JP4359744B2 - 二次電池の正極用活物質およびその製造方法 - Google Patents

二次電池の正極用活物質およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電気伝導性が優れていると共に樹脂への充填性及び分散性が優れている二次電池の正極用活物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュ−ター、携帯電話等のポータブル機器の開発に伴って、その電源としての電池の需要が高まっている。特に、リチウム電池は、リチウムが原子量が小さく、かつ、イオン化エネルギーが大きい物質であることに起因して、起電力が高く、高エネルギー密度化が可能な電池が期待できることから各方面で盛んに研究が行われている。
【0003】
リチウム電池に用いられる正極材粒子粉末としては、4V程度の高電圧を発生させることが可能なリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粒子粉末、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)粒子粉末、リチウムマンガンスピネル酸化物(Li1+XMn2-X4)粒子粉末等、リチウム複合酸化物粒子の研究が盛んに行われている。これらの正極材粒子粉末は、コバルト、ニッケル、マンガンを含む酸化物原料粉末とリチウム化合物粉末とを混合し、500℃以上の高温で焼成することにより得られている。
【0004】
電池の小型化、高性能化に伴って電極材料である正極材粒子粉末の特性向上もまた強く要求されている。
即ち、上記正極材粒子粉末は、体積固有抵抗値が通常105Ωcm程度と高いため、高い電気伝導性を有する正極材粒子粉末が強く要求されている。
【0005】
次に、上記正極材粒子粉末を用いて電極を製造する場合、正極材粒子粉末とポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の結着材と溶剤とを混練し得られるペーストを集電体であるニッケルのメッシュに塗工して電極とするが、二次電池の充放電容量を高めるためには正極材粒子粉末の樹脂への充填性及び分散性ができるだけ優れていることが強く要求されている。
【0006】
従来、正極材粒子粉末の電気伝導性を高める方法としては、
▲1▼ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボン材料をメカノケミカル法により、正極材粒子粉末の表面に付着させることにより導電剤層を形成させる方法(特開平9−92265号公報や特開平10−162825号公報、特開平11−54148号公報、特開平11−283623号公報、特開2001−250553号公報等)、
▲2▼正極材粒子粉末の粒子表面に炭素、Au、Ni等の金属を蒸着させる方法(特開平11−307083号公報等)、
▲3▼正極材粒子粉末と該正極材粒子粉末に対し50重量%程度の多量の有機物とを混合した後、混練物を解砕し、さらに熱処理することで有機物を炭化させる方法(特開2000−251888号公報)等が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電気伝導性が優れていると共に樹脂への充填性及び分散性が優れている正極材粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、未だこれら諸特性を満足する正極用活物質は得られていない。
【0008】
即ち、前出▲1▼の正極材粒子粉末は、機械的な衝撃でカーボン等を正極材粒子粉末の粒子表面に付着させただけの構造であるため、電極を製造する際に付着しているカーボンが脱離してしまうという問題がある。即ち、表面にカーボンが付着している正極材粒子粉末と結着材と溶剤とを混練して混練物を製造する際にカーボンは容易に正極材粒子粉末の粒子表面から脱離してしまい、電気伝電度を高める効果が不十分となり、長期間の使用においても安定した電気伝導度を得ることが困難となる。また、脱離したカーボンが正極材粒子粉末の樹脂への充填性及び分散性を防げることとなる。
【0009】
前出▲2▼の正極材粒子粉末も上記▲1▼と同様に、結着材及び溶剤との混練の際に正極材粒子粉末の粒子表面から蒸着金属が脱離してしまい、電気伝導度を高める効果が不十分となり、長期間の使用においても安定した充放電特性を得ることが困難となる。
【0010】
前出▲3▼の正極材粒子粉末は、正極材粒子粉末に対する樹脂の量が多量であるため正極材粒子と有機物とを混合した際に凝集物となり、これを解砕しても、混合する前の正極材粒子粉末の大きさまで解砕されないため、樹脂への充填率があまり高くならず、充電容量が不十分であるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、電気伝導度が優れていると共に樹脂への充填性及び分散性が優れている正極材粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。即ち、本発明は、正極材粒子の粒子表面に、熱硬化性フェノール樹脂又は熱硬化性エポキシ樹脂を酸化雰囲気下で熱処理して得られるカーボンが被覆されている複合正極材粒子からなる複合正極材粒子粉末であって、前記複合正極材粒子粉末のタップ密度が2.0g/ml以上であり、カーボン量が正極材粒子に対し0.01〜1.0重量%であることを特徴とする二次電池の正極用活物質である。(発明1)
【0013】
また、本発明は、熱硬化性フェノール樹脂のOH当量が130g/当量以上の熱硬化性フェノール樹脂であることを特徴とする発明1記載の二次電池の正極用活物質である。(発明2)
【0014】
また、本発明は、熱硬化性エポキシ樹脂が1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、エポキシ当量が200g/当量以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする発明1記載の二次電池の正極用活物質である。(発明3)
【0015】
また、本発明は、正極材粒子粉末に該正極材粒子粉末に対し0.01〜10重量%の熱硬化性フェノール樹脂又は熱硬化性エポキシ樹脂を被覆した後、酸化雰囲気下、400℃以上の温度で熱処理して前記樹脂を炭化させることにより複合正極材粒子粉末を得ることを特徴とする発明1乃至発明3のいずれかに記載の二次電池の正極用活物質の製造方法である。(発明4)
【0016】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0017】
本発明における芯粒子である正極材粒子粉末は、LiXy2(但し、MはCo,Ni,Mn,V,Fe及びTiから選ばれた1種又は2種以上の元素、xは0<x≦2.5の範囲であり、yは0.8≦y≦1.25の範囲である。)で示される複合金属酸化物粒子粉末を示す。
【0018】
正極材粒子粉末の粒子形態は、立方体状、多面体状、球状、針状、板状等のいずれの形態の粒子をも使用することができる。
正極材粒子粉末の充填量及び分散性を考慮すると球状粒子が好ましく、集電体に塗工する際のペーストの粘度を下げることができる。
【0019】
正極材粒子粉末の平均粒子径D50(正極材粒子粉末の全体積を100%として累積体積で表した粒子径を求めたときの累積割合が50%となる点)は、樹脂への充填性及び分散性や取り扱い等の作業性を考慮すると、0.5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜40μm、更に好ましくは0.5〜30μmである。
【0020】
本発明に係る二次電池の正極用活物質におけるカーボンは、正極材粒子の粒子表面に強固に固着して粒子表面の全部又は一部を被覆している。
【0021】
カーボン量は、芯粒子に対し0.01〜10重量%、より好ましくは0.02〜3重量%、更に好ましくは0.02〜1重量%である。
0.01重量%未満の場合には、得られる正極用活物質の電気伝導度を高める効果が不十分となる。
10重量%を超える場合には、得られる正極用活物質の樹脂への充填性及び分散性が不十分となる。
【0022】
本発明に係る二次電池の正極活物質は、好ましくは体積固有抵抗値が1×102〜9×104Ωcmである。
9×104Ωcmを超える場合には、電気伝導度を高める効果が不十分であるため、二次電池としての充放電容量を高めることが困難となる。体積固有抵抗値の下限値は1×102Ωcmである。更に、電気伝導度を高める場合には、カーボン量を芯粒子に対して10重量%を超えて被覆する必要があり、その結果、正極用活物質の充填量が低下する。
【0023】
本発明に係る正極用活物質は、好ましくはタップ密度が2.0g/ml以上、より好ましくは2.1g/ml以上である。その上限は3.0g/mlが好ましい。
2.0g/ml未満の場合には、樹脂への充填量を高くすることが困難となる。
【0024】
本発明に係る二次電池の正極用活物質は、電極化する上で樹脂への分散性が優れていることが好ましく、平均粒子径及び粒度分布を調整することが好ましい。即ち、本発明に係る二次電池の正極用活物質の平均粒子径D50は、1〜50μm、より好ましくは1〜40μm、更に好ましくは1〜30μmである。
【0025】
本発明に係る二次電池の正極用活物質の平均粒子径D10は、0.5〜5.0μm、より好ましくは0.6〜4.8μm、更に好ましくは0.7〜4.6μmである。
【0026】
本発明に係る二次電池の正極用活物質の平均粒子径D90は、3.0〜28.0μm、より好ましくは3.2〜26.0μm、更に好ましくは3.5〜25.0μmである。
【0027】
本発明に係る二次電池の正極用活物質の粒度分布は、D50で示した場合の平均粒子径に対するD90(正極材粒子粉末の全体積を100%として累積体積で表した粒子径を求めたときの累積割合が90%となる点)で示した場合の平均粒子径の比率(D90/D50)で、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下である。D10(正極材粒子粉末の全体積を100%として累積体積で表した粒子径を求めたときの累積割合が10%となる点)で示した場合の平均粒子径に対するD50で示した場合の平均粒子径の比率(D50/D10)で、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下である。
【0028】
本発明に係る正極用活物質の比表面積は、電極化を考慮すると0.2〜20m2/gであることが好ましく、より好ましくは0.2〜15m2/g、更に好ましくは0.2〜10m2/gの範囲である。
【0029】
次に、本発明に係る二次電池の正極用活物質の製造方法について述べる。
【0030】
本発明に係る二次電池の正極用活物質は、正極材粒子粉末に熱硬化性フェノール樹脂又は熱硬化性エポキシ樹脂を被覆した後、酸化性雰囲気下で熱処理することにより製造することができる。
【0031】
先ず、正極材粒子の粒子表面に樹脂を十分且つ均一に被覆することが必要である。
【0032】
フェノール樹脂としては、フェノールとホルマリンのモル比で1/1〜1/3の範囲にある、いわゆるレゾ−ル系のフェノール樹脂が望ましい。
OH当量が130g/当量以上の熱硬化性フェノール樹脂が望ましく、より好ましくは150g/当量以上、更に好ましくは180g/当量以上であり、上限値は300g/当量が好ましい。
130g/当量未満の場合には、樹脂による被覆処理の際に正極材粒子同士の凝集が生じやすく、その結果、得られる正極用活物質は樹脂への充填性及び分散性が困難となる。
【0033】
本発明におけるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂などが用いられる。エポキシ基が2個未満の場合には、正極材粒子の粒子表面への樹脂の被覆が困難となる。
【0034】
エポキシ樹脂は、エポキシ当量として200g/当量以上のものが好ましく、より好ましくは、200−500g/当量である。
エポキシ当量が200g/当量未満の場合には、正極材粒子の粒子表面への樹脂の被覆処理の際に粒子同士の凝集が生じやすく、結果として、得られる正極用活物質は樹脂への充填性及び分散性が困難となる。
【0035】
本発明における樹脂の被覆量は、正極材粒子粉末に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
0.1重量%未満の場合には、被覆するフェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂の量が正極材粒子に対して不十分となるために、得られる正極用活物質の電気伝導度を高める効果が不十分となる。
10重量%を越える場合には、正極材粒子同士が凝集してしまい、得られる正極用活物質は樹脂への充填量を高くできない。
【0036】
樹脂による正極材粒子粉末の被覆処理は、正極材粒子粉末と樹脂と若干の溶剤とをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)、ヘンシェルミキサー(三井三池(株)製)、CFグラニュレーター(フロイント産業(株)製)、バーチカル・グラニュレーター((株)パウレック製)、フロージェットグラニュレーター((株)大川原製作所製)、万能攪拌機((株)ダルトン製)、ナウタミキサー((株)ホソカワミクロン製)等のいわゆる攪拌機能を有した処理機を用いて攪拌すればよい。
【0037】
本発明の目的とする正極用活物質を得ることができれば、必ずしも正極材粒子の全表面が樹脂によって被覆されている必要はなく、部分的に被覆されていてもよい。正極材粒子間の凝集を防止するためには、ヘンシェルミキサーのような高速攪拌機での処理が好ましい。
【0038】
次に、粒子表面が樹脂で被覆されている上記正極材粒子粉末を、酸化雰囲気下で熱処理することにより樹脂の炭化を行う。
酸化雰囲気にするためには、空気を熱処理炉内に流せばよく、通常1 l/min以上流すことで十分である。
【0039】
不活性雰囲気下で熱処理を行うと、正極材粒子が有しているLi+が還元されることによって、正極材粒子の組成自体が変化してしまい、電池特性に悪影響を与えるので、本発明においては酸化雰囲気下で加熱することが肝要である。
【0040】
熱処理温度としては、400℃以上であり、好ましくは400〜1000℃の範囲であり、より好ましくは400〜800℃の範囲である。1000℃を越える場合には、正極材粒子の組成自体が変化してしまい、電池特性に悪影響を与える。一方、400℃未満である場合には、樹脂が十分に炭化されず、正極材粒子の電気伝導度を高めることができない。
【0041】
使用する熱処理機としては、固定式のものや、回転式のもの等いずれでもよいが、粒子同士の凝集を防ぐためには、回転式のものが好ましい。
【0042】
熱処理を行う時間は、0.5〜4時間の処理で十分である。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0044】
尚、以下の実施の形態及び後出実施例並びに比較例における平均粒子径(D10 50及びD90)は、レーザー回折式粒度分布計(SYMPATEC社製RODOS)により計測した値で示した。
【0045】
カーボン量は、カーボン溶出テストを用いて測定した値で示した。
100mlガラス製サンプル瓶中に、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す。)100mlと正極材粒子各2gを加え、手振りで50回振とうさせた後、5分間静置させる。上澄み液の透過度をUV測定器(UV-2400PC;島津製作所製)を用いて600nm波長の吸収で評価した。
透過度が80%以上 良
60%〜80% 可
60%未満 不可
正極材粒子表面からカーボンが容易に脱離する場合には透過度は低く、一方、しっかりと正極材粒子表面に被覆されているものでは、透過度は高い。
【0046】
体積固有抵抗値は、ホィーストンブリッジ2768(横河電機(株)製)を用いて測定した。
【0047】
BET比表面積は、窒素吸着法により測定した。
【0048】
正極材粒子の同定及びその結晶構造の解析は、X線回折(RIGAKU,Mn−filtered Fe−Kα、40kV and 20mA)により行った。
【0049】
電極活物質の電気化学特性は、ポテンシャルスイーブ法により評価した。測定用正極電極として種々の正極材粒子粉末と、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン、導電材としてケッチェンブラックを各々重量比で5%混合し、この混合物を0.5g秤量し、集電体としてのニッケルのメッシュに充填し、作用電極とした。負極電極として金属リチウム箔をステンレス鋼メッシュに充填した。更に参照電極としてはリチウム金属を用いた。過塩素酸リチウム(LiClO4)を、プロピレンカルボネート、ジメトキシエタンを体積比で1:1に混合した溶媒中に1Mの濃度で溶解させたものを電解質として用いた。
【0050】
以上の測定用正極作用電極、負極、参照電極、電解質を用いて電気化学測定セルを構成した。この電気化学セルを用い、金属リチウム電極基準で3.0〜4.2Vの測定範囲、電流0.5mA/cm2にて充放電曲線を調べた。
【0051】
<正極用活物質の製造>
ヘンシェルミキサー内にLiCoO2粒子粉末(平均粒径4.0μm、体積固有抵抗2.2×105Ωcm タップ密度2.42g/ml)1kgを仕込み、窒素ガスを1 l/minで流しながら、960rpmで攪拌を行い、続いて、OH当量が185g/当量であるレゾール型フェノール樹脂「フェノライトJ−325」(商品名:大日本インキ化学工業(株))8.3g及びエタノール10gを添加した。
粉体温度が70℃になるように加温し、約2時間攪拌した後、冷却することで上記LiCoO2粒子粉末の粒子表面を0.49重量%のフェノール樹脂で被覆処理した。
【0052】
次に、得られたフェノール樹脂が被覆されているLiCoO2粒子粉末を、回転式熱処理炉内に入れ、空気を1 l/minの流量で流しながら、品温が500℃まで90分間で昇温し、500℃で1時間保持を樹脂の炭化を行ってカーボンが被覆されているLiCoO2粒子粉末を製造した後、50℃以下の温度まで冷却して複合正極材粒子粉末(A)を取り出した。
【0053】
得られた複合正極材粒子粉末(A)の平均粒子径は、D50で示した場合4.2μm、D10で示した場合、2.0μm、D90で示した場合、10.5μmであり、(D90/D50)比率が2.5であって、(D50/D10)比率が2.1であり、比表面積が1.0m2/g、体積固有抵抗が2×104Ωcm、タップ密度が2.50、カーボン量が0.04%、カーボン溶出テストは(良)であった。
さらに、この充放電の電気容量を求めたところ、162mAh/gであった。
なお、比較の為、前記LiCoO2粒子粉末を樹脂で被覆することなくそのまま使用した場合の電気容量は157mAh/gであった。
【0054】
【作用】
本発明において最も重要な点は、粒子表面にフェノール樹脂又はエポキシ樹脂が被覆されている正極材粒子を酸化雰囲気下で熱処理した場合には、カーボンが被覆されている正極材粒子を得ることができ、該カーボンは容易に脱離しないため、電気伝導性を高めることができ、長期間の使用においても安定して電気伝導性を高めることができるという事実である。
【0055】
正極材粒子の粒子表面からカーボンが脱離しにくい理由について、本発明者は、正極材粒子の粒子表面を特定のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂で被覆した後に、酸化雰囲気下で熱処理して樹脂を炭化したものであることに起因して、カーボンがしっかりと正極材粒子表面に固定されているものと考えている。
【0056】
そして、本発明に係る二次電池の正極用活物質は粒度分布が優れているので、正極用活物質の樹脂への充填量を高めることが可能であるという事実である。
【0057】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げる。
【0058】
実施例1
前記発明の実施の形態と同様にして、LiCoO2粒子粉末(平均粒子径1.2μm、体積固有抵抗値3.5×105Ωcm)1kgをエポキシ当量が300g/当量であるエポキシ樹脂「エピクロン5300−70」(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)21gおよびメタノール40gの混合溶液で表面処理を行った。粉体温度が70℃になるように加温し、約2時間攪拌した後、冷却することで、LiCoO2の粒子表面をエポキシ樹脂で被覆処理した粒子粉末を得た。
【0059】
次に、得られたエポキシ樹脂が被覆されているLiCoO2粒子粉末を、回転式熱処理炉内に入れ、空気を1 l/minの流量で流しながら、品温が600℃まで2時間で昇温し、600℃で1時間保持を行った後、50℃以下の温度まで冷却を行い取り出した。
この時の主要製造条件を表1に、得られたLiCoO2粒子粉末(B)の諸特性を表2に示す。
【0060】
実施例2〜6、比較例1〜5
正極材粒子粉末の種類、被覆する樹脂の種類及び量、熱処理条件を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてカーボンが被覆されている被覆正極材粒子粉末の生成を行った。主要製造条件を表1に、及び諸特性を表2に示す。
【0061】
比較例6
LiNiO2粒子粉末(平均粒子径1.5μm、体積固有抵抗4.2×105Ωcm)300gとケッチェンブラック「ECP−600JD」(商品名:ライオン(株)製)4.5gをメカノフュージョン装置「AM−15F」(商品名:ホソカワミクロン製)を用いて30分間処理を行った。
この時の主要製造条件を表1に、得られた粒子表面にカーボンが付着しているLiNiO2粒子粉末(M)の特性を表2に示す。
【0062】
比較例7
LiCoO2粒子粉末(平均粒径4.0μm、体積固有抵抗値2.2×105Ωcm)1kgとOH当量100g/当量であるノボラック型フェノール樹脂「タマノル100S」(商品名:荒川化学工業(株))20gをエクスルーダーで混練した後、粉砕・分級して複合体粒子を製造した。得られた複合体粒子粉末は、平均粒子径が18.2μmであった。得られた複合体粒子粉末を、回転式熱処理炉内に入れ、空気を1 l/minの流量で流しながら、品温が500℃まで90分間で昇温し、500℃で1時間保持を行った後、50℃以下の温度まで冷却を行い取り出した。
【0063】
得られた粒子表面にカーボンが被覆されているLiCoO2粒子粉末(N)の特性を表2に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004359744
【0065】
【表2】
Figure 0004359744
【0066】
【発明の効果】
本発明に係る二次電池の正極用活物質は、正極材粒子の粒子表面にしっかりとカーボンが被覆されているため、正極を調整する際のストレスによっても粒子表面から容易に脱離せず、電気伝導度が優れているとともに、樹脂への充填性及び分散性が優れているので、二次電池の正極用活物資として好適である。
【0067】
そして、上記正極用活物質を用いた場合には、二次電池の充放電容量を高めることができる。

Claims (4)

  1. 正極材粒子の粒子表面に、熱硬化性フェノール樹脂又は熱硬化性エポキシ樹脂を酸化雰囲気下で熱処理して得られるカーボンが被覆されている複合正極材粒子からなる複合正極材粒子粉末であって、前記複合正極材粒子粉末のタップ密度が2.0g/ml以上であり、カーボン量が正極材粒子に対し0.01〜1.0重量%であることを特徴とする二次電池の正極用活物質。
  2. 熱硬化性フェノール樹脂のOH当量が130g/当量以上の熱硬化性フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の二次電池の正極用活物質。
  3. 熱硬化性エポキシ樹脂が1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、エポキシ当量が200g/当量以上の熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の二次電池の正極用活物質。
  4. 正極材粒子粉末に該正極材粒子粉末に対し0.01〜10重量%の熱硬化性フェノール樹脂又は熱硬化性エポキシ樹脂を被覆した後、酸化雰囲気下、400℃以上の温度で熱処理して前記樹脂を炭化させることにより複合正極材粒子粉末を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二次電池の正極用活物質の製造方法。
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