JP5987683B2 - 熱可逆変色性プレコート金属板及びその製造方法 - Google Patents

熱可逆変色性プレコート金属板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、家電製品や建材、自動車、内装材、表装材等に使用される、環境温度に応じて可逆的に変色するプレコート金属板に関する。
家電用、建材用、自動車用、内装用、表装用等に、従来のように金属板が加工された後に塗装されて使用される、いわゆるポストコート製品に代わって、あらかじめ有機皮膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになった。プレコート金属板の使用によるメリットとしては、工程省略によるコスト削減が挙げられる。近年、プレコート金属板は経済的観点から注目を集めており、プレス加工性や意匠性等を有したプレコート金属板の発明は後を絶たない。
近年、熱可逆変色性製品が注目を集めている。例えば特許文献1〜4には、冷蔵庫の蓄冷部材に熱可逆変色性示温シートを接触させることで、貯蔵物の温度を視認させる技術が掲載されている。特許文献5には、熱変色性インテリヤ用品の基材に金属を用いてもよいとの記載がある。
特開2006−57909号公報 特開2006−57910号公報 特開2006−57911号公報 特開2006−162088号公報 特開平7−125130号公報
特許文献1〜4に記載の技術を用いた場合、示温シートを蓄冷材に固定しなければならない。また、特許文献1には、蓄冷部材は金属塊が望ましく、更に鉄塊が望ましいと記載されている。つまり、熱可逆変色機能を有するプレコート金属板を使用することで、示温シートを蓄冷材に固定する工程を省略することができ、生産性を向上できる。
特許文献5の場合、実施例および比較例に記載されている熱変色性インテリヤ用品の基材はポリエステル生地や壁紙やテーブルであり、プレコート金属板に関する技術的検討がなされていない。
このように、熱可逆変色性を有するプレコート金属板について、これまで提案されてこなかった。熱可逆変色性は、熱可逆変色性マイクロカプセルを用いて実現されるが、プレコート金属板の様に加工性が要求される塗膜に熱可逆変色性マイクロカプセルを添加すると、焼付後の水冷工程で熱可逆変色性マイクロカプセルが溶出するという課題があった。
変色したことを視認するには、JIS Z 8729で定義されるΔE*が5以上あることが好ましい。
本発明はこのような課題を克服し、プレコート金属板への熱可逆変色性付与を達成するためになされたものであって、熱可逆変色性プレコート金属板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、熱可逆変色性プレコート金属板を得られる熱可逆変色性マイクロカプセル含有率を見出し、さらに有機樹脂種類や架橋剤種類および含有率や、塗料乾燥工程における金属到達温度(PMT)を調整する事で、マイクロカプセル溶出を抑制し、プレコート金属板として必要な加工性と熱可逆変色性を発現する技術を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、金属板の少なくとも一方の面に、樹脂皮膜を1層以上有し、
前記樹脂皮膜は、変色温度Tcにおいて可逆的に有色または無色を呈するマイクロカプセルを、前記樹脂皮膜中の樹脂固形分100質量部に対して2〜30質量部の割合で含有しており、且つ、ポリエステル樹脂および架橋剤としてメラミン樹脂を、前記ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して前記メラミン樹脂15〜35質量部の割合で含有しており、
前記樹脂皮膜の厚みが2μm以上であり、
金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上、可逆的に変化することを特徴とする、
熱可逆変色性プレコート金属板に関する。
前記マイクロカプセル含有樹脂皮膜の層1の上に、環境温度に応じて可逆的に有色または無色を呈するマイクロカプセルを含有しない皮膜の層2を少なくとも1層有することが好ましい。
前記マイクロカプセルの平均粒径をD、前記層1の厚みをT1、前記層2の厚みをT2とした場合、D<T1+T2とすることで加工密着性を向上させることが好ましい。
前記層2が着色層であり、前記層1と前記層2が重ね塗りの効果により、環境温度に応じて2色以上を呈することが好ましい。
本発明は、また、
変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上、金属板の少なくとも一方の面上に塗布するステップと、
前記塗料を塗布した金属板を、前記塗料の硬化開始温度よりも10℃以上高く、且つ、前記マイクロカプセルの殻材の溶融温度よりも10℃以上低い金属到達温度に加熱し、前記金属板上の塗料を硬化させそして水冷して皮膜を形成するステップと、
を有する、金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上可逆的に変化する熱可逆変色性プレコート金属板の製造方法に関する。
前記塗布するステップにおいて、前記変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上と、前記マイクロカプセルを配合しない塗料を少なくとも1層以上、前記金属板の一方の面上に多層同時塗布して、前記マイクロカプセル含有樹脂皮膜の層1の上に、前記マイクロカプセルを含有しない皮膜の層2を少なくとも1層形成してもよい
本発明によると、これまでポストコートで製造していた熱可逆変色性を、プレコート金属板で実現した。つまり従来技術と比較して、より工業的に熱可逆変色性材料を製造することができるため、ポストコート材よりも製造コストを下げる事ができる。また、プレコート金属板であるため、家電の筺体や壁材など、材料に強度や大面積化が求められる用途に適用可能である。したがって、本発明は極めて大きな工業的価値を有する。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明は、金属板の少なくとも一方の面に、樹脂皮膜を1層以上有し、
前記樹脂皮膜は、変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈するマイクロカプセルを、前記樹脂皮膜中の樹脂固形分100質量部に対して2〜30質量部の割合で含有しており、
前記樹脂皮膜の厚みが2μm以上であり、金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上、可逆的に変化することを特徴とする、熱可逆変色性プレコート金属板に関する。
本発明において使用する塗装原板としては、例えば溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛・アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、亜鉛・アルミニウム・シリコン・マグネシウム複合めっき鋼板等の各種めっき鋼板、ステンレス鋼板、冷延鋼板、銅板、アルミニウム板等が挙げられる。これらの金属板は必要に応じて、前処理として、通常一般的に行われる各種処理、例えばクロメート処理、リン酸塩処理、その他各種のノンクロメート系前処理を施して使用すればよい。
これらの金属板は必要に応じて、意匠塗膜側の下層にプライマー塗装を施して使用してもよい。プライマー塗装に使用される塗料は特に限定されるものではなく、任意のものを使用すればよい。例えば、クロメート系防錆顔料、非クロメート系防錆顔料、体質顔料等を含むポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系塗料など、一般的なプレコート金属板に使用される任意の塗料を、その塗料に適した塗装方法、硬化条件で施して使用すればよい。
熱可逆変色塗膜を金属板の片側表面にしか施さない場合は、これらの金属板は必要に応じて、裏面に裏面塗装を施して使用してもよい。裏面塗装に使用される塗料は特に限定されるものではなく、任意のものを使用すればよい。例えば、クロメート系防錆顔料、非クロメート系防錆顔料、体質顔料、着色顔料、ワックス、その他一般的な添加剤等を含む、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキッド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系塗料など、一般的なプレコート金属板に使用されるものを、その塗料に適した塗装方法、硬化条件で施して使用すればよい。また、裏面に他の物質との接着性などの特殊機能が要求される場合は、適宜その要求に応じた裏面塗装を選択して使用すればよい。
本発明において使用する金属板の形状は、コイル状であっても切り板状であっても構わない。また、平滑な金属板に限定されるものでもなく、エンボスやプレス等の成型、打ち抜き加工が施された後の金属板であってもよい。ただし、このような平滑でない金属板を使用する場合は、着色された皮膜層以降の塗装を行う際に未塗装部分が無いように塗装しようとすると、その塗装方式は、スプレー塗装、刷毛塗り、スリットカーテンコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等に限定される。未塗装部分が生じることを許容する場合は、この限りではない。
本発明の、マイクロカプセルを含有する皮膜層は、熱可逆変色性を発現させるための中心的皮膜層である。この皮膜層に含まれる前記マイクロカプセルには、公知のものを使用することができる。具体的には、例えばサクラクレパス株式会社製、商品名「サクラTCスラリー」や「サクラTCパウダー」を用いることができる。
前記皮膜は、前記マイクロカプセルを、皮膜中の樹脂固形分100質量部に対し、2〜30質量部の割合で含有することが好ましく、更に10〜30質量部であることが好ましい。2質量部未満の場合、変色効果が小さく、変色を視認することが困難である。逆に30質量部を超える添加量では、塗膜が脆弱化することで、加工密着性が低下しやすくなる。また、30質量部を超える添加量では、塗料増粘により貯蔵安定性が低下するため、塗装性が低下する。10〜30質量部の場合、安定した熱可逆変色性と加工密着性と塗料の貯蔵安定性を両立することが容易となる。
前記マイクロカプセルが配合される塗料樹脂としては、特に限定されるものではなく、プレコート金属板で普通に用いられるもののうちから任意に選択して使用すればよい。例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはこれらの変成樹脂等の樹脂成分を、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋剤成分により架橋させたものを使用すればよい。特に、ポリエステル樹脂を含む皮膜が好ましい。また、架橋剤としてメラミン樹脂を含有する皮膜であることが好ましい。ポリエステル樹脂は加工性に優れるため、塗装後に加工を受けるプレコート皮膜に適しており、加工密着性を向上させることができる。メラミン樹脂の添加量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対するメラミン樹脂を15〜35質量部とすることが好ましく、更に20〜30質量部とすることが好ましい。メラミン樹脂が15質量部未満の場合は、水冷時にマイクロカプセルが溶出する。また、メラミン樹脂が30質量部超の場合は、皮膜の加工密着性が低下する。ポリエステル樹脂100質量部に対するメラミン樹脂が20〜30質量部である場合、マイクロカプセル溶出性と加工密着性を容易に両立することができる。
マイクロカプセル含有樹脂膜厚としては2μm以上が好ましい。2μm未満では熱可逆変色性が不十分である。更にマイクロカプセルを覆いきれず、皮膜の加工密着性が低下する。一方、マイクロカプセル含有樹脂膜厚の上限は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。30μm超の場合、焼付工程において溶媒の(水または溶剤)の突沸によるワキが生じやすく、美麗な外観を得ることが困難となる。また、20μm超の場合は比較的高価なマイクロカプセルを多く使用することになるため、経済的に好ましくない。
マイクロカプセルが配合される塗料は、任意の方法で調製することができる。例えば、水系塗料の場合、塗膜を形成するための塗料組成物は、表1に示す有機樹脂(A)と、表2に示す熱可逆変色性顔料(B)と、表3に示す架橋剤(C)と表4に示す酸化ケイ素(D)とを、表5に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。なお、塗装の際には、イオン交換水にて適宜希釈し、塗料粘度を調整した。
溶剤系塗料の場合は、塗膜を形成するための塗料組成物は、表6に示す有機樹脂(F)と、表7に示す熱可逆変色性顔料(G)と、表8に示す架橋剤(H)とを、表9に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。なお、塗装の際には、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)にて 適宜希釈し、塗料粘度を調整した。
マイクロカプセルが配合される塗料は、任意の塗装方法によって金属板へ塗装すればよい。例えば、ロールコーター、スプレー塗装、刷毛塗り、バーコーター、オーバーフローカーテンコーター、スリットカーテンコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター、スライドカーテンコーター等による塗装方法が挙げられる。
ただし、粒径の大きなマイクロカプセルを含有する塗料を低膜厚で塗装するためには、適切な塗装方法を選択することが必要となる。ロールコーターでは、マイクロカプセルがロールと被塗物との間を通過することができず排除されるため、粒径の大きなマイクロカプセルを薄膜で塗装しようとすると、ローピングと呼ばれる縄目状の外観不良が発生する。また、スプレー塗装では、塗膜厚を薄くすることが難しい。しかし、オーバーフローカーテンコーター、スリットカーテンコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター、スライドカーテンコーターを用いるような塗装方法では、これらの問題点がすべてクリアされる。カーテンコーターは、塗料を薄いカーテン状に落下させ、その下を金属板等の被塗物を通過させて塗装する方式である。非接触式の塗装方法であるため、比較的粒径の大きなマイクロカプセルでも排除されることはなく、塗料中の含有物は確実にそのまま被塗物上に塗布される。また、被塗物を通過させるスピードを速くすることで、薄膜塗装が容易に可能である。本発明のプレコート金属板を安定的に製造するには、これらのカーテンコーターを使用することがきわめて有用である。
マイクロカプセルを配合する塗料の乾燥(硬化)方式は熱風加熱、高周波誘導加熱等の加熱乾燥が好ましい。自然乾燥では製造効率が低く、また電子線、紫外線の照射による硬化等では高価な硬化剤を用いなければならず、製造コストが大きくなるため不適である。マイクロカプセルを含有する皮膜層は、1層以上であれば何層であってもかまわない。
前記マイクロカプセルが分散された皮膜(層1)の上に、マイクロカプセルを含まない皮膜(層2)を1層以上有することが好ましい。層1表面を、溶剤を含浸させた脱脂綿で擦った場合、溶剤の種類によってはマイクロカプセルが溶出し熱可逆変色性が発現しなくなる場合がある。プレコート金属板の最表面にマイクロカプセルを含有しない皮膜を形成することで、耐溶剤性を向上させることができる。
前記マイクロカプセルの平均粒径をD、前記層1の厚みをT1、前記層2の厚みをT2とした場合、D<T1+T2であることが好ましい。また、前記層2が存在しない場合は、D<T1であることが好ましい。前記式を満足する場合は、マイクロカプセルが塗膜から頭出ししないため、加工密着性が向上する。更に前述の理由から、耐溶剤性がさらに向上する。
前記層2が着色層である場合、前記層1と前記層2が重ね塗りの効果により、環境温度に応じて2色以上を呈することが好ましい。例えば、層1に赤色を呈する熱可逆変色性顔料を含有した皮膜が、さらに層2に熱可逆変色性顔料を含有しない青色着色顔料を含有する場合、環境温度に応じて紫色(赤色+青色)と青色を呈するプレコート金属板として機能する(上層がクリアの場合は赤色と無色(熱可逆着色顔料が無色のときの層1の色)を呈する)。このように、層2の着色層と組み合わせる事で、環境温度に応じて2色以上を呈するプレコート金属板が得られ、層2がクリアの場合よりも熱可逆変色性が向上する。
また、本発明は、変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上、金属板の少なくとも一方の面上に塗布するステップと、
前記塗料を塗布した金属板を、前記塗料の硬化開始温度以上、且つ、前記マイクロカプセルの殻材の溶融温度以下で加熱・冷却・乾燥して、皮膜を形成するステップと、
を有する、金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上可逆的に変化する熱可逆変色性プレコート金属板の製造方法に関する。
さらに、本発明は、変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上と、前記マイクロカプセルを配合しない塗料を少なくとも1層以上、金属板の少なくとも一方の面上に多層同時塗布するステップと、
前記塗料を塗布した金属板を、前記塗料の硬化開始温度以上、且つ、前記マイクロカプセルの殻材の溶融温度以下で多層同時に加熱・冷却・乾燥して、皮膜を形成するステップと、
を有する、金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上可逆的に変化する熱可逆変色性プレコート金属板の製造方法にも関する。
塗料を塗布した金属板を加熱する際、金属到達温度(PMT)を塗料の硬化開始温度以上、且つ、マイクロカプセル殻材の溶融温度未満とする必要がある。また、PMTを樹脂の硬化開始温度よりも10℃以上高くすることが好ましく、マイクロカプセル殻材の溶融温度よりも10℃以上低くすることが好ましい。PMTが樹脂の硬化開始温度よりも低い場合、水冷セクションにおいてマイクロカプセルの溶出が生じるため熱可逆変色性が発現できず、PMTがマイクロカプセル殻材の溶融温度以上の場合、殻を持つマイクロカプセルが融解するため、熱可逆変色性を担保できない。PMTが樹脂の硬化開始温度よりも10℃以上高く、マイクロカプセル殻材の溶融温度よりも10℃以上低い場合、熱可逆変色性を特に容易に発現できる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。試験板の調製、実施例および比較例、および金属材料用表面処理剤の塗布方法について下記に説明する。
(1)金属板
下記に示した市販の金属板を用いた。
・溶融亜鉛めっき鋼板(GI): 板厚0.8mm、目付量30/30(g/m2
・電気亜鉛めっき鋼板(EG): 板厚0.8mm、目付量20/20(g/m2
・合金化溶融めっき鋼板(GA): 板厚0.8mm、目付量45/45(g/m2
・溶融亜鉛−11%アルミニウム−3%マグネシウム−0.2%シリコンめっき鋼板(SD): 板厚0.8mm、目付量60/60(g/m2
・SUS430(SUS): 板厚0.8mm
・銅板(Cu): 板厚0.8mm
(2)前処理剤
供試材に用いる化成処理液として以下のものを作製した。
シランカップリング剤を5g/l、水分散シリカを1.0g/l、ジルコニウム化合物をジルコニウムイオンで0.5g/l、水系アクリル樹脂を25g/l含む水溶液を作製し、化成処理液とした。なお、シランカップリング剤にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、水分散シリカには日産化学社製「スノーテック−N」、ジルコニウム化合物には炭酸ジルコニルアンモニウム、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。
(3)プライマー用塗料
日本ファインコーティングス社製のPCM用ポリエステル系プライマーであるFL641EUプライマーのクリア塗料を準備し、これにクロメートフリー防錆顔料であるテイカ社製のトリポリリン酸2水素アルミニウムの「K−WHITE #105」をクリア塗料の固形分100質量部に対して30質量部添加し、塗料用分散機を用いて攪拌する事で、供試材に用いるプライマー用塗料を調製した。
(4)熱可逆変色性皮膜用塗料(水系)
有機樹脂(A)(表1)、熱可逆変色性顔料(B)(表2)、硬化剤(C)(表3)、酸化ケイ素(D)(表4)を表5に示す配合量で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌する事で、供試材に用いる熱可逆変色性皮膜を形成するための水系塗布溶液を作製した。
Figure 0005987683
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(5)熱可逆変色性皮膜用塗料(溶剤系)
有機樹脂(F)(表6)、熱可逆変色性顔料(G)(表7)、硬化剤(H)(表8)を表9に示す配合量で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌した。その後、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト600」を5質量部添加し攪拌することで、供試材に用いる熱可逆変色性皮膜を形成するための溶剤系塗布溶液を作製した。
Figure 0005987683
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(6)熱可逆変色性を有さない皮膜用塗料(水系)
東洋紡績社製のポリエステル樹脂である「バイロナール MD1100」に、硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル 303」を添加し、クリア塗料を作製した。メラミン樹脂の添加量は、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して30質量部となるように添加した。さらに、必要に応じて、前記クリア塗料に、東洋インキ社製の水系着色剤「RED HR(赤色)」および「BLUE HG(青色)」をそれぞれポリエステル樹脂固形分100質量部に対して30質量部となる様に添加し、塗料用分散機を用いて攪拌する事で、有色の塗料を調製した。
(7)熱可逆変色性を有さない皮膜用塗料(溶剤系)
東洋紡績社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標) 270」を、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解し、さらに硬化剤として三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標) 303」を添加し、クリア塗料を作製した。メラミン樹脂の添加量は、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して30質量部となるように添加した。さらに、必要に応じて、前記クリア塗料に、東洋インキ製の着色剤「CAB−440レッド(赤色)」および「CAB714ブルー(青色)」をそれぞれポリエステル樹脂固形分100質量部に対して30質量部となる様に添加し、塗料用分散機を用いて攪拌した。その後、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト600」を5質量部添加し攪拌することで、熱可逆変色性を有さない溶剤系皮膜用塗料を調製した。
(8)プレコート金属板の作製(前処理)
各金属板を、日本パーカライジング株式会社製ファインクリーナー4336を用いて、濃度20g/L、温度60℃の条件で2分間スプレー処理し、純水で30秒間水洗した後に乾燥したものを試験板とした。そして化成処理液をロールコーターにて金属板に塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理液の付着量は、乾燥皮膜全体の付着量が100mg/mとなるように塗装した。化成処理乾燥時の到達板温は60℃とした。化成処理皮膜の付着量は蛍光X線で測定した。
(9)熱可逆変色性プレコート金属板の作製(水系)
化成処理を施した金属板上に、所定の膜厚になるように、(4)で作製した熱可逆変色性皮膜を形成するための水系塗料をロールコーターで塗装し、熱風炉にて乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート金属板を得た(本方法で作製したプレコート金属板を以降[1コート1ベーク]もしくは「1C1B」と称する)。ここでは、25℃から金属到達温度までの昇温時間は10秒とした。皮膜付着量は重量法によって測定した。
必要に応じて、さらに(6)で作製した熱可逆変色性を有さない皮膜を形成するための水系塗料をロールコーターで塗装し、熱風炉にて乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート金属板を得た(本方法で作製したプレコート金属板を以降[2コート2ベーク]もしくは「2C2B」と称する)。ここでは、25℃から金属到達温度までの昇温時間は8秒とした。皮膜付着量は重量法によって測定した。
(10)熱可逆変色性プレコート金属板の作製(溶剤系)
化成処理を施した金属板上に、プライマーを5μmとなるようにロールコーターで塗装し、熱風炉にて焼付乾燥し、水冷することでプライマー板を得た。
プライマー板上に、所定の膜厚になるように、(5)で作製した熱可逆変色性皮膜を形成するための溶剤系塗料をロールコーター、ローラーカーテンコーターまたはスライドカーテンコーターで塗装し、熱風炉にて乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート金属板を得た(本方法で作製したプレコート金属板を以降[1コート1ベーク]もしくは「1C1B」と称する)。ここでは、25℃から金属到達温度までの昇温時間は40秒とした。皮膜付着量は重量法によって測定した。
必要に応じて、さらに、(7)で作製した熱可逆変色性を有さない皮膜を形成するための溶剤系塗料をロールコーター、ローラーカーテンコーターまたはスライドカーテンコーターで塗装し、熱風炉にて乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート金属板を得た(本方法で作製したプレコート金属板を以降[2コート2ベーク]もしくは「2C2B」と称する)。ここでは、25℃から金属到達温度までの昇温時間は40秒とした。皮膜付着量は重量法によって測定した。
また、必要に応じてプライマー板上に(5)で作製した熱可逆変色性皮膜を形成するための溶剤系塗料と、(7)で作製した熱可逆変色性を有さない皮膜を形成するための溶剤系塗料を、スライドカーテンコーターにて多層同時に積層塗層し、積層した塗料を熱風炉にて同時に乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート金属板を得た(本方法で作製したプレコート金増板を以降[2コート1ベーク]もしくは「2C1B」と称する)。ここでは、25℃から金属到達温度までの昇温時間は40秒とした。また、皮膜付着量は重量法によって測定した。
この様にして作製したプレコート金属板について、以下の評価試験を実施した。
<1.熱可逆変色性試験>
以下、本発明を評価する方法を詳細に説明する。
金属板温度を10℃(変色温度未満)、30℃(中間温度(熱可逆変色性顔料による着色が赤の場合は、変色温度以上、熱可逆変色性顔料による着色が青の場合は、変色温度未満))、および50℃(変色温度以上)に保持させた状態における色調の関係を調査した。各温度における色調(L,a,b)を、色彩色差計(コニカミノルタ製「CR−400」)で測定した。
JIS Z 8729に記載の色差ΔEを用いて、熱可逆変色性を以下のとおり評価した。評点3以上を好適とした。なお、ΔEは下式により算出した。
ΔE=((L 2−L 1+(a 2−a 1+(b 2−b 10.5
L1*、a1*、b1*:金属板温度<Tc−5℃における測色値
L2*、a2*、b2*:金属板温度>Tc+5℃における測色値
[評点]
5: ΔEが20以上
4: ΔEが10以上、20未満
3: ΔEが5以上、10未満
2: ΔEが1以上、5未満
1: ΔEが1未満
<2.塗膜加工性試験>
作製したプレコート金属板について、同じ板厚のスペーサーを複数枚間に挟んで180°折り曲げ加工(一般的にT曲げと呼ばれる加工)を実施し、更にT曲げ加工部の塗膜上にニチバン製セロテープ(登録商標)を貼り付け、セロテープ(登録商標)を剥がした後の塗膜剥離程度を調べた。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で、スペーサー枚数を0、1、2、4枚として加工した(それぞれ0T、1T、2T、4T曲げと称する)。
塗膜加工部における塗膜剥離面積が5%以上であれば剥離あり、剥離面積が5%未満であれば剥離なしと評価した。塗膜加工性を加工部塗膜剥離有無で以下のとおり評価した。評点3以上を好適とした。
[評点]
5: 0T曲げで剥離なし
4: 0T曲げで剥離あり、1T曲げで剥離なし
3: 1T曲げで剥離あり、2T曲げで剥離なし
2: 2T曲げで剥離あり、4T曲げで剥離なし
1: 4T曲げで剥離あり
<3.耐溶剤性(耐薬品性)試験>
供試材を太平理化工業製「ラビングテスター」に設置後、エタノール、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサノンをそれぞれ含浸させた脱脂綿を0.5kgf/cm2の圧力で5回(往復)擦った後のプレコート金属板の外観を観察し、下記基準で評価した。評点3以上を好適とした。
[評点]
5: すべての溶剤で変色なし
4: 1種の溶剤で変色あり
3: 2種の溶剤で変色あり
2: 3種の溶剤で変色あり
1: すべての溶剤で変色あり
<4.耐食性>
(i)平板部耐食性
端面及び裏面をシールした平板試験片について、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験(SST)を実施し、240時間後の白錆の発生率で評価した。耐食性評価基準を以下に示す。評点3以上を好適とした。
[評点]
5: 白錆発生無し
4: 白錆発生1%未満
3: 白錆発生1%以上5%未満
2: 白錆発生5%以上20%未満
1: 白錆発生20%以上
(ii)加工後耐食性
端面及び裏面をシールした平板試験片について、中央部に7mmエリクセン加工を施した後、JIS Z 2371に規定されている塩水噴霧試験(SST)を実施し、120時間後のエリクセン加工部の白錆発生率で評価した。耐食性評価基準を以下に示す。評点3以上を好適とした。
[評点]
5: 白錆発生無し
4: 白錆発生1%未満
3: 白錆発生1%以上5%未満
2: 白錆発生5%以上20%未満
1: 白錆発生20%以上
以下、評価結果について詳細を記載する。
表10に、本発明の実施例と比較例で作製したプレコート金属板を示し、その評価結果を表11示す。なお、実施例40〜実施例77および比較例8〜比較例14、比較例16ではプライマー塗膜を施した供試材を用い、本発明の効果を説明するが、プライマー塗膜を施さない場合も、プライマー塗膜を施したものと同様の性能が得られている。
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(1)熱可逆変色性マイクロカプセル量および膜厚の影響(水系)
水系塗料における熱可逆変色性マイクロカプセル量および膜厚の影響として、実施例1〜実施例8、11および比較例1〜比較例4に示す。
本発明のプレコート金属板(実施例1〜6)は、いずれも優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
樹脂皮膜中のマイクロカプセル量が樹脂固形分に対し2質量部であるもの(実施例1〜3)は熱可逆変色性が、わずかに低下する傾向であるため、皮膜中のマイクロカプセル量は、樹脂固形分に対し10〜30質量部がより好適である。
マイクロカプセル含有皮膜の膜厚が2μmであるもの(実施例1、5)はわずかに熱可逆変色性および加工密着性が低下する傾向であった。マイクロカプセル含有皮膜の厚みは3μm以上がより好適である。
樹脂皮膜中のマイクロカプセル含有量が樹脂固形分に対し2質量部未満であるもの(比較例1)は、熱可逆変色性が劣るため、不適である。また、樹脂皮膜中のマイクロカプセル含有量が樹脂固形分に対し35質量部超であるもの(比較例3〜5)は、加工密着性が劣るため、不適である。
マイクロカプセル含有皮膜の膜厚が2μm未満であるもの(比較例-2)は熱可逆変色性および加工密着性が劣っており、不適である。
(2)マイクロカプセル含有樹脂の種類(水系)
マイクロカプセル含有樹脂皮膜の樹脂種類の影響として、実施例1〜実施例24に示す。いずれも、優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
マイクロカプセル含有樹脂皮膜がアクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いたもの(実施例-17〜24)はポリエステル樹脂であるもの(実施例-1〜16)よりも皮膜加工密着性がわずかに劣っていた。マイクロカプセル含有樹脂の種類は、ポリエステル樹脂が好適である。
(3)架橋剤比率
ポリエステル樹脂の架橋剤として用いたメラミン樹脂比率の影響として、実施例1〜4および実施例12、実施例13に示す。いずれも、優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
ポリエステル樹脂固形分100質量部におけるメラミン樹脂が15質量部未満のもの(実施例-1〜3)は、メラミン樹脂が15質量部以上のもの(実施例-4、12および13)よりもわずかに耐溶剤性に劣っていた。
ポリエステル樹脂固形分100質量部におけるメラミン樹脂が30質量部超のもの(実施例-14)は、メラミン樹脂が30質量部以下のもの(実施例-1〜4および12)よりもわずかに加工密着性に劣っていた。
ポリエステル樹脂固形分100質量部におけるメラミン樹脂としては、15〜30質量部がより好適である。
(4)金属到達温度(PMT)の影響(水系)
PMTの影響として実施例8〜10、実施例22〜24および比較例6、7に示す。本発明のプレコート金属板(実施例8〜10および実施例22〜24)は、いずれも優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
実施例10は実施例8および9よりもわずかにΔE*が小さく、またわずかに耐薬品性が劣っていた。PMTが低いと皮膜の架橋度が低くなり、マイクロカプセルの溶出および耐薬品性の低下が起こったためと考えられる。
実施例22〜24では実施例8〜10と同様の結果が得られた。
一方、比較例6および7はΔEが5未満であり不適である。比較例6は十分なPMTが得られないためマイクロカプセルの溶出が起こり、比較例7はPMTが高すぎるためマイクロカプセル殻材が融解したためΔEが小さくなったと考えられる。
(5)熱可逆変色性を有さない皮膜の影響(水系)
熱可逆変色性を有さない皮膜影響として、実施例6、7、15および26〜29に示す。いずれも、優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
マイクロカプセルを含有し熱可逆変色性を有する皮膜(層1)のみを有する実施例6、7、15は、層1およびマイクロカプセルを含有せず熱可逆変色性を有さない皮膜(層2)を有する実施例26〜29よりもわずかに加工密着性および耐溶剤性が劣る傾向であった。前述の通り、マイクロカプセル含有により加工密着性、耐溶剤性がわずかに劣るが、層2を付与することで加工密着性および耐溶剤性が著しくする向上したと考えられる。熱可逆変色性を有さない皮膜(層2)の付与がより好適である。
(6)熱可逆変色性を有さない着色皮膜の影響
熱可逆変色性を有さない着色皮膜の影響として、実施例26〜29および30〜33に示す。いずれも、優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有していた。
層2がクリア皮膜であるもの(実施例26〜29)は、層2が着色皮膜であるもの(実施例30〜33)よりも、わずかに熱可逆変色性が劣っていた。熱可逆変色性は層1と層2の色差ΔEが大きいほど効果的である。熱可逆変色性を有さない皮膜(層2)が着色層であるとき、より好適である。
(7)熱可逆変色性を有さない着色皮膜がある場合のPMTの影響
熱可逆変色性を有さない着色皮膜がある場合のPMTの影響として、実施例33および34に示す。実施例34では実施例33と比較してわずかにΔEが低下した。一方、耐薬品性は低下しなかった。熱可逆変色性を有さない着色層の影響により低PMTにおける耐薬品性が向上したと考えられる。
(8)原板の影響(水系)
原板の影響として、実施例31および35〜39に示す。原板は耐食性にもっとも影響を及ぼすと考えられるが、今回調査した評価方法ではいずれの原板を用いても差は見られなかった。
(9)塗料種類の影響(水系と溶剤系)
塗料種類の影響として、実施例1〜39と実施例40〜77に示す。いずれも、優れた熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性および耐食性を有しており、水系塗料を使用したもの(実施例1〜39)は溶剤系塗料を使用したもの(実施例40〜77)と熱可逆変色性、加工密着性、耐溶剤性に関して、ほぼ同じ傾向を示した。

Claims (6)

  1. 金属板の少なくとも一方の面に、樹脂皮膜を1層以上有し、
    前記樹脂皮膜は、変色温度Tcにて可逆的に有色または無色を呈するマイクロカプセルを、前記樹脂皮膜中の樹脂固形分100質量部に対して2〜30質量部の割合で含有しており、且つ、ポリエステル樹脂および架橋剤としてメラミン樹脂を、前記ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して前記メラミン樹脂15〜35質量部の割合で含有しており、
    前記樹脂皮膜の厚みが2μm以上であり、
    金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上、可逆的に変化することを特徴とする、熱可逆変色性プレコート金属板。
  2. 前記マイクロカプセル含有樹脂皮膜の層1の上に、環境温度に応じて可逆的に有色または無色を呈するマイクロカプセルを含有しない皮膜の層2を少なくとも1層有することを特徴とする、請求項1に記載の熱可逆変色性プレコート金属板。
  3. 前記マイクロカプセルの平均粒径をD、前記層1の厚みをT1、前記層2の厚みをT2とした場合、D<T1+T2であることを特徴とする、請求項に記載の熱可逆変色性プレコート金属板。
  4. 前記層2が着色層であり、前記層1と前記層2が重ね塗りの効果により、環境温度に応じて2色以上を呈することを特徴とする請求項またはに記載の熱可逆変色性プレコート金属板。
  5. 変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上、金属板の少なくとも一方の面上に塗布するステップと、
    前記塗料を塗布した金属板を、前記塗料の硬化開始温度よりも10℃以上高く、且つ、前記マイクロカプセルの殻材の溶融温度よりも10℃以上低い金属到達温度に加熱し、前記金属板上の塗料を硬化させそして水冷して皮膜を形成するステップと、
    を有する、金属板の温度がTc-5℃未満およびTc+5℃超におけるJIS Z 8729に記載の色差ΔEが5以上可逆的に変化する熱可逆変色性プレコート金属板の製造方法。
  6. 前記塗布するステップにおいて、前記変色温度Tcで可逆的に有色または無色を呈する熱可逆変色性マイクロカプセルを配合した塗料を少なくとも1層以上と、前記マイクロカプセルを配合しない塗料を少なくとも1層以上、前記金属板の一方の面上に多層同時塗布して、前記マイクロカプセル含有樹脂皮膜の層1の上に、前記マイクロカプセルを含有しない皮膜の層2を少なくとも1層形成する、請求項5に記載の熱可逆変色性プレコート金属板の製造方法。
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