JP5977005B2 - 耐光性塗料 - Google Patents
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Description
(前記一般式(5)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキル環、芳香族環、アミン構造、又は複素環を示し、R'は、アルキレン基、シクロアルキル環、又は芳香族環を示し、R”は、単結合、アルキレン基、シクロアルキル環、又は芳香族環を示し、Xは、−COOH、−SO3H、又は−PO3H2を示し、nは1又は2を示し、mは1又は2を示し、lは1〜3の整数を示す。)
[11]前記化合物(b)が、ジメチロールアルカン酸である前記[7]、[9]又は[10]のいずれかに記載の塗料。
紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を調製する調製工程Aと、
ポリウレタン(B)のディスパージョンを調製する調製工程Bと、
前記調製工程Aにより得られる紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体と前記調製工程Bにより得られるポリウレタン(B)のディスパージョンとを混合する混合工程Cとからなる塗料の製造方法。
前記調製工程Bにおいて、ポリウレタン(B)のディスパージョンを調製する中間段階で得られるウレタンプレポリマーに、前記調製工程Aにより得られた紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を添加する添加工程Dからなる塗料の製造方法。
紫外線吸収型ポリマー(A)は、分子内に反応型の二重結合(不飽和結合)及び紫外線吸収基を有する化合物(a)と、二重結合(不飽和結合)含有成分とを含む重合成分を重合させることにより得られる。化合物(a)の二重結合は、ラジカル重合、カチオン重合、及びアニオン重合などの通常の重合法で重合可能な、反応性を有する二重結合であればよい。反応性及び入手又は合成の容易さなどの観点から、アクリル系又はメタクリル系の二重結合が好ましい。以下、「アクリル」と「メタクリル」を、併せて「(メタ)アクリル」とも記す。
紫外線吸収型ポリマー(A)は、化合物(a)と二重結合含有成分(h)を含む重合成分を、例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合などの従来公知の重合方法によって重合することにより得ることができる。例えば、溶液重合においては、重合開始剤の存在下、適当な溶剤中で重合成分を重合させればよい。なお、溶液重合では、通常、乳化剤を用いないので、得られる紫外線吸収型ポリマー(A)の相溶性、透明性、及び耐水性が良好になる。
ポリウレタン(B)は、活性水素含有基及びアニオン性親水性基(水酸基を除く)を有する化合物(b)と、ポリオール(c)及び/又はポリアミン(d)と、ポリイソシアネート(e)とを含む反応成分を反応させて得られる。より好ましくは、ポリウレタン(B)は、化合物(b)、ポリオール(c)、及びポリアミン(d)、並びに必要に応じて用いられる短鎖ジオール成分(f)及び短鎖ジアミン成分(g)の合計の活性水素含有基(アニオン性親水性基を除く)(1)と、ポリイソシアネート(e)のイソシアネート基(2)とを、(1)/(2)=0.9〜1.5の当量比(モル比)で反応させて得られる。
ポリウレタン(B)は、従来公知のポリウレタンの製造方法により製造することができる。具体的には、先ず、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下又は非存在下、化合物(b)と、ポリオール(c)及び/又はポリアミン(d)と、ポリイソシアネート(e)と、鎖伸長剤として必要に応じて用いられる短鎖ジオール成分(f)とからなる反応成分を反応させて反応生成物(例えばプレポリマー(以下、「プレポリマー」ということがある。))を得る。反応成分は、一般的には末端イソシアネート基を有するプレポリマーが形成される配合組成とすればよい。また、ワンショット法又は多段法により、通常20〜150℃、好ましくは60〜110℃で、理論イソシアネート%となるまで反応させればよい。ポリマー生成物を調製するための紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を添加するプレポリマーとしては、重量平均分子量500〜500,000のものが好ましい。
紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体と、ポリウレタン(B)のディスパージョンとを混合することにより、本発明の塗料を製造することができる。また、ポリウレタン(B)のディスパージョンを調製する途中の段階で、紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体と混合することも好ましい態様である。より具体的には、(1)ポリウレタン(B)のプレポリマー反応の終了後、プレポリマーを水に乳化(分散)させる前の段階、又は(2)プレポリマーを水に乳化(分散)させた後であって鎖伸長反応を行う前の段階で、紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を添加し、その後、必要に応じて鎖伸長反応を行えばよい。このように、ポリウレタン(B)のディスパージョンを調製する途中の段階で、紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を添加して混合すると、ショック凝集が極めて発生し難くなる。また、紫外線吸収型ポリマー(A)とポリウレタン(B)との相溶性がさらに向上する。そして、このようにして得られた塗料は透明性が高く、高光沢な塗膜を形成することができる。
[合成例A1:ベンゾトリアゾール型ポリマー(溶液)]
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、メチルエチルケトン(MEK)100g、及び2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製、商品名「RUVA−93」、以下「(a)−1」と記す)50gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。メタクリル酸メチル38g、メタクリル酸5g、メタクリル酸ヒドロキシエチル3g、アクリル酸ブチル3g、アクリル酸エチル1g、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gの混合物を用意した。混合物の半分を反応容器内に添加し、残りの半分を滴下ロートで1時間かけて反応容器内に滴下した。滴下後、そのままの状態で6時間反応させて、酸価が32.6mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)が37,000、及び数平均分子量(Mn)が15,000の紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。表1に紫外線吸収型ポリマー溶液の性状を示す。
[合成例A2:ベンゾトリアゾール型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A3:ベンゾトリアゾール型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A4:ベンゾトリアゾール型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A5:ベンゾフェノン型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A6:サリシレート型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A7:トリアジン型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
[合成例A8:トリアジン型ポリマー(溶液)]
表1に示す配合としたこと以外は、前述の合成例A1と同様にして紫外線吸収型ポリマーの溶液(固形分濃度50%)を得た。
(a)−2:2−[2'−ヒドロキシ−5'−(2'−ヒドロキシ−3'−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
(a)−3:2−ベンゾイル−5−(2'−メタクリロイルオキシエチル)−フェノール
(a)−4:フェニル−3−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)サリシレート
(a)−5:2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ,2−ドデシロキシメチル)]−1,3,5−トリアジン
MMA:メタクリル酸メチル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
HEMA:メタクリル酸ヒドロキシエチル
BA:アクリル酸ブチル
EA:アクリル酸エチル
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
重合開始剤:2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
合成例A1で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液100gに、トリエチルアミン(TEA)2.9g(紫外線吸収型ポリマーのカルボキシル基に対して当量)及びイオン交換水113.8gからなるTEA水溶液を撹拌しながら少量ずつ添加した。反応系が均一になった後、真空脱気によりMEKを除去して、透明な紫外線吸収型ポリマーの水分散体(固形分濃度30%)を得た。
[合成例A10〜A16(水分散体)]
合成例A1で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液に代えて、合成例A2〜A8で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液を用いたこと以外は、前述の合成例A9と同様にして紫外線吸収型ポリマーの水分散体(固形分濃度30%)を得た。いずれの水分散体も微青色〜透明であった。
[合成例B1:ポリウレタン(B1)のディスパージョン]
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)6.0g、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量2000)100g、及びMEK59.0gを仕込んだ。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)31.9g(OH基に対してNCO基が2倍当量)を加え、樹脂のNCO基が理論値の4.0%となるまで90℃で反応を行ってウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液を40℃に冷却した後、TEA4.5gを添加した。さらに、イオン交換水317.3gを添加し、系内が均一になるまで撹拌して乳化させることでウレタンプレポリマー水分散体を得た。得られたウレタンプレポリマー水分散体に、イソホロンジアミン(IPDA)15.3gをイオン交換水35.7gで希釈したものを滴下して、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで攪拌した。次いで、真空脱気によりMEKを除去して、酸価が16.4mgKOH/gのポリウレタン(B1)のディスパージョン(固形分濃度30%)を得た。
以下に示す「製造法1」、「製造法2」、又は「製造法3」にしたがってポリマー組成物を製造した。実施例中、「ポリマー組成物」は、塗料の塗膜形成主要素であり、実質的に塗料の性能を示すものである。
「製造法2」:ポリウレタン(B)のプレポリマーを調製したところに、紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液を添加して均一に水分散させた後、ウレタンの鎖伸長反応を行う。
「製造法3」:ポリウレタン(B)のプレポリマーを調製して水分散させた後、紫外線吸収型ポリマー(A)の水分散体を添加し、次いで、ウレタンの鎖伸長反応を行う。
ポリウレタン(B1)のディスパージョン100gに対して、合成例A9で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体4.1gを撹拌しながら少量ずつ添加してポリマー組成物(実施例1)を得た。得られたポリマー組成物はほぼ透明であり、析出物なども発生しなかった。また、得られたポリマー組成物の固形分濃度は30%、固形分(樹脂成分)の酸価は17.0mgKOH/g、及び固形分に含まれる化合物(a)に由来する構成単位の割合(化合物(a)含有割合)は2%であった。
合成例A9で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体に代えて、合成例A10〜A16で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてポリマー組成物(実施例2〜8)を得た。いずれのポリマー組成物もほぼ透明であり、析出物なども発生しなかった。得られた塗料の性状を表2に示す。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、DMPA10.0g、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(プラクセルCD220)100g、及びMEK70.9gを仕込んだ。次いで、イソホロンジイソシアネート(IPDI)55.3g(OH基に対してNCO基が2倍当量)を加え、樹脂のNCO基が理論値の4.4%となるまで90℃で反応を行ってウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液を40℃に冷却した後、合成例A1で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液15.2gを添加した。さらにTEA8.0gを添加した後、イオン交換水395.4gを添加し、系内が均一になるまで攪拌して乳化させることでウレタンプレポリマー水分散体を得た。得られたウレタンプレポリマー水分散体に、IPDA20.1gをイオン交換水46.9gで希釈したものを滴下して、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで攪拌した。次いで、真空脱気によりMEKを除去してポリマー組成物(実施例9)を得た。得られたポリマー組成物の固形分濃度は30%、固形分(樹脂成分)の酸価は23.0mgKOH/g、及び化合物(a)含有割合は2%であった。なお、得られたポリマー組成物に含まれるポリウレタンを「ポリウレタン(B2)」とする。
合成例A1で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液に代えて、合成例A2〜A8で得た紫外線吸収型ポリマーの溶液を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にしてポリマー組成物(実施例10〜16)を得た。得られたポリマー組成物の性状を表2に示す。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、DMPA12.0g、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(プラクセルCD220)100g、及びMEK79.4gを仕込んだ。次いで、水添MDI(HMDI)73.2g(OH基に対してNCO基が2倍当量)を加え、樹脂のNCO基が理論値の4.4%となるまで90℃で反応を行ってウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液を40℃に冷却した後、TEA9.1gをイオン交換水423.0gに溶解させた水溶液を添加し、系内が均一になるまで攪拌して乳化させることでウレタンプレポリマー水分散体を得た。得られたウレタンプレポリマー水分散体に、合成例A9で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体28.3gを添加した。さらに、IPDA22.5gを水52.5gで希釈したものを滴下して、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで攪拌した。次いで、真空脱気によりMEKを除去してポリマー組成物(実施例17)を得た。得られたポリマー組成物の固形分濃度は30%、固形分(樹脂)の酸価は24.5mgKOH/g、及び化合物(a)含有割合は2%であった。なお、得られたポリマー組成物に含まれるポリウレタンを「ポリウレタン(B3)」とする。
合成例A9で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体に代えて、合成例A10〜A16で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてポリマー組成物(実施例18〜24)を得た。得られたポリマー組成物の性状を表2に示す。
合成例B1で得たポリウレタン(B1)のディスパージョン100gに、高分子紫外線吸収剤(商品名「ULS−1700」、一方社油脂工業社製、ベンゾトリアゾール系のノニオン性水エマルション)3.1g、及びイオン交換水1.0gを添加して、高分子紫外線吸収剤を配合したポリマー組成物(比較例1)を得た。得られた塗料の固形分濃度は30%であった。
2−(2H−べンゾトリアゾール−2−イル)−4',6−ジ−tert−ペンチルフェノール(商品名「チヌビン328」、BASF社製)3.1gをウレタンプレポリマー溶液に添加したこと以外は、前述の合成例B1と同様にして、低分子紫外線吸収剤を配合した塗料(比較例2)を得た。得られたポリマー組成物の固形分濃度は30%、固形分(樹脂)の酸価は16.4mgKOH/gであった。
前述の合成例A9で得た紫外線吸収型ポリマーの水分散体(固形分濃度30%)を「比較例3のポリマー組成物」とする。
[試験1:塗膜性状]
実施例1〜24及び比較例1〜3のポリマー組成物を、それぞれPETフィルム上にコーティングした後、加熱乾燥して、膜厚20μmの塗膜が形成された塗工フィルムを得た。
◎:透明高光沢塗膜
○:透明塗膜
×:白濁塗膜
××:塗膜に亀裂及び剥離
実施例1のポリマー組成物と、合成例B1で得たポリウレタン(B1)のディスパージョンを、それぞれ離型紙上にコーティングした後、加熱乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。日本分光社製の紫外可視分光光度計(Ubest V−550)を使用して、得られたフィルムの紫外線吸収スペクトルを測定した。測定した紫外線吸収スペクトルを図1に示す。図1に示すように、実施例1のポリマー組成物は、十分な紫外線吸収機能を有するフィルムを形成可能であることが明らかである。
実施例1のポリマー組成物を離型紙上にコーティングした後、加熱乾燥して、膜厚10μmのフィルムを得た。日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−350)を使用して、得られたフィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した。測定した赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
実施例1及び実施例8のポリマー組成物に対して、表4に示す配合で各種架橋剤を配合した(実施例25〜31)。
前述の「試験4」と同様にして形成した塗膜(フィルム)を室温条件下に放置し、経時変化を観察した。非ブリードアウト性の評価結果を表5に示す。
前述の「試験4」と同様にして形成した塗膜(フィルム)をキセノンウェザオメーターにて耐光性促進試験を行い、塗料の外観変化を確認した。試験条件は温度89±3℃、湿度50±5%、照度50〜150w/m2、300〜400nm、照射エネルギー80MJまたは125MJで行った。耐光性試験結果を表5に示す。
基材への密着性に関し、基材として易接着処理したPETフィルム、塩ビシート、コロナ放電処理をしたオレフィン系熱可塑性(TPO)フィルム、アクリルシート、ガルバリウム鋼板、ガラス板に実施例22〜27のポリマー組成物を用いて塗膜を形成し、JISK5600−5−6に準じてセロハンテープによるピーリング試験を行った。密着性の評価結果を表5に示す。
耐水性
○:変化なし、△:白濁のまま、×:激しく白化
耐溶剤性
◎変化なし、○:膨潤
非ブリードアウト性
○:変化なし、×:ブリードアウト
耐光性
○:変色なし、×:変色あり
密着性
◎:95/100〜100/100、○:80/100〜94/100
△:50/100〜79/100、×:0/100〜49/100
以上より、自己乳化型の高分子紫外線吸収剤(紫外線吸収型ポリマー)とポリウレタン(B)ディスパージョンとを含む実施例の塗料を用いれば、耐水性及び非ブリードアウト性に優れた塗膜を形成可能であることが明らかである。さらに、架橋剤を添加することで、耐溶剤性にも優れた塗膜を形成することができる。これに対して、乳化剤を用いて水分散させた高分子紫外線吸収剤を添加した比較例1の塗料では、形成される塗膜の耐水性が不十分であった。また、低分子紫外線吸収剤を添加した比較例2のポリマー組成物では、低分子紫外線吸収剤の経時的なブリードアウトが観察された。またプラスチックのシート、金属、ガラスの基材に対しての密着性が良好であった。
Claims (13)
- 紫外線吸収型ポリマー(A)と、ポリウレタン(B)のディスパージョンとからなるポリマー組成物を含有してなる塗料であって、
前記紫外線吸収型ポリマー(A)が、二重結合及び紫外線吸収基を有する化合物(a)と、二重結合含有成分(h)とを含有してなる重合成分を重合させて得られるカルボキシル基を有する重合生成物であり、
前記ポリウレタン(B)が活性水素含有基及びアニオン性親水性基(水酸基を除く。)を有する化合物(b)と、ポリオール(c)及び/又はポリアミン(d)と、ポリイソシアネート(e)とを含有してなる反応成分を反応させて得られる反応生成物であり、
前記紫外線吸収型ポリマー(A)の酸価が、2〜200mgKOH/gであり、
前記紫外線吸収型ポリマー(A)に含まれる、前記二重結合及び紫外線吸収基を有する化合物(a)に由来する構成単位の割合が30〜80質量%であり、
前記紫外線吸収型ポリマー(A)が、中和塩である
ことを特徴とする塗料。 - 前記二重結合及び紫外線吸収基を有する化合物(a)が、下記一般式(1)〜(4)の
いずれかで表される請求項1に記載の塗料。
- 前記二重結合含有成分(h)が、スチレン系モノマー、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、及びアクリロニトリル系モノマーからなる群より選択される少なくとも一種のモノマーであり、かつアクリル酸又はメタクリル酸を少なくとも含有してなる請求項1に記載の塗料。
- 前記紫外線吸収型ポリマー(A)は、ガラス転移点(Tg)が−20〜160℃、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,500,000であるとともに、水に溶解又は分散可能である重合体である請求項1に記載の塗料。
- 前記紫外線吸収型ポリマー(A)の含有割合が、全固形分質量基準で0.1〜50質量%である請求項1に記載の塗料。
- 前記ポリウレタン(B)を調製するための前記反応成分が、さらに、数平均分子量500未満の脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素ジオール及びそのアルキレンオキシド付加物、及び炭素数18以下のジアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種の短鎖ジオール成分(f)及び/又は炭素数13以下の脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素ジアミン及び炭素数10以下の脂肪族又は芳香族炭化水素ジヒドラジドからなる群より選択される少なくとも一種の短鎖ジアミン成分(g)を含有してなる請求項1に記載の塗料。
- 前記ポリウレタン(B)が、
前記活性水素含有基及びアニオン性親水性基(水酸基を除く。)を有する化合物(b)、前記ポリオール(c)、前記ポリアミン(d)、前記短鎖ジオール成分(f)、及び前記短鎖ジアミン成分(g)の合計の活性水素含有基(アニオン性親水性基を除く。)(1)と、
前記ポリイソシアネート(e)のイソシアネート基(2)とを(1)/(2)=0.9〜1.5の当量比で反応させて得られる反応生成物である請求項1に記載の塗料。 - 前記活性水素含有基及びアニオン性親水性基(水酸基を除く。)を有する化合物(b)が、下記一般式(5)で表わされる化合物である請求項1又は7に記載の塗料。
(HO−R'−)2−R−R"−X ・・・(5)
(前記一般式(5)中、Rは、3価の脂肪族炭化水素基又は3級アミン構造を示し、R'は、アルキレン基を示し、R"は、単結合又はアルキレン基を示し、Xは、−COOH、−SO3H、又は−PO3H2を示す。) - 前記活性水素含有基及びアニオン性親水性基(水酸基を除く。)を有する化合物(b)が、ジメチロールアルカン酸である請求項1、7又は8に記載の塗料。
- 前記ポリウレタン(B)の重量平均分子量が、1,000〜500,000である請求項1又は7に記載の塗料。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の塗料であって、さらに、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、及びイソシアネート化合物(ブロック体を含む。)からなる群より選択される少なくとも1種の架橋剤を含有してなることを特徴とする塗料。
- 請求項1〜11のいずれかの一項に記載の塗料の製造方法であって、
前記紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体と、前記ポリウレタン(B)のディスパージョンとを混合する工程を有することを特徴とする製造方法。 - 請求項1〜11に係る塗料の製造方法であって、前記ポリウレタン(B)のディスパージョンを調製する工程の中間段階において、生成したウレタンプレポリマーに前記紫外線吸収型ポリマー(A)の溶液又は水分散体を添加する工程を有することを特徴とする塗料の製造方法。
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