JP2008005704A - 乳飲料の製造方法および乳飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱安定性および長期間の保存安定性に優れた乳飲料の製造方法およびそれより得られる乳飲料を提供する。
【解決手段】コーヒー抽出液または紅茶抽出液と、乳成分、乳化剤および油脂とから成り、且つ、油分が1重量%以上の油脂混合乳飲料組成物を調製する工程と、得られた油脂混合乳飲料組成物を均質化する工程と、均質化された油脂混合乳飲料組成物から、エマルション粒子の粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する工程と、分離回収されたエマルション粒子を含む乳飲料組成物を殺菌および充填する工程とから成る乳飲料の製造方法および当該製造方法で得られる乳飲料。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳飲料の製造方法に関し、詳しくは、熱安定性および長期間の保存安定性に優れた乳飲料の製造方法およびそれより得られる乳飲料に関する。
乳脂肪や乳タンパク質から成る乳成分を含有するミルクコーヒーやミルク紅茶などの乳飲料においては、従来から、保存時における乳成分の分離が問題となっている。すなわち、これらの乳飲料においては、長時間の保存と共に比重の軽い乳脂肪が上部に浮上して乳成分の層を形成する。この現象はクリーミングと呼ばれ、ミルクコーヒー等ではよく知られているものであり、時間の経過と共に浮上した乳脂肪は、凝集、合一して、乳化破壊を引き起こし、所謂オイルオフの状態へと至る。この場合、容器に油滴が付着し、浮上した乳成分の再分散性は悪くなるとともに、再分散後も乳成分の塊が上部に浮遊した状態となる。
日本を中心にアジア諸国において、特に最近では、缶入り飲料に代わり、PETボトル入り飲料が普及してきているため、乳成分の乳化安定性がより重要視されている。これは、PETボトルは透明容器なので消費者は乳飲料の外観を見ることが出来、PETボトル飲料において乳成分の分離が起こった場合には、消費者に不快な印象を与え、商品価値の低下や、消費者からのクレームの原因につながる可能性があるためである。
特に、ミルクコーヒーにおいては、最近では、焙煎コーヒー豆量が多く、様々な焙煎度の豆を使用したPETボトル入り飲料が増えつつあるが、焙煎が深いコーヒー豆の抽出液と乳成分とを含むコーヒー飲料では、乳成分の浮上が速くなることが知られている。また、乳脂肪に加え、油分として植物性油脂を配合した乳飲料も増えつつあるが、このような乳飲料では、油滴の浮上がより速くなり、短期間にクリーミングが起こって乳化が不安定化しやすいことが知られている。
自動販売機で加温下に長時間保存した場合でも、良好な乳化安定性と風味を維持するミルクコーヒーを製造するために、構成脂肪酸がパルミチン酸を主体とし且つモノエステル含有量が高いHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルと構成脂肪酸がステアリン酸を主体とするHLB10未満のショ糖脂肪酸エステルとを組み合わせて添加する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、PETボトル入りの乳飲料における長期間の乳化安定性を維持するために、構成脂肪酸がパルミチン酸を主体とし且つモノエステル含有量が高いHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルと20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測定した曇点が90℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルとを組み合わせて添加する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、乳成分含有飲料をレトルト殺菌した後に高温条件下で長期間保存した場合の耐熱性芽胞菌の発芽や増殖を抑制するため、更には、内容物の乳化安定性を維持するために、ジグリセリン脂肪酸モノエステルと、HLB3〜16のポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB3〜16のショ糖脂肪酸エステル等を添加する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−289164号公報 特開2000−333599号公報 特開平10−165151号公報
従来の技術では、焙煎コーヒー豆量が多く焙煎が深いミルクコーヒーにおいて、乳化安定性が充分満足のいくものは得られていない。したがって、本発明の目的は、焙煎コーヒー豆量が多い場合や、焙煎が深いコーヒー豆を使用した場合でも、乳成分の浮上が抑制され、長期間保存しても凝集が起こらないコーヒー飲料およびその製造方法を提供すること、及び、植物性油脂を配合した乳飲料においてもミルクコーヒーと同様な効果が得られる乳飲料およびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、乳飲料組成物に油脂を混合し、均質化後に分離操作を施して比較的大きな油滴を除去することにより、乳成分の浮上が抑制され、乳化安定性が良好になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の要旨は、コーヒー抽出液または紅茶抽出液と、乳成分、乳化剤および油脂とから成り、且つ、油分が1重量%以上の油脂混合乳飲料組成物を調製する工程と、得られた油脂混合乳飲料組成物を均質化する工程と、均質化された油脂混合乳飲料組成物から、エマルション粒子の粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する工程と、分離回収されたエマルション粒子を含む乳飲料組成物を殺菌および充填する工程とから成ることを特徴とする乳飲料の製造方法に存する。
本発明の第2の要旨は、上記の製造方法で得られる乳飲料に存する。
本発明の乳飲料の製造方法は、乳飲料組成物に油脂を混合し、均質化後に分離操作を施すことで比較的大きな油滴を除去するため、粒子径が小さく且つ狭い分布の油滴を得ることが出来る。従って、本発明の乳飲料の製造方法で製造した乳飲料は、加熱殺菌後の乳成分の浮上が抑制され、長期間保存後の乳化安定性も良好である。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。本発明の乳飲料の製造方法は、コーヒー抽出液または紅茶抽出液と、砂糖、乳成分、乳化剤、水および油脂とから成り、且つ、油分が1重量%以上の油脂混合乳飲料組成物を調製する工程(第1工程)と、得られた油脂混合乳飲料組成物を均質化する工程(第2工程)と、均質化された油脂混合乳飲料組成物から、エマルション粒子の粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する工程(第3工程)と、分離回収されたエマルション粒子を含む乳飲料組成物を殺菌および充填する工程(第4工程)とから成る。特に、本発明の特徴は、乳飲料組成物に油脂を混合し、均質化後に分離操作を施して比較的大きな油滴を除去することにより、エマルション粒子の粒子径を小さく且つ粒子径分布を狭くすることである。
本発明の乳飲料の製造方法は、ミルクコーヒー、ミルクティー等の製造方法に適応可能であるが、特にミルクコーヒーの製造方法に適応することが、本発明の効果がより顕著に発揮されるため好ましい。以下の説明において、ミルクコーヒーの製造方法(上記第1工程でコーヒー抽出液を使用した場合)およびそれより得られる乳飲料としてミルクコーヒーを代表例として説明する。
第1工程では、少なくともコーヒー抽出液または紅茶抽出液と、乳成分、乳化剤および油脂とから成り、油分が1重量%以上の油脂混合乳飲料組成物を調製する。
第1工程におけるコーヒー抽出液を得るために使用されるコーヒー豆は、特に限定されず、2種類以上のコーヒー豆を混合して使用してもよい。通常、焙煎されたコーヒー豆が使用される。焙煎の方法としては、直火式焙煎機、熱風式焙煎機などの装置を使用し、200〜300℃の温度で目標のL値になるまで加熱を行う。
L値はコーヒー豆の焙煎の程度を表すために使用される指標である。L値はコーヒー焙煎豆の明度を色差計で測定した値であり、黒をL値0で、白をL値100で表す。従って、コーヒー焙煎豆の焙煎が深いほど焙煎豆の色は黒っぽくなるため、L値は低い値となり、コーヒー飲料の苦みが強くなる。逆に、焙煎が浅いほどL値は高い値となり、酸味が強くなる。通常、コーヒー飲料の製造には、L値が15〜35の焙煎度のコーヒー豆が使用される。L値が15未満の場合はコーヒー飲料の苦みが強くなり過ぎ、L値が35を超える場合は酸味が強くなり過ぎる。
コーヒー抽出液は次の様にして得られる。先ず、コーヒーミル等を使用し、焙煎されたコーヒー豆を所定の粒度となる様に粉砕する。次いで、熱水で抽出する。具体的には、通常、90〜98℃の熱水中に粉砕したコーヒー豆を投入し、10分間ほど攪拌後、濾過により不溶分を取り除く。
本発明の乳飲料において、乳飲料に含まれるコーヒー抽出液の含有量は、生豆換算の値として、通常5〜10重量%、好ましくは5〜7重量%である。コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5重量%未満の場合には、本発明の乳化安定剤を使用しても乳成分の浮上の抑制が不十分となる場合がある。また、コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で10重量%を超える場合には、コーヒーの苦みが強すぎてミルクコーヒーとして好ましくない。
第1工程における乳成分としては、牛乳、全脂粉乳、スキンミルクパウダー、フレッシュクリーム等が挙げられる。また、乳成分は、脱脂粉乳などの蛋白質とバターやミルクオイル等の乳脂とを個別に加えて調製してもよい。中でも、牛乳は、粉乳よりも口当たりの滑らかさを損なわないために好適である。乳飲料中の乳成分の含有量は、通常、牛乳換算値として10〜60重量%であるが、本発明の乳飲料では15〜30重量%であるのが好ましい。
第1工程における乳化剤としては、通常、食品用乳化剤として使用されているものであれば、何れを使用しても構わない。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
加熱殺菌後に生残する耐熱性芽胞菌による乳飲料の変敗を抑制するために、上記乳化剤の中でもショ糖脂肪酸エステルを使用するのが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、HLB値が通常12以上、好ましくは15以上で通常22以下であり、モノエステル含量が通常50%以上、好ましくは70%以上である。構成脂肪酸の炭素数は、通常10〜22、好ましくは14〜20である。脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の何れであってもよいが、好ましくは飽和脂肪酸であり、これらは2種以上組み合わせて使用してもよい。中でも、風味の点でパルミチン酸とステアリン酸が好ましいが、変敗抑制効果が大きなパルミチン酸が特に好ましい。構成脂肪酸中のパルミチン酸、ステアリン酸の含量は、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。モノエステル含量が90%以上であり、かつ構成脂肪酸の90%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルを用いると、最も変敗抑制効果が大きいために好ましい。
本発明の乳飲料において、乳飲料に含まれる乳化剤の配合量は、通常0.03〜0.3重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%である。乳化剤の配合量が0.03重量%未満の場合は乳化安定化効果が十分でないことがあり、乳化剤の配合量が0.3重量%を超える場合は苦味が感じられるなど飲料の風香味に悪影響を及ぼすことがある。これらの乳化剤は、他の成分と直接混合することも出来るが、一般的には、この乳化剤を水と混合し、50〜60℃で攪拌することにより乳化剤水溶液とし、これを混合することが工程上都合が良い。
第1工程における油脂としては、通常、食用油脂として使用されているものであれば、何れを使用しても構わない。具体的には、乳脂、豚脂、牛脂などの動物性油脂やカカオ脂、椰子油、とうもろこし油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、パーム核油、落花生油、菜種油、米油、ベニバナ油、大豆油、ひまわり油などの植物性油脂などが挙げられる。牛乳などの乳成分には乳脂肪が含まれるため、油分の総量が1重量%以上、好ましくは1〜20重量%となるように油脂を混合する。
第1工程における油脂混合乳飲料組成物には、他に、砂糖が配合されてもよい。また、各成分の濃度を調節するために水を添加してもよい。さらに、重曹などのpH調整剤、増粘多糖類や微結晶セルロース等の安定剤、香料、ビタミン等の公知の配合剤を加えてもよい。
第1工程における油脂混合乳飲料組成物の調製は、例えば次のように行う。すなわち、コーヒー抽出液、砂糖および牛乳などの乳成分を混合した後、予め調製した乳化剤の水溶液を混合し、更に、pH調整剤(重曹(炭酸水素ナトリウム)など)を加えてpHを調整する。pH調整の際、炭酸水素ナトリウムの添加量が多すぎると、炭酸水素ナトリウムの加熱臭が生じ、コーヒー本来の香りが変化する。従って、ミルクコーヒーのpHは、通常5.0〜7.0、好ましくは6.0〜6.7に調節される。このようにして得られた乳飲料組成物に油脂を混合して油分を1重量%以上にする。なお、油脂の添加方法は、各成分を混合する際であっても構わない。すなわち、コーヒー抽出液または紅茶抽出液、砂糖、乳成分、乳化剤、水および油脂はどのように混合してもよい。例えば、牛乳などの乳成分にも油分が含まれているため、コーヒー抽出液または紅茶抽出液と、砂糖、乳成分、乳化剤および水とから成る乳飲料組成物を先に調製してから、油分が1重量%以上になるように油脂を混合する方法や、乳成分に油脂を混合し、これと他の成分とを混合する方法などが挙げられる。
図1は、本発明の乳飲料の製造方法(連続フロー遠心分離プロセス)における第2〜4工程のフロー図である。以下、第2工程から第4工程については、図1を使用して説明する。第2工程(A)では、ホモジナイザー等の均質機を使用し、ライン(1)より供給される第1工程で得られた油脂混合乳飲料組成物の均質化処理を行う。均質化は、高圧ホモジナイザー等の均質機を使用し、通常5MPa以上、好ましくは10MPa以上、更に好ましくは20MPa以上の圧力で行う。圧力が5MPa未満の場合、高圧均質化処理を行っても、小さな粒子径が得られず、乳飲料の乳成分浮上の抑制が不十分となることがある。また、超高圧ホモジナイザーなどのより強力な均質機を使用すると、粒子径が更に小さくなり、乳成分浮上抑制効果が大きくなる。この場合の均質化圧力は、好ましくは50MPa以上、更に好ましくは100MPa以上である。また、均質化を行う際の圧力は、通常200MPa以下である。圧力が200MPaを超える場合、均質化バルブへの負荷が大きいため、機械の摩耗を早める原因になり、乳成分に与えるダメージが大きいため実用的ではない。
均質化処理は、上記圧力で1段階処理してもよいが、圧力を変えた2段階処理を連続して行うことが好ましい。この2段階処理は、通常同一装置で行われるが、別々の装置で連続して行ってもよい。第2段階処理の圧力は、通常第1段階処理の圧力より低く設定される。これは、第1段階処理で均質化した粒子が再凝集して合一するのを防ぐためである。本発明において、均質化の圧力は、1段階処理する場合は、その1処理のみの圧力を意味するが、2段階処理する場合、第1段階処理の圧力と第2段階処理の圧力との合計値を意味する。上記何れの処理においても、処理温度は通常60〜70℃である。
第3工程(B)は、図1のライン(2)を介して供給される均質化された油脂混合乳飲料組成物から、エマルション粒子(油滴)の粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する操作を行う。すなわち、体積分率50%未満の範囲のエマルション粒子(粒子径の大きな油滴)を分離除去する。分離操作としては、均質化後に油脂混合乳飲料組成物を暫く放置することにより浮上した油分を取り除くという自然の重力を利用した方法や、遠心分離機を使用して短時間に油分を浮上させて取り除くという遠心力を利用した方法などが挙げられるが、自然重力を利用する方法では分離操作を行うまでの時間が長く、その間に微生物が増殖する可能性も考えられるため、現実的ではない。このため、短時間で分離操作を完了できること、製造コスト、製品品質の面を考慮すると、遠心分離機を使用した分離操作が好ましい。本発明で使用する遠心分離機は、生乳からのクリーム分離など食品製造において通常使用されているものであれば何を使用しても差し支えない。
遠心分離機としては、バッチ式の遠心分離機よりも連続式の遠心分離機を使用した方が、オンラインで均質化した油脂混合乳飲料組成物をライン(2)を介して遠心分離機に送液し、遠心分離を行って、粒子径の小さな油滴のみライン(4)を介して第4工程(C)の殺菌機へ送液することが出来るため、効率的である。一方、粒子径の大きな油滴(体積分率50%未満の範囲の分離除去されたエマルション粒子)はライン(3)を介して均質機(B)に送られ、再度均質化されてライン(2)を介して遠心分離工程へ送られる。油滴を分離する際には、油脂混合乳飲料組成物の温度が高いほど、油滴の浮上速度が速くなり、より短時間で分離可能となる。しかし、分離時の温度が高すぎると油脂混合乳飲料組成物の各成分に熱的なダメージを与えることとなり、乳飲料の保存安定性が悪くなるとともに、風味にも悪影響を及ぼすことから、分離時の温度が100℃以下であることが好ましい。また、分離時間は油脂混合乳飲料組成物中の油脂含量が目標とする数値になるまで続けることが出来るが、通常の乳飲料の製造を考慮すると、2時間以内が好ましい。
分離工程では、第2工程(A)後の油脂混合乳飲料組成物の粒子径分布において、粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲、好ましくは80%以上の範囲、更に好ましくは90%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する。体積分率50%未満の範囲のエマルション粒子を分離回収する場合は、例えば遠心分離機の回転速度を上昇させる等の様に多大なエネルギーと時間を要するため、現実的ではなく、好ましくない。体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収できたかどうかの確認は、例えば、ライン内に粒子径分布を測定できる装置を装着し、随時モニタリングすることによりオンラインで粒子径分布の変化を追跡し、確認すればよい。
第4工程(C)では、第1〜3工程で調製され、ライン4を介して第4工程(C)の殺菌機に送られた分離回収されたエマルション粒子を含む油脂混合乳飲料組成物に加熱殺菌を行う。殺菌方法は、レトルト殺菌、UHT殺菌の何れでもよい。レトルト殺菌の場合は、乳飲料を容器に充填し、密封した後に、レトルト殺菌機などを使用して殺菌温度121℃で、121℃の殺菌価(Fo)が10〜50に相当する様な加熱殺菌を行う。一方、UHT殺菌は、乳飲料を殺菌温度130〜150℃で、121℃の殺菌価(Fo)が10〜50に相当する様な超高温殺菌であり、殺菌後の乳飲料は無菌的に容器に充填、密封される。UHT殺菌は、飲料に直接蒸気を吹き込むスチームインジェクション式、飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブ等の表面熱交換器を使用する間接加熱方式など公知の方法で行うことが出来る。
本発明の製造方法は、乳飲料だけでなく、エマルション粒子を含む液状食品一般に適用可能である。その場合には、コーヒー抽出液または紅茶抽出液と乳成分に換えて、当該エマルション粒子を含む液状食品を適用することにより、安定化されたエマルション粒子を含有する液状食品を製造することが出来る。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の諸例で使用した評価方法は次の通りである。
クリームオフ量:
以下の処方で調製したミルクコーヒーを25℃で33日間保存し、液面に形成されたミルク層の体積を計測した。
実施例1:
以下の処方でミルクコーヒーを調製した。先ず、インスタントコーヒー15g及び砂糖50gを脱塩水に溶解したコーヒー液と、ショ糖パルミチン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルP−1670」)の乳化剤水溶液とを混合して乳化剤含有コーヒー液を調製した。上記の乳化剤水溶液は、乳飲料中での濃度が0.06重量%となるように計算された量のショ糖パルミチン酸エステルを60〜70℃の脱塩水に溶解して調製した。これとは別に、ホエータンパク質1.4gとカゼインナトリウム5.6gの混合物を脱塩水に溶解し、大豆油14gを添加して混合した後、ホモミキサーを使用し、10000回転で10分間予備乳化を行い、乳化物を調製した。この乳化物と先に調製した乳化剤含有コーヒー液とを60℃で混合し、更に、脱塩水を加えて、全量を1000gとした。この溶液に重曹を加えて殺菌後のpHが6〜7になるように調整し、油脂混合乳飲料組成物を調製した。油分は1.4重量%であった。
次いで、高圧ホモジナイザーを使用し、60〜70℃の温度、20MPaの圧力で油脂混合乳飲料組成物の均質化を4回繰り返した後、5℃で6時間以上放置した。次いで、遠心分離機を使用し、250Gで30分間の遠心分離操作を行い、エマルション粒子(油分)の50体積%を分離回収し、乳飲料中の油分が0.7重量%であるミルクコーヒーを得た。オーブン内で121℃、40分間の殺菌を行った後、高さ10cmの試験管に総体積が60cmになるようにミルクコーヒーを充填した。ミルクコーヒーの粒子径を測定した結果、平均粒子径は1.14μmであり、標準偏差は0.20μmであった。また、クリームオフ量の経時変化を評価した結果、7日後は44%、15日後は85%であり、33日後に100%となった。
比較例1:
実施例1において、大豆油7gを使用し、遠心分離機による油分分離を行わない以外は実施例と同様に行った。油脂混合乳飲料組成物の油分は0.7重量%であった。ミルクコーヒーの粒子径を測定した結果、平均粒子径は1.30μmであり、標準偏差は0.24μmであった。また、クリームオフ量の経時変化を評価した結果、7日後は58%、15日後は95%であり、25日後に100%となった。従って、油分分離を行わない場合は乳化安定性が悪く、より速くクリームオフが起こった。
本発明の乳飲料の製造方法(連続フロー遠心分離プロセス)における第2〜4工程のフロー図である。
符号の説明
A:第2工程
B:第3工程
C:第4工程

Claims (4)

  1. コーヒー抽出液または紅茶抽出液と、乳成分、乳化剤および油脂とから成り、且つ、油分が1重量%以上の油脂混合乳飲料組成物を調製する工程と、得られた油脂混合乳飲料組成物を均質化する工程と、均質化された油脂混合乳飲料組成物から、エマルション粒子の粒子径分布における粒子径の小さい側から体積分率50%以上の範囲のエマルション粒子を分離回収する工程と、分離回収されたエマルション粒子を含む乳飲料組成物を殺菌および充填する工程とから成ることを特徴とする乳飲料の製造方法。
  2. エマルション粒子を分離回収する工程が遠心分離で行われる請求項1に記載の製造方法。
  3. 乳飲料中のコーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5〜10重量%である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の製造方法により得られる乳飲料。
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