JP5945889B2 - 免震構造 - Google Patents

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本発明は、建物などの上部構造物の地震時応答を低減させるための免震構造に関する。
従来から、建物などの上部構造物と地盤(固定端)の間の免震層に免震構造を設け、この免震構造によって上部構造物の地震時応答を低減させるようにした免震建物が広く知られている。この一方で、巨大地震が発生し、また、長周期地震動が作用し、免震層の変形が過大となって、上部構造物が擁壁等に衝突したり、免震構造を構成する積層ゴム(構造体バネ)に破損が生じることなどが懸念されている。
これに対し、上部構造物を構造体バネと構造体減衰で免震支持するとともに、別途応答低減機構を水平剛性(構造体バネのバネ剛性)と並列に設置してなる免震構造が提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、この免震構造の応答低減機構は、慣性質量ダンパーと付加バネを直列に接続するとともに、オイルダンパーなどの第1の付加減衰を慣性質量ダンパーと並列に接続し、さらに、オイルダンパーなどの第2の付加減衰を慣性質量ダンパーと直列に接続し、さらに、第2の付加減衰と並列に復元バネを接続して構成されている。
そして、このように構成した応答低減機構では、慣性質量ダンパーによる慣性質量と復元バネのバネ剛性で応答低減機構の固有周期を上部構造物の固有周期と同調させることで、共振時の応答を大幅に改善することが可能になる。
特開2011−236968号公報
しかしながら、上記の応答低減機構(免震構造)においては、復元バネのバネ剛性と慣性質量ダンパーの慣性質量で応答低減機構の固有周期を上部構造物の固有周期と同調させ、変位を出すようにすることで、オイルダンパーの第1の付加減衰と第2の付加減衰によって確実にエネルギー減衰効果が発揮されるように、すなわち、2つのオイルダンパーの制震要素で確実にエネルギー減衰効果が得られるようにしている。
上記のような同調型減衰というのは、元々減衰が少ない制震建物において有効な機構であり、免震建物は、免震機構に元々大きな減衰が含まれているため、建物周期に同調させるための非常に軟らかい復元バネを設置することで得られる減衰というものの効果は薄れてしまう。すなわち、免震建物に同調型の復元バネを設置することの利点は非常に少ない。
また、上記の応答低減機構においては、オイルダンパーの第1の付加減衰と第2の付加減衰、慣性質量ダンパー、復元バネを備えてなり、部材点数が多く、高コストになるという問題もあった。
そして、このようなことから、高価なオイルダンパーを用いずに応答低減機構を構成するようにし、確実に免震機能を発揮して上部構造物の地震時応答を低減させる免震構造が強く望まれていた。
本発明の免震構造は、上部構造物と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造物を構造体バネと構造体減衰を介して前記固定端に接続するとともに、前記上部構造物の地震時応答を低減させるための応答低減機構を前記構造体バネと並列に設けてなる免震構造であって、前記応答低減機構が、第1の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと並列に設けられた第2の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと直列に設けられ、摩擦要素の滑りによって前記第1の慣性質量ダンパーに作用する負荷を制限する過負荷防止機構とを備え、且つ、慣性質量比を0.2〜0.5にして構成されていることを特徴とする。
本発明の免震構造は、上部構造物と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造物を構造体バネと構造体減衰を介して前記固定端に接続するとともに、前記上部構造物の地震時応答を低減させるための応答低減機構を前記構造体バネと並列に設けてなる免震構造であって、前記応答低減機構が、第1の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと並列に設けられた第2の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと直列に設けられ、摩擦要素の滑りによって前記第1の慣性質量ダンパーに作用する負荷を制限する過負荷防止機構とを備え、且つ、前記摩擦要素に滑りが生じる制限負荷を、慣性質量×重力加速度×(1/10)以下にして構成されていることを特徴とする。
本発明の免震構造においては、応答低減機構が第1の慣性質量ダンパーと第2の慣性質量ダンパーを備えることにより、上部構造物を構造体バネと構造体減衰で免震支持してなる免震構造(応答低減機構を備えていない免震構造)と比較し、免震層変位を例えば最大で40%程度低減することが可能になる。また、応答低減機構が過負荷防止機構を備えることにより、免震層の変位低減効果を保ちつつ、上部構造物の応答加速度や層間変形角の増加量を抑制することが可能になる。
よって、本発明の免震構造によれば、高価なオイルダンパーを用いず、部材点数を少なくして応答低減機構を構成し、確実に免震機能を発揮して上部構造物の地震時応答を低減させることが可能になる。
また、本発明の免震構造においては、慣性質量比を0.2〜0.5にすることで、免震層の変位低減効果と上部構造物の応答加速度や層間変形角の抑制効果をバランスよく活用することが可能になる。
また、本発明の免震構造においては、摩擦要素に滑りが生じる制限負荷を、慣性質量×重力加速度×(1/10)以下にすることによっても、免震層の変位低減効果と上部構造物の応答加速度や層間変形角の抑制効果をバランスよく活用することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る免震構造を示す図である。 地震応答解析で用いた本発明のモデルを示す図である。 地震応答解析における上部構造の骨格曲線の設定を示す図である。 摩擦要素の復元力特性を示す図である。 地震応答解析で用いた入力地震動の速度応答スペクトルを示す図である。 告示波を入力した際の地震応答解析の結果を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、モデルC(本発明)に各地震波を入力した際の慣性質量比と免震層変位比の関係を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、モデルC(本発明)に各地震波を入力した際の慣性質量比と最大加速度の関係を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、制限負荷f=慣性質量mi×重力加速度g×(1/40)としたモデルC(本発明)に、ElCentoro波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/20)としたモデルCに、ElCentoro波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/10)としたモデルCに、ElCentoro波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、制限負荷f=慣性質量mi×重力加速度g×(1/40)としたモデルC(本発明)に、八戸波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/20)としたモデルCに、八戸波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/10)としたモデルCに、八戸波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、制限負荷f=慣性質量mi×重力加速度g×(1/40)としたモデルC(本発明)に、Taft波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/20)としたモデルCに、Taft波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/10)としたモデルCに、Taft波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、制限負荷f=慣性質量mi×重力加速度g×(1/40)としたモデルC(本発明)に、告示波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/20)としたモデルCに、告示波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/10)としたモデルCに、告示波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、制限負荷f=慣性質量mi×重力加速度g×(1/40)としたモデルC(本発明)に、三の丸波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/20)としたモデルCに、三の丸波を入力した際の各種応答値を示す図である。 地震応答解析の結果を示す図であり、f=mi×g×(1/10)としたモデルCに、三の丸波を入力した際の各種応答値を示す図である。
以下、図1から図23を参照し、本発明の一実施形態に係る免震構造について説明する。
本実施形態の免震構造1は、図1に示すように、建物などの上部構造物2と地盤などの固定端3の間の免震層4に設けられている。また、この免震構造1は、上部構造物2を構造体バネ5と構造体減衰6を介して固定端3に接続するとともに、上部構造物2の地震動入力に対する応答(地震時応答)を低減させるための応答低減機構7を構造体バネ5と並列に設置して構成されている。
本実施形態の応答低減機構7は、第1の慣性質量ダンパー8と、この第1の慣性質量ダンパー8と並列に配設された第2の慣性質量ダンパー9とを備え、さらに、第1の慣性質量ダンパー8と直列に配設され、摩擦要素10の滑りによって第1の慣性質量ダンパー8に作用する負荷を制限する過負荷防止機構11を備えて構成されている。
また、慣性質量ダンパー8、9としては、例えばボールネジ機構と回転錘(フライホイール)を組み合わせたものが採用可能であり、この種の慣性質量ダンパーでは、回転錘の実際の質量の数百倍以上もの大きな質量効果を得ることができる。そして、本実施形態の応答低減機構7では、第1の慣性質量ダンパー8が、過負荷防止機構11が作動することで(すなわち、摩擦要素10が滑ることで)回転が止まる回転錘とされ、第2の慣性質量ダンパー9が、過負荷防止機構11が作動しても回転し続けるボールネジやボールナットのボールネジ機構とされている。また、このとき、例えば、第1の慣性質量ダンパー8の慣性質量miの負担割合が85%、第2の慣性質量ダンパー9の慣性質量miの負担割合が15%となるように構成されている。
さらに、本実施形態の免震構造1において、応答低減機構7は、慣性質量比(慣性質量mi/上部構造物全重量M)が0.2〜0.5となるようにして構成されている。あるいは、応答低減機構7は、摩擦要素10に滑りが生じる制限負荷(滑り出し荷重、頭打ち負担反力)fを、慣性質量mi×重力加速度g×(1/10)以下にして構成されている。
〔実施例1〕
次に、本実施形態の免震構造1の優位性を確認するために行なった地震応答解析について説明する。ここでは、5質点の免震建物モデルを作成し、慣性質量ダンパー8、9の有無、過負荷防止機構11の有無、慣性質量miの大小、入力地震動の特性をパラメータとしてそれぞれ地震応答解析を行い、その結果を比較することにより、本実施形態の免震構造1の優位性を確認・評価するようにしている。
具体的に、まず、解析モデルは、図2に示すように、5質点の等価せん断型モデルを使用した。
この5質点の等価せん断型モデルにおける主構造(上部構造物2)の諸条件は次のように設定した。
各質点の質量は一様に1000tonとし、合計5000tonとした。また、上部構造物2の各層(各階)の剛性は、最上層と最下層の剛性比が0.57:1.0の台形分布となるようにして与えた。基礎固定時の1次固有周期は0.43secとした。また、ベースシア係数Cb=0.15とし、Ai分布で各層の層せん断力を求めて図3のように各層の骨格曲線を設定し、復元力モデルに武田モデルを使用した。さらに、上部構造物2の減衰は、歪エネルギー比例型で5次まで3%とした。
次に、免震層4の諸条件は次のように設定した。
構造体バネ5にはゴム総厚が20cmの積層ゴムを用い、免震層4を含めた1次固有周期を5.0secとした。また、免震層4の構造体減衰6には鋼材ダンパーを用い、負担率αを0.04として耐力を設定し、降伏変位が20mmのバイリニアでモデル化した。
そして、この地震応答解析では、以下の4つの検討解析モデルを設定した。
〔モデルA〕:従来免震モデル(積層ゴムと鋼材ダンパーのみ(構造体バネ5と構造体減衰6のみ)のモデル)
〔モデルB〕:慣性質量ダンパーを免震層4に並列に付加したモデル(慣性質量ダンパー8、9のみの(過負荷防止機構11がない)モデル)
〔モデルC〕:慣性質量ダンパー8、9に過負荷防止機構11を付加したモデル(本発明)
〔モデルD〕:モデルAの構造体減衰6を十分に大きくした変位抑制型免震モデル
なお、本発明にかかるモデルCは、慣性質量ダンパー(第1の慣性質量ダンパー8)と、図4に示す復元力特性をもつ摩擦要素10を直列に接続している。また、慣性質量ダンパー8の負担力が滑り出し荷重(制限負荷、頭打ち負担反力)fを超えると摩擦要素10が滑り、この滑り出し荷重f以上の過大な荷重が慣性質量ダンパー8に入力されないモデルとなっている。また、モデル上、摩擦要素10が接続する第1の慣性質量ダンパー8と、接続しない第2の慣性質量ダンパー9の質量比を85:15としている。
そして、上記の4つのモデルに対し、慣性質量ダンパー8、9の慣性質量miと入力地震動の特性をパラメータとして地震応答解析を行なった。また、各解析ケースにおける慣性質量mi(慣性質量比)と摩擦要素10の滑り出し荷重fは表1に示す通りとした。さらに、慣性質量miは、上部構造物の全重量Mに対して5〜80%の大きさに設定し、摩擦要素10の滑り出し荷重fは、各ケースにおける慣性質量mi×重力加速度g×(1/20)とした。
また、表2に、解析に使用した入力地震動と、その最大加速度の値を示す。さらに、図5に、速度応答スペクトル(減衰5%)を示す。このうち、El Centro、八戸、Taftの各入力地震動の波については、最大加速度を50cm/sに基準化して用いた。また、各入力地震動の入力方向を1方向にして解析を行なった。
Figure 0005945889
Figure 0005945889
次に、地震応答解析の結果について説明する。
はじめに、図6は、告示波レベル2を入力した際の各モデルの慣性質量比と応答値の関係を示している。また、応答値は、免震層変位(図6(a))、ダンパーの反力(図6(b))、各階の応答加速度(図6(c))、各階(層)の層間変形角(図6(d))であり、ここでは、慣性質量比を0.2と0.5にした場合の解析結果を示している。さらに、図7は、モデルC(本発明)に各地震波を入力した際のモデルA(従来免震モデル)との免震層変位比と慣性質量比の関係を示し、図8は、モデルC(本発明)に各地震波を入力した際の全階における最大加速度と慣性質量比の関係を示している。
まず、図6(b)に示すように、モデルB(過負荷防止機構がないモデル)、モデルC(本発明)ともに、慣性質量比が大きくなるほどダンパー反力が増加するが、モデルCでは、過負荷防止機構11の効果により、モデルBに比べて最大60%程度、ダンパー反力が低減することが確認された。また、図6(a)に示すように、モデルB、モデルCともに、モデルA(従来免震モデル)と比べ、慣性質量比を大きくするほど免震層4の変位が小さくなることが確認された。また、モデルBとモデルCの変位には大きな差異が認められなかった。
そして、これらの結果から、応答低減機構7が慣性質量ダンパー8、9だけでなく過負荷防止機構11を備えていることにより、変位低減効果を維持したまま、ダンパー反力を大幅に低減できることが実証された。但し、慣性質量比が小さすぎると、免震層4の変位の抑制効果は小さくなり、図7に示すように、慣性質量比を0.2以上にすると免震層4の変位を15%程度低減できることが確認された。これにより、モデルC(本発明)のように応答低減機構7(免震構造1)を構成する場合において、慣性質量比を0.2以上にすることで、確実且つ効果的に免震層4の変位を抑制できることが実証された。
ここで、構造体バネ5として適用する積層ゴムは、市販されている大型のものでその最大許容変位が70cm程度であるが、モデルAに対し、例えば上町断層帯を震源とする大阪地区の想定地震動を入力すると免震層4の変位が80cm程度になってしまう。これに基づき、免震層4の変位をモデルAに対して15%程度低減させることが必要とされている。
一方、各階の応答加速度や層間変形角の解析結果を示す図6(c)及び図6(d)から、慣性質量ダンパー8、9を付加することにより、モデルBとモデルCの各応答値は、モデルAに比べ、慣性質量比が大きくなると増加する傾向が認められた。しかしながら、このとき、モデルCはモデルBと比べるとその増加量が小さく、層間変形角においては全てのケースで1/200を大幅に下回る結果となった。
但し、慣性質量比を大きくし過ぎると、各階の応答加速度が増加する傾向が認められた。ここで、「非構造部材の耐震設計施工指針・同解説および耐震設計施工要領:日本建築学会」には、免震建物の場合、床の加速度が200〜250(gal(=cm/s))を超えると、例えば書棚や食器戸棚、システム家具などのアスペクト比が0.2前後の細い家具や置物が転倒する危険性が高まることが示されている。このため、免震構造1を備えることで、全ての階の最大加速度を200gal程度以下に抑えることが求められる。
そして、図8に示すように、モデルCにおいては、慣性質量比が0.5を超えると上部構造物2の最大加速度が200galを超えることが確認された。これにより、モデルC(本発明)のように応答低減機構7(免震構造1)を構成する場合において、慣性質量比を0.5以下にすることで、確実且つ効果的に上部構造物2の最大加速度を抑制できることが実証された。
なお、図6(c)、図6(d)に示すモデルD(免震層4の減衰を十分に大きくした従来免震モデル)の応答値は、モデルCの慣性質量比を0.5としたときの免震層変位と同じ変位となるように減衰量を調整したモデルの応答値である。そして、このモデルDの結果と慣性質量比0.5のモデルCの結果を比較すると、全ての階の応答加速度と全層の層間変形角がモデルCの応答値を大きく上回ることが確認された。このことから、モデルDでは減衰量を大きくすることにより免震層変位を低減することは可能であるが、応答加速度と層間変形角を抑える免震効果が低くなってしまうことが確認された。
〔実施例2〕
次に、モデルC(本発明)に対し、過負荷防止機構11の頭打ち負担反力fを慣性質量mi×重力加速度g×(1/10)、mi×g×(1/20)、mi×g×(1/40)に変化させて地震応答解析を行なった結果について説明する。ここでは、過負荷防止機構11の頭打ち負担反力fを変化させた各ケースのモデルCに対し、ElCentro、八戸、Taft、告示、三の丸の各入力地震動の波を入力し、応答加速度、免震層変位、ダンパー応力、層間変形角を求めた。
また、図9〜図11は、ElCentro波を入力し、順に、mi×g×(1/10)、mi×g×(1/20)、mi×g×(1/40)のときの応答値(応答加速度、免震層変位、ダンパー応力、層間変形角)を求めた結果を示している。同様に、図12〜図14が八戸波、図15〜図17がTaft波、図18〜図20が告示波、図21〜図23が三の丸波をそれぞれ入力した結果を示している。
そして、これらの結果から、変位を15%程度低減し、加速度を200gal程度に抑制できる慣性質量比の範囲は、mi×g×(1/40)で「0.3〜0.7」、mi×g×(1/20)で「0.2〜0.5」、mi×g×(1/10)で「0.2のみ」となることが確認された。これにより、過負荷防止機構11の頭打ち負担反力fをmi×g×(1/10)以下に設定すれば、確実且つ効果的に、免震層4の変位を15%程度低減させつつ、応答加速度を200gal程度に抑制できることが実証された。
したがって、本実施形態の免震構造1においては、応答低減機構7が第1の慣性質量ダンパー8と第2の慣性質量ダンパー9を備えることにより、上部構造物2を構造体バネ5と構造体減衰6で免震支持してなる免震構造(応答低減機構7を備えていない免震構造:モデルA)と比較し、免震層変位を例えば最大で40%程度低減することが可能になる。また、応答低減機構7が過負荷防止機構11を備えることにより、免震層4の変位低減効果を保ちつつ、上部構造物2の応答加速度や層間変形角の増加量を抑制することが可能になる。
よって、本実施形態の免震構造1によれば、オイルダンパーの第1の付加減衰と第2の付加減衰、慣性質量ダンパー、復元バネを備えた従来の応答低減機構と比較し、高価なオイルダンパーを用いず、部材点数を少なくして応答低減機構7を構成し、確実に免震機能を発揮して上部構造物2の地震時応答を低減させることが可能になる。
また、本実施形態の免震構造1においては、慣性質量比を0.2〜0.5にすることで、免震層4の変位低減効果と上部構造物2の応答加速度や層間変形角の抑制効果をバランスよく活用することが可能になる。
また、摩擦要素10に滑りが生じる制限負荷fを、慣性質量mi×重力加速度g×(1/10)以下にすることによっても、免震層4の変位低減効果と上部構造物2の応答加速度や層間変形角の抑制効果をバランスよく活用することが可能になる。
以上、本発明に係る免震構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 免震構造
2 上部構造物
3 固定端
4 免震層
5 構造体バネ
6 構造体減衰
7 応答低減機構
8 第1の慣性質量ダンパー
9 第2の慣性質量ダンパー
10 摩擦要素
11 過負荷防止機構

Claims (2)

  1. 上部構造物と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造物を構造体バネと構造体減衰を介して前記固定端に接続するとともに、前記上部構造物の地震時応答を低減させるための応答低減機構を前記構造体バネと並列に設けてなる免震構造であって、
    前記応答低減機構が、第1の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと並列に設けられた第2の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと直列に設けられ、摩擦要素の滑りによって前記第1の慣性質量ダンパーに作用する負荷を制限する過負荷防止機構とを備え、且つ、慣性質量比を0.2〜0.5にして構成されていることを特徴とする免震構造。
  2. 上部構造物と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造物を構造体バネと構造体減衰を介して前記固定端に接続するとともに、前記上部構造物の地震時応答を低減させるための応答低減機構を前記構造体バネと並列に設けてなる免震構造であって、
    前記応答低減機構が、第1の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと並列に設けられた第2の慣性質量ダンパーと、前記第1の慣性質量ダンパーと直列に設けられ、摩擦要素の滑りによって前記第1の慣性質量ダンパーに作用する負荷を制限する過負荷防止機構とを備え、且つ、前記摩擦要素に滑りが生じる制限負荷を、慣性質量×重力加速度×(1/10)以下にして構成されていることを特徴とする免震構造。
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