JP6049830B2 - 染毛料及び染毛方法 - Google Patents
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しかしながら、酸化染毛剤では酸化染料が皮膚アレルギーの症状を引き起こす要因となり、また、過酸化水素はその酸化作用が非常に強力であるがために、毛髪の損傷や頭皮刺激(かぶれ)の問題を生じる。更に、酸化染毛剤は毛髪を一度に強く染めあげるため、容貌が急に変わりすぎて違和感を生じ、特に白髪の染毛に際しては非常に問題となる。
他方、酸性染毛剤では、毛髪だけではなく頭皮・手等皮膚にも染着され、また、シャンプーや汗などで色落ちし、堅牢性が不十分であるという欠点を有する。
しかしながら、これらの金属系染毛剤においても、酸化染毛剤程度の染毛性を追求すると、酸性染毛剤と同様、頭皮・手等の皮膚までも染着され、一方、染毛性を少し緩和して数回の使用で徐々に髪色を変化させようとすると染毛性が充分でないなど、使用者の要求を必ずしも満足させるものではない。
更に、金属塩は弱酸性〜中性領域で最も染毛力を発揮できるが、金属塩含有組成物を該領域で調製すると、金属塩の劣化が進行してしまい、時間経過と共に染毛力が低下するという問題がある。このため、金属塩の安定性を優先し、金属塩含有組成物のpHを、通常、酸性領域とさせるが、この場合においても、経時的な染毛力の劣化は避けられない。
上記染毛料は従来の経時的劣化の課題を解決し、半永久的に優れた染毛力を維持できるという優れた特徴を有するものの、使用の際に第2剤と第3剤とを混合する必要があり、使用時に手間が掛かるという問題が指摘されている。
第1剤中における、金属イオンと反応して発色する発色剤の含有量は、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。該発色剤の含有量が0.05重量%未満では染毛性が不十分となる傾向があり、一方、5重量%を超えると染毛性は余り向上せず、却って組成物の安定性が悪くなる傾向がある。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの芳香族アルコールの中で、好ましくはベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが用いられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第1剤中における芳香族アルコールの含有量は、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜7重量%がより好ましい。芳香族アルコールの含有量が0.1重量%未満では染毛力を向上させる効果(染毛力を経時的に安定化させる効果)が不十分であり、20重量%を超えると染毛料の安定性が悪くなる傾向がある。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤の中で、好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウムが用いられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第1剤中におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。アニオン性界面活性剤の含有量が0.01重量%未満では染毛力を向上させる効果(染毛力を経時的に安定化させる効果)が不十分であり、5重量%を超えると染毛後の毛髪の感触(手触り)が悪くなる傾向がある。
第1剤中における尿素の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。尿素の含有量が0.1重量%未満では染毛力を向上させる効果(染毛力を経時的に安定化させる効果)が不十分であり、10重量%を超えると染毛料の安定性が悪くなる傾向がある。
第1剤中における還元剤の含有量は0.01〜3重量%が好ましい。0.01重量%未満では安定性の向上効果が不十分となる傾向があり、3重量%を超えると染毛料の安定性が悪くなる傾向がある。
第2剤中における金属塩の含有量は、0.02〜3重量%が好ましく、0.05〜2重量%がより好ましい。金属塩の含有量が0.02重量%未満では染毛力が不十分となる傾向があり、一方、3重量%を超えると皮膚への染着性が大きくなる傾向があり、更には染毛料の安定性も悪くなる傾向がある。
そのようなアルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム(カリミョウバン)、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、硫酸カリウムアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウムが用いられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第2剤中におけるアルミニウム化合物の含有量は、0.02〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%がより好ましい。アルミニウム化合物の含有量が0.02重量%未満では濃染効果が不十分となる傾向があり、一方、5重量%を超えても濃染効果は余り向上せず、却って染毛料の安定性が悪くなる傾向がある。
このようなタール色素としては、昭和41年8月31日公布の厚生省令第30号「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」によって指定されている色素が挙げられる。また、HC染料としては、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられ、直接染料としては、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−メチルアミノ−4−ニトロフェノキシエタノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール等が挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
第2剤における色素や染料の含有量は、0.01〜2重量%が好ましく、0.05〜1重量%がより好ましい。これらの含有量が0.01重量%未満では染毛力が不十分となる傾向があり、一方、2重量%を超えると皮膚への染着性が大きくなる傾向がある。
第2剤のpHは3〜7程度が好ましい。pHが3未満では染毛力が悪くなる傾向があり、pHが7を超えると金属塩の安定性が顕著に悪くなる傾向がある。
例えば、界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ソルビタン等のノニオン性界面活性剤;セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル等の油剤;キサンタンガム、サクシノグルカン、ヒドロキシプロピルグァーガム、カチオン化グァーガム等のグァーガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース類等の増粘剤;1,3−BG、PG、DPG、グリセリン等の保湿剤;EDTA、EDTA−2Na、EDTA−4Na、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤:パラベン、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤;香料等で、これらは必要に応じ、任意に組み合わせて適宜配合することができる。
具体的には、例えば、第1剤を毛髪に塗布し、30℃程度で10分間程度放置した後水洗し、次いで、第2剤を塗布し、30℃程度で10分間放置した後水洗する。この方法を数回、好ましくは2〜5回程度繰り返すことにより、染毛力の経時的劣化を抑制し、使用時に染毛力を最大限に引き出すことができるとともに、頭皮や手、あるいは周囲を汚すことなく、また、容貌を急変させることなく、徐々に染毛することができる。例えば、白髪を黒く染める場合は、周囲に違和感を与えることなく、ごく自然に白髪を周囲の黒髪と馴染ませることができる。上記染毛方法において、第1剤を水洗する代わりに、コーミングしてもよい。
表1に示すように、金属イオンと反応して発色する発色剤(A)として、緑茶抽出物、タンニン酸、没食子酸プロピル、ガルナット抽出物、カシュー抽出物を用い、添加剤(C)としては、芳香族アルコール(C1)として、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールを用い、アニオン性界面活性剤(C2)として、テトラデセンスルホン酸ナトリウム液、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及び尿素(C3)を用い、表1に示した配合で、ジェル状の第1剤1−1〜1−12を調製した。
表2に示すように、金属塩(B)として、グルコン酸第一鉄を用い、アルミニウム化合物として、クロルヒドロキシアルミニウムを用い、更に、染料として、HC黄2、塩基性茶16、塩基性赤51、及び塩基性赤76を用い、表2に示した配合で、クリーム状の第2剤2−1〜2−5を調製した。
ここで、第2剤の2−5は、後記する参考例の3剤式染毛料に使用するためのもので、グルコン酸第一鉄の配合量が2−1〜2−4と異なる。これは、第2剤2−1〜2−4は各々単独で使用されるのに対し、参考例において、第2剤の2−5は第3剤の3−1(表5参照)と1:1(重量比)で混合して使用するためであり、毛髪塗布時におけるグルコン酸第一鉄の量を一致させるためである。
表3に示すように、実施例1〜11では、第1剤として、前記表1の1−1〜1−12を用い、第2剤として、前記表2の2−1(アルミニウム化合物を含有し、染料を含有しないグレイ系)を用いて、下記の染色方法で染毛力テストを行った。
更に、実施例12〜14では、第1剤として、前記表1の1−8を用い、第2剤として、前記表2の2−2(ブラウン系)、2−3(ベージュ系)、2−4(レッドブラウン系)を用いて、下記の染色方法で染毛力テストを行った。
第1剤に白髪を浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗し、次いで、第2剤に浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗した。これを2回繰り返し、染毛力を下記の評価方法で評価した。
表3の実施例1〜11の結果から、添加剤(C)を配合した第1剤を用いて染毛を2回繰り返すことにより、白髪を周囲の黒髪に馴染ませるのに充分な濃さに染色できることがわかる。
更に、表3の実施例12〜14の結果から、第2剤に染料を配合することにより、多彩な色調に染毛できることがわかる。
色差計(ミノルタ株式会社製、MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM−2600d)を用い、ΔL(染毛前の白髪の明度L1−染毛後の白髪の明度L2)により染毛力を評価した。ΔLの値が大きいほど、染毛力が大きいことを踏まえ、下記の基準により染毛力を評価した。
◎:40<ΔL
○:35<ΔL≦40
△:30<ΔL≦35
JIS色名帳(第2版)に準拠して、染色毛の色調を評価した。
表4に示すように、第1剤として、前記表1の1−8(ベンジルアルコール(C1)、テトラデセンスルホン酸ナトリウム液(C2)、及び尿素(C3)含有)を用い、第2剤として、前記表2の2−2(ブラウン系)、2−3(ベージュ系)、2−4(レッドブラウン系)を用いて、下記の染色方法で染毛を行った。
第1剤に白髪を浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗し、次いで、第2剤に浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗した。これを3回繰り返し、染毛を行った。
次に、比較例2〜4として、第2剤の2−2(ブラウン系)、2−3(ベージュ系)、2−4(レッドブラウン系)をカラートリートメントとして用い、白髪の染毛を行った。即ち、第2剤の2−2〜2−4に各々白髪を浸漬し、30℃で10分間放置した後、水洗した。これを3回繰り返し、染毛処理を行った。
上記実施例15〜17及び比較例2〜4で得られた染色毛の染色堅牢性(耐シャンプー性)を、下記の方法で評価した。
40℃の5%シャンプー水溶液に、染色した白髪を浸漬し、振とう機にて10分間振とうした。
「評価方法」
上記した色差計を用い、褪色の程度をΔL、ΔEとして示す。
ΔL:シャンプー処理により、染色毛がどの程度色落ちするかを明度変化として評価。ΔL値が大きいほど、色落ちが大きいことを示す。
ΔE:シャンプー処理により、染色毛がどの程度色調変化するかを色差変化として評価。ΔE値が大きいほど、色落ち(色調変化)が大きいことを示す。
実施例15と比較例2、実施例16と比較例3、実施例17と比較例4との間における、上記明度変化及び色差変化から、染色堅牢性(耐シャンプー性)を下記の基準により総合評価した。
○:褪色が小さい。
×:褪色が大きい。
表4の結果から明らかなように、本発明の染毛料で染色された多彩な色調は、直接染料主体からなる比較例2〜4のカラートリートメントにより得られた色調よりも高い染色堅牢性を有することがわかる。
表5に示すように、アルカリ剤としてL−アルギニンを用い、表5に示した配合で、ジェル状の第3剤3−1を調製した。
表6に示すように、第1剤として1−8、第2剤として2−1を調製した後、実施例1〜14と同様の方法で白髪を染色した(実施例7と同一)。
一方、比較例5として、第1剤として1−1、第2剤として2−1を用い、白髪を染色した(比較例1と同一)。
更に、参考例として、特許文献6に記載の3剤式の染毛料に倣って、第1剤として1−1、第2剤として2−5(アルカリ剤を配合せず、第3剤と混合するためグルコン酸第一鉄の量が2倍量)、第3剤として3−1を用い、白髪を染色した。即ち、第1剤に白髪を浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗し、次いで、第2剤と第3剤の1:1(重量比)混合液(混合液pH5.5)に浸漬し、30℃で10分間放置した後水洗した。これを2回繰り返して染色した。
更に、上記した各々の薬剤を40℃で1カ月間保存した後、同様の方法で白髪を染色した。
表6の結果から明らかなように、実施例18、比較例5、参考例(3剤式)の染毛料は、いずれも調製直後は良好な染毛力を示すが、40℃で1カ月間保存した後の染毛力は、参考例の3剤式の染毛料では劣化が全く見られず100%であるのに対し、第2剤が金属塩とともにアルカリを含有し、第1剤が添加剤(C)を含有しない比較例5の染毛料では、染毛力は88%で調製直後の値より12%低下している。このことから、調製直後の染毛力を向上させる目的で、第2剤に金属塩とともにアルカリ剤を単純に配合した場合には、染毛力が経時的に劣化することがわかる。
一方、第1剤が添加剤(C)を含有する実施例18の染毛料では、第2剤が金属塩とともにアルカリを含有しているにも拘らず、40℃で1カ月間保存した後においても染毛力は98%で殆ど劣化が見られず、実質的に調製直後の染毛力を維持していることがわかる。
Claims (6)
- 金属イオンと反応して発色するガルナット、カシュー、アンマロク果実からなる植物抽出物より選択される少なくとも1種の発色剤を含有する第1剤と、鉄塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群より選択される少なくとも1種からなる金属塩とアルカリ剤を含有する第2剤からなる染毛料であって、前記第1剤が更に芳香族アルコール、アニオン性界面活性剤及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする2剤式染毛料。
- 発色剤が、ガルナット、カシューからなる植物抽出物より選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1の染毛料。
- 第2剤中の金属塩が鉄塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の染毛料。
- 第2剤が更に色素及び染料からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の染毛料。
- 色素がタール色素であり、染料がHC染料、塩基性染料及び直接染料であることを特徴とする請求項4記載の染毛料。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の染毛料を用いた染毛方法であって、第1 剤を毛髪に塗布した後、該第1剤を毛髪から除去し、次いで、第2剤を毛髪に塗布することを特徴とする染毛方法。
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