JP5966478B2 - 発泡性積層体及び発泡加工紙ならびにそれを用いた断熱容器 - Google Patents

発泡性積層体及び発泡加工紙ならびにそれを用いた断熱容器 Download PDF

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Description

本発明は、発泡性積層体及び発泡加工紙ならびにそれを用いた断熱容器に関し、さらに詳しくは、加熱発泡後の発泡性積層体の発泡表面の平滑性が優れ、発泡層が厚く、優れた断熱性を示すと共に、発泡外観及び賦形時のヒートシール性が良好であり、経済性に優れた発泡性積層体及び発泡加工紙ならびにそれを用いた断熱容器に関する。
従来から、温飲料用カップ、即席麺用容器等の断熱性を有する容器として、発泡ポリスチレン製等の容器が多く使用されていたが、発泡ポリスチレン容器は、廃棄時の環境への負荷が高い、印刷適性に劣るなどの欠点があり、他の素材への代替が検討されている。
そこで、上記問題点を解消するために、以下のような種々の提案がなされている。
水分を含んだ紙基材の少なくとも一面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、加熱することにより、基材に含まれている水分を利用して合成樹脂フィルムを凹凸に発泡させる技術が考案された(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかし、このようにして得られる材料は、発泡層の厚みが薄く、断熱性が不十分であった。
また、発泡層の厚い発泡体を得る方法として、原紙に合成樹脂フィルムを積層したシートを加熱し、原紙に含有する水分を用いて合成樹脂フィルムを発泡させて発泡セル群からなる発泡面を形成し、該発泡面の少なくとも一部を真空吸引して発泡セルの発泡高さを高める方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、上記の真空吸引による方法は、真空吸引のための装置及び工程が必要であり、コストの面で問題があった。
また、容器胴部材及び底板部材からなり、容器胴部材及び底板部材の原紙の内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあると共に容器胴部材の原紙の外壁面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあり、この低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを加熱処理して発泡してある断熱性紙製容器が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
しかし、上記の内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートする断熱性紙製容器では、発泡時にセルの成長を制御できないため、発泡時に発泡層の表面に大きな凸部が発生する、発泡セルの結合や破泡、冷却時の発泡セルの収縮等により表面に大きな凹部が生じる等の理由により、表面外観が悪化しやすいといった問題があった。
また、底板部材と胴部材とからなる紙製容器において、前記胴部材の少なくとも一方の壁面に、紙の表面側から低融点の熱可塑性樹脂の発泡内層と該熱可塑性樹脂の融点よりも例えば5℃より高い融点を有する熱可塑性樹脂の非発泡外層とからなる2層構造断熱膜が被着されてなる断熱性を有する紙製容器が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、上記の紙製容器では、発泡層の厚みが薄く、断熱性が不十分であった。また、発泡性を向上させようとして、MFRを高くすると、発泡層の外観が不良となることや、押出ラミネート加工時の加工性が不安定となる等の問題があった。
また、発泡外観の平滑性が良好な発泡層を得る手法として、上記の断熱容器の発泡層が少なくとも2層であり、(A)層/(B)層/基材層を含む積層体であって、(A)層が(B)層よりも格段に高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる断熱容器が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかし、上記の断熱容器では、高い融点を有する樹脂を最表面層に用いていることから、(A)層が発泡時に伸縮せず発泡浮きが発生するといった問題点や、賦形時にヒートシール性が低下するなどの問題点があった。
以上のとおり、最表面層に内層よりも融点が格段に高く、層間の融点の差が大きい熱可塑性樹脂を用いる方法では、いずれも、表面平滑性に問題が生じていた。また異なる性質の樹脂を積層することで、加工安定性を確保するのが難しいという問題があった。
したがって、熱可塑性樹脂からなり、発泡層の厚みが厚く、断熱性に優れる上に、発泡表面外観が優れ、加工性が良好な発泡加工紙及びこれを用いた断熱容器を、加工安定性を担保しつつ、工程数を増加させずに、省コストで製造できる発泡性積層体が求められていた。
特公昭48−32283号公報 特開昭57−110439号公報 特開2001−270571号公報 特開2004−58534号公報 特開2007−217024号公報 特開平05−42929号公報 特開2010−46881号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、発泡後の発泡加工紙表面の平滑性が優れ、発泡層が厚く、優れた断熱性を示すと共に、発泡外観及び賦形時のヒートシール性が良好であり、加工安定性に優れ、経済性に優れた発泡性積層体及びそれを用いた発泡加工紙並びに断熱容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも、発泡表面を形成する側の発泡性樹脂層を、少なくとも、外側の表面層(A層)と内側の樹脂層(B層)の二層以上で構成し、これらの表面層(A層)と樹脂層(B層)を同一のポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物でもって形成させ、さらに樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)との関係を(dB)>(dA)とすることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、紙を主成分とする基材層(X)の一方の面に発泡性樹脂層(Y)、他方の面に非発泡樹脂層(Z)を積層してなる発泡性積層体であって、発泡性樹脂層(Y)は、基材側の樹脂層(B)および表面側の表面層(A)を含む少なくとも2層の積層構造からなり、樹脂層(B)および表面層(A)は、同一のポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成され、樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)との関係は、(dB)>(dA)である、ことを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)が30μm以上であることを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、表面層(A)は、発泡前の積層時厚み(dA)が1μm以上30μm未満であることを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、発泡性樹脂層(Y)に用いられるポリエチレン系樹脂は、JIS K6922−2:2005に準拠して測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が、3〜25g/10分であることを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、発泡性樹脂層(Y)に用いられるポリエチレン系樹脂は、JIS K6922−2:2005に準拠して測定された溶融温度(T)が、95〜110℃であることを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、発泡性樹脂層(Y)に用いられる樹脂組成物は、高圧法低密度ポリエチレン50〜99重量%および他のポリオレフィン1〜50重量%を含有することを特徴とする発泡性積層体が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る発泡性積層体を用いて、表面層(A)が外側となるような容器形状に成形した後、加熱して表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて得られることを特徴とする断熱容器が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて形成された発泡セルの合計高さが、800μm以上であることを特徴とするが提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る発泡性積層体を用いて、加熱して表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて得られることを特徴とする発泡加工紙が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて形成された発泡セルの合計高さが、800μm以上であることを特徴とする発泡加工紙が提供される。
本発明の発泡性積層体、発泡加工紙及び断熱容器は、優れた断熱性を示すと共に、発泡層表面に優れた平滑性を有し表面外観が良好な発泡性積層体であるとともに、賦形時のヒートシール性が良好である。しかも、加工安定性に優れ、工程数を増加させずに製造できるため、経済性に優れるという効果がある。
図1は、本発明の発泡性積層体の層構成の一例を示す概略図である。
本発明の発泡性積層体は、紙を主成分とする基材層(X)の一方の面に発泡性樹脂層(Y)、他方の面に非発泡樹脂層(Z)を積層してなるものであって、発泡性樹脂層(Y)は、基材側の樹脂層(B)および表面側の表面層(A)を含む少なくとも2層の積層構造とし、樹脂層(B)および表面層(A)は、同一のポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成され、さらに樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)との関係を(dB)>(dA)とすることを特徴とする。
また、本発明の発泡加工紙及び断熱容器は、上記発泡性積層体を用いて、そのまま或いは容器形状に成形した後、加熱して表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて得られることを特徴とする。
以下、本発明の発泡性積層体に用いられる各材料、発泡性積層体の層構成及び原料樹脂などについて、項目ごとに詳細に説明する。
1.発泡性積層体の構成層
(1)基材層(X)
本発明の積層体を構成する基材層(X)は、紙を主成分とする基材層である。
ここで、本発明において紙を主体とする基材層とは、(i)紙、(ii)予め、加熱により揮発性ガスを発生する物質を紙にコーティングしたもの、または紙と発泡性樹脂層(Y)間に加熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングしたもの、あるいは(iii)紙を主体とする基材層中へ加熱により揮発性ガスを発生する物質を配合したものの、いずれかを意味する。
上記した(i)の基材としては、上質紙、クラフト紙、カップ原紙、アート紙、再生紙、合成紙、樹脂とゼオライト、炭酸カルシウム等の無機物を含有するシート等が挙げられる。
本発明においては、基材層に含まれる水分は、加熱により表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させるのに役立つ。水分量は特に限定されないが、水分量が3〜12wt%の場合は、発泡倍率を向上させることができる上に、積層体外観にも優れるために特に好ましい。
このような本発明の積層体を構成する基材層として、上質紙、クラフト紙などの天然パルプを主成分とする紙(以下、単に紙と略す)、合成繊維或は合成樹脂フィルムを擬紙化した所謂合成紙、発泡シート、ゼオライトなどの多孔性無機物からなるシートなどを例示することができ、基材中に含まれる水分量の調整が比較的容易なことから紙が好ましい。
基材に紙を使用する場合、水分量の調節が容易なことから、坪量は150〜500g/m、より好ましくは200〜400g/mであることが好ましい。
また、(ii)の基材としては、紙に溶剤系インキや水溶性のインキ、塗料、接着剤をコーティングした基材層等が挙げられる。例えば特開2000−238225号公報等にみられるように、基材層と発泡性樹脂層(B)間に発泡性物質を添加した接着剤層を設ければ、加熱によって発生する発泡性物質から発生する揮発性ガスによって、発泡性樹脂層(B)の発泡を促進させることが可能である。
また、(iii)の基材としては、基材層中に揮発性ガスを発生する物質としての無機または有機の発泡剤、含水ポリマー、発泡剤内包のマイクロカプセル等が配合された基材層であって、例えば特開2002−145239号公報等にみられるように、抄紙工程において熱発泡性の発泡剤を添加して抄紙した紙、あるいは紙に発泡剤を内包するマイクロカプセル、含水させた吸水性ポリマー等を配合した基材層等などが挙げられる。
なお、本発明においては、発泡性樹脂層(B)は、主に、紙に含まれる水分から発生する水蒸気の作用によって発泡するため、上記基材層中に揮発性ガスを発生する物質としては特に限定されない。
さらに、紙を主体とする基材層には、従来公知の技術により着色インキなどで印刷されていてもかまわない。例えば、パルプ紙や合成紙等の紙にインクなどで絵や文字、模様などを印刷することもできる。
(2)発泡性樹脂層(Y)
本発明の発泡性樹脂層(Y)は、基材層(X)の一方の面上に直接に形成され、基材側の樹脂層(B)と表面側の表面層(A)からなる少なくと2層の積層構造を示す。
本発明において、最も重要なことは、樹脂層(B)と表面層(A)とは、同一のポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成されることである。
前記した従来技術である特許文献では、発泡性樹脂層(B)の上に積層する表面層(A)に用いるポリエチレン樹脂Aとしては、通常、溶融温度が発泡性樹脂層(B)に用いるポリエチレン系樹脂Bより格段に高く、溶融温度の差が大きい樹脂を用いていたが、異種の樹脂を積層しているため、加工安定性に欠ける問題があった。本発明では、これら問題を解決すべく種々樹脂の組み合わせ等を検討している中、意外にも、発泡性樹脂層(B)に用いるポリエチレン系樹脂Bと、溶融温度もMFR等の物性も同一のポリエチレン系樹脂を、表面層(A)のポリエチレン系樹脂Aとして用いても、従来問題だった発泡層表面の平滑性が優れることを見出し、かつ成形加工安定性にも優れた積層体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明では、表面層(A)を形成するポリエチレン系樹脂Aとして、基材側の樹脂層(B)のポリエチレン系樹脂Bと同一の樹脂、すなわち、同一の融点と溶融粘度(すなわちMFRが同一)を有する樹脂を用いること、言い換えれば、基材層の一方の面に設ける発泡性樹脂層を同一の樹脂を含有する二層積層構造とすることにより、上記問題点等が解消される。
また、樹脂層(B)と表面層(A)に同一の発泡性のポリエチレン系樹脂を用いるのにもかかわらず、表面の平滑性が優れる理由については、表面層(A)を加工する際の押出機での熱履歴が発泡層(B)の条件よりも厳しいため、積層後の表面層(A)の樹脂粘度が若干高めになる。そのため、後の加熱発泡工程に供した際に表面層(A)がセル成長を抑制し、表面の凹凸が減少し、表面平滑性を向上することができると考えられる。この効果は、特に表面層(A)の積層時厚み(dA)が樹脂層(B)の積層時厚み(dB)に比べて小さいほど(積層厚さが薄いほど、積層時に受ける熱履歴が高くなる)、表面平滑性が優れることからも推認される。
(2−1)表面層(A)及び樹脂層(B)
本発明は、その一つの特徴として、基材層の一方の面に設けられる発泡性樹脂層(Y)が、基材側の樹脂層(B)と表面側の表面層(A)を含む少なくとも2層の積層構造からなり、樹脂層(B)と表面層(A)は、同一のポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成されてなることを特徴とする。
本願発明でいう同一の樹脂とは、少なくとも溶融温度及びMFR(メルトマスフローレイト)が同一である樹脂をいう。好ましくは、他の物性値も全く同じ物性値を有する樹脂であることが好ましく、更に好ましくは、同じ触媒により同じ製造方法により得られる樹脂を用いる。このように同一の樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成されてなる2層の積層構造で形成することにより、異種の樹脂を積層する従来の方法に比べて格段に成形加工安定性が優れる。
ポリエチレン系樹脂の溶融温度は90℃〜120℃、より好ましくは95℃〜110℃の範囲であると、発泡性及びヒートシール性が良好になる。ポリエチレン系樹脂の溶融温度、T(℃)は、JIS K6922−2:2005に準拠し測定される。
なお、ヒートシール性とは、樹脂コート面同士を熱で封緘することであり、ヒートシール性が良好である場合、カップの蓋部分の賦形が容易になり、型崩れしにくくなる。
さらに、本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレイト(g/10min)は、いずれも、JIS K6922−2:2005に準拠して測定したものである。
ポリエチレン系樹脂のMFRが1〜100g/10分、より好ましくは3〜50g/
10分の範囲、特に好ましくは3〜25g/10分の範囲であると、発泡性に優れ、積層体を成形する際に加工が容易になり、表面平滑性が向上するため好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂の密度は、発泡性に優れるため、870〜935kg/mであることが好ましく、より好ましくは890〜930kg/mの範囲である。
上記の要件を満たす本発明のポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられるが、特に高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
特に高圧法低密度ポリエチレンをポリエチレン系樹脂として使用し、表面層(A)又は樹脂層(B)の樹脂組成物の主成分として含有した場合、発泡成長を抑制せず、発泡倍率を向上させることができ、表面平滑性に優れるため好ましい。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体Aに用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。
また、本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
また、本発明の樹脂層(B)又は表面層(A)を構成する樹脂組成物は、上記同一のポリエチレン系樹脂を主成分(50重量%超〜100重量%)とすることを必要とし、好ましくは70重量%以上含むこと、更に好ましくは、上記同一のポリエチレン系樹脂のみで層を構成することが挙げられるが、さらに他のポリオレフィンを1重量%以上50重量%未満、好ましくは3重量%以上30重量%以下配合してもよい。このときの混合比率は、高圧法低密度ポリエチレンが50〜99重量%、他のポリオレフィンBが1〜50重量%であることが好ましい。
他のポリオレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体B、ポリプロピ
レン、ポリブテンなどが挙げられ、発泡性に優れることから、密度が850kg/m以上920kg/m未満のエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂に他のポリオレフィンを混合する場合は、例えば、高圧法低密度ポリエチレンのペレットと他のポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。そして、溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点〜200℃程度が好ましい。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂A及びポリエチレン系樹脂Bには、さらに、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
(2−2)表面層(A)及び樹脂層(B)の積層時厚み
本発明においては、樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)との関係を(dB)>(dA)とすることが重要である。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂Aを用いた表面層(A)の積層時厚み(dA)は、良好な発泡厚みと発泡外観を得るために、1〜30μm未満が好ましい。A層の厚みが1μm未満では、積層体表面の平滑性が損なわれる恐れがあるため好ましくなく、30μm以上であるとB層の発泡倍率が損なわれる恐れがあるため好ましくない。
一方、本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂Bを用いた発泡性樹脂層(B)の積層時厚み(dB)は、発泡前の積層時厚みとして30μm以上が好ましく、45μm以上がより好ましい。
また、樹脂層(B)と表面層(A)を合わせた発泡性樹脂層の、加熱発泡後の厚みは、良好な断熱性を得るために、800μm以上が好ましい。
特に本発明の樹脂層(B)と表面層(A)の厚みの関係は、前記樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、前記表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)の関係が、(dB)>(dA)であると、好ましい。
樹脂層(B)の積層時厚み(dB)に比して表面層(A)の積層時厚み(dA)が薄い場合には、同一の積層条件、例えば同一の押出条件を用いても、表面層(A)の方が積層時に受ける熱履歴が高いため、発泡後の表面の平滑性に優れるという効果を奏することができる。更に好ましくは、(dA)/(dB)の値として、0.01〜0.8、好ましくは0.05〜0.7の範囲が好ましい。
(2−3)表面層(A)及び樹脂層(B)の形成
本発明の樹脂層(B)及び表面層(A)の積層方法としては、任意の積層方法を取りうるが、基材層の上に、ポリエチレン系樹脂Bとポリエチレン系樹脂Aを、同時に共押出する方法や、基材層の上にまず樹脂層(B)を押出しラミネートした後に、表面層(A)を押出しラミネートし積層する方法のいずれもとりうることができる。
押出しラミネート法における樹脂の温度は、260〜350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は、10〜50℃の範囲が好ましい。
本発明の応用としては、表面層(A)の積層後の樹脂粘度を高くする方法として、表面層(A)の積層時の熱履歴を大きくする方法、すなわち、押出機の押出温度を高くする方法、せん断発熱を大きくする方法、スクリュー回転数を小さくし押出機内における滞留時間を長くする方法等も挙げられる。
(3)非発泡樹脂層(Z)
本発明の積層体を構成する基材層の他方の基材壁面には、従来公知の技術により、非発泡樹脂層(Z)を形成、積層することが必要である。つまり、ポリエチレン系樹脂Bを含有する発泡性樹脂層(B)とポリエチレン系樹脂Aを含有する表面層(A)とを、基材層/発泡性樹脂層(B)/表面層(A)の順に積層し、前記基材層の他方の面に、非発泡樹脂層(Z)を積層する。そのため、発泡樹脂層(Y)が2層の積層構造であるときは、本発明の積層体の層構成は、非発泡樹脂層(Z)/基材層(X)/発泡性樹脂層(B)/表面層(A)となりうる。
非発泡樹脂層(Z)に用いる材料であるポリエチレン系樹脂Cとしては、高圧法低密度ポリエチレンC、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げることができる。
ポリエチレン系樹脂CのMFRは、2〜10g/10分の範囲であると、加工性に優れるため好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂Cの密度は、非発泡層であるため、930〜950kg/mであることが好ましい。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂Cには、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
さらに、ポリエチレン系樹脂Cには、他のポリオレフィンCを混合してもかまわない。
ポリエチレン系樹脂Cに混合されるポリオレフィンCとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体C、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられ、加工性、非発泡からMFRが4〜100g/10分の範囲、密度が920〜935kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体Cが好ましい。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体Cに用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
さらに、このようなエチレン・α−オレフィン共重合体Cを得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができ、このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂Cに他のポリオレフィンCを混合する時は、ポリエチレン系樹脂Cである例えば高圧法低密度ポリエチレンCのペレットと他のポリオレフィンCのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂Cの融点〜300℃程度が好ましい。
(4)その他の層
本発明の発泡性積層体においては、本発明の効果を損なわない範囲において、前記積層体の層間または最外層の一部または全部に、他の層があっても良い。すなわち、基材層(X)と発泡性樹脂層(Y)、または、さらに非発泡樹脂層(Z)を設けた積層体の内及び/又は外層、あるいは該層間に一層または複数層のフィルム層、装飾層、補強層、接着剤層、バリア層等を設けてもよい。
例えば、断熱容器に形成した際の外側から、{表面層(A)/発泡性樹脂層(B)/基材層/ポリエチレン系樹脂層/バリア層/接着層/非発泡樹脂層(Z)}のような層構成とすることができる。
上記装飾層としては、印刷された紙、フィルム、不織布、織布等が挙げられる。
また補強層とは、基材層に積層された発泡性樹脂層(B)が加熱によって発泡されるときに発泡層が破裂しないように、発泡性樹脂層(B)の外層にポリエチレン樹脂フィルムなどを積層して発泡層の過度の発泡による破裂防止や、不ぞろいの発泡セルを均一に矯正する、あるいはフィルム、不織布等を積層して、機械的強度を持たせるなどの役割を果たすものである。樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等でよい。
また、接着剤層を形成する樹脂としては、エチレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸等をグラフトした変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ホットメルト、通常の接着剤等が挙げられる。
また、バリア層を形成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等の無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着等の金属蒸着フィルム、金属箔等が挙げられる。
また、必要に応じて各層のいずれかに印刷等を施しても良い。印刷は、部分的または全面的に着色インキで印刷してもよい。また、必要に応じて発泡性インキを使用して、部分的または全面的に発泡部位を設けてもよい。印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択して用いることができる。
2.積層体の製造
本発明の積層体の製造方法としては、ポリエチレン系樹脂A及びポリエチレン系樹脂Bを基材に共押出ラミネート加工し得る方法、また、ポリエチレン系樹脂Bをラミネートした後、ポリエチレン系樹脂Aをラミネートするタンデムラミネート加工し得る方法が例示できる。また、シングルラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は260〜350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10〜50℃の範囲が好ましい。
押出ラミネート加工において、基材にコロナ処理を施した場合、基材との接着性に優れることから好ましい。また、必要に応じて、基材層の接着面に対してオゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
3.発泡加工紙及び断熱容器
本発明の積層体を発泡させることにより本発明の発泡加工紙及び断熱容器を得ることができる。なお、本発明の断熱容器は、上記積層体を用いて容器を形成した後、該容器を加熱等により、表面層(A)及び発泡性樹脂層(B)を発泡させて得ることができる
すなわち、本発明の発泡加工紙及び断熱容器は、本発明の発泡性積層体を用いて、そのまま或いは容器形状に成形した後、加熱して表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて得られる。
この際の加熱方法としては、特に制限はないが、熱風、電熱、マイクロ波、高周波、赤外線、遠赤外線等の電子線の他、高温の物体を内填して充填物の熱を利用するなど、任意の手段を使用できる。加熱は、オーブン内で回分式に行う手法、コンベアなどにより連続的に行う手法などにより行うことができる。
加熱温度や加熱時間は、使用する基材および樹脂の種類に依存して変化するが、一般的に加熱温度は110℃〜130℃であり、加熱時間は2分間〜10分間である。加熱温度が110℃未満、加熱時間が2分間未満であると、十分な高さの発泡セルが得られない場合がある。一方、加熱温度が130℃を超え、あるいは加熱時間が10分間を超えるような加熱過多の場合においては、発泡セルのへたりや均一性が損なわれるおそれがある。
表面層(A)、発泡性樹脂層(B)を発泡させて形成された発泡セルの高さは、800μm以上、好ましくは1000μm以上である。発泡セルの高さが800μm未満であると、十分な断熱性が得られないおそれがある。
本発明の断熱容器の製造方法の一例として、カップ状断熱容器の製造方法を以下に挙げる。
まず、本発明の発泡性積層体を、ロール巻き原反もしくは連続的に繰り出して、該発泡性積層体から胴部材用ブランクと底板部材用ブランクを打ち抜きし、常用のカップ成型機で胴部材と底板部材を接合させてカップ状等に成型した後、回分式あるいは転送するベルトコンベヤーに輸送して熱風、マイクロ波、高周波、赤外線、遠赤外線等の照射手段を具備する加熱炉、オーブントンネル等で加熱発泡して断熱容器が成形される。
本発明の発泡加工紙や断熱容器は、コーヒー、スープなどの高温飲料用の紙容器、インスタントラーメンなどの即席食品用の容器等、断熱性を求められると同時に、印刷外観の意匠性が求められる容器に特に好適に使用される。
上記発泡加工紙は、断熱容器の断熱・保温材料としてはもちろんのこと、緩衝材料、遮音材料、発泡紙等としても用いられ、スリーブ材、紙皿、トレー、滑り止め材、果物の包装材、発泡紙等の農業用、産業用、生活用資材等として活用することができる。
また、本発明の断熱容器は、トレー及びカップなどとして使用することができる。用途としては、ホット飲料容器、カップスープ容器、カップ味噌汁容器、カップ麺容器、納豆容器、弁当容器、コーヒーカップ容器等が例示される。
以下において、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例との対照において説明し、本発明の構成の要件の合理性と有意性を実証する。
なお、各実施例及び比較例において、用いた重合体の各物性の評価方法を以下に示す。
1.評価方法
(1)メルトマスフローレイト(MFR)
MFRは、JIS K6922−2:2005に準拠して測定した。
(2)密度
JIS K7112に準拠して、測定した。
(3)融点(溶融温度)
JIS K6922−2:2005に準拠し、測定した。
測定は、下記の条件で、第一昇温、降温、第二昇温の手順で実施し、第二昇温の最高ピーク高さの温度を融点(溶融温度)とした。
(a)装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC7020
(b)昇降温条件:
第一昇温:30℃から200℃までを10℃/分
降温:200℃から20℃までを10℃/分
第二昇温:20℃から200℃までを10℃/分
(c)温度保持時間:第一昇温後5分間、降温後5分
(d)サンプル量:5mg
(e)リファレンス:アルミニウム
(f)雰囲気:N 50mL/min
(4)基材の水分量
実施例により得られた発泡前の積層体を10cm×10cmに切り出し、50℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH−102型 エスペック製)に1週間保管し、重量変化が見られなくなったサンプルから重量減少量を計算し、水分量を求めた。
(5)発泡層の厚み
実施例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、115℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH−102型 エスペック製)中で360秒間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。発泡後の積層体をサンプル取りし、発泡後の積層体の断面をハイブリッドデジタルマイクロウオッチャー(スカラ社製、HDM−2100)により断面写真を撮影した。断面写真から発泡層の厚みを測定し、10箇所で測定した平均の発泡層((A)層)の厚みを発泡層厚みとした。
(6)表面平滑性
実施例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、115℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH−102型 エスペック製)中で360秒間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。得られた発泡体の表面の平滑性を目視で測定した。
目視での表面平滑性は、下記の評価基準で行った。
目視での表面平滑性評価:平滑性良好:○、やや平滑:△、表面凹凸多:×
(7)グロス
実施例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、115℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH−102型 エスペック製)中で360秒間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。得られた発泡体の表面の平滑性をデジタル変角光沢計(UGV−4D、スガ試験機(株)、受光角60°、反射角60°、標準91.2°)で測定した。グロスが大きいほど平滑性が良好であり、小さいほど表面凹凸が多い。
(8)成形加工性
ラミネート成形加工時の製膜性の安定具合を目視により測定し、以下のとおり評価した。
目視での成形加工性評価:製膜性良好:○、製膜性不安定:×
2.使用樹脂材料
(イ)ポリエチレン系樹脂(イ)
MFRが14g/10分、密度が918kg/m、溶融温度が106℃の高圧法低密度ポリエチレン
(ロ)ポリエチレン系樹脂(ロ):
MFRが20g/10分、密度が918kg/m、溶融温度が106℃の高圧法低密度ポリエチレン
(ハ)ポリエチレン系樹脂(ハ):
MFRが4g/10分、密度が918kg/m、溶融温度が106℃の高圧法低密度ポリエチレン
(ニ)ポリエチレン系樹脂(ニ):
MFRが6g/10分、密度が942kg/m、溶融温度が130℃の中密度ポリエチレン
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂A及びポリエチレン系樹脂Bとして、MFRが14g/10分、密度が918kg/m、溶融温度が106℃である高圧法低密度ポリエチレン(イ)を使用した。以下、(A)層に使用した(イ)を(A1)、(B)層に使用した(イ)を(B1)と記載する。
また上記樹脂層に対し、紙の逆側には非発泡のポリエチレン系樹脂(C)として、MFRが6g/10分、密度が942kg/m、溶融温度が130℃である中密度ポリエチレン(ハ)を使用した。以下、(C)層に使用した(ニ)を(C1)と記載する。
まず、(C1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(住友重機械モダン株式会社製)へ供給し、樹脂温度320℃でTダイより押し出し、コロナ処理を行った水分量が約5.5%、坪量320g/mである紙基材上に引き取り速度が100m/分、エアギャップ長さが120mmで40μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。
さらに、(A1)を直径65mmφのスクリューを有する単軸押出機(住友重機械モダン株式会社製)に、(B1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機(住友重機械モダン株式会社製)へと供給し、樹脂温度320℃、50m/分の引き取り速度、120mmのエアギャップ長さで、(A1)の厚みが5μm、(B1)の厚みが65μmとなるように上記積層体の(C1)の樹脂層に対する基材層の裏側にコロナ処理を行い、共押出ラミネートで、高圧法低密度ポリエチレン(A1)、(B1)、紙基材、ポリエチレン系樹脂(C1)の順に積層されてなる積層体を得た。濡れ性向上のため、表面層(A)側にコロナ処理を行った。
この積層体を115℃にて6分間加熱して発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表1に示す。表面平滑性はやや平滑、発泡層高さ、成形加工性ともに良好であった。
(実施例2)
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが10μm、(B1)の厚みが60μmとした以外は同様の手法により積層体を得た。この積層体を加熱して発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。結果を表1に示す。表面平滑性、発泡層高さ、成形加工性ともに良好であった。
(実施例3)
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが20μm、(B1)の厚みが50μmとした以外は同様の手法により積層体を得た。この積層体を加熱して発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。結果を表1に示す。表面平滑性、発泡層高さ、成形加工性ともに良好であった。
(比較例1)
(B1)層の厚みを70μmとし、90mmφのスクリューを有する単軸押出機(住友重機械モダン株式会社製)のみのシングルラミネートで成形を行った以外は実施例1と同様に、積層体を発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表2に示す。発泡層高さ、成形加工性は良好だが、発泡表面外観には凹凸が見られ、不十分であった。
(比較例2)
(B)層に(ロ)を用いた以外は、比較例1と同様に、ラミネート形成を行った後、積層体を発泡させ発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表2に示す。発泡層高さ、成形加工性は良好だが、発泡表面外観には凹凸が見られ、不十分であった。
(比較例3)
(A)層に(ロ)、(B)層に(イ)を用いた以外は実施例1と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表2に示す。発泡層高さ、成形加工性は良好だが、発泡表面外観には凹凸が見られ、不十分であった。
(比較例4)
(A)層に(ロ)、(B)層に(イ)を用いた以外は実施例2と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表2に示す。発泡層高さ、成形加工性は良好だが、発泡表面外観には凹凸が見られ、不十分であった。
(比較例5)
(A)層に(ロ)、(B)層に(イ)を用いた以外は実施例3と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。発泡性評価の結果を表2に示す。発泡層高さ、成形加工性は良好だが、発泡表面外観には凹凸が見られ、不十分であった。
(比較例6)
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが40μm、(B1
)の厚みが30μmとした以外は同様の手法により積層体を得た。この積層体を加熱して発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。結果を表2に示す。成形加工性、発泡表面外観は良好だが、発泡層高さが不十分であった。
(比較例7)
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが60μm、(B1)の厚みが10μmとした以外は同様の手法により積層体を得た。この積層体を加熱して発泡させ、発泡層の厚み、発泡表面の状態を評価した。結果を表2に示す。成形加工性、発泡表面外観は良好だが、発泡層高さが不十分であった。
(比較例8)
(A)層に(ハ)、(B)層に(イ)を用いた以外は実施例1と同様にして、ラミネート成形を行った。表面層と発泡層の溶融粘度に差がありすぎたため、製膜することができなかった。
(比較例9)
(A)層に(ハ)、(B)層に(イ)を用いた以外は実施例2と同様にして、ラミネート成形を行った。表面層と発泡層の溶融粘度に差がありすぎたため、製膜することができなかった。
Figure 0005966478
Figure 0005966478
3.評価
以上のとおり、表1及び2に示す結果から、実施例1〜3と比較例1〜9とを対比すると、本発明の発泡性積層体の要件を満たさない比較例1〜7に示す発泡性積層体は、平滑性及び成形加工性が実施例1〜3の発泡性積層体に対して見劣りしている。さらに、比較例8、9では、製膜不可となり、物性評価もできない。
これらの比較例に比べて、本発明による発泡性積層体は、実施例1〜3に示すとおり、何れも発泡層厚みが十分であり、平滑性、成形加工性が良好であることが確認された。
そのため、本発明の発泡性積層体、発泡加工紙及び断熱容器は、発泡後の発泡加工紙表面の平滑性が優れ、発泡層が厚く、優れた断熱性を示すと共に、成形加工性、発泡外観及び賦形時のヒートシール性が良好であり、経済性に優れた発泡積層体等であることが確認され、断熱性と同時に、表面平滑性が求められる容器に特に好適に使用することができるものである。
本発明の発泡性積層体、発泡加工紙及び断熱容器は、発泡後の発泡加工紙表面の平滑性が優れ、発泡層が厚く、優れた断熱性を示すと共に、成形加工性、発泡外観及び賦形時のヒートシール性が良好であるため、特に、断熱性と同時に、表面平滑性が求められる容器であるコーヒー、スープなどの高温飲料用の紙容器、インスタントラーメンなどの即席食品用の容器等に特に好適に使用することができる。本発明の発泡性積層体は、成形安定性に優れ、工程数を増加させずに、省コストで製造できるため、産業上大いに有用である。

Claims (10)

  1. 紙を主成分とする基材層(X)の一方の面に発泡性樹脂層(Y)、他方の面に非発泡樹脂層(Z)を積層してなる発泡性積層体であって、
    発泡性樹脂層(Y)は、基材側の樹脂層(B)および表面側の表面層(A)を含む少なくとも2層の積層構造からなり、
    樹脂層(B)および表面層(A)は、少なくとも溶融温度及びMFR(メルトマスフローレイト)が同一であるポリエチレン系樹脂からなる樹脂組成物から形成され、
    樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)と、表面層(A)の発泡前の積層時厚み(dA)との関係は、(dB)/(dA)の値が0.01〜0.8の範囲である、
    ことを特徴とする発泡性積層体。
  2. 樹脂層(B)の発泡前の積層時厚み(dB)が30μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性積層体
  3. 表面層(A)は、発泡前の積層時厚み(dA)が1μm以上30μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡性積層体。
  4. 発泡性樹脂層(Y)に用いられるポリエチレン系樹脂は、JIS K6922−2:2005に準拠して測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が、3〜25g/10分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
  5. 発泡性樹脂層(Y)に用いられるポリエチレン系樹脂は、JIS K6922−2:2005に準拠して測定された溶融温度(T)が、95〜110℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
  6. 発泡性樹脂層(Y)に用いられる樹脂組成物は、高圧法低密度ポリエチレン50〜99重量%および他のポリオレフィン1〜50重量%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡性積層体を用いて、表面層(A)が外側となるような容器形状に成形された形状を有し、表面層(A)および樹脂層(B)が加熱発泡されてなる、断熱容器。
  8. 表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて形成された発泡セルの合計高さが、800μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の断熱容器。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡性積層体を用いて表面層(A)および樹脂層(B)が加熱発泡されてなる、発泡加工紙。
  10. 表面層(A)および樹脂層(B)を発泡させて形成された発泡セルの合計高さが、800μm以上であることを特徴とする請求項9に記載の発泡加工紙。
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