以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明に従った乾燥装置の一例であるドラム式の洗濯乾燥機100を示す。図1に示すように、洗濯乾燥機100は、外箱1を備えている。外箱1は、洗濯乾燥機100の本体の外形を形成している。外箱1には、洗濯の条件と乾燥の条件とを選択するための操作部(図示せず)が設定されている。
また、洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ装置70と、制御部90と、送風機9と、水槽2と、回転ドラム3と、モータ4とを備えている。モータ4の回転によって回転ドラム3が回転する。
回転ドラム3は、筒形状を有している。当該筒において、一端側(図1の左方側)は開口し、他端側(図1の右方側)は底壁を有した底部3bを形成する。回転ドラム3は、水平方向から傾斜した方向または水平方向に延びる回転軸線を中心に回転する。回転ドラム3の材質としては、ステンレス鋼板が一般的に用いられている。回転ドラム3の周壁3aと底部3bには、給水、排水および通気のための複数の小孔(図示せず)が形成されている。周壁3aは、回転ドラム3のうちの筒状の部分である。周壁3aは、略円筒形状を有している。また、周壁3aは、回転軸線が延びる方向と平行な方向に延びている。
周壁3aには、複数のバッフル(図示せず)が配置されている。バッフルは、回転軸線と略平行に延びている。また、バッフルは、回転軸線を中心とする円の半径方向の内方に向かって周壁3aから突出している。
水槽2は、筒形状を有している。当該筒において、一端側は開口し、他端側は底壁を有している。回転ドラム3は、水槽2の内部の空間に収容されている。水槽2の下部には、カウンターウェイト(図示せず)が取り付けられている。なお、水槽2全体のバランスをとるため、複数個のカウンターウェイトが水槽2に取り付けられていてもよい。また、カウンターウェイトは、水槽2の上部に取り付けられていてもよい。回転ドラム3の開口部の縁の外側には、図示しない液体バランサが取り付けられている。
回転ドラム3は、被乾燥対象物としての洗濯物5を収納する。回転ドラム3の底部3bの外側面には、駆動軸41が固定されている。モータ4は、水槽2の底部2bの外側面に取り付けられている。モータ4は、駆動軸41に連結されている。
洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ装置70を熱源として利用する洗濯乾燥機である。図2に示すように、ヒートポンプ装置70は、圧縮機14と凝縮器15と蒸発器17と膨張弁16とを備えている。圧縮機14は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器15は、圧縮機14によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。膨張弁16は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器17は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。また、ヒートポンプ装置70は、冷媒配管18を備えている。冷媒配管18は、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16、蒸発器17、および、圧縮機14の順に冷媒が循環するように、圧縮機14と凝縮器15と膨張弁16と蒸発器17とを連結する。
凝縮器15と蒸発器17とは、それぞれフィンチューブ型の熱交換器である。ヒートポンプ装置70においては、蒸発器17と凝縮器15との順に、蒸発器17と凝縮器15とを乾燥用空気が流れる。
圧縮機14は、圧縮機14を駆動させる駆動部14aを有している。駆動部14aは、圧縮機14の駆動源を構成している。なお、駆動部14aの好ましい例は、誘導モータである。駆動部14aとしてのモータは、他の電動モータであってもよい。
送風機9は、回転部9aを有している。回転部9aは、一般的な電動式のモータを含む構成を有している。圧縮機14の駆動部14aと、送風機9の回転部9aとは、それぞれ、図示しないスイッチを含む回路89に接続されている。制御部90が、回路89に含まれるスイッチのオンとオフとを切り替えるようにスイッチを制御することにより、駆動部14aの回転開始と回転停止、および、回転部9aの回転開始と回転停止とが切り替えられる。
また、図1に示すように、洗濯乾燥機100は、乾燥室32とダクト60とを備えている。回転ドラム3の内部の空間が乾燥室32として機能する。また、乾燥室32には、ヒートポンプ装置70の凝縮器15(図2参照)において加熱された空気が供給される。送風機9は、加熱された空気を乾燥室32に送出する。
ダクト60は、排気ダクト61と接続部62と給気ダクト63とを有している。給気ダクト63は、凝縮器15において加熱された空気が乾燥室32へ供給されるように凝縮器15と乾燥室32との間に配置されている。排気ダクト61は、乾燥室32において洗濯物5の乾燥に利用された空気が蒸発器17に向かって流れるように乾燥室32と蒸発器17との間に配置されている。接続部62は、ダクト60のうち、凝縮器15と送風機9との間を延びる部分である。洗濯物5の乾燥に用いられる空気は、矢印が指す方向に沿ってダクト60を流通することによって、乾燥室32とヒートポンプ装置70との間を循環する。
図3に示すように、制御部90は、検知部91と、演算部92と、加熱制御部97と、送風機制御部96とを含む。検知部91は、温度検知部911を含む。加熱制御部97は、圧縮機制御部971と流量制御部972とを含む。さらに、制御部90は、判定部93と記憶部94とタイマ95とを含む。
洗濯乾燥機100の運転に必要な制御についての演算は、演算部92によって行われている。洗濯乾燥機100の運転に必要な制御についての判定は、判定部93によって判定されている。また、記憶部94には、洗濯乾燥機100の運転に必要なデータ等が格納されている。
記憶部94は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを含む構成を有している。洗濯乾燥機100には、乾燥行程における運転コースとして、複数の運転コースが設定されている。洗濯乾燥機100は、運転コースとして、例えば、標準的な時間を掛けて乾燥行程が実行されるコース(これを標準の乾燥コースという)と、時間を短縮して乾燥行程が実行されるコース(これをスピード乾燥のコースという)と、毛布等の重量物に対して比較的大きな出力によって乾燥行程が実行されるコース(これを毛布の乾燥のコースという)とを有している。
また、洗濯乾燥機100(図1参照)の行程は、乾燥行程よりも前の行程として、順に洗い行程と濯ぎ行程と脱水行程とを含む。各行程における各部材の作動の情報は、例えばプログラムのチャートとして、記憶部94に記録されている。ただし、各行程における各部材の作動の情報は、単にマップ状またはテーブル状に記憶部94に記録されていてもよい。
制御部90は、プログラム等において記録された情報に従って、ヒートポンプ装置70と送風機9の回転部9aとを含む各部材を制御する。送風機制御部96は、送風機9の回転部9aを制御する。圧縮機制御部971は、圧縮機14の駆動部14aを制御する。流量制御部972が膨張弁16を制御することによって、冷媒配管18(図2参照)を流通する冷媒の流量が調整される。膨張弁16は、冷媒の流量を調節するための絞り部の一例である。
膨張弁16の開度を縮小させるように流量制御部972が膨張弁16を制御することにより、冷媒配管18(図2参照)における抵抗が増大し、過熱度が上昇する。膨張弁16の開度を拡大させるように流量制御部972が膨張弁16を制御することにより、冷媒配管18(図2参照)における抵抗が減少し、過熱度が下降する。
また、回転ドラム3のモータ4(いずれも図1参照)の回転と、水槽2(図1参照)に供給される水が通る流路を開閉する給水弁(図示せず)の作動等、洗濯乾燥機100における各部材の作動は、制御部90の制御に基づいている。
図2に示すように、ヒートポンプ装置70において蒸発器17の入口の近傍には、温度センサ81が配置されている。温度センサ81は、蒸発器17の入口近傍の温度を検出する。ヒートポンプ装置70において蒸発器17の出口の近傍には、温度センサ82が配置されている。温度センサ82は、蒸発器17の出口の温度を検出する。
給気ダクト63には、温度センサ85が配置されている。温度センサ85は、ヒートポンプ装置70から乾燥室32に向かって流れる空気の温度として、給気ダクト63を流れる空気の温度を検出する。排気ダクト61には、温度センサ84が配置されている。温度センサ84は、排気ダクト61を流れる空気の温度を検出する。なお、温度センサ85は、給気ダクト63において、送風機9よりも乾燥室32(図1参照)に近い側に配置されていてもよく、送風機9と乾燥室32との中間の位置に配置されていてもよい。温度センサ84は、排気ダクト61において、ヒートポンプ装置70よりも乾燥室32に近い側に配置されていてもよく、ヒートポンプ装置70と乾燥室32との中間の位置に配置されていてもよい。
圧縮機14の吐出部には、温度センサ83が配置されている。温度センサ83は、冷媒の温度を検出する。なお、圧縮機14の吐出部とは、圧縮機14の一部であって、冷媒が圧縮機14に流入する側の部分よりも冷媒が圧縮機14から流出する側に位置する部分のことである。あるいは、圧縮機14の吐出部とは、圧縮機14から流出した冷媒が通る冷媒配管18の一部であって、冷媒配管18と圧縮機14との接続部分であってもよい。
温度センサ86は、洗濯乾燥機100(図1参照)の外部の温度を検出する。温度センサ86が配置される場所は、特に限定されず、外箱1(図1参照)の外表面であってもよく、外箱1に収容されるように外箱1の内側であってもよい。
検知部91の温度検知部911(いずれも図3参照)は、温度センサ81,82,83,84,85,86に電子的または電気的に接続されている。温度検知部911は、温度センサ81が検出する蒸発器17(図2参照)の入口近傍の温度と、温度センサ82が検出する蒸発器17の出口の温度と、温度センサ83が検出する圧縮機14(図2参照)の吐出部の温度と、温度センサ84が検出する排気ダクト61(図2参照)の温度と、温度センサ85が検出する給気ダクト63(図2参照)の温度と、温度センサ86が検出する洗濯乾燥機100(図1参照)の外部の温度(つまり、外気の温度)とを検知する。
なお、温度センサ81と温度検知部911とは、第1の温度検知部の一例であって、温度センサ82と温度検知部911とは、第2の温度検知部の一例である。温度センサ85と温度検知部911とは、第3の温度検知部の一例である。
演算部92は、温度センサ81と温度検知部911とによって検知される蒸発器17(図2参照)の入口近傍の温度と、温度センサ82と温度検知部911とによって検知される蒸発器17(図2参照)の出口の温度との差を算出する。流量制御部972は、演算部によって算出される温度差(つまり、過熱度)の値が、図4に示す目標値SHに近づくように膨張弁16を制御する。
洗濯乾燥機100(図1参照)は、洗い行程または濯ぎ行程における水槽2(図1参照)の水位を検出する水位センサ59(図3参照)を備えている。洗濯物5の布質の違いによって、各洗濯物5が吸収する水量は異なる。一定量の水が水槽2に供給される場合に、回転ドラム3に収容された各洗濯物5の布質に応じて水槽2の水位が異なる。検知部91は、水位センサ59によって検知された水位と、水槽2に供給された一定の水量とに基づいて、洗濯物5の容量を検知する。水位センサ59と検知部91とは、容量検知部の一例である。
以下においては、洗濯乾燥機100の乾燥行程のうち、洗濯物5を乾燥させるために、乾燥室32に供給される空気を加熱する各部材の作動について、図1〜図3を用いて説明する。
乾燥行程のプログラムが立ち上げられる場合に、制御部90は、モータ4を駆動させることによって回転ドラム3を回転させる。乾燥室32に供給される空気を加熱するために、制御部90は、圧縮機14の駆動部14aを駆動させることによって、冷媒を高圧化且つ高温化させる。冷媒と熱交換することによって加熱された空気が乾燥室32に供給されるように、制御部90は、送風機9の回転部9aを回転させる。送風機9が発生させる気流によって、洗濯物5を乾燥させるための空気が、図1において示す二点鎖線の矢印のようにダクト60を流れる。なお、二点鎖線の矢印は、気流が流れる方向を概略的に示すものであり、気流の速度または規模を示すものではない。
送風機9が発生させた気流により、乾燥室32に流入した空気は、乾燥室32において撹拌される洗濯物5から水分を得て、ヒートポンプ装置70へ向かって排気ダクト61を流通する。排気ダクト61の空気には、洗濯物5から蒸発する水分が含まれる。排気ダクト61からヒートポンプ装置70へ流入した空気は、蒸発器17を通過する際に露点以下に除湿される。除湿された後の空気は、凝縮器15において加熱されて高温化且つ低湿度化され、乾燥用空気として再び回転ドラム3に流入する。このような空気の流れが繰り返されることにより、洗濯物5の乾燥が進行する。
図4には、洗濯乾燥機100(図1参照)において洗濯物5(図1参照)を乾燥させる運転が行われるときに設定される過熱度の目標値SHの変化を示す。洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点においては、図4に示すように、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1が用いられる。
なお、乾燥行程の開始の時点、または、乾燥運転の開始の時点とは、乾燥行程のプログラムが立ち上げられた時点であってもよく、圧縮機14が起動された時点のことであってもよく、駆動部14aの回転が開始された時点のことであってもよい。
一方、空気の加熱の停止の時点とは、例えば、圧縮機14が作動を停止するように制御された時点のことであってもよく、駆動部14aの回転が停止した時点のことをいう。
乾燥行程が開始されてから経過する時間と、蒸発器17(図2参照)の入口近傍の温度と、蒸発器17(図2参照)の出口の温度との相関関係を示すデータは、予め記憶部94(図3参照)に格納されている。また、過熱度の目標値SHの情報は、予め記憶部94に格納されている。流量制御部972(図3参照)は、記憶部94に格納された目標値SHの情報に基づいて、膨張弁16(図3参照)を制御する。流量制御部972は、演算部92(図3参照)によって算出される過熱度(言い換えると、蒸発器17(図2参照)の入口近傍の温度と蒸発器17の出口の温度との差)の値が、目標値SHに近づくように膨張弁16を制御する。
目標値SHの近傍に過熱度を収束させるように膨張弁16が制御されることによって、ヒートポンプ装置70の熱交換性能の低下を抑制することができるため、乾燥効率を向上させることができる。
流量制御部972(図3参照)は、乾燥行程が開始された時点から、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に過熱度の値が近づくように膨張弁16(図3参照)を制御する。
図4に示すように、乾燥行程の開始時点から時間Tが経過した場合には、代替値SH1は、目標値SHに一致する値に設定される。流量制御部972(図3参照)は、例えば、時間Tが経過したことが判定される場合に、記憶部94(図3参照)に記憶された目標値SHの情報を代替値SH1から切り替えて読み取り、読み取った目標値SHの情報に基づいて膨張弁16(図3参照)を制御する。
また、図5には、洗濯乾燥機100(図1参照)において洗濯物5(図1参照)を乾燥させる運転が行われるときに回転する送風機9の回転部9aの回転数の変化を示す。洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点においては、図5に示すように、所定の回転数Raよりも小さい回転数Rbで回転部9aが回転するように回転部9aが制御される。なお、回転数Raは、時間Tが経過した後において回転数Rbから変更される送風機9の回転部9aの回転数である。回転数Raの数値の例は、4600rpmである。回転数Rbの数値の例は、1400rpmである。
乾燥行程が開始されてから経過する時間と、目標とする回転部9aの回転数との相関関係を示すデータは、予め記憶部94(図3参照)に格納されている。例えば、回転部9aの回転数のチャートが、プログラムにおいて予め設定されている。送風機制御部96(図3参照)は、記憶部94に格納された回転数と時間との情報に基づいて、回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように回転部9aを制御する。
図5に示すように、乾燥行程の開始時点から時間Tが経過した場合には、送風機制御部96は、回転数Raで回転部9aが回転するように回転部9aを制御する。送風機制御部96(図3参照)は、例えば、時間Tが経過したことが判定される場合に、記憶部94(図3参照)に記憶された送風機9の回転数の情報を回転数Rbから回転数Ra切り替えて読み取り、読み取った回転数Raの情報に基づいて膨張弁16(図3参照)を制御する。
なお、時間Tの長さは、複数の運転コースに応じて異なる。例えば、スピード乾燥のコースで乾燥行程が実行される場合には、時間Tは8分である。標準の乾燥コースで乾燥行程が実行される場合には、時間Tは8分よりも長い。また例えば、毛布の乾燥のコースで乾燥行程が実行される場合には、時間Tは5分である。
図6に示される実線のグラフは、洗濯乾燥機100(図1参照)において第1の制御が実行される場合に温度センサ85(図3参照)と温度検知部911(図3参照)とによって検知される給気ダクト63(図2参照)の温度と、乾燥の時間との関係の一例を示すグラフである。
あるいは、代替値SH1(図4参照)は、乾燥の運転が開始された後において、温度センサ85(図2参照)によって検出される給気ダクト63(図2参照)を流れる空気の温度が、図6に示すように、温度センサ86(図2参照)によって検出される外気の温度Teに対して温度Tp以上であることが判定される場合に、目標値SH(図4参照)に一致する値に設定される。流量制御部972(図3参照)は、例えば、給気ダクト63を流れる空気の温度が外気の温度Teに対して温度Tp以上であることが判定される場合に、記憶部94(図3参照)に記憶された目標値SHの情報を代替値SH1から切り替えて読み取り、読み取った目標値SHの情報に基づいて膨張弁16(図3参照)を制御する。
また、乾燥の運転が開始された後において、給気ダクト63を流れる空気の温度が外気の温度Teに対して温度Tp以上であることが判定される場合には、送風機制御部96は、回転数Raで回転部9aが回転するように回転部9aを制御する。なお、回転数Raは、給気ダクト63を流れる空気の温度が外気の温度Teに対して温度Tp以上であることが判定された後において回転数Rbから変更される送風機9の回転部9aの回転数である。
なお、外気の温度Teに対する所定の温度Tpは、複数の運転コースに応じて異なる。例えば、スピード乾燥のコースで乾燥行程が実行される場合には、外気の温度Teに対する所定の温度Tpは、+30℃である。つまり、スピード乾燥のコースで乾燥行程が開始される場合に、20℃の外気の温度Teが検知されるときには、給気ダクト63を流通する空気の温度が50℃に達することが判定される場合に、代替値SH1が目標値SHに一致する値に設定され、且つ、回転部9aの回転数Rbが回転数Raに変更される。
標準の乾燥コースで乾燥行程が実行される場合には、外気の温度Teに対する所定の温度Tpは、スピード乾燥のコースのものよりも高い。また例えば、毛布の乾燥のコースで乾燥行程が実行される場合には、外気の温度Teに対する所定の温度Tpは、+25℃である。つまり、毛布の乾燥のコースで乾燥行程が開始される場合に、20℃の外気の温度Teが検知されるときには、給気ダクト63を流通する空気の温度が45℃に達することが判定される場合に、代替値SH1が目標値SHに一致する値に設定され、且つ、回転部9aの回転数Rbが回転数Raに変更される。
このように、制御部90は、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に過熱度の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御し、且つ、回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する第1の制御を、洗濯物5(図1参照)を乾燥させるための運転の開始時点から実行する。
制御部90が第1の制御を実行することによって、図6に示される実線のグラフのように、図6に示される破線のグラフに比べて、時間Tを含む乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができるため、乾燥初期において乾燥室32に供給される空気の温度または乾燥初期における乾燥室32の温度を上昇させることができる。
なお、後述するように、洗濯乾燥機100(図1参照)において第2の制御または第3の制御が実行される場合に温度センサ85(図3参照)と温度検知部911(図3参照)とによって検知される給気ダクト63(図2参照)の温度と、乾燥の時間との関係の一例についても、図6に示される実線のグラフのように変化する。
一方、図6に示される破線のグラフは、洗濯乾燥機100(図1参照)において第1の制御と第2の制御と第3の制御とのいずれも実行されない場合に温度センサ85(図3参照)と温度検知部911(図3参照)とによって検知される給気ダクト63(図2参照)の温度と、乾燥の時間との関係の一例を示すグラフである。
以上のように、第1実施形態の洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ装置70と、乾燥室32と、送風機9と、制御部90とを備えている。ヒートポンプ装置70は、圧縮機14と、凝縮器15と、膨張弁16と、蒸発器17とを含む。乾燥室32は、洗濯物5を収納する。乾燥室32には、凝縮器15において加熱された空気が供給される。送風機9は、回転部9aを有している。送風機9は、凝縮器15において加熱された空気を乾燥室32へ送風する。
洗濯乾燥機100は、温度センサ81,82を備えている。制御部90は、温度検知部911を含む検知部91と、演算部92と、流量制御部972と、送風機制御部96とを有する。温度センサ81と温度検知部911とは、蒸発器17の入口近傍の温度を検知する。温度センサ82と温度検知部911とは、蒸発器17の出口の温度を検知する。演算部92は、温度センサ81と温度検知部911とによって検知される温度と、温度センサ82と温度検知部911とによって検知される温度との差を算出する。流量制御部972は、演算部92によって算出される温度差の値が目標値SHに近づくように膨張弁16を制御する。送風機制御部96は、送風機9の回転部9aを制御する。洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、第1の制御を実行する。
第1の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に、検知される蒸発器17の入口近傍の温度と検知される蒸発器17の出口の温度との差(すなわち、過熱度)の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御し、且つ、所定の回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する制御である。
洗濯乾燥機100において、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に過熱度の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御する制御(つまり、過熱度を大きくする制御)と、所定の回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する制御とは、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から開始される。
洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から過熱度を大きくすること、および、送風機9の回転数を低下させることによって、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができる。すなわち、洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、洗濯物5が収納される乾燥室32等の温度を素早く上昇させることができるため、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
また、洗濯乾燥機100においては、乾燥効率を向上させるための装置等がヒートポンプ装置70に連結されておらず、ヒートポンプ装置70の構造、さらに洗濯乾燥機100の構成が簡素である。
このようにすることにより、比較的簡易な構成を用いて、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることが可能な洗濯乾燥機100を提供することができる。
洗濯乾燥機100においては、洗濯物5を乾燥させるための運転が開始されてから時間Tが経過した場合に、代替値SH1は、目標値SHに一致する値に設定される。
この構成によれば、乾燥の開始時点から予め定められた所定の時間Tが経過するまでの間に、過熱度を大きくすることによって乾燥速度を上昇させることができる。また、時間Tが経過した後には、温度が上昇された乾燥室32において、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
洗濯乾燥機100においては、洗濯物5を乾燥させるための運転が開始されてから時間Tが経過した場合に、所定の回転数Raで回転部9aが回転するように送風機制御部96は回転部9aを制御する。
この構成によれば、乾燥の開始時点から予め定められた所定の時間Tが経過するまでの間に、送風機9の回転数を抑制することによって乾燥速度を上昇させることができる。また、時間Tが経過した後には、温度が上昇された乾燥室32において、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
洗濯乾燥機100には、複数の運転コースが設定されている。所定の時間Tの長さは、複数の運転コースに応じて異なる。
この構成によれば、第1の制御を終了させるための条件としての所定の時間が、運転コースごとに異なる。したがって、運転コースに適した乾燥初期の時間内において、乾燥速度を上昇させることができる。つまり、この構成によれば、乾燥初期において、運転コースに適した乾燥速度の上昇率を得ることができる。
洗濯乾燥機100は、排気ダクト61と給気ダクト63とを有するダクト60を備えている。排気ダクト61は、凝縮器15において加熱された空気が乾燥室32へ供給されるように凝縮器15と乾燥室32との間に配置された部分である。給気ダクト63は、乾燥室32において洗濯物5の乾燥に利用された空気が蒸発器17に向かって流れるように乾燥室32と蒸発器17との間に配置された部分である。
洗濯乾燥機100は、温度センサ85,86を備えている。温度センサ85と温度検知部911とは、給気ダクト63を流れる空気の温度を検知する。温度センサ86と温度検知部911とは、洗濯乾燥機100の外部の温度を検知する。洗濯乾燥機100において、代替値SH1は、洗濯物5の乾燥が開始された後において、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、温度センサ85と温度検知部911とによって検知される空気の温度が所定の温度Tp以上である場合に、目標値SHに一致する値に設定される。
この構成によれば、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、給気ダクト63を流れる空気の温度が予め定められた所定の温度Tpに達することが温度センサ85と温度検知部911とに検知されるまでの間に、過熱度を大きくすることによって乾燥速度を上昇させることができる。また、上記の温度が所定の温度以上に達することが検知された後には、温度が上昇された乾燥室32において、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
洗濯乾燥機100において、送風機制御部96は、洗濯物5の乾燥が開始された後において、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、温度センサ85と温度検知部911とによって検知される給気ダクト63を流れる空気の温度が所定の温度Tp以上である場合に、所定の回転数Raで回転部9aが回転するように回転部9aを制御する。
この構成によれば、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、給気ダクト63を流れる空気の温度が予め定められた所定の温度Tpに達することが温度センサ85と温度検知部911とに検知されるまでの間に、送風機9の回転数を抑制することによって乾燥速度を上昇させることができる。また、上記の温度が所定の温度以上に達することが検知された後には、温度が上昇された乾燥室32において、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
洗濯乾燥機100には、複数の運転コースが設定されている。温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対する所定の温度Tpは、複数の運転コースに応じて異なる。
この構成によれば、第1の制御を終了させるための条件としての所定の温度は、運転コースごとに異なる。したがって、乾燥の開始時点から、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、運転コースに適した所定の温度Tpに上記の温度が達することが検知されるまで、乾燥速度を上昇させることができる。つまり、この構成によれば、乾燥初期において、運転コースに適した乾燥速度の上昇率を得ることができる。
なお、制御部90は、図示しない電源回路を介して商用電源に接続されている。また、制御部90と圧縮機14との間、および、制御部90と送風機9との間等、制御部90と電動式の各部材との間には、図示しないインバータ回路が設けられている。制御部90が、回路の電流、電圧、またはそれらいずれかのパルス幅を変調させるように回路の構成を制御することにより、駆動部14aの回転数と、回転部9aの回転数とを調整することができる。
なお、検知部91は、例えば、操作部(図示せず)を介して入力された洗濯物5の容量の情報に基づいて、洗濯物5の容量を検知してもよい。なお、洗濯乾燥機100は、回転ドラム3に収容される洗濯物5の重量を検出または測定する重量センサを備えていてもよい。
なお、洗濯乾燥機100において制御部90が配置される位置は、特に限定されない。図1に示す制御部90の位置は、概略的に示されるものである。また、制御部90は、上述のように所望の機能を奏することができるように構成されていればよい。
なお、温度センサ81は、蒸発器17の入口近傍の冷媒の温度を検出していてもよい。温度センサ82は、蒸発器17の出口近傍の冷媒の温度を検出していてもよい。温度センサ83は、圧縮機14の吐出部における冷媒配管18の温度を検出していてもよい。温度センサ84は、排気ダクト61の温度を検出していてもよい。温度センサ85は、給気ダクト63または接続部62の温度を検出していてもよい。温度センサ85は、ダクト60において接続部62に配置されていてもよい。
なお、第3の温度検知部は、温度センサ83と温度検知部911とによって構成されていてもよく、温度センサ84と温度検知部911とよって構成されていてもよい。
第1の制御は、洗濯物5の乾燥が開始された後において、温度センサ86と温度検知部911とによって検知される外気の温度Teに対して、温度センサ84と温度検知部911とによって検知される空気の温度、または、温度センサ83と温度検知部911とによって検知される冷媒配管18の温度が所定の温度以上である場合に、終了されることであってもよい。
上述した回転部9aの回転数Rb(図5参照)と、乾燥行程の直前または乾燥行程の開始時における回転部9aの回転数Rc(図7参照)とは、異なる回転数であってもよい。例えば、乾燥行程が開始された時点から、回転数Rbが回転数Rcよりも増加していてもよく、回転数Rbが回転数Rcよりも減少していてもよい。
なお、本発明に従った乾燥装置は、洗濯機能を有する乾燥装置に限定されず、洗い行程と濯ぎの行程とを含まない乾燥装置、つまり、洗いと濯ぎと脱水との機能を有していない乾燥装置であってもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の洗濯乾燥機100について、以下に説明する。なお、以下において、第1実施形態の洗濯乾燥機100と同様の構成については、同符号を付し、説明を省略する。また、第1実施形態の洗濯乾燥機100と同様の制御または作動については、説明を省略する。
第2実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から第2の制御を実行する。第2の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、図5に示すように、所定の回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96(図3参照)が回転部9aを制御する制御である。
洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点においては、図5に示すように、所定の回転数Raよりも小さい回転数Rbで回転部9aが回転するように回転部9aが制御される。
第2の制御の終了条件は、第1の制御の終了条件と同様である。
このように、第2実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5(図1参照)を乾燥させるための運転の開始時点から、回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する第2の制御を実行する。
制御部90が第2の制御を実行することによって、図6に示される実線のグラフのように、図6に示される破線のグラフに比べて、時間Tを含む乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができるため、乾燥初期において乾燥室32に供給される空気の温度または乾燥初期における乾燥室32の温度を上昇させることができる。
以上のように、第2実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、第2の制御を実行する。第2の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、所定の回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する制御である。
第2実施形態の洗濯乾燥機100において、所定の回転数Raよりも低い回転数Rbで回転部9aが回転するように送風機制御部96が回転部9aを制御する第2の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から開始される。
第2実施形態の洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から送風機9の回転数を低下させることによって、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができる。すなわち、第2実施形態の洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、洗濯物5が収納される乾燥室32等の温度を素早く上昇させることができるため、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
また、第2実施形態の洗濯乾燥機100においては、乾燥効率を向上させるための装置等がヒートポンプ装置70に連結されておらず、ヒートポンプ装置70の構造、さらに洗濯乾燥機100の構成が簡素である。
このようにすることにより、比較的簡易な構成を用いて、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることが可能な洗濯乾燥機100を提供することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の洗濯乾燥機100について、以下に説明する。なお、以下において、第1実施形態の洗濯乾燥機100と同様の構成については、同符号を付し、説明を省略する。また、第1実施形態の洗濯乾燥機100と同様の制御または作動については、説明を省略する。
第3実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から第3の制御を実行する。第3の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に、演算部によって算出される過熱度の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御する制御である。
洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点においては、図4に示すように、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1が用いられる。第3の制御の終了条件は、第1の制御の終了条件と同様である。
このように、第2実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5(図1参照)を乾燥させるための運転の開始時点から、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に、演算部92によって算出される過熱度の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御する第3の制御を実行する。
制御部90が第3の制御を実行することによって、図6に示される実線のグラフのように、図6に示される破線のグラフに比べて、時間Tを含む乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができるため、乾燥初期において乾燥室32に供給される空気の温度または乾燥初期における乾燥室32の温度を上昇させることができる。
以上のように、第3実施形態の洗濯乾燥機100において、制御部90は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、第3の制御を実行する。第3の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に、演算部92によって算出される温度差の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御する制御である。
第3実施形態の洗濯乾燥機100において、目標値SHよりも大きい値に設定された代替値SH1に、演算部92によって算出される温度差の値が近づくように流量制御部972が膨張弁16を制御する第3の制御は、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から開始される。
第3実施形態の洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から過熱度を大きくすることによって、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることができる。すなわち、第3実施形態の洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5を乾燥させるための運転の開始時点から、洗濯物5が収納される乾燥室32等の温度を素早く上昇させることができるため、洗濯物5を早く乾燥させることができる。
また、第3実施形態の洗濯乾燥機100においては、乾燥効率を向上させるための装置等がヒートポンプ装置70に連結されておらず、ヒートポンプ装置70の構造、さらに洗濯乾燥機100の構成が簡素である。
このようにすることにより、比較的簡易な構成を用いて、乾燥初期において乾燥速度を上昇させることが可能な洗濯乾燥機100を提供することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の洗濯乾燥機100について、以下に説明する。なお、以下において、第1実施形態〜第3実施形態の洗濯乾燥機100と同様の構成については、同符号を付し、説明を省略する。また、第1実施形態〜第3実施形態の洗濯乾燥機100と同様の制御または作動については、説明を省略する。
第4実施形態の洗濯乾燥機100は、乾燥行程よりも前の行程として、洗い行程と濯ぎ行程と脱水行程とを順に行う。第4実施形態の洗濯乾燥機100においては、上述した第1の制御と第2の制御と第3の制御とのうちのいずれか一つの制御が実行される。
続いて、図1と図2とを参照して、洗濯乾燥機100が行う乾燥行程よりも前の行程を含む運転について説明する。
まず、使用者は、図示しない扉を開き、回転ドラム3に洗濯物5を投入した後、扉を閉じる。洗濯に使用される洗剤は、洗剤ケース(図示せず)に入れられる。必要であれば、使用者は、洗剤ケースに仕上剤を入れる。使用者は、洗い行程または濯ぎ行程の途中で仕上剤を入れてもよい。
次に、使用者は、外箱1に設置された操作部(図示せず)を操作して、洗濯の条件と乾燥の条件とを選択する。使用者による操作部の操作に基づき、操作部が制御部90(図2参照)に制御信号を送信し、これにより制御部90が洗濯乾燥機100の各部材を制御する。使用者が選択した洗濯の条件と乾燥の条件とに従って、例えば、洗い行程、濯ぎ行程、脱水行程が順に行われる。洗剤ケースと操作部(いずれも図示せず)とは、外箱1の内側に設置されている。
なお、洗濯乾燥機100には、乾燥行程よりも前の行程における運転コースとして、複数の運転コースが設定されている。洗濯乾燥機100は、運転コースとして、例えば、標準的な時間を掛けて洗い行程および濯ぎ行程が実行されるコースと、時間を短縮して洗い行程および濯ぎ行程が実行されるコース(これをスピードコースという)と、毛布等の重量物に対して比較的大きな出力によって洗い行程および濯ぎ行程が実行されるコース(これを毛布の洗濯のコースという)とを有している。使用者は、操作部(図示せず)を操作することによって、これらの運転コースを選択することができる。
制御部(図3参照)は、乾燥行程よりも前の行程を行なうためのプログラム等において記録された情報に従って、ヒートポンプ装置70と送風機9の回転部9aとを含む各部材を制御する。
まず、洗い行程について説明する。使用者が操作部のスタートボタンを押すことにより、制御部90によって、扉と給水弁(いずれも図示せず)とが制御される。これにより、扉がロックされるとともに、給水弁が開かれることによって水道水が水槽2に供給される。このとき、水槽2には、洗剤ケースに収容されていた洗剤が混じった水が供給される。
水槽2に給水された後には、回転ドラム3がモータ4によって洗い行程用の回転チャートに従って回転する。洗濯乾燥機100においては、回転ドラム3は、例えば50rpm程度で回転する。なお、回転ドラム3の回転チャートについては、洗い行程と濯ぎ行程と脱水行程との行程ごとに、または、洗濯物5の種類もしくは運転コースに応じて、回転速度と回転周期と反転周期等が異なる複数の回転チャートが予め設定されている。回転チャートは、使用者によって選択されるように、または、自動的に選択されるようにプログラムされている。
後述するように、制御部90は、洗い行程において、圧縮機14の作動と送風機9の作動とを開始し、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で送風機9の回転部9aを回転させ、且つ、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で圧縮機14の駆動部14aを回転させる。なお、駆動部14aの回転チャートと回転部9aの回転チャートとについても、プログラムにおいて予め設定されている。
プログラムに従って洗い行程におけるモータ4の回転が終了する場合には、水槽2に残った水が排水部(図示しない)を通って外箱1の外に排出される。排水が終了した後には、中間脱水行程が行なわれる。この行程において、回転ドラム3は、中間脱水行程用の回転チャートに従って高速度で回転する。中間脱水行程においては、回転ドラム3の回転による遠心力によって、洗濯物5に含まれた水が小孔(図示せず)を通じて回転ドラム3から水槽2に吐出される。水槽2に吐出された水は、水槽2の内壁面を伝って下方に流れた後に、排水部を通って外箱1の外に排出される。
中間脱水行程が終了する場合は、プログラムは中間脱水行程から濯ぎ行程に移行する。濯ぎ行程にプログラムが移行した際には、給水弁が開放されることによって、水道水が水槽2に供給される。図示しない水位センサによって、水槽2に所定の水位まで給水されたことが検知される場合に、給水弁が閉じられる。制御部90は、給水弁が閉じられた後に、循環ポンプ(図示せず)が所定の時間駆動するように、循環ポンプを制御する。循環ポンプの作動によって、水槽2と循環ポンプとを連結するダクトを通じて、水槽2とダクトとを水が循環する。所定の時間が経過する場合に、制御部90は循環ポンプの駆動を停止させる。その後、濯ぎ行程用の回転チャートに従って、回転ドラム3が回転する。なお、回転ドラム3が回転するときにも、循環ポンプが駆動していてもよい。
中間脱水行程および濯ぎ行程が複数回繰り返された後には、濯ぎ行程から最終の濯ぎ行程にプログラムが移行する。最終の濯ぎ行程にプログラムが移行した際には、給水弁が開放されることによって、柔軟仕上剤を含んだ水が水槽2に供給される。
所定の回数の濯ぎ行程が行われた後には、脱水行程にプログラムが移行する。最終のすすぎ行程が終了する場合は、濯ぎに用いられた水が水槽2から外箱1の外に排出される。排水が終了した後には、最終脱水行程用の回転チャートに従って、例えば1000rpmの高速度で回転ドラム3が回転するように、最終脱水行程が行なわれる。最終脱水行程においては、中間脱水行程と同様に、洗濯物5に含まれた水分は、回転ドラム3の回転による遠心力によって小孔(図示せず)を通じて水槽2に吐出される。脱水行程を開始してから所定の時間が経過した後に、制御部90は、モータ4への通電を断ち、続いて停止処理を行う。
プログラムは、脱水行程が終了した場合に、脱水行程から乾燥行程に移行する。乾燥行程にプログラムが移行した際にも、制御部90は、モータ4を駆動させることによって回転ドラム3を回転させる。
乾燥室32に供給される空気を加熱するために、制御部90は、圧縮機14の駆動部14aを駆動させることによって、冷媒を高圧化且つ高温化させる。冷媒と熱交換することによって加熱された空気が乾燥室32に供給されるように、制御部90は、送風機9の回転部9aを回転させる。
制御部90は、第4の制御として、洗い行程において、圧縮機14の作動と送風機9の作動とを開始し、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で送風機9の回転部9aを回転させ、且つ、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で圧縮機14の駆動部14aを回転させている。なお、駆動部14aの回転チャートと回転部9aの回転チャートとについても、プログラムにおいて予め設定されている。
図7に示す回転数Rcは、洗い行程から乾燥行程に移行する前における駆動部14aの回転数である。図8に示す回転数Rcは、洗い行程から乾燥行程に移行する前における回転部9aの回転数である。ただし、図8に示す乾燥行程における回転部9aの回転数Raは、図5に示す時間Tが経過した後における送風機9の回転部9aの回転数である。
上述した回転部9aの回転数Rb(図5参照)は、乾燥行程の直前または乾燥行程の開始時点における回転部9aの回転数Rcと同一である。
上述のように、乾燥行程における駆動部14aの回転数Raは、例えば5000rpmである。また、乾燥行程における回転部9aの通常の回転数Raは、例えば4600rpmである。一方、洗い行程から乾燥行程に移行する前における駆動部14aの回転数Rcは、例えば4000rpmである。洗い行程から乾燥行程に移行する前における回転部9aの回転数Rcは、例えば1400rpmである。これらの回転数Ra,Rcは、それぞれ、乾燥行程のプログラムと洗い行程から乾燥行程に移行する前までのプログラムとにおいて、予め設定されている。
乾燥行程においては、駆動部14aが5000rpmで回転し、且つ、回転部9aが4600rpmで回転することによって、ヒートポンプ装置70の内部の凝縮器15を通過する空気が加熱されたうえで、この加熱された空気(乾燥用空気)が乾燥室32に供給される。
なお、乾燥行程に移行する前の行程において水槽2に水が収容されている場合でも、送風機9の回転部9aの回転数が低く抑えられているため、洗濯乾燥機100は、水槽2の内部を流通する空気とともに水槽2の水がダクト60に流入することを防止することができる。
洗濯乾燥機100においては、図8に示すように、乾燥行程よりも前の行程において駆動部14aの回転が停止される場合には、駆動部14aの回転が停止された時点から時間Tsが経過するまで、駆動部14aの回転が停止される。このように、制御部90(図3参照)は、乾燥行程よりも前の行程において圧縮機14(図3参照)の作動を停止する場合には、圧縮機14の作動を停止した時点から時間Tsが経過するときに、圧縮機14の作動を再開する。詳細には、温度検知部911(図3参照)によって検知される圧縮機14の吐出部の温度が所定の温度以上であることが、判定部93(図3参照)によって判定される場合に、圧縮機制御部971(図3参照)は、駆動部14aの回転を一時的に停止させる。
回転再開のための閾値としての時間Tsの情報は、記憶部94(図3参照)に格納されている。また、時間Tsは、タイマ95(図3参照)によって計測される。
また、駆動部14aの回転の停止または再開の閾値として設定された所定の温度の値は、記憶部94に格納されている。なお、駆動部14aの回転の停止または再開のために判定される温度は、温度センサ83によって検出される温度が用いられることに限らず、温度センサ81,82,84,85,86のいずれかによって検出される温度が用いられていてもよい。
なお、制御部90は、上述した第4の制御とは別に、以下の第5の制御と第6の制御とのいずれかの制御を実行することができる。すなわち、上述した第1の制御と第2の制御と第3の制御とのうちのいずれか一つの制御を実行する制御部90は、第4の制御と第5の制御と第6の制御とのうち、いずれか一つの制御をさらに実行する。
第5の制御は、乾燥行程よりも前の行程としての洗い行程において、圧縮機14の作動と送風機9の作動とを制御部90が開始させ、且つ、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で送風機9の回転部9aを制御部90が回転させる制御である。第6の制御は、乾燥行程よりも前の行程としての洗い行程において、少なくとも圧縮機14の作動(すなわち、圧縮機14の作動と送風機9の作動、または、圧縮機14のみの作動)を制御部90が開始させ、且つ、乾燥行程における回転数よりも低い回転数で圧縮機14の駆動部14aを制御部90が回転させる制御である。
第5の制御と第6の制御とにおける駆動部14aまたは回転部9aの回転数Rcの数値例は、第4の制御と同様である。乾燥行程に移行する前における駆動部14aの回転数Rcは、例えば4000rpmである。乾燥行程に移行する前における回転部9aの回転数Rcは、例えば1400rpmである。
なお、上述した第1の制御と第2の制御と第3の制御とのうちのいずれか一つの制御を実行する制御部90は、第4の制御と第5の制御と第6の制御とのうちのいずれか一つの制御を、濯ぎ行程から開始していてもよい。濯ぎ行程から開始される第4の制御と第5の制御と第6の制御とにおける駆動部14aまたは回転部9aの回転数Rcの数値例は、洗い行程から開始される例と同様である。
また、上述した第1の制御と第2の制御と第3の制御とのうちのいずれか一つの制御を実行する制御部90は、検知部91によって検知される洗濯物5の容量に応じて、第4の制御における圧縮機14の駆動部14aの回転数および送風機9の回転部9aの回転数と、第5の制御における送風機9の回転部9aの回転数と、第6の制御における圧縮機14の駆動部14aの回転数とを変化させる。
表1は、洗濯物5(図1参照)の容量によって分類される各行程における圧縮機14の駆動部14aの回転数または送風機9の回転部9a(いずれも図1参照)の回転数の例を示す表である。
表1に示す回転数Rc1,Rc2,Rc3は、それぞれ、洗濯物5の容量に応じて設定された乾燥行程に移行する前の行程における駆動部14aの回転数または回転部9aの回転数である。容量が4kg以上6kg未満である場合に駆動部14aが例えば4000rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc1が設定されている。容量が2kg以上4kg未満である場合に駆動部14aが例えば3500rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc2が設定されている。容量が2kg未満である場合に駆動部14aが例えば3000rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc3が設定されている。
また、容量が4kg以上6kg未満である場合に回転部9aが例えば1400rpmで回転するように、回転部9aの回転数Rc1が設定されている。容量が2kg以上4kg未満である場合に回転部9aが例えば1300rpmで回転するように、回転部9aの回転数Rc2が設定されている。容量が2kg未満である場合に回転部9aが例えば1200rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc3が設定されている。
一方、乾燥行程における駆動部14aの回転数Raと回転部9aの回転数Raとは、それぞれ、容量に応じて変化せずに一律に設定されている。乾燥行程における駆動部14aの回転数Raと回転部9aの回転数Raとは、上述のように、それぞれ、5000rpmと4600rpmとである。
なお、第6の制御が実行される場合には、乾燥行程よりも前の行程において回転部9aは停止していること(すなわち、回転部9aの回転数Rc1,Rc2,Rc3は略零(ゼロ)であること)が好ましい。なお、第6の制御が実行される場合に、乾燥行程よりも前の行程における回転部9aの回転数Rc1,Rc2,Rc3は、乾燥行程の開始時において設定される回転部9aの回転数Rbと略同一であってもよい。一方、第5の制御が実行される場合には、乾燥行程よりも前の行程における駆動部14aの回転数Rc1,Rc2,Rc3は、乾燥行程における駆動部14aの回転数Raと略同一であることが好ましい。
あるいは、制御部90は、運転コースに応じて、第4の制御における圧縮機14の駆動部14aの回転数および送風機9の回転部9aの回転数と、第5の制御における送風機9の回転部9aの回転数と、第6の制御における圧縮機14の駆動部14aの回転数とを変化させる。
表2は、洗濯乾燥機100(図1参照)の運転コースによって分類される各行程における圧縮機14の駆動部14aの回転数または送風機9の回転部9aの回転数の例を示す表である。
表2に示す回転数Rc4,Rc5は、それぞれ、運転コースに応じて設定された乾燥行程に移行する前の行程における駆動部14aの回転数または回転部9aの回転数である。標準コースが選択されている場合に駆動部14aが例えば4000rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc4が設定されている。スピードコース(時間短縮のためのコース)が選択されている場合に駆動部14aが例えば4200rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc5が設定されている。
また、標準コースが選択されている場合に回転部9aが例えば1300rpmで回転するように、駆動部14aの回転数Rc4が設定されている。スピードコース(時間短縮のコース)が選択されている場合に回転部9aが例えば1400rpmで回転するように、回転部9aの回転数Rc5が設定されている。
一方、乾燥行程における駆動部14aの回転数Raと回転部9aの回転数Raとは、それぞれ、運転コースに応じて変化せずに一律に設定されている。
なお、第6の制御が実行される場合には、乾燥行程よりも前の行程において回転部9aは停止していること(すなわち、回転部9aの回転数Rc4,Rc5は略零(ゼロ)であること)が好ましい。なお、第6の制御が実行される場合に、乾燥行程よりも前の行程における回転部9aの回転数Rc4,Rc5は、乾燥行程の開始時において設定される回転部9aの回転数Rbと略同一であってもよい。第5の制御が実行される場合には、乾燥行程よりも前の行程における駆動部14aの回転数Rc4,Rc5は、乾燥行程における駆動部14aの回転数Raと略同一であることが好ましい。
以上のように、第4実施形態の洗濯乾燥機100は、乾燥行程よりも前の行程として、洗い行程と濯ぎ行程と脱水行程とを順に行う洗濯乾燥装置である。圧縮機14は駆動部14aを有する。制御部90は、圧縮機14の駆動部14aを制御する圧縮機制御部971を有する。
洗濯乾燥機100において、第1の制御と第2の制御と第3の制御とのうちのいずれか一つの制御を実行する制御部90は、乾燥行程よりも前の行程において、第4の制御と第5の制御と第6の制御とのうちのいずれか一つの制御を実行する。
第4の制御は、乾燥行程よりも前の行程において、圧縮機制御部971と送風機制御部96とがそれぞれ圧縮機14と送風機9との作動を開始させ、送風機制御部96が乾燥行程における回転数Raよりも低い回転数Rcで送風機9の回転部9aを回転させ、且つ、圧縮機制御部971が乾燥行程における回転数Raよりも低い回転数Rcで圧縮機14の駆動部14aを回転させる制御である。
第5の制御は、乾燥行程よりも前の行程において、圧縮機制御部971と送風機制御部96とがそれぞれ圧縮機14と送風機9との作動を開始させ、且つ、送風機制御部96が乾燥行程における回転数Raよりも低い回転数Rcで送風機9の回転部9aを回転させる制御である。
第6の制御は、乾燥行程よりも前の行程において、圧縮機制御部971が少なくとも圧縮機14の作動を開始させ且つ乾燥行程における回転数Raよりも低い回転数Rcで圧縮機14の駆動部14aを回転させる制御である。
洗濯乾燥機100においては、乾燥行程よりも前の行程において、圧縮機14の作動と送風機9の作動とを、または、少なくとも圧縮機14の作動を開始することによって、冷媒を予め温めることができるため、ヒートポンプ装置70と乾燥室32との間等の空気の流路を乾燥行程よりも前の行程から予め温めることができる。そのため、乾燥行程の開始時点から、乾燥用空気の温度を早く上昇させることができる。また、乾燥行程よりも出力が抑えられた第4の制御と第5の制御と第6の制御とのうちのいずれか一つの制御が、乾燥行程よりも前の行程から実行されることによって、乾燥行程よりも前の行程における消費電力量を抑制することができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。