JP5994385B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ガソリンとLPGの混合気を供給して稼働させる内燃機関が記載されている。この内燃機関では、加速時に燃料を割り込み噴射させるようになっている。
特許文献2には、使用燃料をガソリンと水素燃料の一方に切り替えて供給し稼働させる内燃機関が記載されている。この内燃機関では、出力トルクを求めて目標トルクになるように制御するようになっている。
この場合には、気体燃料用のインジェクタが吸気側マニホールドからインジェクタホース分だけ離隔して、気体燃料の供給開始や供給停止のタイミングが遅延することになる。
このため、車載する空燃比制御装置では、その遅延期間を考慮して、気体燃料とガソリンの双方を噴射供給する操作を同時に行う重畳期間を設定したり、その噴射操作を双方共に停止させる停止期間を設定して、空燃比制御の適正化を図る場合がある。
そこで、本発明は、液体燃料と気体燃料の切替時にも安定した駆動を維持することを実現する内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的としている。
また、気体燃料の供給開始時や供給停止時における供給量が漸増・漸減(徐変)する調整により、スムーズな内燃機関の駆動を維持しつつ液体燃料と気体燃料の安定した切替を実行することができる。
(内燃機関の構成)
図1において、内燃機関10は、ピストン11をピストンロッド12に連結して上下動自在にシリンダボア15内に収容する機構を備えて、車両などに駆動源として搭載されている。内燃機関10は、シリンダボア15上方のシリンダヘッド16下部内面とピストン11上面との間に燃焼室17が形成されている。この内燃機関10は、燃焼室17内に導入する吸気燃焼空気と噴射燃料の混合気を点火することによる燃焼膨張と排気を繰り返すことにより、ピストン11を上下動させるようになっている。これにより、内燃機関10は、その上下動するピストン11の駆動力をピストンロッド12や変速機等を介して伝達することにより、例えば、車輪を転動させて車両の走行を実現する。ここで、内燃機関10は、イグニッションコイル19で昇圧した高電圧を不図示の点火プラグに印加してスパークさせることにより、燃焼室17内の混合気を点火する。
ガソリンインジェクタ31は、液体燃料タンク33に液体燃料供給管34を介して接続されている。このガソリンインジェクタ31は、液体燃料タンク33内に常圧状態で貯留するガソリンを噴射して吸気ポート21を介して燃焼室17内に供給する。
CNGインジェクタ32は、気体燃料タンク36に気体燃料供給管37を介して接続されている。このCNGインジェクタ32は、気体燃料タンク36内に高圧状態で貯留されているCNGを圧力調整した上で噴射して吸気ポート21を介して燃焼室17内に供給する。ここで、気体燃料供給管37には、ガス状のCNG(気体燃料)の燃焼室17内への供給をCNGインジェクタ32のみで遮断することが難しいことから、減圧弁38と共にストップバルブ39を配置している。
この内燃機関10は、CPUやメモリなどにより構築されている制御装置41を備えている。制御装置41は、各種パラメータやセンサ情報などに基づいて予め格納する制御プログラムを実行して、内燃機関10に供給する燃料の空燃比制御を含めて車両全体を統括制御するようになっている。この制御装置41は、例えば、ガソリンインジェクタ31とCNGインジェクタ32の燃料切替制御処理を実行する。すなわち、この制御装置41が、空燃比制御部を備える空燃比制御装置を構成している。
吸気温度センサ42は、エアクリーナ25の下流側に設置されて、燃焼室17に供給する燃料空気の吸気温度を検出する。上流側酸素センサ43は、触媒コンバータ27の上流側に設置されて、燃焼室17から排気される燃焼後の排気ガス中における酸素濃度を検出して燃焼状況を検知する。下流側酸素センサ44は、触媒コンバータ27の下流側に設置されて、触媒27aによる浄化処理後の排気ガス中における酸素濃度を検出して浄化状況を検知する。エンジン水温センサ45は、エンジンの冷却水温度を検出する。クランク角センサ46は、駆動回転数(駆動速度)の検出や燃料噴射タイミングの同期などを目的として、不図示のクランクシャフトのクランク角を検出する。カム角センサ47は、吸気側のカムシャフト28(吸気カム28a)のカム角を検出する。燃料切替スイッチ48は、ドライバなどが暖気時や加速時などの運転状況に応じて手動で使用する燃料の切替操作をする。
このことから、内燃機関10は、図2に示すように、CNGインジェクタ32の噴射側先端部を差し込んで吸気側マニホールド23内に連通状態に取付可能なパイプ状の設置部材23aと、そのCNGインジェクタ32の噴射側先端部と、の双方をインジェクタホース51の両端部内に差し込んでそれぞれの間を連通状態になるように連結している。この構造の場合には、詳細に検討すると、ガソリンインジェクタ31とCNGインジェクタ32とでは噴射から燃焼室17内に燃焼可能に燃料が供給(到達)されるまでに時間差が生じてしまうことが分かる。
このため、制御装置41は、空燃比制御部として、使用する燃料の切換時に、ガソリンインジェクタ31とCNGインジェクタ32から噴射される燃料が燃焼室17内に到達するまでの時間差を考慮してそれぞれの噴射停止タイミングを調整制御するようになっている。要するに、制御装置41は、CNGインジェクタ32から吸気側マニホールド23へのCNGの供給にインジェクタホース51の長さ分だけ遅延が生じることから、その遅延時間を考慮してCNGとガソリンの切替制御を実行するようになっている。
このことから、制御装置41は、図3のタイミングチャートに示すように、内燃機関10の駆動をCNGモードからガソリンモードにするために燃焼室17内に供給する燃料をCNGからガソリンに切り替える際には、次のような切替制御を実行する。
この制御装置41は、まずは、ストップバルブ39の遮断動作後にもCNGインジェクタ32の供給状態を維持したまま(供給信号ON)気体燃料供給管37内から燃焼室17へのCNGの供給を継続する。この後に、制御装置41は、そのCNGの供給量の減少に合わせて、CNGインジェクタ32の供給動作停止(供給信号OFF)と、ガソリンインジェクタ31の供給動作開始(供給信号ON)とを遅延させるディレイ制御を実行する。
ここで、本実施形態では、気体燃料供給管37内のCNGが燃焼室17に供給される供給経路の構造や形状などに応じた供給量の減少(漸減)・停止に合わせてディレイ制御の遅延延長時間を設定する場合を一例として説明するが、これに限りものではない。例えば、制御装置41が、所望の減少率でCNGの供給量を斬減させるようにCNGインジェクタ32の供給動作を微調整する徐変制御を合わせて実行して、切替時における燃料供給を安定させてもよい。
このことから、制御装置41は、図4のタイミングチャートに示すように、内燃機関10の駆動をガソリンモードからCNGモードにするために燃焼室17内に供給する燃料をガソリンからCNGに切り替える際には、次のような切替制御を実行する。
この制御装置41は、まずは、ストップバルブ39の開放動作後と共にCNGインジェクタ32の供給動作を開始して(供給信号ON)、気体燃料供給管37から燃焼室17内へのCNGの供給を開始する。同時に、制御装置41は、ガソリンインジェクタ31の供給動作(供給信号ON)を継続して重畳させるオーバラップ制御を実行した後に、そのCNGの供給量の増加に合わせて、ガソリンインジェクタ31の供給動作を停止して(供給信号OFF)オーバラップ制御を終了する。
ここで、本実施形態では、気体燃料供給管37内のCNGが燃焼室17に供給される供給経路の構造や形状などに応じた供給量の増加(漸増)に合わせてオーバラップ制御の重畳延長時間を設定する場合を一例として説明するが、これに限りものではない。例えば、制御装置41が、所望の増加率でCNGの供給量を漸増させるようにCNGインジェクタ32の供給動作を微調整する徐変制御を合わせて実行して、切替時における燃料供給を安定させてもよい。
具体的には、制御装置41は、クランク角センサ(以下では、単に速度センサともいう)46および上流側酸素センサ43のセンサ情報に基づいて燃焼室17内への供給燃料の切替制御処理(方法)を実行し、図3および図4のタイミングチャートに示すディレイ制御やオーバラップ制御の延長時間を調整する。
また、ステップS103において「アイドリング目標回転数−50rpm」の設定回転数以下に低下したことを確認した後に、ステップS104に進んで排気ガス中の酸素濃度が設定値以上まで上昇していないことを確認した場合には、燃焼室17内では正常燃焼を実施する適正混合気が供給されているものと判断して、そのままステップS105に進む。
そして、ステップS105においてCNGインジェクタ32を停止(OFF)させてからの遅延延長時間を含むディレイ制御時間を経過していないことを確認した場合には、そのままステップS103に戻って同様の処理を繰り返す。
また、ステップS105においてそのディレイ制御時間を経過したことを確認した場合には、そのままインジェクタホース51の長さを考慮したディレイ制御期間を満了終了させて上記タイマをリセットした後に(ステップS106)、ガソリンインジェクタ31を駆動(ON)させてガソリンの供給を開始し(ステップS107)、この供給燃料の切替制御処理を終了する。
すなわち、制御装置41は、燃焼室17内に供給する混合気中の燃料が不足するリーン状態になって内燃機関10をストールさせてしまう可能性が高くなる中断条件が成立したものと判断して、そのままステップS106にスキップする。
このステップS106においては、ディレイ制御期間を短縮終了し、次いで、ステップS107において、ガソリンインジェクタ31からのガソリン供給を開始し、この供給燃料の切替制御処理を終了する。
また、ステップS203において「アイドリング目標回転数−50rpm」の設定回転数以下に低下したことを確認した後に、ステップS204に進んで排気ガス中の酸素濃度が設定値未満まで低下していないことを確認した場合には、燃焼室17内では正常燃焼を実施する適正混合気が供給されているものと判断して、そのままステップS205に進む。
そして、ステップS205においてCNGインジェクタ32を駆動(ON)させてからの重畳延長時間を含むオーバラップ制御時間を経過していないことを確認した場合には、そのままステップS203に戻って同様の処理を繰り返す。
また、ステップS205においてそのオーバラップ制御時間を経過したことを確認した場合には、そのままインジェクタホース51の長さを考慮したオーバラップ制御期間を満了終了させて上記タイマをリセットした後に(ステップS206)、ガソリンインジェクタ31を停止(OFF)させてガソリンの供給を停止し(ステップS207)、この供給燃料の切替制御処理を終了する。
すなわち、制御装置41は、燃焼室17内に供給する混合気中の燃料が過剰となるリッチ状態になって内燃機関10をストールさせてしまう可能性が高くなる中断条件が成立したものと判断して、そのままステップS206にスキップする。
このステップS206においては、オーバラップ制御期間を短縮終了して、次いで、ステップS207において、ガソリンインジェクタ31からのガソリン供給を停止し、この供給燃料の切替制御処理を終了する。
ここで、本実施形態では、ディレイ制御やオーバラップ制御の延長時間を中断する場合を一例にして説明するがこれに限る必要はなく、延長前の制御本体自体を中断してもよいことは言うまでもない。
11 ピストン
13 吸気弁
14 排気弁
17 燃焼室
21 吸気ポート
22 排気ポート
23 吸気側マニホールド
24 排気側マニホールド
29 ストップバルブ
31 ガソリンインジェクタ
32 CNGインジェクタ
33 液体燃料タンク
36 気体燃料タンク
38 減圧弁
39 ストップバルブ
41 制御装置
42 吸気温度センサ
43 上流側酸素センサ
44 下流側酸素センサ
46 クランク角センサ(速度センサ)
48 燃料切替スイッチ
51 インジェクタホース
Claims (4)
- 液体燃料と気体燃料の一方を選択切替して共通の燃焼室に供給することにより駆動する内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記液体燃料の供給・停止および前記気体燃料の供給・停止を制御する空燃比制御部と、前記内燃機関の駆動速度を検出する速度検出部と、前記燃焼室から排気される排気ガス中の残留酸素濃度を検知する燃焼センサと、を備えて、
前記空燃比制御部は、前記液体燃料から前記気体燃料に切り替える際に、前記液体燃料を前記気体燃料に対して重畳させて供給するオーバラップ制御期間を設け、
当該オーバラップ制御期間中であって前記内燃機関の低速駆動中に、当該内燃機関がストールしそうな駆動速度まで低下したことを前記速度検出部が検出したときに、
前記残留酸素濃度が理論空燃比のときの酸素濃度よりも低く設定された設定値未満の場合には前記オーバラップ制御期間を短縮し、前記残留酸素濃度が理論空燃比のときの酸素濃度よりも低く設定された設定値以上の場合には前記オーバラップ制御期間を維持する内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記空燃比制御部は、前記気体燃料の供給開始時には前記気体燃料の供給量を漸増させる徐変調整を行なう請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 液体燃料と気体燃料の一方を選択切替して共通の燃焼室に供給することにより駆動する内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記液体燃料の供給・停止および前記気体燃料の供給・停止を制御する空燃比制御部と、前記内燃機関の駆動速度を検出する速度検出部と、前記燃焼室から排気される排気ガス中の残留酸素濃度を検知する燃焼センサと、を備えて、
前記空燃比制御部は、前記気体燃料から前記液体燃料に切り替える際に、前記液体燃料を前記気体燃料に対して遅延させて供給するディレイ制御期間を設け、
当該ディレイ制御期間中であって前記内燃機関の低速駆動中に、当該内燃機関がストールしそうな駆動速度まで低下したことを前記速度検出部が検出したときに、
前記残留酸素濃度が理論空燃比のときの酸素濃度よりも高く設定された設定値以上の場合には前記ディレイ制御期間を短縮し、前記残留酸素濃度が理論空燃比のときの酸素濃度よりも高く設定された設定値未満の場合にはディレイ制御期間を維持する内燃機関の空燃比制御装置。 - 前記空燃比制御部は、前記気体燃料の供給停止時には前記気体燃料の供給量を漸減させる徐変調整を行なう請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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