JP3580832B2 - 水性エマルション型高分子紫外線吸収剤 - Google Patents

水性エマルション型高分子紫外線吸収剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、紫外線の有害性を防止するために、プラスチック製品、フィルム製品、ガラス製品、塗装製品、あるいは繊維製品に塗布することにより、これらの表面に強固な紫外線吸収膜を形成し、これらの製品の光劣化を防いだり、これらの製品を透過する紫外線を防止することができる水性エマルション型の高分子紫外線吸収剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチック製品、フィルム製品、塗装製品などの光劣化を防ぐ方法として、ヒドロキシベンゾフェノン類やベンゾトリアゾール類などの低分子の紫外線吸収剤を練り込んだり、あるいは紫外線吸収皮膜を必要とする場合は、これら低分子の紫外線吸収剤をアクリル樹脂やウレタン樹脂などのバインダーと併用して皮膜化する方法が試みられている。このような、低分子紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンといった2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールといった2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール類が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、得られる紫外線吸収皮膜の効果の持続性が悪かったり、耐水性が悪いため水に濡れると皮膜が剥がれたり、皮膜から低分子の紫外線吸収剤が流れ出るなどし、すぐに効果がなくなるのが欠点であった。
【0004】
また、従来の低分子の紫外線吸収剤は油溶性でありバインダーと併用して皮膜化する場合、溶剤系で使用する必要があり、作業環境が悪いばかりでなく、水性塗料など水系の製品と併用することができない等の欠点もある。
【0005】
本発明は、耐水性、耐久性、透明性に優れ、水性製品との併用が可能な水性エマルション型高分子紫外線吸収剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤は、紫外線吸収性モノマー(a)と、このモノマーと共重合可能なビニル化合物モノマー(b)と、これら(a)、(b)両者のモノマーの総量100重量部に対して0.1〜5重量部の架橋性モノマー(c)との乳化共重合物からなり、共重合物が平均粒径100nm以下の内部架橋構造を有する重合体粒子であるり、乾燥することにより紫外線吸収性高分子皮膜を形成すことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施態様】
紫外線吸収性モノマーとしては、紫外線吸収性を示すモノマーであればいずれも使用しうるが、好ましくは2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体または2−ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体がビニル化合物の主鎖に側鎖として結合したものであり、その具体例としては以下のものが挙げられる。また、下記の2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体と2−ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体とを併用することもできる。このように、紫外線吸収特性の異なる2種類以上のモノマーを併用することにより、紫外線吸収効果をいっそう改善することができる。
【0008】
(1) 化3で示される2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体
【化3】
Figure 0003580832
(R1:水素、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基
2:炭素数1〜10のアルキレン基またはオキシアルキレン基、あるいは存在しない(この場合は、Xがベンゼン環に直接結合する。)
3:水素または低級アルキル基
X:エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合)
【0009】
化3で表わされるモノマーは、例えば、BP−R−OH(BP:2−ヒドロキシベンゾフェノン骨格)等の官能基を有する紫外線吸収性化合物と、CH=CR−COOH等の官能基を有する重合性ビニル化合物とを反応させ、エステル結合X(−COO−)により重合性ビニル化合物中に紫外線吸収性化合物残基を結合、導入することにより得られる。
【0010】
前記化3で表わされるモノマー化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0011】
(2) 化4で表わされる2−ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
【化4】
Figure 0003580832
(R1:水素、ハロゲンまたはメチル基
2:水素または炭素数1〜6の炭化水素基
3:炭素数1〜10のアルキレン基またはオキシアルキレン基、あるいは存在しない(この場合は、Xがベンゼン環に直接結合する。)
4:炭素数1〜8のアルキレン基、アミノアルキレン基または側鎖に水酸基を有するアルキル基、あるいは存在しない(この場合は、XとCが直接結合する。)
5:水素または低級アルキル基
X:エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合)
【0012】
前記化4で表わされるモノマー化合物の具体例としては、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾリトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェノル]ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0013】
また、上記の紫外線吸収性モノマーと共重合可能な他のビニル化合物(以下、共重合モノマーと呼ぶ)としては、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、スチレンなどがあり、この場合のアルキル基の炭素数は特に制約されないが、好ましくは1〜18である。これら化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0014】
(1) アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート
【0015】
(2) アルキルビニルエーテル
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル
【0016】
(3) アルキルビニルエステル
酢酸ビニル、エチルビニル、ブチルビニル、2−エチルヘキシルビニル
【0017】
紫外線吸収性モノマー(a)と、これと共重合モノマー(b)との共重合比は、重量比で、(a)/(b)=5/95〜60/40の範囲が好ましい。この範囲を超えて紫外線吸収性モノマーの比率が増加すると皮膜特性が不十分となりやすく、一方、低下すると紫外線吸収性能の点で要求を満たせなくなる。
【0018】
本発明ではさらに共重合成分として、架橋性モノマー(c)を用い、乳化重合時に粒子内架橋を生じせしめる。このように内部架橋構造をもたせることにより、プラスチック製品、ガラス製品、繊維製品に対して塗布した場合に、耐水性に優れ、耐久性のある紫外線吸収性高分子皮膜が形成される。
【0019】
架橋性モノマーとしては、ジビニル化合物、ジ(トリ)アクリル化合物、ジ(トリ)メタクリル酸エステル化合物のように2重結合を分子内に2個以上有するラジカル架橋性モノマー、およびN−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクレートのような自己縮合官能基含有モノマー等が挙げられ、これらの架橋性モノマーで内部架橋する
【0020】
ラジカル架橋性モノマーとしては、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、トリメタクリル酸メチロールプロパン、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,3ブチレン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、トリメタクリル酸アリルなどが挙げられる。
【0021】
自己縮合官能基含有モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロネート、グリシジルアクリルエーテル等のエポキシ含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリル酸アミド、N−メチロールクロトン酸アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸アミド等のアミド基含有モノマーなどが挙げられる。
【0022】
生成する水性エマルシヨンの粒子内および粒子間の架橋構造をさらに強固にするために、反応性官能基を有する共重合可能なモノマーを併用使用することもできる。
反応性官能基含有モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1) ヒドロキシ基含有モノマー
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンモノメタクリレート
【0023】
(2) アミノ基含有モノマー
メタクリルアミン、アミノスチレン、アリルアミン
(3) カルボン酸含有モノマー
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸あるいは無水マレイン酸
【0024】
紫外線吸収性モノマー(a)と、共重合可能モノマー(b)との総量(a)+(b)(以下、主共重合モノマーと呼ぶ)l00重量部に対し、架橋性モノマー(段落番号[0020]及び[0021]に示したモノマー)は0.1〜5重量部用いることが好ましい。また、より詳細には、架橋性モノマーとしてラジカル架橋性モノマーを用いる場合は、主共重合モノマー100重量部に対して0.1〜2重量部用いることが好ましく、自己縮合官能基含有モノマーを用いる場合は0.5〜2重量部である。また、反応性官能基含有モノマーを併用する場合は1〜5重量部が好適である。
【0025】
本発明の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤は、水系媒体中で乳化剤とともに各モノマーを混合し、水溶性開始剤により乳化重合することにより得られ、得られた内部架橋共重合物の平均粒径を100nm以下とする。平均粒径を100nm以下とすることにより、得られる皮膜の透明性が改善される。
本発明では、架橋性モノマーを用いて内部架橋させながら乳化重合することにより、平均粒径100nm以下の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤が容易に得られる。
【0026】
乳化剤としては、従来から乳化重合で使用されているものを全て使用しうるが、一般にエマルション重合時に使用する乳化剤は皮膜形成後に皮膜の耐水性、透明性に悪影響を及ぼすので、できる限り少ない方がよい。また、エマルション重合時の乳化剤使用低減のため、共重合性乳化剤として、ラテルムS−180、S−120S(花王(株))、アクアロンRN−50、HS−10(第一工業製薬(株))、エレミノールJS−2(三洋化成工業(株))、アデカソープNE−30(旭電化工業(株))等があり、これらを単独または2種類以上混合して用いることが望ましい。これらは、エマルション重合時に、得られる共重合中に取り込まれ、上記悪影響を防止できるとともに、小粒径の共重合物粒子が得られやすい。
【0027】
重合開始剤としては、過硫酸塩、過炭酸塩、過ほう酸塩類などの過酸化物および2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤を使用することができる。
水溶性重合開始剤の使用量は、対モノマー当たり0.05〜1重量%が好適である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線吸収性モノマー、共重合モノマーおよび架橋性モノマーを共重合させて、平均粒径100nm以下の粒子内架橋構造を有する共重合物粒子からなるエマルション型の高分子紫外線吸収剤とすることにより、繊維製品、プラスチック製品、ガラス製品に適用した場合に、耐水性、耐久性、透明性に優れた皮膜が得られるととともに、水性製品との併用が可能となる。この用途の具体例を示せば、以下の通りである。
【0029】
(1) 繊維製品の紫外線カット
本発明の高分子紫外線吸収剤は、衣料等の繊維製品に耐洗濯性のある強固な皮膜を形成し、持続性のある紫外線透過防止処理を行なうことが可能である。
【0030】
(2) 水性塗料の耐光性の改良
水性塗料は水性バインダーに顔料等を分散させたものであるが、これに従来の紫外線吸収剤を添加する場合は、あらかじめ紫外線吸収剤を分散後添加するなどの工夫が必要であり、また低分子のためバインダーを不透明にしたり、ブリードアウトしたりする。これに対して本発明品は水性エマルション型の高分子紫外線吸収剤なので、バインダーの一部としても働き、添加も容易でブリードアウトも無く、簡単に添加することで耐光性を改良した塗料組成物を得ることができる。
【0031】
(3) 情報記録紙(感熱記録紙、ファクシミリ用紙等)への応用
ファクシミリなどの感熱記録紙は紫外線などにより変色をおこすが、感熱記録紙は塗布する感熱色素などの粒子状態が性能に影響するので、従来の紫外線吸収剤を添加する場合は、微粒子状に紫外線吸収剤を分散させた後添加する必要があるが、機械的に微粒子にするのは困難であり、利用に制限がある。これに対して本発明品は100nm以下の粒子径であるので、感熱紙の性能を損なうことなく添加するだけで、耐光性を改良できる。
【0032】
(4) ショーウインドウの硝子・プラスチックへの応用
ショーウインドウの硝子やプラスチックなどに吹き付け等により塗布することで、これらのもの容易に紫外線カット処理を行なうことができ、また水性なので、耐溶剤性の悪いプラスチックにも容易に処理ができる。このように紫外線カット処理したものをショーウインドウ等に使用すると、内容物の紫外線からの影響を無くすることができる。
【0033】
(5) 照明器機のフードへの応用
蛍光灯や街灯等のフードを本発明品で処理すると、蛍光灯などの人工光源から発生する紫外線を除去した光源がえられるので、ディスプレー用の光源として利用でき、また紫外線をめざして集まって来る昆虫などを阻止することができる。とくに、本発明品は処理が容易であり高分子であるため、光源からの熱の影響を受けない。
【0034】
【実施例】
実施例1〜16:水性エマルション型高分子紫外線吸収剤の調製
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、ラテムルS−180(花王(株)製)10.0g、アクアロンRN−50(第一工業製薬(株)製)、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン30.0g、アクリル酸エチル85.0g、アクリル酸2−エチルヘキシル5.0g、アクリル酸4.0g、トリアリルアミン0.3g、水130gからなる不飽和単量体混合物264.3gに調製し、このうち30.0gを前記反応容器に加え、70℃で30分間乳化を行なった。次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウムを6.2×10−2モル/水相になるように30.0gの水に溶解し、前記の反応容器に添加し、直ちに、残部の不飽和単量体を90分間にわたって反応容器内に連続的に滴下し、70℃で重合を行なった。不飽和単量体の滴下終了後、70℃で90分間熟成し、実施例1の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤を得た。
【0035】
以下、同様にして、後記表1〜4に示したように紫外線吸収性モノマー、共重合モノマー、乳化剤、架橋性モノマーを変えて各実施例の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤を得た。
各成分の後のカッコ内に使用量を示した。なお、紫外線吸収性モノマーの使用量は、全て30gで統一した。
【0036】
また、実施例6ではさらにアクリル酸10gを、実施例9ではアクリル酸4gを、実施例13ではメタクリル酸20gを用いて乳化重合を行なった。
開始剤に示したV−50は、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩を示す。
これらの分散粒子の平均粒子径を、コールターサブミクロン粒子アナライザー(アメリカ合衆国、コールターエレクトロニクス社製、Coulter Model N4型)により測定した。なお、記載スペースの都合上、表は縦に2つに分割されており、表1と表2、表3と表4でそれぞれ本来の1つの表を構成する。
【0037】
比較例1
2,2,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン500g、水1500g、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物35gを、メガギャッパーグレンミル(浅田鉄工(株)製)で1時間分散撹拌を行ない、紫外線吸収剤の分散溶液を得た。
【0038】
比較例2
2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール500g、水1500g、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物35gを、メガギャッパーグレンミル(浅田鉄工(株)製)で1時間分散撹拌を行ない、紫外線吸収剤の分散溶液を得た。
【0039】
比較例3
比較例1で得られた紫外線吸収剤の分散溶液50gとスーパーフレックス E−4500(第一工業製薬(株)製)50gとを混合し、紫外線吸収剤の分散溶液を得た。
【0040】
比較例4
比較例1で得られた紫外線吸収剤の分散溶液50gとモビニール−966(ヘキスト合成(株)製)50gとを撹拌混合し、紫外線吸収剤の分散溶液を得た。
【0041】
試験例1
実施例1〜16および比較例1〜4で得られた水性エマルション型高分子紫外線吸収剤をガラス板上に塗布し、180℃、5分間乾燥した後、冷却し試験片とした。これらの試験片を25℃の水に1時間浸漬し、皮膜の白化度を観察した。観察の結果は、表5に示す。
○:皮膜は透明であり、外観の変化がない
×:皮膜が白色に不透明となり、水により膨潤する
【0042】
試験例2
実施例1〜16で得られた水性エマルション型高分子紫外線吸収剤および比較例1,2の紫外線吸収剤分散剤を、固形分1%になるように水で希釈した溶液に、綿ニットに浸漬して、100%絞りとした後、100℃で3分乾燥した試料300nmの波長の透過率(T%)を分光光度計にて測定した。測定結果を表1〜4に示す。また、測定結果の一例を図1に示す。測定装置としては、積分球付き自記分光光度計U−3300(株式会社日立製作所製)を用いた。
【0043】
試験例3
実施例1〜16で得られた水性エマルション型高分子紫外線吸収剤および比較例3,4の紫外線吸収剤分散物をOPPフィルムに0.75μのアプリケーターを用いて、60℃、2分間乾燥し、塗工した。塗工した試料の300nmの波長の透過率(T%)を分光光度計にて測定した。測定結果を表1〜4に示す。また、測定結果の一例を図2に示す。測定装置としては、自記分光光度計U−3300(株式会社日立製作所製)を用いた。
【0044】
【表1】
Figure 0003580832
【0045】
【表2】
Figure 0003580832
【0046】
【表3】
Figure 0003580832
【0047】
【表4】
Figure 0003580832
【0048】
【表5】
Figure 0003580832

【図面の簡単な説明】
【図1】分光透過率を示すグラフである。
【図2】分光透過率を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 紫外線吸収性モノマー(a)と、このモノマーと共重合可能なビニル化合物モノマー(b)と、これら(a)、(b)両者のモノマーの総量100重量部に対して0.1〜5重量部の架橋性モノマーとの乳化共重合物からなり、共重合物が平均粒径100nm以下の内部架橋構造を有する重合体粒子であり、乾燥することにより紫外線吸収性高分子皮膜を形成することを特徴とする水性エマルション型高分子紫外線吸収剤。
  2. 紫外線吸収性モノマーが、紫外線吸収性を示す2−ヒドロキシベンゾフェノン残基が結合した重合性ビニル化合物および/または2−ヒドロキシベンゾトリアゾール残基が結合した重合性ビニル化合物である請求項1に記載の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤。
  3. 前記2−ヒドロキシベンゾフェノン残基が結合した重合性ビニル化合物が化1で示される化合物であり、また、前記2−ヒドロキシベンゾトリアゾールが結合した重合性ビニル化合物が化2で示される化合物である請求項2に記載の水性エマルション型高分子紫外線吸収剤。
    Figure 0003580832
    (R1:水素、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基
    2:炭素数1〜10のアルキレン基またはオキシアルキレン基、あるいは存在しない(この場合は、Xがベンゼン環に直接結合する。)
    3:水素または低級アルキル基
    X:エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合)
    Figure 0003580832
    (R1:水素、ハロゲンまたはメチル基
    2:水素または炭素数1〜6の炭化水素基
    3:炭素数1〜10のアルキレン基またはオキシアルキレン基、あるいは存在しない(この場合は、Xがベンゼン環に直接結合する。)
    4:炭素数1〜8のアルキレン基、アミノアルキレン基または側鎖に水酸基を有するアルキル基、あるいは存在しない(この場合は、XとCが直接結合する。)
    5:水素または低級アルキル基
    X:エステル結合、アミド結合、エーテル結合、又はウレタン結合)
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