JP6061160B2 - 負極活物質とその製造方法及び蓄電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電装置に用いられる負極活物質とその製造方法、その負極活物質を用いた二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどの蓄電装置に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入および脱離することができる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、両極間に設けられた電解液内をリチウムイオンが移動することによって動作する。
リチウムイオン二次電池には、正極の活物質として主にリチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が用いられ、負極の活物質としては多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。リチウムイオン二次電池の性能は、二次電池を構成する正極、負極および電解質の材料に左右される。なかでも活物質を形成する活物質材料の研究開発が活発に行われている。例えば負極活物質材料として炭素よりも高容量なケイ素またはケイ素酸化物が検討されている。
ケイ素を負極活物質として用いることにより、炭素材料を用いるよりも高容量の電池とすることができる。しかしながらケイ素は、充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きい。そのためケイ素が充放電中に微粉化して構造変化を起こし、集電体から脱落または剥離し、電池の充放電サイクル寿命が短いという問題点がある。そこでケイ素酸化物を負極活物質として用いることにより、ケイ素よりも充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制することができる。
例えば、負極活物質として、酸化ケイ素(SiO:xは0.5≦x≦1.5程度)の使用が検討されている。SiOは熱処理されると、SiとSiOとに分解することが知られている。これは不均化反応といい、固体の内部反応によりSi相とSiO相の二相に分離する。分離して得られるSi相は非常に微細である。また、Si相を覆うSiO相が電解液の分解を抑制する働きをもつ。したがって、SiとSiOとに分解したSiOからなる負極活物質を用いた二次電池は、サイクル特性に優れる。
上記したSiOのSi相を構成するシリコン粒子が微細であるほど、それを負極活物質として用いた二次電池はサイクル特性が向上する。そこで特許第3865033号(特許文献1)には、金属シリコンとSiOを加熱して昇華させて酸化珪素ガスとし、それを冷却してSiOを製造する方法が記載されている。この方法によれば、Si相を構成するシリコン粒子の粒径を1-5nmのナノサイズとすることができる。
また特開2009-102219号公報(特許文献2)には、シリコン原料を高温のプラズマ中で元素状態まで分解し、それを液体窒素温度まで急冷してシリコンナノ粒子を得、このシリコンナノ粒子をゾルゲル法などでSiO-TiOマトリクス中に固定する製造方法が記載されている。
ところが特許文献1に記載の製造方法では、マトリクスが昇華性の材料に限られる。また特許文献2に記載の製造方法では、プラズマ放電のために高いエネルギーが必要となる。さらにこれらの製造方法で得られたシリコン複合体では、Si相のシリコン粒子の分散性が低く凝集し易いという不具合がある。Si粒子どうしが凝集して粒径が大きくなると、それを負極活物質として用いた二次電池は初期容量が低く、サイクル特性も低下する。また特許文献1,2に記載されている手法の場合、製造上、酸化物層がナノシリコンの固定に必要であるため、酸化物層とLiとの不可逆反応を引き起こし、セルとしての容量低下を招く不具合がある。
ところで近年、半導体、電気・電子等の各分野への利用が期待されるナノシリコン材料が開発されている。例えばPhysical Review B(1993),vol48,8172-8189(非特許文献1)には、塩化水素(HCl)と二ケイ化カルシウム(CaSi)とを反応させることで層状ポリシランを合成する方法が記載され、こうして得られる層状ポリシランは、発光素子などに利用できることが記載されている。
そして特開2011-090806号公報(特許文献3)には、層状ポリシランを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池が記載されている。
特許第3865033号公報 特開2009-102219号公報 特開2011-090806号公報
Physical ReviewB(1993),vol48,8172-8189
ところが特許文献3に記載された層状ポリシランからなる負極活物質は、BET比表面積が大きいために、二次電池の負極活物質材料としては好ましくないという不具合があった。例えばリチウムイオン二次電池の負極においては、BET比表面積が大きいと、電解液の分解を促進させるために負極で消費される不可逆容量が大きくなり、高容量化が困難である。またSEIが生じやすく、サイクル特性が低いという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、不可逆容量を低減できるとともにSEIの生成を抑制できる負極活物質と、その負極活物質を負極に用いた蓄電装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の負極活物質の特徴は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを熱処理することで製造されたナノシリコンからなる凝集粒子と、非晶質の炭素を含み凝集粒子の少なくとも一部を覆って複合化された炭素層と、よりなる複合体を含むことにある。
そして本発明の蓄電装置の特徴は、本発明の負極活物質を含む負極を有することにある。
本発明の負極活物質によれば、Liと不可逆反応をしにくい非晶質の炭素を含む炭素層がナノシリコンからなる凝集粒子の少なくとも一部を覆ってなる複合体を含んでいる。そのため不可逆容量を低減できるとともに、蓄電装置として充放電時における膨張・収縮の繰り返しによる凝集粒子の微粉化が抑制される。したがって負極における比表面積の増大を抑制でき、SEIの生成も抑制されるため、放電容量及びサイクル特性が向上する。
層状ポリシランのラマンスペクトルである。 単結晶シリコンのラマンスペクトルである。 実施例1に係る層状ポリシランのラマンスペクトルである。 実施例1に係るナノシリコン凝集粒子のSEM画像を示す。 実施例1に係るナノシリコン凝集粒子の拡大されたSEM画像を示す。 実施例1に係るナノシリコン凝集粒子のTEM-EELS画像を示す。 実施例1に係る板状シリコン体の要部を拡大して示す模式的な断面図である。 実施例1で調製された灰色粉末のSEM像である。 実施例1で調製された灰色粉末とアセチレンブラックのXRDスペクトルである。 実施例1及び比較例1に係るリチウムイオン二次電池のサイクル数に対する容量維持率の関係を示すグラフである。 Si/C比と電池特性との関係を示すグラフである。 各炭素源から形成された炭素のCKαスペクトルである。 実施例16で調製された複合体粉末粒子の断面のSEM像である。 実施例16で調製された複合体粉末粒子の断面の模式図である。 実施例16で調製された複合体粉末に含まれる繊維状物の暗視野走査型透過電子顕微鏡(ADF-STEM)像である。 実施例16で調製された複合体粉末に含まれる繊維状物の電子エネルギー損失分光(EELS)スペクトルである。 実施例5に係る複合体のTEM画像を示す。 図17のPoint1部分のTEM-EDXスペクトルである。 図17のPoint2部分のTEM-EDXスペクトルである。 図17のPoint3部分のTEM-EDXスペクトルである。 図17のPoint4部分のTEM-EDXスペクトルである。 図17のPoint5部分のTEM-EDXスペクトルである。
<ナノシリコン凝集粒子の製造方法>
本願発明者らは、非特許文献1及び特許文献3に記載された層状ポリシランに関して鋭意研究を行い、そのラマンスペクトルに着目した。一般的にラマンシフトは高周波側へシフトすると結合が強くなり、低周波側へシフトすると結合が切れやすくなることが知られている。この層状ポリシランのラマンスペクトルを図1に、単結晶シリコンのラマンスペクトルを図2に示す。図1と図2の比較から、単結晶シリコンにおいて500cm−1に観測されるSi-Si結合のピークを見ると、層状ポリシランでは単結晶シリコンに比べて低周波側の320cm−1付近にシフトしたことがわかった。
すなわち層状ポリシラン構造とすることで、Si-Siの結合が弱くなり、穏和な条件でのナノシリコン化が可能となることが予測された。そして、非酸化性雰囲気下にて100℃を超える温度で層状ポリシランを熱処理することで、ナノシリコン材料が得られることを見出した。非特許文献1に記載された層状ポリシランは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを基本骨格としている。この層状ポリシランを非酸化性雰囲気下にて100℃を超える温度で熱処理することにより、結晶子サイズが5nm程度のナノシリコン材料が得られた。100℃未満の熱処理では、層状ポリシランの構造がそのまま維持され、ナノシリコンは得られない。熱処理時間は熱処理温度によって異なるが、500℃以上の熱処理であれば1時間で十分である。
またSiであれば問題がないが負極活物質中にSiO成分が多く含まれると、初期特性の劣化を引き起こすことが知られている。しかし非特許文献1及び特許文献3に記載された層状ポリシランは、BET比表面積が20m/g程度と小さいものの、含まれる酸素量が多いため、上述したように負極活物質としては適さない。
そこで鋭意研究の結果、層状ポリシランの製造条件によって、得られる層状ポリシランのBET比表面積及び酸素量が変化し、それを熱処理して得られるナノシリコンのBET比表面積及び酸素量も変化することが明らかとなった。非特許文献1及び特許文献3では、塩化水素(HCl)と二ケイ化カルシウム(CaSi)とを反応させて層状ポリシランを得ている。二ケイ化カルシウム(CaSi)は、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応でカルシウム(Ca)が引き抜かれることによって層状ポリシランが得られる。
この層状ポリシランは、ラマンスペクトルにおいてラマンシフトの341±10cm−1、360±10cm−1、498±10cm−1、638±10cm−1、734±10cm−1にピークが存在する。
Caを引き抜く酸として、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)の混合物を用いることで、得られる層状ポリシラン及びナノシリコン材料のBET比表面積が増大するものの酸素量は少なくなることが明らかとなった。しかしBET比表面積が増大するのは、好ましくない。また得られるナノシリコン材料は、凝集して凝集粒子となっている。そのため、蓄電装置として充放電時における膨張・収縮の繰り返しによる凝集粒子の微粉化が生じ、比表面積が増大するとともにSEIの生成によってサイクル特性が低下するという問題がある。
そこで本発明の負極活物質は、ナノシリコンからなる凝集粒子と、非晶質の炭素を含み凝集粒子の少なくとも一部を覆って複合化された炭素層と、を含む。ナノシリコンからなる凝集粒子は、非特許文献1及び特許文献3に記載された層状ポリシランを熱処理することで得られたものを用いてもよいが、以下の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたものを用いることが望ましい。
すなわち、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と、二ケイ化カルシウム(CaSi)と、を反応させる。
この製造方法では、酸としてフッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物を用いている。フッ化水素(HF)を用いることで、合成中あるいは精製中に生成するSiO成分がエッチングされ、これによりBET比表面積が大きいものの、酸素量が低減される。フッ化水素(HF)のみを用いた場合でも層状ポリシランが得られるものの、活性が高く微量の空気によって酸化され、逆に酸素量が増大するため好ましくない。また塩化水素(HCl)のみを用いた場合は同様の構造の層状ポリシランが得られるものの、非特許文献1と同様であり、酸素量が多い層状ポリシランしか得られない。
フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との組成比は、モル比でHF/HCl=1/1〜1/100の範囲が望ましい。フッ化水素(HF)の量がこの比より多くなるとCaF、CaSiO系などの不純物が生成し、この不純物と層状ポリシランとを分離するのが困難であるため好ましくない。またフッ化水素(HF)の量がこの比より少なくなると、HFによるエッチング作用が弱く、層状ポリシランに酸素が多く残存する場合がある。
フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と二ケイ化カルシウム(CaSi)との配合比は、当量より酸を過剰にすることが望ましい。また反応雰囲気は、真空下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。なおこの製造方法によれば、非特許文献1の製造方法に比べて反応時間が短くなることも明らかとなった。反応時間が長すぎるとSiとHFがさらに反応してSiFが生じてしまうため、反応時間は0.25〜24時間程度で充分である。反応温度は、室温でも容易に反応する。
反応によりCaClなどが生成するが、水洗によって容易に除去することができ、層状ポリシランの精製は容易である。
製造された層状ポリシランを、非酸化性雰囲気下にて100℃以上の温度で熱処理することで、BET比表面積が減少し酸素量も少ないナノシリコンの凝集粒子が得られる。非酸化性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気が例示される。不活性ガスは窒素、アルゴン、ヘリウムなど酸素を含まなければ特に規定されない。
また熱処理温度は、100℃〜1000℃の範囲が好ましく、400℃〜600℃の範囲が特に好ましい。100℃未満ではナノシリコンが生成しない。特に400℃以上で熱処理されて形成されたナノシリコン凝集粒子を負極活物質とするリチウムイオン二次電池は初期効率が向上する。
凝集粒子におけるナノシリコンのSi結晶子サイズは、蓄電装置の電極活物質として用いるには、0.5nm〜300nmが好ましく、1nm〜100nm、1nm〜50nm、更には1nm〜10nmの範囲が特に望ましい。結晶子サイズは、X線回折測定結果の(111)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式より算出される。
非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの酸素量は約33%と大きいが、上記の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの酸素量は30%以下と小さい。
<ナノシリコンの構造>
本発明で用いられるナノシリコンからなる凝集粒子は、複数枚の板状シリコン体が厚み方向に積層されてなる構造を有している。この構造は、図4,5に示すように、SEM観察により確認される。なお、図4に示す長方形部分を拡大したものが図5に示されている。板状シリコン体は厚みが約10nm〜約100nmに観察されるが、強度やリチウムイオンなどの挿入・離脱の容易性などの観点から、板状シリコン体の厚みは20nm〜50nmの範囲が好ましい。また長軸方向の長さは、0.1μm〜50μmであった。なお板状シリコン体は、アスペクト比(長軸方向の長さ/厚み)が2〜1000であるのが好ましいと考えられる。
TEM(Transmission Electron
Microscopy)-EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)によれば、図6に示すように、板状シリコン体には濃淡のある縞状構造が認められる。なお、図5に示す正方形部分を拡大したものが図6に示され、図7には板状シリコン体の要部を拡大して示す模式的な断面図を示している。図6の薄い灰色の部分は、扁平状ナノシリコン粒子(1)が長辺に対して垂直に配向して層状に配列した構造であり、扁平状ナノシリコン粒子(1)の層どうしの間に存在する濃い灰色の部分は空隙及び/又はシリコン酸化物(2)と考えられる。扁平状ナノシリコン粒子(1)は長軸方向長さ(a)が5nm〜20nm、短軸方向長さ(b)が2〜5nm、であり、長軸と短軸の比(a/b)が2.5〜10である。また空隙及び/又はシリコン酸化物(2)の厚みは2nm〜10nmであり、扁平状ナノシリコン粒子(1)の厚みに対する空隙及び/又はシリコン酸化物(2)の厚みの比は0.5〜2となる。
<複合体>
本発明の負極活物質は、非晶質の炭素を含む炭素層がナノシリコンからなる凝集粒子の少なくとも一部を覆ってなる複合体を含んでいる。以下、この複合体について説明する。なお炭素層を構成する炭素は、非晶質の炭素のみであってもよいし、非晶質の炭素と結晶質の炭素とが混在していてもよい。
非晶質の炭素を含む炭素層は、凝集粒子の少なくとも一部を覆っている。この炭素層によって凝集粒子が補強されるという効果が発現される。なお負極にはグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)などの導電助剤が用いられる場合があるが、これらの炭素は結晶質であり、非晶質ではない。
ナノシリコンの凝集粒子を覆って複合化された炭素層の厚さは、1〜100nmの範囲であることが好ましく、5〜50nmの範囲であることがさらに望ましい。炭素層の厚さが薄すぎると効果の発現が困難となり、炭素層が厚くなりすぎると電池抵抗が上昇し、充放電が困難となる場合がある。また炭素層のマトリクスにナノシリコンの凝集粒子が分散した構造であることも好ましい。
複合体におけるケイ素と炭素との組成は、炭素が1〜40質量%の範囲であることが好ましく、3〜7質量%の範囲が特に望ましい。炭素が40質量%より多くなると蓄電装置の負極に用いた場合に初期容量が低くなって実用的でない。また炭素が1質量%より少ないと、炭素層を複合化した効果が得られない。
この複合体についてTEM(Transmission Electron
Microscopy)測定を行い、そのTEM画像を図17に示す。濃い灰色の粒子(長径の粒径約10nm)が長辺に対して垂直に配向して層状に配列した部分と、薄い灰色の部分とが層状に積層された構造となっていることがわかる。
そこで図17のPoint1〜5の各点についてその組成を確認すべく、TEM-EDX分析を行った。結果を図18〜22にそれぞれ示す。Point1〜3はシリコン(Si)が91.5atm%以上の組成であり、濃い灰色の粒子はナノシリコン粒子であることが確認された。またPoint4,5からはSi以外に多量の炭素(C)と微量の酸素(O)が検出され、薄い灰色の部分は炭素(C)が多い炭素層であることがわかった。
炭素層には、遷移金属から選ばれる少なくとも一種の金属原子を含むことも好ましい。この金属原子によって炭素層内における導電性が向上するため、負極におけるリチウムイオンなどの伝導性が改善される。したがって充放電時におけるリチウムなどの吸蔵・放出特性が向上し、Liの移動抵抗を低減できるので、二次電池における初期効率及び初期容量が向上する。
遷移金属から選ばれる金属原子としては、Cu、Fe、Niなどが好ましく、Cuが特に好ましい。また炭素層における金属原子の含有量は、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。金属原子の含有量が0.1質量%未満では添加した効果の発現が困難となり、10質量%を超えると炭素層の強度が低下し二次電池のサイクル特性が低下してしまう。
炭素層には、導電性粉末を含むことも好ましい。導電性粉末によって炭素層内における導電性が向上するため、凝集粒子への電子の移動抵抗を低減することができ、負極におけるリチウムイオンなどの伝導性が改善される。したがって充放電時におけるリチウムなどの吸蔵・放出特性が向上し、二次電池における初期効率及び初期容量が向上する。また導電性粉末の導入によって、詳細な理由は不明であるが二次電池のサイクル特性も向上する。
導電性粉末としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、あるいはWO2011/155486号公報に記載された微細化黒鉛粒子などの炭素系導電性粉末、あるいは導電性金属の粉末などを用いることができる。炭素層における導電性粉末の含有量は、1〜50質量%の範囲が好ましい。導電性粉末の含有量が1質量%未満では添加した効果の発現が困難となり、50質量%を超えると炭素層の強度が低下し二次電池のサイクル特性が低下してしまう。
また複合体の粒子どうしの間には、グラファイト類似の炭素骨格を有し90質量%以上が炭素からなる繊維状物が介在していることが望ましい。この繊維状物は導電性に優れると共に、強度と柔軟性に優れているため、充放電時の二次電池負極における膨張・収縮の動きに追従し易い。したがって充放電特性が向上すると共に、負極活物質層の破壊が防止されサイクル特性が大きく向上する。
繊維状物は中実状であってもよいが、中空筒状をなし外径が40nm以上であることが好ましい。中空筒状であれば、柔軟性を有する導電パスを形成できるため、電極の通電性がさらに向上する。外径が40nm未満では強度に不足し、負極活物質には不向きである。上限は特に規定されないが、現在の製造方法では500nm以上のものは製造不可と考えられる。また繊維状物の含有量は特に規定されないが、負極活物質中に5質量%以下の範囲が好ましい。繊維状物がこれ以上多くなると、比表面積が増大し、それに伴いSEIの生成量が増えるため、二次電池の初期容量が小さくなる場合がある。
<複合体の製造方法(1)>
炭素層を形成する場合において、何らかの方法で別に製造された非晶質を含む炭素をナノシリコンの凝集粒子と混合するだけでは、不均質となるとともに、炭素が凝集粒子の少なくとも一部を覆うことも困難である。そこで本発明の製造方法によれば、非晶質を含む炭素が凝集粒子の少なくとも一部を確実に覆い、均質な負極活物質を製造することができる。
すなわち本発明の製造方法は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを熱処理してナノシリコンの凝集粒子を得る凝集粒子形成工程と、凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で芳香性複素環化合物を重合する重合工程と、芳香性複素環化合物の重合体を炭素化する炭素化工程と、をこの順で行う。
ナノシリコンの凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程は、前述したとおりである。
重合工程では、ナノシリコン凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で、芳香性複素環化合物が重合される。これによりナノシリコンの凝集粒子に付着した状態の芳香性複素環化合物の重合体が得られる。ここで芳香性複素環化合物には、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾールなどの五員環芳香性複素環化合物、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、プリンなどの多環芳香性複素環化合物など、重合可能なものを用いることができる。
これらの化合物を重合するには、各種重合方法を採用することができるが、ピロールなどの場合には、濃塩酸あるいは三塩化鉄などのポリマー化触媒の存在下で加熱する方法が簡便である。特に三塩化鉄を用いれば、非水雰囲気で重合することができSiの酸化を抑制できるので、蓄電装置としたときに初期容量が増大する効果がある。
炭素化工程では、ナノシリコンの凝集粒子と混合された状態で芳香性複素環化合物の重合体が炭素化される。この工程は、ナノシリコンの製造時と同様に、不活性雰囲気下にて100℃以上の温度で熱処理すればよく、400℃以上で熱処理するのが好ましい。芳香性複素環化合物は重合体となっているため、加熱しても蒸散することなく炭素化が進行し、ナノシリコンの凝集粒子の表面に非晶質の炭素を含む炭素層が結合した複合体が得られる。なお重合工程を行わずに、ナノシリコンの凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で熱処理を行うと、芳香性複素環化合物が蒸散してしまい炭素化が困難である。
<複合体の製造方法(2)>
ところが上記した製造方法では、重合、精製などの工程が必要となり、生産性が低い。また炭素層を均一に形成した複合体を形成することも難しいという問題があった。そこで本発明の第二の製造方法の特徴は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを熱処理してナノシリコンの凝集粒子を得る凝集粒子形成工程と、樹脂溶液と凝集粒子を混合し溶媒を除去した後に樹脂を炭素化する炭素化工程と、をこの順で行うことにある。この製造方法によれば、樹脂を最適に選択することで非晶質の炭素を含む炭素層を容易に形成することができる。特に、予め高分子化された樹脂を用いることで重合工程の短縮、重合時の不均一化を少なくすることができる。
ナノシリコンの凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程は、前述したとおりである。
樹脂溶液と凝集粒子を混合し、溶媒を除去した後に樹脂を炭素化する。炭素前駆体として用いられる樹脂は、易黒鉛化材料または難黒鉛化材料を用いるのが好ましく、炭素化率が高い樹脂がより好ましい。炭素化率が高い樹脂としては、ビスフェノールAを原料とするポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノールを原料とするフェノール樹脂などが例示され、炭素化率が特に高いフェノール樹脂が特に望ましい。樹脂溶液の溶媒としては、樹脂を溶解することができる任意の溶媒を用いることができる。欠陥の少ない複合粒子を得るためには、樹脂溶液中で凝集粒子を十分均一に混合分散することが望ましい。
炭素化工程は、ナノシリコンの製造時と同様に、不活性雰囲気下にて100℃以上の温度で熱処理すればよく、400℃以上で熱処理するのが好ましい。樹脂に熱硬化性樹脂を用いた場合には、加熱硬化させた後に炭素化することができる。また予め低温で熱硬化させた後に、高温に加熱して炭素化してもよいし、炭素化工程における昇温の途中に熱硬化させてもよい。
炭素化工程で形成された炭素のラマンスペクトルにおいては、G-band(1590cm−1付近)とD-band(1350cm−1付近)にそれぞれピークが現れ、G-bandはグラファイトに由来し、D-bandは欠陥に由来する。したがってG-bandとD-bandの比であるG/D比が高いほど結晶性が高いことを意味する。
本発明者らの実験によれば、炭素化工程における焼成温度によって生成した炭素のG/D比が異なること、焼成温度が高いほどG/D比が高くなることが明らかとなった。またG/D比が低いと、蓄電装置とした場合の初期効率が低下することが明らかとなった。すなわち複合体における炭素層の炭素は、ラマンスペクトルにおいてG-bandとD-bandの比であるG/D比が0.2以上であることが好ましい。このような複合体を負極活物質に用いることで、蓄電装置における不可逆容量が低減され初期効率が向上する。G/D比を0.2以上とするには、炭素化工程における焼成温度を500℃以上とするのが好ましい。しかし焼成温度が高すぎると、SiCが生成する副反応が生じて蓄電装置とした場合に初期効率及び初期容量が低下するので、焼成温度は1100℃未満とすることが望ましい。
また炭素化工程で形成される炭素は、電子線又は放射光を用いた軟X線発光分光法(SXES)で詳細に解析したところ、炭素源の種類によってX線発光スペクトルが異なることがわかった。X線発光は、内殻軌道に生じた空孔に、外殻の占有軌道の電子が遷移する際に発生する。X線発光のエネルギー(hν)は、内殻と外殻のエネルギー差に依存する。炭素の場合、価電子帯のL殻から内殻のK殻への遷移によりhνが276〜282eV付近にピークが現れる。このピークは一般的にCKαスペクトルと呼ばれる。アセチレンブラックのCKαスペクトルを解析したところ、hν=277.5〜279.5eV(h:プランク定数、ν:振動数)付近にピークトップ(ピーク(A)のトップ)が現れることが分かり、ピーク(A)は炭素のsp軌道に対応すると考えられる。そしてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネートなどを炭素源として形成された炭素においては、ピーク(A)の他にhν=279.5〜281.0eV付近に特徴的なピークトップ(ピーク(B)のトップ)が現れ、樹脂種の違いによってこのピーク(B)の高さが相違する。フランから形成された炭素はこれらのピーク(A),(B)を共にもたず、hν=279〜279.5eV付近に別の特徴的なピークを有する。このことから、SXESによるX線発光スペクトルにより、炭素の性質を特徴づけることができると考えた。なお(h)はプランク定数[6.62606957×10−34mkg/s]、(ν)はX線発光の振動数[Hz]である。
そこで複合体における炭素層の炭素は、SXESによるX線発光スペクトルCKαにおいて、hν=277.5〜279.5eV(h:プランク定数、ν:振動数)付近にピーク(A)を有するとともに、hν=279.5〜281.0eV付近にピーク(B)を有することが好ましい。そしてピーク(A)の高さに対するピーク(B)の高さの比{ピーク(B)/ピーク(A)}が0.92以上であれば、フェノール樹脂由来の炭素であり、蓄電装置とした場合に初期効率と初期容量に特に優れるようになる。
<複合体の製造方法(3)>
前述したように、炭素層には遷移金属から選ばれる金属原子及び/又は導電性粉末を含むことが望ましい。以下、金属原子及び/又は導電性粉末を含む炭素層を形成する方法を説明する。
金属原子を含む炭素層を形成するには、ナノシリコンの凝集粒子と樹脂溶液とを混合する際に金属原子前駆体を混合しておき、溶媒を除去した後に炭素化工程を行う。金属原子前駆体としては、樹脂溶液の樹脂との親和性が高い、あるいは樹脂溶液に溶解することが好ましく、フタロシアニン銅など有機金属錯体を用いることが望ましい。炭素化工程における加熱時に有機物は炭素化され、金属原子が炭素層中に均一に分散して存在する。
また導電性粉末を含む炭素層を形成するには、ナノシリコンの凝集粒子と樹脂溶液とを混合する際に導電性粉末を混合しておき、溶媒を除去した後に炭素化工程を行う。炭素化工程で樹脂が炭素化されると、導電性粉末は炭素層中に均一に分散して存在する。
<複合体の製造方法(4)>
複合体の粒子どうしの間に、グラファイト類似の炭素骨格を有し90質量%以上が炭素からなる繊維状物を形成するには、ナノシリコンの凝集粒子と樹脂溶液とを混合し、溶媒を除去した後の炭素化工程において形成することができる。炭化工程において、凝集粒子の表面に炭素が付着し、その付着炭素の表面から炭素の繊維状物が他の凝集粒子に向かって成長し、複合体の粒子どうしの間に繊維状物が介在する。
得られた負極活物質を粉砕したのでは、繊維状物が切断されてその機能が失われる。したがって、所望の大きさに予め粉砕されたナノシリコン凝集粒子を用いて炭素化工程を行い、炭素化工程後は粉砕を行わないことが望ましい。予め粉砕しておくことで、炭素層の表面が多く露出するため、導電パスを形成する繊維状物が介在しやすくなる。
また炭素源である樹脂としては、フェノール樹脂が特に好ましい。レゾール形、ノボラック形のいずれも用いることができる。
<蓄電装置の負極>
本発明の負極活物質を用いて、例えば非水系二次電池の負極を作製するには、負極活物質粉末と、炭素粉末などの導電助剤と、バインダーと、適量の有機溶剤を加えて混合しスラリーにしたものを、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法で集電体上に塗布し、バインダーを乾燥あるいは硬化させることによって作製することができる。
なおスラリーに含まれる負極活物質粉末は、粒径が2μm〜20μmの範囲に分級されたものを用いるのが好ましい。粒径が2μm未満のものが含まれると、電解液との接触界面が増加し、二次電池として使用時に電解液の分解生成物が増大する場合がある。また粒径が20μmの粒子は最外殻の応力が増大し、負極活物質層の破壊や脱落が生じる場合がある。また負極活物質層の厚みが負極活物質の粒径に依存し、厚みの制御が困難となる場合がある。分級方法は、公知の方法を用いることができる。
バインダーは、なるべく少ない量で活物質等を結着させることが求められるが、その添加量は活物質、導電助剤、及びバインダーを合計したものの0.5wt%〜50wt%が望ましい。バインダーが0.5wt%未満では電極の成形性が低下し、50wt%を超えると電極のエネルギー密度が低くなる。
バインダーには、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride:PVdF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリル酸(PAA)等が例示される。
バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用いると負極の電位を下げることができ蓄電装置の電圧向上が可能となる。またバインダーとしてポリアミドイミド(PAI)又はポリアクリル酸(PAA)を用いることで初期効率と放電容量が向上する。
集電体は、放電或いは充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体のことである。集電体は箔、板等の形状を採用することができるが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体として、例えば銅箔やアルミニウム箔を好適に用いることができる。
負極活物質として、本発明の負極活物質に、グラファイト、ハードカーボン、ケイ素、炭素繊維、スズ(Sn)、酸化ケイ素など公知のものを混合することもできる。中でもSiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物が特に好ましい。このケイ素酸化物粉末の各粒子は、不均化反応によって微細なSiと、Siを覆うSiOとに分解したSiOからなる。xが下限値未満であると、Si比率が高くなるため充放電時の体積変化が大きくなりすぎてサイクル特性が低下する。またxが上限値を超えると、Si比率が低下してエネルギー密度が低下するようになる。0.5≦x≦1.5の範囲が好ましく、0.7≦x≦1.2の範囲がさらに望ましい。
一般に、酸素を断った状態であれば1000℃以上で、ほぼすべてのSiOが不均化して二相に分離すると言われている。具体的には、非結晶性のSiO粉末を含む原料酸化ケイ素粉末に対して、真空中または不活性ガス中などの不活性雰囲気中で1000〜1200℃、1〜5時間の熱処理を行うことで、非結晶性のSiO相および結晶性のSi相の二相を含むケイ素酸化物粉末が得られる。
またケイ素酸化物として、SiOに対し炭素材料を1〜50質量%で複合化したものを用いることもできる。炭素材料を複合化することで、サイクル特性が向上する。炭素材料の複合量が1質量%未満では導電性向上の効果が得られず、50質量%を超えるとSiOの割合が相対的に減少して負極容量が低下してしまう。炭素材料の複合量は、SiOに対して5〜30質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲がさらに望ましい。SiOに対して炭素材料を複合化するには、CVD法などを利用することができる。
ケイ素酸化物粉末は平均粒径が1μm〜10μmの範囲にあることが望ましい。平均粒径が10μmより大きいと非水系二次電池の耐久性が低下し、平均粒径が1μmより小さいと凝集して粗大な粒子となるため同様に非水系二次電池の耐久性が低下する場合がある。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて添加することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、活物質100質量部に対して、20〜100質量部程度とすることができる。導電助剤の量が20質量部未満では効率のよい導電パスを形成できず、100質量部を超えると電極の成形性が悪化するとともにエネルギー密度が低くなる。なお炭素材料が複合化されたケイ素酸化物を活物質として用いる場合は、導電助剤の添加量を低減あるいは無しとすることができる。
有機溶剤には特に制限はなく、複数の溶剤の混合物でも構わない。N-メチル-2-ピロリドン及びN-メチル-2-ピロリドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)あるいはグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶媒が特に好ましい。
本発明の蓄電装置がリチウムイオン二次電池の場合、負極には、リチウムがプリドーピングされていることもできる。負極にリチウムをドープするには、例えば対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電極化成法などを利用することができる。リチウムのドープ量は特に制約されない。
本発明の蓄電装置がリチウムイオン二次電池の場合、特に限定されない公知の正極、電解液、セパレータを用いることができる。正極は、非水系二次電池で使用可能なものであればよい。正極は、集電体と、集電体上に結着された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質と、バインダーとを含み、さらには導電助剤を含んでも良い。正極活物質、導電助材およびバインダーは、特に限定はなく、非水系二次電池で使用可能なものであればよい。
正極活物質としては、金属リチウム、LiCoO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O、LiMnO、硫黄などが挙げられる。集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼など、リチウムイオン二次電池の正極に一般的に使用されるものであればよい。導電助剤は上記の負極で記載したものと同様のものが使用できる。
電解液は、有機溶媒に電解質であるリチウム金属塩を溶解させたものである。電解液は、特に限定されない。有機溶媒として、非プロトン性有機溶媒、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる一種以上を用いることができる。また、溶解させる電解質としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiI、LiClO、LiCFSO等の有機溶媒に可溶なリチウム金属塩を用いることができる。
例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの有機溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO等のリチウム金属塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
セパレータは、非水系二次電池に使用されることができるものであれば特に限定されない。セパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
本発明の蓄電装置が非水系二次電池である場合、その形状に特に限定はなく、円筒型、積層型、コイン型等、種々の形状を採用することができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を電解液とともに電池ケースに密閉して電池となる。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
(実施例1)
濃度46質量%のHF水溶液7mlと、濃度36質量%のHCl水溶液56mlとの混合溶液を氷浴中で0℃とし、アルゴンガス気流中にてそこへ3.3gの二ケイ化カルシウム(CaSi)を加えて撹拌した。発泡が完了したのを確認した後に室温まで昇温し、室温でさらに2時間撹拌した後、蒸留水20mlを加えてさらに10分間撹拌した。このとき黄色粉末が浮遊した。
得られた混合溶液を濾過し、残渣を10mlの蒸留水で洗浄した後、10mlのエタノールで洗浄し、真空乾燥して2.5gの層状ポリシランを得た。そのラマンスペクトルを図3に示す。ラマンシフトの341±10cm−1、360±10cm−1、498±10cm−1、638±10cm−1、734±10cm−1にピークが存在した。
この層状ポリシランを1g秤量し、Oの量が1体積%以下のアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行い、ナノシリコン凝集粒子を得た。このナノシリコン凝集粒子に対してCuKα線を用いたX線回折測定(XRD測定)を行った。XRD測定によれば、Si微粒子由来と考えられるハローを観測した。Si微粒子は、X線回折測定結果の(111)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式より算出される結晶子サイズが約7nmであった。
なお上記熱処理においては、Si-H結合が切断されて水素(H)が離脱し、Si-Si結合の切断と再結合が生じる。Si-Si結合の再結合は、同じ層内で生じると共に隣接する層どうしでも生じ、これによってナノレベルの径を有するナノシリコン一次粒子が生成する。このナノシリコン一次粒子どうしが凝集し、ナノシリコン凝集粒子(二次粒子)が生成する。
得られたナノシリコン凝集粒子のSEM画像を図4,5に示す。ナノシリコン凝集粒子(二次粒子)は、複数枚の板状シリコン体が厚み方向に積層されてなる構造を有している。なお、図4に示す長方形部分を拡大したものが図5に示されている。板状シリコン体は厚みが約10nm〜約100nmに観察されるが、強度やリチウムイオンなどの挿入・離脱の容易性などの観点から、板状シリコン体の厚みは20nm〜50nmの範囲が好ましい。また長軸方向の長さは、0.1μm〜50μmであった。板状シリコン体は、アスペクト比(長軸方向の長さ/厚み)が2〜1000であるのが好ましいと考えられる。
板状シリコン体を、さらにTEM(Transmission Electron
Microscopy)-EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)によって観察した。図6に示すように、板状シリコン体には濃淡のある縞状構造が認められる。なお、図5に示す正方形部分を拡大したものが図6に相当し、図7には板状シリコン体の要部を拡大して示す模式的な断面図を示している。図6の薄い灰色の部分は、一次粒子である扁平状ナノシリコン粒子(1)が長辺に対して垂直に配向して層状に配列した構造であり、扁平状ナノシリコン粒子(1)の層どうしの間に存在する濃い灰色の部分は空隙及び/又はシリコン酸化物(2)と考えられる。扁平状ナノシリコン粒子(1)は長軸方向長さ(a)が5nm〜20nm、短軸方向長さ(b)が2〜5nm、であり、長軸と短軸の長さの比(a/b)が2.5〜10である。また空隙及び/又はシリコン酸化物(2)の厚みは2nm〜10nmであり、扁平状ナノシリコン粒子(1)の厚みに対する空隙及び/又はシリコン酸化物(2)の厚みの比は0.5〜2である。
このナノシリコン凝集粒子1gに対してフラン1.1mlを3時間真空含浸させ、濃塩酸を加えた。濃塩酸添加後、60℃で3時間処理してフランを重合させ、濾過、洗浄して濃塩酸を除去した。得られた粉末を3時間真空乾燥し、その後、アルゴンガス中にて500℃で焼成し、フラン重合物を炭素化して灰色の複合体粉末を得た。複合体粉末の収率は、ナノシリコン凝集粒子1gに対して1.22gであった。回収粉末の重量と、層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、82/18であった。
得られた複合体粉末のSEM写真を図8に示す。図8から、μmオーダーのナノシリコン凝集粒子が、最大厚み約200nmの炭素層に包まれた複合体構造が確認される。またこの複合体粉末と、複合体粉末の製造に用いたナノシリコン凝集粒子の比表面積をそれぞれBET法により測定した結果を表1に示す。
Figure 0006061160
ナノシリコン凝集粒子を炭素層で被覆することで、比表面積が小さくなっていることがわかる。
この複合体粉末に対して、CuKα線を用いたX線回折測定(XRD測定)を行った。そのXRDスペクトルを図9に示す。図9には、アセチレンブラックのXRDスペクトルも示している。複合体粉末には、アセチレンブラックに存在する2θ=26°のピーク(結晶性炭素ピーク)が認められず、複合体粉末に含まれる炭素は非晶質であることがわかる。また半値幅から、複合体粉末中のSiの結晶子サイズは10nm以下であることもわかる。
得られた複合体粉末45質量部と、天然黒鉛粉末40質量部と、アセチレンブラック5質量部と、バインダー溶液33質量部とを混合してスラリーを調製した。バインダー溶液には、ポリアミドイミド(PAI)樹脂がN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に30質量%溶解した溶液を用いている。このスラリーを、厚さ約20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを100℃で2時間真空乾燥し、負極活物質層の厚さが16μmの負極を形成した。
上記の手順で作製した負極を評価極として用い、リチウム二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は金属リチウム箔(厚さ500μm)とした。
対極をφ13mm、評価極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びCelgard社製「Celgard2400」)を両者の間に介装して電極体電池とした。この電極体電池を電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースには、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入し、電池ケースを密閉してリチウム二次電池を得た。
[比較例1]
複合体粉末に代えて、実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子(フランの添加無し、重合無し)を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験1>
実施例1及び比較例1のリチウム二次電池について、温度25℃、電流0.2mAの条件で充電した際の初期の充電容量を測定し、結果を表2に示す。また電流0.2mAの条件で放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を表2に示す。
実施例1及び比較例1のリチウム二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件下において1Vまで充電し、10分間休止した後、電流0.2mAの条件で0.01Vまで放電し、10分間休止するサイクルを20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。そして1サイクル目の充電容量に対するNサイクル目の充電容量の割合である容量維持率を測定し、結果を図10に示す。また20サイクル目の充電容量と容量維持率を表2に示す。
Figure 0006061160
図10及び表2より、ナノシリコン凝集粒子を非晶質炭素からなる炭素層で被覆した複合体粉末を負極活物質とすることで、初期効率が向上するとともに、サイクル特性が大幅に改善されたことがわかる。
(実施例2)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対してピロール1mlを3時間真空含浸させ、濃塩酸を加えた。濃塩酸添加後、60℃で3時間処理してピロールを重合させ、濾過、洗浄して濃塩酸を除去した。得られた粉末を3時間真空乾燥し、その後、アルゴンガス中にて500℃で焼成し、ピロール重合物を炭素化して灰色の複合体粉末を得た。複合体粉末の収率は、ナノシリコン凝集粒子1gに対して1.29gであった。また回収粉末の重量と、層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、75/25であった。
この複合体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例3)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対してピロール1mlを3時間真空含浸させ、そこへ三塩化鉄10mgをジクロロメタン10mlに溶解させた溶液を加えた。これを60℃で3時間処理してピロールを重合させ、濾過し、エタノールで洗浄した。得られた粉末を3時間真空乾燥し、その後、アルゴンガス中にて500℃で焼成し、ピロール重合物を炭素化して灰色の複合体粉末を得た。複合体粉末の収率は、ナノシリコン凝集粒子1gに対して1.35gであった。また回収粉末の重量と、層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、78/22であった。
この複合体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験2>
実施例1〜3及び比較例1のリチウムイオン二次電池を用い、電池特性試験1と同様にして初期効率と初期充電容量を測定した。また電池特性試験1と同様のサイクル試験を行い、10サイクル目の容量維持率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006061160
フランに代えてピロールを用いることで、サイクル特性がさらに向上したことがわかる。そしてポリマー化触媒として、濃塩酸に代えて三塩化鉄を用いて非水雰囲気で重合させることで、初期効率が向上することもわかる。
(実施例4)
実施例1で得られた複合体粉末を平均粒子径が10μmとなるようにボールミルで粉砕した。粉砕は、複合体粉末1gに対して100gのジルコニアボール(4mmφ)を加え、70rpmで2時間行った。粉砕後の複合体粉末85質量部と、アセチレンブラック5質量部と、バインダー溶液33質量部とを混合してスラリーを調製した。バインダー溶液には、ポリアミドイミド(PAI)樹脂がN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に30質量%溶解した溶液を用いている。このスラリーを、厚さ約20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを100℃で2時間真空乾燥し、負極活物質層の厚さが16μmの負極を形成した。
この負極を用い、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例5)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、アセトンとメタノールからなる混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.86gを添加(仕込み重量比Si/C=2/1)し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱してフェノール樹脂を硬化させ、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、80/20であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるようにボールミルで粉砕し、複合体粉末を調製した。粉砕は、黒色粉末1gに対して100gのジルコニアボール(4mmφ)を加え、70rpmで2時間行った。
この複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例6)
回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比が95/5となるように仕込み重量比を調整したこと以外は実施例5と同様にして複合体粉末を調製し、この複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
[比較例2]
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子(炭素層無し)を実施例5と同様に粉砕した粉末85質量部と、アセチレンブラック5質量部と、バインダー溶液33質量部とを混合してスラリーを調製した。バインダー溶液には、ポリアミドイミド(PAI)樹脂がN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に30質量%溶解した溶液を用いている。このスラリーを、厚さ約20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを100℃で2時間真空乾燥し、負極活物質層の厚さが16μmの負極を形成した。
この負極を用い、実施例4と同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験3>
実施例4〜6及び比較例2のリチウム二次電池を用い、電池特性試験1と同様にして初期効率と初期充電容量を測定した。また電池特性試験1と同様のサイクル試験を行い、20サイクル目の充電容量を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006061160
実施例5,6に係るリチウム二次電池は、実施例4に比べて初期充電容量及び初期効率ともに高く、サイクル特性が優れていることがわかる。また複合体組成中における炭素の割合が5質量%でも十分な効果が発現されている。
(実施例7)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子粉末1gに対して、ポリカーボネートを仕込み重量比がSi/C=2/1となるように添加した。このときポリカーボネートは、固形分20質量%となるようにNMPに溶解した溶液として添加し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、80/20であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例8)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、エポキシ樹脂を仕込み重量比がSi/C=2/1となるように添加した。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER828」)を用いた。またエポキシ樹脂は、固形分50質量%となるようにNMPに溶解した溶液として添加し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、80/20であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験4>
実施例5,7,8に係るリチウム二次電池を用い、電池特性試験1と同様にして初期効率と初期充電容量を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0006061160
表4と表5から、ポリカーボネートとエポキシ樹脂を炭素層源としても、実施例5には及ばないものの、二次電池として機能する負極活物質が得られている。そしてフェノール樹脂を用いることで、効果が最大に発現されていることがわかる。
(実施例9)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、アセトンとメタノールからなる混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.43gを添加(仕込み重量比Si/C=3/1)し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、86/14であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例10)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、アセトンとメタノールからなる混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)1.15gを添加(仕込み重量比Si/C=6/4)し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、75/25であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例11)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、アセトンとメタノールを等量混合した溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)1.72gを添加(仕込み重量比Si/C=1/1)し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、67/33であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
[比較例3]
アセトンとメタノールを等量混合した溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)から溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱し、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。この炭素粉末を負極活物質粉末として用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験5>
実施例5,9〜11及び比較例2,3に係るリチウムイオン二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件で充電した際の初期の充電容量を測定し、電流0.2mAの条件で放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を初期充電容量とともに表6及び図11に示す。
また実施例5,8〜10及び比較例2,3のリチウムイオン二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件下において1Vまで充電し、10分間休止した後、電流0.2mAの条件で0.01Vまで放電し、10分間休止するサイクルを20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。そして1サイクル目の充電容量に対する20サイクル目の充電容量の割合である容量維持率を測定し、結果を表6及び図11に示す。
Figure 0006061160
表6及び図11より、比較例2に係るリチウムイオン二次電池では、ナノシリコンからなる凝集粒子に炭素を複合化していないため、サイクル試験時にSEIが多く生成したと考えられ、容量維持率が低い。また比較例3に係るリチウムイオン二次電池のようにフェノール樹脂由来の炭素のみを負極活物質としても二次電池として機能するものの、初期充電容量及び初期効率共に低く、実用的とはいえない。
一方、各実施例に係るリチウムイオン二次電池は高い電池特性を発現している。
(実施例12)
炭素化工程における焼成温度を500℃としたこと以外は実施例5と同様にして複合体粉末を調製し、この複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例13)
炭素化工程における焼成温度を1100℃としたこと以外は実施例5と同様にして複合体粉末を調製し、この複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
<電池特性試験6>
実施例5,12,13で得られた複合体粉末の炭素層のラマンスペクトルを測定し、そのスペクトルからG-bandとD-bandの比であるG/D比をそれぞれ算出し、結果を表7に示す。なおラマンスペクトル測定用の試料は、各実施例で用いたフェノール樹脂のみを各実施例と同様に熱処理して炭素化したものを用いた。
実施例5,12,13に係るリチウムイオン二次電池を用い、電池特性試験1と同様にして初期効率と初期充電容量を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0006061160
実施例12,13では、実施例5に比べて初期容量と初期効率が共に低下している。実施例12ではG/D比が小さいことから、欠陥が多く非晶質炭素の純度が低いことが原因と考えられる。また実施例13では、G/D比は高いものの、高温により副反応が生じてSiCが生成したと考えられ、初期容量が著しく低下している。したがって、炭素化工程における焼成温度は500℃を超えて1100℃未満が好ましく、G/D比は0.21以上であるのが好ましい。
<電池特性試験7>
実施例5,7,8,12で得られた負極活物質に電子線を照射し、発生したX線発光スペクトルCKαを図12に示す。なお図12には、アセチレンブラックと、実施例1で調製された複合体粉末から発生したX線発光スペクトルCKαも示している。
電子線照射条件は以下のとおりである。
加速電圧:2kV、電子線照射エリア3μm、照射電流:80nA
これらのCKαスペクトルからhν=277.5〜279.5eV(h:プランク定数、ν:振動数)付近のピーク(A)は、アセチレンブラックに特有のピークであることが分かり、炭素のsp軌道に由来すると考えられる。ピーク(A)の高さに対するhν=279.5〜281.0eV付近のピーク(B)の高さの比{ピーク(B)/ピーク(A)}を算出した。結果を表8にB/Aとして示す。
実施例5,7,8,12に係るリチウムイオン二次電池を用い、電池特性試験1と同様にして初期効率と初期充電容量を測定した。結果を表8に示す。
Figure 0006061160
実施例5が特に電池特性に優れ、実施例12がそれに次いでいる。実施例7,8の電池特性は、実施例5,12に比べて低い。この特性の順序はピーク比(B/A)の大小とほぼ相関し、ピーク比(B/A)が1.0により近い炭素を用いることでリチウムイオン二次電池の特性が向上することがわかる。ピーク比(B/A)が1.0により近いということは、電池特性が向上する炭素の電子状態に共通する特徴と言える。換言すれば、用いようとする樹脂を炭素化しそのピーク比(B/A)を測定することで、電池を作製することなく電池特性を推測することができるので、実験工数を低減することができる。
(実施例14)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gと、フタロシアニン銅100mgとを、アセトンとメタノールを等量混合した溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.86gに添加し、自公転式の撹拌脱泡機にて2000rpmで8分間撹拌した後、2200rpmで2分間脱泡した。得られた分散液を基材に塗布し溶媒を除去した後、減圧下にて、120℃、1時間加熱しさらに900℃で20分間焼成して樹脂を炭素化し、黒色粉体を得た。この黒色粉体を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
[比較例4]
フタロシアニン銅に代えて酢酸銅36mgを用いたこと以外は実施例13と同様にして複合体粉末を調製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験8>
実施例5,14と比較例4に係るリチウム二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件で充電した際の初期の充電容量を測定し、電流0.2mAの条件で放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を初期充電容量とともに表9に示す。また電池特性試験1と同様のサイクル試験を行い、20サイクル目の容量維持率を測定した。
Figure 0006061160
実施例14のリチウム二次電池は、実施例5のリチウム二次電池と同等の初期容量を発現しながら初期効率が向上しており、これは複合体粒子の炭素層に銅原子を含んだことによる効果である。一方、比較例4のリチウム二次電池は、銅原子を含んでいるものの、初期容量と初期効率は共に実施例より劣っている。これは、酢酸銅中の酸素原子が複合体粒子中に含まれているために、リチウムと酸素とが反応したためと考えられる。したがって銅原子を含ませるには、出発原料として銅錯体の内、酸素を含まないものを用いるべきである。なお錯体は、有機物に金属原子が配位した構造であると、有機溶剤に溶解し易く好ましい。
(実施例15)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gと、アセチレンブラック0.05gとを、アセトンとメタノールの混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.78gに添加し、自公転式の撹拌脱泡機にて2000rpmで8分間撹拌した後、2200rpmで2分間脱泡した。得られた分散液を基材に塗布し溶媒を除去した後、減圧下にて、120℃、1時間加熱しさらに900℃で20分間焼成して樹脂を炭素化し、黒色粉体を得た。この黒色粉体を平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕し、複合体粉末を調製した。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験9>
実施例15と実施例5に係るリチウム二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件で充電した際の初期の充電容量を測定し、電流0.2mAの条件で放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を初期充電容量とともに表10に示す。また温度25℃、電流0.2mAの条件下において1Vまで充電し、10分間休止した後、電流0.2mAの条件で0.01Vまで放電し、10分間休止するサイクルを20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。そして1サイクル目の充電容量に対する20サイクル目の充電容量の割合である容量維持率を測定し、結果を表10に示す。
Figure 0006061160
実施例15のリチウム二次電池は、実施例5のリチウム二次電池と同等の初期容量と容量維持率を発現しながら初期効率が向上しており、これは複合体粒子がアセチレンブラックを含む炭素層をもつことによる効果である。
(実施例16)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子を用い、平均粒子径が10μmとなるように実施例5と同様に粉砕した。この予め粉砕された凝集流離1gと、アセチレンブラック0.05gとを、アセトンとメタノールの混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.78gに添加し、自公転式の撹拌脱泡機にて2000rpmで8分間撹拌した後、2200rpmで2分間脱泡した。得られた分散液を基材に塗布し溶媒を除去した後、減圧下にて、120℃、1時間加熱しさらに900℃で20分間焼成して樹脂を炭素化し、複合体粉末を調製した。
この複合体粉末粒子の断面のSEM像を図13に、その模式図を図14に示す。複合体粒子(3)どうしの間に、長手方向の長さが5μm〜数十μmの繊維状物(4)が介在している。繊維状物(4)は、長手方向に直交する方向(以下、幅方向)の長さが100nm〜500nmであった。
繊維状物(4)の暗視野走査型透過電子顕微鏡(ADF-STEM)像を図15に示す。幅方向の両端部が明るく、幅方向の中央部が暗いことから、表面近傍と内部とで構造が異なっていることが推測される。そこで電子エネルギー損失分光法(EELS)を用い、図15の紙面と垂直方向に照射した場合の端部(A部)と中央部(B部)のスペクトルを比較した。その結果、図16に示すようにA部にπ結合が多くB部は少ないことが明らかとなった。このことより、表面近傍と内部とで構造が異なることが分かる。またグラファイトのEELSスペクトルと比較したところ、A部のスペクトルはグラファイトのC軸と垂直方向(グラフェンの六角セル面に対して平行方向)で測定したスペクトルに対応し、B部のスペクトルはグラファイトのC軸と平行方向(グラフェンの六角セル面に対して垂直方向)で測定したスペクトルに対応することが分かった。これらの結果から、繊維状物(4)は内部が中空の筒状であり、グラフェンシートが筒状に多層積層された構造であると判断される。
得られた複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例17)
リチウム二次電池の製造の際にバインダーとして、ポリアミドイミド(PAI)に代えてポリアクリル酸(PAA)を用いたこと以外は実施例16と同様である。
<電池特性試験10>
実施例16,17と実施例5に係るリチウムイオン二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件で充電した際の初期の充電容量を測定し、電流0.2mAの条件で放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を初期充電容量とともに表11に示す。また温度25℃、電流0.2mAの条件下において1Vまで充電し、10分間休止した後、電流0.2mAの条件で0.01Vまで放電し、10分間休止するサイクルを20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。そして1サイクル目の充電容量に対する20サイクル目の充電容量の割合である容量維持率を測定し、結果を表11に示す。
Figure 0006061160
実施例16のリチウムイオン二次電池は、実施例5と成分が同一であるのに電池特性が良い。これは粉砕時期の差であり、実施例5では炭素化工程後に粉砕しているため、繊維状物が切断されたためと考えられる。また実施例16は実施例17より容量維持率が高く、バインダーとしてはPAAよりPAIが好ましいことがわかる。
<分析試験>
実施例5で調製された複合体粉末をイオンミリング法によって薄片化し、その粒子についてTEM(Transmission Electron Microscopy)測定を行い、そのTEM画像を図17に示す。濃い灰色の粒子(長径の粒径約10nm)が長辺に対して垂直に配向して層状に配列した部分と、薄い灰色の部分とが層状に積層された構造となっていることがわかる。
そこで図17のPoint1〜5の各点についてその組成を確認すべく、TEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)分析を行った。結果を図18〜22にそれぞれ示す。Point1〜3はシリコン(Si)が91.5atm%以上の組成であり、濃い灰色の粒子はナノシリコン粒子であることが確認された。またPoint4,5からはSi以外に多量の炭素(C)と微量の酸素(O)が検出され、薄い灰色の部分は炭素(C)が多い炭素層であることがわかった。
すなわち実施例5における炭素化工程において、図7に示した空隙及び/又はシリコン酸化物(2)に相当する部位にフェノール樹脂が含浸して炭素化されたと考えられる。図7に示した空隙及び/又はシリコン酸化物(2)が空隙である場合には、電池とした場合にその空隙に電解液が含浸することによって負極活物質層の構造崩壊が生じる場合がある。しかし表4に示したように、実施例5の電池は比較例2の電池に比べてサイクル特性が格段に向上し、これはその空隙に炭素層が形成されたことによる効果であると考えられる。
(実施例18)
実施例1で調製されたナノシリコン凝集粒子1gに対して、アセトンとメタノールからなる混合溶媒に溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液(固形分58質量%)0.86gを添加(仕込み重量比Si/C=2/1)し、よく撹拌した。これから溶媒を除去した後、減圧下で120℃にて1時間加熱してフェノール樹脂を硬化させ、次いでアルゴンガス中にて900℃で20分間焼成して炭素化した。回収粉末の重量と層状ポリシランの仕込み量とから算出されたSi/C重量比は、88/12であった。得られた黒色粉末を平均粒子径が10μmとなるようにボールミルで粉砕し、複合体粉末を調製した。粉砕は、黒色粉末1gに対して100gのジルコニアボール(4mmφ)を加え、70rpmで2時間行った。
この複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
(実施例19)
乾式分級機を用い、実施例18における粉砕後の複合体粉末を粒径が2μm〜20μmの範囲に分級し、粒径が2μm未満のものと20μmを超えるものを除去した。分級後の複合体粉末を用いたこと以外は実施例4と同様にして負極を作製し、同様にしてリチウム二次電池を得た。
<電池特性試験11>
実施例18と実施例19に係るリチウムイオン二次電池を用い、温度25℃、電流0.2mAの条件で0.8Vまで充電した際の初期の充電容量を測定し、電流0.2mAの条件で0.01Vまで放電させた際の放電容量を測定して、初期効率(充電容量/放電容量)を算出し、結果を初期充電容量とともに表12に示す。
Figure 0006061160
分級処理によって粒径が2μm〜20μmの範囲とされた複合体粉末を用いることで、初期効率と初期容量が向上していることがわかる。
本発明の蓄電装置は、二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどに利用できる。また電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用、パソコン、携帯通信機器、家電製品、オフィス機器、産業機器などに利用される非水系二次電池として有用であり、特に、大容量、大出力が必要な電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを熱処理してナノシリコンの凝集粒子を得る凝集粒子形成工程と、
    該凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で該芳香性複素環化合物を重合する重合工程と、
    該芳香性複素環化合物の重合体を炭素化する炭素化工程と、をこの順で行うことを特徴とする負極活物質の製造方法。
  2. 前記層状ポリシランは、少なくとも塩化水素(HCl)を含む酸と、二ケイ化カルシウムと、を反応させて得られたものである請求項1に記載の負極活物質の製造方法。
  3. 前記凝集粒子形成工程は、前記層状ポリシランを非酸化性雰囲気下にて400℃以上で熱処理する請求項1又は請求項2に記載の負極活物質の製造方法。
  4. 前記重合工程は非水雰囲気で行う請求項1〜3のいずれかに記載の負極活物質の製造方法。
  5. ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを熱処理してナノシリコンの凝集粒子を得る凝集粒子形成工程と、
    樹脂溶液と該凝集粒子を混合し溶媒を除去した後に該樹脂を炭素化する炭素化工程と、をこの順で行い、
    該凝集粒子と、非晶質の炭素を含み該凝集粒子の少なくとも一部を覆って複合化された炭素層と、よりなる複合体を形成することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  6. 前記樹脂はフェノール樹脂である請求項5に記載の負極活物質の製造方法。
  7. 前記炭素化工程は600℃〜1000℃に加熱して行う請求項5又は請求項6に記載の負極活物質の製造方法。
  8. 前記樹脂溶液と、遷移金属から選ばれる少なくとも一種の金属を含む有機金属錯体及び前記凝集粒子を混合し溶媒を除去した後に前記炭素化工程を行う請求項5〜7のいずれかに記載の負極活物質の製造方法。
  9. 前記樹脂溶液と、導電性粉末及び前記凝集粒子を混合し溶媒を除去した後に前記炭素化工程を行う請求項5〜のいずれかに記載の負極活物質の製造方法。
  10. 前記炭素化工程に先だって前記凝集粒子を粉砕する粉砕工程を行う請求項5〜9のいずれかに記載の負極活物質の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の負極活物質の製造方法で製造された負極活物質を用いることを特徴とする二次電池用の負極の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の負極活物質の製造方法で製造された負極活物質を用いて負極を作製する工程を含むことを特徴とする蓄電装置の製造方法。
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