーキフェード状態である場合には、運転者に注意を促して警告する技術が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術は、目標減速度と実減速度とを比較し、実減速度が目標減速度よりも小さく、かつその差が所定値以上のときに、ブレーキフェードのおそれがあるとして運転者に警告する。
特開2001−206218号公報
ところで、特許文献1に記載の技術は、例えば、ブレーキ液圧から目標減速度を算出し、加速度センサの出力から実減速度を算出して、両者を比較している。
この場合、ブレーキ液圧からの目標減速度の算出時には、ブレーキ液圧を制動力に換算し、さらに制動力を減速度に変換する必要があるため、余計な誤差が生じてしまう。また、実減速度の算出時には、加速度センサの出力が使用されているが、勾配抵抗等の車両抵抗が考慮されていないため、例えば車両が下り勾配の坂路(降坂路)を走行している状態では想定以上に加速してしまい、ブレーキフェード状態を誤検知するおそれがある。
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキフェード状態の検知精度を高めることができる車両用ブレーキシステムおよびブレーキフェード検知方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、電動機を走行用の動力源として備える車両において用いられる車両用ブレーキシステムであって、ブレーキ液圧の供給によって摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ手段と、前記電動機の発電運転によって回生制動力を発生させる回生ブレーキ手段と、前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、前記ブレーキ液圧から前記摩擦制動力の目標値を算出する制動力目標値算出手段と、前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗、走行抵抗、および加速抵抗を含む車両抵抗から前記摩擦制動力の推定値を算出する制動力推定値算出手段と、前記摩擦制動力の目標値から前記摩擦制動力の推定値を差し引いた差が所定値以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、ブレーキ液圧から算出した摩擦制動力の目標値と、車両抵抗から算出した摩擦制動力の推定値とが比較され、ブレーキ液圧の供給によって発生させようとする制動力が充分に発生していない場合にブレーキフェード状態であると判定される。このように制動力を用いて判定を行うことで、従来技術のような制動力を減速度に変換する際の誤差の影響を排除できる。また、勾配抵抗を含む車両抵抗を考慮して、摩擦制動力の推定値が算出されるため、より高精度にブレーキフェード状態を検知できる。
すなわち、ブレーキフェード状態の検知精度を高めることができる車両用ブレーキシステムを提供できる。
例えば車両が降坂路を走行する場合において、摩擦ブレーキ手段を長時間作動させると、ブレーキパッドの温度が上昇することによって、摩擦ブレーキ手段の性能低下、すなわちブレーキフェード状態になる可能性がある。すなわち、長い降坂路においては、運転者がアクセルペダルから足を離してブレーキペダルを踏むことで、摩擦ブレーキ手段を作動させることが多くなる。この場合、通常では回生ブレーキ手段も作動するが、このときバッテリを充電しつつ回生制動力を発生させることからバッテリが満充電になりやすく、過充電を避けるために結果として回生ブレーキ手段の作動に制限が入りやすい。かかる場合には、運転者がさらに摩擦ブレーキ手段を作動させることによってブレーキフェード状態が進行するおそれがあるが、本発明によれば、ブレーキフェード状態を精度良く検知することができるため、必要な処理を的確に実行させることによって制動力の安定化を図ることができる。
また、本発明は、前記摩擦制動力の推定値が、前記勾配抵抗から前記走行抵抗および前記加速抵抗を減算した値に基づいて算出されることを特徴とする。
このような構成によれば、車両が降坂路を走行する場合における摩擦制動力の推定値を算出でき、この推定値を用いてブレーキフェード状態を検知することができる。
また、本発明は、前記車両が、エンジンを走行用の動力源としてさらに備え、前記判定手段によりブレーキフェード状態であると判定された場合に、エンジンブレーキを増大させる制御を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、摩擦ブレーキ手段の性能低下を補うことができ、これにより車両を効果的に減速させることが可能となる。
前記課題を解決するために、本発明は、電動機を走行用の動力源として備える車両において用いられるブレーキフェード検知方法であって、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、ブレーキ液圧から摩擦制動力の目標値を算出するステップと、前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗、走行抵抗、および加速抵抗を含む車両抵抗から前記摩擦制動力の推定値を算出するステップと、前記摩擦制動力の目標値から前記摩擦制動力の推定値を差し引いた差が所定値以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定するステップと、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、ブレーキ液圧から算出した摩擦制動力の目標値と、車両抵抗から算出した摩擦制動力の推定値とが比較され、ブレーキ液圧の供給によって発生させようとする制動力が充分に発生していない場合にブレーキフェード状態であると判定される。このように制動力を用いて判定を行うことで、従来技術のような制動力を減速度に変換する際の誤差の影響を排除できる。また、勾配抵抗を含む車両抵抗を考慮して、摩擦制動力の推定値が算出されるため、より高精度にブレーキフェード状態を検知できる。
すなわち、ブレーキフェード状態の検知精度を高めることができるブレーキフェード検知方法を提供できる。
本発明によれば、ブレーキフェード状態の検知精度を高めることができる車両用ブレーキシステムおよびブレーキフェード検知方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキシステムの概略構成図である。 図1に示される車両用ブレーキシステムにおけるブレーキフェード状態の検知に関する構成のブロック図である。 車両が降坂路を走行する場合に車両に加わる力を説明するための図である。 ブレーキフェード状態の検知処理の内容を示すフローチャートである。 車両が降坂路を走行する場合における摩擦制動力の目標値および摩擦制動力の推定値の算出結果の一例を示す図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキシステム10の概略構成図である。図2は、図1に示される車両用ブレーキシステム10におけるブレーキフェード状態の検知に関する構成のブロック図である。図3は、車両1が降坂路2を走行する場合に車両1に加わる力を説明するための図である。
図1に示す車両用ブレーキシステム10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、液圧(ブレーキ液圧)を伝達してブレーキを作動させる旧来の液圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
このため、図1に示すように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、運転者によってブレーキペダル12等のブレーキ操作部が操作されたときにその操作の入力に応じた液圧を、作動液であるブレーキ液に発生させる液圧発生装置(入力装置14)と、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときの操作量(ストローク)を計測するペダルストロークセンサStと、各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)のホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給される作動圧(ブレーキ液圧)を作動液(ブレーキ液)に発生させる電動ブレーキアクチュエータ(モータシリンダ装置16)と、車両挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置18(以下、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装置18という、VSA;登録商標)とを別体として備えて構成されている。
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された管路(液圧路)によって接続されているとともに、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
このうち、液圧路について説明すると、図1中(中央やや下)の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
図1中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構30aのホィールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構30bのホィールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構30cのホィールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪WFLに設けられたディスクブレーキ機構30dのホィールシリンダ32FLと接続される。
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに対して供給され、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL内のブレーキ液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)との摩擦力が高くなって制動力が付与される。このように、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL内のブレーキ液圧が上昇して生じる制動力を、摩擦制動力と称する。
また、右側前輪WFR、左側後輪WRL、右側後輪WRR、左側前輪WFLのそれぞれには、車輪速を検出する車輪速センサ35a,35b,35c,35dがそれぞれ備えられている。各車輪速センサ35a,35b,35c,35dが各車輪の車輪速を計測して発生する計測信号は制御手段150に導入される。
なお、本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)と電動機200を走行用の動力源とするハイブリッド自動車、電動機200のみを走行用の動力源とする電気自動車(燃料電池車を含む)など、電動機200を動力源として備える車両に搭載可能である。電動機200は、例えば2つの前輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)を駆動するように車両に備わる。この場合、2つの前輪が駆動輪となり、2つの後輪(左側後輪WRL,右側後輪WRR)が非駆動輪となる。
電動機200には、インバータを含んで構成されるパワードライブユニット(PDU)と称されるような回生制御部201が接続されている。回生制御部201は、電動機200が駆動輪から入力されるトルクで発電する電力(回生電力)をバッテリ202に充電する機能を有し、制御手段150から入力される指令によって制御される。例えば、制御手段150から、電動機200で回生電力を発電させて制動力(回生制動力)を発生させる指令が入力されると、回生制御部201は、電動機200を「発電機」に切り替えるとともに電動機200が発電する回生電力をバッテリ202に充電するように機能する。
また、回生制御部201は、例えば電動機200に供給する界磁電流を変更して電動機200による回生電力の発電量を調節するなどして、電動機200による回生制動力の強さを調節可能に構成される。
なお、回生制御部201が、電動機200を制御して回生制動力を発生させる技術は公知の技術を利用すればよい。
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によってブレーキ液に液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設されたリザーバ(第1リザーバ36)とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン(セカンダリピストン40a,プライマリピストン40b)が摺動自在に配設される。セカンダリピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、ブレーキペダル12と連結されるプッシュロッド42に当接される。また、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
また、シリンダチューブ38の内壁には、プライマリピストン40bの外周に摺接する一対のリング状を呈するカップシール44Pa,44Pb、およびセカンダリピストン40aの外周に摺接する一対のリング状を呈するカップシール44Sa,44Sbが装着されている。さらに、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bの間には、ばね部材50aが配設され、プライマリピストン40bとシリンダチューブ38の閉塞端側の側端部38aと間には、他のばね部材50bが配設される。
また、シリンダチューブ38の側端部38aからプライマリピストン40bの摺動方向に沿ってガイドロッド48bが延設され、プライマリピストン40bは、ガイドロッド48bにガイドされて摺動する。
また、プライマリピストン40bのセカンダリピストン40a側の端部からセカンダリピストン40aの摺動方向に沿ってガイドロッド48aが延設され、セカンダリピストン40aは、ガイドロッド48aにガイドされて摺動する。
そして、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bはガイドロッド48aで連結されて直列に配置される。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート(第2サプライポート46a、第1サプライポート46b)と、2つのリリーフポート(第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52b)と、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、第2サプライポート46a、第1サプライポート46b及び第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52bは、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
さらに、セカンダリピストン40aの外周に摺接する一対のカップシール44Sa,44Sbは、セカンダリピストン40aの摺動方向に第2リリーフポート52aを挟んで配置される。また、プライマリピストン40bの外周に摺接する一対のカップシール44Pa,44Pbは、プライマリピストン40bの摺動方向に第1リリーフポート52bを挟んで配置される。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応した液圧を発生する第2圧力室56a及び第1圧力室56bが設けられる。第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
第1圧力室56bと第2圧力室56aの間は、一対のカップシール44Pa,44Pbによって液密に封じられる。また、第2圧力室56aのブレーキペダル12側は、一対のカップシール44Sa,44Sbによって液密に封じられる。
第1圧力室56bは、プライマリピストン40bの変位に応じた液圧を発生するように構成され、第2圧力室56aは、セカンダリピストン40aの変位に応じた液圧を発生するように構成される。
また、セカンダリピストン40aは、ブレーキペダル12に連結されるプッシュロッド42に当接され、ブレーキペダル12の動作にともなってシリンダチューブ38内を変位する。さらに、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aの変位によって第2圧力室56aに発生する液圧によって変位する。つまり、プライマリピストン40bはセカンダリピストン40aに応動して変位する。
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第2液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されるとともに、第2液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を計測するものである。
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第1液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60bが設けられるとともに、第1液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58b上において、第1遮断弁60bよりもホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL側である下流側の液圧を計測するものである。
この第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bは、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した閉弁状態をそれぞれ示している。
マスタシリンダ34と第1遮断弁60bとの間の第1液圧路58bには、前記第1液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第3遮断弁62は、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した開弁状態を示している。
このストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時に、ブレーキペダル12の踏み込み操作に対してストロークと反力を与えて、あたかも踏力によって制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置であり、第1液圧路58b上であって、第1遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a,66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になるように設けられている。
つまり、ストロークシミュレータ64は、第1圧力室56bから導出されるブレーキ液の液圧に応じた反力を発生し、この反力をマスタシリンダ34を介してブレーキペダル12に与えるように構成される。
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第2圧力室56aと複数のホィールシリンダ32FR,32RLとを接続する第2液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと複数のホィールシリンダ32RR、32FLとを接続する第1液圧系統70bとから構成される。
第2液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第2液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a,22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b,22cと、VSA装置18の導出ポート28a,28bと各ホィールシリンダ32FR,32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g,22hとによって構成される。
第1液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第1液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d,22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e,22fと、VSA装置18の導出ポート28c,28dと各ホィールシリンダ32RR,32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i,22jとを有する。
モータシリンダ装置16は、電動モータ72と、アクチュエータ機構74と、前記アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76と、を有する。
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72b側に設けられ、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、前記ギヤ機構78を介して前記回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
本実施形態においてボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。なお、配管チューブ86に、ブレーキ液を貯留するタンクが備わっていてもよい。
そして、略円筒状を呈するシリンダ本体82の開放された端部(開放端)がハウジング本体172Fとハウジングカバー172Rからなるアクチュエータハウジング172に嵌合してシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172が連結され、モータシリンダ装置16が構成される。
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第2スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接して前記ボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第1スレーブピストン88bは、第2スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
また、本実施形態における電動モータ72は、シリンダ本体82と別体に形成されるモータケーシング72aで覆われて構成され、出力軸72bが第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの摺動方向(軸方向)と略平行になるように配置される。
そして、出力軸72bの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。
ギヤ機構78は、例えば、電動モータ72の出力軸72bに取り付けられる第1ギヤ78aと、ボールねじ軸80aを軸方向に進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる第3ギヤ78cと、第1ギヤ78aの回転を第3ギヤ78cに伝達する第2ギヤ78bと、の3つのギヤで構成され、第3ギヤ78cはボールねじ軸80aの軸線を中心に回転する。
本実施形態におけるアクチュエータ機構74は、前記した構造によって、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。
第1スレーブピストン88bの外周面には、環状段部を介して、一対のスレーブカップシール90a,90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブカップシール90a,90bの間には、後記するリザーバポート92bと連通する第1背室94bが形成される。
なお、第2及び第1スレーブピストン88a,88bの間には、第2リターンスプリング96aが配設され、第1スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第1リターンスプリング96bが配設される。
また、第2スレーブピストン88aの外周面と機構収納部173aとの間を液密にシールするとともに、第2スレーブピストン88aをその軸方向に対して移動可能にガイドする環状のガイドピストン90cが、第2スレーブピストン88aの後方に、シリンダ本体82をシール部材として閉塞するように備わっている。第2スレーブピストン88aが貫通するガイドピストン90cの内周面には、図示しないスレーブカップシールが装着され、第2スレーブピストン88aとガイドピストン90cの間が液密に構成されることが好ましい。さらに、第2スレーブピストン88aの前方の外周面には、環状段部を介して、スレーブカップシール90bが装着される。
この構成によって、シリンダ本体82の内部に充填されるブレーキ液がガイドピストン90cによってシリンダ本体82に封入され、アクチュエータハウジング172の側に流れ込まないように構成されている。
なお、ガイドピストン90cとスレーブカップシール90bの間には、後記するリザーバポート92aと連通する第2背室94aが形成される。
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a,92bと、2つの出力ポート24a,24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホィールシリンダ32FR,32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第2液圧室98aと、他の出力ポート24bからホィールシリンダ32RR,32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第1液圧室98bが設けられる。
この構成によると、ブレーキ液が封入される第2背室94a、第1背室94b、第2液圧室98a、及び第1液圧室98bは、シリンダ本体82におけるブレーキ液の封入部であり、シール部材として機能するガイドピストン90cによって、アクチュエータハウジング172の機構収納部173aと液密(気密)に区画される。
なお、ガイドピストン90cがシリンダ本体82に取り付けられる方法は限定するものではなく、例えば、図示しないサークリップで取り付けられる構成とすればよい。
第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bとの間には、第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する規制手段100が設けられる。さらに、第1スレーブピストン88bには、第1スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特にマスタシリンダ34で制動するバックアップ時において、1つの系統が失陥したときに、他の系統の失陥が防止される。
VSA装置18は、公知のものからなり、右側前輪WFR及び左側後輪WRLのディスクブレーキ機構30a,30b(ホィールシリンダ32FR,32RL)に接続された第2液圧系統70aを制御する第2ブレーキ系110aと、右側後輪WRR及び左側前輪WFLのディスクブレーキ機構30c、30d(ホィールシリンダ32RR,32FL)に接続された第1液圧系統70bを制御する第1ブレーキ系110bとを有する。なお、第2ブレーキ系110aは、左側前輪WFL及び右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪WRR及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪WFR及び右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪WFL及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
この第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第2ブレーキ系110aと第1ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付しているとともに、第2ブレーキ系110aの説明を中心にして、第1ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
第2ブレーキ系110a(第1ブレーキ系110b)は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)に対して、共通する管路(第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114)を有する。このうち、第1共通液圧路112は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)にブレーキ液圧を供給する供給路となる。
VSA装置18は、導入ポート26a(26b)と第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a(26b)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a(26b)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
第1インバルブ120および第2インバルブ124は、ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに、ブレーキ液圧を供給する管路(第1共通液圧路112)を開閉する開閉手段である。
さらに、VSA装置18は、第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ装置132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、前記ポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、前記ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26a(26b)との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなるサクションバルブ142とを備える。
なお、第2ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する管路(液圧路)上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第2液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を計測する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPm、Pp、Phで計測された計測信号は、制御手段150に導入される。また、VSA装置18では、VSA制御のほか、ABS(アンチロックブレーキシステム)も制御可能である。
さらに、VSA装置18に代えて、ABS機能のみを搭載するABS装置が接続される構成であってもよい。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁されて弁開状態となる。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生した液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達されることはない。
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56bで発生した液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給された液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66a,66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されるとともに、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
このようなシステム状態において、制御手段150は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると制動時と判定し、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第2リターンスプリング96a及び第1リターンスプリング96bのばね力に抗して第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを図1中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの変位によって第2液圧室98a及び第1液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
具体的に、制御手段150は、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキペダル12の踏み込み操作量(以下、適宜「ブレーキ操作量」と称する)を算出し、このブレーキ操作量に基づいて、回生制動力を考慮した上で目標となるブレーキ液圧を設定し、設定したブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
本実施形態の制御手段150は、例えば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータ及び周辺機器からなる。そして、制御手段150は、あらかじめROMに記憶されているプログラムをCPUで実行し、車両用ブレーキシステム10を制御するように構成される。
ブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する操作量計測手段はペダルストロークセンサStに限定されるものではなく、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測可能なセンサであればよい。例えば、操作量計測手段を圧力センサPmとして、圧力センサPmが計測する液圧をブレーキペダル12の踏み込み操作量に変換する構成であってもよいし、図示しない踏力センサによってブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する構成であってもよい。
このモータシリンダ装置16における第2液圧室98a及び第1液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120,124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する制御手段150等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことで液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)との連通を第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車等のように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両に好適に適用することができる。
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bをそれぞれ弁開状態、第3遮断弁62を弁閉状態としマスタシリンダ34で発生する液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)にブレーキ液圧として伝達し、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の液圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、ブレーキフェード状態を検知する機能を有している。
次に、図2および図3を参照して、車両用ブレーキシステム10におけるブレーキフェード状態の検知に関する構成について説明する。
本実施形態では、ブレーキ液圧の供給によって摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ手段が、モータシリンダ装置16、および各ディスクブレーキ機構30a〜30d(図1参照、以下同様)を含んで構成されている。
制御手段150は、ペダルストロークセンサStの計測値を受信し、該計測値に応じて算出されたブレーキ操作量に基づいて、回生制動力を考慮した上で目標となるブレーキ液圧を設定し、設定したブレーキ液圧を発生させる指令をモータシリンダ装置16に送信する。そして、モータシリンダ装置16は、設定されたブレーキ液圧を発生させ、このブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給して摩擦制動力を発生させる。
また、本実施形態では、電動機200の発電運転によって回生制動力を発生させる回生ブレーキ手段が、電動機200および回生制御部201を含んで構成されている。
回生制御部201は、制御手段150から入力される指令に基づいて、電動機200で回生電力を発電させて回生制動力を発生させる機能を制御する。例えば、制御手段150から、回生ブレーキ手段を作動させる指令が入力されると、回生制御部201は、電動機200を「発電機」に切り替え、発電した回生電力をバッテリ202に充電しつつ、回生制動力を発生させる。一方、例えばバッテリ202が満充電の場合等には、バッテリ202にそれ以上の回生電力を充電できなくなるため、回生制御部201は、制御手段150からの指令を受けて、回生ブレーキ手段の作動を制限する。これにより、回生制動力は発生しなくなる。
制御手段150には、前記したように、車輪速センサ35a,35b,35c,35d、および圧力センサPm、Pp、Phからの計測信号が入力される。また、車両1(図3参照)には、該車両1の前後方向の加速度を検出するための加速度センサ300が備えられており、制御手段150には、加速度センサ300からの計測信号が入力される。
本実施形態では、制御手段150は、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、ブレーキ液圧Pから摩擦制動力の目標値F1を算出する制動力目標値算出手段151と、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗から摩擦制動力の推定値F2を算出する制動力推定値算出手段152と、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定する判定手段153と、を有している。なお、所定値Aは、実験結果等にしたがって予め設定される。
また、車両用ブレーキシステム10は、判定手段153によりブレーキフェード状態であると判定された場合に、ブレーキフェード確定後処理を実行させる制御を行うブレーキフェード確定後処理制御部301を有している。
摩擦制動力の目標値F1は、以下のように算出される。
すなわち、摩擦制動力の目標値F1は、ブレーキ液圧をPとしたとき、F1=k・P、の式によって算出される。ここで、「k」は、予め実験結果等にしたがって得られる係数である。ブレーキ液圧Pは、ここでは圧力センサPhからの計測信号を用いて得られる。
摩擦制動力の推定値F2の算出時に使用される勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗は、以下のように算出される。なお、以下に説明する勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗の算出方法は、一例を示すものであって、別の算出方法が使用されてもよい。
ここで、車両1が降坂路2を走行する場合を想定して説明する。
図3に示すように、降坂路2を走行する場合の車両1には、勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗(力)が加わっている。
勾配抵抗R1は、走行路の勾配によって車両1に加わる力であり、ここでは車両1の走行方向に生じる力をプラスとする。降坂路2の場合には、勾配抵抗R1は、車両1を降坂させる方向に働く力である。勾配抵抗R1は、車両1の総質量をm、坂路勾配をθとしたとき、R1=m・g・sinθ、の式によって算出される。ここで、「g」は、重力加速度である。車両1の総質量mは、車両1の諸元に基づいて導かれる。また、坂路勾配θは、加速度センサ300の計測信号に基づいて算出された車両1の前後方向の加速度αに基づいて、従来公知の方法によって算出(推定)される。
走行抵抗R2は、空気抵抗R21と、ころがり抵抗R22との和(R2=R21+R22)で与えられる。
空気抵抗R21は、車両1の前面投影面積をS、車両1の走行速度をVとしたとき、R21=λ・S・V、の式によって算出される。ここで、「λ」は、空気抵抗係数である。なお、車両1の走行速度Vは、車輪速センサ35a,35b,35c,35dからの計測信号に基づいて算出される。
ころがり抵抗R22は、車両1の総質量をmとしたとき、R22=m・g・μ、の式によって算出される。ここで、「g」は、重力加速度であり、「μ」は、ころがり抵抗係数である。また、車両1の総質量mは、車両1の諸元に基づいて導かれる。
加速抵抗R3は、車両1の加速によって車両1に加わる力であり、ここでは車両1の加速時に走行方向と反対方向に生じる力をプラスとする。加速抵抗R3は、車両1の走行方向の加速度をα、車両1の総質量をm、駆動機構の回転部分の慣性相当質量をΔmとしたとき、R3=α・(m+Δm)、の式によって算出される。ここで、加速度αは、加速度センサ300の計測信号に基づいて算出される。車両1の総質量m、および慣性相当質量Δmは、車両1の諸元に基づいて導かれる。
そして、回生ブレーキ手段の作動の制限時には回生制動力を考慮する必要がなく、摩擦制動力の推定値F2は、勾配抵抗R1から走行抵抗R2および加速抵抗R3を減算した値に基づいて算出される。具体的には、摩擦制動力の推定値F2は、F2=R1−(R2+R3)、の式によって算出される。このような構成によれば、車両が降坂路を走行する場合における摩擦制動力の推定値を算出でき、この推定値を用いてブレーキフェード状態を検知することができる。また、上記の式によれば、各抵抗R1〜R3の値を正値で取得して簡単に摩擦制動力の推定値を算出できる。
次に、図1〜図3に加えて図4を参照して、両用ブレーキシステム10におけるブレーキフェード状態の検知処理について説明する。
図4は、ブレーキフェード状態の検知処理の内容を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS1では、制御手段150は、ブレーキペダル12が運転者によって踏み込まれたか否かを判断する。なお、ブレーキペダル12が踏み込まれたか否かの判断は、ここではペダルストロークセンサStの計測信号に基づいて行われるが、これに限定されるものではなく、例えば圧力センサPmが計測する液圧に基づいて行われてもよい。制御手段150は、ブレーキペダル12が踏み込まれていないと判断した場合(ステップS1でNo)、待機する。
ハイブリッド車などの電動車両は、ブレーキペダル12やアクセルペダルの操作に関わらず、一般的なガソリン車のエンジンブレーキ相当の制動力を、通常時には回生ブレーキ手段によって発生させ、バッテリ202の満充電時などの回生ブレーキ手段の作動制限時には、摩擦ブレーキ手段によって発生させている。したがって、本実施形態において、摩擦制動力には、ブレーキペダル12の踏み込み操作に起因して摩擦ブレーキ手段によって発生させられるものと、バッテリ202の満充電時などにエンジンブレーキ相当の制動力として摩擦ブレーキ手段によって発生させられるものとが含まれる。そして、前記したようにバッテリ202の満充電時などの回生ブレーキ手段の作動制限時にはエンジンブレーキ相当の制動力が摩擦ブレーキ手段によって常に出力されることから、ブレーキフェード状態が生じる可能性が高くなるため、ブレーキフェード状態の検知精度を高める必要がある。
なお、ステップS1において、制御手段150は、ブレーキペダル12が踏み込まれたか否かの判断に代えて、摩擦制動力が発生しているか否かの判断を行うように構成されてもよい。この場合、摩擦制動力が発生しているか否かの判断は、例えば圧力センサPhが計測する液圧に基づいて行われる。
制御手段150は、ブレーキペダル12が踏み込まれたと判断した場合(ステップS1でYes)、ステップS2に処理を進め、回生ブレーキ手段の作動が制限されているか否かを判断する。制御手段150は、回生ブレーキ手段の作動が制限されていないと判断した場合(ステップS2でNo)、ステップS1に処理を戻す。
制御手段150は、バッテリ202のSOC(State Of Charge:残容量)が高い等で、回生ブレーキ手段の作動が制限されていると判断した場合(ステップS2でYes)、ステップS3に処理を進める。
ステップS3において、制御手段150の制動力目標値算出手段151は、摩擦制動力の目標値F1を算出する。摩擦制動力の目標値F1は、前記したように、ブレーキ液圧Pから算出される。
続いて、ステップS4において、制御手段150の制動力推定値算出手段152は、摩擦制動力の推定値F2を算出する。摩擦制動力の推定値F2は、前記したように、勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗から算出される。なお、ステップS3とステップS4の実行順序は逆であってもよい。
図5は、車両1が降坂路2を走行する場合における摩擦制動力の目標値F1および摩擦制動力の推定値F2の算出結果の一例を示す図である。
図5の例では、摩擦制動力の目標値F1は、通常時およびブレーキフェード状態の発生時の双方において、ブレーキ液圧Pに基づいて500[N]と算出されている。
また、図5の例では、通常時において、勾配抵抗R1が1000[N]、走行抵抗R2が100[N]、加速抵抗R3が400[N]と算出され、摩擦制動力の推定値F2は、F2=R1−(R2+R3)=500[N]と算出されている。一方、ブレーキフェード状態の発生時において、勾配抵抗R1が1000[N]、走行抵抗R2が100[N]、加速抵抗R3が800[N]と算出され、摩擦制動力の推定値F2は、F2=R1−(R2+R3)=100[N]と算出されている。このように、ブレーキフェード状態の発生時においては、充分な摩擦制動力が確保できずに車両1が加速してしまい、加速抵抗R3が大きく出てしまっている。
そして、ステップS5において、制御手段150の判定手段153は、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となったか否かを判断する。所定値Aは、ここでは例えば100[N]とする。
制御手段150の判定手段153は、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値Aよりも小さいと判断した場合(ステップS5でNo)、ステップS1に処理を戻す。ここで、例えば図5の例では、通常時において、F1−F2=0<100=Aとなる。
一方、制御手段150の判定手段153は、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となったと判断した場合(ステップS5でYes)、ステップS6に処理を進め、ブレーキフェード状態であると判定して、ブレーキフェード確定フラグをオンにする。ここで、例えば図5の例では、ブレーキフェード状態の発生時において、F1−F2=400≧100=Aとなる。
このように、電動機200を走行用の動力源として備える車両1において、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、ブレーキ液圧から摩擦制動力の目標値F1を算出するステップS3と、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗から摩擦制動力の推定値F2を算出するステップS4と、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定するステップS5,S6と、を有するブレーキフェード検知方法が実行される。
続いて、ステップS7において、制御手段150は、ブレーキフェード確定フラグがオンとなっていることに基づいて、ブレーキフェード確定後処理を実行させるための指令を、ブレーキフェード確定後処理制御部301に送信する。
そして、ブレーキフェード確定後処理制御部301は、例えば、運転者に対して警告を発する処理等のブレーキフェード確定後処理を実行させる制御を行う。警告を発する処理としては、例えば、メータパネルにおける警告灯を点灯または点滅させる処理、ハザードランプを点滅させる処理、警告音を発する処理等が挙げられる。このように構成すれば、運転者は、ブレーキフェード状態であることを迅速かつ正確に把握することができる。これにより、運転者は、ブレーキフェード状態が過度に進行することを回避するためのブレーキ操作等の適切な措置を取ることができる。
なお、ブレーキフェード確定後処理は、運転者に対して警告を発する処理に限定されるものではなく、これに代えてまたはこれに加えて、以下の処理を含んでいてもよい。
例えば、車両1がエンジンを走行用の動力源としてさらに備えている場合には、ブレーキフェード確定後処理は、エンジンブレーキを増大させる処理を含んでいてもよい。このような構成によれば、摩擦ブレーキ手段の性能低下を補うことができ、これにより車両1を効果的に減速させることが可能となる。なお、エンジンブレーキを増大させる処理には、エンジンブレーキが効いていない状態から作動させる処理、および自動変速機の減速比を大きい方へ移す(シフトダウンさせる)処理が含まれる。
また、車両1が電流制御可能な電動パーキングブレーキを備えている場合には、ブレーキフェード確定後処理は、該電動パーキングブレーキを作動させる処理を含んでいてもよい。このような構成によっても、摩擦ブレーキ手段の性能低下を補うことができる。
また、ブレーキフェード確定後処理は、電力を強制的に消費する処理を含んでいてもよい。電力を強制的に消費する処理としては、例えば、ヒータを最大出力で作動させる処理等が挙げられる。このような構成によれば、バッテリ202の蓄電量を減少させることによって、回生ブレーキ手段の作動の制限を解除して回生制動力を発生させることができ、摩擦ブレーキ手段の性能低下を補うことができる。
前記したように本実施形態では、電動機200を走行用の動力源として備える車両1において用いられる車両用ブレーキシステム10は、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、ブレーキ液圧から摩擦制動力の目標値F1を算出する制動力目標値算出手段151と、回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗R1、走行抵抗R2、および加速抵抗R3を含む車両抵抗から摩擦制動力の推定値F2を算出する制動力推定値算出手段152と、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定する判定手段153と、を有している。
したがって本実施形態によれば、ブレーキ液圧から算出した摩擦制動力の目標値F1と、車両抵抗から算出した摩擦制動力の推定値F2とが比較され、ブレーキ液圧によって発生させようとする制動力が充分に発生していない場合にブレーキフェード状態であると判定される。このように制動力を用いて判定を行うことで、従来技術のような制動力を減速度に変換する際の誤差の影響を排除できる。また、勾配抵抗R1を含む車両抵抗を考慮して、摩擦制動力の推定値が算出されるため、より高精度にブレーキフェード状態を検知することができる。また、車両1に通常備えられていないセンサ等の追加を必ずしも必要とすることなく、ブレーキフェード状態を検知することが可能となる。
例えば車両1が降坂路2を走行する場合において、摩擦ブレーキ手段を長時間作動させると、ブレーキパッド(図示せず)の温度が上昇することによって、摩擦ブレーキ手段の性能低下、すなわちブレーキフェード状態になる可能性がある。すなわち、長い降坂路2においては、運転者がアクセルペダルから足を離してブレーキペダル12を踏むことで、摩擦ブレーキ手段を作動させることが多くなる。この場合、通常では回生ブレーキ手段も作動するが、このときバッテリ202を充電しつつ回生制動力を発生させることからバッテリ202が満充電になりやすく、過充電を避けるために結果として回生ブレーキ手段の作動に制限が入りやすい。かかる場合には、運転者がさらに摩擦ブレーキ手段を作動させることによってブレーキフェード状態が進行するおそれがあるが、本実施形態によれば、ブレーキフェード状態を精度良く検知することができるため、必要な処理を的確に実行させることによって制動力の安定化を図ることができる。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
例えば、制御手段150の判定手段153は、目標値F1から推定値F2を差し引いた差が所定値A以上となり、かつ、その状態が所定時間継続した場合に、ブレーキフェード状態であると判定するように構成されてもよい。このような構成によれば、ブレーキフェード状態の検知精度をより高めることができる。
また、前記した実施形態では図1に示す前輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)が駆動輪、後輪(右側後輪WRR,左側後輪WRL)が非駆動輪としたが、後輪が駆動輪で前輪が非駆動輪の車両に本発明を適用することも可能である。
1 車両
2 降坂路
10 車両用ブレーキシステム
16 モータシリンダ装置(摩擦ブレーキ手段)
30a〜30d ディスクブレーキ機構(摩擦ブレーキ手段)
150 制御手段
151 制動力目標値算出手段
152 制動力推定値算出手段
153 判定手段
200 電動機(回生ブレーキ手段)
201 回生制御部(回生ブレーキ手段)
A 所定値
F1 目標値
F2 推定値
R1 勾配抵抗
R2 走行抵抗
R3 加速抵抗

Claims (4)

  1. 電動機を走行用の動力源として備える車両において用いられる車両用ブレーキシステムであって、
    ブレーキ液圧の供給によって摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ手段と、
    前記電動機の発電運転によって回生制動力を発生させる回生ブレーキ手段と、
    前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、前記ブレーキ液圧から前記摩擦制動力の目標値を算出する制動力目標値算出手段と、
    前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗、走行抵抗、および加速抵抗を含む車両抵抗から前記摩擦制動力の推定値を算出する制動力推定値算出手段と、
    前記摩擦制動力の目標値から前記摩擦制動力の推定値を差し引いた差が所定値以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定する判定手段と、
    を有することを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 前記摩擦制動力の推定値が、前記勾配抵抗から前記走行抵抗および前記加速抵抗を減算した値に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 前記車両が、エンジンを走行用の動力源としてさらに備え、
    前記判定手段によりブレーキフェード状態であると判定された場合に、エンジンブレーキを増大させる制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキシステム。
  4. 電動機を走行用の動力源として備える車両において用いられるブレーキフェード検知方法であって、
    回生ブレーキ手段の作動の制限時に、ブレーキ液圧から摩擦制動力の目標値を算出するステップと、
    前記回生ブレーキ手段の作動の制限時に、勾配抵抗、走行抵抗、および加速抵抗を含む車両抵抗から前記摩擦制動力の推定値を算出するステップと、
    前記摩擦制動力の目標値から前記摩擦制動力の推定値を差し引いた差が所定値以上となった場合に、ブレーキフェード状態であると判定するステップと、
    を有することを特徴とするブレーキフェード検知方法。
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