以下、この発明による経路案内装置のいくつかの実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する経路案内装置の実施形態は、移動対象が自動車である、いわゆるカーナビゲーション装置に適用した場合である。そして、以下に説明する実施形態の経路案内装置は、経路探索の結果得られた経路上において、自車位置が、案内すべき経路において右折または左折するように設定されている交差点に近づいたときに、図15に示したように、表示画面DSPには、経路案内の地図画像MPと、その交差点位置を含むエリアの拡大図(以下、交差点拡大図と称する)CRとを並べて表示する機能を備える。
そして、以下に説明する経路案内装置の実施形態においては、交差点拡大図を、経路とは関係の薄い道路や関係が無い道路と、経路の道路とが紛らわしくなることがないように表示すると共に、それらの経路とは関係の薄い道路や関係の無い道路を目立たなくすることで、見た目の鬱陶しさも改善することができるように表示する。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態である経路案内装置のハードウエア構成例を示すブロック図である。この第1の実施形態の経路案内装置は、例えばマイクロコンピュータを備える制御部10により、後述する各部が制御される構成を備える。
制御部10には、システムバス100を介して、地図データ格納部11と、経路探索部12と、メモリ部13と、現在位置測定部14と、操作入力部インターフェース15と、表示制御部16と、経路案内表示処理部17とが接続されている。操作入力部インターフェース15には、操作入力部18が接続されている。また、表示制御部16には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなる表示部19が接続されている。
操作入力部18は、ボタン操作部と、表示部19の表示画面、この例ではLCD画面に重ねて配設されているタッチパネルとを含む。制御部10は、ボタン操作部におけるボタン操作を検出する機能と、タッチパネルを通じたタッチ操作を検出する機能とを備える。制御部10の、それらの操作を検出する機能を実行するためのソフトウエアプログラムは、メモリ部13に格納されている。
メモリ部13には、また、この経路案内装置の全体を制御するためのソフトウエアプログラムも格納されている。さらに、メモリ部13は、この例では、経路探索部12で実行された経路探索の結果の情報を格納する経路探索結果格納部131を備えている。
地図データ格納部11は、コンピュータで利用可能に電子化された地図データ、いわゆる電子地図データを格納している。この例の電子地図データは、経路探索を行うための経路探索用データを備えている。経路探索用データは、走行路の最小単位の道路に対応するリンクのデータ、交差点や行き止まりなどの道路の端点を現すノードのデータ、ランドマーク情報などを備えている。すなわち、経路探索用データは、道路網を、複数個のノードと各ノード間を接続するリンクとで表したデータとなっている。
リンクのデータには、リンクを識別するためのリンクID(identification)、リンクに対応する道路名や道路種別などのリンクの属性情報、及び当該リンクの平均通行所要時間などの道路の評価値(リンクコスト)などが含まれる。ノードのデータには、各ノードを識別するためのノードID、交差点や行き止まりなどのノードの属性情報などが含まれる。リンクに対応する道路の両端は、2個のノードで規定されるもので、リンクのデータと、当該リンクの両端のノードのデータとは対応して格納されている。リンクコストは、道路の種別、通行料金の有無、渋滞発生率、などを要因に基づいて決定されている。
経路探索部12は、操作入力部18を通じて利用者により設定された出発地、目的地、経由地などの情報を基に地図データ格納部11の経路探索用データを参照し、前記リンクコストを基準としながら、経路探索を行い、出発地から経由地を通って目的地に至るまでの最適経路を求めるようにする。求めた探索結果の経路情報は、メモリ部13の経路探索結果格納部131に格納される。
現在位置測定部14は、例えば、GPS(Global Positioning System)測位機能に加えて、ジャイロ等を用いた自律航法補助機能などを用いて、自車位置を検出する。後述する経路案内処理においては、この現在位置測定部14で測定した自車位置が表示画面の例えば中央に位置するような地図画像を、表示画面に表示する。この経路案内の表示画面においては、自車位置は、前述したような特定のマークにより表示されて、利用者が容易に視認することができるようにされる。
経路案内表示処理部17は、経路案内画像作成部171と、交差点拡大図作成部172とを備える。交差点拡大図作成部172は、表示コストレベル設定部173を含む。経路案内表示処理部17は、操作入力部18を通じて利用者により経路案内スタートの入力操作がなされることにより起動される。
経路案内画像作成部171は、操作入力部18を通じて経路案内スタートの入力操作がなされたときに、メモリ部13の経路探索結果格納部131に格納されている経路探索結果に基づいて、設定されている出発地から目的地までの経路案内を実行するための経路案内地図画像情報を作成する。経路案内画像作成部171は、現在位置測定部14で測位されて求められた現在位置に応じて、経路案内地図画像情報を更新する。
交差点拡大図作成部172は、この例においては、経路案内表示処理部17において、経路案内中における現在位置が、経路探索結果の経路が進行方向に対して直進方向ではなく、交差方向を示している交差点に近づいたときに、起動される。交差点拡大図作成部172は、起動されると、当該交差点拡大図を作成するエリアの道路に対応するリンクに関し、後述するようにして表示コストのレベルを評価して設定する。そして、交差点拡大図作成部172は、その評価結果の表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を制御することで、経路と関係が薄い道路、或いは経路と関係が無い道路は、目立たなく表示して、それらの道路と経路の道路とが紛らわしくなることを防止し、また、見た目の鬱陶しさも改善するようにする。
なお、経路探索部12、表示制御部16及び経路案内表示処理部17は、図1の構成においては、ディスクリートの機能手段として記載したが、これらは、制御部10が、メモリ部13に格納されるソフトウエアプログラムを実行することにより実現されるソフトウエア機能部として実現することができるものである。
[第1の実施形態における経路案内表示処理部17の処理動作例]
前述もしたように、経路案内装置においては、操作入力部18を通じた利用者による出発地、目的地、必要に応じた経由地の設定入力があり、かつ、経路探索要求を受け付けると、経路探索部12は、出発地から経由地を通って目的地に至るまでの最適経路を探索して、その探索結果の経路をメモリ部13の経路探索結果格納部131に格納するようにする。
経路探索部12により経路探索が行われ、経路探索結果格納部131に、その経路探索結果が格納されている状態において、操作入力部18を通じて経路案内の開始要求がなされると、経路案内表示処理部17が起動される。
図2は、経路案内表示処理部17の処理動作例を説明するためのフローチャートの一例である。
まず、経路案内表示処理部17は、経路案内画像作成部171を起動して、地図データ格納部11の電子地図データと、経路探索結果格納部131からの経路探索結果の情報と、現在位置測定部14からの自車の現在位置のデータとに基づいて、経路案内用の地図画像を作成させ、表示部19の表示画面に表示させるようにする(ステップS101)。なお、この経路案内用の地図画像は、利用者により指定されている縮尺で表示される。
ここで、経路案内画像作成部171が作成する経路案内用の地図画像は、現在位置測定部14で測定されて求められた自車の現在位置を中心とした地図画像であって、その地図画像上において、経路探索結果格納部131に格納されている経路探索結果に基づいて決定される経路の道路が強調表示されると共に、現在位置マークがその経路の道路上に表示されているものとなっている。そして、経路案内画像作成部171は、自車の現在位置が移動するに伴って自車の現在位置マークの地図上における位置を変更するように、表示画面の地図画像を、自車の移動に伴って変更するようにする。
次に、経路案内表示処理部17は、自車の現在位置が交差点拡大図の表示開始位置になったか否か判別する(ステップS102)。ここで、「自車の現在位置が交差点拡大図の表示開始位置になった」とは、交差点の先の経路探索結果の経路が、進行方向に対して直進方向ではなく、進行方向に交差する方向を示しているときであって、自車の現在位置が、当該交差点から所定距離だけ手前の位置になったときである。
このステップS102で、自車の現在位置が交差点拡大図の表示開始位置になってはいないと判別したときには、経路案内表示処理部17は、処理をステップS101に戻して、このステップS101の処理を行う。
また、ステップS102で、自車の現在位置が交差点拡大図の表示開始位置になったと判別したときには、経路案内表示処理部17は、交差点拡大図作成部172を起動して、交差点拡大図を作成させ、表示画面を分割して、前述したように経路案内用の地図画像と並列に表示させるようにする(ステップS103)。この交差点拡大図作成部172の詳細な処理例は後述する。
次に、経路案内表示処理部17は、自車の現在位置が交差点拡大図の表示終了位置になったか否か判別する(ステップS104)。ここで、自車の現在位置が交差点拡大図の表示終了位置になったとは、自車の現在位置が、交差点を通過した位置になったときである。
ステップS104で、自車の現在位置が交差点拡大図の表示終了位置になってはいないと判別したときには、経路案内表示処理部17は、経路案内用の地図画像と交差点拡大図とを並列に表示させる状態を継続する。また、ステップS104で、自車の現在位置が交差点拡大図の表示終了位置になったと判別したときには、経路案内表示処理部17は、交差点拡大図作成部172の処理動作を終了させて、表示画面における交差点拡大図の表示を終了させる(ステップS105)。
次に、経路案内表示処理部17は、操作入力部18を通じた操作入力を監視し、経路案内の終了指示があったか否か判別し(ステップS106)、終了指示がなかったと判別したときには、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。そして、ステップS106で、終了指示があったと判別したときには、経路案内表示処理部17は、この図2の経路案内表示処理ルーチンを終了する。
[第1の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例]
次に、この第1の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例を、図3のフローチャート及びその処理結果の例を説明する図4を参照しながら説明する。
交差点拡大図作成部172は起動されると、まず、交差点拡大図を作成するエリアを定め、そのエリアに含まれるノード及びリンクを、地図データ格納部11から収集する。そして、交差点拡大図作成部172は、表示コストレベル設定部173を起動して、この第1の実施形態においては、収集したリンクの全てについて、表示コストのレベルを設定させるようにする(ステップS111)。
ここで、リンクについての表示コストのレベルとは、リンクを目立たないように表示する度合いを示し、このレベルが高いほど、リンクに対応する道路を目立たないように表示する度合いが大きいことを意味している。すなわち、リンクの表示コストのレベルが「0」であれば、目立たなくする度合いが「0」であるので、リンクに対応する道路を最もはっきりと表示することを意味し、レベルの数値が大きくなればなるほど、リンクに対応する道路を目立たなくする度合いを高くするものである。
この第1の実施形態における表示コストレベル設定部173の処理動作の例を以下に説明する。表示コストレベル設定部173は、それぞれの道路に対応するリンクと、経路探索結果の経路との位置的関係に応じて、当該リンクの表示コストのレベルを設定するが、この第1の実施形態においては、表示コストレベル設定部173は、特に、リンクの経路探索結果の経路との接続関係に着目して表示コストのレベルを設定する。
すなわち、リンクが経路探索結果の経路と直接的に接続されているときには、当該リンクと経路との関係性が高いとして、表示コストのレベルは低いものとする。そして、リンクが経路探索結果の経路に対して、他のリンクを挟んで間接的に接続されているときには、その間に挟む他のリンクの数が多いほど、表示コストのレベルを高く設定する。すなわち、経路に対して他のリンクを挟んで間接的に接続されているリンクは、経路からの離隔度が大きくなればなるほど、表示コストのレベルを高く設定する。
そして、この第1の実施形態では、リンクが経路探索結果の経路とは接続を持たないときには、表示コストのレベルをマイナスの値として、表示画面に表示するリンクから除外するようにする。
以上のことを踏まえて、表示コストレベル設定部173は、まず、交差点拡大図を作成するエリア内において、経路探索結果格納部131に格納されている経路に相当するリンクの表示コストのレベルを「0」に設定する(ステップS112)。つまり、経路に相当するリンクに対応する道路を、最も、目立つ度合いで表示するレベルに設定する。
次に、表示コストレベル設定部173は、当該エリア内においては、いずれのリンクにも接続していないリンクの表示コストのレベルを「−1」に設定する(ステップS113)。
次に、表示コストレベル設定部173は、経路に相当するリンクと直接に接続している全リンクの表示コストのレベルを「1」に設定する(ステップS114)。そして、表示コストレベル設定部173は、繰り返し処理のための変数i(iは整数)を、初期値であるi=1に設定し(ステップS115)、表示コストのレベルを「i」に設定したリンクに接続している全リンクの表示コストのレベルを「i+1」に設定する(ステップS116)。
次に、表示コストレベル設定部173は、交差点拡大図を作成するエリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したか否か判別し(ステップS117)、完了していないと判別したときには、繰り返し処理のための変数iを「i=i+1」に変更して(ステップS118)、処理をステップS116に戻し、このステップS116以降の処理を繰り返す。
また、ステップS117で、エリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したと判別したときには、表示コストレベル設定部173は、その設定結果を交差点拡大図作成部172に通知する。この通知を受けた交差点拡大図作成部172は、設定された全リンクの表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を定めて、交差点拡大図を表示画面に表示する(ステップS119)。以上で、第1の実施形態の場合の交差点拡大図の作成処理ルーチンは終了となる。
図4(A)に、この第1の実施形態において、表示コストレベル設定部173により設定された交差点拡大図のエリア内の各リンクに設定された表示コストのレベルの例を示す。この図4(A)においては、設定された各リンクの表示コストのレベルは、各リンク上で、四角で囲んだ数値として示してある。後述する表示コストのレベルの例の図においても同様である。
すなわち、この図4(A)において、太線で示すリンクL0a,L0b,L0c,L0d,L0eは、経路探索結果の経路のリンクであって、前述したステップS112において、表示コストのレベルが「0」に設定される。そして、交差点拡大図のエリア内では経路のリンクL0a,L0b,L0c,L0d,L0eとは接続を持たないリンクLnoは、前述したステップS113において、表示コストのレベルが「−1」に設定される。
そして、この経路のリンクL0a,L0b,L0c,L0d,L0eのそれぞれに直接に接続されているリンクL1a、L1b、L1c、L1d,L1e,L1f,L1g,L1hのそれぞれは、前述したステップS114において、表示コストのレベルが「1」に設定される。そして、これらのリンクL1a〜L1hのそれぞれに直接に接続されているリンクL2a、L2b、L2c、L2d,L2e,L2f,L2g,L2h,L2i,L2j,L2k,L2l,L2m,L2n,L2oのそれぞれは、繰り返し処理のための変数iがi=1のときの前述したステップS116において、表示コストのレベルが「2」に設定される。さらに、図4(A)の例では、表示コストのレベルが「2」に設定されたリンクL2jまたはリンクL2kに接続されているリンクL3aの表示コストのレベルが、繰り返し処理のための変数iがi=2のときの前述したステップS116において「3」に設定される。
この実施形態では、交差点拡大図作成部172では、以上のように設定された各リンクの表示コストのレベルに応じて、各リンクに対応する道路の濃淡を定めて、交差点拡大図を作成する。この場合に、表示コストのレベルが「0」のリンクに対応する道路の表示濃度が最も濃くなり、表示コストのレベルが「1」→「2」→「3」というように高くなるにつれて、それぞれのリンクに対応する道路の表示濃度は、順次に、より薄くなるように表示される。なお、この実施形態では、表示コストのレベルが「−1」であるリンクは、表示対象から除外される。
交差点拡大図として表示するエリア内の各リンクの表示コストのレベルが、図4(A)に示すように設定された場合に表示される、第1の実施形態における交差点拡大図CR1の例を、図4(B)に示す。この図4(B)に示すように、この第1の実施形態の交差点拡大図CR1によれば、経路との接続関係が全く無いリンクLnoは、当該交差点拡大図CR1には表示されなくなる。そして、各リンクの表示濃度は、各リンクの経路との接続関係および経路からの離隔度に応じたものとされる。
したがって、経路と関係が薄い道路、或いは経路と関係が無い道路は、目立たなく表示されて、経路の道路とそれらの道路とが紛らわしくなることが防止される。また、経路と関係の無い道路は表示され、経路と関係の薄い道路は目立たないので、見た目の鬱陶しさも改善される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の経路案内装置は、経路案内表示処理部17の交差点拡大図作成部172のうち、表示コストレベル設定部173の処理動作が、第1の実施形態の経路案内装置のそれとは異なる。そして、第2の実施形態の経路案内装置のその他の構成は、図1に示したハードウエア構成例及び図2に示した経路案内表示処理部17の経路案内画像作成部171の処理の概要を含め、第1の実施形態の経路案内装置と全く同様に構成される。
上述した第1の実施形態では、経路探索結果の経路との接続関係のみに基づいて、リンクの表示コストのレベルを設定するようにした。しかし、経路案内においては、利用者は、その進行方向の先のリンクに対しては、高い関心度(注目度)を示すが、進行方向に交差する方向のリンクに対しては、あまり高い関心度(注目度)を示さない。そこで、この第2の実施形態においては、表示コストのレベルの「1」以降の設定においては、表示コストのレベルの設定済みのリンクと未設定のリンクの接続関係のみではなく、接続角度を考慮することで、表示コストのレベルの設定済みのリンクとの接続性は高いが、利用者が気にする必要のない道路に対応するリンクの表示コストのレベルを、高くするように設定する。
図5は、第2の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例を説明するためのフローチャートである。
この第2の実施形態の交差点拡大図作成部172は、まず、第1の実施形態と同様にして、交差点拡大図を作成するエリアを定め、そのエリアに含まれるノード及びリンクを、地図データ格納部11から収集する(ステップS201)。そして、交差点拡大図作成部172は、表示コストレベル設定部173を起動して、上述の第1の実施形態の図3のステップS102〜104と全く同様にして、経路のリンクについて表示コストのレベルを「0」に設定し、当該経路のリンクに接続されていないリンクについて表示コストのレベルを[−1]に設定し、さらに当該経路のリンクに接続されているリンクについて表示コストのレベルを「1」に設定するまでの処理を行う(ステップS202)。
次に、表示コストレベル設定部173は、繰り返し処理のための変数i(iは整数)を、初期値であるi=1に設定し(ステップS203)、表示コストのレベルを「i」に設定したリンクに接続しているリンクと表示コストのレベルが「i」のリンクとの接続角度を参照する(ステップS204)。
そして、表示コストのレベルが「i」のリンクに対する、この表示コストのレベルが「i」のリンクに接続しているリンクの接続角度が、180度か、あるいは180度以外の所定の角度か、すなわち、直進方向か、交差方向かを判別する(ステップS205)。このステップS205で、直進方向であると判別したときには、表示コストレベル設定部173は、表示コストのレベルが「i」に設定したリンクに対して直進方向に接続している当該リンクの表示コストのレベルを「i+1」に設定する(ステップS206)。また、ステップS205で、交差方向であると判別したときには、表示コストレベル設定部173は、表示コストのレベルが「i」に設定したリンクに対して交差方向に接続している当該リンクの表示コストのレベルを「i+2」に設定する(ステップS207)。
そして、ステップS206又はステップS207の次には、表示コストレベル設定手段173は、交差点拡大図を作成するエリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したか否か判別し(ステップS208)、完了していないと判別したときには、繰り返し処理のための変数iを「i=i+1」に変更して(ステップS209)、処理をステップS204に戻し、このステップS204以降の処理を繰り返す。
また、ステップS208で、エリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したと判別したときには、表示コストレベル設定部173は、その設定結果を交差点拡大図作成部172に通知する。この通知を受けた交差点拡大図作成部172は、設定された全リンクの表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を定めて、交差点拡大図を表示画面に表示する(ステップS210)。以上で、この第2の実施形態の場合の交差点拡大図の作成処理ルーチンは終了となる。
図6(A)は、上述の第2の実施形態を、図4に示した交差点拡大図と同じエリアに適用した場合における、当該エリアの各リンクに設定された表示コストのレベルの例を示す。この図6(A)と、前述の図4(A)とを比較することで分かるように、表示コストのレベルが「1」に設定されているリンクL1b,L1d,L1e,L1f,L1gに対して交差方向に接続されているリンクL2d,L2e,L2h,L2j,L2k,L2m,L2nの表示コストのレベルは、図4の(A)では「2」であったものが、図6(A)では「3」となっており、より関係性が低められている。また、リンクL3aの表示コストのレベルは、リンクL2j及びリンクL2kのいずれに対しても交差方向となっているので、図4(A)では「3」であったものが、図6(A)では「4」となっており、関係性が、より低められている。
交差点拡大図として表示するエリア内の各リンクの表示コストのレベルが、図4(A)に示すように設定された場合に表示される、第2の実施形態における交差点拡大図CR2の例を、図6(B)に示す。この図6(B)から分かるように、この第2の実施形態の交差点拡大図CR2によれば、第1の実施形態と同様に、各リンクの表示濃度は、各リンクの経路との接続関係および経路からの離隔度に応じたものとされる上に、表示コストのレベルが「1」以上のリンクに接続されているリンクについては、レベル設定済みのリンクとの接続角度が、直進方向よりも交差方向の場合の方が、より表示コストのレベルが高く設定される。したがって、この第2の実施形態によれば、経路のリンクに対応する道路に対する関係性が、より低くなると想定される上述のリンクL2d,L2e,L2h,L2j,L2k,L2m,L2n及びL3aは、第1の実施形態における表示コストのレベルよりも高く設定されて、例えば表示濃度がより薄くされ、表示画面上で、より目立たなくされる。
なお、上述した第2の実施形態では、表示コストのレベルの「1」以降の設定において、表示コストのレベルの設定済みのリンク(表示コストのレベルを「i」とする)と未設定のリンクとの接続角度が直進方向の場合には、未設定のリンクの表示コストのレベルを「i+1」とし、接続角度が交差方向の場合には、未設定のリンクの表示コストのレベルを「i+2」というように、表示コストのレベルを高く変更する度合いを変えるようにした。しかし、この第2の実施形態においては、表示コストのレベルを高く変更する度合いを変えるのではなく、表示コストのレベルの設定済みのリンク(表示コストのレベルを「i」とする)と未設定のリンクとの接続角度が直進方向の場合には、未設定のリンクの表示コストのレベルを「i+1」とするが、接続角度が交差方向の場合には、未設定のリンクの表示コストのレベルを「−1」として、接続角度が交差方向のリンクを非表示とするように設定しても良い。
[第3の実施形態]
この第3の実施形態の経路案内装置も、経路案内表示処理部17の交差点拡大図作成部172のうち、表示コストレベル設定部173の処理動作が、第1の実施形態の経路案内装置のそれとは異なる。そして、この第3の実施形態の経路案内装置のその他の構成は、図1に示したハードウエア構成例及び図2に示した経路案内表示処理部17の経路案内画像作成部171の処理の概要を含め、第1の実施形態の経路案内装置と全く同様に構成される。
[第3の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例]
一般に、カーナビゲーション装置において経路案内を利用する利用者(ドライバ)は、目標交差点で曲がることが重要であるので、目標交差点で曲がるまでは、進行方向において、当該目標交差点の先はどのようになっているか、高い関心度を示すものである。これに対して、利用者(ドライバ)は、曲がる目標交差点が分かればよいので、目標交差点を曲がった先については、詳しく表示する必要がない場合が多い。
この第3の実施形態は、上記の点を考慮したものである。すなわち、この第3の実施形態においては、交差点拡大図において、詳しく表示する必要のある目標交差点よりも進行方向の先のリンクは、経路のリンクに対して関係性を高めるようにすると共に、目標交差点を曲がった先については詳しく表示する必要がないので、経路のリンクに対する関係性を低下させるようにする。
図7は、第3の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例を説明するためのフローチャートである。
この第2の実施形態の交差点拡大図作成部172は、第1の実施形態と同様にして、交差点拡大図を作成するエリアを定め、そのエリアに含まれるノード及びリンクを、地図データ格納部11から収集する。そして、交差点拡大図作成部172は、表示コストレベル設定部173を起動して、収集したリンクの全てについて、表示コストのレベルを設定させるようにする(ステップS301)。
表示コストレベル設定部173は、まず、交差点拡大図を作成するエリア内において、経路探索結果格納部131に格納されている経路に相当するリンクのうちの、交差点までのリンクの表示コストのレベルを「0」に設定する(ステップS302)。
次に、表示コストレベル設定部173は、当該エリア内においては経路に相当するリンクに接続していないリンク、つまり、経路に相当するリンクとは直接的にも、また、間接的にも、ノードを共有しないリンクの表示コストのレベルを、「−1」に設定する(ステップS303)。
次に、表示コストレベル設定部173は、直進方向(進行方向)において交差点の先に接続されているリンクの表示コストのレベルを「0」に設定する(ステップS304)。次に、表示コストレベル設定部173は、経路に相当するリンクであって、交差点を曲がった先のリンクの表示コストのレベルを「1」に設定すると共に、表示コストのレベルを「0」に設定したリンクに接続している全リンクの表示コストのレベルを「1」に設定する(ステップS305)。
そして、表示コストレベル設定部173は、繰り返し処理のための変数i(iは整数)を、初期値であるi=1に設定し(ステップS306)、表示コストのレベルを「i」に設定したリンクに接続している全リンクの表示コストのレベルを「i+1」に設定する(ステップS307)。
次に、表示コストレベル設定部173は、交差点拡大図を作成するエリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したか否か判別し(ステップS308)、完了していないと判別したときには、繰り返し処理のための変数iを「i=i+1」に変更して(ステップS309)、処理をステップS307に戻し、このステップS307以降の処理を繰り返す。
また、ステップS308で、エリア内の全リンクについて、表示コストのレベルの設定を完了したと判別したときには、表示コストレベル設定部173は、その設定結果を交差点拡大図作成部172に通知する。この通知を受けた交差点拡大図作成部172は、設定された全リンクの表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を定めて、交差点拡大図を表示画面に表示する(ステップS310)。以上で、第3の実施形態の場合の交差点拡大図の作成処理ルーチンは終了となる。
図8は、上述の第3の実施形態を、図4に示した交差点拡大図と同じエリアに適用した場合における、当該エリアの各リンクに設定された表示コストのレベルの例を示す。この図8と、前述の図4(A)とを比較することで分かるように、経路に対応するリンクであっても、交差点を曲がった先にあるリンクL0d及びL0eの表示コストのレベルは、図4(A)では「0」であったものが、図8では「1」となっている。このため、リンクL0d及びL0eに接続しているリンクL1g及びL1hは、図4(A)では「1」であったものが、図8では「2」となっている。
一方、経路に対応するリンクではなくても、交差点よりも進行方向の先にあるリンクL1fの表示コストのレベルは、図8では「0」となっている。このため、このリンクL1fに接続しているリンクL2k,L2l,L2mの表示コストのレベルは、図4(A)では「2」であったものが、図8では「1」となっている。さらに、リンクL2kに接続しているリンクL3aの表示コストのレベルは、図4(A)では「3」であったものが、図8では「2」となっている。
以上のことから、この第3の実施形態によれば、交差点よりも進行方向の先にある道路の状況が、第1の実施形態の場合よりも詳細に表示され、交差点を曲がった先にある道路の状況は、第1の実施形態の場合よりも、経路に対する関係が低下するような表示態様で表示されるようになり、第1の実施形態の場合よりも、カーナビゲーションの経路案内を利用している利用者(ドライバ)の要求に合致する、分かり易い交差点拡大図とすることができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、上述した第3の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせた例である。すなわち、交差点拡大図のエリアにおけるリンクの表示コストのレベルを「1」に設定するまでは、上述の第3の実施形態の図7におけるステップS301〜ステップS305を用いる。そして、表示コストのレベルを「1」に設定した以降におけるリンクの表示コストのレベルの設定については、第2の実施形態の図5のステップS203以降のステップを利用するものである。
図9は、この第4の実施形態を、図4、図6及び図8に示した交差点拡大図と同じエリアに適用した場合における、当該エリアの各リンクに設定された表示コストのレベルの例を示す。この図9と、前述の図8とを比較することで分かるように、設定した表示コストのレベルが「1」までのリンクについては、両者は全く同様である。そして、表示コストのレベルが「1」に設定されているリンクL1a,L1b,L1d,L1e,L2k,L2m及びリンクL0d,L0eに対して交差方向に接続されているリンクL2b,L2d,L2e,L2h,L2j,L3a,L2m,L2o及びL1h,L1gの表示コストのレベルは、図8では「2」であったものが、図9では「3」となっている。
交差点拡大図として表示するエリア内の各リンクの表示コストのレベルが、図9に示すように設定された場合に表示される、第4の実施形態における交差点拡大図CR4の例を、図10に示す。この図10から分かるように、この第4の実施形態の交差点拡大図CR4によれば、第1の実施形態と同様に、各リンクの表示濃度は、各リンクの経路との接続関係および経路からの離隔度に応じたものとされる上に、表示コストのレベルが「1」以上のリンクに接続されているリンクについては、レベル設定済みのリンクとの接続角度が、直進方向よりも交差方向の場合の方が、より表示コストのレベルが高く設定される。さらに、この第4の実施形態によれば、交差点よりも進行方向の先にある道路の状況が、第3の実施形態の場合よりも詳細に表示され、また、交差点を曲がった先にある道路の状況は、第3の実施形態の場合よりも、経路に対する関係が低下するような表示態様で表示されて、利用者(ドライバ)の要求に合致する交差点拡大図とすることができる。
[第5の実施形態]
以上の実施形態においては、表示コストレベル設定手段173は、いずれも交差点拡大図を作成するエリアのリンクに、表示コストのレベルを設定するようにした。しかし、表示コストのレベルを、交差点拡大図を作成するエリアのリンクを規定するノードのそれぞれに設定し、その設定結果に応じてノード間のリンクに対応する道路の表示態様を決定するようにしても良い。この場合に、ノードに設定される表示コストのレベルは、ノード間に接続されるリンクに対応する道路の表示態様を決定するために用いられるものである。
第5の実施形態は、その場合の例であり、表示コストレベル設定手段173は、交差点拡大図を作成するエリアのノードの全てに表示コストのレベルを設定するようにする。したがって、この第5の実施形態の経路案内装置のその他の構成は、図1に示したハードウエア構成例及び図2に示した経路案内表示処理部17の経路案内画像作成部171の処理の概要を含め、第1の実施形態の経路案内装置と全く同様に構成される。
図11は、この第5の実施形態における交差点拡大図作成部172の処理動作例を説明するためのフローチャートである。
この第5の実施形態の交差点拡大図作成部172は、交差点拡大図を作成するエリアを定め、そのエリアに含まれる全てのノード及びリンクを、地図データ格納部11から収集する。そして、交差点拡大図作成部172は、表示コストレベル設定部173を起動して、収集したノードの全てについて、表示コストのレベルを設定させるようにする(ステップS401)。
表示コストレベル設定部173は、まず、交差点拡大図を作成するエリア内において、経路探索結果格納部131に格納されている経路に相当するリンクを繋ぐ全てのノードの表示コストのレベルを「0」に設定する(ステップS402)。次に、表示コストレベル設定部173は、経路に相当するリンクに接続しているリンクの未設定の側のノードの表示コストのレベルを「1」に設定する(ステップS403)。
次に、表示コストレベル設定部173は、繰り返し処理のための変数j(jは整数)を、初期値であるj=1に設定し(ステップS404)、表示コストのレベルを「j」に設定したノードに接続しているリンクの他側のノードの表示コストのレベルを「j+1」に設定する(ステップS405)。
次に、表示コストレベル設定部173は、交差点拡大図を作成するエリア内の全ノードについて、表示コストのレベルの設定を完了したか否か判別し(ステップS406)、完了していないと判別したときには、繰り返し処理のための変数jを「j=j+1」に変更して(ステップS407)、処理をステップS405に戻し、このステップS405以降の処理を繰り返す。
また、ステップS406で、エリア内の全ノードについて、表示コストのレベルの設定を完了したと判別したときには、表示コストレベル設定部173は、その設定結果を交差点拡大図作成部172に通知する。この通知を受けた交差点拡大図作成部172は、設定された全ノードの表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を定めて、交差点拡大図を表示画面に表示する(ステップS408)。以上で、この第5の実施形態の場合の交差点拡大図の作成処理ルーチンは終了となる。
図12は、この第5の実施形態を、上述の第1の実施形態〜第4の実施形態の場合と同じ交差点拡大図のエリアに適用した場合における、当該エリアについての全ノードに設定された表示コストのレベルの例を示す。
すなわち、この図12(A)において、経路探索結果の経路に相当する太線で示すリンクL0a,L0b,L0c,L0d,L0eに含まれるノードN1〜N6の全ては、前述したステップS402において、表示コストのレベルが「0」に設定される。
この第5の実施形態では、経路のリンクL0a,L0b,L0c,L0d,L0eとは接続を持たないリンクLnoは、交差点拡大図のエリア内ではノードが存在しないため、表示コストのレベルの設定対象から外れる。このため、この第5の実施形態では、当該リンクLnoに対応する道路は、交差点拡大図における描画対象とはならない。
そして、経路のノードN1〜N6のそれぞれに接続されているリンクL1a、L1b、L1c、L1d,L1e,L1f,L1g,L1hの他方の端部のノードN7〜N13のそれぞれは、前述したステップS403において、表示コストのレベルが「1」に設定される。
そして、表示コストのレベルが「1」に設定されたノードN7〜N13のそれぞれに接続されているリンクであって、他方の端部のノードが未設定であるリンクL2a、L2c、L2d,L2f,L2g,L2i,L2j,L2k,L2l,L2n,L2oのそれぞれの前記他方の端部のノードN14〜N23は、繰り返し処理のための変数jがj=1のときの前述したステップS405において、表示コストのレベルが「2」に設定される。さらに、図12の例では、表示コストのレベルが「2」に設定されたノードN20に接続されているリンクL3aの未設定の他方の端部のノードN24の表示コストのレベルが、繰り返し処理のための変数jがj=2のときの前述したステップS405において「3」に設定される。
この実施形態では、交差点拡大図作成部172では、2個の両端ノードの間のリンクに対応する道路の濃淡を、以上のようにして、それらの両端のノードに設定された表示コストのレベルに応じて定めて、交差点拡大図を作成する。この場合に、交差点拡大図作成部172は、リンクの両端の2つのノードに設定された表示コストのレベルが同じ場合には、その表示コストのレベルに基づいてリンクに対応する道路の濃淡を定める。しかし、リンクの両端の2つのノードに設定された表示コストのレベルが異なる場合があり、その場合には、交差点拡大図作成部172は、以下に説明するような幾つかの決定方法のうちの一つにより、その両端のノードの間のリンクに対応する道路の濃淡を定める。
図13は、リンクの両端の2つのノードに設定された表示コストのレベルが異なる場合における、当該両端のノードの間のリンクに対応する道路の濃淡を定める方法を説明するための図である。
図13(A)に示す方法においては、リンクLの両端のノードNa及びNbに設定された表示コストのレベルのうち、低い方のレベルに基づいて、当該両端のノードの間のリンクに対応する道路の濃淡を定める。また、図13(B)に示す方法においては、リンクLの両端のノードNa及びNbに設定された表示コストのレベルのうち、高い方のレベルに基づいて、当該両端のノードNa,Nbの間のリンクLに対応する道路の濃淡を定める。また、図13(C)に示す方法においては、リンクLの両端のノードNa及びNbに設定された表示コストのレベルの平均値に基づいて、当該両端のノードNa,Nbの間のリンクLに対応する道路の濃淡を定める。さらに、図13(D)に示す方法は、リンクLに対応する道路の濃淡を、リンクLの両端のノードNa及びNbに設定された表示コストのレベルのそれぞれに対応する濃度となるように徐々に変化させる表示態様、すなわち、いわゆるグラデーションの表示態様とする方法である。
交差点拡大図作成部172は、図13(A)〜(D)のいずれか一つのリンクの表示態様にすることを予め定めて用いるようにしても良いし、事前に操作入力部18を通じて、利用者により、図13(A)〜(D)のいずれの表示態様でリンクに対応する道路を表示するかを選択させておき、その選択された表示態様となるように表示するようにしても良い。
この第5の実施形態においても、上述の第4の実施形態と全く同様の効果が得られることは言うまでも無い。そして、この第5の実施形態によれば、リンクの両端のノードについて、リンクの表示コストのレベルを設定するので、交差点拡大図のエリア内に含まれる全てのリンクの両端のノード(一部のノードはエリア外となる)を、予め収集する必要はあるが、いずれのリンクとも接続されていないリンクについては、ノードが存在しないので、交差点拡大図から表示対象から自動的に外れるというメリットがある。
なお、図11の例は、表示コストのレベルが「i=1」以降の表示コストのレベルの設定においては、上述した第1の実施形態と同様に、表示コストのレベルが「i」であるノードとの接続関係のみに基づいて、ノードの表示コストのレベルを設定するようにした。しかし、この第5の実施形態のノードに表示コストのレベルを設定する場合においても、上述した第2の実施形態〜第4の実施形態のように、接続関係のみではなく、ノードが進行方向にあるか、或いは進行方向とは交差する方向にあるか、さらに、ノードが交差点の先の進行方向にあるか、それとも交差点を曲がった方向にあるかなどを考慮して、表示コストのレベルを設定するようにしても良い。
[第6の実施形態]
上述した第1〜第4の実施形態における交差点拡大図作成部172では、表示コストレベル設定部173に、交差点拡大図を作成するエリアの全リンクについて、表示コストのレベルの設定をさせるようにした。しかし、以下に説明する第6の実施形態のように、交差点拡大図を作成するエリアにおいて、経路を基点として、当該経路から枝を伸ばすようにしてリンクを検索し、その検索したリンクに、表示コストのレベルを設定してゆくようにしても良い。
この第6の実施形態によれば、交差点拡大図を作成するエリアにおいて、経路に直接的に、又は間接的に接続しているリンクとは接続を持たないリンクは、表示コストのレベルを設定する対象とならない。このため、上述した第1〜第4の実施形態の場合における、当該経路に直接的に、又は間接的に接続しているリンクとは接続を持たないリンクは、表示コストのレベルを「−1」に設定する処理は不要となり、処理を簡易化することができる。
この第6の実施形態における交差点拡大図作成部171の処理例を、図14のフローチャートに示す。この第6の実施形態の場合においても、表示コストのレベルが「i=1」以降の表示コストのレベルの設定においては、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態のいずれも適用することができる。以下に説明する図11の例は、表示コストのレベルが「i=1」以降の表示コストのレベルの設定に、第1の実施形態の手法を用いた場合である。
この第6の実施形態においては、交差点拡大図作成部171は、まず、交差点拡大図の作成エリアを設定して、表示コストレベル設定部172を起動する(ステップS501)。表示コストレベル設定部172は、まず、交差点拡大図の作成エリア内の経路に相当するリンクを検出し、その検出したリンクの表示コストのレベルを「0」に設定する(ステップS502)。
次に、表示コストレベル設定部172は、経路に相当するリンクに接続しているリンクを検出し、その検出したリンクの表示コストのレベルを「1」に設定する(ステップS503)。
次に、表示コストレベル設定部173は、繰り返し処理のための変数i(iは整数)を、初期値であるi=1に設定し(ステップS504)、表示コストのレベルを「i」に設定したリンクに接続しているリンクを検出し、その検出したリンクの表示コストのレベルを「i+1」に設定する(ステップS505)。
次に、表示コストレベル設定部173は、交差点拡大図を作成するエリア内に、表示コストのレベルが未設定のリンクが残っていないか否か判別し(ステップS506)、未設定のリンクがあると判別したときには、繰り返し処理のための変数iを「i=i+1」に変更して(ステップS507)、処理をステップS505に戻し、このステップS505以降の処理を繰り返す。
また、ステップS506で、エリア内の未設定のリンクは無いと判別したときには、表示コストレベル設定部173は、その設定結果を交差点拡大図作成部172に通知する。この通知を受けた交差点拡大図作成部172は、設定された全リンクの表示コストのレベルに応じて、リンクに対応する道路の表示態様を定めて、交差点拡大図を表示画面に表示する(ステップS508)。以上で、第6の実施形態の場合の交差点拡大図の作成処理ルーチンは終了となる。
なお、以上の第6の実施形態の説明は、リンクに表示コストのレベルを設定する場合であったが、第5の実施形態と同様に、ノードに表示コストのレベルを設定する場合にも、この第6の実施形態は適用可能である。
[その他の実施形態又は変形例]
なお、以上の実施形態の説明では、リンク又はノードに設定された表示コストのレベルに応じて決定する道路の表示態様は、表示された地図上の道路の濃度としたが、道路の表示態様は濃度に限られるものではない。例えば、表示された地図上の道路の色を、リンク又はノードに設定された表示コストのレベルに応じて決定することで、経路との関係性に応じてリンクに対応する道路を表示するようにしても良い。
道路の表示態様は、色と濃度との組み合わせであっても良い。例えば、道路の表示態様としては、全てのリンクを同一色として、その濃度を、表示コストのレベルに応じて変化させるようにしてもよいし、道路を、表示コストのレベルに応じた異なる色で表示すると共に、その異なる色毎の濃度を、表示コストのレベルに応じて変化させるようにしても良い。
また、道路の表示態様は、透明及び半透明の態様を用いるようにしても良い。その場合には、表示コストのレベルが大きいほど、道路の透明度を上げるようにする。
また、道路の表示態様は、表示コストのレベルが高くなるほど、線幅を狭くして、より目立たなくするようにしても良い。
また、前述の第5の実施形態において、ノードに表示コストのレベルを設定した場合のリンクに対応する道路の表示態様として、図13(D)に示したグラデーション表示を用いる例を示したが、リンクに表示コストのレベルを設定した場合においても、レベルが変わる前後のリンクについて、グラデーション表示を用いるようにしても良い。
また、上述の実施形態では、交差点拡大図のエリア内では、他のリンクとの接続が無いリンクは、表示コストのレベルを、上述の例では「−1」として、当該リンクに対応する道路は非表示としたが、非表示とするのではなく、他の道路とは接続のない道路であることを、特定の表示態様、例えば特定の色などで表示して、利用者に報知するようにしても良い。
また、上述の実施形態においては、リンクに対応する道路は、リンク又はノードに設定された表示コストのレベルに応じて表示態様を変更して表示するようにした。しかし、リンクまたはノードに設定された表示コストのレベルが、あるレベルよりも高くなった場合には、それらのリンクに対応する道路やそれらのノードで特定される道路は、非表示とするようにしても良い。その場合に、非表示とするか否かの境界のレベルは、利用者が選択することができるようにしても良い。
そして、交差点拡大図のエリア(表示領域)の拡大率は、予め固定的に定めた所定の値とするのではなく、非表示となる道路や関係が薄いため表示する意味の無い道路を考慮しつつ、現在位置を含む経路に対して接続性の高いリンクに対応する道路が十分に表示される拡大率を計算し、その計算結果から定めるようにしても良い。例えば、経路に対して接続性が低いリンクが交差点拡大図のエリアの周辺に多く、それらのリンクに対応する道路を非表示とした場合に、交差点拡大図のエリアの周辺は空白となるので、その分だけ、交差点拡大図の拡大率を挙げて、より詳しい表示とすることができる。
また、上述の実施形態では、表示コストのレベルは、リンクのそれぞれの単位で設定するようにした。しかし、リンク単位に表示コストのレベルを設定するのではなく、例えば、道路名が同じ、道路種別が同じなど、連続性のある複数のリンクを連結したリンク列の単位で表示コストのレベルを評価すると共に、そのリンク列単位に対応する道路の全体を、リンク列に設定した表示コストのレベルに応じた表示態様で描画制御するようにしても良い。
また、表示コストのレベルを設定するための基準となる経路探索結果に基づいた経路と地図画像上における道路との位置的関係は、上述の実施形態では、接続関係のみ、接続関係とその接続方向(直進方向か交差方向か)、接続関係とその接続が交差点の先の直進方向か交差方向か、などを例として挙げたが、これらに限られるものではない。例えば、経路探索結果に基づいた経路と地図画像上における道路との離隔距離に応じて、表示コストのレベルを設定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、経路案内時の表示画面において、現在位置が、経路として曲がるものと指定されている交差点に近づいたときに表示される交差点拡大図に対して、この発明を適用した場合について説明した。しかしながら、この発明は、このような交差点拡大図の表示にのみ、適用されるものではなく、経路案内時の通常の表示画面において、常に行うようにしても良い。その場合に、この発明による表示コストのレベルに応じて道路の表示態様を変更した表示モードと、全ての道路を従前と同様の表示態様で表示する通常モードとを、利用者が切り替えることができるようにしても良い。
なお、経路案内装置では、出発地と目的地とを設定して経路探索を行って経路案内をしている状態だけではなく、表示画面に地図を表示しながら、現在位置(自車位置)を表示するようにするモードもある。このモードにおいても、現在走行中の道路を基準にして、進行方向の道路や交差方向の道路に対応するリンクやノードに表示コストのレベルを設定して、その設定したレベルに対応して、道路の表示態様を変更して表示するようにすることもできる。ただし、その場合には、現在位置(自車位置)が、例えば所定距離だけ移動する毎に、表示コストのレベルの演算をやり直して、表示画面上の表示地図画像の道路の表示態様を更新するようにする。
また、上述の実施形態では、経路案内装置は、地図データ格納部11を備えると共に、経路探索部12、経路案内表示処理部17を備えていて、当該経路案内装置のみで、この発明を構成することができるようにした場合である。しかし、この発明の経路案内装置は、ネットワークを通じてサーバ装置とクライアント装置とが接続されるシステムの構成とすることもできるものである。
その場合には、サーバ装置は、図1の構成における、地図データ格納部11、経路探索部12、メモリ部13、経路案内表示処理部17のそれぞれを備えると共にクライアント装置との通信部を備え、クライアント装置は、メモリ部13、現在位置測定部14、操作入力部インターフェース15、操作入力部18、表示制御部16、表示部19のそれぞれを備えると共に、サーバ装置との通信部を備える構成とすることができる。
その構成においては、サーバ装置は、クライアント装置からの出発地や目的地の情報を伴う経路探索要求を受けて経路探索を行い、その結果をメモリ部に記憶する。さらに、サーバ装置は、クライアント装置からの経路案内要求を受けて、経路案内表示処理部17の経路案内画像作成部171と、交差点拡大図作成部172を用いて、経路案内の地図画像を作成してクライアント装置に提供する。クライアント装置は、サーバ装置からの画像情報を受けて、表示部19に表示することで、経路案内のサービスを受けることができる。
なお、クライアント装置は、経路案内表示処理部の機能を、例えばアプリケーションプログラムとしてサーバ装置から受ける等して備えるようにすると共に、サーバ装置から地図情報や経路探索結果の情報などの提供を受けることで、自装置で、経路案内の地図画像及び交差点拡大図を作成して表示部19の表示画面に表示するようにすることもできる。クライアント装置は、例えば、インターネットを通じてサーバ装置に接続することができる高機能電話端末(いわゆるスマートフォン)の構成とすることもできる。
また、上述の実施形態は、例えば移動対象が自動車であるカーナビゲーション装置としての経路案内装置の場合を例にしたが、この発明の経路案内装置は、移動対象が、自動車である場合のみではなく、例えば自転車や歩行者などである場合にも適用可能である。