JP5967610B2 - 超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器 - Google Patents

超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器 Download PDF

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Description

本発明は、超伝導体からなる下部電極、絶縁体からなるトンネルバリア、および超伝導体からなる上部電極が基板上に積層されて構成される、超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器に関するものである。
従来、フォトン検出器として主に半導体検出器が用いられてきたが、半導体検出器は半導体材料固有の性質により、これ以上の性能向上は見込めない。これに対し、超伝導トンネル接合(以下、STJ(=Superconducting Tunnel Junction)と記す)を用いたフォトン検出器は、近接するエネルギーを持つフォトンを弁別するエネルギー分解能に優れ、また、高速でのフォトン観測が可能であり、次世代のフォトン検出器として極めて有望である。
図1(a)は、STJを用いたフォトン検出器を構成するSTJ素子1の模式図である。STJ素子1は、超伝導体2および3の間に絶縁体4が挟まれて形成されている。STJ素子1を動作させる際には、STJ素子1は冷却され、熱による励起電流が減少させられる。また、超伝導体2および3の間にバイアス(Bias)電圧が印加される。ここで、STJには直流ジョセフソン電流が流れる。同図(b)に示すグラフは、STJ素子1の電流−電圧特性を示す。同グラフの横軸は電圧、縦軸は電流を表す。同グラフ内で、特性Bで表される直流ジョセフソン電流は、電圧が0で流れる。また、電圧の増加に対して電流が線形的に増加しない、極めて非線形性的なSTJ特有の特性Aが表れる。STJ素子1を動作させる際には絶縁体4に磁場が印加され、この磁場の印加により、直流ジョセフソン電流は抑制される。
同図(c)のエネルギーバンド図に示すように、STJ素子1において超伝導を担うクーパー対5は、上記のSTJ素子1の動作条件の下では、基底状態にされている。このSTJ素子1にフォトンが同図(a)に示す太い矢印のように入射し、対破壊エネルギー2Δ以上のエネルギーがクーパー対5に与えられると、クーパー対5は崩壊して励起状態の準粒子6となる。この準粒子6は絶縁体4の部分に形成されるSTJを通過し、トンネル電流を形成する。トンネル電流は、同図(b)に点線で示す電流電圧特性Cで表され、特性Aとの差分がアンプ(AMP)7によって増幅されて測定される。この測定により、STJ素子1に入射したフォトンの数やエネルギーが把握される。
対破壊エネルギー2Δは、半導体検出器では数eVであるのに対し、STJを用いたフォトン検出器では数meVで、格段に小さなエネルギーでクーパー対5は準粒子6となる。従って、STJを用いたフォトン検出器は優れたエネルギー分解能を呈する。
図2は、STJを用いた従来のフォトン検出器11の断面斜視図である。このようなフォトン検出器としては、非特許文献1に開示されたものがある。
フォトン検出器11は、STJ素子12が基板13上に形成されて構成されている。STJ素子12は、超伝導体からなる下部電極14、絶縁体からなるトンネルバリアを含む層15、および超伝導体からなる上部電極16が、基板13上に積層されて形成されている。ここでは、下部電極14および上部電極16の超伝導体にNbが用いられており、厚さはそれぞれ200nmおよび150nmにされている。また、絶縁体であるトンネルバリアを構成するAlO層15bは、Al層15aの表面が酸化されて、数nmの厚さに形成されている。また、Al層15aおよびAl層15cは、フォトンの入射によって生じる2次電子を増幅するためのトラップ層であり、形成されない場合もある。
STJ素子12が形成された基板表面にはSiOからなる層間絶縁膜17が350nmの厚さに形成されており、層間絶縁膜17の右上方にはNbからなる上部電極用配線層18が650nmの厚さに形成されている。上部電極用配線層18はコンタクトホール19を介して上部電極16に接続されている。また、図示はしていないが、層間絶縁膜17の左上方にはNbからなる下部電極用配線層が形成されており、上部電極用配線層18と同様にコンタクトホールを介して下部電極14に接続されている。
図3(a)〜(h)および図4(i)〜(k)は、上記のような従来のフォトン検出器11をリフトオフ法を用いて作製するプロセスを示す断面図である。なお、図3および図4において図2と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
フォトン検出器11の作製にあたり、最初に、基板13上にリフトオフ用のフォトレジスト21を形成する(図3(a)参照)。次に、基板13およびフォトレジスト21上に、下部電極14となるNb層22、トンネルバリアを含む層15となるAl−AlOまたはAl−AlO/Al層23、上部電極16となるNb層24を積層する(同図(b)参照)。次に、フォトレジスト21をリフトオフして下部電極14を形成する(同図(c)参照)。引き続き、上部電極加工用のフォトレジスト25を形成し(同図(d)参照)、フォトレジスト25をマスクとするエッチングによりトンネルバリア15および上部電極16を形成する(同図(e)参照)。
次に、コンタクトホール形成用のフォトレジスト26を形成し(同図(f)参照)、引き続いて層間絶縁膜17を積層する(同図(g)参照)。その後、フォトレジスト26をリフトオフしてコンタクトホール19を形成する(同図(h)参照)。次に、配線層形成用のフォトレジスト27を形成し(図4(i)参照)、配線層28を堆積する(同図(j)参照)。その後、フォトレジスト27をリフトオフして上部電極用配線層18および下部電極用配線層20を形成し(同図(k)参照)、フォトン検出器11の作製を完成させる。
また、STJ素子12の上部電極16に入射するフォトンの種類を選択するため、上部電極16の直上にある層間絶縁膜17aを除去し、除去した部分に吸収層を形成することがある。この吸収層により、フォトン検出器11に入射する所望のフォトンが捉えられて上部電極16に入射するようになり、所望のフォトンを効率よく検出することが可能になる。なお、ここではリフトオフ法によってフォトン検出器11を作製する場合について説明しているが、エッチング法によっても同様にしてフォトン検出器11を作製することが出来る。
IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL.13, NO.2, JUNE 2003, pp.119〜122
上記従来のSTJを用いたフォトン検出器11は、上記のように作製に多くのプロセスが必要とされるため、作製コストを削減するのが難しく、また、作製の歩留まりが低かった。また、エッチング法による層間絶縁膜17へのコンタクトホール19の形成や層間絶縁膜17上への配線層28の堆積により、STJ素子12に悪影響が与えられ、フォトン検出器11としての特性が劣化することが考えられる。また、基板13上に各種の層が突出して積層されてフォトン検出器11が形成されるため、このフォトン検出器11上にさらに他の素子を立体的に積層して回路の集積度を高めることは難しかった。また、STJ素子12の上部電極16上に吸収層を形成することで、検出するフォトンを選択できるようになるが、上部電極16の直上にある層間絶縁膜17aを除去し、除去した部分に吸収層を形成するのにはさらに多くの作製プロセスが必要とされ、手間がかかった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
超伝導体からなる下部電極、絶縁体からなるトンネルバリア、および超伝導体からなる上部電極が基板上に積層されて構成されるSTJを用いたフォトン検出器において、
下部電極、トンネルバリア、および上部電極から構成されるSTJ素子が、基板の表面に窪んで形成された穴に埋め込まれて形成され、上部電極の表面と基板の表面との高低差が上部電極の厚さ分の範囲内に設定されていることを特徴とする。
従来のSTJを用いたフォトン検出器では、上部電極が基板表面から下部電極およびトンネルバリアの厚さ分離れた高さにあり、上部電極に接触する配線層を形成するのには、STJ素子を覆う層間絶縁膜および上部電極を露出させるコンタクトホールが必要とされた。しかし、本構成によれば、STJ素子が基板の表面に窪んで形成された穴に埋め込まれて形成されることで、上部電極の基板表面からの高さを下部電極およびトンネルバリアの厚さ分以上低くすることが出来る。従って、層間絶縁膜およびコンタクトホールを形成すること無く、上部電極に接触する配線層を基板表面に形成することが出来る。このため、層間絶縁膜およびコンタクトホールを形成する従来の作製プロセス、および層間絶縁膜作製用の装置が不要になり、STJを用いたフォトン検出器の作製プロセスおよび作製装置は大幅に簡略化される。この結果、作製の歩留まりは向上し、作製コストは削減される。また、層間絶縁膜を作製しないので、従来の、層間絶縁膜へのコンタクトホールの形成や層間絶縁膜上への配線層の堆積により、STJ素子に悪影響が与えられることがなく、フォトン検出器としての特性が劣化することは無い。また、基板上に突出すること無くSTJ素子を形成することが出来るため、このSTJ素子から構成されるフォトン検出器上にさらに他の素子を立体的に積層して容易に3次元実装することが出来る。このため、回路の集積度を容易に高めることが可能となり、また、STJを用いたフォトン検出器のアレイ化を容易に行える。
また、本発明は、上部電極の表面と基板の表面とが面一またはほぼ面一に形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、STJ素子の上部電極の表面と基板の表面とが同一またはほぼ同一の高さになるので、STJ素子と基板表面との間に段差が生じ無くなる。このため、STJ素子上に積層する各種の層を平坦に形成することが出来、STJ素子上に他の素子を立体的にさらに形成し易くなる。
また、本発明は、下部電極の一部が前記穴に露出して形成され、下部電極を配線する配線層が前記穴に露出する下部電極の一部に接触して基板の表面側に形成され、上部電極を配線する配線層が上部電極の表面に接触して基板の表面側に形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、下部電極を配線する配線層および上部電極を配線する配線層は、層間絶縁膜を形成すること無く、共に基板の表面側に形成される。このため、基板の片面実装に適したSTJを用いたフォトン検出器が提供される。
また、本発明は、基板の裏面から下部電極に通じる貫通孔が形成され、下部電極を配線する配線層が貫通孔を介して下部電極に接触して基板の裏面側に形成され、上部電極を配線する配線層が上部電極の表面に接触して基板の表面側に形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、下部電極を配線する配線層は、基板の裏面に形成された貫通孔を介して下部電極に接触して基板の裏面側に、上部電極を配線する配線層は、上部電極の表面に接触して基板の表面側に、層間絶縁膜を形成すること無く形成される。従って、基板の表面側には上部電極を配線する配線層だけが形成され、STJ素子は、下部電極を配線する配線層に覆われていた分多く基板表面に露出する。このため、フォトン検出面積が増大し、フォトン検出感度の高いSTJを用いたフォトン検出器が提供される。
また、本発明は、STJ素子が形成された基板の表面に検出対象とするフォトンの種類に応じた材料および厚さからなる吸収層が形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、従来のように、上部電極の直上にある層間絶縁膜を除去して吸収層を形成する作製プロセスを必要とすること無く、様々な材料および様々な厚さの吸収層を容易にSTJ素子上に形成することが出来る。従って、様々な材料および様々な厚さの吸収層をSTJ素子上に形成することで、検出対象とするフォトンの種類を容易に様々に換えることが出来る。このため、広エネルギー帯域のフォトンを検出効率高く測定することが可能なSTJを用いたフォトン検出器が容易に提供される。
本発明によれば、上記のように、STJを用いたフォトン検出器の作製プロセスは大幅に簡略化され、作製の歩留まりは向上し、作製コストは削減される。また、作製プロセスにおいてSTJ素子に悪影響が与えられることがなく、フォトン検出器としての特性が劣化することは無い。また、フォトン検出器上にさらに他の素子を立体的に積層して容易に3次元実装でき、回路の集積度を容易に高めることが可能となり、また、STJを用いたフォトン検出器のアレイ化を容易に行える。
(a)は、STJを用いたフォトン検出器を構成するSTJ素子の模式図、(b)は、STJ素子の電流電圧特性を表すグラフ、(c)は、STJのエネルギーバンド図である。 STJを用いた従来のフォトン検出器の断面斜視図である。 (a)〜(h)は、STJを用いた従来のフォトン検出器をリフトオフ法を用いて作製するプロセスを示す断面図である。 (i)〜(k)は、図3に示すプロセスに引き続いて行われるフォトン検出器の作製プロセスを示す断面図である。 本発明の一実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器の断面図である。 図5に示す一実施の形態によるフォトン検出器をリフトオフ法を用いて作製するプロセスを示す断面図である。 図6に示すプロセスに従って作製したフォトン検出器の顕微鏡写真を模した平面図である。 図6に示すプロセスに従って作製したフォトン検出器を評価するために測定したSTJ素子の電流電圧特性を示すグラフである。 下部電極用配線層を基板の裏面側に形成する一実施の形態の変形例によるSTJを用いたフォトン検出器の断面図である。 (a)は、図9に示すフォトン検出器をアレイ化した基板の断面図、(b)はその平面図である。
次に、本発明によるSTJを用いたフォトン検出器の一実施の形態について説明する。
図5は本実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器31の断面図である。
フォトン検出器31は、STJ素子32が基板33上に形成されて構成されている。STJ素子32は、超伝導体からなる下部電極34、絶縁体からなるトンネルバリアを含む層35、超伝導体からなる上部電極36が、基板33上に積層されて形成されている。本実施の形態でも、下部電極34および上部電極36の超伝導体にはNbが用いられており、厚さはそれぞれ200nmおよび150nmにされている。また、トンネルバリアを含む層35は、Al層の表面が酸化されて、絶縁体であるトンネルバリアを構成するAlO層がAl層の表面に形成され、Al−AlO層として形成されている。ここで、AlO層の厚さは数nmにされている。なお、AlO層の上部にさらにAl層を形成して、フォトンの入射によって生じる2次電子を増幅するトラップ層を構成するようにしてもよい。
本実施の形態によるフォトン検出器31は、STJ素子32が、基板33の表面に矩形状に窪んで形成された穴33aに、埋め込まれて形成されている。そして、STJ素子32を構成する上部電極36の表面と基板33の表面とが面一に形成されている。また、下部電極34の一部が穴33aに露出して形成されている。基板33の左上方表面には、下部電極34を配線するNbからなる下部電極用配線層38が、穴33aに露出する下部電極34の一部に接触して、650nmの厚さに形成されている。また、基板33の右上方表面には、上部電極36を配線するNbからなる上部電極用配線層37が上部電極36の表面に接触して、650nmの厚さに形成されている。
図6(a)〜(h)は、上記の本実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器31をリフトオフ法を用いて作製するプロセスを示す断面図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付して説明する。
フォトン検出器31の作製にあたり、最初に、基板33上にリフトオフ用のフォトレジスト41を形成し、このフォトレジスト41をマスクとするエッチングにより、基板33に穴33aを形成する(図6(a)参照)。次に、基板33およびフォトレジスト41上に、下部電極34となるNb層42、トンネルバリアを含む層35となるAl−AlO層43、および上部電極36となるNb層44を積層する(同図(b)参照)。次に、フォトレジスト41をリフトオフして下部電極34を形成する(同図(c)参照)。引き続き、上部電極加工用のフォトレジスト45を形成し(同図(d)参照)、フォトレジスト45をマスクとするエッチングによりトンネルバリアを含む層35および上部電極36を形成する(同図(e)参照)。
次に、配線層形成用のフォトレジスト46を形成し(同図(f)参照)、配線層47を堆積する(同図(g)参照)。その後、フォトレジスト46をリフトオフして上部電極用配線層37および下部電極用配線層38を形成し(同図(h)参照)、フォトン検出器31の作製を完成させる。
なお、上記の作製プロセスにおいて、薄膜の堆積にはスパッタ法を、加工にはフォトリソグラフィー技術と反応性イオンエッチング(RIE)とを用いた。また、ここではリフトオフ法によってフォトン検出器31を作製する場合について説明しているが、リフトオフ法を用いずにエッチング法によっても同様にしてフォトン検出器31を作製することが出来る。
図7は、上記のプロセスに従って作製したフォトン検出器31の顕微鏡写真を模した平面図である。なお、同図において図5と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
同図に示されるように、基板33にあけられた穴33aに下部電極34が一部露出している。また、上部電極用配線層37が上部電極36の表面に接触して形成され、下部電極用配線層38が、穴33aに露出する下部電極34の一部に接触して形成されている。穴33aの面積すなわちSTJ素子32の面積は50μm×50μmである。また、上部電極36の表面と基板33の表面との間における段差をSTJ素子32の端で触針式段差計で観測した結果、平坦であることが確認された。つまり、上部電極36の表面と基板33の表面とが面一であることが確認された。
作製したフォトン検出器31を評価するため、液体ヘリウム温度(4.2K)においてSTJ素子32の電流電圧特性を測定した。
図8は、この測定結果を示すグラフである。同グラフの横軸は電圧、縦軸は電流を表す。同グラフに示されるように、電圧印加初期時における電流の立ち上がり特性には電圧の増加に対して強い非線形性が現れている。つまり、測定された電流電圧特性にはSTJ特有の特性が現れており、フォトン検出器31の上記の作製方法について、その有効性を確認できた。
従来のSTJを用いた図2や図4(k)に示すフォトン検出器11では、上部電極16が基板13の表面から下部電極14およびトンネルバリアを含む層15の厚さ分離れた高さにあり、上部電極16に接触する配線層18を形成するのには、STJ素子12を覆う層間絶縁膜17および上部電極16を露出させるコンタクトホール19が必要とされた。しかし、本実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器31によれば、STJ素子32が基板33の表面に窪んで形成された穴33aに埋め込まれて形成されることで、上部電極36の基板表面からの高さを下部電極34およびトンネルバリアを含む層35の厚さ分以上低くすることが出来る。従って、層間絶縁膜およびコンタクトホールを形成すること無く、上部電極36に接触する配線層37を基板表面に形成することが出来る。このため、層間絶縁膜17およびコンタクトホール19を形成する従来の作製プロセス、および層間絶縁膜作製用の装置が不要になり、STJを用いたフォトン検出器31の作製プロセスおよび作製装置は大幅に簡略化される。この結果、作製の歩留まりは向上し、作製コストは削減される。
また、層間絶縁膜を作製しないので、従来の、層間絶縁膜17へのコンタクトホール19の形成や層間絶縁膜17上への配線層28の堆積により、STJ素子32に悪影響が与えられることがなく、フォトン検出器としての特性が劣化することは無い。この結果、検出器特性の歩留まりは大幅に向上する。また、基板33上に突出すること無くSTJ素子32を形成することが出来るため、このSTJ素子32から構成されるフォトン検出器31上にさらに他の素子、例えば超伝導素子などを立体的に積層して、様々な超伝導素子などを容易に3次元実装することが出来る。このため、超伝導集積回路などの集積度を容易に高めることが可能となり、また、STJを用いたフォトン検出器31のアレイ化を容易に行える。
また、本実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器31では、STJ素子32の上部電極36の表面と基板33の表面とが同一の高さになるので、STJ素子32と基板33の表面との間に段差が生じ無くなる。このため、STJ素子32上に積層する各種の層を平坦に形成することが出来、STJ素子32上に他の素子を立体的にさらに形成し易くなる。なお、STJ素子32の上部電極36の表面と基板33の表面とは、同一でなく、ほぼ同一の高さでも、同様な作用効果が奏される。
また、上部電極36の表面を、上部電極36の厚さ分まで基板33の表面より高くして形成しても、また、基板33の表面より低く形成しても、層間絶縁膜およびコンタクトホールを形成すること無く、上部電極36に接触する配線層37を基板表面に形成することが出来る。このため、平坦性は低下するが、このような構成によっても、本実施の形態と同様な作用効果が奏される。
また、本実施の形態によるSTJを用いたフォトン検出器31では、下部電極34を配線する配線層38および上部電極36を配線する配線層37は、層間絶縁膜を形成すること無く、共に基板33の表面側に形成される。このため、基板33の片面実装に適したSTJを用いたフォトン検出器31が提供される。
なお、上記の実施の形態では、上記のように、下部電極用配線層38および上部電極用配線層37の双方を基板33の表面側に形成した場合について説明したが、下部電極用配線層38を図9の断面図に示すように、基板33の裏面側に形成するようにしてもよい。なお、同図において図5と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
この変形例によるSTJを用いたフォトン検出器51では、下部電極34a、トンネルバリアを含む層35および上部電極36が同じ面積に形成されており、基板33に矩形状にあけられた穴33bに隙間無くSTJ素子32aが埋め込まれて形成されている。また、基板33の裏面には、下部電極34aに通じる貫通孔52が円筒状に形成されている。この貫通孔52には、導電材料が充填されて、または、その円筒内周部に導電材料がメッキ処理されて、図示しない貫通電極が形成される。また、基板33とは別個に配線用基板53が用意され、配線用基板53の表面に下部電極34aを配線する配線層38aが形成される。配線用基板53は、配線層38aの端部が貫通孔52に形成される貫通電極に接触するように、基板33の裏面に貼り合わされる。このため、配線用基板53の表面に形成された下部電極用配線層38aは、貫通孔52を介して下部電極34aに接触して、基板33の裏面側に形成される。
上部電極36を配線する配線層37は、図5に示すフォトン検出器31と同様に、上部電極36の表面に接触して基板33の表面側に形成される。また、本変形例では、STJ素子32aが形成された基板33の表面に、検出対象とするフォトンの種類に応じた材料および厚さからなる吸収層54が形成される。なお、ここでは吸収層54が絶縁材料から成り、配線層37に接触して形成されている場合を図示しているが、吸収層54が金属等の導電材料から成る場合には、配線層37は必要なく、吸収層54を配線層37の代わりとして置き換え、吸収層54によって上部電極36を配線するように構成してもよい。
本変形例によれば、上記のように、下部電極34aを配線する配線層38aは、基板33の裏面に形成された貫通孔52を介して下部電極34aに接触して基板33の裏面側に、上部電極36を配線する配線層37は、上部電極36の表面に接触して基板33の表面側に、層間絶縁膜を形成すること無く形成される。従って、基板33の表面側には上部電極36を配線する配線層37だけが形成され、STJ素子32aは、図5に示すように下部電極34を配線する配線層38に覆われていた分、多く、基板33の表面に露出する。このため、フォトン検出面積が増大し、フォトン検出感度の高いSTJを用いたフォトン検出器51が提供される。
また、本変形例によれば、従来のように、上部電極16の直上にある層間絶縁膜17a(図4(k)参照)を除去して吸収層を形成する作製プロセスを必要とすること無く、様々な材料および様々な厚さの吸収層54を容易にSTJ素子32a上に形成することが出来る。従って、様々な材料および様々な厚さの吸収層54をSTJ素子32a上に形成することで、検出対象とするフォトンの種類を容易に様々に換えることが出来る。このため、広エネルギー帯域のフォトンを検出効率高く測定することが可能なSTJを用いたフォトン検出器51が容易に提供される。
図10(a)は、図9に示すフォトン検出器51をアレイ化した基板33の断面図、同図(b)はその平面図である。なお、同図において図9と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
この基板33の裏面には、下部電極用配線層38aが所定パターンで形成された配線用基板53が貼り合わされ、各下部電極34aが配線層38aによって配線される。また、各上部電極36は上部電極用配線層37によって接続されて、配線されている。
このようにフォトン検出器51をアレイ化することで、フォトン検出面積は広大になり、フォトン検出効率は極めて高くなる。また、入射するフォトンの位置を各STJ素子32aによって検知することが出来るので、イメージング(画像化)にも適用することが出来る。
なお、図5に示すフォトン検出器31においても、図9および図10に示すフォトン検出器51と同様に、様々な材料および様々な厚さの吸収層54を基板33上に形成することで、検出対象とするフォトンの種類を容易に様々に換えることが出来る。
また、上記の実施の形態および変形例においては、下部電極34,34aおよび上部電極36を形成する超伝導体がNb、トンネルバリアを形成する絶縁体がAlOからなる場合について説明したが、超伝導体や絶縁体の材料はこれに限定されることはない。例えば、超伝導体としてTa,Alなど、絶縁体としてMgO,AlNなどを用いてもよく、これらの材料を用いた場合においても、上記の実施の形態および変形例と同様な作用効果が奏される。
本実施の形態のSTJを用いたフォトン検出器31,51は、前述したように優れたエネルギー分解能を有するため、X線の回折結果を解析して結晶内部で原子がどのように配列しているかなどの組成分析をするX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)に用いることができる。つまり、X線を結晶に照射すると、ブラッグの法則を満たした方向にのみX線が回折されるが、この回折結果生じる、結晶構造を反映したパターンの検出に、フォトン検出器31,51を用いることができる。
また、エネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)装置にも、用いることができる。つまり、電子線やX線などの一次線を物体に照射した際に発生する特性X線もしくは蛍光X線をフォトン検出器31,51にて検出し、そのエネルギーと強度から、物体を構成する元素と濃度を調べることができる。従って、例えば、半導体製造工場で、薄膜中に含まれる不純物を特定することができ、元素のスクリーニングをすることができる。このスクリーニング結果を半導体製造ラインへフィードバックすることで、半導体製造の生産性と信頼性を向上させることができる。
また、未知の天体から飛来する光や宇宙線のエネルギースペクトルを観測したり、医学分野でのレントゲン撮影などにも用いることができ、工学、理学、医学などの幅広い分野で利用することができる。
31、51…フォトン検出器
32、32a…STJ(超伝導トンネル接合)素子
33…基板
33a、33b…穴
34、34a…下部電極
35…トンネルバリアを含む層
36…上部電極
37…上部電極用配線層
38,38a…下部電極用配線層
52…貫通孔
53…配線用基板
54…吸収層

Claims (5)

  1. 超伝導体からなる下部電極、絶縁体からなるトンネルバリア、および超伝導体からなる上部電極が基板上に積層されて構成される超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器において、
    前記下部電極、前記トンネルバリア、および前記上部電極から構成される超伝導トンネル接合素子が、前記基板の表面に窪んで形成された穴に埋め込まれて形成され、前記上部電極の表面と前記基板の表面との高低差が前記上部電極の厚さ分の範囲内に設定されていることを特徴とする超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器。
  2. 前記上部電極の表面と前記基板の表面とが面一またはほぼ面一に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器。
  3. 前記下部電極はその一部が前記穴に露出して形成され、前記下部電極を配線する配線層は前記穴に露出する前記下部電極の一部に接触して前記基板の表面側に形成され、前記上部電極を配線する配線層は前記上部電極の表面に接触して前記基板の表面側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器。
  4. 前記基板の裏面から前記下部電極に通じる貫通孔が形成され、前記下部電極を配線する配線層は前記貫通孔を介して前記下部電極に接触して前記基板の裏面側に形成され、前記上部電極を配線する配線層は前記上部電極の表面に接触して前記基板の表面側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器。
  5. 前記超伝導トンネル接合素子が形成された前記基板の表面に検出対象とするフォトンの種類に応じた材料および厚さからなる吸収層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超伝導トンネル接合を用いたフォトン検出器。
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