<第1実施形態>
第1実施形態について、図1から図8を参照して説明する。図1に示す洗濯乾燥機10において、外箱11は略矩形箱状の外郭をなしており、外箱11の前面側には、扉11aにより開閉される、衣類投入口としての円形状の開口11bが形成されている。
外箱11の内部には、円筒状をなす水槽12が前上がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。水槽12内には、衣類(洗濯物)の収容が可能な円筒状の回転槽13が回転可能に支持されている。回転槽13は、外槽たる水槽12と同様に、前上がりに傾斜した内槽(ドラム)として構成されている。こうして、水槽12及び回転槽13は、衣類の収容が可能な乾燥室として機能するとともに洗濯槽を兼用する。即ち、洗濯槽兼乾燥室を構成する水槽12及び回転槽13は、衣類の洗濯等を行う洗濯行程の際には洗濯槽として機能し、乾燥を行う乾燥行程の際には乾燥室として機能する。
水槽12は、円筒状をなす胴部における一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。同様に、回転槽13は、円筒状をなす胴部における一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。
水槽12は、図1に示すように排気口16及び給気口17を有している。排気口16は、水槽12の胴部つまり周壁にあって上部前寄り部分に設けられた開口部である。給気口17は、水槽端板122にあって、当該端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられた開口部である。排気口16及び給気口17は、水槽12の内部と外部とを連通している。また、水槽12は、底部の後端側に排水部18を有している。排水部18は、排気口16及び給気口17よりも下方に位置しており、排水口123、排水弁19、及び排水ホース20から構成されている。排水弁19が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁19及び排水ホース20を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
回転槽13は、複数の孔21及び複数の連通口22を有している。孔21及び連通口22は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔21は、回転槽13の胴部である周壁の全域にわたって形成されており、連通口22は、回転槽端板132の全域にわたって形成されている。孔21及び連通口22は、洗濯行程や脱水行程において主として水が出入りする通水孔として機能し、乾燥行程において空気が出入りする通風孔として機能する。なお、図1では、説明の便宜上、複数の孔21及び連通口22のうち一部のみを示している。また、図示は省略するが、回転槽13における胴部の内側には、当該回転槽13に収容された衣類の撹拌が可能な複数のバッフルが設けられている。
前記水槽端板122の外側には、回転槽モータ14が設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータからなり、その軸部141は、水槽端板122を貫通して水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
前記扉11aは、図示しないヒンジを介して回動することにより、外箱11の前記開口11bを開閉する。この外箱11の開口11bは、ベローズ112によって、水槽12の開口部121に接続されており、衣類は、扉11aを開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13に出し入れされる。
また、外箱11の前面上部には、表示部24a及び操作部24bを有する操作パネル24(図1、図4参照)と洗剤ケース15a(図1の2点鎖線参照)とが左右に並ぶようにして配設されている。操作パネル24における操作部24bは、各種キー或いは各種スイッチ類から構成され、使用者は、これらキー等の操作により、洗濯乾燥コース等の運転コースの選択や、各種設定を行う。表示部24aは、液晶表示パネルなどから構成された表示手段であり、各種設定事項や運転内容等を表示する。また、表示部24aは、操作部24bとともに運転コースの選択を行うためのコース選択手段に相当する。
外箱11上部の左隅には、洗剤ケース収納部15bを有する給水ケース26が設けられており、洗剤ケース15aは、洗剤ケース収納部15bに対し、引出し式にて出し入れ可能に配設されている。洗剤ケース15a内部には、各種の洗濯用剤(洗剤、柔軟剤、漂白剤等)を、その種類毎に収容可能な複数の部屋が形成されており、各部屋に収容された洗濯用剤を運転中に自動的に投入できるようになっている。洗剤ケース収納部15bには、リードスイッチ15c(図4参照)が組込まれ、洗剤ケース15aには、マグネット15d(図1参照)が組込まれている。これにより、洗剤ケース収納部15bに洗剤ケース15aを収納しセットしたとき、リードスイッチ15cにマグネット15dが近接することによって、リードスイッチ15cが作動する(洗剤ケース15aのセットを検知する)ようになっている。
図2に示すように、外箱11の上部には、給水装置25が設けられている。給水装置25は、前記給水ケース26、給水弁27、及び給水ホース28などから構成されている。給水ホース28は、一端が給水弁27に接続され、他端が水道などの外部の水源に接続されている。給水弁27は、後述する制御装置23(図4参照)により開閉駆動されることで、水源からの水を、給水ホース28、給水弁27、及び給水ケース26を介して水槽12内へ供給する。
図3にも示すように、洗濯乾燥機10は、水槽12を経路の一部として環状をなす通風路(循環風路)30を備えている。通風路30は、例えば排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35からなり、これら部材31〜35によって、水槽12の外側で排気口16と給気口17とを繋ぐように構成されている。具体的には、排気ダクト31は、水槽12の排気口16とフィルタ装置32とを接続しており(図1、図3参照)、排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、外箱11の内側上部に設けられており、当該装置32の内部には、フィルタ321が設けられている。排気口16から排気された空気は、フィルタ装置32のフィルタ321を通過する際に、リントなどの異物が取り除かれる。なお、図1〜図3に示す矢印は、乾燥行程の際の通風路30における空気の流れを示している。
フィルタ装置32は、下方に延びる接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、外箱11の内側下部に設けられており、熱交換部34内を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する。熱交換部34内には、蒸発器36が配置されるとともに、その下流側に凝縮器37が配置されている。蒸発器36及び凝縮器37は、熱交換部34の外側に設けられた圧縮機38及び減圧装置(減圧手段)39とともに、乾燥手段としてのヒートポンプ40を構成する。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器36によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器36によって除湿された空気は、その後、凝縮器37によって加熱されて温風になる。
ヒートポンプ40は、冷媒管路40aによって、圧縮機38、凝縮器37、減圧装置39、蒸発器36の順にこれらを閉ループ状に接続しており、圧縮機38が作動することで冷媒を循環させるようになっている。蒸発器36及び凝縮器37は、いずれも詳しくは図示しないが、冷媒流通パイプに伝熱フィンを細かいピッチで多数配設して成るフィン付きチューブ形のもので、熱交換性に優れており、それらの伝熱フィンの各間を、通風路30内の前述の空気の流れ(循環風)が通るようになっている。
前記圧縮機38は、制御装置23による駆動制御(例えばインバータ制御)によって、運転周波数(圧縮機38の駆動回転数)の変更が可能に構成されている。このように、圧縮機38の運転周波数を変更することで、圧縮機38から吐出される冷媒の供給圧力を変化させ、これにより凝縮器37の加熱能力及び蒸発器36の冷却能力が変化する。減圧装置39は、凝縮器37から出た高圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にするものであり、例えば制御装置23の制御により絞り開度が調整可能ないわゆる電動膨張弁などで構成されている。
熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の給気口17に接続されている。そして、熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、上記した循環風を形成する送風機41が設けられている。本実施形態の送風機41は、例えばシロッコファンからなる送風ファン41aと、そのファンモータ41bとで構成されている。送風ファン41aは、制御装置23によりファンモータ41bの駆動制御が行われることで、回転数の変更が可能に構成されている。こうして、通風路30内における送風ファン41aは、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、図1〜図3の矢印で示すように、水槽12(及び回転槽13)並びに通風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合の通風路30中の空気の流れについて見ると、排気口16が最上流側となり、給気口17が最下流側となる。
この構成において、圧縮機38及びファンモータ41bを駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風(乾燥風)は、送風ファン41aの送風作用により、給気ダクト35を介して給気口17から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口22から回転槽13内へ入り、回転槽13内の衣類から湿気を奪った後、主に孔21から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、排気口16から通風路30に吸い込まれる。通風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。このとき、衣類から出て空気中に含まれるリントは、フィルタ装置32内に設けられたフィルタ321によって捕集される。その後、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、乾燥行程では、ヒートポンプ40により乾燥風が生成されるとともに、送風ファン41aの送風作用により水槽12と通風路30との間で空気を循環させ、回転槽13内の衣類を乾燥させるようになっている。
また、本実施形態では、乾燥風に係る温度を検出する第1温度検出手段として、給気ダクト35を通して水槽12(回転槽13)内に供給される入口空気温度を検出する入口空気温度センサ44(図4参照)が設けられている。更に、図4に示すように、回転槽13から排気ダクト31に排出される出口空気温度を検出する出口空気温度センサ45が設けられている。入口空気温度センサ44は入口温度検出手段に相当し,出口空気温度センサ45は、出口温度検出手段に相当する。
図4は、上記した洗濯乾燥機10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。制御装置23は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、回転槽13内の衣類の洗濯〜乾燥を行う洗濯行程〜乾燥行程を含む洗濯乾燥機10の動作全般を制御する。
制御装置23には、前記表示部24a、操作部24b、リードスイッチ15c、入口空気温度センサ44、出口空気温度センサ45が接続され、それらの信号が入力される。また、制御装置23には、回転槽モータ14の回転速度を検出するモータ回転センサ48、回転槽モータ14に流れる電流を検知する電流センサ43、水槽12内の水位を検出する水位センサ49が接続され、それらの信号も入力される。詳しくは後述するように、制御装置23には、電極52が接続され、その信号も入力される。
制御装置23には、後述する予測所要時間テーブルや、運転制御プラグラム、閾値等が記憶された不揮発性記憶手段(EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ47)が設けられている。そして、制御装置23は、上記した各種の入力信号に基づき、運転制御プラグラムに従って回転槽モータ14、排水弁19、給水弁27、圧縮機38、減圧装置39、ファンモータ41b等を制御する。
こうして、制御手段としての制御装置23により、ユーザの選択した運転コースに応じて、洗い、すすぎ、脱水等を含む洗濯行程、並びに、乾燥行程(何れの行程も図5参照)が自動で実行される。詳細には、洗濯行程は、衣類を洗剤洗いする洗い行程と、洗剤洗いされた衣類をすすぎ洗いするすすぎ行程と、濡れた衣類を脱水する脱水行程とを含む。そして、洗濯乾燥機10では、各行程を単独で実行することも、各行程を一連で実行することも可能であり、使用者は、操作部24bでの設定操作により、洗濯行程を行う洗濯コース、乾燥行程を行う乾燥コース、洗濯行程と乾燥行程を行う洗濯乾燥コース(以下、洗乾コースと略す)の中から任意の運転コースを選択することができる。
そして、以下の作用説明で述べるように、本実施形態では、乾燥コースでの乾燥行程と洗濯乾燥コースの乾燥行程とで制御内容を異ならせるとともに、夫々の乾燥行程が衣類の重量等に応じて制御が行われることにより、衣類の乾燥むらや、しわ付きを抑制するようになっている。なお、図5では説明の便宜上、(a)の「洗乾コース1」及び「乾燥コース1」と、(b)の「洗乾コース2」及び「乾燥コース2」とを並べて表しているが、本第1実施形態では、前者(a)のコース1について説明し、後者(b)のコース2は他の実施形態として後述する。
続いて、上記構成の作用について、図6、図7も参照して説明する。
使用者は、回転槽13内に衣類を収容した上で、操作部24bを操作して所望の運転コースを選択し、運転を開始させる。ここで、制御装置23は、係る運転コースの設定を受け付け(ステップS1)、その設定された運転コースが洗乾コースか否かを判断する(ステップS2)。制御装置23は、設定された運転コースが洗乾コースであると判断した場合(ステップ2にてYES)、洗い、すすぎ、脱水等の行程からなる洗濯行程と乾燥行程との一連の行程を順次実行する(ステップS3)。
洗濯行程における洗いの開始に際し、回転槽13内の衣類重量の判定が行なわれる。即ち、制御装置23は、回転槽モータ14のベクトル制御を行い、回転槽13内に収容された衣類の重量を検知するための重量検知制御を行う衣類重量検出手段として構成されている。重量検知制御では、回転槽モータ14により回転槽13を例えば170rpmまで急速回転させ、その急速回転の際に回転槽モータ14に流れる電流値を電流センサ43により検知し、この検知した電流値(トルク成分に対応するq軸電流値)に基づいて衣類の重量を検出する。この衣類重量は例えば、検知した電流に応じて、所定重量(4kg等)の範囲を画する基準となる閾値により、複数段階(例えば4段階)の重量ランクW1、W2、W3、W4に分けられる。
前記不揮発性メモリ47には、重量ランクW1〜W4の夫々について、乾燥行程の所要時間(或いは洗濯乾燥コースを終えるまでの所要時間)と対応づけた予測所要時間テーブルが記憶されており、制御装置23は乾燥時間予測手段として、検出した衣類重量に基づき予測される所要時間を読込んで表示部24aに表示する。また、乾燥行程の所要時間とは、任意の重量の衣類を乾燥させた場合において、乾燥行程開始から乾燥度が予め設定された乾燥終了基準の乾燥度となるまでの時間をいうものとし、表示部24aには、乾燥行程の所要時間を含む、洗濯行程開始から乾燥行程終了までの所要時間を予測して表示する。
洗濯行程における洗いの開始時において、制御装置23は、給水弁27を開放させて水槽12内に所定水位の給水を行う(給水初期に洗剤が自動投入される)。そして、制御装置23は、回転槽モータ14により回転槽13を正逆両方向に交互に回転させて洗いを行うが、この行程中において、回転槽13内の水位(水量)が予め設定した所定水量に達して安定した後に、前述したq軸電流値に基づき回転槽モータ14のトルク変動の大きさを検知する。そのトルク変動の大きさ(変動幅及び平均値)は、衣類の吸水性が高い程大きくなる。この点、回転槽13内の衣類について、綿の比率が相対的に多い場合は吸水性が高いのでトルク変動は大きくなる一方、化学繊維(化繊)が相対的に多い場合は吸水性が低いのでトルク変動は小さくなる。このトルク変動の大きさと上記した衣類重量とに基づき、制御装置23は布質検出手段として、衣類の布質を判定する(ステップS4)。つまり、回転槽モータ14のトルク変動の大きさと前記衣類の吸水性との相関関係により、前記重量ランク毎に当該トルク変動の大小を判別することで、衣類が綿系か化繊系か(綿の比率が相対的に多いか否か)を判定することができる。
前記ステップS4において、回転槽13内の衣類の布質について綿の比率が相対的に多いと判断した場合(YES)、制御装置23は、当該洗濯行程中において最終すすぎを開始する前に運転を一時停止する(ステップS5)。次いで、制御装置23は、柔軟剤の追加投入を促す表示を表示部24aに表示させる(ステップS6)。この場合、表示部24aには、例えば「柔軟剤をより多く投入して下さい。仕上がりが良くなります」等と表示する。
制御装置23は、前記ステップS6の後、柔軟剤が追加投入されたと判断(ステップS7にてYES)するまで、待機する(ステップS8)。柔軟剤の投入の有無は、使用者が柔軟剤を追加投入した洗剤ケース15aを、洗剤ケース収納部15bに収納したとき、リードスイッチ15cにマグネット15dが近接することによって、リードスイッチ15cが作動する(洗剤ケース15aのセットを検知する)ことで、制御装置23により判断することができる。
こうして、制御装置23は、柔軟剤が追加投入されることを条件に(ステップS7にてYES)、最終すすぎの行程と最終脱水の行程とを順次実行する(ステップS9)。この最終すすぎの開始に際して、給水弁27から給水ケース26(洗剤ケース15a)を経て水槽12内に給水する動作により、柔軟剤が自動投入される。最終すすぎの行程では、洗いの行程と同様に回転槽13が低速で正逆両方向に交互に回転され、最終脱水の行程では、回転槽13が高速で回転されることで回転槽13内の衣類は遠心脱水される。こうして、洗濯行程を終えると、乾燥行程を開始する(ステップS10)。乾燥行程では、回転槽13が正逆両方向に回転され、ファンモータ41bにより送風ファン41aが駆動されるとともに、圧縮機38が起動されてヒートポンプ40が運転される。これにより、前述したように水槽12と通風路30との間で空気を循環させ、その空気を通風路30内で除湿及び加熱する乾燥行程が行われる。このうち、ファンモータ41bの駆動と圧縮機38の起動は、制御装置23により最終脱水の行程の途中から開始させることができる。なお、圧縮機38の起動や運転周波数について詳しくは後述する。
本実施形態では、例えば前記衣類重量が所定重量以下であることを条件に第1乾燥行程Aと第2乾燥行程Bとの順に乾燥行程(図5(a)の洗乾コース1参照)が実行される。具体的には、制御装置23は、前記衣類重量が予め設定された所定重量(例えば4kg)以下であると判断したとき、先ず第1乾燥行程Aを実行する。なお、前記重量検知制御は、洗いの行程開始時に限らず、最終脱水の行程後、或いは後述する布はがし行程後に実行してもよい。
第1乾燥行程Aでは、第2乾燥行程Bと制御内容を異ならせてあり、直前の最終脱水行程でからんだ衣類をほぐすべく、回転槽動作として回転槽13内の衣類に大きな動きを与えるように回転槽モータ14を駆動制御する。
この第1乾燥行程Aの回転槽動作について、図7を例に第2乾燥行程Bと対比しながら説明する。同図は、洗乾コース1の第1乾燥行程A及び第2乾燥行程Bにおける、「送風ファン回転数」(ファンモータ41bの回転数)、「回転槽回転数」(回転槽モータ14の回転数)、「回転時限」(回転槽モータ14の正逆回転時限)を夫々例示している。
即ち、図7の「回転槽回転数」で表すように、第1乾燥行程Aの回転槽動作は、直前の最終脱水行程でからんだ衣類をほぐすべく、回転槽モータ14の回転数(回転速度の設定値)を例えば50[rpm]とし、第2乾燥行程Bでの回転槽モータ14の回転数である例えば47[rpm]よりも高く設定されている。これにより、第1乾燥行程Aでは、転槽13内の衣類により大きな動きを与え、衣類を回転槽13の回転により持ち上げては落とすことを繰り返すため、衣類のからみを解消しやすくなる。
また、図7の「回転時限」で表すように、第1乾燥行程Aの回転槽動作は、その回転時限TAを例えば15秒とし、第2乾燥行程Bでの回転時限TBである例えば7秒よりも長くしている。より具体的には、第1乾燥行程Aでは、回転槽モータ14について正回転及び逆回転の各時限(夫々の連続回転時間)を何れも比較的長めのTAに設定して、その正逆回転を繰り返す。これにより、回転槽13内の衣類により大きな動きを与えることができ、その後の第2乾燥行程での乾燥むらを防止することができる。
一方、第2乾燥行程Bでは、回転槽モータ14について正回転及び逆回転の各時限を比較的短めのTBに設定し、且つ回転方向が切り替る都度回転槽13が停止するオフ時間Ts1,Ts2(例えば何れも2秒)を設けている。このような、正回転−停止−逆回転−停止のサイクルを繰り返すことで、衣類同士のからみを防ぎ、しわ付きを抑えながら乾燥を行う。
更に、図7の「送風ファン回転数」で表すように、第2乾燥行程Bでは、乾燥風により衣類のしわを伸ばし、しわ付きを低減させるため、送風ファン41aの回転数(ファンモータ41bの回転速度の設定値)を高めに設定している。例えば、送風ファン41aの回転数は、第1乾燥行程Aでは4300[rpm]、乾燥行程Bでは4800[rpm]である。この点、後述する乾燥コース1(図5参照)では、洗濯行程がなく、乾燥開始時に衣類が回転槽13内で嵩張りやすく乾燥風が通りにくいため、送風ファン41aの回転数が高い方がよい。これに対し、本洗乾コース1では、最終脱水により回転槽13の内周面に衣類が張付いて、固まっていたりすることがあるため、第1乾燥行程Aで送風ファン41aの回転数は低くても乾燥風が通りやすい。それ故、第1乾燥行程Aで前記回転槽動作を行い、衣類のほぐしを促進させるとともに、送風ファン41aの回転数を低く設定して徐々に衣類を除湿するようにすることにより、第2乾燥行程Bを通して衣類のしわ付きが抑制される。
上記した「回転槽回転数」と「回転時限」の記載から明らかなように、第1乾燥行程では、単位時間当りの回転槽モータ14の回転量を第2乾燥行程における単位時間当りの回転槽モータ14の回転量よりも大きくしており、第1乾燥行程Aは、回転槽13内の衣類に比較的大きな動きを付与して衣類をほぐす行程ということができる。また、第2乾燥行程Bは、衣類同士のからみを防止することができるとともに、上記した「送風ファン回転数」の設定により、しわ付きを抑えた衣類の乾燥を行う行程ということができる。
そして、制御装置23は、前記衣類重量に基づき予測した乾燥行程の所要時間(乾燥行程A,Bを合わせた全体の時間)の1/4となった時点で第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bへ移行する。つまり、制御装置23は、予め乾燥行程A,B全体の時間のうち前記回転槽動作が占める時間の割合(1/4以下としてもよい)を規定しており、第2乾燥行程Bへ移行する好適なタイミングを前記所要時間から演算により求めるようになっている。これにより、第1乾燥行程Aにて、衣類重量(乾燥時間)に応じた衣類のほぐしに好適な初期の段階に衣類のほぐしを行い、第2乾燥行程Bでの乾燥期間を充分に確保することができる。
そして、制御装置23は、第2乾燥行程Bにおいて前記所要時間に達したと判断すると、ステップS11でヒートポンプ40の作動を停止するとともに、ファンモータ41bと回転槽モータ14の駆動を停止し、乾燥行程(洗乾コース1での運転)を終了する。
前記ステップS2において、設定された運転コースが洗乾コースでないと判断された場合(NO)、ステップS12において、当該設定されたコースでの運転が行われる(ステップS12)。このステップS12について、乾燥行程Bのみを実行する乾燥コース1(図5(a)、図8参照)を例に説明する。
乾燥コース1では、乾燥行程Bの開始に際して、重量検知制御を行う。そして、制御装置23は、検知した衣類重量が予め設定された所定重量(例えば4kg)以下であると判断したとき、上記した洗乾コース1での第2乾燥行程Bと同様の制御内容で、乾燥コース1の乾燥行程Bが行われる。
即ち、乾燥コース1の乾燥行程Bが開始されると、回転槽モータ14及びファンモータ41bが夫々駆動されるとともに、圧縮機38が起動されてヒートポンプ40が運転される。この乾燥行程Bでは、図8の「重量小」で示すように衣類重量が例えば4kg以下のとき、上記した洗乾コース1で衣類重量が小さいときの第2乾燥行程Bと同じく、回転槽モータ14について正回転及び逆回転の各時限(回転時限)を比較的短めのTB(例えば7秒)に設定し、且つ回転方向が切り替る都度回転槽13が停止するオフ時間Ts1,Ts2(例えば何れも2秒)を設けている。
これに対し、乾燥コース1において、制御装置23により衣類重量が相対的に大きい(例えば4kgを超える)と判断される場合、図8で「重量大」として示すように回転槽モータ14について正回転及び逆回転の各時限を比較的長めのTB´(例えば30秒)に設定し、オフ時間を設けることなく正逆両方向に回転される。これにより、衣類重量が大きい場合、衣類重量が小さい場合よりも、回転槽モータ14の回転量(並びに単位時間当りの回転量)が正逆両方向で大きくなっている。
また、図8での図示は省略するが、乾燥コース1では、洗乾コース1の第2乾燥行程Bと同様に、衣類重量が小さいとき、回転槽モータ14の回転数を例えば比較的低めの47[rpm]に設定することで単位時間当りの回転槽モータ14の回転量をより小さく設定してもよい。また、第2実施形態で述べるように、乾燥コース1において衣類重量に応じて送風ファン41aの回転数を各別に設定してもよい(図9参照)。
上記した乾燥コース1でも、前記重量検知制御に基づき乾燥行程の所要時間が予測され、衣類重量に応じた所要時間の経過により、乾燥行程Bを終了する(ステップS11)。
なお、前述した「洗乾コース1」において、前記ステップS10で「重量大」と判断されるとき、第1乾燥行程Aを経ることなく乾燥行程Bのみが実行される。この洗乾コース1における「重量大」のときの乾燥行程Bは、乾燥コース1における「重量大」のときの乾燥行程Bと同じ内容である。また、前述した洗乾コース1の第1乾燥行程Aは、衣類重量に係る条件(4kg以下に限らず、重量が相対的に小さいという条件であればよい)を満たす場合にのみ実行されることとなる。
以上説明したように、本実施形態の制御装置23は、洗乾コース1において、脱水行程後の衣類を乾燥風により乾かす乾燥行程を、第1乾燥行程Aと第2乾燥行程Bとを順次実行することが可能に構成されるとともに、第1乾燥行程Aでは、回転槽動作として第2乾燥行程Bよりも回転槽13内の衣類に大きな動きを与えるように回転槽モータ14を駆動制御する。
これによれば、第1乾燥行程Aにおける回転槽動作により、回転槽13内の衣類に大きな動きを付与することで、所謂ほぐし動作を行い、衣類同士のからみを解消しやすくすることができる。これにより、第2乾燥行程Bの前に衣類のからみを解消することができ、衣類のしわ付きを低減させることができる。
なお、前記回転槽動作は、第1乾燥行程A全体と第2乾燥行程B全体とを総合的に観察して、第1乾燥行程Aの方が第2乾燥行程Bよりも衣類に大きな動きを与えるものであればよい。即ち「単位時間当りの回転槽モータ14の回転量」について、第2乾燥行程Bで、第1乾燥行程Aよりも一時的に大きな値をとる設定であったとしても、第1乾燥行程A全体での平均値が第2乾燥行程B全体での平均値より大きい関係にあれば、全体として第1乾燥行程Aの方が第2乾燥行程Bよりも、衣類に大きな動きを与えることができるといえる。このような関係は、前記回転槽動作を行う後述の加熱期間と、恒率乾燥期間にも妥当する。
また、制御装置23は、洗乾コース1における第1乾燥行程Aでは、単位時間当りの回転槽モータ14の回転量を第2乾燥行程Bにおける単位時間当りの回転槽モータ14の回転量よりも大きく設定した回転槽動作を行う。これによれば、第1乾燥行程Aでの回転槽動作は、第2乾燥行程Bよりも回転槽モータ14の回転量が大きいことから、回転槽13内の衣類に大きな動きを付与することができる。従って、第1乾燥行程Aで衣類同士のからみを解消させることができる等、上記と同様の効果を奏する。
前記制御装置23は、第1乾燥行程Aの回転槽動作における回転槽13の回転数(回転速度の設定値)が、第2乾燥行程Bにおける回転槽13の回転数よりも高くなるように回転槽モータ14を駆動制御する。例えば、回転槽13の回転数が低いと回転槽13の内方下部で衣類が転がるだけの挙動になることが懸念されるが、第1乾燥行程Aでは、回転槽13の回転数を高めることで、例えば衣類を回転槽13の回転により持ち上げては落とすことを繰り返すようになって、上記したほぐしの効果を高めることが可能となる。
前記制御装置23は、第1乾燥行程Aの回転槽動作における送風ファン41aの回転数が、第2乾燥行程Bにおける送風ファン41aの回転数よりも低くなるようにファンモータ41bを駆動制御する。これによれば、第1乾燥行程Aにおいて送風ファンの回転数を低く設定し、回転槽13内の温度上昇を緩やかにして、徐々に除湿されるようにすることで、衣類のしわ付きを抑えることができる。
前記制御装置23は、第1乾燥行程Aの回転槽動作における回転槽13の回転時限が、第2乾燥行程Bにおける回転槽13の回転時限よりも長くなるように回転槽モータ14を駆動制御することで、第1乾燥行程Aでの衣類のほぐしを促進させる。これによれば、乾燥行程Aにおいて回転槽13の回転時間を長めにして回転槽13内の衣類により大きな動きを付与することができる。それ故、衣類同士のからみを解消しやすくなり、その後の第2乾燥行程Bでの乾燥むらを防ぐことができる。
乾燥行程において、衣類重量が大きい場合、その衣類自体の重みで回転槽13の回転に伴い衣類同士のからみを解消しうるが、衣類重量が小さい場合には、回転槽13が回転しても衣類はほぐされにくい。この点、制御装置23は、衣類重量検出手段として検出した衣類重量が所定重量以下であることを条件に、第1乾燥行程Aと第2乾燥行程Bとを順次実行し、前記条件を満たさない場合に、前記回転槽動作制御を含まない乾燥行程Bを実行する。これによれば、衣類重量に応じて適切な乾燥行程A、Bを行うことができ、衣類重量が小さい場合でも、前記回転槽動作により衣類同士のからみを解消することができる。
前記第1乾燥行程Aについて、回転槽13の回転量が大すぎると、衣類のからみが生じ逆効果となる虞がある一方、衣類重量が大きい場合に回転槽13の回転量が小さいと、衣類にまんべんなく乾燥風があたらず乾きにくくなる虞がある。この点、制御装置23は、前記条件を満たす場合に実行される第1乾燥行程Aにおける単位時間当りの回転槽モータ14の回転量(図7の時限TA参照)が、前記条件を満たさない場合に実行される乾燥行程Bにおける単位時間当りの回転槽モータ14の回転量回転量(図8の時限TB´参照)に比して、何れも小さくなるように回転槽モータ14を駆動制御する。これによれば、第1乾燥行程Aにおいて、衣類重量が所定重量以下の場合でも所期の回転槽13の回転量を得ることができ、衣類のからみをより確実に解消することができる。
前記制御装置23は、コース選択手段により乾燥コース1が選択された場合、前記回転槽動作制御を含まない乾燥行程を実行することで、洗乾コース1の乾燥行程と異なる制御を行う。これによれば、乾燥コースでは、脱水における回転槽13内の衣類の張付きを考慮する必要がないことから、コース内容に即し且つ回転槽13内の衣類の状態に応じた適切な乾燥行程を行うことができる。
前記制御装置23は、乾燥時間予測手段として構成され、前記第1乾燥行程及び前記第2乾燥行程を含む乾燥行程の全時間長に対する前記第1乾燥行程の時間が、所定の時間割合となる時点で、第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bへ移行させることで、前記回転槽動作を乾燥行程の初期の段階で行う。これによれば、乾燥行程全体の時間に応じて第1乾燥行程Aと第2乾燥行程Bとを夫々所期の時間割合で行うことができ、総じて仕上がりを良くできる。
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態における各乾燥行程A,Bと送風ファン41aの回転数の関係を示す図であり、以下では、第1実施形態と異なる点について説明する。本第2実施形態の洗乾コース1では、前記重量検出手段の検出結果に基づいて衣類重量が所定重量(例えば4kg)を超えると判断した場合には、衣類重量が所定重量以下の場合と比較して、第2乾燥行程Bにおける送風ファン41aの回転数を低くしている。
即ち、本第2実施形態において制御装置23は、衣類重量に係わりなく各乾燥行程A,Bを実行し(或いは各乾燥行程A,Bを実行する条件を4kg超の値に設定してもよい)、衣類重量が例えば4kgを超えると判断した場合、第2乾燥行程Bでの送風ファン41a(ファンモータ41b)の回転数を例えば4300[rpm]に設定する(図9の「重量大」参照)。これに対し、制御装置23は、衣類重量が例えば4kg以下と判断した場合、第2乾燥行程Bでの送風ファン41aの回転数を4800[rpm]に設定する(図9の「重量小」参照)。
この点、衣類重量が相対的に大きいとき、回転槽13内にて衣類が嵩張り空間の余裕もないため、衣類を大きく動かすことができない。従って、送風ファン41aの回転数が高いと回転槽13内で衣類が押さえつけられてしまい、しわが付きやすくなってしまう。また、送風ファン41aの回転数が高いと、水槽12(回転槽13)と通風路30を通る空気の循環が速いため、乾燥の進み具合が速く、衣類のしわ付きの原因となる。
これに対し、本第2実施形態の制御装置23は、衣類重量が相対的に大きい場合、第2乾燥行程Bにおける送風ファン41aの回転数を低くなるようにファンモータ41bを駆動制御する。これによれば、衣類重量が相対的に大きい場合、回転槽13に送る乾燥風の勢いが比較的弱くなり、ゆっくりと乾燥が進むため、しわ付きを抑えて乾燥させることができる。また、衣類重量に応じた送風ファン41aの送風作用を得ることができ、衣類重量に係わらず仕上がりを良くできる。
なお、本第2実施形態の衣類重量に応じたファンモータ41bの制御は、第1実施形態での乾燥コース1に適用してもよい。具体的には、図8の乾燥コース1の乾燥行程Bにおいて、衣類重量が大きい場合、送風ファン41aの回転数を例えば4300[rpm]に設定し、衣類重量が小さい場合、送風ファン41aの回転数を例えば4800[rpm]に設定することで、本第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態を示す図9相当図であり、以下では、第1実施形態と異なる点について説明する。本第3実施形態の洗乾コース1では、前記布質検出手段の検出結果に基づき、衣類の布質について綿の比率が多いと判断(判定)した場合には、第2乾燥行程Bにおける送風ファン41aの回転数をより低くしている。
即ち、本第3実施形態において制御装置23は、布質検出手段として判定した布質が化繊系である場合に対して綿系である場合には、送風ファン41aの回転数がより低くなるように例えば4300[rpm]に設定する。一方、制御装置23は、判定した布質が化繊系である場合には、例えば4800[rpm]に設定する。
この点、綿系(綿製)の衣類の方が、化繊系(化繊製)の衣類よりもしわが付きやすい傾向があり、送風ファン41aの回転数が高いと水槽12と通風路30を通る空気の循環が速いため、乾燥の進み具合が速く、衣類のしわ付きの原因となる。
これに対し、本第3実施形態の制御装置23は、衣類の布質について綿の比率が相対的に多いと判断した場合、乾燥行程における送風ファン41aの回転数について、当該綿比率が相対的に少ない化繊系の場合よりも低くなるようにファンモータ41bを駆動制御する。これによれば、綿の比率が相対的に多い場合、回転槽13に送る乾燥風の勢いが比較的弱くなり、ゆっくりと乾燥が進むため、衣類のしわ付きを抑えることができる。また、布質に応じた送風ファン41aの送風作用を得ることができ、布質に係わらず仕上がりを良くできる。
なお、図10に示すように、第1乾燥行程Aでの送風ファン41aの回転数は、4300[rpm]未満の値に設定してもよい。また、第2乾燥行程Bでの送風ファン41aの回転数も上記した設定値に限らず、適宜変更することができる。また、本開示では、洗乾コース1の第2乾燥行程Bで、送風ファン41aの回転数を、衣類の布質と衣類重量とに基づき設定する等、上記した各実施形態の構成(及び後述の実施形態の構成)を適宜組み合わせ、或いは各実施形態の構成の一部を省く等して適宜変更することができる。
また、例えば第2乾燥行程Bにおいて、制御装置23により、布質検出手段の検出結果に基づき衣類の布質について綿の比率が多いと判断した場合には、単位時間当りの回転槽モータ14の回転量が、より小さくなるように回転槽モータ14を駆動制御する。具体的には、第2乾燥行程において、制御装置23は、綿の比率が相対的に多いと判断した場合、例えば回転時限TBを7秒よりも短く設定する(或いは回転槽モータ14の回転数を低くする)。この点、衣類のしわは、回転槽13の回転により衣類の袖のような長い部分が巻き込まれたり、ねじれることでも発生しやすく、殊に綿系の衣類は乾燥行程終了後に係る袖を広げないとアイロン掛けも困難となるが、上記構成によれば、綿の比率が相対的に多い場合、単位時間当りの回転槽モータ14の回転量がより小さく設定されるため、衣類のからみや、しわ付きを抑制することができる。
<第4実施形態>
図11、図12は、第4実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なる点について説明する。本第4実施形態の洗乾コース2及び乾燥コース2は(図11、図5(b)参照)、第3乾燥行程Cを有する点で、第1実施形態の洗乾コース1及び乾燥コース1と異なる。
即ち、図5(b)に示すように制御装置23は、洗乾コース2において、第1乾燥行程Aと第2乾燥行程Bと第3乾燥行程Cとを順次実行し、乾燥コース2において、第2乾燥行程Bと第3乾燥行程Cとを順次実行する。また、図11に示すように、乾燥行程Cでは、回転槽13の回転について、第2乾燥行程Bの回転時限TBよりさらに短い回転時限TC(例えば5秒)に設定され、且つ回転方向が切り替る都度回転槽13が停止するオフ時間Ts1,Ts2(例えば何れも2秒)を設けている。このように、回転槽13の正回転及び逆回転の時限TC、つまり連続回転時間を短くすることで、衣類のからみを防ぎ、しわ付きを抑えている。更に、乾燥行程Cでは、回転槽13の回転数も例えば47[rpm]より低い値に設定されており、総じて単位時間当りの回転槽モータ14の回転量が小さくなっている。
また、第3乾燥行程Cにおける送風ファン41aの回転数は、例えば、第2乾燥行程Bでの当該ファン41aの回転数より低く、第1乾燥行程Aの当該ファン41aの回転数と同じ4300[rpm]に設定されている。以下に説明するように、乾燥工程Cは、乾燥率が約85%となり、しわが付きやすい段階であるため、再び回転数を下げて乾燥の進み具合を遅くすることで、しわ付きを抑えるようになっている。また、本第4実施形態では、当該乾燥行程Cを含む一連の乾燥行程A〜C開始前に、布はがし行程が行われる。
ここで、図12(b)は、各乾燥行程と乾燥風の出入口の温度差及び乾燥率との関係を示し、図12(a)は布はがし行程を示している。
具体的には、制御装置23は、最終脱水の行程後、第1乾燥行程Aに移行するまでの間に、最終脱水の行程で回転槽13内周面に貼り付いた状態の衣類を剥離するための布はがし行程を実行する。布はがし行程は、例えば、回転槽13を間欠的に正回転させるようになっており、その正回転について回転槽モータ14を30[rpm]、回転時限を5秒に設定し、且つ回転槽13が停止する10秒のオフ時間を設けている。こうして、布はがし行程は、上記した乾燥行程A〜Cよりも回転槽13をゆっくりと回転させるものであり、正回転(5秒)−停止(10秒)−正回転(5秒)−停止(10秒)を1サイクルとして3回繰り返し、回転槽13内周面の衣類を剥がすようになっている。従って、その後移行する第1乾燥行程Aでは、回転槽13内周面から衣類が剥がれているため、衣類を充分にほぐすことができる。
また、制御装置23は、第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bへの移行並びに第2乾燥行程Bから第3乾燥行程への移行を、回転槽13内の衣類の乾燥具合を検出することに基づいて行うようになっている。詳しい図示は省略するが、前記電極52(図4参照)は、例えば回転槽13の前面側から当該回転槽13内に臨むように設けられている。電極52は、回転槽13内の衣類と接触したときに衣類の接触抵抗を検知し、その検出信号を制御装置23へ出力する乾燥具合検出手段として構成されている。なお、衣類の接触抵抗[Ω]は、その値が増加するに伴い衣類の乾燥率[%]も増加する、周知の対応関係がある。
そして、制御装置23は、第1乾燥行程A中に、電極52と接触する衣類の接触抵抗を読み込んで、その接触抵抗が第1乾燥率(例えば図12(b)に示す75%)に対応する所定の第1抵抗値に達したと判断すると、第2乾燥行程Bへ移行する。また、制御装置23は、第2乾燥行程B中に、電極52と接触する衣類の接触抵抗を読み込んで、その接触抵抗が第2乾燥率(例えば85%)に対応する所定の第2抵抗値に達したと判断すると、第3乾燥行程Cへ移行する。また、乾燥率について、予め前記接触抵抗と対応付けたデータテーブルを不揮発性メモリ47に記憶させておき、制御装置23により読み込んだ接触抵抗をデータテーブル上で照合することで、回転槽13内の衣類の乾燥具合を判断することができる。
前記第1乾燥率は、80%以下(例えば75〜80%の範囲内)の値に設定し、或いは第1実施形態と同様、乾燥行程全体の時間の1/4以下となる乾燥率に設定してもよい。これにより、第2乾燥行程Bへ移行するタイミングは、入口空気温度センサ44の検出温度と出口空気温度センサ45の検出温度との差(つまり図12(b)に示す水槽12の出入口温度差)が最大値(ΔTmax)になる前の時点となる。また、第2乾燥率は、85〜88%の範囲内にある値に設定してもよく、このとき、第3乾燥行程Cへ移行するタイミグも、両空気温度センサ44,45の検出温度の差が最大値(ΔTmax)になる前の時点となる。
以上のように本第4実施形態の制御装置23は、乾燥具合検出手段(例えば電極52)の検出結果に基づき、衣類が所定の乾燥具合に達したと判断した場合、第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bへ移行させる。これよれば、回転槽13内の衣類の乾燥の進行に応じた適切なタイミングで、第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bに移行させることができることから、より一層しわ付き等を抑制することができ、仕上がりをより良くすることができる。
また、制御装置23は、乾燥具合検出手段として電極52により検出される接触抵抗に基づき衣類の乾燥具合を判断するため、衣類のからみを抑制した乾燥行程Aと相俟って、衣類の接触抵抗をより正確に検出することができ、乾燥ムラも防止することができる。
なお、前記乾燥具合検出手段は、電極52に限らず、上記空気温度センサ44,45、或いは湿度センサ(図示略)を用いて構成してもよい。即ち、図12(b)に示すように、「出入口温度差」は、衣類の乾燥の進行に伴い、最大温度差(ΔTmax)に到達するまで「乾燥率」とともに上昇する相関関係があることから、制御装置23により出入口温度差に基づいて衣類の乾燥具合を判断することができる。また、前記湿度センサは、水槽12と通風路30とを循環する空気の湿度を検出するように外箱11内に設け、その検出湿度に基づき、乾燥運転中における衣類の乾燥具合を判断することができる。 なお、図5(b)の乾燥コース2における「乾燥行程C」は、上記した洗乾コース2の第3乾燥行程Cと同様の制御を行うことができ、その詳細な説明を省略する。
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態を示すものであり、第4実施形態と異なる点について説明する。本第5実施形態の制御装置23は、第1温度検出手段の検出結果に基づき圧縮機38を可変制御する。ここで、第1温度検出手段としては、図13に示す「ドラム入口温度」に対応する入口空気温度センサ44や、「出入口温度差」に対応する各空気温度センサ44,45を用いることができる。また、圧縮機38の回転数を可変させることにより、その吐出冷媒温度ひいてはヒートポンプ40による乾燥能力を可変させ、図13に示す加熱期間と恒率乾燥期間と減率乾燥期間との3つの期間を経て衣類を乾燥させる。
具体的には、乾燥初期の加熱期間は、制御装置23により圧縮機38を起動して、その運転周波数を最も高い値に設定して維持し、回転槽13に供給する空気の温度を上昇させる期間とされている。この加熱期間に第1乾燥行程Aが実行されるが、当該加熱期間は、衣類からの水分の蒸発がまだ少ないため、回転槽13内における衣類の動きが多くても、衣類にしわが付きにくい。第1乾燥行程A(前記回転槽動作)の開始時期は、圧縮機38の起動後、最高運転周波数の低下開始前であればよい。
制御装置23は、入口空気温度センサ44の検出結果に基づき所定温度αに達したと判断すると、圧縮機38の運転周波数を最高運転周波数から低下させ、恒率乾燥期間へ移行する。恒率乾燥期間は、回転槽13に供給する空気の温度を保つべく、入口空気温度センサ44の検出温度に応じて圧縮機38の運転周波数を可変させる制御を行う期間である。
この恒率乾燥期間への移行に合わせて、第2乾燥行程Bへ移行する。或いは、恒率乾燥期間への移行に前後して(恒率乾燥期間への移行前または移行後)、第2乾燥行程Bへ移行する。恒率乾燥期間は、衣類からの水分の蒸発が始まり加熱期間に比して、衣類にしわが付きやすくなるため、回転槽13の回転数を下げたり、回転時限を短くした第2乾燥行程Bを実行することで、しわ付きをより低減させることができる。
制御装置23は、各空気温度センサ44,45の検出結果に基づき、その温度差(ΔT)が所定温度βに達したと判断すると、圧縮機38の運転周波数をさらに低下させて減率乾燥期間へ移行する。このため、減率乾燥期間は、乾燥の進み具合がより緩やかとなる。この減率乾燥期間への移行に合わせて(或いは減率乾燥期間への移行に前後して)、第3乾燥行程Cへ移行する。減率乾燥期間は、衣類が略乾いており、しわが付きやすい期間であるため、より回転槽13の回転数を下げ或いは回転時限を短くした第3乾燥行程Cを実行することで、しわ付きを一層低減させることができる。
以上のように本第5実施形態の制御装置23は、乾燥行程A〜Cにおいて、乾燥手段の乾燥能力(例えば圧縮機38の運転周波数)を可変制御する構成にあって、乾燥手段の乾燥能力の制御により乾燥風の温度を上昇させる加熱期間と、この加熱期間後の恒率乾燥期間とを含む乾燥の期間が設定されており、加熱期間では、回転槽動作として恒率乾燥期間よりも回転槽13内の衣類に大きな動きを与えるように回転槽モータ14を駆動制御する。
これによれば、加熱期間における回転槽動作により、回転槽13内の衣類に大きな動きを付与することで、所謂ほぐし動作を行い、衣類類同士のからみを解消しやすくすることができる。これにより、恒率乾燥期間前に衣類のからみを解消することができ、衣類のしわ付きを低減させることができる。なお、乾燥手段は、ヒートポンプ40に限らず、1つ以上の乾燥ヒータで構成してもよい。乾燥ヒータの乾燥能力は、例えば、当該乾燥ヒータの出力を抑えたり、複数の乾燥ヒータのうちの1つ又は全部に通電すること等して可変させることができる。
前記制御装置23は、乾燥行程A〜Cにおいて、回転槽動作を行う第1乾燥行程Aと、第2乾燥行程Bとを順次実行することが可能に構成され、圧縮機38を起動して当該圧縮機38の最高運転周波数で第1乾燥行程Aを実行し、圧縮機38が最高運転周波数に達した後、その最高運転周波数の低下開始とともに第1乾燥行程Aから第2乾燥行程Bへ移行させる。これによれば、衣類の乾燥具合或いは圧縮機38の運転に対応した乾燥行程A,Bを実行することができるとともに、圧縮機38の運転周波数の低下と相俟って、総じて衣類のしわ付きを抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
上記したように、各実施形態の構成を選択的に組み合わせ、或いは各実施形態の構成の一部を省く等、適宜変更して実施しうる。例えば、洗乾コース1の第1乾燥行程Aでは、図7の「回転槽回転数」と「回転時限」との何れか一方を大きく設定することで、単位時間当りの回転槽13(回転槽モータ14)の回転量を第2乾燥行程における単位時間当りの回転槽13の回転量よりも大きくすることができる。また、第1乾燥行程Aにおいて、前記回転槽動作として衣類に大きな動きを与えるように回転槽モータ14の加速度とその加速度を継続する時間を制御してもよい。