JP6008930B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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電流が小さい領域での最低限必要なデッドタイム >
電流が大きい領域での最低限必要なデッドタイム
図2は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す図である。実施の形態1に係る電力変換装置は、図2に示すように、1次側及び2次側ともにフルブリッジ回路の絶縁型DC/DCコンバータである。
DC/DCコンバータ2は、図2に示す、バッテリ1(外部直流電源)から負荷12(外部負荷)までの構成要素で構成されている。DC/DCコンバータ2は、1次側の第1のモジュール20と、2次側の第2のモジュール21と、トランス6と、制御器14とから構成されている。トランス6は、第1のモジュール20と第2のモジュール21との間に接続されている。また、第1のモジュール20はバッテリ1に接続されている。第2のモジュール21は負荷12に接続されている。
第1のモジュール20には、4つの1次側スイッチング素子5a〜5dが設けられている。スイッチング素子5a〜5dは、例えば、MOSFETから構成されている。スイッチング素子5a〜5dは、フルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子5a,5cが上アーム側、スイッチング素子5b,5dが下アーム側に配置されている。また、スイッチング素子5a,5bは直列に接続されている。以下、スイッチング素子5aとスイッチング素子5bとの接続点を、接続点16eと呼ぶ。同様に、スイッチング素子5c,5dは直列に接続されている。以下、スイッチング素子5cとスイッチング素子5dとの接続点を、接続点16fと呼ぶ。接続点16eと接続点16fには、トランス6の1次巻線6aが接続されている。1次巻線6aは、トランス6のコアに巻き回されている。また、スイッチング素子5a,5bから構成される直列体の両端16a,16b、および、スイッチング素子5c,5dから構成される直列体の両端16c,16dには、第1の電圧検出回路4と第1の平滑コンデンサ3とが並列に接続されている。第1の電圧検出回路4は、スイッチング素子5a〜5dのうちのオン状態のスイッチング素子に印加される電圧を検出する。さらに、バッテリ1が、第1の電圧検出回路4と第1の平滑コンデンサ3とに並列に接続されている。
第2のモジュール21には、4つの2次側整流ダイオード7a〜7dが設けられている。整流ダイオード7a〜7dは、フルブリッジ回路を構成している。整流ダイオード7a,7cが上アーム側、整流ダイオード7b,7dが下アーム側に配置されている。また、整流ダイオード7a,7bは直列に接続されている。以下、整流ダイオード7aと整流ダイオード7bとの接続点を、接続点17eと呼ぶ。同様に、整流ダイオード7c,7dは直列に接続されている。以下、整流ダイオード7cと整流ダイオード7dとの接続点を、接続点17fと呼ぶ。接続点17eと接続点17fには、トランス6の2次巻線6bが接続されている。2次巻線6bは、トランス6のコアに巻き回されている。また、整流ダイオード7a,7bから構成される直列体の両端17a,17b、および、整流ダイオード7c,7dから構成される直列体の両端17c,17dには、第2の電圧検出回路10と第2の平滑コンデンサ11とが並列に接続されている。さらに、負荷12が、第2の電圧検出回路10と第2の平滑コンデンサ11とに並列に接続されている。また、整流ダイオード7cのカソード側と、第2の電圧検出回路10との間には、平滑リアクトル8と電流検出回路9とが直列に接続されている。
(1)第2の電圧検出回路10で検出された電圧値Vout
(2)電流検出回路9で検出された電流値Iout
(3)スイッチング素子5a〜5dに流れる電流値Ids
制御器14は、これらの信号(1)〜(3)に基づいてPWM制御を行い、スイッチング素子5a〜5dを制御する。制御器14の内部構成および動作については、後述する。
図2において、スイッチング素子5a〜5dのうちのいずれか2つがオンされると、バッテリ1から、トランス6の1次巻線6aに電流が流れる。これにより、1次巻線6aに磁束が発生する。このとき、磁束増加を妨げるように起電力(逆起電力)が発生する。また、トランス6のコアを通じた1次巻線6aの磁束は、2次巻線6bに反作用磁束を発生させる。これにより、起電力(誘導起電力)が発生して、負荷12に電流(誘導電流)が流れる。なお、オンされるスイッチング素子の位置が変わることにより、電流の向きは逆になる。このように、スイッチング素子5a〜5dは、誘導性負荷である負荷12を駆動している。
図3に示すように、制御器14は、除算部140と、減算部141と、PI制御部142と、比例制御部143と、リミッター144と、PWM制御部145と、ゲート駆動信号生成部146と、第1のルックアップテーブル部147と、第2のルックアップテーブル部148とを備えている。
(1)図7のように、トランス6の1次巻線6aに、第2の電流検出回路13を設け、電流検出回路13で検出した電流値の絶対値を、電流Idsとする。
(2)図2及び図7は電力変換装置がDC/DCコンバータの場合を示しているが、電力変換装置がインバータの場合には、図8の構成となる。この場合には、図8に示すように、負荷12であるモータのU,V,Wの各相に対して、電流検出回路18をそれぞれ設け、これらの3相電流の測定値を、電流Idsとする。
(3)図2の構成の場合には、電流検出回路9で検出した電流値を用いて、電流Idsを算出する。トランス6の特性から、以下の関係が成り立つ。
(1次巻線電流)=(2次巻線電流)×(1次巻線の巻き数/2次巻線の巻き数)
このとき、トランス6の1次巻線6aの巻き数、および、2次巻線6bの巻き数は、それぞれ、設計値であり、既知の値である。従って、この式の「2次巻線電流」に、電流検出回路9で検出した電流値を代入することで、1次巻線電流を算出することができる。こうして算出した1次巻線電流の絶対値を、電流Idsとする。
このように、例えば(1)〜(3)の算出方法のいずれかを用いることにより、スイッチング素子5a〜5dのドレイン端子及びソース端子の電流を直接測定しなくても、電流Idsを求めることができる。
ゲート駆動信号生成部146には、図6の例1〜3に示すように、ゲート駆動信号を生成するための鋸状の基準波60が予め記憶されている。さらに、ゲート駆動信号生成部146には、各スイッチング素子5a〜5dのオン/オフのタイミングを判定するための判定閾値(5a_H,5a_L,5b_H,5b_L,5c_H,5c_L,5d_H,5d_L)が記憶されている。具体的には、以下の通りである。
・スイッチング素子5a 5a_H 5a_L
・スイッチング素子5b 5b_H 5b_L
・スイッチング素子5c 5c_H 5c_L
・スイッチング素子5d 5d_H 5d_L
具体的には、基準波60の値が、判定閾値5a_Hに達したタイミングで、スイッチング素子5aがオンになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5a_Lに達したタイミングで、スイッチング素子5aがオフになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5b_Hに達したタイミングで、スイッチング素子5bがオンになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5b_Lに達したタイミングで、スイッチング素子5bがオフになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5c_Hに達したタイミングで、スイッチング素子5cがオンになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5c_Lに達したタイミングで、スイッチング素子5cがオフになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5d_Hに達したタイミングで、スイッチング素子5dがオンになる。
また、基準波60の値が、判定閾値5d_Lに達したタイミングで、スイッチング素子5dがオフになる。
5a_L<5b_H≦5d_L<5c_H<5b_L<5a_H≦5c_L<5d_H
5b_H<5d_L<5c_H≦5b_L<5a_H<5c_L<5d_H≦5a_L
すなわち、スイッチング素子5aがオフになるタイミングとスイッチング素子5bがオンになるタイミングとの間にデッドタイムが必要である。
また、スイッチング素子5bがオフになるタイミングとスイッチング素子5bがオンになるタイミングとの間にデッドタイムが必要である。
同様に、スイッチング素子5cがオフになるタイミングとスイッチング素子5dがオンになるタイミングとの間にデッドタイムが必要である。
また、スイッチング素子5dがオフになるタイミングとスイッチング素子5aがオンになるタイミングとの間にデッドタイムが必要である。
従って、デッドタイムが必要なゲートパルス信号のペアに対応する判定閾値ペアは、(5a_H、5b_L)、(5a_L、5b_H)、(5c_H、5d_L)、(5c_L、5d_H)となる。図6に示すように、判定閾値ペア(5a_H、5b_L)、(5a_L、5b_H)、(5c_H、5d_L)、(5c_L、5d_H)のレベル差はそれぞれ各デッドタイムの時間長に相当する値となっている。
図5に、電流Idsとデッドタイムの時間長との関係を示す第2のルックアップテーブルの例を示す。第2のルックアップテーブルは、第2のルックアップテーブル部148に予め記憶されている。図5の例1及び例2において、横軸が電流Ids、縦軸がデッドタイムの時間長である。図5の例1に示すように、デッドタイムの時間長と電流Idsとの関係は、勾配(傾き)が一定の1次関数で良い。あるいは、例2に示すように、デッドタイムの時間長と電流Idsとの関係が、勾配(傾き)が変化する変曲点を1以上有する2次以上の関数でも良いが、次の関係式(1)を満たす必要がある。
ワイドバンドギャップ半導体から成るスイッチング素子は,Si半導体ではユニポーラ動作が困難な高電圧領域で使用可能であり、スイッチング時に発生するスイッチング損失を大きく低減でき,電力損失の大きな低減が可能になる。また、電力損失が小さく、耐熱性も高いため、冷却部を備えてパワーモジュールを構成した場合、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。また、ワイドバンドギャップ半導体から成る電力用半導体スイッチング素子は、高周波スイッチング動作に適しており、高周波化の要求が大きいインバータやDC/DCコンバータに適用すると、スイッチング周波数の高周波化によって、インバータやDC/DCコンバータに接続されるリアクトルやコンデンサなどを小型化することもできる。よって、実施の形態1のゲート駆動信号生成部146は、炭化珪素などワイドギャップ半導体から成る電力用半導体スイッチング素子となる場合にも、同様な効果が得られる。
Claims (8)
- 半導体スイッチ素子と、
上記半導体スイッチ素子に流れる電流を検出する電流検出部と、
上記半導体スイッチ素子に対してデッドタイムが設定されたゲートパルス信号を印加して、上記半導体スイッチ素子のオン/オフを制御する制御器と
を備え、
上記制御器は、上記電流検出部によって検出された上記電流の値に応じて、上記半導体スイッチ素子のスイッチング周期に対する上記デッドタイムの割合を制御するものであって、
上記制御器は、上記半導体スイッチ素子に流れる電流の変化量に対して上記デッドタイムの変化量が負特性を有するように、上記半導体スイッチ素子のスイッチング周期に対する上記デッドタイムの割合を制御し、
上記半導体スイッチに流れる電流の変化量と上記デッドタイムの変化量との関係は、上記電流の変化量に対する上記デッドタイムの変化量の傾きが変化する変曲点を有し、上記変曲点を境にして、上記電流が大きい領域に比べて上記電流が小さい領域においては上記デッドタイムの変化量の傾きが大きく、且つ、下記の関係式を満たし、ここで、maxdutyはデューティの最大値(上記スイッチング周期Tswの一周期に対する電力伝送期間の割合を最大値0.5で表した場合)、tdは上記デッドタイム、Tswは上記スイッチング周期である、
- 前記制御器は、上記電流検出部によって検出された上記電流の値に応じて、デューティ最大値を制御する
請求項1に記載の電力変換装置。 - 上記半導体スイッチ素子は、誘導性負荷を駆動する
請求項1または2に記載の電力変換装置。 - 上記誘導性負荷は、リアクトルである
請求項3に記載の電力変換装置。 - 上記誘導性負荷は、モータのステータである
請求項3に記載の電力変換装置。 - 上記半導体スイッチ素子は,ワイドバンドギャップ半導体にて形成されている
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 上記ワイドバンドギャップ半導体は,炭化ケイ素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドである
請求項6に記載の電力変換装置。 - 上記半導体スイッチ素子は、MOSFETである
請求項1から7までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
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