以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の外国株等の金融商品の売買注文システム10の全体構成が示されている。図2〜図9には、各データベース50〜57のレコード構成が示されている。また、図10には、資産状況表示画面100の一例が示され、図11には、注文画面200の一例が示されている。図12には、売買注文システム10による注文受付から決済までの処理の流れがフローチャートで示されている。さらに、図13〜図17には、拘束・自動為替振替パターン1,2,3の具体例が示されている。
図1において、売買注文システム10は、外国株等の金融商品の売買注文に関する各種処理を実行するとともに各種処理に必要なデータを記憶する売買注文サーバ20を備えている。この売買注文サーバ20には、通信回線であるネットワーク1を介して1台または複数台の顧客端末装置70が接続可能とされ、通信回線であるネットワーク2を介して1台または複数台の管理者端末装置71が接続可能とされている。また、売買注文サーバ20には、通信回線3(あるいは、通信回線3および図示されない他のシステム)を介して市場システム80が接続され、さらに、通信回線4を介して金融情報提供システム90が接続されている。
ここで、ネットワーク1,2は、共通のネットワークでよく、主としてインターネットであるが、LAN、MAN、WAN、イントラネット、エクストラネット、あるいはこれらとインターネットとの組み合わせ等でもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。なお、売買注文サーバ20と管理者端末装置71とを接続するネットワーク2は、例えば、社内ネットワーク等の内部ネットワークでもよいので、顧客端末装置70の接続用のネットワーク1とは異なるネットワークとしてもよい。また、通信回線3,4は、主として専用線であるが、ネットワークでもよい。
売買注文サーバ20は、証券会社等の金融機関が管理する1台または複数台のコンピュータ(例えば、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ等)により構成され、外国株等の金融商品の売買注文に関する各種処理を実行する処理手段30と、この処理手段30に接続された確定残高データベース50、注文データベース51、約定データベース52、為替データベース53、入出金データベース54、拘束金データベース55、掛目登録データベース56、レートデータベース57、割当データベース58、および優先順位データベース59とを含んで構成されている。
処理手段30は、資産状況表示手段31と、注文受付手段32と、発注手段33と、約定手段34と、拘束手段35と、自動為替振替手段36と、決済手段37と、為替取引手段38と、入出金手段39と、掛目登録手段40と、割当設定手段41と、優先順位設定手段42とを含んで構成されている。
資産状況表示手段31は、顧客端末装置70からの資産状況表示画面100(図10参照)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して資産状況表示画面100の表示用データを顧客端末装置70へ送信する処理を実行するものである。この際、資産状況表示手段31は、画面表示する数値情報を、表示の時点でその都度計算する処理を実行する。
<取引余力の計算処理>資産状況表示手段31は、以下のようにして取引余力の計算処理を実行する。なお、以下において、買付可能額、振替可能額、出金可能額の算出方法は、証券会社等の金融機関が定めたルールに従うものであるから、一例に過ぎず、例えば、安全サイドで考える場合には、これらの金額が少なくなるようにルールを定めればよい。従って、本発明において重要なのは、本発明以外で通常行われているこれらの金額の算出方法に対し、拘束手段35により拘束を発生させること、および拘束を発生させた場合の拘束金額の取り扱いである。このため、本発明における請求項の記載では、買付可能額の算出処理について、確定残高をベースにすることと、拘束手段35による拘束処理で発生した拘束金額を用いた増減処理への言及にとどめている。
<Y1>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(USD)=Y1(US$)」は、米国株の取引を行う場合についての米ドル(取引通貨)と円貨(他通貨)との混成買付可能額を、米ドル(取引通貨)単位で示した金額である。この混成買付可能額である「買付可能額(USD)=Y1(US$)」は、「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」と、「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」を評価用為替レートで除して得られた換算買付可能額との合計金額である。すなわち、Y1=Y2+(Y3/評価用為替レート)である。例えば、図10では、評価用為替レート=102.50円/US$とし、Y1=20,000.00+4,100,000/102.50=60,000.00(US$)となっている。
なお、「買付可能額(USD)=Y1(US$)」を、課税口座の金額(US$)と非課税口座の金額(US$)とに分けた表示を行ってもよい。
<Y2>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」は、米国株の取引を行う場合についての顧客保有の米ドル(取引通貨)だけによる買付可能額である。この「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」は、次のように計算される。
Y2=確定残高Z2±買付可能額用当日反映分B+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(米ドル(USD)に対する拘束金額)
なお、買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)は、預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)と同じであるから、後述する預り金(USD)=S2(US$)を用いて、Y2=S2+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(米ドル(USD)に対する拘束金額)のように計算することもできる。
すなわち、「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」は、図2の確定残高データベース50の米ドル(USD)の確定残高Z2(US$)をベースとし、それに買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。
ここで、拘束金額の増減については、先ず、「+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)」の処理として、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2(US$)(但し、拘束種別K1のうち、USD不足による円拘束の場合のUS$相当金額)の合計額を加算する。拘束金額K2(USD不足による円拘束の場合)を加算しているのは、拘束を発生させた買い注文の概算受渡金額または約定受渡金額をそのままストレートに買付可能額から減額するのではなく、円貨(他通貨)に対する拘束金額K2の分だけ、減額分を減らす必要があるからである。換言すれば、円貨(他通貨)を拘束したので、その拘束金額K2の分は、米ドル(取引通貨)から減額する必要はないからである。従って、「±買付可能額用当日反映分B」の処理として、拘束を発生させた買い注文の概算受渡金額または約定受渡金額をストレートに減額するとともに、「+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)」の処理として、円貨(他通貨)に対する拘束金額K2の分だけ加算する。例えば、10,000(US$)の買付を行う際に、2,000(US$)が不足していたとすれば、不足する2,000(US$)の分だけ、円貨の拘束を行うので、米ドル(取引通貨)の買付可能額は、8,000(US$)だけ減らせばよいことから、買い注文の概算受渡金額または約定受渡金額の10,000(US$)をストレートに減額するとともに、拘束金額の2,000(US$)を加算する。また、「+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)」については、仮に、米ドル(USD)不足を香港ドル(HKD)やその他の通貨で補うことができるシステム構成とした場合には、USD不足によるHKD拘束の場合、USD不足によるその他の通貨拘束の場合を含むことになる。
次に、「−拘束金額(米ドル(USD)に対する拘束金額)」の処理として、その他の事情で発生している米ドル(USD)に対する拘束金額の合計額を差し引く。また、「−拘束金額(米ドル(USD)に対する拘束金額)」には、仮に、円貨不足、香港ドル(HKD)不足、その他の通貨不足を米ドル(USD)で補うことができるシステム構成とした場合には、円貨不足によるUSD拘束の場合、香港ドル(HKD)不足によるUSD拘束の場合、その他の通貨不足によるUSD拘束の場合を含むことになる。
<Y3>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」は、米国株の取引を行う場合についての顧客保有の円貨(他通貨)による買付可能額である。また、その直下のカッコ内の金額(US$)は、Y3(円)を評価用為替レートで除して得られた換算買付可能額である。この「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」は、次のように計算される。
Y3=確定残高Z1±買付可能額用当日反映分B+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)
なお、買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)は、預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)と同じであるから、後述する預り金(円貨)=S1(円)を用いて、Y3=S1+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)のように計算することもできる。
すなわち、「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」は、図2の確定残高データベース50の円貨の確定残高Z1(円)をベースとし、それに買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。
ここで、拘束金額の増減については、先ず、「+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)」の処理については、本実施形態では、外国株(米国株や香港株等)の売買注文の説明を中心とした記載としているので、該当する拘束金額はないが、日本株の買付を行う場合に、円貨の不足分を米ドル(USD)、香港ドル(HKD)、その他の通貨で補うことができるシステム構成とした場合には、拘束金額K2(円貨不足によるUSD拘束の場合、円貨不足によるHKD拘束の場合、円貨不足によるその他の通貨拘束の場合)の合計額を加算することになる。
次に、「−拘束金額(円貨に対する拘束金額)」の処理として、図7の拘束金データベース55の拘束金額K3(円)(但し、拘束種別K1のうち、USD不足による円拘束の場合、HKD不足による円拘束の場合)の合計額を減算する。また、その他の通貨不足を円貨で補うことができるシステム構成とした場合には、その他の通貨不足による円拘束の場合を含むことになる。さらに、その他の事情で発生している円貨に対する拘束金額があれば、その拘束金額も差し引く。例えば、拘束手段35による拘束金額以外の拘束金額を記憶する他の拘束用のデータベース(不図示)に、譲渡益税などが記憶されている場合には、その譲渡益税などの拘束金額も差し引く。
また、割当データベース58に、顧客の入力による割当用の金額または金額の割合が記憶されている場合には、混成買付可能額である「買付可能額(USD)=Y1(US$)」を計算するに当たって、上述した「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」の全部ではなく、そのうちの一部である割当金額を、新たな「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」として置き換えて画面表示し(図10参照)、さらに、この割当金額に置き換えられた「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」を評価用為替レートで換算して取引通貨単位(USD単位)で示した換算買付可能額を算出し、直下のカッコ内に画面表示する(図10参照)。従って、混成買付可能額である「買付可能額(USD)=Y1(US$)」の画面表示(図10参照)には、円貨については、米国株の注文(USD不足)用の割当金額の分しか含まれないことになる。なお、この割当の機能は、設置を省略してもよい。
例えば、図10で、円貨の買付可能額である4,100,000円のうち、1,025,000円を米国株の注文(USD不足)用に割り当てるという顧客の金額指定、3,075,000円を中国株の注文(HKD不足)用に割り当てるとともに残りを米国株の注文(USD不足)用に割り当てるという顧客の金額指定、あるいは25%を米国株の注文(USD不足)用に割り当てるとともに75%を中国株の注文(HKD不足)用に割り当てるという顧客の割合指定が、割当データベース58に記憶されている場合には、買付可能額(内円貨)=Y3=1,025,000円(円)と画面表示され、その直下のカッコ内に、10,000.00(US$)と画面表示され、買付可能額(USD)=Y1=30,000.00(US$)と画面表示される。
<Y4>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」は、中国株の取引を行う場合についての香港ドル(取引通貨)と円貨(他通貨)との混成買付可能額を、香港ドル(取引通貨)単位で示した金額である。この混成買付可能額である「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」は、「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」と、「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」を評価用為替レートで除して得られた換算買付可能額との合計金額である。すなわち、Y4=Y5+(Y6/評価用為替レート)である。例えば、図10では、評価用為替レート=16.50円/HK$とし、Y4=30,000.00+4,100,000/16.50=278,484.84(HK$)となっている。
なお、「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」を、課税口座の金額(HK$)と非課税口座の金額(HK$)とに分けた表示を行ってもよい。
<Y5>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」は、中国株の取引を行う場合についての顧客保有の香港ドル(取引通貨)だけによる買付可能額である。この「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」は、次のように計算される。
Y5=確定残高Z3±買付可能額用当日反映分B+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(香港ドル(HKD)に対する拘束金額)
なお、買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)は、預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)と同じであるから、後述する預り金(HKD)=S3(HK$)を用いて、Y5=S3+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(香港ドル(HKD)に対する拘束金額)のように計算することもできる。
すなわち、「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」は、図2の確定残高データベース50の香港ドル(HKD)の確定残高Z3(HK$)をベースとし、それに買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。
ここで、拘束金額の増減については、先ず、「+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)」の処理として、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2(HK$)(但し、拘束種別K1のうち、HKD不足による円拘束の場合のHK$相当金額)の合計額を加算する。拘束金額K2(HKD不足による円拘束の場合)を加算している理由は、前述した<Y2>の説明における米ドル不足による円拘束の場合と同様である。従って、「±買付可能額用当日反映分B」の処理として、拘束を発生させた買い注文の概算受渡金額または約定受渡金額をストレートに減額するとともに、「+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)」の処理として、円貨(他通貨)に対する拘束金額K2の分だけ加算する。例えば、10,000(HK$)の買付を行う際に、2,000(HK$)が不足していたとすれば、不足する2,000(HK$)の分だけ、円貨の拘束を行うので、香港ドル(取引通貨)の買付可能額は、8,000(HK$)だけ減らせばよいことから、買い注文の概算受渡金額または約定受渡金額の10,000(HK$)をストレートに減額するとともに、拘束金額の2,000(HK$)を加算する。また、「+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)」については、仮に、香港ドル(HKD)不足を米ドル(USD)やその他の通貨で補うことができるシステム構成とした場合には、HKD不足によるUSD拘束の場合、HKD不足によるその他の通貨拘束の場合を含むことになる。
次に、「−拘束金額(香港ドル(HKD)に対する拘束金額)」の処理として、その他の事情で発生している香港ドル(HKD)に対する拘束金額の合計額を差し引く。また、「−拘束金額(香港ドル(HKD)に対する拘束金額)」には、仮に、円貨不足、米ドル(USD)不足、その他の通貨不足を香港ドル(HKD)で補うことができるシステム構成とした場合には、円貨不足によるHKD拘束の場合、米ドル(USD)不足によるHKD拘束の場合、その他の通貨不足によるHKD拘束の場合を含むことになる。
<Y6>図10の資産状況表示画面100における「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」は、中国株の取引を行う場合についての顧客保有の円貨(他通貨)による買付可能額である。また、その直下のカッコ内の金額(HK$)は、Y6(円)を評価用為替レートで除して得られた換算買付可能額である。この「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」の計算方法は、前述した<Y3>の説明における「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」の計算方法と同様である。
Y6=Y3=確定残高Z1±買付可能額用当日反映分B+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)
なお、買付可能額用当日反映分B(詳細は後述する。)は、預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)と同じであるから、後述する預り金(円貨)=S1(円)を用いて、Y6=Y3=S1+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)のように計算することもできる。
但し、割当データベース58に、顧客の入力による割当用の金額または金額の割合が記憶されている場合には、混成買付可能額である「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」を計算するに当たって、上述した「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」の全部ではなく、そのうちの一部である割当金額を、新たな「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」として置き換えて画面表示し(図10参照)、さらに、この割当金額に置き換えられた「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」を評価用為替レートで換算して取引通貨単位(HKD単位)で示した換算買付可能額を算出し、直下のカッコ内に画面表示する(図10参照)。従って、この場合には、Y6=Y3とはならず、混成買付可能額である「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」の画面表示(図10参照)には、円貨については、中国株の注文(HKD不足)用の割当金額の分しか含まれないことになる。なお、この割当の機能は、設置を省略してもよい。
<Y7>図10の資産状況表示画面100における「出金可能額(円貨)=Y7(円)」は、表示の時点で円貨を出金する(引き出す)ことができる上限金額であり、後述する「預り金(円貨)からUSDへの振替可能額=Y8(円)」および「預り金(円貨)からHKDへの振替可能額=Y9(円)」と同じである。すなわち、Y7=Y8=Y9である。
<Y8>図10の資産状況表示画面100における「預り金(円貨)からUSDへの振替可能額=Y8(円)」は、表示の時点で円貨から米ドル(USD)へ振り替える為替取引を行うことができる上限金額であり、次のように計算される。
Y8=確定残高Z1±振替可能額用当日反映分C+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)
すなわち、「預り金(円貨)からUSDへの振替可能額=Y8(円)」は、図2の確定残高データベース50の円貨の確定残高Z1(円)をベースとし、それに振替可能額用当日反映分C(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。ここで、拘束金額の増減については、前述した<Y3>の説明における「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」の場合と同様である。
<Y9>図10の資産状況表示画面100における「預り金(円貨)からHKDへの振替可能額=Y9(円)」は、表示の時点で円貨から香港ドル(HKD)へ振り替える為替取引を行うことができる上限金額であり、次のように計算される。Y9=Y8である。
Y9=Y8=確定残高Z1±振替可能額用当日反映分C+拘束金額(円貨不足により円貨以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(円貨に対する拘束金額)
<Y10>図10の資産状況表示画面100における「預り金(USD)の振替可能額=Y10(US$)」は、表示の時点で米ドル(USD)から円貨へ振り替える為替取引を行うことができる上限金額であり、次のように計算される。
Y10=確定残高Z2±振替可能額用当日反映分C+拘束金額(米ドル(USD)不足によりUSD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(米ドル(USD)に対する拘束金額)
すなわち、「預り金(USD)の振替可能額=Y10(US$)」は、図2の確定残高データベース50の米ドル(USD)の確定残高Z2(US$)をベースとし、それに振替可能額用当日反映分C(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。ここで、拘束金額の増減については、前述した<Y2>の説明における「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」の場合と同様である。
<Y11>図10の資産状況表示画面100における「預り金(HKD)の振替可能額=Y11(HK$)」は、表示の時点で香港ドル(HKD)から円貨へ振り替える為替取引を行うことができる上限金額であり、次のように計算される。
Y11=確定残高Z3±振替可能額用当日反映分C+拘束金額(香港ドル(HKD)不足によりHKD以外の通貨を拘束した場合)−拘束金額(香港ドル(HKD)に対する拘束金額)
すなわち、「預り金(HKD)の振替可能額=Y11(HK$)」は、図2の確定残高データベース50の香港ドル(HKD)の確定残高Z3(HK$)をベースとし、それに振替可能額用当日反映分C(詳細は後述する。)を増減し、さらに、拘束金額を増減する。ここで、拘束金額の増減については、前述した<Y5>の説明における「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」の場合と同様である。
<預り資産の計算処理>資産状況表示手段31は、以下のようにして預り資産の計算処理を実行する。なお、買付可能額、振替可能額、出金可能額の場合と同様に、確定残高をベースとする預り金の算出方法は、証券会社等の金融機関が定めたルールに従うものであり、以下は一例に過ぎない。
<S1>図10の資産状況表示画面100における「預り金(円貨)=S1(円)」は、次のように計算される。
S1=確定残高Z1±預り金用当日反映分A
すなわち、「預り金(円貨)=S1(円)」は、図2の確定残高データベース50の円貨の確定残高Z1(円)をベースとし、それに預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)を増減する。
<S2>図10の資産状況表示画面100における「預り金(USD)=S2(US$)」は、次のように計算される。
S2=確定残高Z2±預り金用当日反映分A
すなわち、「預り金(USD)=S2(US$)」は、図2の確定残高データベース50の米ドル(USD)の確定残高Z2(US$)をベースとし、それに預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)を増減する。また、「預り金(USD)=S2(US$)」の直下のカッコ内には、S2に図9のレートデータベース57に記憶されている対応する為替レート(1米ドル当たりの円の数値)を乗じた円貨への換算額が画面表示される。
<S3>図10の資産状況表示画面100における「預り金(HKD)=S3(HK$)」は、次のように計算される。
S3=確定残高Z3±預り金用当日反映分A
すなわち、「預り金(HKD)=S3(HK$)」は、図2の確定残高データベース50の香港ドル(HKD)の確定残高Z3(HK$)をベースとし、それに預り金用当日反映分A(詳細は後述する。)を増減する。また、「預り金(HKD)=S3(HK$)」の直下のカッコ内には、S3に図9のレートデータベース57に記憶されている対応する為替レート(1香港ドル当たりの円の数値)を乗じた円貨への換算額が画面表示される。
<S4>図10の資産状況表示画面100における「外国株評価額合計(円貨)=S4(円)」は、図示されない保有データベースに記憶されている顧客保有の外国株の数量と、図示されない時価データベースに記憶されている各外国株の時価(単価)とを乗じることにより各外国株の評価額を算出し(これらの各評価額を予め計算して保有データベースに記憶させておいてもよい。)、これらの各評価額を図9のレートデータベース57に記憶されている対応する為替レートを用いてそれぞれ円貨に換算し、それらの換算額を合計したものである。時価データベースに記憶されている時価や図9のレートデータベース57に記憶されている為替レートは、金融情報提供システム90から取得したものである。
<S5>図10の資産状況表示画面100における「預り資産(合計・円貨)=S5(円)」は、次のように計算される。
S5=S1+S2×為替レート+S3×為替レート+S4
<預り金用当日反映分A>は、画面表示の時点において、預り金の算出に反映させる金額要素であり、下記の買付可能額用当日反映分Bと同じである。従って、確定残高とは異なり、取引中に変動する金額である。
<買付可能額用当日反映分B>は、画面表示の時点において、買付可能額の算出に反映させる金額要素であり、上記の預り金用当日反映分Aと同じである。従って、確定残高とは異なり、取引中に変動する金額である。
買付可能額用当日反映分Bについては、金融商品(ここでは、一例として外国株)の買い注文の場合は、注文受付時に反映する。従って、買い注文の場合は、注文受付時には、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図3の注文データベース51に記憶されているか若しくは記憶させる概算受渡金額T2(売買区分T1=買)をマイナスで反映し、約定後には、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図4の約定データベース52に記憶されている受渡金額(約定受渡金額)J2(売買区分J1=買)をマイナスで反映する。マイナス要素であるため、早期に反映させるという安全サイドのルールである。なお、受渡金額(約定受渡金額)は、約定代金に、証券会社等の金融機関に支払う手数料や税金等を加えた金額であり、概算受渡金額は、約定受渡金額よりも大きめに設定される金額であり、証券会社等の金融機関が定めるルールに従って算出されるものである。
一方、金融商品(ここでは、一例として外国株)の売り注文の場合は、注文受付時には反映せず(すなわち、未約定の段階では反映せず)、約定のタイミングで反映する。従って、売り注文の場合は、約定後に、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図4の約定データベース52に記憶されている受渡金額(約定受渡金額)J2(売買区分J1=売)をプラスで反映する。
また、買付可能額用当日反映分Bについては、為替取引の注文の場合は、原則的に、振替元通貨(減る通貨)は注文受付時に反映し、振替先通貨(増える通貨)は約定のタイミングで反映する。ここでも、マイナス要素は、早期に反映させるという安全サイドのルールをとる。従って、為替取引の注文の場合は、原則として、振替元通貨(減る通貨)は注文受付時に、振替先通貨(増える通貨)は約定後に、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図5の為替データベース53に記憶されている振替金額W3を反映する。この際、買付可能額の算出対象の通貨が、為替取引により増える場合(振替先通貨種別W2が、買付可能額の算出対象の通貨になっている取引)には、振替金額W3をプラスで反映し、為替取引により減る場合(振替元通貨種別W1が、買付可能額の算出対象の通貨になっている取引)には、振替金額W3をマイナスで反映する。なお、自動為替振替手段36による自動為替振替処理でも図5の為替データベース53を利用するので、自動為替振替の場合も、上記と同じである。
さらに、買付可能額用当日反映分Bについては、外部からの入金(例えば、外部の銀行口座等からの資金振替)の場合は、原則として、受渡日(受渡処理時)が到来してから反映する。従って、外部からの入金の場合は、受渡日(受渡処理時)の到来後に、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図6の入出金データベース54に記憶されている振替金額N3をプラスで反映する。この場合は、振替通貨種別N2が、買付可能額の算出対象の通貨になっていて、かつ、入出金の別N1が、外部からの入金になっているので、その通貨が増える場合であるため、振替金額N3をプラスで反映することになる。但し、このように受渡日(受渡処理時)の到来後に反映するというのは、外部の金融機関やそのシステム(出金側になる。)による制約である場合もあるので、例えば、資金振替手続の受付日が受渡日になるような場合には、資金振替手続の受付日に反映させてもよい。
一方、外部への出金の場合は、買付可能額の算出対象の通貨が減る場合であるが、受渡日(受渡処理時)の到来後に、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図6の入出金データベース54に記憶されている振替金額N3をマイナスで反映させてもよく、あるいは資金振替手続の受付日(受付時)にマイナスで反映させてもよい。
<振替可能額用当日反映分C>は、画面表示の時点において、振替可能額の算出に反映させる金額要素であり、買付可能額用当日反映分Bとは異なるものである。従って、確定残高とは異なり、取引中に変動する金額である。
振替可能額用当日反映分Cについては、金融商品(ここでは、一例として外国株)の買い注文の場合は、買付可能額用当日反映分Bの場合と同様に、注文受付時に反映する。従って、買い注文の場合は、注文受付時には、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図3の注文データベース51に記憶されているかまたは記憶させる概算受渡金額T2(売買区分T1=買)をマイナスで反映し、約定後には、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図4の約定データベース52に記憶されている受渡金額(約定受渡金額)J2(売買区分J1=買)をマイナスで反映する。マイナス要素であるため、早期に反映させるという安全サイドのルールである。
一方、金融商品(ここでは、一例として外国株)の売り注文の場合は、買付可能額用当日反映分Bの場合とは異なり、注文受付時には反映せず、さらに、約定のタイミングでも反映せず、受渡日(受渡処理時、例えば受渡日の前日の夜間バッチ処理時)の到来のタイミングで反映する。従って、売り注文の場合は、受渡日(受渡処理時)の到来後に、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図4の約定データベース52に記憶されている受渡金額(約定受渡金額)J2(売買区分J1=売)をプラスで反映する。
また、振替可能額用当日反映分Cについては、為替取引の注文の場合は、買付可能額用当日反映分Bの場合と同様に、原則的に、振替元通貨(減る通貨)は注文受付時に反映し、振替先通貨(増える通貨)は約定のタイミングで反映する。ここでも、マイナス要素は、早期に反映させるという安全サイドのルールをとる。プラス、マイナスも、買付可能額用当日反映分Bの場合と同様である。
さらに、振替可能額用当日反映分Cについては、外部からの入金(例えば、外部の銀行口座等からの資金振替)の場合や、外部への出金の場合は、買付可能額用当日反映分Bの場合と同様であり、原則として、受渡日(受渡処理時)の到来のタイミングで反映する。外部からの入金の場合は、対象顧客の顧客識別情報に関連付けられて図6の入出金データベース54に記憶されている振替金額N3をプラスで反映させ、外部への出金の場合は、マイナスで反映させる。
注文受付手段32は、顧客端末装置70からの注文画面200(図11参照)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して注文画面200の表示用データを顧客端末装置70へ送信し、顧客端末装置70からネットワーク1を介して送信されてくる金融商品(例えば、中国株や米国株等の外国株など)の顧客の注文データを受信し、受信した注文データを、注文に付与した注文識別情報(注文コード等)および注文を行った顧客の顧客識別情報(顧客コード等)と関連付けて図3の注文データベース51に記憶させる処理を実行するものである。
また、注文受付手段32は、受信した注文データから定まる概算受渡金額を計算し、この概算受渡金額も、注文を行った顧客の顧客識別情報に関連付けて図3の注文データベース51に記憶させる処理を実行する。
図11は、注文受付手段32により顧客端末装置70へ送信される注文画面200の一例であり、外国株取引のうちの中国株の買い注文の入力画面である。図11の注文画面200には、混成買付可能額である「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」の表示部201と、「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」の表示部202と、「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」の表示部203とが設けられている。これらの各表示部201〜203に表示される金額は、図10の資産状況表示画面100に表示された金額と同じである(但し、同時期に表示した場合に限る。)。従って、注文受付手段32は、各表示部201〜203に表示させる金額を計算する処理を行うが、これらの計算処理は、前述した資産状況表示手段31による計算処理と同じである。
なお、外国株取引のうちの米国株の買い注文の入力画面の場合には、同様にして、注文画面200には、混成買付可能額である「買付可能額(USD)=Y1(US$)」、「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」、「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」の各表示部が設けられる。
また、図11の注文画面200には、評価用為替レートの表示部210が設けられている。この評価用為替レートは、「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」を香港ドル(HKD)に換算して換算買付可能額を算出するときのレートである。注文受付手段32は、前述した資産状況表示手段31と同様に、図8の掛目登録データベース56に記憶されているレート種別M1=HK$/JPYについての掛目の値M2(%)と、図9のレートデータベース57に記憶されているレート種別R1=HK$/JPYについての為替レートの値R2とを用いて、評価用為替レートを算出する。例えば、為替レートの値R2=15.00(円/HK$)であり、掛目の値M2=110(%)であれば、評価用為替レートは、15.00(円/HK$)×110(%)=16.50(円/HK$)となり、安全サイドの計算を行うことができる。
さらに、図11の注文画面200には、銘柄コードの入力部220と、注文株(口)数の入力部221と、注文単価(指値)の入力部222とが設けられている。注文単価(指値)の入力部222には、現地通貨(中国株の取引通貨である香港ドル)単位の金額(HK$)を入力するようになっている。なお、注文画面200には、「特定」、「一般」、「非課税」等の口座区分の選択入力部を設けておいてもよい。
また、注文受付手段32は、受信した注文データ(顧客識別情報(顧客コード)、銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量、売買区分、執行条件、指値等を含む。)が買い注文の注文データであった場合(売買区分=買の場合)には、この買い注文の注文データから定まる概算受渡金額が、混成買付可能額(中国株の買い注文であれば、表示部201に表示された「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」)の範囲内のときには、その買い注文を許可し、混成買付可能額の範囲を超えているときには、その買い注文を許可しない旨の通知データを顧客端末装置70へネットワーク1を介して送信するという注文許否判断処理を実行する。
さらに、注文受付手段32は、金融商品取引法により禁止されている日計り取引の差金決済を制限するための日計り拘束金(同一受渡日となる同一銘柄の売買を繰り返す日計り取引を行った場合に拘束される金額)が生じている場合には、その拘束金額を買付可能額から差し引き、上記の注文許否判断処理を実行する。日計り拘束金は、拘束手段35による拘束金額以外の拘束金額として、図7の拘束金データベース55とは異なる拘束用のデータベース(不図示)に記憶されている。なお、日計り取引を行った場合における買付可能額の拘束は、同一銘柄の売買を繰り返した場合に適用されるので、異なる銘柄であれば、買付可能額が拘束されることはないため、図11の注文画面200の各表示部201,202の表示金額や、図10の資産状況表示画面100のY2,Y5、およびそれらを含むY1,Y4の表示金額には反映されない。
発注手段33は、注文受付手段32により受け付けて図3の注文データベース51に記憶させた売買注文の注文データを用いて発注データ(注文識別情報(注文コード)、顧客識別情報(顧客コード)、銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量、売買区分、執行条件、指値等を含む。)を作成し、作成した発注データを、通信回線3を介して市場システム80へ送信する処理を実行するものである。発注が行われると、図3の注文データベース51のステータスT3は、発注済(注文中)になる。なお、通信回線3で接続された売買注文サーバ20と市場システム80との間には、現地の証券会社や国内の他の証券会社等のような他の金融機関のシステムが介在していてもよい。また、発注手段33自体が、売買注文サーバ20ではなく、他の金融機関のシステムに設けられていてもよい。
約定手段34は、市場システム80から通信回線3(あるいは、通信回線3および他の金融機関のシステム)を介して送信されてくる売買注文の約定データ(注文識別情報(注文コード)、顧客識別情報(顧客コード)、銘柄識別情報(銘柄コード)、約定数量、売買区分、約定単価等を含む。)を受信し、受信した約定データを、顧客識別情報と関連付けて図4の約定データベース52に記憶させる処理を実行するものである。約定すると、図4の約定データベース52のステータスJ3は、約定済となり、図3の注文データベース51のステータスT3も、約定済になる。
また、約定手段34は、受信した約定データから定まる受渡金額(約定受渡金額)を計算し、この約定受渡金額も、約定した注文を行った顧客の顧客識別情報に関連付けて図4の約定データベース52に記憶させる処理を実行する。
拘束手段35は、買い注文受付時拘束処理と、買い注文約定時拘束減額処理とを実行するものである。なお、後者の買い注文約定時拘束減額処理は、省略してもよい。また、拘束手段35は、売り注文約定時拘束減額処理を実行する構成としてもよい。
買い注文受付時拘束処理は、注文受付手段32により受信した注文データが買い注文の注文データであった場合に、この買い注文の注文データから定まる概算受渡金額が、注文を行った顧客の顧客識別情報に関連付けられて図2の確定残高データベース50に記憶されている取引通貨の確定残高を用いて算出される注文受付時点の取引通貨の買付可能額を超えるときに、その超えた金額分を取引通貨不足による取引通貨以外の他通貨に対する拘束金額として、顧客識別情報および注文識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55に記憶させる処理である。なお、注文識別情報と関連付けるのは、その買い注文が約定した際に買い注文約定時拘束減額処理を行うので、その減額処理対象の拘束金額(顧客毎でかつ注文毎にレコードを生成している場合の拘束金額)を特定するためである。ここで、注文受付時点の取引通貨の買付可能額は、注文受付手段32により計算された金額である。
例えば、中国株の買い注文の場合には、拘束手段35は、買い注文受付時拘束処理では、図3の注文データベース51に記憶されているか若しくは記憶させる概算受渡金額が、図11の表示部202に表示された注文受付時点の「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」を超えるときに、その超えた金額分を、取引通貨(香港ドル(HKD))不足による取引通貨以外の他通貨(円貨)に対する拘束金額として、顧客識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55に記憶させる。この際の拘束金データベース55へのデータ格納は、拘束種別K1=HKD不足による円拘束、拘束金額K2=不足通貨である香港ドル(HKD)で示した拘束金額、拘束金額K3=外貨不足で拘束を受ける通貨である円貨で示した拘束金額である。
より具体的には、買い注文受付時拘束処理では、例えば、中国株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=11,000(HK$)のときには、13,000−11,000=2,000(HK$)の拘束金額が発生するので、図7の拘束金データベース55に、拘束金額K2=2,000(HK$)、拘束金額K3=2,000(HK$)×評価用為替レート16.50(円/HK$)=33,000(円)を格納する。
また、例えば、中国株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=0(HK$)のときには、拘束金額は13,000−0=13,000(HK$)となり、概算受渡金額がそのまま拘束金額となるので、図7の拘束金データベース55に、拘束金額K2=13,000(HK$)が格納され、拘束金額K3=13,000(HK$)×評価用為替レート16.50(円/HK$)=214,500(円)が格納され、拘束金額が概算受渡金額の分だけ増える。
また、米国株の買い注文の場合も同様であり、拘束手段35は、買い注文受付時拘束処理では、図3の注文データベース51に記憶されているか若しくは記憶させる概算受渡金額が、注文受付時点の「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」を超えるときに、その超えた金額分を、取引通貨(米ドル(USD))不足による取引通貨以外の他通貨(円貨)に対する拘束金額として、顧客識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55に記憶させる。この際の拘束金データベース55へのデータ格納は、拘束種別K1=USD不足による円拘束、拘束金額K2=不足通貨である米ドル(USD)で示した拘束金額、拘束金額K3=外貨不足で拘束を受ける通貨である円貨で示した拘束金額である。
買い注文約定時拘束減額処理は、買い注文が約定したときに、上記の買い注文受付時拘束処理で図7の拘束金データベース55に記憶させた拘束金額を、図3の注文データベース51に記憶されている概算受渡金額T2と図4の約定データベース52に記憶されている約定受渡金額J2との差額分(概算受渡金額T2−約定受渡金額J2)の範囲内で減額する処理である。この際、減額処理対象の拘束金額(顧客毎でかつ注文毎にレコードを生成している場合の拘束金額)は、顧客識別情報および注文識別情報で特定する。
例えば、中国株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=11,000(HK$)のときには、前述した買い注文受付時拘束処理で13,000−11,000=2,000(HK$)の拘束金額が発生しているが、その後の買い注文約定時拘束減額処理では、仮にその買い注文の約定受渡金額が、11,800(HK$)であったとすると、概算受渡金額13,000(HK$)と約定受渡金額11,800(HK$)との差額分の1,200(HK$)について拘束金額を修正する、すなわち拘束金額の2,000(HK$)を差額分の1,200(HK$)だけ減額して800(HK$)とする。
また、中国株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=0(HK$)のときには、前述した買い注文受付時拘束処理で拘束金額は13,000−0=13,000(HK$)となり、概算受渡金額がそのまま拘束金額となっているが、その後の買い注文約定時拘束減額処理では、仮にその買い注文の約定受渡金額が、11,800(HK$)であったとすると、概算受渡金額13,000(HK$)と約定受渡金額11,800(HK$)との差額分の1,200(HK$)について拘束金額を修正する、すなわち拘束金額の13,000(HK$)を差額分の1,200(HK$)だけ減額して11,800(HK$)とし、約定受渡金額がそのまま拘束金額となる状態とする。
但し、買い注文約定時拘束減額処理は、必ず差額分(概算受渡金額−約定受渡金額)について減額しなければならないわけではなく、その時点で拘束金額が無い場合は減額する必要はなく、その時点における拘束金額が差額分に満たない場合は差額分の全額を減額する必要もなく、拘束金額が無くなるように減額するだけでよい。従って、買い注文約定時拘束減額処理は、差額分(概算受渡金額−約定受渡金額)の範囲内で拘束金額を減額する処理である。
例えば、中国株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=12,000(HK$)のときには、前述した買い注文受付時拘束処理で13,000−12,000=1,000(HK$)の拘束金額が発生しているが、その後の買い注文約定時拘束減額処理では、仮にその買い注文の約定受渡金額が、11,800(HK$)であったとすると、概算受渡金額13,000(HK$)と約定受渡金額11,800(HK$)との差額分の1,200(HK$)の全額を、拘束金額(その時点までの拘束金額の合計額)の1,000(HK$)から減額してしまうと、拘束金額がマイナス200(HK$)となってしまう。従って、この場合は、差額分の1,200(HK$)の全額ではなく、その一部である1,000(HK$)だけ減額し、その時点での拘束金額の合計額がゼロになるようにすればよい。
また、買い注文約定時拘束減額処理と、後述する売り注文約定時拘束減額処理とを併用する場合には、売り注文約定時拘束減額処理により、その時点での拘束金額の合計額がゼロになっていれば、買い注文約定時拘束減額処理で減額する必要はない。例えば、中国株のA株の買い注文の概算受渡金額が、13,000(HK$)であり、買付可能額(内外貨)=Y5=0(HK$)のときには、前述した買い注文受付時拘束処理で拘束金額は13,000−0=13,000(HK$)となるが、その後、中国株のB株の売り注文が約定し、その約定受渡金額が15,000(HK$)であったとすれば、売り注文約定時拘束減額処理により、その時点での拘束金額の合計額はゼロになる。ここで、さらにその後、上記の中国株のA株の買い注文が約定しても、その時点での拘束金額の合計額はゼロになっているので、買い注文約定時拘束減額処理により差額分(概算受渡金額−約定受渡金額)を減額する必要はない。
なお、この買い注文約定時拘束減額処理は省略してもよく、その場合には、差額分(概算受渡金額−約定受渡金額)の範囲内での減額は行われないので、買い注文約定時拘束減額処理を行う場合に比べ、1日の取引終了時点での拘束金額の合計額は大きくなる。
売り注文約定時拘束減額処理は、約定手段34により受信して図4の約定データベース52に記憶されている約定データが売り注文の約定データであった場合に、約定した売り注文を行った顧客の顧客識別情報と関連付けられて図7の拘束金データベース55に記憶されている拘束金額があるときには、売り注文の約定データから定まる受渡金額(約定受渡金額)J2の範囲内で拘束金額(その時点の拘束金額の合計額)を減額する処理である。より具体的には、その時点の拘束金額の合計額が約定受渡金額J2以上である場合には、約定受渡金額J2の全額を減額し、その時点の拘束金額の合計額が約定受渡金額J2よりも小さい場合には、その時点の拘束金額の合計額と同じ金額を減額し、拘束金額の合計額をゼロにする。なお、売り注文約定時拘束減額処理による図7の拘束金データベース55へのデータ格納処理は、例えば、その売り注文に対応するレコードを生成し、顧客識別情報およびその売り注文の注文識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3に、拘束金額の合計額の減額分として、マイナスの拘束金額を格納する処理等とすればよい。
この売り注文約定時拘束減額処理を行う場合は、図16、図17の拘束・自動為替振替パターン3に該当し、この売り注文約定時拘束減額処理を行わない場合は、図13〜図15の拘束・自動為替振替パターン1,2のいずれかに該当する。
例えば、拘束金額の合計額が4,000(HK$)の時点で、中国株の売り注文が約定し、その約定受渡金額が3,000(HK$)であったとすれば、売り注文約定時拘束減額処理により、その時点での拘束金額の合計額の4,000(HK$)から、約定受渡金額の3,000(HK$)の全額を減額し、拘束金額の合計額を1,000(HK$)にする。また、拘束金額の合計額が4,000(HK$)の時点で、中国株の売り注文が約定し、その約定受渡金額が6,000(HK$)であったとすれば、売り注文約定時拘束減額処理により、その時点での拘束金額の合計額の4,000(HK$)と同じ金額(約定受渡金額の6,000(HK$)の範囲内である。)を減額して拘束金額の合計額をゼロにする。
また、拘束手段35は、取引通貨の不足を2以上の他通貨で補うことを選択している顧客については、優先順位データベース59に当該顧客の優先順位データが記憶されているので、その優先順位データを用いた拘束処理を実行する。なお、この機能は無くてもよい。
具体的には、拘束手段35は、買い注文受付時拘束処理の際に、注文を行った顧客の顧客識別情報と関連付けられて優先順位データベース59に記憶されている優先順位データを用いて、2以上の他通貨について優先順位の高い順にそれぞれの拘束金額を決定し、決定したそれぞれの他通貨の拘束金額を、顧客識別情報および注文識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55に記憶させる処理を実行する。
例えば、円貨、米ドル(USD)、香港ドル(HKD)という優先順位を指定している顧客がいた場合に、中国株の買い注文で香港ドル(HKD)不足が発生したときには、その不足金額分について、先ず円貨を拘束し、それでも不足するときには(その時点での円貨の買付可能額を全部拘束しても不足金額が生じるときには)、米ドル(USD)を拘束する。また、円貨、米ドル(USD)、香港ドル(HKD)という優先順位を指定している顧客がいた場合に、米国株の買い注文で米ドル(USD)不足が発生したときには、その不足金額分について、先ず円貨を拘束し、それでも不足するときには(その時点での円貨の買付可能額を全部拘束しても不足金額が生じるときには)、香港ドル(HKD)を拘束する。さらに、円貨、米ドル(USD)、香港ドル(HKD)という優先順位を指定している顧客がいた場合に、日本株の買い注文で円貨の不足が発生したときには、その不足金額分について、先ず米ドル(USD)を拘束し、それでも不足するときには(その時点での米ドル(USD)の買付可能額を全部拘束しても不足金額が生じるときには)、香港ドル(HKD)を拘束する。
自動為替振替手段36は、1日の取引終了後に、[1]各顧客の顧客識別情報に関連付けられて図7の拘束金データベース55に記憶されている各顧客の拘束金額K2,K3若しくは複数の拘束金額K2,K3の合計金額を、その日に発生した各顧客の日単位の取引通貨不足金額とするか、または、[2]各顧客の顧客識別情報に関連付けられて図7の拘束金データベース55に記憶されている各顧客の拘束金額K2,K3若しくは複数の拘束金額K2,K3の合計金額から、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて図2の確定残高データベース50に記憶されている各顧客の取引通貨の確定残高を用いて算出される各顧客の取引終了時点の取引通貨の買付可能額を減じた金額を、その日に発生した各顧客の日単位の取引通貨不足金額とし、これらの各顧客の日単位の取引通貨不足金額について、他通貨から取引通貨へ振り替える自動為替振替処理を実行するものである。ここで、「各顧客の拘束金額K2,K3若しくは複数の拘束金額K2,K3の合計金額」における「若しくは」の前半部分は、拘束を発生させた注文が1つしかない場合があることと、拘束金額を注文毎に記憶するのではなく、合算金額を更新しながら記憶してもよいことを考慮したものである。
前者の[1]の場合は、1日の取引終了後の拘束金額の合計額を、そのまま日単位の取引通貨不足金額とし、それを自動為替振替の対象額とする場合であり、図13〜図15の拘束・自動為替振替パターン1および図16、図17の拘束・自動為替振替パターン3に該当する。後者の[2]の場合は、1日の取引終了後に、日単位の取引通貨不足金額を減額する処理を行うことにより、自動為替振替の対象額を減らす場合であり、図13〜図15の拘束・自動為替振替パターン2に該当する。
より具体的には、自動為替振替手段36は、図5の為替データべース53へのデータ格納を行う。このデータ格納、すなわち自動為替振替の注文は、例えば、金融商品(例えば、米国株や中国株等の外国株など)の売買注文の国内約定日に行い、自動為替振替の約定日は、例えば、金融商品の売買注文の国内約定日の翌国内営業日とする。なお、現地約定日は異なるが、国内受渡日が同一となる金融商品の売買注文に係る取引については、翌国内約定日の取引終了後に、取引通貨不足金額を計算し、自動為替振替の注文を行う。そして、自動為替振替手段36は、例えば、自動為替振替の約定日の翌国内営業日(または約定日と同日でもよい。)を自動為替振替の受渡日として受渡処理を行う。
自動為替振替手段36は、各顧客の日単位の取引通貨不足金額を算出する際には、図7の拘束金データベース55に記憶されている拘束種別K1毎に、各顧客毎に拘束金額K2またはK3を合計する。例えば、拘束種別K1=USD不足の円拘束の場合には、米ドル(USD)が取引通貨であり、その不足分を他通貨である円貨で補うので、他通貨である円貨から、取引通貨である米ドル(USD)への振替を行うために、振替元通貨種別W1=円貨、振替先通貨種別W2=米ドル(USD)とする。そして、拘束種別K1=USD不足の円拘束の場合の拘束金額K2(US$)の合計処理を経て決定した日単位の取引通貨不足金額であれば、それを評価用為替レートで円貨に換算してから、図5の為替データべース53の振替金額W3(円)に格納し、拘束種別K1=USD不足の円拘束の場合の拘束金額K3(円)の合計処理を経て決定した日単位の取引通貨不足金額であれば、それをそのまま図5の為替データべース53の振替金額W3(円)に格納する。
また、例えば、拘束種別K1=HKD不足の円拘束の場合には、香港ドル(HKD)が取引通貨であり、その不足分を他通貨である円貨で補うので、他通貨である円貨から、取引通貨である香港ドル(HKD)への振替を行うために、振替元通貨種別W1=円貨、振替先通貨種別W2=香港ドル(HKD)とする。そして、拘束種別K1=HKD不足の円拘束の場合の拘束金額K2(HK$)の合計処理を経て決定した日単位の取引通貨不足金額であれば、それを評価用為替レートで円貨に換算してから、図5の為替データべース53の振替金額W3(円)に格納し、拘束種別K1=HKD不足の円拘束の場合の拘束金額K3(円)の合計処理を経て決定した日単位の取引通貨不足金額であれば、それをそのまま図5の為替データべース53の振替金額W3(円)に格納する。
さらに、後者の[2]の場合に、自動為替振替手段36により、図2の確定残高データベース50に記憶されている各顧客の取引通貨の確定残高を用いて各顧客の取引終了時点の取引通貨の買付可能額を算出する処理は、拘束種別K1=USD不足の円拘束の場合には、取引終了時点での図10の「買付可能額(内外貨)=Y2(US$)」を算出する処理であり、拘束種別K1=HKD不足の円拘束の場合には、取引終了時点での図10の「買付可能額(内外貨)=Y5(HK$)」を算出する処理であるため、資産状況表示手段31や注文受付手段32による処理と同様である。
また、自動為替振替手段36による日単位の取引通貨不足金額の算出に用いる拘束金額K2またはK3は、1日の取引終了時点で未約定となっている注文により発生した拘束金額を含めてその日に発生した拘束金額の全部としてもよく(未約定考慮処理)、あるいは、未約定の注文についての拘束金額を除外することにより、約定した注文についての拘束金額だけとしてもよい(未約定除外処理)。前者の未約定考慮処理の場合には、未約定の注文であっても一旦拘束を発生させているので、自動為替振替の対象とするという考え方であり、後者の未約定除外処理の場合には、未約定の注文については受け渡しの発生が確定していないので(少なくともその日に約定した注文と同日の受け渡しにはならないので)、必要以上の振替はなるべく避けるという観点から、自動為替振替の対象としないという考え方である。後者の場合は、同じ受渡日になる注文についての拘束金額を合計していることになる。
後者の未約定除外処理を行う場合において、拘束手段35による売り注文約定時拘束減額処理(同じく必要以上の振替はなるべく避けるという観点での処理である。)と併用すると、取引終了後の計算時点で、拘束金額の合計額がマイナスになってしまうことがあり得るが、その場合には、日単位の取引通貨不足金額をゼロとすればよい。例えば、4,000(HK$)の中国株の買い注文をしてその全額相当が円貨に対する拘束金額になったとし、その後、4,000(HK$)以上の中国株の売り注文の約定により売り注文約定時拘束減額処理が行われ、円貨に対する拘束金額の合計額がゼロになり、そして買い注文が約定しないままの状態で1日の取引が終了したとする。このとき、未約定の4,000(HK$)の中国株の買い注文により発生した4,000(HK$)相当の円貨に対する拘束金額を除外すると、拘束金額の合計額がマイナス4,000(HK$)になってしまうが、このような場合には、日単位の取引通貨不足金額をゼロとし、自動為替振替は行わなくてよい。
同様に、後者の未約定除外処理を行う場合において、前述した[2]拘束金額の合計額から取引終了時点の取引通貨の買付可能額を減じた金額を、その日に発生した各顧客の日単位の取引通貨不足金額とする処理(同じく必要以上の振替はなるべく避けるという観点での処理である。)と併用すると、未約定の注文についての拘束金額を除外した場合の拘束金額の合計額から取引終了時点の取引通貨の買付可能額を減じた金額がマイナスになってしまうことがあり得るが、その場合には、日単位の取引通貨不足金額をゼロとすればよい。
なお、前者の未約定考慮処理を行う場合には、1日の取引終了時点で未約定の注文についての拘束金額も、日単位の取引通貨不足金額の算出に用いられるので、自動為替振替に伴ってその注文についての拘束金額は解除される。一方、後者の未約定除外処理を行う場合には、その注文が失効する場合には、失効に伴ってその注文についての拘束金額を解除すればよく、その注文が失効せずに、翌営業日以降に継続する場合には、その注文についての拘束金額は翌営業日以降に持ち越され、翌営業日の取引開始時点で買付可能額等の算出処理に反映され、翌営業日以降の約定により日単位の取引通貨不足金額の算出に用いられて拘束金額が解除されることになる。
また、自動為替振替手段36は、図5の為替データべース53へのデータ格納(自動為替振替の注文)を行った後、前述したタイミングで自動為替振替の約定処理を行って為替データべース53のステータスW4を注文中から約定済に変更し、さらに、前述したタイミングで自動為替振替の受渡処理を行ってステータスW4を約定済から受渡済に変更する。自動為替振替手段36は、この受渡処理で図2の確定残高データベース50に記憶されている振替元通貨種別W1の通貨(円貨など)についての確定残高を振替金額W3の分だけ減額する一方、振替先通貨種別W2の通貨(米国ドルや香港ドルなど)についての確定残高を振替金額W3の相当分だけ増額する処理を実行してもよく、あるいはそのような確定残高の増減処理は実際には行わずに、ステータスW4を受渡済とすることにより同様な効果を持たせるようにしてもよい。後者の場合には、後日、実際に確定残高の増減処理を行う際に、ステータスW4を受渡済から無効や終了等に変更すればよい。
さらに、自動為替振替手段36は、自動為替振替を行った拘束金額(日単位の取引通貨不足金額の算出に用いられた拘束金額の集合)についてその拘束を解除する処理を実行する。具体的には、例えば、図5の為替データべース53の振替金額W3(自動為替振替をする金額)が買付可能額の算出処理に反映されるようになった時点で、図7の拘束金データべース55の拘束金額K2,K3が買付可能額の算出処理に反映されなくなるように、拘束金額K2,K3の解除処理を行う。
決済手段37は、自動為替振替手段36による自動為替振替処理後に到来する金融商品(例えば、米国株や中国株等の外国株など)の売買注文の受渡時に、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて図2の確定残高データベース50に記憶されている各顧客の日単位の取引通貨不足金額(振替金額W3の相当分)の加算後の各顧客の取引通貨の確定残高(例えば米国ドルや香港ドルの確定残高Z2,Z3)に対し、または、加算前の各顧客の取引通貨の確定残高(例えば米国ドルや香港ドルの確定残高Z2,Z3)に各顧客の日単位の取引通貨不足金額(振替金額W3の相当分)を加算した金額に対し、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて図4の約定データベース52に記憶されている1つまたは複数の約定受渡金額J2を増減する(買い注文の場合にはマイナスし、売り注文の場合にはプラスする。)決済処理を実行するものである。決済処理(外国株等の金融商品の売買注文の受渡処理)が行われると、決済手段37により、図4の約定データベース52のステータスJ3は、約定済から受渡済に変更される。
なお、上記において「加算前の各顧客の取引通貨の確定残高(例えば米国ドルや香港ドルの確定残高Z2,Z3)に各顧客の日単位の取引通貨不足金額(振替金額W3の相当分)を加算した金額に対し」というのは、自動為替振替の受渡処理は済んでいるが、その分についての確定残高の増減処理は実際には未だ行われていない場合を考慮したものである。
為替取引手段38は、顧客端末装置70からの為替取引画面(不図示)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して為替取引画面の表示用データを顧客端末装置70へ送信し、顧客端末装置70からネットワーク1を介して送信されてくる円貨、米国ドル、香港ドル等の各通貨のうちの2者間の為替取引の注文用のデータを受信し、受信した注文用のデータを、図5の為替データべース53へ格納する処理を実行するものである。このデータの格納処理は、自動為替振替手段36による自動為替振替の注文受付時の処理と同様である。また、為替取引手段38は、顧客から受信した為替取引の注文についての約定処理や受渡処理も行うが、これらの処理も、自動為替振替手段36による処理と同様である。
入出金手段39は、顧客端末装置70からの入出金画面(不図示)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して入出金画面の表示用データを顧客端末装置70へ送信し、顧客端末装置70からネットワーク1を介して送信されてくる円貨、米国ドル、香港ドル等の各通貨のうちのいずれかについての入出金(外部からの入金、外部への出金)の要求データを受信し、受信した要求データを、図6の入出金データべース54へ格納する処理を実行するものである。この入出金手段39による入出金処理は、同じ通貨を移動させるだけであるため、移動前後で通貨種別は変わらない。
例えば、外部の銀行口座からの米ドル(USD)10,000(US$)の入金要求の場合には、図6の入出金データべース54の入出金の別N1=外部からの入金、振替通貨種別N2=米ドル(USD)、振替金額N3=10,000(US$)とする。
また、入出金手段39は、入出金要求の受付処理を行った後、入出金要求の約定処理を行って図6の入出金データべース54のステータスN4を注文中から約定済に変更し、さらに、入出金要求の受渡処理を行ってステータスN4を約定済から受渡済に変更する。入出金手段39は、この受渡処理で、図6の入出金データべース54の入出金の別N1=外部からの入金の場合には、図2の確定残高データベース50に記憶されている振替通貨種別N2の通貨についての確定残高を振替金額N3の分だけ増額し、図6の入出金データべース54の入出金の別N1=外部への出金の場合には、図2の確定残高データベース50に記憶されている振替通貨種別N2の通貨についての確定残高を振替金額N3の分だけ減額する処理を実行してもよく、あるいはそのような確定残高の増減処理は実際には行わずに、ステータスN4を受渡済とすることにより同様な効果を持たせるようにしてもよい。後者の場合には、後日、実際に確定残高の増減処理を行う際に、ステータスN4を受渡済から無効や終了等に変更すればよい。
掛目登録手段40は、管理者端末装置71からネットワーク2を介して送信されてくる評価用為替レートの算出に用いる掛目データを受信し、受信した掛目データを、レート種別M1と関連付けて図8の掛目登録データベース56に記憶させる処理を実行するものである。なお、掛目データに、例えば、0%等の特殊な数値または文字や記号を入力すると、混成買付可能額である「買付可能額(USD)=Y1(US$)」(図10参照)の算出の際に、「買付可能額(内円貨)=Y3(円)」を用いて算出される換算買付可能額の項が無くなり、あるいは混成買付可能額である「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」(図10参照)の算出の際に、「買付可能額(内円貨)=Y6(円)」を用いて算出される換算買付可能額の項が無くなり、取引通貨不足時に不足分を他通貨で補う処理(他通貨に対する拘束をかけて、取引終了後に他通貨から取引通貨への自動為替振替を行う処理)を中止することができる。
割当設定手段41は、顧客端末装置70からの割当設定画面(不図示)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して割当設定画面の表示用データを顧客端末装置70へ送信し、顧客端末装置70からネットワーク1を介して送信されてくる割当データ(割当用の金額若しくは金額の割合)を受信し、受信した割当データを、顧客識別情報と関連付けて割当データベース58(不図示)に記憶させる処理を実行するものである。なお、この割当設定手段41による機能は無くてもよい。
ここで、割当データ(割当用の金額若しくは金額の割合)は、図2の確定残高データベース50に記憶されている各通貨の確定残高のうちの任意または特定の通貨の確定残高を用いて算出される当該任意または特定の通貨の買付可能額のうち、当該任意または特定の通貨とは異なる通貨が取引通貨となったときに混成買付可能額を構成する換算買付可能額に割り当てる金額若しくは金額の割合である。例えば、円貨の買付可能額である4,100,000円のうち、1,025,000円を米国株の注文(USD不足)用に割り当てるという顧客の金額指定、3,075,000円を中国株の注文(HKD不足)用に割り当てるとともに残りを米国株の注文(USD不足)用に割り当てるという顧客の金額指定、あるいは25%を米国株の注文(USD不足)用に割り当てるとともに75%を中国株の注文(HKD不足)用に割り当てるという顧客の割合指定等を行うことができる。
優先順位設定手段42は、顧客端末装置70からの優先順位設定画面(不図示)の送信要求に応じ、ネットワーク1を介して優先順位設定画面の表示用データを顧客端末装置70へ送信し、顧客端末装置70からネットワーク1を介して送信されてくる優先順位データを受信し、受信した優先順位データを、顧客識別情報と関連付けて優先順位データベース59(不図示)に記憶させる処理を実行するものである。なお、この優先順位設定手段42による機能は無くてもよい。
ここで、優先順位データは、図2の確定残高データベース50に3以上の通貨の確定残高が記憶されている場合に、これらの3以上の通貨を金融商品の売買注文の資金として用いる際の優先順位を指定するためのデータである。
確定残高データベース50は、図2に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、円貨の預け入れ残高(確定残高)Z1(円)、米ドル(USD)の預け入れ残高(確定残高)Z2(US$)、香港ドル(HKD)の預け入れ残高(確定残高)Z3等を関連付けて記憶するものである。
注文データベース51は、図3に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、注文識別情報(注文コード)、銘柄識別情報(銘柄コード)、数量(株数、口数、枚数等)、執行条件(成行・指値の別)、指値注文の場合の指値、売買区分T1(売、買)、受渡金額(注文時は、概算受渡金額)T2(取引通貨US$、HK$などによる数値)、ステータスT3(発注済(注文中)、約定済、受渡済、…)等を関連付けて記憶するものである。
約定データベース52は、図4に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、注文識別情報(注文コード)、銘柄識別情報(銘柄コード)、約定数量(約定株数、約定口数、約定枚数等)、約定単価、約定日、売買区分J1(売、買)、受渡金額(約定受渡金額)J2(取引通貨US$、HK$などによる数値)、ステータスJ3(約定済、受渡済、…)、受渡日等を関連付けて記憶するものである。なお、図3の注文データベース51と図4の約定データベース52とは、1つのデータベースにまとめてもよい。
為替データベース53は、図5に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、振替元通貨種別W1(円価など)、振替先通貨種別W2(US$、HK$など)、振替金額W3(振替元通貨で示した金額)、ステータスW4(注文中、約定済、受渡済、…)、受渡日W5等を関連付けて記憶するものである。なお、本実施形態では、自動為替振替手段36による自動為替振替処理でも、この為替データベース53を用いているが、兼用するのではなく、自動為替振替処理に用いるデータベースと、為替取引手段38による顧客の入力に基づく為替取引に関する処理に用いるデータベースとを分けてもよい。
入出金データベース54は、図6に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、入出金の別N1(外部からの入金、外部への出金)、振替通貨種別N2(円価、US$、HK$など)、振替金額N3、ステータスN4(注文中、約定済、受渡済、…)、受渡日N5等を関連付けて記憶するものである。
拘束金データベース55は、図7に示すように、顧客識別情報(顧客コード)、注文識別情報(注文コード)、拘束種別K1(USD不足の円拘束、HKD不足の円拘束、…)、拘束金額K2(US$、HK$などの不足する通貨での表示金額)、拘束金額K3(円貨などの外貨不足で拘束される通貨での表示金額)、日付K4(解除する日など)等を関連付けて記憶するものである。なお、拘束金データベース55に記憶される拘束金額は、拘束手段35による拘束金額であり、それ以外の拘束金額、例えば、譲渡益税や日計り拘束金等は、別の拘束用のデータベース(不図示)に記憶されている。
また、本実施形態では、図7の拘束金データベース55は、顧客毎でかつ注文毎にレコードを生成する構成とされているが、顧客毎にレコードを生成し、同一顧客の各注文で発生した拘束金額の合計額を更新しながら記憶する構成としてもよい。このような構成とする場合には、ある買い注文が約定した際に、その買い注文について買い注文受付時拘束処理が行われているか否かを判断するために、買い注文受付時拘束処理を行った買い注文の注文識別情報を別のデータベースに記憶させておくことで、買い注文約定時拘束減額処理の対象となる買い注文を把握することができるようになる。後述する図13〜図17の例では、説明の便宜上、同一顧客の各注文のレコードに記憶されている拘束金額の合計額についての金額の推移が示されているが、これらの図に示された拘束金額の合計額そのものを、更新しながら記憶する構成とすることに相当する。
掛目登録データベース56は、図8に示すように、レート種別M1(US$/JPY、HK$/JPYなど)、評価用為替レートを決定するために登録された掛目の値M2(%)等を関連付けて記憶するものである。
レートデータベース57は、図9に示すように、レート種別R1(US$/JPY、HK$/JPYなど)、為替レートの値R2、日時R3等を関連付けて記憶するものである。
割当データベース58は、顧客識別情報(顧客コード)、割当データ(割当用の金額若しくは金額の割合)等を関連付けて記憶するものである。この割当データベース58は、設置を省略してもよい。
優先順位データベース59は、顧客識別情報(顧客コード)、優先順位データ(各通貨についての通貨種別およびその優先順位)等を関連付けて記憶するものである。この優先順位データベース59は、設置を省略してもよい。
以上において、売買注文サーバ20は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータあるいは複数のCPUで分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
また、処理手段30を構成する各手段31〜42は、売買注文サーバ20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
さらに、処理手段30に接続された各データベース50〜59は、例えば、ハードディスクが好適であるが、必要な記憶容量、アクセス速度、耐久性等を確保できれば、フラッシュ・メモリ等の他の記録媒体を用いてもよい。
顧客端末装置70は、顧客(投資家)またはその入力代行者(証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)が操作する端末装置であり、管理者端末装置71は、証券会社等の金融機関のシステム管理者が操作する端末装置であり、いずれもコンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボードやタッチパネル等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示装置とを備え、さらには適宜、印刷装置等を備えていてもよい。また、顧客端末装置70や管理者端末装置71は、例えば、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、携帯電話機(PHSを含む。)等の携帯機器でもよい。
市場システム80は、例えば米国株や中国株等の外国株などの各種の金融商品の売買取引を取り扱う各国の市場を形成する1つまたは複数のシステムであり、コンピュータにより構成され、各国の取引所システム、PTS市場を形成する証券会社のシステム(私設取引システム)等である。なお、市場システム80と売買注文サーバ20との間には、1つまたは複数の他のシステムが介在していてもよい。
金融情報提供システム90は、例えば、情報ベンダーのシステム、または売買注文サーバ20を管理する証券会社等の金融機関内の他のシステム等であり、外国株等の金融商品の時価(単価)、為替レート等の各種の金融情報を提供する1つまたは複数のシステムであり、コンピュータにより構成されている。この金融情報提供システム90から金融情報取得手段(不図示)により取得した外国株等の金融商品の時価(単価)や為替レートは、時価データベース(不図示)や図9のレートデータベース57に記憶される。
このような本実施形態においては、以下のようにして売買注文システム10により外国株等の金融商品の売買取引についての注文受付から決済までの処理が行われる。
図12において、顧客(投資家)は、顧客端末装置70を操作し、顧客識別情報(顧客コード)やパスワードを入力し、ネットワーク1を介して売買注文サーバ20にアクセスし、資産状況表示画面100(図10参照)や注文画面200(図11参照)の表示要求を行う。
売買注文サーバ20では、資産状況表示手段31により、顧客端末装置70からの資産状況表示画面100(図10参照)の表示要求に応じ、ネットワーク1を介して資産状況表示画面100の表示用データを顧客端末装置70へ送信する(ステップS1)。すると、顧客端末装置70の画面上には、資産状況表示画面100が表示される。この際、資産状況表示手段31は、図2の確定残高データベース50に記憶されている当該顧客の確定残高Z1,Z2,Z3、図3の注文データベース51に記憶されている当該顧客の概算受渡金額T2、図4の約定データベース52に記憶されている当該顧客の約定受渡金額J2、図5の為替データベース53に記憶されている当該顧客の振替金額W3、図6の入出金データベース54に記憶されている当該顧客の振替金額N3、図7の拘束金データベース55に記憶されている当該顧客の拘束金額K2,K3、図8の掛目登録データベース56に記憶されている掛目の値M2、図9のレートデータベース57に記憶されている為替レートの値R2等を用いて、画面表示する数値情報を計算する。計算処理方法は、既に詳述しているため、ここでは説明を省略する。
また、売買注文サーバ20では、注文受付手段32により、顧客端末装置70からの注文画面200(図11参照)の表示要求に応じ、ネットワーク1を介して注文画面200の表示用データを顧客端末装置70へ送信する(ステップS1)。すると、顧客端末装置70の画面上には、注文画面200が表示される。この際、注文受付手段32は、資産状況表示手段31の場合と同様にして画面表示する数値情報を計算する。
続いて、顧客が顧客端末装置70を操作し、図11の注文画面200の表示部201に表示された混成買付可能額(例えば、米国株の買い注文の場合には、「買付可能額(USD)=Y1(US$)」となり、中国株の買い注文の場合には、「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」となる。)を参照しながら、注文金額(正確には、概算受渡金額)がその範囲内に収まるように、注文数量(株数、口数)を決定し、各入力部220〜222に注文データを入力し、入力した注文データを、ネットワーク1を介して売買注文サーバ20へ送信する。
売買注文サーバ20では、注文受付手段32により、顧客端末装置70からの注文データを受信すると、受信した注文データから定まる概算受渡金額を計算し、その注文データが買い注文の注文データであった場合には、計算した概算受渡金額が、混成買付可能額(中国株の買い注文であれば、表示部201に表示された「買付可能額(HKD)=Y4(HK$)」)の範囲内のときには、その買い注文を許可し、混成買付可能額の範囲を超えているときには、その買い注文を許可しない旨の通知データを顧客端末装置70へネットワーク1を介して送信するという注文許否判断処理を実行する。
そして、注文受付手段32により、許可すると判断した買い注文の注文データや、受信した売り注文の注文データを、計算した概算受渡金額とともに、注文に付与した注文識別情報(注文コード等)および注文を行った顧客の顧客識別情報(顧客コード等)と関連付けて図3の注文データベース51に記憶させる(ステップS1)。
続いて、拘束手段35により、注文受付手段32により受信して図3の注文データベース51に記憶させた注文データが買い注文の注文データであった場合には、その概算受渡金額が、注文受付時点の当該顧客の取引通貨の買付可能額を超えるか否かを判断し、超えるときに、その超えた金額分を取引通貨不足(例えば、米ドル不足、香港ドル不足)による取引通貨以外の他通貨(例えば、円貨)に対する拘束金額として、顧客識別情報および注文識別情報と関連付けて図7の拘束金データベース55に記憶させる買い注文受付時拘束処理を行う(ステップS2)。一方、超えないときには、取引通貨(例えば、米ドル、香港ドル)の買付可能額が足りているので、他通貨(例えば、円貨)に対する拘束は行わない。なお、売り注文の注文データであった場合にも、拘束手段35による拘束処理は行われない。
従って、この時点から、買い注文の際の取引通貨不足(例えば、米ドル不足、香港ドル不足)により図7の拘束金データベース55に記憶された拘束金額K2,K3は、取引通貨の買付可能額(内外貨)Y2,Y5および他通貨の買付可能額(内円貨)Y3,Y6、さらには混成買付可能額(USD)Y1や混成買付可能額(HKD)Y4に反映される。
例えば、香港ドル(HKD)が取引通貨となる中国株の買い注文について、(1)注文前に買付可能額(内外貨)Y5が十分にある場合、(2)注文前に買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)であるが、買付可能額(内円貨)Y6が十分にある場合、(3)注文前に買付可能額(内外貨)Y5はあるが、不十分である場合には、次のような処理が行われる。
(1)注文前に買付可能額(内外貨)Y5が十分にある場合には、買付に必要な香港ドルが十分にあるので、図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2の分だけ、買付可能額(内外貨)Y5が減る。一方、取引通貨不足(香港ドル不足)ではないので、他通貨である円貨が拘束されることはないため、買付可能額(内円貨)Y6は変わらない。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、概算受渡金額T2の分だけ減る。
(2)注文前に買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)であるが、買付可能額(内円貨)Y6が十分にある場合には、概算受渡金額T2の分の全部が取引通貨不足金額となるので、拘束手段35による買い注文受付時拘束処理により、図7の拘束金データベース55に概算受渡金額T2と同額の拘束金額が記憶される。従って、買付可能額(内円貨)Y6は、概算受渡金額T2と同額の拘束金額の分だけ減る。一方、買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)のままである。他通貨である円貨を減らすので、取引通貨である香港ドルは減らさなくてもよいからであるが、計算としては、買付可能額(内外貨)Y5は、図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2の分だけ減るとともに、概算受渡金額T2と同額の拘束金額の分だけ増えるので、0(HK$)のまま変化しないということになる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、概算受渡金額T2の分だけ減る。
(3)注文前に買付可能額(内外貨)Y5はあるが、不十分である場合には、概算受渡金額T2の一部の金額分α(概算受渡金額T2よりも少ない金額α)が取引通貨不足金額となるので、拘束手段35による買い注文受付時拘束処理により、図7の拘束金データベース55に概算受渡金額T2の一部の金額分αの拘束金額が記憶される。従って、買付可能額(内円貨)Y6は、概算受渡金額T2の一部の金額分αの拘束金額の分だけ減る。一方、買付可能額(内外貨)Y5は、図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2の分だけ減るとともに、概算受渡金額T2の一部の金額分αの拘束金額の分だけ増えるので、概算受渡金額T2の残りの一部の金額分(T2−α)だけ減る。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、概算受渡金額T2の分だけ減る。
また、中国株の売り注文については、注文受付時には、拘束手段35による拘束処理は行われないので、拘束手段35による拘束金額の反映はなく、図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2の反映もない。従って、買付可能額(内外貨)Y5および買付可能額(内円貨)Y6は変わらず、さらには混成買付可能額(HKD)Y4も変わらない。
それから、発注手段33により、注文受付手段32により受け付けて図3の注文データベース51に記憶させた売買注文の注文データを用いて発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線3(あるいは、通信回線3および他の金融機関のシステム)を介して市場システム80へ送信する(ステップS3)。
その後、約定手段34により、市場システム80から通信回線3(あるいは、通信回線3および他の金融機関のシステム)を介して送信されてくる売買注文の約定データを受信し、受信した約定データから定まる受渡金額(約定受渡金額)を計算し、受信した約定データを、計算した約定受渡金額とともに、顧客識別情報と関連付けて図4の約定データベース52に記憶させる(ステップS4)。
続いて、拘束手段35により、買い注文が約定したときに、その約定した買い注文について前述したステップS2の買い注文受付時拘束処理による拘束金額があるか否かを、図7の拘束金データベース55に記憶させた注文識別情報の中に、その買い注文の注文識別情報と一致するものがあるか否かにより判断し、拘束金額がある場合には、その拘束金額を、図3の注文データベース51に記憶されている概算受渡金額T2と図4の約定データベース52に記憶されている約定受渡金額J2との差額分(概算受渡金額T2−約定受渡金額J2)の範囲内で減額する買い注文約定時拘束減額処理を行う(ステップS5)。なお、この買い注文約定時拘束減額処理は省略することもできる。
従って、この時点から、買い注文の際の取引通貨不足(例えば、米ドル不足、香港ドル不足)により図7の拘束金データベース55に記憶された拘束金額K2,K3についての差額分の範囲内での減額は、取引通貨の買付可能額(内外貨)Y2,Y5および他通貨の買付可能額(内円貨)Y3,Y6、さらには混成買付可能額(USD)Y1や混成買付可能額(HKD)Y4に反映される。
例えば、差額分(概算受渡金額T2−約定受渡金額J2)がβ=T2−J2であるとし、その時点での当該顧客の拘束金額の合計額が、差額分β以上あるときには、差額分βの全部を、拘束金額の合計額から減じることができる。具体的には、図7の拘束金データベース55において、前述したステップS2の買い注文受付時拘束処理による拘束金額K2,K3があるレコードにつき、そのレコードの拘束金額K2,K3から差額分βを減じる処理を行う。従って、中国株の買い注文が約定した場合であれば、買付可能額(内円貨)Y6は、マイナスしていた拘束金額の絶対値が差額分βだけ減るので、結局、差額分βだけ増えることになる。一方、買付可能額(内外貨)Y5は、プラスしていた拘束金額の絶対値が差額分βだけ減るので、その面では、差額分βだけ減ることになるが、マイナスしていた図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2が、図4の約定データベース52に記憶された約定受渡金額J2に変わるので、その面では、差額分βだけ増えることになり、結局、変わらないことになる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、差額分βだけ増える。
また、約定手段34により受信して図4の約定データベース52に記憶されている約定データが売り注文の約定データであった場合には、この時点から、約定データベース52に記憶されている約定受渡金額J2は、取引通貨の買付可能額(内外貨)Y2,Y5にプラスの金額要素として反映され、さらには混成買付可能額(USD)Y1や混成買付可能額(HKD)Y4に反映される。
例えば、中国株の売り注文が約定した場合であれば、注文受付時には、図3の注文データベース51に記憶された概算受渡金額T2は反映されておらず、約定して初めて図4の約定データベース52に記憶されている約定受渡金額J2が反映されるので、買付可能額(内外貨)Y5は、約定受渡金額J2だけ増える。一方、買付可能額(内円貨)Y6は変わらない。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、約定受渡金額J2だけ増える。
さらに、拘束手段35により、約定手段34により受信して図4の約定データベース52に記憶されている約定データが売り注文の約定データであった場合に、図7の拘束金データベース55に記憶されている当該顧客の拘束金額があるときには、売り注文の約定データから定まる受渡金額(約定受渡金額)J2の範囲内で拘束金額(その時点の拘束金額の合計額)を減額する売り注文約定時拘束減額処理を行ってもよい(ステップS5)。なお、この売り注文約定時拘束減額処理は省略することができる。より具体的には、拘束手段35により、その時点の拘束金額の合計額が約定受渡金額J2以上である場合には、約定受渡金額J2の全額を減額し、その時点の拘束金額の合計額が約定受渡金額J2よりも小さい場合には、その時点の拘束金額の合計額と同じ金額を減額し、拘束金額の合計額をゼロにする。
従って、拘束手段35による売り注文約定時拘束減額処理での拘束金額の減額は、この時点から、取引通貨の買付可能額(内外貨)Y2,Y5および他通貨の買付可能額(内円貨)Y3,Y6、さらには混成買付可能額(USD)Y1や混成買付可能額(HKD)Y4に反映される。
例えば、中国株の売り注文が約定した場合に、その時点の拘束金額の合計額が約定受渡金額J2以上であれば、約定受渡金額J2の全額を減額することができる。具体的には、約定受渡金額J2にマイナス符号を付けて図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3に格納する。注文識別情報は、売り注文の注文識別情報を格納しておけばよい。従って、買付可能額(内円貨)Y6は、マイナスしていた拘束金額の合計額の絶対値が約定受渡金額J2だけ減るので、結局、約定受渡金額J2だけ増えることになる。一方、買付可能額(内外貨)Y5は、プラスしていた拘束金額の合計額の絶対値が約定受渡金額J2だけ減るので、その面では、約定受渡金額J2だけ減ることになるが、約定して初めて図4の約定データベース52に記憶された約定受渡金額J2がプラス符号で反映されるので、その面では、約定受渡金額J2だけ増えることになり、結局、変わらない。よって、混成買付可能額(HKD)Y4は、約定受渡金額J2だけ増える。
それから、自動為替振替手段36により、1日の取引終了後に、その日に発生した各顧客の日単位の取引通貨不足金額を計算し、これらの各顧客の日単位の取引通貨不足金額について、他通貨から取引通貨へ振り替える自動為替振替処理を実行する(ステップS6)。計算処理方法は、既に詳述しているため、ここでは説明を省略する。
より具体的には、自動為替振替手段36により、先ず、図5の為替データべース53へのデータ格納を行う。すなわち、各顧客の日単位の取引通貨不足金額を評価用為替レートで円貨に換算してから、その換算額を、各顧客の顧客識別情報に関連付けて図5の為替データべース53の振替金額W3(円)に格納する。データ格納方法は、既に詳述しているため、ここでは説明を省略する。
続いて、自動為替振替手段36により、前述した所定のタイミングで、自動為替振替の約定処理を行い、さらに、自動為替振替の受渡処理を行う。また、自動為替振替手段36により、自動為替振替を行った拘束金額(日単位の取引通貨不足金額の算出に用いられた拘束金額の集合)についてその拘束を解除する処理を実行する。
その後、決済手段37により、金融商品(例えば、米国株や中国株等の外国株など)の売買注文の受渡処理を行う(ステップS7)。すなわち、決済手段37により、外国株等の金融商品の売買注文の受渡時が到来したときに、図2の確定残高データベース50に記憶されている各顧客の日単位の取引通貨不足金額(振替金額W3の相当分)の加算後の各顧客の取引通貨の確定残高(例えば米国ドルや香港ドルの確定残高Z2,Z3)に対し、または、加算前の各顧客の取引通貨の確定残高(例えば米国ドルや香港ドルの確定残高Z2,Z3)に各顧客の日単位の取引通貨不足金額(振替金額W3の相当分)を加算した金額に対し、図4の約定データベース52に記憶されている各顧客の1つまたは複数の約定受渡金額J2を増減する(買い注文の場合にはマイナスし、売り注文の場合にはプラスする。)決済処理を実行する。
以下には、中国株の売買注文についての具体例を示す。なお、以下の例では、売買金額の数値は、約定受渡金額であるものとして説明を行う。
<<具体例1>>買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=330,000(円)であり、評価用為替レート16.50円/HK$とし、混成買付可能額(HKD)Y4=20,000(HK$)の状態とする。ここで、A株を買付し、10,000(HK$)で約定したものとする。
先ず、A株の買い注文受付時には、図3の注文データベース51に概算受渡金額T2が格納され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3には、概算受渡金額T2やその円貨換算額が格納される(買い注文受付時拘束処理)。
その後、A株の買い注文の約定時には、図4の約定データベース52に約定受渡金額J2が格納され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3は、概算受渡金額T2と約定受渡金額J2との差額分だけ減額されることにより(買い注文約定時拘束減額処理)、約定受渡金額J2やその円貨換算額となる。
そして、1日の取引終了後に、取引通貨不足金額(香港ドル不足金額)を計算すると、10,000(HK$)となるので、この分を自動為替振替するとともに、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3を解除する。
<<具体例2>>買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=330,000(円)であり、評価用為替レート16.50円/HK$とし、混成買付可能額(HKD)Y4=20,000(HK$)の状態とする。ここで、A株を買付し、これが10,000(HK$)で約定し、その後、B株を売却し、11,000(HK$)で約定したものとする。
先ず、A株の買い注文受付時には、図3の注文データベース51にA株の概算受渡金額T2が格納され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3には、A株の概算受渡金額T2やその円貨換算額が格納される(買い注文受付時拘束処理)。
続いて、A株の買い注文の約定時には、図4の約定データベース52にA株の約定受渡金額J2が格納され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3は、A株の概算受渡金額T2とA株の約定受渡金額J2との差額分だけ減額されることにより(買い注文約定時拘束減額処理)、A株の約定受渡金額J2やその円貨換算額となる。
その後、B株の売り注文受付時には、図3の注文データベース51にB株の概算受渡金額T2が格納される。拘束に関する処理は行われない。
それから、B株の売り注文の約定時には、図4の約定データベース52にB株の約定受渡金額J2が格納される。なお、この例では、売り注文約定時拘束減額処理は行わないものとする。
そして、1日の取引終了後に、取引通貨不足金額(香港ドル不足金額)を計算すると、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、A株の約定受渡金額J2=10,000(HK$)であるが、この時点で、買付可能額(内外貨)Y5=B株の約定受渡金額J2=11,000(HK$)となっている。従って、拘束金額の合計額の10,000(HK$)をそのまま取引通貨不足金額(香港ドル不足金額)として自動為替振替を行ってもよいが、買付可能額(内外貨)Y5=11,000(HK$)があるので、その分は自動為替振替の対象とはしないという考え方をとり、取引通貨不足金額(香港ドル不足金額)を0(HK$)として自動為替振替を行わなくてもよい。また、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2,K3を解除する。
以上の処理の結果、前者のように自動為替振替を行う場合には、買付可能額(内外貨)Y5=11,000(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=165,000(円)となる。一方、後者のように自動為替振替を行わない場合には、買付可能額(内外貨)Y5=1,000(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=330,000(円)となる。前者、後者、いずれの場合も、混成買付可能額(HKD)Y4=21,000(HK$)となる。
<<具体例3>>買付可能額(内外貨)Y5=0(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=330,000(円)であり、評価用為替レート16.50円/HK$とし、混成買付可能額(HKD)Y4=20,000(HK$)の状態とする。ここで、B株を売却し、これが11,000(HK$)で約定し、その後、A株を買付して10,000(HK$)で約定したものとする。
先ず、B株の売り注文受付時には、図3の注文データベース51にB株の概算受渡金額T2が格納される。拘束に関する処理は行われない。
続いて、B株の売り注文の約定時には、図4の約定データベース52にB株の約定受渡金額J2が格納される。
その後、A株の買い注文受付時には、図3の注文データベース51にA株の概算受渡金額T2が格納される。しかし、この時点で、買付可能額(内外貨)Y5=B株の約定受渡金額J2=11,000(HK$)となっているので、A株の買付に必要な資金が足りていることから、買い注文受付時拘束処理は行われない。
それから、A株の買い注文の約定時には、図4の約定データベース52にA株の約定受渡金額J2が格納される。しかし、上記のA株の買い注文受付時には、買い注文受付時拘束処理は行われていないので、A株の概算受渡金額T2とA株の約定受渡金額J2との差額分を減額する買い注文約定時拘束減額処理は行われない。
そして、1日の取引終了後に、取引通貨不足金額(香港ドル不足金額)を計算すると、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、ゼロであり、拘束は発生していないので、自動為替振替は行われない。
以上の処理の結果、買付可能額(内外貨)Y5=1,000(HK$)、買付可能額(内円貨)Y6=330,000(円)となり、混成買付可能額(HKD)Y4=21,000(HK$)となる。
<<具体例4>>図13〜図15に示すような複数の中国株の売買を行った場合であり、次の2つのパターンについて説明する。なお、説明の便宜上、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2は、同一顧客の各注文のレコードの拘束金額K2を合計した状態で示している。また、注文の約定後の状態を中心とした説明であるため、注文受付時の処理は省いており、概算受渡金額から約定受渡金額への差し替えが行われた後の状態での説明となっている。
<拘束・自動為替振替パターン1>取引中の売り注文約定による拘束金の減額(売り注文約定時拘束減額処理)なし、取引終了後の自動為替振替額の減額なしの場合(取引中に一旦発生した拘束金は自動為替振替の対象とする場合)
<拘束・自動為替振替パターン2>取引中の売り注文約定による拘束金の減額(売り注文約定時拘束減額処理)なし、取引終了後の自動為替振替額の減額ありの場合
[1]取引開始前(朝)の状態は、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2=0HK$、図5の為替データベース53の振替金額W3=0円(0HK$相当)、図6の入出金データベース54の振替金額N3=3,000HK$(HKD入金とし、反映可能な状態になっているものとする。)、図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3=2,000HK$、図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1=660,000円(40,000HK$相当)となっている。
従って、買付可能額(内外貨)Y5=2,000HK$(確定残高DB)+3,000HK$(入出金DB)=5,000HK$である。また、買付可能額(内円貨)Y6=660,000円(40,000HK$相当)(確定残高DB)である。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=45,000HK$となる。
[2]A株の買付が10,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、A株の約定受渡金額J2=10,000HK$が記憶される。また、前記[1]の通り、買付可能額(内外貨)Y5=5,000HK$となっている状態で、10,000HK$のA株買付を行うので、5,000HK$の取引通貨不足が発生していることになる。従って、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2=5,000HK$となる。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、A株の約定受渡金額J2の10,000HK$(約定DB)がマイナスで反映され、5,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=0HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、5,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、結局、Y6=35,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=35,000HK$となる。
[3]B株の売付が11,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、B株の約定受渡金額J2=11,000HK$が記憶される。また、この例では、売り注文約定時拘束減額処理は行わないので、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2=5,000HK$は維持される。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、B株の約定受渡金額J2の11,000HK$(約定DB)がプラスで反映され、5,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=11,000HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、5,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、結局、Y6=35,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=46,000HK$となる。
[4]C株の買付が13,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、C株の約定受渡金額J2=13,000HK$が記憶される。また、前記[3]の通り、買付可能額(内外貨)Y5=11,000HK$となっている状態で、13,000HK$のC株買付を行うので、2,000HK$の取引通貨不足が発生していることになる。従って、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、2,000HK$増えて7,000HK$となる。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、C株の約定受渡金額J2の13,000HK$(約定DB)がマイナスで反映され、7,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=0HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、7,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、結局、Y6=33,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=33,000HK$となる。
[5]D株の売付が4,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、D株の約定受渡金額J2=4,000HK$が記憶される。また、この例では、売り注文約定時拘束減額処理は行わないので、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=7,000HK$は維持される。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、D株の約定受渡金額J2の4,000HK$(約定DB)がプラスで反映され、7,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=4,000HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、7,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、Y6=33,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
[6]以上より、1日の取引終了後の状態は、買付可能額(内外貨)Y5=4,000HK$、買付可能額(内円貨)Y6=33,000HK$相当、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=7,000HK$、図5の為替データベース53の振替金額W3=0円(0HK$相当)、図6の入出金データベース54の振替金額N3=3,000HK$、図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3=2,000HK$、図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1=660,000円(40,000HK$相当)となっている。
[7]上記[6]の状態で、自動為替振替手段36による自動為替振替の振替金額(取引通貨不足金額=HKD不足金額)を算出する。
<拘束・自動為替振替パターン1>では、1日の取引終了後の図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=7,000HK$をそのまま自動為替振替の振替金額W3=7,000HK$相当とする。
<拘束・自動為替振替パターン2>では、1日の取引終了後の図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=7,000HK$から、1日の取引終了後の買付可能額(内外貨)Y5=4,000HK$を差し引いた金額を、自動為替振替の振替金額W3とする(W3=K2−Y5=3,000HK$相当)。これは、1日の取引終了時点で、買付可能額(内外貨)Y5=4,000HK$となっているので、その分は自動為替振替の対象としないという考え方である。
上記は、下記と等価である。すなわち、当日約定した売買注文の約定受渡金額の合算による相殺(買をマイナス、売をプラスとする)を行うと、−10,000HK$(A株買)+11,000HK$(B株売)−13,000HK$(C株買)+4,000HK$(D株売)=−8,000HK$(8,000HK$減)となる。取引開始前(朝)の買付可能額(内外貨)Y5=5,000HK$であるから、その日の増減を考えると、5,000HK$−8,000HK$=−3,000HK$(3,000HK$不足)となり、この不足金額3,000HK$相当を自動為替振替の振替金額W3とする。
[8]自動為替振替の約定後(拘束解除を含む)の状態では、<拘束・自動為替振替パターン1>では、自動為替振替の振替金額を7,000HK$相当とするので、この7,000HK$相当が、図5の為替データベース53の振替金額W3に格納される。<拘束・自動為替振替パターン2>では、自動為替振替の振替金額を3,000HK$相当とするので、この3,000HK$相当が、図5の為替データベース53の振替金額W3に格納される。また、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、拘束解除で0HK$となる。
そして、<拘束・自動為替振替パターン1>では、買付可能額(内外貨)Y5には、7,000HK$(為替DB)がプラスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y5=4,000HK$となる。<拘束・自動為替振替パターン2>では、買付可能額(内外貨)Y5には、3,000HK$(為替DB)がプラスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y5=0HK$となる。
また、<拘束・自動為替振替パターン1>では、買付可能額(内円貨)Y6には、7,000HK$(為替DB)がマイナスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y6=33,000HK$相当となる。<拘束・自動為替振替パターン2>では、買付可能額(内円貨)Y6には、3,000HK$(為替DB)がマイナスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y6=37,000HK$相当となる。
よって、<拘束・自動為替振替パターン1,2>のいずれの場合についても、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
[9]入出金処理後の状態では、図6の入出金データベース54の振替金額N3は、処理完了により、0HK$となっている。図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3は、2,000HK$に、振替金額N3=3,000HK$の分が加算され、5,000HK$になっている。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、この5,000HK$(確定残高DB)がベース金額としてプラスで反映され、図6の入出金データベース54の項は無くなっているので、結局、<拘束・自動為替振替パターン1>では、Y5=4,000HK$となり、<拘束・自動為替振替パターン2>では、Y5=0HK$となる。
[10]決済処理後の状態では、図5の為替データベース53の振替金額W3は、処理完了により、0HK$となっている。
<拘束・自動為替振替パターン1>では、図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3は、振替金額W3=7,000HK$が加算され、株の売買による約定受渡金額J2の増減で8,000HK$が減り、結局、Z3=4,000HK$となっている。図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1は、振替金額W3=7,000HK$相当が減り、Z1=544,500円(33,000HK$相当)となっている。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、Z3=4,000HK$(確定残高DB)がベース金額としてプラスで反映され、買付可能額(内円貨)Y6には、Z1=33,000HK$相当がベース金額としてプラスで反映されている。
<拘束・自動為替振替パターン2>では、図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3は、振替金額W3=3,000HK$が加算され、株の売買による約定受渡金額J2の増減で8,000HK$が減り、結局、Z3=0HK$となっている。図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1は、振替金額W3=3,000HK$相当が減り、Z1=610,500円(37,000HK$相当)となっている。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、Z3=0HK$(確定残高DB)がベース金額としてプラスで反映され、買付可能額(内円貨)Y6には、Z1=37,000HK$相当がベース金額としてプラスで反映されている。
よって、<拘束・自動為替振替パターン1,2>のいずれの場合についても、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
<<具体例5>>図16、図17に示すような複数の中国株の売買を行った場合であり、<拘束・自動為替振替パターン3>取引中の売り注文約定による拘束金の減額(売り注文約定時拘束減額処理)ありの場合について説明する。
[1]取引開始前(朝)の状態、[2]A株の買付が10,000HK$で約定した場合の処理は、前述した<<具体例4>>と同様である。
[3]B株の売付が11,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、B株の約定受渡金額J2=11,000HK$が記憶される。前記[2]の通り、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2=5,000HK$となっているが、この例では、売り注文約定時拘束減額処理を行うので、この拘束金額K2=5,000HK$の全部が減額され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、ゼロとなる。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、B株の約定受渡金額J2の11,000HK$(約定DB)がプラスで反映されるが、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y5=6,000HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6にも、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、Y6=40,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=46,000HK$となる。
[4]C株の買付が13,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、C株の約定受渡金額J2=13,000HK$が記憶される。また、前記[3]の通り、買付可能額(内外貨)Y5=6,000HK$となっている状態で、13,000HK$のC株買付を行うので、7,000HK$の取引通貨不足が発生していることになる。従って、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2に、7,000HK$が格納される。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、C株の約定受渡金額J2の13,000HK$(約定DB)がマイナスで反映され、7,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=0HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、7,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、結局、Y6=33,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=33,000HK$となる。
[5]D株の売付が4,000HK$で約定した場合は、図4の約定データベース52に、D株の約定受渡金額J2=4,000HK$が記憶される。また、前記[4]の通り、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=7,000HK$となっているが、この例では、売り注文約定時拘束減額処理を行うので、この拘束金額K2=7,000HK$のうちの4,000HK$が減額され、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、3,000HK$となる。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、D株の約定受渡金額J2の4,000HK$(約定DB)がプラスで反映され、3,000HK$(拘束金DB)がプラスで反映されるので、結局、Y5=0HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、3,000HK$相当(拘束金DB)がマイナスで反映されるので、Y6=37,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
[6]以上より、1日の取引終了後の状態は、買付可能額(内外貨)Y5=0HK$、買付可能額(内円貨)Y6=37,000HK$相当、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=3,000HK$、図5の為替データベース53の振替金額W3=0円(0HK$相当)、図6の入出金データベース54の振替金額N3=3,000HK$、図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3=2,000HK$、図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1=660,000円(40,000HK$相当)となっている。
[7]上記[6]の状態で、自動為替振替手段36による自動為替振替の振替金額(取引通貨不足金額=HKD不足金額)を算出する。
<拘束・自動為替振替パターン3>では、1日の取引終了後の図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額=3,000HK$をそのまま自動為替振替の振替金額W3=3,000HK$相当とする。この処理自体は、前述した<拘束・自動為替振替パターン1>と同じである。しかし、自動為替振替の振替金額W3=3,000HK$相当は、前述した<拘束・自動為替振替パターン2>と同じである。つまり、<拘束・自動為替振替パターン3>では、取引中に拘束金額を減額しているので、自動為替振替の振替金額W3は、<拘束・自動為替振替パターン2>と同じ金額になる。
[8]自動為替振替の約定後(拘束解除を含む)の状態では、自動為替振替の振替金額を3,000HK$相当とするので、この3,000HK$相当が、図5の為替データベース53の振替金額W3に格納される。また、図7の拘束金データベース55の拘束金額K2の合計額は、拘束解除で0HK$となる。
そして、買付可能額(内外貨)Y5には、3,000HK$(為替DB)がプラスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y5=0HK$となる。また、買付可能額(内円貨)Y6には、3,000HK$(為替DB)がマイナスで反映され、図7の拘束金データベース55の項は無くなっているので、結局、Y6=37,000HK$相当となる。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
[9]入出金処理後の状態では、図6の入出金データベース54の振替金額N3は、処理完了により、0HK$となっている。図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3は、2,000HK$に、振替金額N3=3,000HK$の分が加算され、5,000HK$になっている。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、この5,000HK$(確定残高DB)がベース金額としてプラスで反映され、図6の入出金データベース54の項は無くなっているので、結局、Y5=0HK$となる。
[10]決済処理後の状態では、図5の為替データベース53の振替金額W3は、処理完了により、0HK$となっている。図2の確定残高データベース50のHKD確定残高Z3は、振替金額W3=3,000HK$が加算され、株の売買による約定受渡金額J2の増減で8,000HK$が減り、結局、Z3=0HK$となっている。図2の確定残高データベース50の円貨確定残高Z1は、振替金額W3=3,000HK$相当が減り、Z1=610,500円(37,000HK$相当)となっている。そして、買付可能額(内外貨)Y5には、Z3=0HK$(確定残高DB)がベース金額としてプラスで反映され、買付可能額(内円貨)Y6には、Z1=37,000HK$相当がベース金額としてプラスで反映されている。よって、混成買付可能額(HKD)Y4=37,000HK$となる。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、売買注文システム10では、外国株等の金融商品の買い注文を行う際に、取引通貨(その金融商品の取引に用いられる通貨)で持っている買付資金が不足している場合でも、取引通貨以外の他通貨を持っていれば、買い注文の注文受付時に当該他通貨を拘束する処理を行っておき、その日の取引終了後にその拘束金額に基づき自動為替振替処理を行うことにより、取引通貨不足を他通貨で補うことができる。例えば、中国株の買付時に取引通貨である香港ドル(HKD)が不足している場合や、米国株の買付時に取引通貨である米ドル(USD)が不足している場合でも、他通貨である円貨を持っていれば、取引通貨の不足分を円貨で補うことができる。
このため、複数の通貨を買付資金として持っていれば、それらを合算した状態で外国株等の金融商品の買付を行うことができるので、顧客は、従来のような振替等の手続を行う必要がなくなり、手間がかからなくなるうえ、その振替等の処理に多くの時間を要することもなくなることから、顧客の利便性を向上させることができる。
また、従来は、金融商品の買付を行いたいときに、複数の通貨を買付資金として持っていても、いずれの通貨も、買付に必要な金額に達していない場合には、振替等の手続を行って1つの通貨に買付資金を集中させる必要があったので、顧客は、その手間を考慮して買付を行わないという判断をしたり、振替等の手続に時間を要した結果、発注機会を逃してしまうこともあった。しかし、売買注文システム10では、これらの問題は解消され、外国株等の金融商品の買付を行いたいと思ったときにすぐに発注することができるので、顧客の発注機会を確保でき、発注の増加に繋げることができる。なお、証券会社等の金融機関にとっては、顧客の発注機会の増加により手数料収入増加等の副次的効果を見込むことができる。
さらに、売買注文システム10では、図10や図11に示すように、資産状況表示画面100や注文画面200に、混成買付可能額(USD)Y1や混成買付可能額(HKD)Y4を表示するので、顧客は、複数の通貨で持っている各買付資金を合算した状態の買付可能額を容易に把握することができ、この混成買付可能額Y1,Y4の表示を見て、買い付けたい外国株等の金融商品の買付金額(買付数量)を決めることができる。このため、顧客にとってのシステムの使い勝手を向上させることができる。
また、優先順位設定手段42および優先順位データベース59を設けた場合には、取引通貨以外の2以上の他通貨でも買付資金を持っている状態で取引通貨不足になったときに、2以上の他通貨のそれぞれに対する拘束金額を優先順位の高い順に決定することができる。従って、例えば、中国株の買付時に香港ドル(HKD)が不足し、そのとき円貨と米ドル(USD)を持っている場合に、先ず、優先順位の高い円貨で香港ドル(HKD)の不足分を補い(円貨に対する拘束を行う。)、それでも足りなければ、優先順位の低い米ドル(USD)で補う(米ドルに対する拘束を行う。)という処理を実現することができる。
さらに、割当設定手段41および割当データベース58を設けた場合には、取引通貨が不足したときに、他通貨として持っている買付資金の全部ではなく、一部を取引通貨の不足を補うための資金に割り当てることができる。従って、例えば、円貨、米ドル(USD)、香港ドル(HKD)を持っている場合に、米ドルが取引通貨となる米国株の買付時には、円貨のうちの指定金額(指定金額の残りの金額でもよい。)または指定割合を、米ドル不足時にその不足分を補う(米ドル不足による円貨に対する拘束を受ける。)ための資金に割り当て、香港ドルが取引通貨となる中国株の買付時には、円貨のうちの指定金額(指定金額の残りの金額でもよい。)または指定割合を、香港ドル不足時にその不足分を補う(香港ドル不足による円貨に対する拘束を受ける。)ための資金に割り当てることができる。
そして、売買注文システム10は、掛目登録手段40および掛目登録データベース56(図8参照)を備えているので、証券会社等の金融機関は、市場変化に応じて掛目を調整することができ、急激な市場変化の際には、取引通貨不足時に不足分を他通貨で補う処理(他通貨に対する拘束をかけて、取引終了後に他通貨から取引通貨への自動為替振替を行う処理)を中止することもできる。
また、拘束手段35を売り注文約定時拘束減額処理を実行する構成とした場合には、1日の取引終了時点での拘束金額の合計額が少なくなるので、自動為替振替の対象とする金額を減らすことができ、必要最小限の金額についての自動為替振替処理を実現することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、図10の資産状況表示画面100や図11の注文画面200において、混成買付可能額(USD)=Y1(US$)や、混成買付可能額(HKD)=Y4(HK$)等が表示されていたが、これらの金額の数値は、すべて現実の通貨によるものであった。しかし、これらの画面表示を、仮想通貨を用いた画面表示にしてもよく、あるいは、現実の通貨を用いた画面表示と、仮想通貨を用いた画面表示とを切り替えることができるようにしてもよい。仮想通貨を用いた画面表示は、例えば、次のような構成とすることにより実現することができる。
すなわち、前記実施形態の注文受付手段32に対応する仮想通貨版の注文受付手段は、図2の確定残高データベース50に記憶されている各通貨の確定残高Z1,Z2,Z3,…を用いて算出される各通貨(円貨、米ドル、香港ドル、…)の買付可能額をそれぞれ各評価用為替レート(各通貨と仮想通貨との間の評価用為替レート)で換算して各通貨毎に仮想通貨単位で示した換算買付可能額を算出し、これらの換算買付可能額を合計することにより、複数通貨分を合計して仮想通貨単位で示した混成買付可能額を算出し、さらに、取引通貨単位で示された金融商品の単価を、取引通貨と仮想通貨との間の評価用為替レートで換算して仮想通貨単位で示した金融商品の換算単価を算出し、仮想通貨単位で示した混成買付可能額および換算単価の表示を含む注文画面の表示用データを、顧客端末装置70にネットワーク1を介して送信する注文画面送信処理を実行する構成とすればよい。
そして、仮想通貨版の注文受付手段は、この注文画面送信処理を行う際に、当該顧客の顧客識別情報に関連付けられて図7の拘束金データベース55に拘束金額が記憶されている場合には、各通貨の買付可能額の算出処理に、拘束を受けている通貨について拘束金額を減算する処理、および拘束を発生させた不足通貨について拘束金額を加算する処理が含まれるようにすればよい。
また、仮想通貨版の注文受付手段は、仮想通貨単位で示した混成買付可能額、および仮想通貨単位で示した金融商品の換算単価を画面表示するだけではなく、外国株の株価チャート等のような金融商品の価格変動チャートも、仮想通貨単位で画面表示するようにしてもよい。
但し、仮想通貨を用いた処理は、前記実施形態における図10の資産状況表示画面100や図11の注文画面200等に相当する画面における表示や入力だけでよく、換言すれば、顧客が目にする範囲で、仮想通貨を用いた表示や入力が行われるようになっていればよく、システム内で行われる処理は、仮想通貨から現実の通貨に換算してから行われるようにしておけばよい。従って、仮想通貨は、主として注文時に顧客が意識するだけでよい。
このように仮想通貨を用いて混成買付可能額および換算単価等を表示する構成とした場合には、顧客は、自分の持っている各通貨の買付資金を合計した混成買付可能額、および、買付対象の金融商品の単価を、仮想通貨単位で把握することができ、買い付けるべき金額や、買い付けるべき数量を、仮想通貨単位で考えることができる。このため、買い付けたい金融商品が、どのような取引通貨で取引されるものであっても、その取引通貨自体の金額の数値(〜米ドル、〜香港ドル、〜円など)を意識せずに、買い付けるべき金額(仮想通貨単位で示される金額)や、買い付けるべき数量を決定することができる。例えば、仮想通貨単位で示した混成買付可能額が、1,000コインであり、仮想通貨単位で示した金融商品の換算単価が、10コインであれば、数量=100(100株、100口)までの買付が可能であることを把握できるようになるので、半分の500コイン分の買付をしようとか、数量=50(50株、50口)の買付をしようという考え方ができる。