以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物の概略を示す縦断面図である。
図1に示すように、建物10は、建物本体11と、その建物本体11の上方に形成された屋根12とを備えている。建物本体11は、一階部分13と二階部分14とを有してなる二階建て建物である。建物10の一階部分13には第一居室15等が形成され、二階部分14には第二居室16等が形成されている。
建物10の二階部分14には、バルコニー20が設けられている。バルコニー20は、第二居室16と隣接して設けられており、外壁部17により第二居室16と仕切られている。外壁部17には、バルコニー20へ出入りするための窓部(例えば掃き出し窓)18が設けられ、窓部18には当該窓部18を開閉するガラス戸19が設けられている。
バルコニー20は、バルコニー床部21と、当該バルコニー床部21を外壁部17とともに囲むように立設されるバルコニー腰壁部22とを備えている。この場合、バルコニー床部21とバルコニー腰壁部22と外壁部17とにより囲まれる空間がバルコニー空間BSとなっている。なおここで、バルコニー空間BSが屋外開放空間に相当し、バルコニー腰壁部22と外壁部17とが屋外開放空間を囲んで設けられる壁部に相当する。
次に、バルコニー腰壁部22及びその周辺の構成について図2に基づいて説明する。なお、図2はバルコニー腰壁部22及びその周辺の構成を示す縦断面図である。また、図2では、外壁部17(窓部18)と対面して設けられたバルコニー腰壁部22を図示している。
図2に示すように、バルコニー床部21の下方には、当該バルコニー床部21(ひいてはバルコニー20)を下方から支持するバルコニー床梁25が設けられている。バルコニー床梁は、H形鋼により構成されており、バルコニー腰壁部22に沿って延びるように設けられている。バルコニー床梁25の上面には、ALC床等からなる床下地材26が設けられ、床下地材26上には発砲ポリスチレン樹脂等からなる断熱材27が敷設されている。また、断熱材27上には、耐水皮膜(例えば塩化ビニル膜)が施された鋼板よりなる防水板28が敷設されている。
バルコニー床梁25上には、バルコニー床部21の他にバルコニー腰壁部22が設けられている。バルコニー腰壁部22は、壁下地材としての腰壁フレーム31と、腰壁フレーム31の外側(バルコニー空間BSとは反対側)に設けられた外側壁面材32と、腰壁フレーム31のバルコニー空間BS側に設けられた内側壁面材33とを備える。この場合、外側壁面材32の表面32aにより外壁面が形成され、内側壁面材33の表面33aによりバルコニー空間BS側の壁面が形成されている。
腰壁フレーム31は、バルコニー腰壁部22の幅方向に所定間隔で立設された複数の腰壁支柱35と、それら各腰壁支柱35の間に跨がって設けられた複数の横フレーム材36〜39とを備える。腰壁フレーム31は、それら腰壁支柱35と横フレーム材36とが互いに連結されることにより構成されている。
腰壁支柱35は、断面コ字状の軽量鉄骨材よりなる。腰壁支柱35の下端部には柱脚プレート42が固定されており、その柱脚プレート42はバルコニー床梁25の上面にボルト47及びナット48を用いて固定されている。これにより、腰壁支柱35ひいては腰壁フレーム31がバルコニー床梁25に対して固定されている。
横フレーム材36〜39としては、腰壁支柱35の外側において外側壁面材32の上下端部に対応させて設けられた一対の外側横フレーム材36,37と、腰壁支柱35のバルコニー空間BS側において内側壁面材33の上下端部に対応させて設けられた一対の内側横フレーム材38,39とを備える。これら各フレーム材36〜39はいずれも断面L字状の板金部材により形成されている。
外側横フレーム材36,37は、腰壁支柱35の外側面(バルコニー空間BS側とは反対側の面)に固定された固定板部36a,37aと、固定板部36a,37aにおいて互いに反対側となる端部からそれぞれバルコニー空間BSとは反対側に延びて外側壁面材32を挟んで上下に対向する水平板部36b,37bとを備える。内側横フレーム材38,39は、腰壁支柱35のバルコニー空間BS側の面に固定された固定板部38a,39aと、固定板部38a,39aにおいて互いに反対側となる端部からそれぞれバルコニー空間BS側に延びて内側壁面材33を挟んで上下に対向する水平板部38b,39bとを備える。
外側壁面材32と内側壁面材33とはそれぞれ窯業系サイディングにより構成されている。これら各壁面材32,33は、その内部に上下方向全域に亘って延びる複数の中空部32b,33bを有している。複数の中空部32b,33bは、壁面材32,33の幅方向に沿って所定の間隔で配置されている。
外側壁面材32は、その下端面が外側横フレーム材37の水平板部37b上に載置された状態で腰壁フレーム31に上下一対の固定金具43,44を介して固定されている。各固定金具43,44はそれぞれ、鋼板が段曲げされることにより形成されている。各固定金具43,44のうち上側の固定金具43は、外側壁面材32の裏面と外側横フレーム材36の固定板部36aの裏面とに跨がって設けられ、それら各裏面にそれぞれボルト等で固定されている。また、下側の固定金具44は、外側壁面材32の裏面と外側横フレーム材37の固定板部37aの裏面とに跨がって設けられ、それら各裏面にそれぞれボルト等で固定されている。これにより、外側壁面材32が各固定金具43,44を介して腰壁フレーム31に固定されている。
なお、外側壁面材32の下方には、一階部分13の外壁面材57が設けられており、外側壁面材32と外壁面材57との間の目地(横目地)には不定形シールよりなるシール材58が設けられている。
内側壁面材33は、その下端面が内側横フレーム材39の水平板部39b上に載置された状態で腰壁フレーム31に上下一対の固定金具45,46を介して固定されている。各固定金具45,46は上記の固定金具43,44と同じ構成を有している。上側の固定金具45は、内側壁面材33の裏面と内側横フレーム材38の固定板部38aの裏面とに跨がって設けられ、それら各裏面にそれぞれボルト等で固定されている。また、下側の固定金具46は、内側壁面材33の裏面と内側横フレーム材39の固定板部39aの裏面とに跨がって設けられ、それら各裏面にそれぞれボルト等で固定されている。これにより、内側壁面材33が各固定金具45,46を介して腰壁フレーム31に固定されている。
また、図示は省略するが、外側壁面材32と内側壁面材33とはそれぞれ横並びに複数ずつ設けられており、隣接する外側壁面材32同士の間の目地(縦目地)、及び、隣接する内側壁面材33同士の間の目地(縦目地)にはそれぞれ不定形シールよりなるシール材が充填されている。これにより、目地を通じて雨水がバルコニー腰壁部22の内部に浸入することが防止されている。
外側壁面材32の上端面と外側横フレーム材36の水平板部36bとの間の隙間49には不定形シールよりなるシール材51が設けられ、内側壁面材33の上端面と内側横フレーム材38の水平板部38bとの間の隙間50には同じく不定形シールよりなるシール材52が設けられている。シール材51は、隙間49において中空部32bよりも屋外側に配置され、シール材52は、隙間50において中空部33bよりもバルコニー空間BS側に配置されている。これにより、上記各隙間49,50を通じて雨水がバルコニー腰壁部22の内部へ浸入するのが防止されている。
内側壁面材33の下方には、ベースフレーム40が設けられている。ベースフレーム40は、断面コ字状をなす溝形鋼よりなり、内側壁面材33の幅方向に沿って延びるように形成されている。ベースフレーム40は、上下方向に延びるウェブ部40aと、ウェブ部40aの上下両端部からそれぞれ腰壁フレーム31側に延びる一対のフランジ部40b,40cとを有している。ベースフレーム40の各フランジ部40b,40cの端部は腰壁フレーム31の各腰壁支柱35に溶接により固定されている。また、ベースフレーム40の上面(上フランジ部40bの上面)は、内側壁面材33の下端面と所定の隙間67を隔てて上下に対向している。なおここで、ベースフレーム40がベース部材に相当し、当該ベースフレーム40によりバルコニー腰壁部22の一部が構成されている。
ベースフレーム40のウェブ部40aの外側面(バルコニー空間BS側の面)には、防水板28の一部が重ね合わせられている。防水板28は、断熱材27上に敷設されてバルコニー空間BSの床面を形成する床板部28aと、床板部28aにおけるバルコニー腰壁部22側の端部から上方に立ち上がりウェブ部40aの外側面に重ね合わせられた立ち上がり部28bとを有している。この場合、雨水等の水がバルコニー床部21とバルコニー腰壁部22との間の角部を通じて第一居室15等に流れ込むのが防止されている。また、立ち上がり部28bはウェブ部40aの上端部まで延びている。
なお、このように、ベースフレーム40が防水板28の立ち上がり部28bの下地として用いられている点からすれば、ベースフレーム40を防水下地材ということもできる。
腰壁フレーム31の上端部には笠木ホルダ53が取り付けられている。笠木ホルダ53は、各横フレーム材36,38の水平板部36b,38b上に跨がって設けられ、それら各水平板部36b,38bにボルト55により固定されている。笠木ホルダ53には笠木54が取り付けられている。笠木54は、腰壁フレーム31と各壁面材32,33とをそれぞれ上方から覆うように設けられている。なお、図示は省略するものの、笠木ホルダ53と各横フレーム材36,38の水平板部36b,38bとの間には防水シートが挟み込まれ、これら両部材53,36(38)の間を通じて雨水がバルコニー腰壁部22の内側へ浸入するのが防止されている。
ところで、上述の構成において、内側壁面材33の上端部と内側横フレーム材38(38b)との隙間50に設けられたシール材52が劣化等してそこから雨水が隙間50に浸入した場合には、その水が隙間50を通じて内側壁面材33の中空部33bに入り込む可能性がある。その場合、その水は中空部33bを通じて内側壁面材33の下端面とベースフレーム40の上面との間の隙間67まで流下し、その後腰壁フレーム31側へと流れるおそれがある。そうなると、その水が腰壁フレーム31から第一居室15の方に流れ落ちて、第一居室15が濡れるといった問題が生じることが懸念される。そこで、本実施形態では、この点に鑑みて、中空部33bに入り込んだ水をバルコニー空間BSへ排出するための壁排水構造を水切部材60等を用いて構築している。以下、かかる壁排水構造について図3に基づいて説明する。なお、図3は、壁排水構造を拡大して示す縦断面図である。
図3に示すように、内側壁面材33の下方には水切部材60が設けられている。水切部材60は、バルコニー腰壁部22(内側壁面材33)の幅方向に延びる長尺状をなしており、例えばアルミニウム製の押し出し成形品からなる。水切部材60は、内側壁面材33の下方において複数の内側壁面材33に跨がって設けられている。また、水切部材60は、その横断面形状が長手方向全域において同一となっている。
水切部材60は、上下方向に延びる水切板部61と、水切板部61の上端部から腰壁フレーム31側に延びる横板部62とを有している。水切部材60において水切板部61がベースフレーム40のウェブ部40aに対向しており、横板部62がベースフレーム40の上フランジ部40bに対向している。
水切板部61は、バルコニー空間BSに面した水切面61aを有している。水切面61aは、内側壁面材33の表面33aと略同一平面上に位置している。この水切面61aによって内側壁面材33の表面33aに沿って流下する雨水がベースフレーム40よりもバルコニー空間BS側に導かれる。
水切部材60とベースフレーム40との間には排水通路65が形成されている。排水通路65は、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67からバルコニー空間BSへと通じており、水切部材60の内側面に沿ってL字状に延びている。水切板部61の下端部とベースフレーム40のウェブ部40a(詳しくは防水板28の立ち上がり部28b)との間は65の排出口65aとなっている。この排出口65aを介して65はバルコニー空間BSに下向きに開口されている。
水切部材60の背面側には、止水部材としての止水役物70が設けられている。止水役物70は、内側壁面材33の幅方向に延びる長尺状をなしており、横並びに設けられた複数の内側壁面材33に跨がって延びている。止水役物70は、鋼板が折り曲げ形成されてなるものであり、具体的にはベースフレーム40(詳しくは上フランジ部40b)の上面に当接されたベース当接板部70aと、ベース当接板部70aの腰壁フレーム31側(バルコニー空間BSとは反対側)の端部から上方に延びる縦板部70bと、縦板部70bの上端部から腰壁フレーム31側に延びるとともに内側壁面材33の下端面に当接された壁下当接板部70cと、壁下当接板部70cの腰壁フレーム31側の端部から上方に延びるとともに内側壁面材33の裏面に当接された壁裏当接板部70dとを有する。
ベース当接板部70aは、バルコニー空間BS側の端部が防水板28の立ち上がり部28bの上端部と当接している。これにより、ベース当接板部70aと立ち上がり部28bとが連続しており、ひいては止水役物70と防水板28とが連続している。また、ベース当接板部70aの一部は水切部材60の横板部62と上下に対向しており、当該横板部62との間に排水通路65の一部を形成している。
縦板部70bは、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67において当該隙間67の高さ方向全域に亘って延びている。縦板部70bは、内側壁面材33の厚み方向において中空部33bの中間位置に位置しており、詳しくは中空部33bの略中央に位置している。また、縦板部70bは、水切部材60の横板部62よりも腰壁フレーム31側に設けられており、当該横板部62に対して離間された状態で配置されている。
壁下当接板部70cは、内側壁面材33の下端面と内側横フレーム材39の水平板部39bとの間に挟み込まれた状態で設けられている。この場合、壁下当接板部70cは、内側壁面材33の自重によって当該内側壁面材33の下端面と水平板部39bとの間に挟み込まれており、その挟み込みによって壁下当接板部70cひいては止水役物70が固定されている。なおここで、内側横フレーム材39が壁支持部材に相当する。
また、壁下当接板部70cは、バルコニー空間BS側の端部(換言すると、縦板部70bとの連結部)が内側壁面材33の厚み方向(以下、場合によって壁厚み方向という)において中空部33bの中間部詳しくは中央部に位置している。したがって、壁下当接板部70cにより中空部33bの一部が下方から塞がれた状態となっている。換言すると、壁下当接板部70c(ひいては壁当接部)は、中空部33bの少なくとも一部を下方に開放させた状態で内側壁面材33に当接されている。なお、このように中空部33bの一部が塞がれていたとしても、シール材52が劣化等してそこから隙間50に浸入し中空部33bに入り込む雨水の量はそれほど多いものではないため、中空部33bに入り込んだ水を排出する上で特に支障はない。
ここで、壁厚み方向において縦板部70bを中空部33bよりも腰壁フレーム31側に配置することで、壁下当接板部70cにおけるバルコニー空間BS側の端部を中空部33bよりも腰壁フレーム31側に位置させることも考えられる。しかしながら、その場合壁下当接板部70cの壁厚み方向の長さが短くなってしまい、内側壁面材33と内側横フレーム材39との間に挟み込まれる挟み込み代を十分に確保することが困難となる。この点、壁下当接板部70cを壁厚み方向において一部中空部33bと重複するように形成した上記の構成によれば、その重複する分壁下当接板部70cの壁厚み方向の長さを長くできるため、十分な挟み込み代を確保することができ、壁下当接板部70cを安定した状態で固定することが可能となる。
壁裏当接板部70dは、内側横フレーム材39の固定板部39aと内側壁面材33の裏面との間に挟み込まれた状態で設けられている。この場合、壁裏当接板部70dは、内側壁面材33の裏面に密着された状態で当接されている。壁裏当接板部70dは、その上下方向の長さが壁下当接板部70cの壁厚み方向の長さよりも長くなっており、また固定板部39aの上下長さよりも長くなっている。
なお、上記の止水役物70において、ベース当接板部70aがベース当接部に相当し、壁下当接板部70cにおいて内側壁面材33の下端面に当接された面(すなわち上面)が壁下当接面部に相当し、壁裏当接板部70dにおいて内側壁面材33の裏面に当接された面が壁裏当接面部に相当する。また、壁下当接板部70cと壁裏当接板部70dとにより壁当接部が構成されている。さらに、縦板部70b、壁下当接板部70c及び壁裏当接板部70dにより立ち上がり部が構成されている。
図3(a)に示すように、止水役物70には、水切部材60が着脱可能に取り付けられている。止水役物70の縦板部70bには水切部材60を着脱可能に取り付けるためのピース部材75が固定されている。なおここで、ピース部材75が取付部に相当する。ピース部材75は、水切部材60及び止水役物70と比べて短尺状に形成されており、例えばその横幅(止水役物70の長手方向の長さ)が50mmとなっている。ピース部材75は、止水役物70の長手方向に沿って所定の間隔で複数箇所に設けられている。なお、図3では、(a)がピース部材75が配置されている部位における縦断面図、(b)がピース部材75が配置されていない部位における縦断面図となっている。
ピース部材75は、縦板部70bのバルコニー空間BS側の面にリベット79により固定された固定板部76と、その固定板部76に設けられた挟持部77とを有する。挟持部77は、固定板部76からバルコニー空間BS側に向けて延びる上下一対の挟持板部77a,77bを有している。なお、リベット79には防水処理が施されており、リベット79周りから水が縦板部70bよりも腰壁フレーム31側へ入り込むことが防止されている。
一方、水切部材60には、ピース部材75に着脱可能に取り付けられる被取付部81が設けられている。被取付部81は、横板部62において腰壁フレーム31側の端部付近に設けられ、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67に配置されている。また、被取付部81は横板部62の上面側に設けられており、横板部62の上面と内側壁面材33の下端面との間を塞ぐように配設されている。
被取付部81は、腰壁フレーム31側に向かって延びる被挟持部82を有している。被挟持部82は、その一部が横板部62よりも腰壁フレーム31側に延びており、止水役物70の各挟持板部77a,77bの間に入り込んで各挟持板部77a,77bにより挟持されている。より詳しくは、被挟持部82は、その端部に上方に起立する起立板部82aを有しており、その起立板部82aが各挟持板部77a,77bの間に入り込んだ状態で嵌合されている。そして、かかる挟持(嵌合)によって被取付部81ひいては水切部材60がピース部材75に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、施工時には水切部材60の取付作業を容易に行うことができる。
水切部材60がピース部材75に取り付けられた状態では、止水役物70の縦板部70bと水切部材60とが壁厚み方向に互いに離間された状態で配置されている。この場合、図3(b)に示すように、止水役物70の長手方向においてピース部材75が配置されていない部位では、互いに離間された縦板部70bと水切部材60との間、詳しくは縦板部70bと被取付部81(より詳しくは被挟持部82)との間に所定の隙間88が形成されている。つまり止水役物70の長手方向で見ると、この隙間88は各ピース部材75の間に形成されている。この場合、内側壁面材33の中空部33bを通じて流下した水はこの隙間88を通じて65へと導かれる。
水切部材60の横板部62と内側壁面材33の下端面との間の隙間には当該隙間を塞ぐシール部材83が設けられている。シール部材83は、当該隙間において被取付部81よりもバルコニー空間BS側に配置され、被取付部81の有する当て部84にバルコニー空間BS側から当てられた状態で配置されている。シール部材83は、水切部材60の長手方向に沿って長尺状に形成され、横板部62の上面に接着により固定されている。
排水通路65には、当該通路65の一部を閉塞する閉塞部材85,86が設けられている。閉塞部材85,86は、排水通路65において水が流れる方向、すなわち当該排水通路65が内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67からバルコニー空間BSへと延びる方向(通路延在方向)に沿って所定の間隔で複数箇所(本実施形態では2箇所)に設けられている。各閉塞部材85,86は、EPDM等のゴム材よりなる。各閉塞部材85,86は、水切部材60の長手方向に沿って長尺状に形成されており、その横断面が矩形形状をなしている。また、各閉塞部材85,86はそれぞれ長手方向に沿って所定の間隔で複数ずつ並べられている。排水通路65では、これら隣り合う閉塞部材85同士の間、及び、隣り合う閉塞部材86同士の間を通じて水が流れる。
閉塞部材85は、排水通路65において水切部材60の横板部62と止水役物70のベース当接板部70aとの間に配置され、それら横板部62とベース当接板部70aとに跨がって設けられている。また、閉塞部材86は、排水通路65において水切部材60の水切板部61と防水板28の立ち上がり部28bとの間に配置され、それら水切板部61と立ち上がり部28bとに跨がって設けられている。この場合、水切部材60をベースフレーム40に対して排水通路65を隔てて設置する構成にあって、水切部材60を安定した状態で設置することができる。
また、各閉塞部材85,86は、水切部材60の裏面に接着により固定されている。そのため、施工時には水切部材60をピース部材75に取り付けるだけで、各閉塞部材85,86を排水通路65に配設することができる。また、閉塞部材85はベースフレーム40上、詳しくは止水役物70のベース当接板部70aの上面に設けられているため、水切部材60をピース部材75に着脱する際には閉塞部材85をベースフレーム40上に沿ってスライドさせながら着脱を行える。そのため、水切部材60の着脱作業を容易にすることができる。
なお、排水通路65において閉塞部材85,86を通路延在方向に沿って3つ以上の箇所に設けてもよいし1箇所にのみ設けてもよい。また、閉塞部材85,86は必ずしも柔軟性を有するゴム材により形成する必要はなく、木材や金属材料等の硬質材料により形成してもよい。さらには、各閉塞部材85,86を排水通路65に設けないようにしてもよい。
次に、上記壁排水構造の作用について図3(b)を参照しながら説明する。なお、図3(b)では、内側壁面材33の中空部33bに入り込んだ水が壁排水構造を通じて排出されるまでの流れを点線矢印で示している。
バルコニー腰壁部22において内側壁面材33の上端面と内側横フレーム材38(水平板部38b)との間の隙間50に設けられたシール材52が劣化等してそこから雨水が隙間50に浸入した場合には、その雨水が内側壁面材33の中空部33bに入り込んでしまうことが考えられる。その場合、その水は、図3(b)に示すように、中空部33bを通じて内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67まで流下することとなる。隙間67に達した水は止水役物70の縦板部70bと水切部材60の被取付部81との間の隙間88を通じて止水役物70のベース当接板部70a上まで流れ落ち同当接板部70a上で受け止められ、その後ベース当接板部70a上を伝ってバルコニー空間BS側へすなわち排水通路65の方へと流れる。詳しくは、ベース当接板部70a上で受け止められた水は縦板部70b及び壁下当接板部70cによって腰壁フレーム31側すなわちバルコニー腰壁部22内部への流れ込みが防止されているため、その結果水が排水通路65の方へ流れることとなる。そして、その水は排水通路65を流れて排出口65aよりバルコニー空間BSへ排出される。このようにして、上記の壁排水構造では、内側壁面材33の中空部33bに入り込んだ水をバルコニー腰壁部22内部に入り込ませることなくバルコニー空間BSへ排出できるようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
バルコニー腰壁部22に止水役物70を設けたため、内側壁面材33の中空部33bを通じて内側壁面材33の下端面とベースフレーム40の上面との間の隙間67に流下した水が内側壁面材33の厚み方向において腰壁フレーム31側(換言すると内側壁面材33の裏面側)すなわちバルコニー腰壁部22の内部に浸入するのを阻止することができる。また、内側壁面材33の下方にベースフレーム40に対向させて水切部材60を設け、水切部材60とベースフレーム40との間に上記隙間67からバルコニー空間BSへ通じる排水通路65を形成した。そのため、上記隙間67に流下した水を排水通路65を通じてバルコニー空間BSへ排出することができる。これにより、内側壁面材33の上端面と内側横フレーム材38との隙間50に設けられたシール材52が劣化等してそこから雨水が隙間50に浸入し中空部33bに入り込んだ場合でも、その雨水が建物10内例えば第一居室15に浸入するのを防止することができる。
止水役物70を、ベースフレーム40の上面に当接されるベース当接板部70aと、ベース当接板部70aの腰壁フレーム31側の端部から上方に立ち上がる縦板部70bと、縦板部70bの上端部から腰壁フレーム31側に延びて内側壁面材33の下端面に沿って当接された壁下当接板部70cとを備えて構成した。そして、壁下当接板部70cについてはその一部を内側壁面材33の下端面において中空部33bよりも腰壁フレーム31側で当接させた。この場合、中空部33bを通じて隙間67に流下した水がベース当接板部70aとベースフレーム40の上面との間を通じてバルコニー腰壁部22の内部に浸入するのを防止することができる。また、壁下当接板部70cと内側壁面材33の下端面との間を通じてバルコニー腰壁部22の内部に浸入するのを防止することができる。これにより、中空部33bを通じて流下した水がバルコニー腰壁部22の内部へ浸入するのを具体的に阻止することができる。
また、ベース当接板部70aは壁厚み方向に延びてベースフレーム40の上面に沿って当接されており、壁下当接板部70cは壁厚み方向に延びて内側壁面材33の下端面に沿って当接されているため、ベース当接板部70aとベースフレーム40の上面とが面同士で当接され、壁下当接板部70cと内側壁面材33の下端面とが面同士で当接されている。これにより、強風を伴う降雨があった場合に排水通路65を通じて雨水が逆流しても、その逆流した雨水がベース当接板部70aとベースフレーム40との間、又は、壁下当接板部70cと内側壁面材33との間を通じてバルコニー腰壁部22の内部に浸入するのを抑制することができる。
壁下当接板部70cを、内側壁面材33を下方から支持する内側横フレーム材39と内側壁面材33の下端面との間に挟み込むことにより固定した。この場合、止水役物70を固定するに際してビスや固定金具といった固定部材を不要とすることができるため、構成の簡素化を図ることが可能となる。また、壁下当接板部70cは、内側壁面材33の自重により当該内側壁面材33の下端面と内側横フレーム材39との間に挟み込まれるため、壁下当接板部70c(の上面)と内側壁面材33の下端面との密着度を高めることができる。これにより、内側壁面材33の下端面と壁下当接板部70cとの間を通じたバルコニー腰壁部22内部への水の浸入を抑制する効果を高めることができる。
止水役物70に、内側壁面材33の高さ方向に延びて当該壁面材33の裏面に沿って当接された壁裏当接板部70dを設けた。内側壁面材33の裏面における壁高さ方向の長さは、内側壁面材33の下端面における壁厚み方向の長さよりも十分大きいため、この場合内側壁面材33と止水役物70とが面同士で当接される当接面を広く確保することができる。そのため、止水役物70と内側壁面材33との間を通じたバルコニー腰壁部22内部への水の浸入を好適に抑制することができる。
壁下当接板部70cと壁裏当接板部70dとを連続させて設けたため、仮に壁下当接板部70cと内側壁面材33の下端面との間を通じて水が腰壁フレーム31側に流れ込んだとしてもその流れを壁裏当接板部70dにより遮断することができる。これにより、バルコニー腰壁部22内部への水の浸入をさらに抑制することが可能となる。
また、壁裏当接板部70dを有する止水役物70を、横並びに設けられた複数の内側壁面材33に跨がるように設けたため、隣り合う内側壁面材33の間の目地(縦目地)に設けられたシール材が劣化等してそこから雨水が目地に浸入した場合に、その目地に沿って流下する水を止水役物70により受け止めるとともにその受け止めた水が腰壁フレーム31側に流れ込むのを壁裏当接板部70dにより防止することができる。そのため、結果としてその水を排水通路65を通じてバルコニー空間BSに排出することができる。よって、この場合中空部33bに入り込んだ水のみならず内側壁面材33の目地内に浸入した水についても建物10内に浸入するのを防止することができる。
水切部材60を、上下方向に延びる水切板部61と、水切板部61から内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67に向かって延び当該隙間67に一部が入り込んだ横板部62と、を有して構成した。そして、止水役物70のベース当接板部70aを縦板部70bからバルコニー空間BS側に向かって延びるように形成し、その一部を横板部62と上下に対向させることで、その対向部分と横板部62との間を排水通路65の一部とした。この場合、内側壁面材33の中空部33bを通じて流下した水は止水役物70の縦板部70bの外側面(バルコニー空間BS側の面)及びベース当接板部70aの上面を伝って流れることで自ずと排水通路65へと導かれる。これにより、中空部33bを通じて流下した水を円滑にバルコニー空間BSへ排出することができる。
水切部材60の横板部62に被取付部81を設ける一方、止水役物70には被取付部81を着脱可能に取り付けるためのピース部材75を設けた。これにより、水切部材60が劣化等した場合には容易に交換することができる。特に、水切部材60について表面を内側壁面材33の表面33aに沿って流下する水を水切りするために用い、裏面を排水通路65を形成するために用いる構成では、水切部材60が汚れたり劣化したりし易いため、水切部材60の交換頻度が高まることが想定される。このため、水切部材60を着脱可能とする利点は大きいといえる。
ピース部材75を、止水役物70の長手方向に所定の間隔で複数設け、それら各ピース部材75に対して水切部材60の被取付部81を着脱可能に取り付けた。そして、中空部33bを通じて流下した水を各ピース部材75の間を通じて排水通路65へ導くようにした。内側壁面材33の厚み方向において止水役物70が腰壁フレーム31側(内側壁面材33の裏面側)、水切部材60がバルコニー空間BS側(内側壁面材33の表面側)となるように並ぶ構成では、内側壁面材33の中空部33bを通じて流下した水が水切部材60の内側に形成された排水通路65へ導かれるためには止水役物70と水切部材60との間を通過する必要がある。ここで、止水役物70に設けたピース部材75に水切部材60の被取付部81が着脱可能に取り付けられる構成では、ピース部材75と被取付部81とが、ひいては止水役物70側と水切部材60とが互いに接合し合うこととなる。この点、複数のピース部材75を間隔を隔てて配置することで、中空部33bを流下した水を各ピース部材75の間を通じて排水通路65へ導くようにしたため、水切部材60を止水役物70に対し着脱可能としつつも、中空部33bに入り込んだ水を好適にバルコニー空間BSに排出することができる。
排水通路65に、同通路65の一部を閉塞する閉塞部材85,86を設けた。これにより、強風を伴った降雨があった場合には排水通路65を通じて水が逆流するのを抑制することができる。そのため、逆流した水が止水役物70と内側壁面材33との間、又は、止水役物70とベースフレーム40との間からバルコニー腰壁部22内部に浸入するのを抑制することができる。また、排水通路65において閉塞部材85,86が設けられていない部位を通じて水を排出するようにしたため、かかる閉塞部材85.86を設けながらも、中空部33bに入り込んだ水が建物10内に入り込むのを防止することができる。
水切部材60の裏面に閉塞部材85,86を設け、その閉塞部材85,86をベースフレーム40側に当接させて配置したため、水切部材60をベースフレーム40に対して排水通路65を隔てて設置する構成において当該水切部材60を安定した状態で設置することができる。これにより、強風時に水切部材60が傾く等して排水通路65が閉鎖したり狭まったりする不都合を抑制することができる。また、強風時には水切部材60がばたつくことも考えられるが、閉塞部材85,86をゴム材すなわち緩衝部材により構成したため、かかる水切部材60のばたつきを抑えることができる。
水切部材60に、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67に入り込む横板部62を設け、その横板部62と内側壁面材33の下端面との間の隙間をシール部材83により閉塞した。これにより、強風を伴う降雨があった場合に、横板部62と内側壁面材33の下端面との間の隙間から直接隙間67に雨水が入り込むのを防止することができる。すなわち、この場合、隙間67への雨水の入り込みは排水通路65を通じてのみ行われることとなるため、隙間67への雨水の入り込みに伴いその入り込んだ雨水が止水役物70と内側壁面材33との間を通じてバルコニー腰壁部22内部に浸入するのを抑制することができる。また、排水通路65を通じて雨水が隙間67に入り込む場合には、直接隙間67に入り込む場合と比べて、雨水の勢いを低減させることができるため、この点からもバルコニー腰壁部22内部への雨水の浸入を抑制することができる。
水切部材60を用いて壁排水構造を構築したことで、バルコニー腰壁部22下部の意匠性向上を図りつつ、建物10内への水の浸入を防止することができる。
第一居室15(ひいては一階部分13の屋内空間)上方のバルコニー空間BSに面して設けられた内側壁面材33に壁排水構造を構築した。内側壁面材33の中空部33bを通じてベースフレーム40と内側壁面材33との間の隙間67まで流下した水が当該隙間67から腰壁フレーム31側に流れ込んだ場合、その水は下方に向かってすなわち第一居室15に向かって容易に流れ落ちることが想定される。つまり、かかる場合には第一居室15の漏水を招く可能性が高い。この点を鑑みると、内側壁面材33に対して壁排水構造を構築する意義は大きい。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)止水役物70の構成は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。そこで、止水役物70の変形例を図4(a)〜(d)に示す。図4(a)に示す止水役物91は、上記実施形態における止水役物70の縦板部70bに代えて、斜板部91bが設けられている。斜板部91bは、ベース当接板部91aの腰壁フレーム31側の端部から当該腰壁フレーム31側に向かって上方に傾斜するように形成されている。この場合、内側壁面材33の中空部33bを通じて流下した水は斜板部91bの傾斜面上で受け止められた後、同傾斜面に沿ってベース当接板部91aの上面に向かって流れる。これにより、中空部33bから流下した水を排水通路65へ円滑に導くことができ、ひいては円滑にバルコニー空間BSに排出することができる。
図4(b)に示す止水役物92は、上記実施形態における止水役物70の壁下当接板部70c及び壁裏当接板部70dに相当する板部を有していない。すなわち、止水役物92は、ベース当接板部92aと、ベース当接板部92aの腰壁フレーム31側の端部から上方に延びる縦板部92bとを有しており、全体として略L字状をなしている。縦板部92bは、内側壁面材33の厚み方向において中空部33bよりも腰壁フレーム31側に位置しており、その上端部が内側壁面材33の下端面に当接されている。この場合、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67が中空部33bよりも腰壁フレーム31側の位置で縦板部92bにより閉鎖されている。この場合、中空部33bを通じて流下した水は止水役物92のベース当接板部92a上で受け止められた後65へと導かれるため、当該水をバルコニー空間BSへと排出することができる。なお、かかる止水役物92では縦板部92bの上端部が壁当接部に相当する。
図4(c)に示す止水役物93は、ベースフレーム40の上面に当接されたベース当接板部93aと、ベース当接板部93aの腰壁フレーム31側の端部から上方に延びる立ち上がり板部93bとを有しており、全体として略L字状をなしている。立ち上がり板部93bは、その一部が内側壁面材33の裏面において内側壁面材33の下端面よりも上方に延びており、その延びた部分が内側壁面材33の裏面に当接されている。かかる構成においても、強風時に排水通路65を通じて逆流した水が、立ち上がり板部93bと内側壁面材33の裏面との間を通じて腰壁フレーム31側に入り込むのを抑制できる。なお、この例では、L字状の内側横フレーム材39に代えて、水平板部39bを有しない鉛直平板状の内側横フレーム材95が設けられている。また、かかる止水役物93では、立ち上がり板部93bにおいて内側壁面材33の裏面に当接された面(換言するとバルコニー空間BS側の面)が壁裏当接面部に相当する。
図4(d)に示す止水役物94は長尺状の角材からなり、矩形形状の断面を有している。止水役物94は、内側壁面材33とベースフレーム40との間の隙間67においてベースフレーム40の長手方向に沿って延びる向きで配置されている。止水役物94は当該隙間67において壁厚み方向にて中空部33bよりも腰壁フレーム31側に配置されている。止水役物94は、その上下高さが隙間67の上下高さと同じとなっており、上面が内側壁面材33の下端面に当接され、下面がベースフレーム40(上フランジ部40b)の上面に当接されている。この場合、止水役物94上に内側壁面材33が載置された状態で設置されている。かかる構成においても、中空部33bを通じて隙間67に流下した水は腰壁フレーム31側に向かって流れ込むことが阻止されるため、その水を65を通じてバルコニー空間BSへ排出することが可能である。また、本例の止水役物94においてはその上面が壁下当接面部に相当し、下面がベース当接部に相当する。
(2)上記実施形態では、水切部材60を止水役物70にピース部材75を介して着脱可能に取り付けたが、水切部材60を止水役物70にビス等を用いて着脱不能に取り付けてもよい。また、水切部材60を止水役物70以外の部材に取り付けてもよい。例えば、水切部材60をベースフレーム40に取り付けてもよい。具体的には、ベースフレーム40のウェブ部40aの外側面に複数のスペーサを取り付け、それらスペーサに対して水切部材60の水切板部61をビス等で固定することが考えられる。この場合にも、スペーサによって水切部材60とベースフレーム40との間に排水通路65を形成しつつ、水切部材60を固定できる。また、この場合、スペーサを排水通路65の一部を閉塞する閉塞部材として兼用させることもできる。
(3)上記実施形態では、取付部としてのピース部材75を止水役物70とは別体として構成したが、取付部を止水役物70と一体に構成してもよい。例えば、止水役物を合成樹脂により形成する場合には、取付部を含んで止水役物を一体形成することが考えられる。また、上記実施形態では、水切部材60において被取付部81を当該水切部材60と一体に形成したが、被取付部を水切部材60とは別体として構成し、それをビス等で水切部材60に取り付けてもよい。
(4)上記実施形態では、バルコニー空間BSを囲んで設けられる各バルコニー腰壁部22のうち、外壁部17に対面して設けられたバルコニー腰壁部22に本発明を適用したが、それ以外のバルコニー腰壁部22、つまり外壁部17から屋外側に延びるように設けられたバルコニー腰壁部22に適用してもよい。
また、外壁部17に対して本発明を適用してもよい。図5にその具体例を示す。図5に示すように、外壁部17は、バルコニー空間BSに面して設けられた外壁面材98を有する。外壁面材98は上下に延びる複数の中空部98aを有しており、その下方には同外壁面材98に沿って延びるベースフレーム99が設けられている。ベースフレーム99における第二居室16側(バルコニー空間BSとは反対側)には、当該ベースフレーム99に沿って延びる支持フレーム101が設けられている。この支持フレーム101上に外壁面材98が載置された状態で設置されている。なお、図示は省略するが、外壁面材98の裏面側(第二居室16側)には当該外壁面材98を支持する壁フレーム(壁下地材に相当)が設けられている。
外壁面材98の下方には水切部材60が設けられている。水切部材60はベースフレーム99に対向配置され、水切部材60とベースフレーム99との間にはバルコニー空間BSへ通じる排水通路105が形成されている。水切部材60の背面側には止水役物70が設けられ、その止水役物70は、壁下当接板部70cが外壁面材98の下端面と支持フレーム101の上面との間に挟み込まれることで固定されている。
上記の構成において、外壁面材98の中空部98aに入り込んだ水が中空部98aを通じて流下した場合には、その雨水が止水役物70により受け止められて排水通路105に導かれ、その後同通路105を通じてバルコニー空間BSに排出される。したがって、外壁面材98同士の間の目地に設けられたシール材が劣化等してそこから目地に雨水が浸入し中空部98aに入り込んだとしても、その水が第二居室16側に浸入するのを防止できるため、第二居室16が濡れるといった問題が発生するのを防止できる。
(5)上記実施形態では、建物10において二階部分14のバルコニー20に設けられたバルコニー腰壁部22に本発明を適用したが、一階部分13にバルコニーが外壁部を挟んで一階居室と隣接して設けられていればその外壁部に本発明を適用してもよい。そうすれば、一階居室への水の入り込みを防止することが可能となる。
上記実施形態では、屋外開放空間としてのバルコニー空間BSを囲むバルコニー腰壁部22(壁部に相当)に本発明を適用したが、ベランダ等他の屋外開放空間を囲んで設けられる壁部に対して本発明を適用してもよい。また、屋上部を有する建物では、屋上空間(屋外開放空間)を囲んでパラペット壁部が設けられる場合があるが、その場合にパラペット壁部に本発明を適用してもよい。