JP5971181B2 - 車両の油圧制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、供給される油圧に応じて変速比を変化させる無段変速機と、供給される油圧に応じて係合して動力を伝達する係合装置とを備えた車両の油圧制御装置に関するものである。
車両に搭載された内燃機関や電動機などの駆動力源の運転点を連続的に制御して燃費を向上させ、また駆動力源から出力されたトルクを増減して駆動輪に伝達することのできる変速機として、油圧アクチュエータに供給される油圧に応じて変速比を連続的に変化させるように構成された無段変速機が知られている。また、駆動力源から出力されたトルクを流体流によって増大させて出力することができるように構成されたトルクコンバータが知られている。そのトルクコンバータには、通常、表裏両側での油圧の差に応じてトルクコンバータの入力部材と出力部材とを係合させて出力することができるように構成されたロックアップクラッチが設けられている。さらに、供給される油圧に応じて伝達トルク容量が制御されるように構成されたクラッチが知られている。このように構成されたクラッチは、油圧を供給することにより駆動力源から駆動輪にトルクを伝達し、その油圧を低下させることにより駆動力源と駆動輪とのトルクの伝達を遮断する。
上述した油圧アクチュエータやロックアップクラッチあるいはクラッチの油圧を制御する油圧制御装置は、通常、オイルポンプから出力された油圧を元圧として、各部材に供給する油圧を制御するように構成されている。このように構成された油圧制御装置には、電磁力によって出力圧を制御するソレノイドバルブや、そのソレノイドバルブから出力された油圧などに応じて開閉して出力側の油圧を制御する制御弁などが設けられている。そのため、ソレノイドバルブや制御弁がフェールすることにより、油圧が供給されて駆動する油圧供給部を制御することができなくなると、車両を走行させることができなくなってしまう可能性がある。
特許文献1ないし特許文献4には、ソレノイドバルブや制御弁がフェールしたときであっても車両を走行させることができるように構成された油圧制御装置が記載されている。特許文献1に記載された油圧制御装置は、ソレノイドバルブに電流を供給することができなくなったときであっても、車両の走行状態を維持するように構成されている。具体的には、ベルト式無段変速機における各プーリに付設された油圧アクチュエータの油圧を制御するノーマルオープン型のソレノイドバルブを備え、そのソレノイドバルブに電流を供給することができないフェールが生じたときに、各油圧アクチュエータに同一の油圧が供給されるように構成されている。そして、ソレノイドバルブに電流が供給されなくなって各油圧アクチュエータに同一の油圧が供給されたときに、無段変速機の変速比が小さくなるように、プライマリープーリに付設された油圧アクチュエータの受圧面積が、セカンダリープーリに付設された受圧面積よりも大きく形成されている。
また、特許文献1および特許文献2に記載された油圧制御装置は、ソレノイドバルブや制御弁がフェールしたときに、ロックアップクラッチの背圧室にオイルを供給してロックアップクラッチを強制的に解放させるように構成されている。また、特許文献2に記載された油圧制御装置は、ソレノイドバルブや制御弁がフェールしたときに、クラッチに油圧を供給して強制的に係合させるように構成されている。
さらに、特許文献3に記載された油圧制御装置は、クラッチの油圧を制御するソレノイドバルブがフェールしてクラッチに油圧を供給することができなくなった場合に、そのクラッチに油圧源から油圧を供給したり、ロックアップクラッチの油圧を制御する制御弁に信号圧を出力するソレノイドバルブの出力圧を供給したり、ライン圧を調圧する制御弁に信号圧を出力するソレノイドバルブの出力圧を供給したりする保障油路を設けることによって、クラッチが係合した状態を維持することができるように構成されている。
なお、特許文献4に記載された油圧制御装置は、無段変速機の変速比を制御するためのソレノイドバルブがフェールしたときに、変速比が急激に変化することを抑制もしくは防止することができるように構成されている。具体的には、ソレノイドバルブがフェールしたときには、ロックアップクラッチの係合および解放を制御するソレノイドバルブから出力された信号圧に応じて、プライマリープーリに付設された油圧アクチュエータに供給されるオイルの流量を増減することができるように構成されている。
特開2010−286052号公報 特開2012−159198号公報 特開2012−087896号公報 特開2001−280455号公報
特許文献1に記載されたようにソレノイドバルブに電流を供給することができないフェールが生じたときに、無段変速機の変速比を小さくするように油圧制御装置を構成すると、駆動輪から出力される駆動トルクが小さくなってしまい、リンプホーム走行や再発進させることができない場合がある。そのため、フェール時にリンプホーム走行や再発進させるなど大きな駆動トルクを要求される車両の油圧制御装置を開発する余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、無段変速機の変速比を変化させるための油圧を制御する制御弁や、係合装置を係合させるための油圧を出力する制御弁がフェールしたときであっても大きな駆動トルクを出力することができる車両の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、流体流によって駆動力源から出力されたトルクを増大させて伝達するトルクコンバータと、供給される油圧に応じて係合することによって前記トルクコンバータを介さずにトルクを伝達するロックアップクラッチと、油圧アクチュエータに供給される油圧に応じて変速比を変化させてトルクを伝達する無段変速機とを備えた車両の油圧制御装置において、供給される第1信号圧が高くなるに連れて前記変速比が小さくなるように前記油圧アクチュエータの油圧を制御する圧力制御弁と、前記第1信号圧を出力する第1パイロット弁と、第2信号圧を出力することにより前記ロックアップクラッチを係合させる第2パイロット弁と、前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧となるときに、前記第2パイロット弁から出力された前記第2信号圧を前記無段変速機の変速比を大きくするように前記圧力制御弁に供給するように連通する油路を切り替える切替弁とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記切替弁は、前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧になったときに、前記ロックアップクラッチを係合させる油圧を排出するように構成されていることを特徴とする車両の油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、油圧が供給されて係合することにより前記駆動力源から出力されたトルクを駆動輪に伝達する発進クラッチと、前記発進クラッチの油圧を制御するクラッチ圧制御弁とを備え、前記切替弁は、前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧になったときに、前記発進クラッチに連通する油路を、前記クラッチ圧制御弁に連通する油路から、前記発進クラッチを係合させることができる他の油圧源に連通する油路に切り替えるように構成されていることを特徴とする車両の油圧制御装置である。
請求項1の発明によれば、圧力制御弁に供給される第1信号圧が高くなるに連れて変速比が小さくなるように構成されている。また、ロックアップクラッチは第2パイロット弁から第2信号圧が出力されることにより係合させられるように構成されている。そして、第1信号圧が、無段変速機の変速比を制御する際に出力される油圧以上の油圧になるときには、第2パイロット弁から出力された第2信号圧が圧力制御弁に供給され、その第2信号圧が圧力制御弁に供給されると無段変速機の変速比が大きくなる。そのため、第1信号圧を出力する第1パイロット弁がフェールして、第1信号圧から出力される油圧が過剰に高くなったときであっても、第2信号圧が圧力制御弁に供給されるので、第2信号圧を制御することにより無段変速機の変速比を制御することができる。したがって、第2信号圧を高くすることによって無段変速機の変速比を大きくすることができるので、駆動力源から出力されたトルクを増大させて出力することができる。
請求項2の発明によれば、第1信号圧が、無段変速機の変速比を制御する際に出力される油圧以上の油圧になって切替弁が切り替わると、ロックアップクラッチを係合させる油圧を排出させる。そのため、ロックアップクラッチが解放されるので、駆動力源から出力されたトルクがトルクコンバータによって増幅されて出力される。その結果、駆動輪に伝達されるトルクをより一層増大させることができる。また、第2パイロット弁を閉じることができずロックアップクラッチを解放させることができない場合には、第1信号圧を増大させることによりロックアップクラッチを強制的に解放させることができる。その結果、トルクコンバータを介して駆動力源からトルクを伝達することによって大きな駆動トルクを出力することができ、または駆動力源がエンジンの場合にはエンジンストールが生じることを抑制もしくは防止することができる。そして、ロックアップクラッチを解放させることができず第1信号圧を増大させて切替弁を切り替えたときには、圧力制御弁に第2信号圧が供給されるので、変速比が小さくなってしまうことを抑制もしくは防止することができる。
請求項3の発明によれば、第1信号圧が、無段変速機の変速比を制御する際に出力される油圧以上の油圧になって切替弁が切り替わると、発進クラッチには、他の油圧源から油圧が供給される。そのため、発進クラッチの油圧を制御するクラッチ圧制御弁がフェールして発進クラッチを係合させることができないときには、第1信号圧を増大させることによって他の油圧源から発進クラッチに油圧を供給してその発進クラッチを係合させることができる。その結果、発進クラッチが解放してニュートラル状態となることにより駆動力源から駆動輪にトルクを伝達することができなくなるような事態を抑制もしくは防止することができる。さらに、そのようなフェールが生じたときであっても、変速比を大きくしかつロックアップクラッチを解放することができるので、駆動トルクを増大させることができる。
この発明に係る車両の油圧制御装置の一例を説明するための油圧回路図である。 この発明で対象とする車両の構成の一例を説明するための模式図である。 切り替えバルブの切り替え圧を説明するための図である。
この発明で対象とする車両は、トルクを増大させて出力するトルクコンバータと、油圧が供給されて係合することによりそのトルクコンバータを介さずに駆動力源から出力されたトルクを伝達するロックアップクラッチと、供給される油圧に応じて変速比が変化する無段変速機とを備えたものであって、それら無段変速機と係合装置とを備えた動力伝達装置の構成の一例を図2に模式的に示している。図2に示す動力伝達装置は、駆動力源として機能するエンジン1を備えている。このエンジン1は、供給された燃料を燃焼して動力を出力するものであり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいはLPGエンジンなどである。なお、図2には、エンジン1を駆動力源とした車両を例に挙げて示しているが、電動機を駆動力源とした電気自動車であってもよく、あるいは上記エンジン1と電動機との双方を駆動力源としたハイブリッド車であってもよい。
このエンジン1の出力軸2には、流体流によって動力を伝達するトルクコンバータ3が連結されている。図2に示すトルクコンバータ3は、エンジン1の出力軸2に連結されたフロントカバー4と一体となって回転するポンプインペラー5と、そのポンプインペラー5と対向して配置され、後述する前後進切替機構6に連結されたタービンランナー7とを備えており、ポンプインペラー5が回転することにより内部に供給されたオイルが流動してタービンランナー7を回転させるように構成されている。すなわち、図2に示すトルクコンバータ3は、流体流によって動力を伝達する流体伝動装置である。さらに、入力されたトルクを増幅して出力するために、内部のオイルの流れを一方向に整流するステータ8がポンプインペラー5とタービンランナー7との間に設けられている。このステータ8は、図示しないワンウェイクラッチを介してケース9に連結されている。具体的には、エンジン1から出力された動力によってポンプインペラー5が回転する方向と、タービンランナー7を介してポンプインペラー5にオイルが戻るときにポンプインペラー5に作用させる荷重の方向とが同一方向となるように、ステータ8がワンウェイクラッチを介してケース9に固定されて、流体が流れる方向を制限するように構成されている。
また、図2に示す例では、エンジン1の出力トルクを前後進切替機構6に直接伝達することができるようにロックアップクラッチ10が設けられている。このロックアップクラッチ10は、表裏両面の油圧差に応じて軸線方向に移動するものであって、図2に示す例では、ロックアップクラッチ10のトルクコンバータ3側(図2における左側)の油圧が、エンジン1側(図2における右側)の油圧よりも高いときには、ロックアップクラッチ10がエンジン1側に移動してフロントカバー4と摩擦係合することにより、エンジン1の出力トルクを前後進切替機構6に直接伝達するように構成されている。それとは反対に、ロックアップクラッチ10のトルクコンバータ3側の油圧が、エンジン1側の油圧よりも低いときには、ロックアップクラッチ10がフロントカバー4から離れて解放されることにより、トルクコンバータ3を介してエンジン1の出力トルクを増幅して前後進切替機構6に伝達するように構成されている。なお、図2に示す例では、ポンプインペラー5と一体となって回転することができるようにメカオイルポンプ11が連結されている。
そして、上記トルクコンバータ3やロックアップクラッチ10の出力部材であるタービンランナー7の回転方向と後述するベルト式無段変速機12の入力軸13との回転方向を反転させることができる前後進切替機構6が設けられている。図2に示す前後進切替機構6は、外歯車のサンギヤ14と、内歯車のリングギヤ15と、内周側ピニオンギヤ16と、外周側ピニオンギヤ17と、キャリヤ18とによって構成されたダブルピニオン型の遊星歯車機構を備えている。具体的には、タービンランナー7にサンギヤ14が連結されており、そのサンギヤ14に内周側ピニオンギヤ16が噛み合っている。さらに、内周側ピニオンギヤ16には外周側ピニオンギヤ17が噛み合い、その外周側ピニオンギヤ17にリングギヤ15が噛み合っている。そして、内周側ピニオンギヤ16と外周側ピニオンギヤ17とのそれぞれが自転しつつ、サンギヤ14の回転軸線を中心として公転することができるようにキャリヤ18が各ピニオンギヤ16,17を保持するとともに、そのキャリヤ18が後述するベルト式無段変速機12に連結されている。すなわち、サンギヤ14が入力要素として機能し、キャリヤ18が出力要素として機能し、リングギヤ15が反力要素として機能するように構成されている。
また、係合することによってキャリヤ18とサンギヤ14とを一体として回転させるクラッチC1と、係合することによってリングギヤ15を停止させるブレーキB1とが設けられている。したがって、クラッチC1を係合すると前後進切替機構6は一体となって回転するので、タービンランナー7とベルト式無段変速機12の入力軸13との回転方向が同一となる。また、ブレーキB1を係合すると、サンギヤ14とキャリヤ18とが反対方向に回転する。そのため、ブレーキB1を係合することによって、タービンランナー7とベルト式無段変速機12の入力軸13との回転方向が反転する。さらに、クラッチC1とブレーキB1とを解放することにより、エンジン1とベルト式無段変速機12との動力の伝達が遮断される。すなわち、ニュートラル状態となる。また、上記クラッチC1やブレーキB1は、供給される油圧に応じて伝達トルク容量が制御される摩擦係合装置である。したがって、クラッチC1とブレーキB1とに供給する油圧を制御することによって、前進走行させたり後進走行させたり、あるいはニュートラル状態としたりすることができる。すなわち、クラッチC1やブレーキB1はエンジン1から駆動トルクを伝達するときに係合するものであって、この発明における発進クラッチに相当する。
この前後進切替機構6から伝達された駆動力の回転数やトルクを変化させて出力するベルト式無段変速機12が設けられている。図2に示すベルト式無段変速機12は、前後進切替機構6と連結された入力軸13と、入力軸13と一体となって回転するプライマリープーリ19と、入力軸13と平行に配置された出力軸20と、出力軸20と一体となって回転するセカンダリープーリ21と、プライマリープーリ19とセカンダリープーリ21とに巻き掛けられた無端状のベルト22とによって構成されている。図2に示すプライマリープーリ19は、入力軸13と一体化された円錐状の固定シーブ23と、入力軸13の軸線方向に移動することができかつ入力軸13と一体となって回転することができるように配置された円錐状の可動シーブ24と、その可動シーブ24の背面に付設されかつ供給される油圧に応じた推力を可動シーブ24に作用させる油圧アクチュエータ25とを備えている。また、セカンダリープーリ21は、出力軸20と一体化された円錐状の固定シーブ26と、出力軸20の軸線方向に移動することができかつ出力軸20と一体となって回転することができるように配置された円錐状の可動シーブ27と、その可動シーブ27の背面に付設されかつ供給される油圧に応じた推力を可動シーブ27に作用させる油圧アクチュエータ28とを備えている。そして、ベルト式無段変速機12から出力されたトルクが、ギヤトレーン部29およびデファレンシャルギヤ30を介して駆動輪31,31に伝達される。
また、図2に示すベルト式無段変速機12は、各油圧アクチュエータ25,28の油圧差に応じてベルト22の巻き掛け半径を変更するように構成されている。さらに、各油圧アクチュエータ25,28の少なくともいずれか一方の油圧を制御してベルト22を押圧する荷重を変更することによって、伝達トルク容量を変更するように構成されている。具体的には、ベルト式無段変速機12に入力されるトルクに応じてベルト22が滑らない程度の挟圧力をベルト22に作用させるように油圧アクチュエータ28に供給する油圧を求め、その油圧アクチュエータ28に供給される油圧と、油圧アクチュエータ25に供給される油圧との差圧に応じた変速比が、ベルト式無段変速機12の目標変速比となるように油圧アクチュエータ25に供給する油圧を求めて、それら算出された各油圧に応じて各油圧アクチュエータ25,28に供給される油圧が制御されるように構成されている。
図2に示すように構成された動力伝達装置は、車両が発進するときなど比較的大きな駆動トルクを出力する必要があるときには、ロックアップクラッチ10を解放させてトルクコンバータ3によってトルクを増幅して出力するとともに、ベルト式無段変速機12の変速比を大きい変速比に設定するように構成されている。なお、車両が前進する場合には、クラッチC1が係合され、後進する場合にはブレーキB1が係合される。したがって、大きな駆動トルクを出力する必要がある場合には、ロックアップクラッチ10のトルクコンバータ3側の油圧を排出するとともに、油圧アクチュエータ25の油圧を低下させるように構成され、さらにクラッチC1あるいはブレーキB1の油圧が比較的高い油圧に維持される。
つぎに、図2に示すベルト式無段変速機12やクラッチC1またはブレーキB1あるいはロックアップクラッチ10を制御することができる油圧制御装置の一例について説明する。図1は、その油圧制御装置を説明するための油圧回路図である。図1に示す油圧回路は、図2に示すメカオイルポンプ11などの油圧源から出力された油圧を元圧として各油圧供給部の油圧を制御するように構成されている。具体的には、油圧源から出力された油圧を、アクセル開度などに応じたライン圧PL に調圧する図示しないレギュレータバルブが設けられ、そのレギュレータバルブによって調圧されたライン圧PL が各油圧供給部に供給されるように構成されている。なお、電動機によって駆動される電動オイルポンプを油圧源としていてもよい。
図1に示す例では、油圧アクチュエータ25に油圧を供給して増圧させたりその油圧を排出して減圧させたりする圧力制御弁32が設けられている。この圧力制御弁32は、スプール型の制御弁である。図1に示す圧力制御弁32には、ライン圧PL が供給される入力ポート33と、油圧アクチュエータ25に連通した出力ポート34と、油圧アクチュエータ25の油圧が供給されるフィードバックポート35と、図示しないオイルパンに連通したドレーンポート36と、後述するリニアソレノイドバルブSLPから出力された信号圧PSLP が供給される第1パイロットポート37と、後述する切り替えバルブ38における第3出力ポート39と連通した第2パイロットポート40とが形成されている。また、スプール41を押圧するスプリング42が設けられている。そして、図1に示す圧力制御弁32は、フィードバックポート35から供給されたフィードバック圧と、第1パイロットポート37から供給される信号圧PSLP と、スプリング42のバネ力とに応じて連通させるポートを切り替えるように構成されている。具体的には、フィードバック圧に基づいてスプール41を押圧する荷重と、信号圧PSLP に基づいてスプール41を押圧する荷重とが反対方向に作用し、その信号圧PSLP に基づいてスプール41を押圧する荷重と同一方向にバネ力が作用するように構成されている。また、後述する切り替えバルブ38から第2パイロットポート40に油圧が供給されたときには、その油圧に基づいてスプール41を押圧する荷重がフィードバック圧に基づいてスプール41を押圧する荷重と同一方向に作用するように構成されている。
図1に示す例では、フィードバック圧に基づく荷重がスプール41を下側に押圧し、信号圧PSLP に基づく荷重がスプール41を上側に押圧し、さらにバネ力がスプール41を押圧するように構成されている。そして、スプール41が上側に移動することにより入力ポート33と出力ポート34とを連通させて油圧アクチュエータ25に油圧を供給するように構成され、スプール41が下側に移動することにより出力ポート34とドレーンポート36とが連通して油圧アクチュエータ25のオイルをオイルパンに排出するように構成されている。したがって、図1に示す圧力制御弁32は、信号圧PSLP を増大させることにより油圧アクチュエータ25の油圧を増大させることができ、それとは反対に信号圧PSLP を低下させることにより油圧アクチュエータ25の油圧を低下させることができるように構成されている。なお、第2パイロットポート40に油圧が供給されたときにおける圧力制御弁32の作用については後述する。
また、図1に示す油圧回路には、圧力制御弁32に信号圧PSLP を供給するリニアソレノイドバルブSLPと、ロックアップクラッチ10を係合させるときに信号圧PSLU を出力するリニアソレノイドバルブSLUと、クラッチC1またはブレーキB1に供給する油圧PSLC を出力するリニアソレノイドバルブSLCとが設けられている。これらのリニアソレノイドバルブSLP,SLU,SLCは、供給される電流に応じて開閉するように構成されたものである。また、リニアソレノイドバルブSLPは、電流が供給されていないときに開弁するノーマルオープン型(N/O)のバルブであり、リニアソレノイドバルブSLUおよびリニアソレノイドバルブSLCは、電流が供給されていないときに閉弁するノーマルクローズ型(N/C)のバルブである。なお、リニアソレノイドバルブSLPがこの発明における第1パイロット弁に相当し、リニアソレノイドバルブSLUがこの発明における第2パイロット弁に相当し、リニアソレノイドバルブSLCがこの発明におけるクラッチ圧制御弁に相当する。また、信号圧PSLP がこの発明における第1信号圧に相当し、信号圧PSLU がこの発明における第2信号圧に相当する。
上記各リニアソレノイドバルブSLP,SLU,SLCには、図示しないモジュレータバルブによってライン圧PL を一定の油圧に調圧したモジュレータ圧PM が供給されて、そのモジュレータ圧PM を元圧として出力圧を制御するように構成されている。なお、ロックアップクラッチ10のエンジン1側に連通した油路と、トルクコンバータ3側に連通した油路とのいずれか一方の油路に、所定の油圧に調圧された油圧が供給される油路を連通させるように構成されたロックアップコントロールバルブ43に、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU が供給される。すなわち、ロックアップコントロールバルブ43に供給される信号圧PSLU が増大することにより、ロックアップクラッチ10におけるトルクコンバータ3側の油圧室に所定の油圧に調圧された油圧が供給されてロックアップクラッチ10が係合され、それとは反対にロックアップコントロールバルブ43に供給される信号圧PSLU が低下することによりロックアップクラッチ10におけるエンジン1側の油圧室に所定の油圧に調圧された油圧が供給されてロックアップクラッチ10が解放される。
そして、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU は、切り替えバルブ38を介してロックアップコントロールバルブ43に供給されるように構成され、リニアソレノイドバルブSLCから出力された油圧PSLC も同様に切り替えバルブ38を介してクラッチC1またはブレーキB1に供給されるように構成されている。なお、切り替えバルブ38とクラッチC1またはブレーキB1との間には、図示しないシフトレバーに応じて連通させる油路を切り替える図示しないマニュアルバルブが設けられており、シフトレバーの操作に応じてクラッチC1とブレーキB1とのいずれか一方に油圧PSLC を供給するように構成されている。
ここで、図1に示す切り替えバルブ38の構成について説明する。図1に示す切り替えバルブ38は、各リニアソレノイドバルブSLP,SLU,SLCのいずれかがフェールしたときに機能するように構成されたフェールセーフバルブである。図1に示す切り替えバルブ38は、スプール弁であって、リニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP が過剰に増大したときに連通させる油路を切り替えるように構成されている。具体的には、信号圧PSLP が供給されるパイロットポート44が形成されていて、そのパイロットポート44から供給された信号圧PSLP に基づいてスプール45を押圧する荷重と、その荷重がスプール45に作用する方向に対向してバネ力が作用するようにスプリング46が設けられている。そして、変速する際にリニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP の最大値よりも大きい信号圧PSLP がパイロットポート44に供給されたときに、その信号圧PSLP に基づいてスプール45を押圧する荷重がスプリング46がスプール45を押圧する荷重よりも大きくなったときにスプール45が移動して連通するポートを切り替えるように構成されている。
なお、図3には、リニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP と、油圧アクチュエータ25の油圧との関係を示している。図3に示すようにリニアソレノイドSLPから出力される信号圧PSLP に比例して油圧アクチュエータ25の油圧が変化するように構成されている。そして、変速する際にリニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP は、図3に示すP1までの油圧になるように構成されている。その油圧P1よりも高く、リニアソレノイドバルブSLPから出力することができる最大の油圧P3よりも低い油圧P2を切り替えバルブ38の切り替え圧となるようにバネ力が設定されている。
また、図1に示す切り替えバルブ38には、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU が供給される第1入力ポート47と、リニアソレノイドバルブSLCから出力された油圧PSLC が供給される第2入力ポート48と、モジュレータ圧PM が供給される第3入力ポート49と、ロックアップコントロールバルブ43に連通した第1出力ポート50と、クラッチC1またはブレーキB1に連通した第2出力ポート51と、圧力制御弁32に形成された第2パイロットポート40に連通した第3出力ポート39と、オイルパンに連通した第1および第2ドレーンポート52,53とが形成されている。なお、図1に示す例では、モジュレータ圧PM をクラッチC1またはブレーキB1に供給するように構成した例を示しているが、クラッチC1またはブレーキB1が係合することができる程度の油圧を供給することができればよく、モジュレータ圧PM に限らず他の油圧源から第3入力ポート49に油圧を供給するように構成されていてもよい。
このように構成された切り替えバルブ38は、変速比を設定しているとき、具体的には、油圧アクチュエータ25の油圧を制御する際に出力される信号圧PSLP の範囲内(図3における油圧P1以下)でリニアソレノイドバルブSLPから信号圧PSLP が出力されているとき(以下、通常時と記す場合がある。)には、図1に示す左側の位置にスプール45が移動している。そのため、通常時には、第1入力ポート47と第1出力ポート50とが連通し、第2入力ポート48と第2出力ポート51とが連通し、第3出力ポート39と第1ドレーンポート52とが連通する。また、第3入力ポート49と第2ドレーンポート53とは閉じられる。したがって、通常時には、第1入力ポート47と第1出力ポート50とが連通するので、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU がロックアップコントロールバルブ43に供給され、第2入力ポート48と第2出力ポート51とが連通するので、リニアソレノイドバルブSLCから出力された油圧PSLC がクラッチC1またはブレーキB1に供給される。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU に応じてロックアップクラッチ10が係合したり解放したりすることができ、リニアソレノイドバルブSLCから出力された油圧PSLC に応じてクラッチC1またはブレーキB1が係合したり解放したりすることができる。さらに、第3出力ポート39と第1ドレーンポート52とが連通するので、圧力制御弁32における第2パイロットポート40から油圧が排出される。
一方、リニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP が高くスプール45が図1に示す下側に移動すると、第1入力ポート47と第3出力ポート39とが連通し、第3入力ポート49と第2出力ポート51とが連通し、第1出力ポート50と第2ドレーンポート53とが連通する。また、第1ドレーンポート52と第2入力ポート48とが閉じられる。したがって、スプール45が図1に示す下側に移動したときには、リニアソレノイドバルブSLUの信号圧PSLU が圧力制御弁32に形成された第2パイロットポート40に供給され、モジュレータ圧PM がクラッチC1またはブレーキB1に供給される。また、ロックアップコントロールバルブ43に供給された信号圧PSLU が第2ドレーンポート53から排出される。そのため、スプール45が図1に示す下側に移動したときには、クラッチC1またはブレーキB1が係合し、ロックアップコントロールバルブ43が切り替わることによりロックアップクラッチ10が解放される。
そして、切り替えバルブ38が図1に示す下側に移動するときには、圧力制御弁32に供給される信号圧PSLP が、通常時に供給される信号圧PSLP よりも高いので、スプール41が図1に示す上側に押圧される荷重が増大する。そのような場合には、油圧アクチュエータ25に油圧が供給されて変速比が小さくなるように変速してしまう可能性があるため、切り替えバルブ38を介してリニアソレノイドバルブSLUから信号圧PSLU が第2パイロットポート40に供給される。したがって、切り替えバルブ38が図1に示す下側に移動したときには、リニアソレノイドバルブSLUから出力する信号圧PSLU に応じて油圧アクチュエータ25の油圧を制御することができる。言い換えると、リニアソレノイドバルブSLUによって変速比を制御することができる。
ここで、図1に示すリニアソレノイドバルブSLPを閉じること、言い換えるとリニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP を低下させることができないフェールが生じたときの作用について説明する。なお、リニアソレノイドバルブSLPは、上述したようにノーマルオープン型のバルブであるので、ここで説明するフェールには、リニアソレノイドバルブSLPに電流を供給することができない場合や、そのリニアソレノイドバルブSLPの出力ポートを閉じる弁体がスタックした場合などを含む。また、リニアソレノイドバルブSLPを閉じることができないフェールが生じた場合には、目標変速比よりも変速比が小さくなるように圧力制御弁32が作用するので、ベルト式無段変速機12の入力側の回転数と出力側の回転数とをセンサなどによって検出して現在の変速比を判断することにより、フェールが生じたことを判断することができる。また、上述したように切り替えバルブ38が図1に示す下側に移動するとロックアップクラッチ10が解放されるので、エンジン回転数とベルト式無段変速機12の入力側の回転数あるいはタービン回転数との絶対値が一致していないときに、フェールが生じたことを判断することができる。
リニアソレノイドバルブSLPを閉じることができないときには、そのリニアソレノイドバルブSLPを介してモジュレータ圧PM が圧力制御弁32における第1パイロットポート37と切り替えバルブ38におけるパイロットポート44とに供給される。したがって、切り替えバルブ38は図1に示す下方側に移動する。そのため、上述したようにロックアップクラッチ10は解放され、クラッチC1またはブレーキB1は係合される。そして、圧力制御弁32の第2パイロットポート40には、リニアソレノイドバルブSLUから出力された信号圧PSLU が供給される。その結果、上述したようにリニアソレノイドバルブSLPを閉じることができないフェールが生じていることを判断したときには、リニアソレノイドバルブSLUから出力する信号圧PSLU を目標変速比に応じて油圧アクチュエータ25の油圧が変化するように制御する。なお、図1に示す例では、第2パイロットポート40から供給された油圧が作用するスプール41の受圧面積が、第1パイロットポート37から供給された油圧が作用するスプール41の受圧面積よりも小さく形成されているが、第2パイロットポート40から供給された油圧が作用するスプール41の受圧面積を、第1パイロットポート37から供給された油圧が作用するスプール41の受圧面積よりも大きく形成してもよく、それらの面積差は、各ポート37,40から供給される油圧に応じて適宜変更すればもよい。
図1に示すように構成された切り替えバルブ38を設けることによって、リニアソレノイドバルブSLPを閉じることができないフェールが生じた場合であっても、変速比を変化させることができる。言い換えると、変速比を大きくすることができる。そのため、再発進時あるいはリンプホーム走行時などに要求される大きな駆動トルクを出力することができる。また、そのようなフェールが生じたときに、ロックアップクラッチ10が解放されるので、エンジンストールが生じてしまうことを抑制もしくは防止することができ、さらに、トルクコンバータ3を介してエンジン1の出力トルクを伝達することにより駆動トルクを増大させることができる。そのため、再発進時あるいはリンプホーム走行時に要求される駆動トルクをより一層増大させて出力することができる。そして、クラッチC1またはブレーキB1には、モジュレータ圧PM が供給されて係合状態を維持させるので、ニュートラル状態となってしまうことを抑制もしくは防止することができる。
また、リニアソレノイドバルブSLUは、ノーマルクローズ型のものであるが、出力ポートを閉じる弁体がスタックしたときには、リニアソレノイドバルブSLUから高い油圧(モジュレータ圧PM )が出力され続ける可能性がある。そのようなフェールが生じたときの作用について説明する。なお、リニアソレノイドバルブSLUの出力ポートを閉じることができないフェールが生じると、ロックアップクラッチ10が係合し続けるので、ロックアップクラッチ10を解放する信号をリニアソレノイドバルブSLUに出力したときに、エンジン回転数とベルト式無段変速機12の入力側の回転数あるいはタービン回転数の絶対値とが一致している場合に、フェールが生じていると判断することができる。また、停車時にエンジンストールが生じた場合に、フェールが生じていると判断することができる。このようにフェールが生じていることが判断された状態で発進する時には、リニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLP を増大させて切り替えバルブ38におけるスプール45を図1に示す下側に移動させる。そのように切り替えバルブ38を切り替えることにより、ロックアップコントロールバルブ43に供給された油圧が排出されてロックアップクラッチ10が解放される。また、クラッチC1またはブレーキB2には、モジュレータ圧PM が供給されて係合状態を維持する。さらに、リニアソレノイドバルブSLPから出力される信号圧PSLU が高いので、圧力制御弁32が油圧アクチュエータ25の油圧を低下させるように作用する。すなわち、ベルト式無段変速機12の変速比が大きくなるように変速される。
そのため、リニアソレノイドバルブSLUが上述したようにフェールしたときに、リニアソレノイドバルブSLPから出力する信号圧PSLP を増大させて切り替えバルブ38を切り替えることにより、ロックアップクラッチ10を解放することができ、その結果、エンジンストールが生じることを抑制もしくは防止することができる。また、ベルト式無段変速機12の変速比が大きくなるように変速されるので、発進時に要求される駆動トルクを出力することができる。そして、クラッチC1またはブレーキB1には、モジュレータ圧PM が供給されて係合状態を維持させるので、ニュートラル状態となってしまうことを抑制もしくは防止することができる。なお、車速が増大して要求される駆動トルクが低下した後に、リニアソレノイドバルブSLPから出力する信号圧PSLP を通常時と同様に目標変速比に基づいて制御することにより、切り替えバルブ38が通常時の位置に戻るので、ロックアップクラッチ10を係合させるとともに、クラッチC1またはブレーキB1にリニアソレノイドバルブSLCから油圧PSLC を供給して係合および解放を制御することができる。また、その場合には、変速比を目標変速比に追従させて変化させることができるので、通常の走行状態と同様に走行させることができる。
さらに、図1に示すように構成された油圧回路は、リニアソレノイドバルブSLCが開くことができないフェールが生じたとき、言い換えるとリニアソレノイドバルブSLCからクラッチC1またはブレーキB1に油圧を供給することができないフェールが生じたときに切り替えバルブ38を切り替えるように構成されている。なお、ここでのフェールには、リニアソレノイドバルブSLCに電流を供給することができない場合やリニアソレノイドバルブSLCの出力ポートを閉じる弁体がスタックした場合を含む。このようなフェールが生じた場合には、クラッチC1またはブレーキB1が解放されてニュートラル状態となるので、図2に示す動力伝達装置では、タービン回転数とベルト式無段変速機12の入力側の回転数とに差がある場合には、リニアソレノイドバルブSLCが開くことができないフェールが生じていると判断することができる。
そのようなフェールが生じた場合には、まず、リニアソレノイドバルブSLPから出力する信号圧PSLP を増大させて切り替えバルブ38に設けられたスプール45を図1における下側に移動させる。すると、クラッチC1またはブレーキB1には、切り替えバルブ38を介してモジュレータ圧PM が供給されるので、クラッチC1またはブレーキB1が係合する。また、ロックアップコントロールバルブ43には、リニアソレノイドバルブSLUから油圧が供給されないので、ロックアップクラッチ10が解放される。さらに、圧力制御弁32における第2パイロットポート40には、切り替えバルブ38を介してリニアソレノイドバルブSLUから信号圧PSLU が供給される。したがって、リニアソレノイドバルブSLUから出力される信号圧PSLU を増大させることによってベルト式無段変速機12の変速比を増大させることができ、またその信号圧PSLU を低下させることによってベルト式無段変速機12の変速比を低下させることができる。
そのため、リニアソレノイドバルブSLCが上述したようにフェールしたときに、リニアソレノイドバルブSLPから出力する信号圧PSLP を増大させて切り替えバルブ38を切り替えることにより、クラッチC1またはブレーキB1を係合させることができる。そして、ロックアップクラッチ10を解放することにより、エンジン1の出力トルクを増大させて出力することができるので、駆動トルクを増大させることができる。さらに、リニアソレノイドバルブSLUの信号圧PSLU を制御することによりベルト式無段変速機12の変速比を制御することができるので、車両に要求される走行状態に追従して変速比を変化させることができる。言い換えると、駆動トルクが不足することなどを抑制もしくは防止することができる。なお、車速が増大して要求される駆動トルクが低下した後に、リニアソレノイドバルブSLUから出力する信号圧PSLU を低下させて変速比を低下させることができるので、通常の走行状態と同様に走行させることができる。
図1に示す油圧回路では、各リニアソレノイドバルブSLP,SLU,SLCのいずれか一つのリニアソレノイドバルブがフェールしたとき、より具体的には、比較的大きな駆動トルクを出力することができないようなフェールがいずれかのリニアソレノイドバルブに生じたときであっても、切り替えバルブ38が切り替わることによって、エンジン1から出力されたトルクを増大させて駆動輪31,31に伝達することができる。すなわち、図1に示すように切り替えバルブ38を設けることによって、上述したように各リニアソレノイドバルブSLP,SLU,SLCのいずれか一つのリニアソレノイドバルブがフェールしたときに、その切り替えバルブ38のみを設けることにより駆動トルクを出力するようにフェールセーフさせることができる。
なお、上述した例では、ベルト式無段変速機12を備えた車両の油圧制御装置を例に挙げて説明したが、この発明で対象とすることができる車両は、供給される油圧に応じて変速比を変化することができる無段変速機を備えていればよく、したがって、パワーローラの傾斜角度を変化させるために油圧を制御するように構成されたトロイダル式無段変速機を対象としてもよい。また、上記クラッチC1やブレーキB1は、要はエンジンと駆動輪とのトルクの伝達を遮断することができる、いわゆる発進クラッチであればよいので、例えば、無段変速機の出力側に発進クラッチを設けた車両の場合には、その発進クラッチを制御するリニアソレノイドバルブがフェールしたときに、切り替えバルブ38を切り替えてモジュレータ圧PM など比較的高い油圧を発進クラッチに供給するように構成してもよい。
1…エンジン、 3…トルクコンバータ、 10…ロックアップクラッチ、 12…ベルト式無段変速機、 25,28…油圧アクチュエータ、 32…圧力制御弁、38…切り替えバルブ、 C1…クラッチ、 B1…ブレーキ、 SLP,SLU,SLC…リニアソレノイドバルブ。

Claims (3)

  1. 流体流によって駆動力源から出力されたトルクを増大させて伝達するトルクコンバータと、供給される油圧に応じて係合することによって前記トルクコンバータを介さずにトルクを伝達するロックアップクラッチと、油圧アクチュエータに供給される油圧に応じて変速比を変化させてトルクを伝達する無段変速機とを備えた車両の油圧制御装置において、
    供給される第1信号圧が高くなるに連れて前記変速比が小さくなるように前記油圧アクチュエータの油圧を制御する圧力制御弁と、
    前記第1信号圧を出力する第1パイロット弁と、
    第2信号圧を出力することにより前記ロックアップクラッチを係合させる第2パイロット弁と、
    前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧となるときに、前記第2パイロット弁から出力された前記第2信号圧を前記無段変速機の変速比を大きくするように前記圧力制御弁に供給するように連通する油路を切り替える切替弁と
    を備えていることを特徴とする車両の油圧制御装置。
  2. 前記切替弁は、前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧になったときに、前記ロックアップクラッチを係合させる油圧を排出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧制御装置。
  3. 油圧が供給されて係合することにより前記駆動力源から出力されたトルクを駆動輪に伝達する発進クラッチと、
    前記発進クラッチの油圧を制御するクラッチ圧制御弁と
    を備え、
    前記切替弁は、前記第1パイロット弁から出力される第1信号圧が、前記無段変速機の変速比を制御する際に出力する油圧以上の油圧になったときに、前記発進クラッチに連通する油路を、前記クラッチ圧制御弁に連通する油路から、前記発進クラッチを係合させることができる他の油圧源に連通する油路に切り替えるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の油圧制御装置。
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