JP6055784B2 - パロキセチン誘導体 - Google Patents

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Description

本発明はフタラン環を有する化合物に関する。より詳細には、3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(フルオロフェニル)ピペリジン化合物に関する。
3−[(2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イルオキシ)メチル]−4−フェニルピペリジン化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬として知られている。例えば、パロキセチンすなわち(3S,4R)−3−[(2H−1,3−benzodioxol−5−yloxy)methyl]−4−(4−fluorophenyl)piperidine、は、抗うつ剤として広く使用されている(特許文献1)。
Figure 0006055784
しかしながら、パロキセチンは、その構造において、ベンゾジオキソール環を有しているが、かかるベンゾジオキソール環を有する化合物は、一般的にcytochrome P450(CYP)で代謝されると化学的に反応性の高い代謝物へと変換され、CYPとの共有結合に基づく不活化作用によりCYPの活性を不可逆的に阻害することが知られている(非特許文献1〜3)。実際に、パロキセチンは、臨床で併用された複数の薬剤のCYPによる代謝を阻害することに起因した薬物動態学的な相互作用を引き起こし、併用禁忌も含めて、これまで多くの報告がある。その課題解決のため、パロキセチンのベンゾジオキソリル基のメチレン炭素上にある水素原子を重水素原子に代えた化合物などが知られているが、現在までに市販に至った化合物は存在せず、十分な効果を奏しているとは言いがたい(特許文献2)。さらに、一般的に重水素を含む化合物は製造コストがより必要であることが知られており、本課題解決に関して、重水素を用いない方法も望まれている。
米国特許第4007196号明細書 米国特許出願公開第2007/0191432号明細書
Pharmacological reviews 42,85,1990.(Selectivity in the inhibition of Mammalian Cytochrome P−450 by Chemical Agents) Current Drug Metabolism,6,413,2005. Drug Metabolism and Disposition,31,289,2003. Burger’s Medicinal Chemistry, Drug Discovery and Development,7th Edition,edited by Abraham and Rotella,August 2010,"STRUCTURAL ALERTS FOR TOXICITY"by Blagg,p301−334 J Med Chem,54,2529−2591,2011 J Med Chem,46,3257−3274,2003
本発明が解決する課題は、パロキセチンが有する主薬効を保持したまま、CYPの阻害作用を改善し、かつ、重水素を含まない構造である化合物を提供することである。
本発明者らは、鋭意努力の結果、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[17]に関する。
[1] 式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
Figure 0006055784

[式中、Rは、水素原子またはC1−6アルキル基を意味する。]
[2] Rは水素原子である、[1]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[3] フッ素原子が、ピペリジン環に対しパラ位に結合している、[1]または[2]記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
[4] (3S,4R)−3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンまたはその薬理学的に許容できる塩。
[5] [1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
[6] 選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、[5]記載の医薬組成物。
[7] 抗うつ剤である、[5]記載の医薬組成物。
[8] 早漏の治療又は予防剤である、[5]記載の医薬組成物。
[9] [1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を患者に投与する、選択的セロトニン再取り込み阻害方法。
[10] [1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を患者に投与する、うつ病の治療または予防方法。
[11] [1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を患者に投与する、早漏の治療または予防方法。
[12] 選択的セロトニン再取り込み阻害に使用される、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
[13] うつ病の治療または予防に使用される、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
[14] 早漏の治療または予防に使用される、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩。
[15] 選択的セロトニン再取り込み阻害剤を製造するための、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用。
[16] 抗うつ剤を製造するための、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用。
[17] 早漏の治療又は予防剤を製造するための、[1]ないし[4]いずれか記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩の使用。
式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)ともいう)は、パロキセチンが有する主薬効を保持したまま、パロキセチンと比較して改善されたCYPの阻害作用を有する。
マウス強制水泳試験における静止時間に対する実施例1化合物およびパロキセチンの効果を示すグラフである。8〜9匹のマウスにおける平均値±標準誤差で結果を表す。*p<0.05対溶媒対照群
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書中においては、本発明は、結晶多形が存在することもあるが、特定の結晶形のみに限定されることはなく、いずれかの結晶形の単一物であっても混合物であってもよく、また、本発明には非晶質体も含まれ、そして、本発明に係る化合物には無水物と水和物とが包含される。
以下に、本明細書において記載する用語、記号等の意義を説明し、本発明を詳細に説明する。
本明細書における「CYP」とは、薬物代謝酵素である、チトクロームP450のことを意味する。
本明細書における「CYPの阻害作用を改善」または「改善されたCYPの阻害作用」とは、主なCYPの分子種である5つのCYP分子種(CYP1A2、2C9、2C19、2D6および3A4)のうち、1または2以上に対する阻害作用の程度が、パロキセチンよりも総じて改善されることを意味する。
本明細書における「主薬効を保持」とは、臨床でパロキセチンと同様の薬効が期待できる程度のin vitroまたはin vivo薬理活性を前臨床試験で示すことを意味する。in vitro薬理活性とは、例えばセロトニントランスポーターに対する阻害活性であり、in vivo薬理活性とは、例えば強制水泳試験に基づく薬理活性である。
本明細書における「IC50」とは、50%阻害濃度または半数阻害濃度のことを意味する。
本明細書における「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基等が挙げられる。
本明細書における「ベンゾジオキソール環」とは、下記構造で示される環または官能基を意味する。
Figure 0006055784
本明細書における「フタラン環」とは、下記構造で示される環または官能基を意味する。
Figure 0006055784
本明細書における「薬理学的に許容される塩」とは、式(1)で表される化合物と塩を形成し、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩等が挙げられる。
式(1)で表される化合物は、以下に記載する方法により製造することができ、また以下に記載の方法を当業者が通常の知識に基づき改良することによっても製造することができる。但し、式(1)で表される化合物の製造方法は、これらに限定されるものではない。
工程A
化合物(1)のRがC1−6アルキル基である場合、下記工程Aによって、化合物(1)を得ることができる。
Figure 0006055784
[式中、RはC1−6アルキル基または、C1−6アルキル基で置換されてもよいフェニル基を意味し、Rは水素原子またはC1−6アルキル基を意味する。ただし、工程Aにおいて、RはC1−6アルキル基を意味する。]
工程A−1は、不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物(3)とスルホン酸エステル化剤を反応させることにより、化合物(2)を得る方法である。
スルホン酸エステル化剤としては、例えば、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリドおよびp−トルエンスルホニルクロリドが挙げられるが、好適には、メタンスルホニルクロリドである。
使用される溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類等があげられ、好適には、ジクロロメタンおよびトルエンである。
使用される塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等があげられ、好適にはトリエチルアミンである。
反応温度は、出発原料、溶媒、塩基により異なるが、通常−20℃ないし100℃であり、好適には0℃ないし60℃である。
反応時間は、出発原料、溶媒、塩基により異なるが、通常10分ないし3日であり、好適には30分ないし1日である。
工程A−2は、不活性溶媒中、塩基の存在下、化合物(2)と1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−オールとを反応させることにより、化合物(1)を得る方法である。
使用される溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジノンのようなアミド類、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等があげられ、好適には、N,N−ジメチルホルムアミドである。
使用される塩基としては、有機リチウムや水素化ナトリウム等の塩基があげられ、好適には水素化ナトリウムである。
反応温度は、出発原料、溶媒、塩基により異なるが、通常−20℃ないし100℃であり、好適には0℃ないし100℃である。
反応時間は、出発原料、溶媒、塩基により異なるが、通常10分ないし3日であり、好適には30分ないし1日である。
工程B
化合物(1)のRは、水素原子である場合、下記工程Bによって、化合物(1)を得ることができる。
Figure 0006055784

[式中、Proはアミンの保護基を意味する。]
工程B−1は、前述の工程Aに記載の合成方法と同様の方法である。アミンの保護基としては、t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラトルエンスルホニル基などが挙げられる。
工程B−2は、アミンの保護基を脱保護して、2級アミンを得る工程である。
脱保護の方法は、公知の方法が挙げられるが、例えば、保護基がt−ブチルオキシカルボニル基である場合、トリフルオロ酢酸などの酸による処理により、脱保護することができる。
上記各方法、各工程の反応終了後、各工程の目的化合物は常法に従い、反応混合物から採取することができる。
例えば、反応混合物全体が液体の場合、反応混合物を所望により室温に戻すか、氷冷し、適宜、酸、アルカリ、酸化剤または還元剤を中和し、水と酢酸エチルのような混和せずかつ目的化合物と反応しない有機溶媒とを加え、目的化合物を含む層を分離する。次に、得られた層と混和せず目的化合物と反応しない溶媒を加え、目的化合物を含む層を洗浄し、当該層を分離する。加えて、当該層が有機層であれば、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤を用いて乾燥し、溶媒を留去することなどにより、目的化合物を採取することができる。また、当該層が水層であれば、電気的に脱塩した後、凍結乾燥することなどにより、目的化合物を採取することができる。
また、反応混合物全体が液体であって、かつ、可能な場合には、常圧または減圧下、目的化合物以外のもの(例えば、溶媒、試薬等)を留去することのみにより、目的化合物を採取することができる。
さらに、目的化合物のみが固体として析出している場合、または、上記反応混合物全体が液体の場合であって、採取の過程で目的化合物のみが固体として析出した場合、まず、ろ過法により目的化合物をろ取し、ろ取した目的化合物を適当な有機または無機溶媒で洗浄し、乾燥することで母液を上記反応混合物全体が液体の場合と同様に処理することにより、さらに目的化合物を採取することができる。
またさらに、試薬または触媒のみが固体として存在するか、または、上記反応混合物全体が液体の場合であって、採取の過程で試薬または触媒のみが固体として析出した場合であって、かつ、目的化合物が溶液に溶解している場合、まず、ろ過法により試薬または触媒をろ去し、ろ去した試薬または触媒を適当な有機または無機溶媒で洗浄し、得られる洗浄液を母液と合わせ、得られる混合液を上記反応混合物全体が液体の場合と同様に処理することにより、目的化合物を採取することができる。
特に、反応混合物に含まれる目的化合物以外のものが次工程の反応を阻害しない場合、特に目的化合物を単離することなく、反応混合物のまま、次の工程に使用することもできる。
上記方法で採取した目的化合物の純度を向上させるため、適宜、再結晶法、各種クロマトグラフィー法、蒸留法を実施することができる。
採取した目的化合物が固体の場合、通常、再結晶法により目的化合物の純度を向上させることができる。再結晶法においては、目的化合物と反応しない単一溶媒または複数の混合溶媒を用いることができる。具体的には、まず目的化合物を、目的化合物と反応しない単一または複数の溶媒に、室温または加熱下に溶解する。得られる混合液を氷水などで冷却するかまたは室温にて撹拌または放置することにより、その混合液から目的化合物を晶出させることができる。
採取した目的化合物は、各種クロマトグラフィー法により目的化合物の純度を向上させることができる。一般的には、メルク社製シリカゲル60(70−230meshまたは340−400mesh)、富士シリシア化学株式会社製BW−300(300mesh)などの弱酸性のシリカゲル類を用いることができる。目的化合物が塩基性を有し、上述のシリカゲル類では吸着が激し過ぎる場合などは、富士シリシア化学株式会社製のプロピルアミンコーティングシリカゲル(200−350mesh)や山善株式会社製ディスポーザブル中圧分取充填カラム(ハイフラッシュ・アミノ)などのNHシリカゲル類を用いることもできる。また、目的化合物が双極性を有する場合またはメタノールなどの高極性溶媒での溶出が必要な場合などは、ナム研究所製NAM−200HまたはNAM−300H、あるいはYMC社製YMC GEL ODS−Aを用いることもできる。上記のような充填剤があらかじめ充填されている山善株式会社製、和光純薬工業社製、biotage社製、またはGrace社製のディスポーザブル中圧分取充填カラム(ハイフラッシュ)を用いることもできる。これらのシリカゲルを適宜用いて、目的化合物と反応しない単一または複数の溶媒で目的化合物を溶出させ、溶媒を留去することにより、純度が向上した目的化合物を得ることができる。
採取した目的化合物が液体の場合、蒸留法によっても目的化合物の純度を向上させることができる。蒸留法においては、目的化合物を室温または加熱下に減圧することにより、目的化合物を留出させることができる。
以上が化合物(1)の製造方法の代表例であるが、化合物(1)の製造における原料化合物および各種試薬は、塩や水和物のような溶媒和物を形成していてもよく、いずれも出発原料、使用する溶媒等により異なり、また反応を阻害しない限りにおいて特に限定されない。用いる溶媒についても、出発原料、試薬等により異なり、また反応を阻害せず出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定されないことは言うまでもない。化合物(1)がフリー体として得られる場合、化合物(1)が形成していてもよい塩またはそれらの溶媒和物には、常法に従って変換することができる。
化合物(1)が塩または溶媒和物として得られる場合、化合物(1)のフリー体は、常法に従って変換することができる。
また、化合物(1)について得られる種々の異性体(例えば幾何異性体、光学異性体、回転異性体、立体異性体、互変異性体、等)は、通常の分離手段、例えば、再結晶、ジアステレオマー塩法、酵素分割法、種々のクロマトグラフィー(例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等)を用いることにより精製し、単離することができる。
化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩は、常法により製剤化が可能であり、剤形としては、例えば、経口剤(錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤等)、注射剤(静脈内投与用、筋肉内投与用、皮下投与用、腹腔内投与用)、外用剤(経皮吸収製剤(軟膏剤、貼付剤等)、点眼剤、点鼻剤、坐剤等)とすることができる。
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末等の固形製剤は、通常0.001〜99.5重量%、好ましくは0.01〜90重量%等の化合物(1)またはその薬学的に許容し得る塩を含むことができる。
経口用固形製剤を製造する場合には、化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩に、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤剤などを添加し、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤にすることができる。また、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等は必要に応じて皮膜コーティングを施しても良い。
賦形剤は、例えば、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、等などが挙げられ、結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが、崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム等を挙げることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が、着色剤としては、例えば、酸化チタン等を挙げることができる。
皮膜コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
上述したいずれの添加剤についても、もちろんこれらに限定される訳ではない。
注射剤(静脈内投与用、筋肉内投与用、皮下投与用、腹腔内投与用)を製造する場合には、化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩に、必要に応じて、pH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、抗酸化剤、保存剤(防腐剤)、等張化剤などを添加し、常法により製造することができる。また、凍結乾燥して、用時溶解型の凍結乾燥製剤としても良い。これらの注射剤は静脈内、皮下、筋肉内等に投与することができる。
pH調整剤や緩衝剤としては、例えば、有機酸又は無機酸及び/又はその塩等を、懸濁化剤としては、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム、などを、溶解補助剤としては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを、抗酸化剤としては、例えば、α−トコフェロール等を、保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルなどを、等張化剤としては、ブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール等を挙げることができるが、もちろんこれらに限定される訳ではない。
これらの注射液は、通常0.000001〜99.5重量%、好ましくは0.00001〜90重量%等の化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩を含むことができる。
外用剤を製造する場合には、化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩に、基剤原料を添加し、必要に応じて、上述した乳化剤、保存剤、pH調整剤、着色剤等を加えて、常法により、経皮吸収製剤(軟膏剤、貼付剤等)、点眼剤、点鼻剤、坐剤等などを製造することができる。
使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能で、例えば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、精製水などの原料が挙げられる。
これらの外用剤は、通常0.000001〜99.5重量%、好ましくは0.00001〜90重量%等の化合物(1)またはその薬理学的に許容し得る塩を含むことができる。
本発明にかかる医薬の投与量は、通常、症状、年齢、性別、体重等に応じて異なるが、所望の効果を奏するのに十分な量であればよい。例えば、成人の場合、1日あたり約0.1〜5000mg(好ましくは0.5〜1000mg、より好ましくは1〜600mg)が、1日または複数日の間に1回または1日に2〜6回に分けて使用される。
化合物(1)は生理活性低分子化合物の標的タンパクを捕捉するためのケミカルプローブとすることができる。すなわち、化合物(1)は、当該化合物の活性発現に必須な構造部分とは異なる部分に、J. Mass Spectrum. Soc. Jpn. Vol. 51, No. 5 2003, p492−498またはWO2007/139149等に記載の手法で標識基、リンカー等を導入することでアフィニティークロマトグラフィー、フォトアフィニティープローブ等に変換することができる。
ケミカルプローブに用いる標識基、リンカー等は、例えば以下の(1)ないし(5)からなる群に示される基が挙げられる。
(1)光親和性標識基(例えば、ベンゾイル基、ベンゾフェノン基、アジド基、カルボニルアジド基、ジアジリジン基、エノン基、ジアゾ基およびニトロ基等)および化学親和性基(例えば、アルファー炭素原子がハロゲン原子で置換されたケトン基、カルバモイル基、エステル基、アルキルチオ基、α、β−不飽和ケトン、エステル等のマイケル受容体、およびオキシラン基等)等のタンパク質標識基、
(2)−S−S−、−O−Si−O−、単糖(グルコース基、ガラクトース基等)または二糖(ラクトース等)等の開裂可能なリンカー、および酵素反応で開裂可能なオリゴペプチドリンカー、
(3)ビオチン、3−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4H−3a,4a−ジアザ−4−ボラ−s−インダセン−3−イル)プロピオニル基等のフィッシングタグ基、
(4)125I、32P、H、14Cなどの放射性標識基;フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、7−ニトロフラザニル、3−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4H−3a,4a−ジアザ−4−ボラ−s−インダセン−3−イル)プロピオニル基等の蛍光標識基;ルミフェリン、ルミノール等の化学発光基;ランタノイド金属イオン、ラジウムイオン等の重金属イオン等の検出可能なマーカーまたは
(5)ガラスビーズ、ガラスベット、マイクロタイタープレート、アガロースビーズ、アガロースベッド、ポリスチレンビーズ、ポリスチレンベッド、ナイロンビーズ、ナイロンベッド等の固相担体と結合させる基等。
上記の(1)ないし(5)からなる群より選択される標識基等を上記文献に記載の方法等に準じて化合物(1)に導入して調製されるプローブは、新たな創薬ターゲットの探索等に有用な標識タンパクの同定のためのケミカルプローブとして用いることができる。
化合物(1)は、例えば、以下の実施例に記載した方法により製造することができ、また、化合物(1)の効果は、以下の試験例に記載した方法により確認することができる。ただし、これらは例示的なものであって、本発明は、如何なる場合も以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1](3S,4R)−3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン
Figure 0006055784

製造例1−4に記載のtert−ブチル (3S,4R)−3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(4.1g、9.6mmol)に、氷冷下でトリフルオロ酢酸(5mL)とジクロロメタン(30mL)の混合溶液を加え、室温で90分間攪拌した。反応混合物にトルエン(30mL)を加え、溶媒を減圧下留去した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:酢酸エチル=1:20)で精製し、標記化合物(2.7g、84%収率)を得た。
1H−NMR
Spectrum (CDCl3)δ(ppm):1.67-1.77(1H, m), 1.82(1H, dq, J=2.6, 6.6 Hz), 2.06-2.14(1H, m),
2.60(1H, dt, J=4.0, 11.7 Hz), 2.69(1H, dd, J=11.3, 12.1 Hz), 2.75(1H, dt,
J=2.9, 12.1 Hz), 3.19(1H, d, J=3.2 Hz), 3.44(1H, dd, J=3.7, 12.1 Hz), 3.51(1H,
dd, J=7.1, 9.3 Hz), 3.64(1H, dd, J=2.9, 9.5 Hz), 5.01(4H, s), 6.58(1H, d, J=2.2
Hz), 6.64(1H, dd, J=2.4, 8.2 Hz), 6.95-7.01(2H, m), 7.05(1H, d, J=8.1 Hz),
7.15-7.20(2H, m).
[製造例1−1]2−[(プロピ−2−イン−1−イルオキシ)メチル]フラン
Figure 0006055784

水素化ナトリウム(7.7g、190mmol、60% in oil)とテトラヒドロフラン(100mL)の混合物に、0℃でフルフリル アルコール(15mL、170mmol)を滴下した。反応混合物を室温とし、同温でN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)を加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物を0℃とし、同温でプロパルギルブロミド(23g、190mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:30)で精製し、標記化合物(7.6g、32%収率)を得た。
1H−NMR Spectrum (CDCl3)δ(ppm): 2.47(1H, t, J=2.6 Hz), 4.17(2H, d, J=2.6 Hz), 4.57(2H, s),
6.36(1H, dd, J=1.8, 3.3 Hz), 6.376-6.384(1H, m), 7.43(1H, dd, J=0.7, 1.8 Hz).
[製造例1−2]1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−オール
Figure 0006055784

製造例1−1に記載の2−[(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)メチル]フラン(6.6g、49mmol)とアセトン(66mL)の混合物に、室温でプラチナム(II)クロリド(650mg、2.4mmol)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物を室温とし、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルを用いてろ過し(酢酸エチルで溶出)、溶媒を減圧下留去した。残渣にジクロロメタン(20mL)を加え、不溶の固体をろ取し、標記化合物(1.7g)を得た。ろ液を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:4)で精製し、標記化合物(1.6g、トータル3.3g、49%収率)を得た。
1H−NMR Spectrum (CDCl3)δ(ppm): 5.06 (4H, s), 6.71 (1H, d, J=2.2 Hz),
6.74 (1H, dd, J=2.2, 8.1 Hz), 7.08 (1H, d, J=8.1 Hz).
[製造例1−3]tert−ブチル (3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
Figure 0006055784

[(3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−3−イル]メタノール(3.0g、14mmol)、炭酸ナトリウム(6.1g、57mmol)、ジクロロメタン(40mL)および水(40mL)の混合物に、氷冷下でジ−tert−ブチル ジカーボネート(3.8g、17mmol)を加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンと水の混合溶液に加え、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:1)で精製し、標記化合物(4.0g、90%収率)を得た。
1H−NMR Spectrum (CDCl3)δ(ppm): 1.49(9H, s), 1.61-1.71(1H, m),
1.75-1.85(2H, m), 2.51-2.56(1H, m), 2.71(1H, dd, J=11.3, 13.2 Hz), 2.78(1H, br
s), 3.24-3.29(1H, m), 3.42-3.46(1H, m), 4.20(1H, br s), 4.36(1H, d, J=11.7 Hz),
6.97-7.03(2H, m), 7.13-7.18(2H, m).
[製造例1−4]tert−ブチル (3S,4R)−3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
Figure 0006055784

製造例1−3に記載のtert−ブチル (3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.6g、12mmol)とトルエン(40mL)の混合物に、0℃でトリエチルアミン(2.1mL、15mmol)とメタンスルホニル クロリド(0.93mL、12mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。同温で、メタンスルホニル クロリド(0.11mL、1.5mmol)をさらに加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。tert−ブチル (3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−[(メタンスルホニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレートを粗体として得た。製造例1−2に記載の1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−オール(1.6g、12mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物に、0℃で水素化ナトリウム(460mg、12mmol、60% in oil)を加え、同温で30分間攪拌した。反応混合物に、上記tert−ブチル (3S,4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3−[(メタンスルホニルオキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレートの粗体とN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物を加え、80℃で90分間撹拌した。反応混合物を室温とし、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製し、標記化合物(4.7g、92%収率)を得た。
1H−NMR
Spectrum (CDCl3)δ(ppm): 1.50(9H, s), 1.69-1.83(2H, m),
2.01-2.09(1H, m), 2.69(1H, dt, J=3.7, 11.7 Hz), 2.78-2.84(2H, m), 3.52(1H, dd,
J=6.6, 9.1 Hz), 3.67(1H, dd, J=2.9, 9.5 Hz), 4.25(1H, br s), 4.46(1H, br s),
5.02(4H, s), 6.59(1H, d, J=2.2 Hz), 6.66(1H, dd, J=2.2, 8.1 Hz), 6.95-7.00(2H,
m), 7.06(1H, d, J=8.1 Hz), 7.12-7.16(2H, m).
試験例1
セロトニントランスポーターに対する阻害作用評価
セロトニントランスポーターを発現するラット血小板を用いて、本発明化合物のセロトニントランスポーターに対する阻害作用を評価した。
すなわち、被検化合物をラット血小板に添加、15分後からNeurotransmitter Transporter Activity Assay Kit(Molecular Devices, R8174)の蛍光物質を添加し、蛍光物質の取り込みによる蛍光強度変化を経時的測定することで、被検化合物のセロトニントランスポーターに対する阻害作用を評価した。
1 ハロセン吸入麻酔下で、ラット下大静脈より採血を行った。
2 350g,5分間室温で遠心分離を行い、多血小板血漿を含む上清を15mlファルコンチューブに回収した。
3 2100g,10分間室温で遠心分離を行い、ペレットとして血小板を得た。2の操作で得られた多血小板血漿容量の0.7倍量のCa free K5 bufferを添加し、ピペッティング操作によりペレットをほぐした。
4 384プレートに30μl/wellで血小板液を分注し、その後各wellに10μlずつ被検化合物を加え、室温で15分間インキュベートした。
5 Neurotransmitter Transporter Activity Assay Kitの蛍光物質を添加し、蛍光物質のセロトニントランスポーターを通じた取り込みによる経時的な蛍光強度変化をFDSS 6000(浜松ホトニクス)で測定した。
薬理評価方法
以下の計算式で、被検化合物のセロトニントランスポーター阻害率を求めた。
セロトニントランスポーターの阻害率(%)=AVERAGE[100×{AVERAGE(被検化合物存在下におけるAUC−Escitalopram存在下における平均AUC)/{AVERAGE(被検化合物非存在下におけるAUC−Escitalopram存在下における平均AUC)})
本阻害率を0.0001−10000nMの濃度で測定し、IC50を算出した。
パロキセチンのIC50:0.6nM
実施例1化合物のIC50:2.4nM
パロキセチンおよび実施例1化合物は、セロトニントランスポーターに対する強い阻害作用を示した。
試験例2
強制水泳試験によるin vivo薬効試験
実施例1化合物(10,30または100mg/kg)あるいはパロキセチン(30または100mg/kg)をmale BALB/c mice(8−9匹/群)に経口投与した。一時間後、9cmの水をはったglass cylinders(高さ:19cm、直径:9cm)にマウスを個別に入れ、23℃で6分間観察した。この間の行動をビデオカメラを用いて記録した。コントロール群には同じ量の溶媒(0.5% methyl cellulose solution,10mL/kg)を与えた。
測定方法
ビデオカメラの記録から最後の4分間での静止した時間を算出した。マウスが静止したと判断した行動の基準は、もがくのをやめる、のぼるのをやめる、水の上に頭を出すためだけに必要な小さな動きだけしながら基本的に動かずに水に浮かぶ、の3点であった。
結果
図1に示すように、実施例1化合物およびパロキセチンはともに用量依存的に静止した時間を抑制した。
試験例3
CYP阻害作用
パロキセチンおよび実施例1化合物のCYP阻害作用は、以下の2通りの方法で試験した。
パロキセチンのCYP不活化作用に基づく阻害作用は、CYPを含むヒト肝ミクロゾーム画分と補酵素を含む溶液とのプレインキュベーションにより時間依存的な阻害作用の増強を試験することで評価できるため、実施例1化合物についても時間依存的阻害試験を方法1として実施した。また、未変化体の競合阻害に基づくCYP阻害作用を方法2として実施した。
方法1
パロキセチンおよび実施例1化合物について、5つのCYP分子種(CYP1A2,2C9,2C19,2D6および3A4)に対する時間依存的阻害能を評価した。
酵素液(ヒト肝ミクロゾーム(0.2mg/mL)、100mM Kpi、0.1mM EDTAを含む)に被験物質を添加し、補酵素の存在下
又は非存在下において30分間37℃でプレインキュベーションした。被験物質の最終濃度は、0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、10または50μMとした。また、補酵素はNADPH生成系(3.6mM β−NADP+、90mM グルコース 6−リン酸、 1Unit/mL グルコース 6−リン酸脱水素酵素を含む60mM MgCl溶液を5分間インキュベーションすることによりNADPHを生成させた溶液)を用いた。プレインキュベーション後、反応液を一部採取し、モデル基質溶液とNADPH生成系との混合により10倍に希釈した後、10分間37℃でインキュベーションした。アセトニトリルとメタノールの混合溶液(1:1,内標準として0.05μM Dextrophanまたは0.05μM Propranololを含む)を等量添加することにより反応を終了させ、反応液中のモデル基質代謝物をLC−MS/MSで測定した。各CYP分子種のモデル基質およびモデル基質代謝物について表1に示す。対象実験として被験物質非添加時においても同様の実験を行った。対象実験におけるモデル基質代謝物の量に対する比を残存活性とした。NADPH非存在下における残存活性に対するNADPH存在下の残存活性の比を評価し、80%以下であれば“+”、80%より大きければ“−”と定義した。結果を表2に示す。
パロキセチンと実施例1化合物の比較結果から、ベンゾジオキソール環をフタラン環に変換することで、時間依存的阻害が減弱することが明らかとなった。
Figure 0006055784
Figure 0006055784
ヒト肝ミクロソームと被験物質をプレインキュベーションしたときの各CYP活性に及ぼす影響(平均値、n=2)
方法2
パロキセチンおよび実施例1化合物について、5つのCYP分子種(CYP1A2、2C9、2C19、2D6および3A4)に対する競合阻害に基づく阻害能を調べた。
モデル基質溶液を含む酵素液(ヒト肝ミクロソーム(0.2mg/mL)、100mM Kpi、0.1mM EDTAを含む)に被験物質を最終濃度が1または10μMとなるように添加し、NADPH生成系の存在下において10分間37℃でインキュベーションした。アセトニトリルとメタノールの混合溶液(1:1,内標準として0.05μM Dextrophanまたは0.05μM Propranololを含む)を等量添加することにより反応を終了させ、反応液中のモデル基質代謝物をLC−MS/MSで測定した。各CYP分子種のモデル基質およびモデル基質代謝物について表3に示す。対象実験として被験物質非添加時においても同様の実験を行った。被験物質添加時および非添加時のモデル基質代謝物の量から、各被験物質濃度に対して阻害率を求め、阻害率からIC50値を算出した(算出方法はXenobiotica. 1999,29(1),53−75.に準ずる)。IC50値が1μM以下であれば“++”、1から10μMの範囲であれば“+”、10μMより大きければ“−”と定義した。結果を表4に示す。
パロキセチンと実施例1化合物の比較結果から、ベンゾジオキソール環をフタラン環に変換することで、阻害能が減弱することが明らかとなった。
Figure 0006055784
各CYP分子種に対するモデル基質およびモデル基質代謝物
Figure 0006055784
各CYP分子種に対する被験物質の影響(n=2)

Claims (8)

  1. 式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
    Figure 0006055784

    [式中、Rは、水素原子またはC1−6アルキル基を意味する。]
  2. は水素原子である、請求項1記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
  3. フッ素原子が、ピペリジン環に対しパラ位に結合している、請求項1または2記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
  4. (3S,4R)−3−[(1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンまたはその薬理学的に許容できる塩。
  5. 請求項1ないし4いずれか1項記載の化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
  6. 選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項5記載の医薬組成物。
  7. 抗うつ剤である、請求項5記載の医薬組成物。
  8. 早漏の治療又は予防剤である、請求項5記載の医薬組成物。
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