JP6011867B2 - デンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体 - Google Patents
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Description
また、本発明は、2−オキサゾリジノン製造反応等の多重結合付加反応用の触媒を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、前記触媒を用いた2−オキサゾリジノンの製造方法を提供することを第3の目的とする。
本発明者等は、前記製造方法における各工程について分析し、鋭意研究を重ねた結果、前記製造方法は、錯体の金属が金である場合には有効でないこと、ハロゲン系反応溶媒を用いたデンドリマー固定化含窒素複素環カルベンと金(I)化合物との反応により、目的化合物であるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体は生成するが、カラムクロマトグラフィーによる精製の際に、前記非特許文献8,9に記載され、かつ、前記反応工程でも使用されているハロゲン系溶媒をカラムクロマトグラフィーの溶離液として用いると、目的化合物が分解し収率が大きく低下するとともに、目的化合物純品の単離が不可能であること、目的化合物のデンドリマーは、球状でかつ分子量が大きく結晶化しないため、前記非特許文献10に記載のような再結晶による精製は不可能であること、カラムクロマトグラフィーによる精製の際、各種の溶媒のうち、主にエステル系溶媒を溶離液として用いることにより、目的化合物の単離が可能であること等を知見し、最終的に、該目的化合物は溶媒中において、デンドリマー固定化イミダゾリウム塩より調製されるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベンと金(I)化合物を反応させ、カラムクロマトグラフィーによる精製の際、主にエステル系溶媒を溶離液として用いることにより容易に得られることを見出した。
また、得られたデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体についてのさらなる研究過程において、このデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体は、プロパルギルアミンと二酸化炭素との反応を効率的に促進させること、新規多重結合付加反応用触媒、2−オキサゾリジノン製造用触媒、及び水溶媒中で使用する2−オキサゾリジノン製造用触媒として有用であることを見出した。
本発明は、上記のような研究過程で得られた様々な知見に基づいて完成するに至ったものである。
(1) 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(2)前記(1)記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る多重結合付加反応用触媒。
(3)前記(1)記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る2−オキサゾリジノン製造用触媒。
(4)前記(1)記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る水溶媒中で使用する2−オキサゾリジノン製造用触媒。
(5) 一般式(III)
で表される基である]
で表されるデンドリマー固定化イミダゾリウム塩と酸化銀(I)とを溶媒中で反応させて、溶液中に含窒素複素環カルベンを生成する含窒素複素環カルベン生成工程、
デンドリマー固定化含窒素複素環カルベンが生成した溶液と、
AuL[S(CH3)2] (IV)
(式中、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンを示す)
の組成で表される金(I)化合物とを混合し溶媒中で反応させる反応工程、及び、
前記反応工程で得られた生成物をエステル系溶媒を主要成分とする溶離液を用いたカラムクロマトグラフィーにより分離精製することを含む精製工程、
を備えることを特徴とする、一般式(I)
で表されるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体の製造方法。
(6)前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の触媒と二酸化炭素の存在下、一般式(VIII)
で表されるプロパルギルアミンを溶媒中で反応させ、一般式(IX)
で表される2−オキサゾリジノンを製造することを特徴とする、2−オキサゾリジノン製造方法。
(7)R1が(CH2CH2O)mCH3で表されるmの平均=1〜20のアルコキシ基である前記(1)に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(8)mの平均=3〜12である前記(1)又は(7)に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(9)nが2以上4以下の整数であり、R1が炭素数1〜3のアルキル基である前記(1)に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(10)d,e及びfが1である前記(1)、(7)〜(9)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(11)d,e及びfのうち、2つが1であり、1つが0である前記(1)、(7)〜(9)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(12)Lがハロゲン化物イオンである前記(1)、(7)〜(11)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(13)一般式(I)における2つのGは同じものである前記(1)、(7)〜(12)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(14)一般式(II)における複数のR1が全て同じものである前記(1)、(7)〜(13)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。
(15)前記(7)〜(14)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る多重結合付加反応用触媒。
(16)前記(7)〜(14)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る2−オキサゾリジノン製造用触媒。
(17)前記(7)〜(14)のいずれか1項に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る水溶媒中で使用する2−オキサゾリジノン製造用触媒。
(18)精製工程が、エステル系溶媒を主要成分とする溶媒を用いて濾過することを含む(5)に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体の製造方法。
(19)エステル系溶媒が酢酸エチルである(5)又は(18)に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体の製造方法。
(20)前記(14)〜(17)のいずれか1項に記載の触媒と二酸化炭素の存在下、一般式
で表されるプロパルギルアミンを溶媒中で反応させ、一般式(IX)
で表される2−オキサゾリジノンを製造することを特徴とする、2−オキサゾリジノン製造方法。
(21)溶媒が水であることを特徴とする、前記(6)又は(20)に記載の2−オキサゾリジノン製造方法。
で表される基である]
で表される。
炭素数7のアラルキル基はベンジル基を表す。
(CH2CH2O)mCH3で表されるmの平均=1〜20のアルコキシ基は、mの平均が1〜20であることを表しており、1分子内及び/又は複数の分子間で単一でもよいが、必ずしも単一である必要はない。従って一般式(II)で示される3つのR1それぞれのmの値も同じとは限らない。
(2)繰り返し構造の世代数nは1以上4以下の整数を示す。
(3)d,e及びfのうち、少なくとも2つが1で、他は0である。
符号Gで表わされる基の一例として、d,e及びfのうち、何れか2つが1であり、n=3の場合について示すと次のとおりである。
−CH2−C6H3−[O−CH2−C6H3−[O−CH2−C6H3−(O−R1)2]2]2
(4)比較的分子量が小さく再結晶による精製が可能と想定される、R1がアルキル基、かつnが1であるものは除外する。
一般式(III)
d,e及びfのうち、少なくとも2つが1で、他は0である。但し、nが1で、かつ、R1がアルキル基であるものは除外する)
で表される基である]
で表されるデンドリマー固定化イミダゾリウム塩と酸化銀(I)とを溶媒中で反応させることにより得られる含窒素複素環カルベンの溶液と、
AuL[S(CH3)2] (IV)
(式中、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンを示す)
の組成で表される金(I)化合物とを混合し溶媒中で反応させ、反応生成物を所定の手段により精製することにより製造することができる。
反応溶媒としてはデンドリマー固定化イミダゾリウム塩を程よく溶解できるものであり、かつ反応に関与しないものが用いられる。具体的には1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が好ましく、これらの溶媒は単独又は混合溶媒の形で使用される。その中でも好ましい反応溶媒としては、1,2−ジクロロエタンが挙げられる。
この溶媒を用いてデンドリマー固定化イミダゾリウム塩と酸化銀(I)との反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、デンドリマー固定化イミダゾリウム塩を溶媒に添加して得られる溶液に必要量の酸化銀(I)を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
反応溶液を一部取り出し、この1H−NMR測定より、デンドリマー固定化イミダゾリウム塩がなくなりデンドリマー固定化カルベンが生成したことが確認される。
このデンドリマー固定化含窒素複素環カルベンと金(I)化合物との反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、デンドリマー固定化含窒素複素環カルベン溶液に必要量の金(I)化合物を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
反応溶液を一部取り出し、この1H−NMR測定より、デンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体が生成したことが確認される。
カラムクロマトグラフィーの溶離液としては、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒を主要成分とするものが用いられる。また、エステル系溶媒とヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、またはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒との混合溶媒が使用されることもある。
カラムクロマトグラフィーの溶離液として、ハロゲン系溶媒を用いた場合、目的物が分解するので、収率は大きく低下する。また本来白色である生成物は灰色となり、純品を得ることができない。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどが挙げられる。非特許文献9に記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−ロジウム錯体の製造においては、濾過やカラムクロマトグラフィーによる精製工程の際にジクロロメタンが用いられているが、デンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体の製造では、ジクロロメタンをはじめとするハロゲン系溶媒を精製工程において用いない方が最も好ましいが、仮に用いたとしても、使用量を精製用溶媒の10vol.%以下、好ましくは5vol.%以下、より好ましくは2vol.%以下に制限する必要がある。
濾過やカラムクロマトグラフィーの際に使用する溶離液等の精製用溶媒におけるエステル系溶媒の割合は、通常、50〜100vol.%、好ましくは60〜100vol.%、より好ましくは80〜100vol.%、最も好ましくは90〜100vol.%である。
市販のchloro[1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)imidazol-2-ylidene]gold(I)をはじめ一般に含窒素複素環カルベン金−錯体は、再結晶により精製されるが、デンドリマーは、球状かつ分子量が大きく結晶化しないため、再結晶により精製することができず、前述したようにカラムクロマトグラフィーで精製される。
で表されるハロ置換デンドロンを、必要に応じ塩基を存在させ溶媒中で反応させることにより製造することができる。
また、用いる塩基の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、生成するハロゲン化水素1モルあたり1〜3モル、好ましくは1〜1.5モルの範囲の塩基が用いられる。
この溶媒を用いてイミダゾールとハロ置換デンドロンとの反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、イミダゾールとハロ置換デンドロンとを溶媒に添加して得られる溶液に必要量の塩基を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
また、ハロ置換デンドロンの使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、導入されるデンドロン1モルあたり1〜3モル、好ましくは1〜1.3モルの範囲のハロ置換デンドロンが用いられる。
本反応により、一段階で目的とするデンドリマー固定化イミダゾリウム塩を製造することができる。
前記触媒としてのデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体と二酸化炭素の存在下に、一般式(VIII)
で表されるプロパルギルアミンを溶媒中で反応させ、一般式(IX)
で表される2−オキサゾリジノンを製造することができる。
またこの反応は、通常、二酸化炭素含有雰囲気下(好ましくは二酸化炭素雰囲気下)溶媒に触媒及び原料物質を溶解させて行われる。溶媒には通常有機溶媒又は水が用いられる。有機溶媒として好ましくはメタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のプロトン性溶媒が用いられるが、アセトニトリル、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒も使用することができ、これらを単独もしくは組み合わせて用いられる。二酸化炭素の圧力(または分圧)は0.1MPa(1気圧)でよいが、10MPaまで上げてもよい。通常0.1MPaから2MPaの範囲で行われる。
また反応は、格別加熱することなく、室温程度で進行させることができるが、加熱により促進させるようにしてもよい。反応中、反応液は攪拌するのがよい。
アルゴン雰囲気下、以下の構造式
この1,2−ジクロロエタン溶液に、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)AuCl[S(CH3)2]106.8mgを加え、室温で3時間撹拌し反応させた。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒を留去し酢酸エチルでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:1)で精製した(無色油状、収量289.2mg、収率70.7%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析と元素分析の結果は次の通りである。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ/ppm 6.86(s,2H),6.49(d,4H,J=2.2Hz),6.45(t,2H,J=2.1Hz),5.26(s,4H),4.09(t,8H,J=4.7Hz),3.83(t,8H,J=4.7Hz),3.75−3.63(m,24H),3.57−3.53(m,8H),3.38(s,12H)
元素分析:C 47.65%、H 6.43%、N 2.31%、Cl 2.81%(測定値)。C 47.85%、H 6.43%、N 2.48%、Cl 3.14%(計算値)。
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
アルゴン雰囲気下、以下の構造式
この1,2−ジクロロエタン溶液に、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)AuCl[S(CH3)2]149.0mgを加え、室温で3時間撹拌し反応させた。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒を留去し酢酸エチルでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=3:1)で精製した(無色油状、収量669.3mg、収率89.5%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析と元素分析の結果は次の通りである。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ/ppm 6.87(s,2H),6.49(d,4H,J=2.1Hz),6.45(t,2H,J=2.1Hz),5.26(s,4H),4.09(t,8H,J=4.7Hz),3.83(t,8H,J=4.7Hz),3.73−3.62(m,56H),3.56−3.52(m,8H),3.37(s,12H)
元素分析:C 49.54%、H 7.09%、N 1.77%、Cl 2.21%(測定値)。C 49.44%、H 7.07%、N 1.89%、Cl 2.39%(計算値)。
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
アルゴン雰囲気下、以下の構造式
この1,2−ジクロロエタン溶液に、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)AuCl[S(CH3)2]10.0mgを加え、室温で3時間撹拌し反応させた。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒を留去し酢酸エチルでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をアルミナカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:1)で精製した(無色油状、収量76.5mg、収率57.4%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析と元素分析の結果は次の通りである。
1H−NMR(400MHz,CD3CN)δ/ppm 7.24(s,2H),6.75(s,4H),5.21(s,4H),4.13−4.02(m,12H),3.80−3.32(m,276H),3.29(s,18H)
元素分析:C 52.66%、H 8.47%、N 0.67%、Cl 0.92%(測定値)。C 52.33%、H 8.31%、N 0.73%、Cl 0.93%(計算値)。
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
アルゴン雰囲気下、以下の構造式
この1,2−ジクロロエタン溶液に、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)AuCl[S(CH3)2]65.3mgを加え、室温で3時間撹拌し反応させた。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒を留去し酢酸エチルでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:2)で精製した(白色固体、収量336.6mg、収率69.9%)。
このものの核磁気共鳴スペクトル分析と元素分析の結果は次の通りである。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ/ppm 6.75(s,2H),6.63(d,8H,J=2.0Hz),6.56(d,16H,J=2.4Hz),6.54(t,4H,J=2.2Hz),6.51(t,2H,J=2.0Hz),6.45(t,4H,J=2.0Hz),6.39(t,8H,J=2.2Hz),5.20(s,4H),4.96(s,16H),4.92(s,8H),3.76(s,48H)
元素分析:C 62.87%、H 5.40%、N 1.08%、Cl 1.47%(測定値)。C 62.89%、H 5.41%、N 1.25%、Cl 1.59%(計算値)。
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物と同定された。
アルゴン雰囲気下、以下の構造式
この1,2−ジクロロエタン溶液に、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)AuCl[S(CH3)2]63.5mgを加え、室温で3時間撹拌し反応させた。
このようにして得られた反応液を減圧下で溶媒を留去しジクロロメタンでセライト濾過し、濾液を減圧下で溶媒留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=40:1)で精製した(灰色固体、収量92.0mg、目的物質である場合の収率19.1%)。
このものの元素分析の結果は次の通りである。
元素分析:C 63.45%、H 5.45%、N 1.18%、Cl 1.79%(測定値)。C 62.89%、H 5.41%、N 1.25%、Cl 1.59%(計算値)。
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式で表される化合物を含むかもしれないが、化合物の色、及び元素分析の結果より、含んだとしても純品ではない。
アルゴン雰囲気下、水0.8mL、実施例2で得られたデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体11.8mg(アミンに対し1mol%)、及び以下の構造式
実施例1−4と同様に製造した下記表1,表2におけるGn[R](式中、nは一般式(II)におけるnと同じ意味を示す。一般式(II)におけるd及びfは1,eは0である。[TEG]は、R1がm=3のアルコキシ基であることを意味し、[PEG]は、R1がm=5のアルコキシ基であることを意味する)のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体を触媒として用い、実施例5に倣い2−オキサゾリジノンを合成した(表1における反応溶媒はメタノールであり、触媒量は、アミンに対し2mol%である。表2における反応溶媒は水であり、触媒量は、アミンに対し1又は2mol%である)。
表1,表2の結果から、本発明のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る触媒を用いることにより、反応溶媒として非水溶媒を用いた場合だけでなく、水を用いた場合でも、反応を室温で進行させることができ、収率よく2−オキサゾリジノンを得られることが分かった。
Claims (6)
- 一般式(I)
で表される基である]
で表されるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体。 - 請求項1記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る多重結合付加反応用触媒。
- 請求項1記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る2−オキサゾリジノン製造用触媒。
- 請求項1記載のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体から成る水溶媒中で使用する2−オキサゾリジノン製造用触媒。
- 一般式(III)
で表される基である]
で表されるデンドリマー固定化イミダゾリウム塩と酸化銀(I)とを溶媒中で反応させて、溶液中に含窒素複素環カルベンを生成する含窒素複素環カルベン生成工程、
デンドリマー固定化含窒素複素環カルベンが生成した溶液と、
AuL[S(CH3)2] (IV)
(式中、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンを示す)
の組成で表される金(I)化合物とを混合し溶媒中で反応させる反応工程、及び、
前記反応工程で得られた生成物をエステル系溶媒を主要成分とする溶離液を用いたカラムクロマトグラフィーにより分離精製することを含む精製工程、
を備えることを特徴とする、一般式(I)
で表されるデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン−金錯体の製造方法。
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