JP6038919B2 - 保護膜形成層、保護膜形成用シート及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

保護膜形成層、保護膜形成用シート及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウエハや半導体チップに保護膜を形成でき、かつ、半導体チップの製造効率の向上が可能な保護膜形成層、該保護膜形成層を有する保護膜形成用シートに関する。特にいわゆるフェースダウン(face down)方式で実装される半導体チップの製造に用いられる保護膜形成用シートに関する。また、本発明は該保護膜形成層や該保護膜形成用シートを用いた半導体装置の製造方法に関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップ裏面は、有機膜により保護されることがある。従来、この有機膜からなる保護膜を有するチップは、液状の樹脂をスピンコート法によりウエハ裏面に塗布し、乾燥し、硬化してウエハとともに保護膜を切断して得られる。しかしながら、このようにして形成される保護膜の厚み精度は充分でないため、製品の歩留まりが低下することがあった。
上記問題を解決するため、支持シートと、該支持シート上に形成された、熱またはエネルギー線硬化性成分とバインダーポリマー成分とからなる保護膜形成層を有するチップ用保護膜形成用シートが開示されている(特許文献1)。
ところで、近年の半導体装置に対する要求物性は非常に厳しいものとなっている。例えば、半導体装置には厳しい熱湿環境下における高い信頼性が求められている。また電子部品の接続においては、半導体装置全体が半田融点以上の高温下にさらされる表面実装法(リフロー)が行われている。近年では鉛を含まない半田への移行により、実装温度は260℃程度まで上昇している。このため、半導体装置内部で発生する応力が従来よりも大きくなり、保護膜とチップとの界面における剥離等の不具合を生じる可能性が高まっている。
そのため、通常、シランカップリング剤を用いてチップと保護膜との接着性を向上させ、保護膜とチップとの界面における剥離を抑制している。
特開2002−280329号公報
しかし、シランカップリング剤を用いた場合であっても、保護膜形成用シートを一定期間保管後に使用した場合、特にチップに保護膜を形成した後に熱湿条件を経ると、保護膜とチップとの間の接着強度が低下したり、保護膜とチップとの間にボイドが発生したりするなどの不具合が発生することがあった。
本発明の課題は、一定期間保管した後において厳しい熱湿条件及びリフロー工程を経た場合でも、チップとの接着強度に優れる保護膜形成層、該保護膜形成層を有する保護膜形成用シート及び該シートを用いた半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、シランカップリング剤として、反応性の低いモノマータイプのシランカップリング剤とともに、反応性の高いオリゴマータイプのシランカップリング剤を併用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕バインダーポリマー成分(A)、熱硬化性成分(B)、無機フィラー(C)、アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmol/gより大きいシランカップリング剤(D)、並びにアルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤(E)を含む保護膜形成層。
〔2〕前記シランカップリング剤(D)および前記シランカップリング剤(E)のいずれか一方または両方におけるアルコキシ基以外の反応性官能基がエポキシ基である〔1〕に記載の保護膜形成層。
〔3〕バインダーポリマー成分(A)がアクリルポリマーであり、アクリルポリマーを構成する単量体にエポキシ基を有する単量体が含まれず、またはアクリルポリマーを構成する単量体の全質量中、エポキシ基を有する単量体の質量割合が0質量%を超え、10質量%以下であり、熱硬化性成分(B)がエポキシ樹脂を含有する〔1〕または〔2〕に記載の保護膜形成層。
〔4〕さらに着色剤(G)を含む〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の保護膜形成層。
〔5〕無機フィラー(C)の含有量が、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、1〜80質量部である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の保護膜形成層。
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成層を、支持シート上に形成してなる保護膜形成用シート。
〔7〕上記〔6〕に記載の保護膜形成用シートの保護膜形成層を半導体ウエハに貼付し、保護膜を有する半導体チップを得る工程を含む半導体装置の製造方法。
〔8〕以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行う半導体装置の製造方法;
工程(1):〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成層または保護膜と、支持シートとを剥離、
工程(2):〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成層を硬化して保護膜を得る、
工程(3):半導体ウエハと、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成層または保護膜とをダイシング。
本発明によれば、一定期間保管した後においても、厳しい熱湿条件およびリフロー工程を経た場合のチップとの接着性に優れた保護膜形成層、該保護膜形成層を有する保護膜形成用シートおよびこれを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。また、該保護膜形成層によれば、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
以下、本発明の保護膜形成層、保護膜形成用シート及び半導体装置の製造方法の詳細を説明する。
[保護膜形成層]
保護膜形成層は、バインダーポリマー成分(A)、熱硬化性成分(B)、無機フィラー(C)、アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmol/gより大きいシランカップリング剤(D)、並びにアルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤(E)を含む。
(A)バインダーポリマー成分
保護膜形成層に十分な接着性および造膜性(シート形成性)を付与するためにバインダーポリマー成分(A)が用いられる。バインダーポリマー成分(A)としては、従来公知のアクリルポリマー、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができる。
バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜120万であることがより好ましい。バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量が低過ぎると保護膜形成層と後述する支持シートとの剥離力が高くなり、保護膜形成層の転写不良が起こることがあり、高過ぎると保護膜形成層の接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から保護膜が剥離することがある。
バインダーポリマー成分(A)として、アクリルポリマーが好ましく用いられる。アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜50℃、さらに好ましくは−50〜40℃、特に好ましくは−40〜30℃の範囲にある。アクリルポリマーのガラス転移温度が低過ぎると保護膜形成層と支持シートとの剥離力が大きくなって保護膜形成層の転写不良が起こることがあり、高過ぎると保護膜形成層の接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から保護膜が剥離したりすることがある。
本発明におけるアクリルポリマーを構成する単量体には、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルあるいはその誘導体が含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルあるいはその誘導体としては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばモノエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート等が挙げられる。
また、アクリルポリマーには、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の(メタ)アクリル酸エステル以外のカルボキシル基を有する単量体、ビニルアルコール、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸エステル以外の水酸基を有する単量体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されていてもよい。
水酸基を有する単量体を含有しているアクリルポリマーを用いた場合には、後述する架橋剤(K)として有機多価イソシアネート化合物等を用いることによりアクリルポリマーを容易に架橋することができ、硬化前の保護膜形成層の凝集性を制御することができる。
また、後述する熱硬化性成分(B)における熱硬化樹脂としてエポキシ樹脂を採用した場合には、アクリルポリマーを構成する単量体の全質量中の、エポキシ基を有する単量体の質量割合を低く制限することが好ましい。これにより、保護膜とチップの接着強度が高まる傾向がある。この理由は、以下の通りと推察する。アクリルポリマーを構成する単量体の全質量中の、エポキシ基を有する単量体の質量割合が低い場合には、エポキシ樹脂とアクリルポリマーの相溶性が低下し、保護膜形成層中でそれぞれを主成分とする相分離構造が形成される。その結果、アクリルポリマーを主成分とする構造が保護膜において、歪みを緩衝する役割を果たし、保護膜が熱履歴を経た後であっても保護膜の変形に起因した接着界面の局所的な剥離が生じにくいためと考えられる。アクリルポリマーを構成する単量体の全質量中の、エポキシ基を有する単量体の配合量としては、アクリルポリマーを構成する単量体にエポキシ基を有する単量体が含まれず、またはアクリルポリマーを構成する単量体の全質量中、エポキシ基を有する単量体の質量割合が0質量%を超え、10質量%以下であることが好ましく、アクリルポリマーを構成する単量体にエポキシ基を有する単量体が含まれず、またはアクリルポリマーを構成する単量体の全質量中、エポキシ基を有する単量体の質量割合が0質量%を超え、7質量%以下であることがより好ましい。
エポキシ基を有する単量体としては、たとえば上述したグリシジル(メタ)アクリレート等の他に、エポキシ基を有するノルボルネン単量体等が挙げられる。
さらに、バインダーポリマー成分(A)として、アクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂を配合してもよい。アクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂としては、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜8万のものがさらに好ましい。アクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−30〜120℃、さらに好ましくは−20〜120℃のものが好ましい。アクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂;ウレタン樹脂;アクリルウレタン樹脂;フェノキシ樹脂;シリコーン樹脂;ポリブテン、ポリブタジエン等のゴム系ポリマー;ポリスチレンなどが挙げられる。これらのアクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂は、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。これらのアクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂を使用する場合、アクリルポリマーと併用してもよいし、アクリルポリマーは配合しなくてもよい。アクリルポリマーとアクリルポリマー以外の熱可塑性樹脂を併用した場合、保護膜形成層の転写面に保護膜形成層が追従しボイドなどの発生を抑えることができるという効果が得られることがある。
ポリマーを構成する単量体としてエポキシ基を有する単量体を含むアクリルポリマーや、フェノキシ樹脂は、文言上後述するエポキシ樹脂の概念に含まれることになるが、本発明ではかかるアクリルポリマーやフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂に含まれず、バインダーポリマー成分(A)に含まれるものとする。
(B)熱硬化性成分
熱硬化性成分(B)としては、熱硬化樹脂および熱硬化剤が用いられる。熱硬化樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護膜形成層には、バインダーポリマー成分(A)100質量部に対して、熱硬化樹脂が、好ましくは1〜1000質量部、より好ましくは10〜500質量部、特に好ましくは20〜200質量部含まれる。熱硬化樹脂の含有量が1質量部未満であると十分な接着性が得られないことがあり、1000質量部を超えると保護膜形成層と支持シートとの剥離力が高くなり、保護膜形成層の転写不良が起こることがある。
熱硬化剤は、熱硬化樹脂、特にエポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。エポキシ樹脂からなる熱硬化樹脂に好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する熱硬化剤(フェノール系硬化剤)の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。
アミノ基を有する熱硬化剤(アミン系硬化剤)の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。
これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱硬化剤の含有量は、熱硬化樹脂100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと硬化不足で接着性が得られないことがあり、過剰であると保護膜形成層の吸湿率が高まり半導体装置の信頼性を低下させることがある。
(C)無機フィラー
無機フィラー(C)を保護膜形成層に配合することにより、硬化後の保護膜における熱膨張係数を調整することが可能となり、半導体チップに対して硬化後の保護膜の熱膨張係数を最適化することで半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の保護膜の吸湿率を低減させることも可能となる。さらに、保護膜にレーザーマーキングを施すことにより、レーザー光により削り取られた部分に無機フィラー(C)が露出して、反射光が拡散するために白色に近い色を呈する。これにより、保護膜形成層が後述する着色剤(G)を含有する場合、レーザーマーキング部分と他の部分にコントラスト差が得られ、印字が明瞭となるという効果がある。
好ましい無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機フィラー(C)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上述の効果をより確実に得るための、無機フィラー(C)の含有量の範囲としては、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは1〜80質量部、より好ましくは20〜75質量部、特に好ましくは40〜70質量部である。
(D)アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmol/gより大きいシランカップリング剤
本発明の保護膜形成層には、アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でかつアルコキシ当量が13mmol/gより大きいシランカップリング剤(D)(以下において、単に「シランカップリング剤(D)」と記載することがある。)が含まれる。
シランカップリング剤(D)におけるアルコキシ基以外の反応性官能基としては、バインダーポリマー成分(A)や熱硬化性成分(B)などが有する官能基と反応するものが好ましい。アルコキシ基以外の反応性官能基は、具体的には、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基中のビニル基を除くビニル基、メルカプト基が挙げられる。これらのうちでも、エポキシ基が好ましい。なお、アルコキシ当量は化合物の単位重量当たりに含まれるアルコキシ基の絶対数を示し、本発明において同様である。
高分子量体であるシランカップリング剤(D)は、加水分解反応を受けやすい。そのため、保護膜形成層の加熱硬化時に、シランカップリング剤(D)は被着体(半導体ウエハやチップ等)の表面と化学的な反応を効率的かつ容易に起こし、被着体表面に結合しやすく、また、被着体表面と双極子的な相互作用を持ちやすい。したがって、保護膜形成層を形成後、保管期間を置かずにすぐに使用に供した場合でも、保護膜形成層と被着体表面との界面の接着を強固なものとすることができる。その結果、保護膜形成層が高温高湿状態でさらされても、保護膜形成層と被着体との接着界面への水分の侵入を防ぎ、のちに熱刺激を受けても接着状態を維持できる効果(以下において、「熱湿後接着状態維持効果」と記載することがある。)が高い。
シランカップリング剤(D)として、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン等のアルコキシ基を2つまたは3つ有する低分子シランカップリング剤;などをアルコキシ基の加水分解および脱水縮合により縮合した生成物であるオリゴマータイプのものが挙げられる。特に、上記の低分子シランカップリング剤のうち、アルコキシ基を2つまたは3つ有する低分子シランカップリング剤と、アルコキシ基を4つ有する低分子シランカップリング剤とが脱水縮合により縮合した生成物であるオリゴマーが、アルコキシ基の反応性に富み、かつ有機官能基の十分な数を有しているので好ましく、例えば、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルメトキシシロキサンとジメトキシシロキサンの共重合体であるオリゴマーが挙げられる。
本発明の保護膜形成層において、シランカップリング剤(D)の含有量は、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、通常は0.01〜7.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部である。また、シランカップリング剤(D)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計100質量部(固形分換算)に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜4質量部である。シランカップリング剤(D)の含有量を前記範囲とすることで、保護膜形成層の加熱硬化時に、シランカップリング剤(D)が被着体表面と化学的な反応を起こすことや、シランカップリング剤(D)が被着体表面と双極子的な相互作用を持つことができる。その結果、保護膜形成層が被着体に対して優れた接着性を発現することができる。シランカップリング剤(D)の含有量が前記範囲を上回ると、保護膜形成層の表面張力の上昇を招き、保護膜形成層をシート状にする際、はじきの原因になり製造が困難になることがある。また、チップ裏面に保護膜形成層を固着残存させたまま支持シートから剥離できず、加工が困難になることがある。つまり、製造上および加工上の不具合が発生することがある。
本発明の保護膜形成層は、分子量が300以上でかつアルコキシ当量が13mmol/gより大きい、アルコキシ基以外の反応性官能基を有しないシラン化合物(D’) (以下において、単に「シラン化合物(D’)」と記載することがある。)を含有していてもよい。シラン化合物(D’)は、反応性官能基を有さないのでバインダーポリマー成分(A)や熱硬化性成分(B)などが有する官能基と反応しないが、アルコキシ基を有するので、他の分子のアルコキシ基や、被着体表面や、無機フィラー(C)の表面と反応して保護膜形成層の硬化に関与する。シラン化合物(D’)としてはポリメトキシシロキサン、ポリエトキシシロキサン、メトキシシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体等が挙げられる。
(E)アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤
本発明の保護膜形成層には、アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤(E)(以下において、単に「シランカップリング剤(E)」と記載することがある。)が含まれる。
シランカップリング剤(E)におけるアルコキシ基以外の反応性官能基としては、バインダーポリマー成分(A)や熱硬化性成分(B)などが有する官能基と反応するものが好ましい。アルコキシ基以外の反応性官能基は、具体的には、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基中のビニル基を除くビニル基、メルカプト基が挙げられる。これらのうちでも、エポキシ基が好ましい。
シランカップリング剤(E)は、分子量が300以下であり、アルコキシ当量が13mmol/g以下であるため、シランカップリング剤(D)と比較して反応性が低く加水分解反応を受けにくい。そのため、一定期間の保管後も保護膜形成層中にシランカップリング剤(E)由来のアルコキシ基が残存しやすい。また、保護膜形成層を形成後、一定の保管期間を置くと、シランカップリング剤(E)由来のアルコキシ基は、反応性が乏しいものの一部は分子間で縮合反応を起こし、多量体化する。そのため、一定期間保管後における保護膜形成層の加熱硬化時に、シランカップリング剤(E)はシランカップリング剤(D)と同様、被着体表面に結合しやすくなり、また、被着体表面と双極子的な相互作用を持ちやすくなる。これにより、保護膜形成層と被着体表面との界面の接着を強固なものとすることができるので、一定期間保管後の熱湿後接着状態維持効果が高い。
シランカップリング剤(E)として、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
本発明の保護膜形成層において、シランカップリング剤(E)の含有量は、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、通常は0.01〜7.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部である。また、シランカップリング剤(E)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計100質量部(固形分換算)に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜4質量部である。シランカップリング剤(E)の含有量を前記範囲とすることで、一定期間室温以上で保管した後に保護膜形成層の加熱硬化時に、被着体に対して優れた接着性を発現することができる。シランカップリング剤(E)の含有量が前記範囲を上回ると、保護膜形成層の表面張力の上昇を招き、保護膜形成層をシート状にする際、はじきの原因になり製造が困難になることがある。また、チップ裏面に保護膜形成層を固着残存させたまま支持シートから剥離できず、加工が困難になることがある。つまり、製造上および加工上の不具合が発生することがある。
本発明の保護膜形成層は、分子量が300以下でかつアルコキシ当量が13mmol/g以下である、アルコキシ基以外の反応性官能基を有しないシラン化合物(E’)(以下において、単に「シラン化合物(E’)」と記載することがある。)を含有していてもよい。シラン化合物(E’)は、反応性官能基を有さないのでバインダーポリマー成分(A)や熱硬化性成分(B)などが有する官能基と反応しないが、アルコキシ基を有するので、他の分子のアルコキシ基や、被着体表面や、無機フィラー(C)の表面と反応して保護膜形成層の硬化に関与する。シラン化合物(E’)としては、例えばフェニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等を用いることができる。
シランカップリング剤(D)とシランカップリング剤(E)の併用により得られる効果
シランカップリング剤(D)は、保護膜形成層の製造直後から、一定の保管期間を置かずに使用した場合に、熱湿後接着状態維持効果が高い一方で、保護膜形成層の製造後、一定の保管期間を置くと、シランカップリング剤(D)のアルコキシ基が他のアルコキシ基や無機フィラー(C)と反応して消失していくため、被着体表面への結合や、被着体表面と双極子的な相互作用を持つことが困難になり、保護膜形成層と被着体表面との界面の接着を強固にできず、熱湿後接着状態維持効果が低くなることがある。
他方、シランカップリング剤(E)は、保護膜形成層の製造後、一定の保管期間を置いて使用した場合に、熱湿後接着状態維持効果が高い一方で、保護膜形成層の製造後、保管期間を置かずにすぐに使用した場合、元来反応性に劣り、加水分解反応を受けにくいので、被着体表面に結合しにくく、また、被着体表面と双極子的な相互作用を持ちにくい。その結果、接着剤層と被着体表面との界面の接着を強固にできず、熱湿後接着状態維持効果が低くなることがある。
本発明の保護膜形成層は、シランカップリング剤(D)とシランカップリング剤(E)のいずれも含有するので、これらが保管期間前後の熱湿後接着状態維持効果の互いの欠点を補い合い、保管期間前後のいずれでも高い熱湿後接着状態維持効果が得られる。その結果、本発明の保護膜形成層は、保存安定性に優れる。
シランカップリング剤(D)の含有量(d)とシランカップリング剤(E)の含有量(e)との比(d)/(e)は、(d)と(e)がそれぞれ上記含有量の範囲であればよく、すなわち通常は0.0014〜700、好ましくは0.05〜20である。
その他の成分
保護膜形成層は、上記成分(A)〜(E)を必須成分として含み、上記成分(D’)や(E’)の他に下記成分を含んでもよい。
(F)その他のシランカップリング剤
本発明において、保護膜形成層の被着体に対する接着力をより向上させるため、シランカップリング剤(D)およびシランカップリング剤(E)以外にその他のシランカップリング剤(F)を用いてもよい。
シランカップリング剤(F)としては、バインダーポリマー成分(A)や熱硬化性成分(B)などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。
具体的にはγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これら、その他のシラン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(G)着色剤
保護膜形成層は、着色剤(G)を含有することが好ましい。保護膜形成層に着色剤を配合することで、半導体装置を機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等を遮蔽し、それらによる半導体装置の誤作動を防止することができ、また保護膜形成層を硬化して得た保護膜に、製品番号等を印字した際の文字の視認性が向上する。すなわち、保護膜を形成された半導体装置や半導体チップでは、保護膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、保護膜が着色剤(G)を含有することで、保護膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。着色剤(G)としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。
染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの染料であっても用いることが可能である。また、顔料も、特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。
着色剤(G)の配合量は、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜35質量部、さらに好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部である。
(H)硬化促進剤
硬化促進剤(H)は、保護膜形成層の硬化速度を調整するために用いられる。硬化促進剤(H)は、特に、熱硬化性成分(B)において、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを併用する場合に好ましく用いられる。
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(H)は、熱硬化性成分(B)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部の量で含まれる。硬化促進剤(H)を上記範囲の量で含有することにより、保護膜形成層は高温度高湿度下に曝されても優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。また、硬化促進剤(H)の含有量が過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤は高温度高湿度下で保護膜形成層中を接着界面側に移動し、偏析することにより半導体装置の信頼性を低下させることがある。
(I)エネルギー線重合性化合物
保護膜形成層には、エネルギー線重合性化合物が配合されていてもよい。エネルギー線重合性化合物(I)は、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。このようなエネルギー線重合性化合物(I)として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。エネルギー線重合性化合物(I)の配合量は、特に限定はされないが、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、1〜50質量部程度の割合で用いることが好ましい。
(J)光重合開始剤
保護膜形成層が、前述したエネルギー線重合性化合物(I)を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線重合性化合物を硬化させる。この際、該組成物中に光重合開始剤(J)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(J)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(J)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(J)の配合割合は、エネルギー線重合性化合物(I)100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜5質量部含まれることがより好ましい。0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な転写性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、保護膜形成層の硬化性が不十分となることがある。
(K)架橋剤
保護膜形成層の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤(K)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
上記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
上記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤(K)はバインダーポリマー成分(A)100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の比率で用いられる。
(L)汎用添加剤
保護膜形成層には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
上記のような各成分からなる保護膜形成層は、保存安定性に優れ、接着性(例えば感圧接着性や熱接着性)と加熱硬化性とを有する。保護膜形成層が感圧接着性を有する場合には、未硬化状態の保護膜形成層を被着体に押圧して貼付することができる。また、保護膜形成層が熱接着性を有する場合には、被着体に押圧する際に、保護膜形成層を加熱して貼付することができる。本発明における熱接着性とは、常温では感圧接着性がないが、熱により軟化して被着体に接着可能となることをいう。また、保護膜形成層は未硬化状態では各種被着体(半導体ウエハやチップ等)を一時的に保持する機能を有する。そして、本発明の保護膜形成層は、特に一定期間保管後においても、熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い保護膜を与えることができ、しかもせん断強度と剥離強度とのバランスにも優れ、厳しい熱湿条件下においても十分な接着性を保持しうる。
なお、保護膜形成層は単層構造であってもよく、また上記成分を含む層をチップと接する最外層に配置されて1層以上含む限りにおいて多層構造であってもよい。
本発明の保護膜形成層は、上記各成分を適宜の割合で混合して得られる保護膜形成用組成物を用いて得られる。上記各成分の混合に際して、各成分を予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒を加えてもよい。また、保護膜形成用組成物の使用時に、溶媒で希釈してもよい。
かかる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ヘプタンなどが挙げられる。
保護膜形成層の厚さは特に限定されないが、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜250μm、特に好ましくは7〜200μmである。
保護膜形成層における可視光線および/または赤外線と紫外線の透過性を示す尺度である、波長300〜1200nmにおける最大透過率は20%以下であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0%を超え10%以下であることがさらに好ましく、0.001〜8%であることが特に好ましい。波長300〜1200nmにおける保護膜形成層の最大透過率を上記範囲とすることで、可視光波長領域および/または赤外波長領域の透過性の低下が生じ、半導体装置の赤外線起因の誤作動の防止や、印字の視認性向上といった効果が得られる。波長300〜1200nmにおける保護膜形成層の最大透過率は、上記着色剤(G)により調整できる。なお、保護膜形成層の最大透過率は、UV−visスペクトル検査装置((株)島津製作所製)を用いて、硬化後の保護膜形成層(厚み25μm)の300〜1200nmでの全光線透過率を測定し、透過率の最も高い値(最大透過率)とした。
本発明の保護膜形成層は、シリコンやガリウム−砒素等を材料とする半導体チップを被着体として使用できる。また、本発明の保護膜形成層は、半導体ウエハや半導体チップが埋包された樹脂封止を含む半導体集合体の保護膜としても使用できる。
[保護膜形成用シート]
本発明に係る保護膜形成用シートは、上記保護膜形成層を支持シート上に剥離可能に形成してなる。本発明に係る保護膜形成用シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
保護膜形成用シートの製造方法は特に限定されず、上記各成分を適宜の割合で、適当な溶媒中で混合してなる保護膜形成用組成物を、支持シート上に塗布乾燥し、支持シート上に保護膜形成層を形成する方法や、支持シートとは別の工程フィルム上に保護膜形成用組成物を塗布、乾燥して成膜して保護膜形成層を得、この保護膜形成層を支持シート上に転写する方法が挙げられる。
支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどのフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルムをも用いることができる。
本発明の保護膜形成用シートは、各種の被着体に貼付され、場合によっては、保護膜形成用シート上で被着体にダイシング等の所要の加工が施される。その後、保護膜形成層を被着体に固着残存させて支持シートを剥離する。すなわち、保護膜形成層を、支持シートから被着体に転写する工程を含むプロセスに使用される。このため、支持シートの保護膜形成層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が比較的低い支持シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また支持シートの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて支持シートの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された支持シートを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成させればよい。
また、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などによりフィルムの積層を行うことにより支持シートの表面張力を調整してもよい。すなわち、少なくとも一方の面の表面張力が、上述した支持シートの保護膜形成層と接する面のものとして好ましい範囲内にあるフィルムを、当該面が保護膜形成層と接する面となるように、他のフィルムと積層した積層体を製造し、支持シートとしてもよい。
また、上記フィルム上に再剥離性粘着剤層を形成した粘着シートを支持シートとして用いてもよい。この場合、保護膜形成層は、支持シートに設けられた再剥離性粘着剤層上に積層される。再剥離性粘着剤層は、保護膜形成層を剥離できる程度の粘着力を有する弱粘着性のものを使用してもよいし、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化性のものを使用してもよい。また、エネルギー線硬化性の再剥離性粘着剤層を用いる場合、保護膜形成層が積層される領域に予めエネルギー線照射を行い、粘着性を低減させておく一方、他の領域はエネルギー線照射を行わず、たとえば治具への接着を目的として、粘着力を高いまま維持しておいてもよい。他の領域のみにエネルギー線照射を行わないようにするには、たとえば支持シートの他の領域に対応する領域に印刷等によりエネルギー線遮蔽層を設け、支持シート側からエネルギー線照射を行えばよい。再剥離性粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系などの汎用粘着剤、表面凹凸のある粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤、熱膨張成分含有粘着剤等)により形成できる。保護膜形成用シートの構成がかかる構成であると、後述するように保護膜形成用シートが、ダイシング工程において被加工物およびチップを支持するためのダイシングシートとして機能する場合に支持シートと保護膜形成層の間の密着性が保たれ、ダイシング工程において保護膜形成層付チップが支持シートから剥がれることを抑制するという効果が得られる。
支持シートの厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μmである。再剥離粘着剤層を設ける場合には、支持シート中3〜50μmが再剥離粘着剤層の厚さである。
なお、保護膜形成用シートの使用前に、保護膜形成層を保護するために、保護膜形成層の上面に、前記支持シートとは別に、軽剥離性の剥離フィルムを積層しておいてもよい。
また、保護膜形成層の表面(被着体と接する面)の外周部には、リングフレーム等の他の治具を固定するために、別途接着剤層や粘着テープが設けられていてもよい。
このような保護膜形成用シートの保護膜形成層は、被着体の保護膜とすることができる。保護膜形成層はフェースダウン方式のチップ用半導体ウエハまたは半導体チップの裏面に貼付され、適当な手段により硬化されて封止樹脂の代替として半導体チップを保護する機能を有する。半導体ウエハに貼付した場合には、保護膜がウエハを補強する機能を有するためにウエハの破損等を防止しうる。また、本発明の保護膜形成層を用いることで、保護膜形成層の製造から一定時間経過後においても被着体との接着性に優れるため、半導体装置の信頼性に優れる。
[半導体装置の製造方法]
次に本発明に係る保護膜形成用シートの利用方法について、該シートを半導体装置の製造に適用した場合を例にとって説明する。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記保護膜形成用シートの保護膜形成層を半導体ウエハに貼付し、保護膜を有する半導体チップを得る工程を含むことが好ましい。具体的には、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、保護膜形成用シートの保護膜形成層を貼付し、その後、裏面に保護膜を有する半導体チップを得る。該保護膜は、半導体ウエハまたは半導体チップの保護膜であることが好ましい。また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、好ましくは、以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行うことを特徴としている。
工程(1):保護膜形成層または保護膜と、支持シートとを剥離、
工程(2):保護膜形成層を硬化して保護膜を得る、
工程(3):半導体ウエハと、保護膜形成層または保護膜とをダイシング。
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は50〜500μm程度である。
その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
次いで、半導体ウエハの裏面に、上記保護膜形成用シートの保護膜形成層を貼付する。その後、工程(1)〜(3)を任意の順で行う。一例として、工程(1)、(2)、(3)の順で行う場合について説明する。
まず、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記保護膜形成用シートの保護膜形成層を貼付する。次いで保護膜形成層から支持シートを剥離し、半導体ウエハと保護膜形成層との積層体を得る。次いで保護膜形成層を熱硬化し、ウエハの全面に保護膜を形成する。保護膜形成層にエネルギー線重合性化合物(I)が配合されている場合には、保護膜形成層の硬化をエネルギー線照射により行うこともできるため、加熱およびエネルギー線照射による硬化を同時に行ってもよく、逐次的に行ってもよい。照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が挙げられ、好ましくは紫外線が用いられる。この結果、ウエハ裏面に硬化樹脂からなる保護膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、薄くなったウエハの取扱い時の破損を低減できる。また、ウエハやチップの裏面に直接樹脂膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、保護膜の厚さの均一性に優れる。
次いで、半導体ウエハと保護膜との積層体を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする。ダイシングは、ウエハと保護膜をともに切断するように行われる。ウエハのダイシングは、ダイシングシートを用いた常法により行われる。この結果、裏面に保護膜を有する半導体チップが得られる。
その後、ダイシングされたチップをコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、裏面に保護膜を有する半導体チップが得られる。このような本発明によれば、厚みの均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、ダイシング工程やパッケージングの後のクラックが発生しにくくなる。
最後に、半導体チップをフェースダウン方式で所定の基台上に実装することで半導体装置を製造することができる。また、裏面に保護膜を有する半導体チップを、ダイパッド部または別の半導体チップなどの他の部材上(チップ搭載部上)に接着することで、半導体装置を製造することもできる。
半導体ウエハの裏面に、上記保護膜形成用シートの保護膜形成層を貼付した後、工程(3)を工程(1)の前に行う場合、保護膜形成用シートがダイシングシートとしての役割を果たすことができる。つまり、ダイシング工程の最中に被加工物およびチップを支持するためのシートとして用いることができる。この場合、保護膜形成用シートの内周部に保護膜形成層を介して被加工物が貼着され、保護膜形成用シートの外周部がリングフレーム等の他の治具と接合することで、被加工物に貼付された保護膜形成用シートが装置に固定され、ダイシングが行われる。
本発明の保護膜形成層や保護膜形成用シートは、上記のような使用方法の他、半導体化合物、ガラス、セラミックス、金属などの保護に使用することもできる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例または比較例で得られた保護膜形成用シートについては、促進処理(40℃、7日間静置)を行った保護膜形成用シートと、促進処理を行わず、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間保管した保護膜形成用シートを用いて、以下の各評価を行った。また、各評価に用いる保護膜付半導体チップは次のようにして製造した。
保護膜付半導体チップの製造
#2000研磨したシリコンウエハ(200mm径、厚さ350μm)の研磨面に剥離フィルムを除去した実施例または比較例の保護膜形成用シートをテープマウンター(リンテック社製 Adwill RAD−3600 F/12)を用いて70℃に加熱しながら貼付し、次いで支持シートを剥離した。その後、130℃、2時間加熱して保護膜形成層を硬化し、シリコンウエハと保護膜の積層体を得た。
上記で得られた積層体の保護膜側をダイシングテープ(リンテック社製 Adwill D−686H)に貼付し、ダイシング装置(ディスコ社製 DFD651)を使用して3mm×3mmのサイズにダイシングして評価用の保護膜付半導体チップを得た。
<せん断強度の測定>
ボンドテスター(Dage社製 ボンドテスターSeries4000)の測定ステージを25℃に設定し、保護膜付半導体チップのチップ側を測定ステージ上に設置した。保護膜と半導体チップの界面(接着界面)より10μm保護膜側の高さの位置において、速度200μm/秒で界面に対して水平方向(せん断方向)に、保護膜の側面に応力をかけ、保護膜付半導体チップの保護膜が破壊するときの力(せん断強度)(N)を測定した。この時、測定装置(ボンドテスター)の誤差により半導体チップにボンドテスターの測定治具が接触した場合には、別の保護膜付半導体チップを用いて測定し直した。
10個の測定値を得、その平均値をせん断強度(N)とした。
<信頼性評価>
得られた保護膜付半導体チップを、85℃、相対湿度85%の条件下に168時間放置して吸湿させた後、最高温度260℃、加熱時間1分間のIRリフロー(リフロー炉:相模理工製 WL−15−20DNX型)を3回行った。さらに、この保護膜付半導体チップを冷熱衝撃装置(ESPEC社製 TSE−11A)内に設置し、−40℃で10分間保持し、その後125℃で10分間保持するサイクルを1000サイクル繰り返した。
その後、冷熱衝撃装置から取り出した保護膜付半導体チップについて、走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック社製 Hye−Focus)および断面観察により、半導体チップと保護膜との接合部における剥離や保護膜におけるクラックを観察した場合を「不良」と判断した。
25個の保護膜付半導体チップについて上記評価を行い、接合部の剥離または保護膜におけるクラックが発生した個数(不良数)を数えた。
[保護膜形成用組成物]
保護膜形成用組成物を構成する各成分を下記に示す。
(A)バインダーポリマー成分:
(A1)アクリル酸ブチル55質量部、メタクリル酸メチル10質量部、メタクリル酸グリシジル20質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部を共重合してなるアクリルポリマー(重量平均分子量:90万、ガラス転移温度:−28℃)
(A2)メタクリル酸メチル85質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部を共重合してなるアクリルポリマー(重量平均分子量:40万、ガラス転移温度:6℃)
(B)熱硬化性成分:
(B1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq)
(B2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 エピクロンHP−7200HH)
(B3)ジシアンジアミド(旭電化製 アデカハ−ドナー3636AS)
(C)無機フィラー:シリカフィラー(溶融石英フィラー(平均粒径3μm))
(D)アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmolより大きいシランカップリング剤:
(D1)3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルメトキシシロキサンとジメトキシシロキサンの共重合体(メトキシ当量13.7〜13.8mmol/g、分子量2000〜3000)(三菱化学(株)製 MKCシリケートMSEP2(D’との混合物、D1:D’(質量比)=82:18))
(D2)オリゴマータイプシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 X−41−1056 メトキシ当量17.1mmol/g、分子量500〜1500)
(D’)分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmol/gより大きい、アルコキシ基以外の反応性官能基を有しないシラン化合物:ポリメトキシシロキサン(メトキシ当量20.8mmol/g、分子量600)(三菱化学(株)製 MKCシリケートMSEP2(D1との混合物、D1:D’(質量比)=82:18))
(E)アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤:
(E1)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−403 メトキシ当量12.7mmol/g、分子量236.3)
(E2)γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBE−403 メトキシ当量8.1mmol/g、分子量278.4)
(E3)γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBE−402 メトキシ当量10.8mmol/g、分子量248.4)
(G)着色剤:黒色顔料(カーボンブラック、三菱化学社製 #MA650、平均粒径28nm)
(H)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製 キュアゾール2PHZ)
(実施例及び比較例)
上記各成分を表1に記載の配合量で配合し、保護膜形成用組成物を得た。表1における各成分の配合量は固形分換算の質量部を示し、本発明において固形分とは溶媒以外の全成分をいう。なお、実施例1および比較例1において、成分D1とD’は、これらの混合物、三菱化学(株)製 MKCシリケートMSEP2を添加することにより保護膜形成用組成物に加えた。表1に記載の組成の保護膜形成用組成物を、メチルエチルケトンにて固形分濃度が50重量%となるように希釈し、支持シートとしての、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製 SP−PET50C)上に乾燥後厚みが約40μmになるように塗布・乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、3分間)して、支持シート上に形成された保護膜形成層を得た。その後、保護膜形成層と剥離フィルムとしての剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製 SP−PET381031)とを貼り合せて、剥離フィルムの貼り合わされた保護膜形成用シートを得た。各評価結果を表2に示す。
Figure 0006038919
Figure 0006038919
表2より、実施例では、促進処理を行った後でも高いせん断強度を維持し、また厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、半導体チップの信頼性に優れる。つまり、半導体チップの保護性能に優れていることを示している。そのため、本発明の保護膜形成層を用いて製造された保護膜付半導体チップによれば、信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
一方、比較例では、シランカップリング剤(D)を含まない保護膜形成層(比較例2〜5)は、実施例と比較して促進処理の前後においてせん断強度や信頼性評価に劣り、特に、促進処理を行う前の各評価に劣る。つまり、比較例2〜5の保護膜形成層では、その製造直後に使用する場合に、優れたチップ保護性能を得ることはできない。
また、シランカップリング剤(E)を含まない保護膜形成層(比較例1)は、実施例と比較して促進処理を行った後のせん断強度に劣り、また信頼性評価も低下している。つまり、比較例1の保護膜形成層では、その製造から一定期間保管後に使用する場合に、優れたチップ保護性能を得ることはできない。

Claims (8)

  1. バインダーポリマー成分(A)、熱硬化性成分(B)、無機フィラー(C)、アルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以上でアルコキシ当量が13mmol/gより大きいシランカップリング剤(D)、並びにアルコキシ基及びアルコキシ基以外の反応性官能基を有し、分子量が300以下でアルコキシ当量が13mmol/g以下であるシランカップリング剤(E)を含む保護膜形成層。
  2. 前記シランカップリング剤(D)および前記シランカップリング剤(E)のいずれか一方または両方におけるアルコキシ基以外の反応性官能基がエポキシ基である請求項1に記載の保護膜形成層。
  3. バインダーポリマー成分(A)がアクリルポリマーであり、アクリルポリマーを構成する単量体にエポキシ基を有する単量体が含まれず、またはアクリルポリマーを構成する単量体の全質量中、エポキシ基を有する単量体の質量割合が0質量%を超え、10質量%以下であり、熱硬化性成分(B)がエポキシ樹脂を含有する請求項1または2に記載の保護膜形成層。
  4. さらに着色剤(G)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の保護膜形成層。
  5. 無機フィラー(C)の含有量が、保護膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、1〜80質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の保護膜形成層。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜形成層を、支持シート上に形成してなる保護膜形成用シート。
  7. 請求項6に記載の保護膜形成用シートの保護膜形成層を半導体ウエハに貼付し、保護膜を有する半導体チップを得る工程を含む半導体装置の製造方法。
  8. 以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行う半導体装置の製造方法;
    工程(1):請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜形成層または保護膜と、支持シートとを剥離、
    工程(2):請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜形成層を硬化して保護膜を得る、
    工程(3):半導体ウエハと、請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜形成層または保護膜とをダイシング。
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