JP6041775B2 - カーボンナノチューブ成長用基板及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ成長用基板及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、例えば、カーボンナノチューブの製造に用いられるカーボンナノチューブ成長用基板及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、複数の芳香族炭素六員環が平面状に結合してなるグラフェンシートを単層又は多層の円筒状に巻いた構造を備える物質であり、巻き方によりアームチェア型、カイラル型、ジグザグ型の3種がある。また、前記3種のカーボンナノチューブは、それぞれ直径及びカイラリティにより電気的特性が変化し、金属的性質又は半導体的性質を示す。金属的性質を有する単層カーボンナノチューブ(以下、金属性CNTと略記することがある)は、導線、キャパシタ等に用いることが期待されている。
単層カーボンナノチューブは、例えば、カーボンナノチューブを成長させる触媒として作用する金属(以下、触媒金属と略記する)を備えるカーボンナノチューブ成長用基板を用いて形成される。前記カーボンナノチューブ成長用基板としては、前記触媒金属として、遷移金属であるFeと貴金属であるPtとの合金(以下、FePt合金と略記する)をSi基板上に配設したものが提案されている。このカーボンナノチューブ成長用基板によれば、細径の単層カーボンナノチューブを得ることができるとされている(非特許文献1参照)。
Xuan Wang, Wendo Yue, Maoshuai He, manhong Liu, Jin Zhang, and Zhongfan Liu, "Bimetallic Catalysts for the Efficient Growth of SWNTs on Surfaces", Chem.Mater, 2004, 16, pp.799-805
しかしながら、前記カーボンナノチューブ成長用基板によれば、単層カーボンナノチューブを得ることができるものの、金属的性質を備えるものは得ることが困難であるという不都合がある。
本発明者は、前記不都合について検討し、前記FePt合金からなる触媒金属が特定の面方位を有する結晶面を含む結晶構造を備えることにより、前記カーボンナノチューブ成長用基板により金属性CNTを成長させることができることを知見した。
本発明は、前記知見に鑑み、基板上に配設された遷移金属と貴金属との合金を含む触媒金属が、特定の面方位を有する結晶面を含む結晶構造を安定して備えることができるカーボンナノチューブ成長用基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、基板と、該基板上に配設されてカーボンナノチューブを成長させる触媒金属とを備えるカーボンナノチューブ成長用基板であって、該基板を構成する基板材料はMgOからなり、該触媒金属は、遷移金属からなる第1の金属としてのFeと、貴金属からなる第2の金属としてのPtとの合金と、該合金の粒界面に固溶するか、或いは該合金中に固溶し、該合金の結晶面を安定化させる第3の金属としてのAuとからなり、Fe:Pt:Auの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40の範囲であることを特徴とする。
本発明のカーボンナノチューブ成長用基板において、前記第3の金属は、前記第1の金属と前記第2の金属との合金の粒界面に固溶するか、或いは該合金中に固溶することにより、前記触媒金属の結晶面を安定化させることができる。したがって、前記触媒金属は、金属性CNTを成長可能な特定の面方位を有する結晶面を含む結晶構造を安定して備えることができる。
また、本発明のカーボンナノチューブ成長用基板において、前記触媒金属は、前記第1の金属がFeからなり、前記第2の金属がPtからなり、前記第3の金属がAuからなり、前記基板を構成する基板材料は、MgOからなる。これらの材料を用いることにより、前記触媒金属は、金属性CNTを成長可能な特定の面方位を有する結晶面として(111)面を有する結晶構造を備えることができる。
また、前記カーボンナノチューブ成長用基板は、Fe:Pt:Auの原子数比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲であることにより、前記触媒金属は、前記(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成することができる。前記Fe:Pt:Auの原子数比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲でない場合には、前記触媒金属は、前記(111)面に加えて他の結晶面も有する結晶構造を備える。このような結晶構造を備えるカーボンナノチューブ成長用基板は、金属性CNTを効率よく成長させることができない。
本発明のカーボンナノチューブ成長用基板において、前記基板は、前記触媒金属を結晶成長可能な結晶面を備える単結晶からなることが好ましい。前記単結晶からなる前記基板を用いることにより、該基板の前記結晶面上に前記触媒金属を確実に結晶成長させることができる。
また、本発明のカーボンナノチューブ成長用基板において、前記基板を構成する基板材料の格子定数をa、前記合金の格子定数をbとするとき、(a−b)/a≦0.1であることが好ましい。前記(a−b)/a≦0.1であることにより、前記基板の結晶構造と前記触媒金属を構成する前記合金の結晶構造との間に生じる格子歪みを小さくすることができる。前記格子歪みが小さいことにより前記基板と前記合金との位置関係が一義的に決まる結果、前記触媒金属は、金属性CNTを成長可能な特定の面方位を有する結晶面を含む結晶構造を確実に備えることができる。この結果、前記カーボンナノチューブ成長用基板によれば、金属性CNTの配向性を向上することができるものと期待される。
前記格子定数a及びbの関係が(a−b)/a>0.1である場合には、前記基板の結晶構造と前記合金の結晶構造との間に生じる格子歪みが大きくなり、前記格子歪みが大きいことにより前記位置関係が一義的には決まらず、前記触媒金属は、前記特定の面方位を有する結晶面を含む結晶構造を備えることができないことがある。
また、本発明のカーボンナノチューブ成長用基板において、前記基板を構成する基板材料の格子定数をa、前記合金の格子定数をb、前記第3の金属の格子定数をcとするとき、a>c>bであることが好ましい。前記格子定数a,b及びcの関係がa>c>bであることにより、前記第3の金属によって、前記基板の結晶構造と前記合金の結晶構造との間に生じる格子歪みを緩和することができ、前記触媒金属の結晶構造における熱的安定性を向上することができる。
また、前記カーボンナノチューブ成長用基板は、例えば、前記触媒金属が3〜15nmの範囲の最大粒子長を備えることが好ましい。
記触媒金属が3〜15nmの範囲の最大粒子長を備える場合には、前記触媒金属は、前記(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成することができる。さらに、前記触媒金属が前記範囲の最大粒子長を備える前記カーボンナノチューブ成長用基板によれば、金属性CNTの直径を制御することができるものと期待される。
記触媒金属の最大粒子長が15nmを超える場合には、前記触媒金属は、前記(111)面に加えて他の結晶面も有する結晶構造を備えることがある。このような結晶構造を備えるカーボンナノチューブ成長用基板は、金属性CNTを効率よく成長させることができないことがある。一方、前記触媒金属の最大粒子長が3nm未満の場合には、該触媒金属の粒子を形成することが困難なことがある。
また、本発明のカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法は、基板と、該基板上に配設されてカーボンナノチューブを成長させる触媒金属とを備えるカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法であって、スパッタリングにより、MgOからなる基板材料により構成される該基板上に、遷移金属からなる第1の金属としてのFeと、貴金属からなる第2の金属としてのPtとの合金からなる第1の被膜を形成する工程と、スパッタリングにより、第1の被膜上に、該合金の結晶面を安定化させる第3の金属としてのAuからなる第2の被膜を形成する工程とにより、該第3の金属が該合金の粒界面に固溶するか或いは該合金中に固溶しており、Fe:Pt:Auの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40の範囲である触媒金属を、該基板上に形成することを特徴とする。
本発明の製造方法では、スパッタリングにより前記基板上に前記合金からなる前記第1の被膜を形成した後に、スパッタリングにより該第1の被膜上に前記第3の金属からなる前記第2の被膜を形成する。このとき、前記第1の被膜上に前記第2の被膜として前記第3の金属をスパッタリングすることにより、該第3の金属を、該合金の粒界面に固溶させるか、或いは該合金中に固溶させることができる。この結果、前記第3の金属が、該合金の粒界面に固溶するか、或いは該合金中に固溶している触媒金属を、前記基板上に備えるカーボンナノチューブ成長用基板を得ることができる。
また、本発明の製造方法では、前記第1の被膜を形成する工程と、前記第2の被膜を形成する工程とを順に2回以上繰り返して行うことが好ましく、繰り返し回数を調整することにより、前記基板上に形成される前記触媒金属の最大粒子長を制御することができる。このようにして得られる前記触媒金属が前記範囲の最大粒子長を備える前記カーボンナノチューブ成長用基板によれば、金属的性質を有する単層カーボンナノチューブの直径を制御することができるものと期待される。
本発明に係るカーボンナノチューブ成長用基板の構成を示す説明図で、図1(A)は平面図、図1(B)は正面図である。 実施例1で得られたカーボンナノチューブ成長用基板の断面構造を示す透過型電子顕微鏡写真。 実施例2で得られたカーボンナノチューブ成長用基板の断面構造を示す透過型電子顕微鏡写真。 実施例2で得られたカーボンナノチューブ成長用基板により成長したカーボンナノチューブのラマンスペクトル。 比較例1で得られたカーボンナノチューブ成長用基板の断面構造を示す透過型電子顕微鏡写真。 比較例1で得られたカーボンナノチューブ成長用基板により成長したカーボンナノチューブのラマンスペクトル。 参考例1で得られたカーボンナノチューブ成長用基板の断面構造を示す透過型電子顕微鏡写真。 参考例2で得られたカーボンナノチューブ成長用基板の断面構造を示す透過型電子顕微鏡写真。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態のカーボンナノチューブ成長用基板1は、基板2と、該基板2上に配設されてカーボンナノチューブを成長させる粒子状の触媒金属3とを備える。
触媒金属3は、遷移金属からなる第1の金属と貴金属からなる第2の金属との合金と、該合金の結晶面を安定化させる第3の金属とからなる。前記第3の金属は、前記合金の粒界面に固溶するか、或いは該合金中に固溶することにより、該合金の結晶面を安定化させることができる。したがって、触媒金属3は、金属性CNTを成長可能な特定の面方位を有する結晶面3aとして(111)面を含む結晶構造を安定して備える正四角錐形状の粒子を形成することができる。
カーボンナノチューブ成長用基板1において、基板2を構成する基板材料の格子定数をa、前記合金の格子定数をbとするとき、(a−b)/a≦0.1を満たす材料を用いることにより、基板2の結晶構造と触媒金属3を構成する該合金の結晶構造との間に生じる格子歪みを小さくすることができる。
また、前記第3の金属の格子定数をcとするとき、a>c>bを満たす材料を用いることにより、基板2の結晶構造と前記合金の結晶構造との間に生じる格子歪みを、該第3の金属によって緩和することができ、触媒金属3の結晶構造における熱的安定性を向上することができる。
前記格子定数a,b,及びcの関係が前記(a−b)/a≦0.1及び前記a>c>bの両条件を満たす材料としては、例えば、次のものを組み合わせて用いることができる。前記第1の金属としては、例えば、Fe,Co,Niからなる群から選択される1種の金属を用いることができる。前記第2の金属としては、例えば、Pt又はPdのいずれか1種の金属を用いることができる。前記第3の金属としては、例えば、Au又はAgのいずれか1種の金属を用いることができる。基板2を構成する基板材料としては、例えば、MgO,TiN,VN,CrN,MoN,SrTiO,LaAlOからなる群から選択されるいずれか1種の化合物を用いることができる。
例えば、前記第1の金属としてFe、前記第2の金属としてPt、前記第3の金属としてAuを用い、基板2を構成する基板材料として、MgO,TiN,VN,CrN,MoN,SrTiO,LaAlOを用いるとき、該基板材料の格子定数a及び(a−b)/a≦0.1を表1に示す。尚、触媒金属3を構成するFe、Pt及びAuの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40である。
ここで、FePt合金の格子定数bは3.852Åである。表1に示すとおり、これらの材料の組み合わせは、前記格子定数a及びbの関係が前記(a−b)/a≦0.1の条件を満たしている。
また、前記Auの格子定数cは4.0785Åである。したがって、これらの材料の組み合わせは、前記格子定数a,b及びcの関係が前記a>c>bの条件を満たしている。
触媒金属3は、例えば、前記第1の金属としてFe、前記第2の金属としてPt、前記第3の金属としてAuを用い、Fe:Pt:Auの原子数比40〜58:30〜55:2〜40とし、最大粒子長を3〜15nmとすることができる。前記最大粒子長は、前記正四角錐形状の底面の対角線の長さLに相当する。
次に、本実施形態のカーボンナノチューブ成長用基板1の製造方法について説明する。
まず、高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、例えばMgO単結晶からなる基板2の(100)面上に、700〜740℃の範囲の温度、例えば720℃の温度で、前記第1の金属と前記第2の金属とからなる合金をスパッタリングする。
前記MgOは立方晶であるので、(100)面に代えて、(010)面又は(001)面上にスパッタリングしてもよい。前記合金としては、例えばFeとPtとからなるFePt合金を用い、Fe:Ptの原子数比は、40〜58:30〜55とすることができる。前記スパッタリングにより、基板2上にFePt合金からなる第1の被膜が形成される。
次に、前記高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、室温付近(100℃以下)で、前記第1の被膜上に、前記第3の金属としての例えばAuをスパッタリングする。このとき、Fe:Pt:Auの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40とすることが好ましい。前記スパッタリングにより、前記第1の被膜上に、Auからなる第2の被膜が形成される。
前記合金のスパッタリングと、前記第3の金属のスパッタリングとを順に2回以上行い、さらに、該合金のスパッタリングを行った後、室温付近まで冷却する。前記スパッタリングにより、前記第3の金属は、前記合金の粒界面に固溶するか、或いは、該合金中に固溶し、該合金の結晶面を安定化する。
以上により、MgO単結晶からなる基板2上に、FePt合金とAuとからなり、(111)面を安定して備える結晶構造からなる触媒金属3を形成することができる。
前記合金のスパッタリングと前記第3の金属のスパッタリングとの回数を調整することにより、最大粒子長が3〜15nmの範囲に制御された触媒金属3を得ることができる。触媒金属3が前記範囲の最大粒子長を備えるカーボンナノチューブ成長用基板1によれば、金属性CNTの直径を制御することができる。
また、本実施形態の製造方法では、基板2としてMgO単結晶を用いるので、該MgO単結晶の結晶面上に触媒金属3を確実に結晶成長させることができる。
基板2は、単結晶からなることが好ましいが、例えば、Si基板上に、触媒金属3を結晶成長可能な結晶面を備える単結晶(例えばMgO単結晶)を結晶成長させることにより成膜したものを用いてもよい。
次に、本発明の実施例と比較例とを示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、720℃の温度で、MgO単結晶からなる基板2の(100)面上に、第1の金属としてのFeと第2の金属としてのPtとからなるFePt合金をスパッタリングし、厚さ1nmの第1の被膜を形成した。
次に、前記高真空マグネトロンスパッタ装置を用い、室温付近(100℃以下)で、前記第1の被膜上に第3の金属としてのAuを、スパッタリングし、厚さ0.2nmの第2の被膜を形成した。
FePt合金のスパッタリングとAuのスパッタリングと2回ずつ行い、さらにFePt合金のスパッタリングを行うことにより、基板2上に、FePt合金とAuとからなる触媒金属3が配設されたカーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。図2に透過型電子顕微鏡写真を示す。図2から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記正四角錐形状の底面の対角線長さLを、最大粒子長として測定したところ、10nmであった。
次に、エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)により、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=53:36:11であった。
〔実施例2〕
本実施例では、FePt合金(1nm)のスパッタリングとAu(0.1nm)のスパッタリングと1回ずつ行い、さらにFePt合金のスパッタリングを行うことにより触媒金属3を配設した以外は、実施例1と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図3に透過型電子顕微鏡写真を示す。図3から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を安定して備える結晶構造からなる正四角錐形状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の最大粒子長を測定したところ、8nmであった。
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=45:53:2であった。
次に、本実施例で得られたカーボンナノチューブ成長用基板1をプラズマCVD装置に配設して、基板温度を730℃、プラズマCVDの出力を100Wとし、メタン10体積%、水素90体積%からなるガスを供給して、30分間カーボンナノチューブの合成を行った。
次に、得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、基板2に対して垂直方向に配向し、長さ約10μmの単層カーボンナノチューブであることが確認された。
次に、得られたカーボンナノチューブについて、波長633nmにおいてラマンスペクトルを測定した。結果を図4に示す。図4において、得られたスペクトルが190〜200cm−1でのラジアルブリージングモード(RBM)のピークを有することから、得られたカーボンナノチューブは金属的性質を備えることが明らかである。
〔比較例1〕
本比較例では、FePt合金のみをスパッタリングすることにより触媒金属3を配設した以外は、実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図5に透過型電子顕微鏡写真を示す。図5から、基板2上に配設された触媒金属3は、(111)面を備えていない結晶構造からなる半球状の粒子を形成していることが確認された。
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt=35:65であった。
次に、本比較例で得られたカーボンナノチューブ成長用基板1を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブの合成を行った。
次に、得られたカーボンナノチューブをSEMで観察したところ、多層カーボンナノチューブであることが確認された。
次に、得られたカーボンナノチューブについて、波長633nmにおいてラマンスペクトルを測定した。結果を図6に示す。図6において、得られたスペクトルは、前記RBMのピークを備えておらず、多層カーボンナノチューブの特徴を示すことが判明した。
〔参考例1〕
本参考例では、第2の被膜の膜厚を1nmとした以外は実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図7に透過型電子顕微鏡写真を示す。図7から、基板2上に配設された触媒金属3は、半球状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記半球状の底面の直径を最大粒子長として測定したところ20〜30nmであり、実施例1及び実施例2で得られた触媒金属3の粒子と比較して、大きいことが明らかである。
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=31:20:49であった。
以上から、前記最大粒子長が3〜15nmの範囲外であり、原子比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲外である触媒金属3は、(111)面に加えて(111)面以外の面を備える結晶構造を備えることが明らかである。
〔参考例2〕
本参考例では、第2の被膜の膜厚を0.5nmとした以外は実施例2と全く同一にして、カーボンナノチューブ成長用基板1を形成した。
次に、得られたカーボンナノチューブ成長用基板1の断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図8に透過型電子顕微鏡写真を示す。図8から、基板2上に配設された触媒金属3は、半球状の粒子を形成していることが確認された。また、触媒金属3の前記半球状の底面の直径を最大粒子長として測定したところ7〜10nmであった。
次に、TEM−EDXにより、触媒金属3の原子比を測定したところ、Fe:Pt:Au=37:18:45であった。
以上から、前記最大粒子長が3〜15nmの範囲内であるものの、触媒金属3の原子比が40〜58:30〜55:2〜40の範囲外である触媒金属3は、(111)面に加えて(111)面以外の面を備える結晶構造を備えることが明らかである。
1…カーボンナノチューブ成長用基板、 2…基板、 3…触媒金属。

Claims (5)

  1. 基板と、該基板上に配設されてカーボンナノチューブを成長させる触媒金属とを備えるカーボンナノチューブ成長用基板であって、
    該基板を構成する基板材料はMgOからなり、該触媒金属は、遷移金属からなる第1の金属としてのFeと、貴金属からなる第2の金属としてのPtとの合金と、該合金の粒界面に固溶するか、或いは該合金中に固溶し、該合金の結晶面を安定化させる第3の金属としてのAuとからなり、
    Fe:Pt:Auの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブ成長用基板。
  2. 請求項1記載のカーボンナノチューブ成長用基板において、
    前記基板は、前記触媒金属を結晶成長可能な結晶面を備える単結晶からなることを特徴とするカーボンナノチューブ成長用基板。
  3. 請求項1又は請求項2記載のカーボンナノチューブ成長用基板において、
    前記触媒金属は、3〜15nmの範囲の最大粒子長を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ成長用基板。
  4. 基板と、該基板上に配設されてカーボンナノチューブを成長させる触媒金属とを備えるカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法であって、
    スパッタリングにより、MgOからなる基板材料により構成される該基板上に、遷移金属からなる第1の金属としてのFeと、貴金属からなる第2の金属としてのPtとの合金からなる第1の被膜を形成する工程と、
    スパッタリングにより、第1の被膜上に、該合金の結晶面を安定化させる第3の金属としてのAuからなる第2の被膜を形成する工程とにより、
    該第3の金属が該合金の粒界面に固溶するか或いは該合金中に固溶しており、Fe:Pt:Auの原子数比は、40〜58:30〜55:2〜40の範囲である触媒金属を、該基板上に形成することを特徴とするカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法。
  5. 請求項4記載のカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法において、
    前記第1の被膜を形成する工程と、前記第2の被膜を形成する工程とを順に2回以上繰り返して行うことを特徴とするカーボンナノチューブ成長用基板の製造方法。
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