JP6636383B2 - 免震構造及び免震構造を設計する方法 - Google Patents

免震構造及び免震構造を設計する方法 Download PDF

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Description

本発明は、免震構造及び免震構造を設計する方法に関する。
近年、地震から構造物を保護するための技術が検討されている。その技術の一つに、免震構造がある。免震構造は、地震によって構造物に印加される振動を減衰する。免震構造は、バネ要素と減衰要素とを含む。例えば、特許文献1には、特定の振動モードを低減する技術が開示されている。この技術では、基礎構造物と保護対象である構造物との間にバネ要素と減衰要素とが配置され、さらに、特定の振動モードを抑制するための慣性質量が配置される。また、免震構造の別の例として、構造物の固有周期を長周期化させて構造物の一次振動モードに基づく振動を減衰すると共に、比較的大きな減衰性能を有する減衰要素によって構造物の一次振動モードに基づく変形を抑制するものがある。しかし、このような免震構造では、地震に起因する構造物の加速度応答が増幅されることもあり得る。そこで、特許文献2に開示された免震構造では、減衰要素とバネ要素とが直列接続されたいわゆるマクスウェルダンパーを利用して、構造物における加速度応答の増幅を抑制している。
特開2005−213887号公報 特開2015−105554号公報
構造物に地震などに起因する振動が印加されたとき、構造物の変形といった振動の影響は構造物の一次振動モードが支配的であることが多い。そこで、一次振動モードの影響を抑制するために、構造物の固有周期を長周期化すると共に比較的大きな減衰性能を有する免震構造が採用されることがある。この免震構造によれば、一次振動モードの影響は問題ないレベルまで抑制される。しかし、一次振動モードよりも高次の振動モードが問題となる場合があり得る。
本発明では、免震性能を向上させ得る免震構造及び当該免震構造を設計する方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、上部構造物と下部構造物とを含む建物に適用される免震構造であって、上部構造物及び下部構造物に連結され、水平方向への復元力を発揮する下部弾性部と、上部構造物及び下部構造物に連結され、互いに直列に連結された連結弾性部及び連結減衰部を有すると共にマクスウェルの粘弾性モデルに従う粘弾性部と、上部構造物及び下部構造物に連結され、上部構造物に対して水平方向に作用する加速度に基づく慣性力を発揮する慣性質量部と、を備え、下部弾性部、粘弾性部及び慣性質量部は、互いに並列に配置されると共に、それぞれが上部構造物と下部構造物とに連結される。
この免震構造では、建物の固有周期を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加が粘弾性部によって低減される。従って、地震が建物に印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響が低減される。さらに、免震構造では、二次振動モードに起因する変形の増加が慣性質量部によって低減される。従って、地震が建物に印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響が低減される。よって、免震構造によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減し得るので、免震性能を向上させることができる。
免震構造は、下部構造物に載置されると共に上部構造物に連結され、下部構造物との間において水平方向の摩擦力を発揮するすべり支承をさらに備えてもよい。このすべり支承によれば、上部構造物を好適に支持することができる。
本発明の別の形態は、建物に適用される免震構造を設計する方法であって、建物は、第1の質量要素、第2の質量要素、及び第1の質量要素を第2の質量要素に連結する上部弾性要素を含む上部構造物と、上部構造物に対して下方に離間して配置された下部構造物と、下部弾性要素、慣性質量要素、及び、連結弾性要素と連結減衰要素とを含み連結弾性要素に連結減衰要素が直列に連結された粘弾性要素を有し、互いに並列に配置された下部弾性要素、粘弾性要素、及び慣性質量要素のそれぞれが第1の質量要素と下部構造物とに連結される免震構造と、を備え、下部弾性要素の弾性係数(k)、連結弾性要素の弾性係数(k)、及び第1の質量要素の質量(m)を含む第1の関数を利用して、連結減衰要素の減衰係数(C)を得るステップと、下部弾性要素の弾性係数(k)及び連結弾性要素の弾性係数(k)を利用して、第1の等価弾性係数(k)を得るステップと、第1の質量要素の質量(m)、第2の質量要素の質量(m)、第1の等価弾性係数(k)及び上部弾性要素の弾性係数(k)を含む第2の関数を利用して、慣性質量要素の質量(m’)を得るステップと、を有する。
免震構造では、建物の固有周期を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加が粘弾性部によって低減される。この粘弾性部の特性は、減衰係数(C)を得るステップにおいて、建物の一次振動モードを減衰させるように決定される。この方法によれば、地震が建物に印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響を好適に低減し得る減衰係数(C)を得ることができる。さらに、免震構造では、二次振動モードに起因する変形の増加が慣性質量部によって低減される。この慣性質量部の特性は、慣性質量部の質量(m’)を得るステップにおいて、弾性係数(k)と弾性係数(k)とを利用して得られる。この方法によれば、地震が建物に印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響を好適に低減し得る慣性質量(m’)を得ることができる。従って、この免震構造を設計する方法によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減することにより免震性能を向上させ得る免震構造を設計することができる。
本発明の別の形態に係る免震構造を設計する方法は、下部構造物に載置されると共に上部構造物に連結され、下部構造物との間において水平方向の摩擦力を発揮する摩擦要素の等価剛性(k)を得るステップをさらに有し、等価剛性(k)を得るステップは、建物の二次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の二次変位を得るステップと、下部構造物に対する上部構造物の水平方向への変位と摩擦力との関係を示す変位摩擦力特性及び二次変位を利用して割線剛性を得るステップと、割線剛性を摩擦要素の等価剛性(k)として決定するステップと、を含み、第1の等価弾性係数(k)を得るステップは、下部弾性要素の弾性係数(k)、連結弾性要素の弾性係数(k)、及び摩擦要素の等価剛性(k)を利用して、第1の等価弾性係数(k)を得てもよい。この方法によれば、すべり支承の摩擦力を考慮した慣性質量部の質量(m’)を得ることができる。
二次変位を得るステップは、式(1)を利用して二次変位を算出し、式(1)において、δは二次変位であり、δは建物の一次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、βは一次振動モードの刺激係数であり、βは二次振動モードの刺激係数であってもよい。この式(1)によれば、すべり支承の弾性性係数を得るための水平方向の変位を好適に得ることができる。
Figure 0006636383
二次変位を得るステップは、式(2)を利用して二次変位を算出し、式(2)において、δは二次変位であり、δは建物の一次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、γは一次振動モードにおける第1の質量要素の刺激関数であり、γは二次振動モードにおける第1の質量要素の刺激関数であってもよい。この式(2)によれば、すべり支承の等価剛性を得るための水平方向の変位を好適に得ることができる。
Figure 0006636383
第1の関数は式(3)であり、式(3)において、Cは連結減衰要素の減衰係数であり、kは下部弾性要素の弾性係数であり、kは連結弾性要素の弾性係数であり、ωは式(4)に示される円振動数であり、Nは下部弾性要素の弾性係数(k)に対する連結弾性要素の弾性係数(k)の比としての剛性比(k/k)であり、mは第1の質量要素の質量であってもよい。これらの式(3)及び式(4)によれば、一次振動モードに起因する変位を好適に低減可能な減衰係数(C)を得ることができる。
Figure 0006636383

Figure 0006636383
第2の関数は式(5)であり、式(5)において、m’は慣性質量要素の質量であり、kは第1の等価弾性係数であり、mは第1の質量要素の質量であり、mは第2の質量要素の質量であり、kは上部弾性要素の弾性係数であってもよい。この式(5)によれば、二次振動モードに起因する変位を好適に低減可能な慣性質量(m’)を得ることができる。
Figure 0006636383
本発明のさらに別の形態は、上部構造物と下部構造物とを含む建物に適用される免震構造であって、上部構造物及び下部構造物に連結され、水平方向への復元力及び減衰力を発揮する鉛プラグ入り積層ゴム支承と、上部構造物及び下部構造物に連結され、上部構造物に対して水平方向に作用する加速度に基づく慣性力を発揮する慣性質量部と、を備え、鉛プラグ入り積層ゴム支承及び慣性質量部は、互いに並列に配置されると共に、それぞれが上部構造物と下部構造物とに連結される。
この免震構造では、建物の固有周期を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加が鉛プラグ入り積層ゴム支承によって低減される。従って、地震が建物に印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響が低減される。さらに、免震構造では、二次振動モードに起因する変形の増加が慣性質量部によって低減される。従って、地震が建物に印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響が低減される。従って、免震構造によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減し得るので、免震性能を向上させることができる。
本発明のさらに別の形態は、建物に適用される免震構造を設計する方法であって、建物は、第1の質量要素、第2の質量要素、及び第1の質量要素を第2の質量要素に連結する上部弾性要素を含む上部構造物と、上部構造物に対して下方に離間して配置された下部構造物と、慣性質量要素、及び、鉛プラグ入り積層ゴム支承を有し、互いに並列に配置された慣性質量要素及び鉛プラグ入り積層ゴム支承のそれぞれが第1の質量要素と下部構造物とに連結される免震構造と、を備え、鉛プラグ入り積層ゴム支承の変形と荷重との関係を示す変形荷重特性を利用して、鉛プラグ入り積層ゴム支承の第2の等価弾性係数(k)を得るステップと、第2の等価弾性係数(k)、第1の質量要素の質量(m)、第2の質量要素の質量(m)及び上部弾性要素の弾性係数(k)を含む第3の関数を利用して、慣性質量部の質量(m’)を得るステップと、を有し、第2の等価弾性係数(k)を得るステップは、建物の二次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の二次変位を得るステップと、変形荷重特性と二次変位とを利用して割線剛性を得るステップと、割線剛性を鉛プラグ入り積層ゴム支承の第2の等価弾性係数(k)として決定するステップと、を含む。
この免震構造を設計する方法によれば、鉛プラグ入り積層ゴム支承の変形荷重特性を利用して、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減可能な慣性質量を得ることができる。従って、免震性能を向上させ得る免震構造を設計することができる。
二次変位を得るステップは、式(6)を利用して二次変位を算出し、式(6)において、δは二次変位であり、δは建物の一次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、βは一次振動モードの刺激係数であり、βは二次振動モードの刺激係数であってもよい。このステップによれば、第2の等価弾性係数を得るための水平方向の変位を得ることができる。
Figure 0006636383
二次変位を得るステップは、式(7)を利用して二次変位を算出し、式(7)において、δは二次変位であり、δは建物の一次振動モードに起因し、下部構造物に対する上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、γは一次振動モードにおける第1の質量要素の刺激関数であり、γは二次振動モードにおける第1の質量要素の刺激関数であってもよい。このステップによれば、第2の等価弾性係数を得るための水平方向の変位を得ることができる。
Figure 0006636383
第3の関数は式(8)であり、式(8)において、m’は慣性質量部の質量であり、kは第2の等価弾性係数であり、kは上部弾性要素の弾性係数であり、mは第1の質量要素の質量であり、mは第2の質量要素の質量であってもよい。この式(8)によれば、二次振動モードに起因する変位を好適に低減し得る慣性質量(m’)を得ることができる。
Figure 0006636383
本発明によれば、免震性能を向上させ得る免震構造及び当該免震構造を設計する方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係る免震構造が適用された建物を示す図である。 (a)部は図1に示された粘弾性装置を示す図であり、(b)部は図1に示された回転質量装置を示す図である。 図1に示された建物及び免震構造を振動モデルとして示した図である。 二自由度系としてモデル化した建物の各振動モードに対応する変形を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態に係る免震構造を設計する方法の主要なステップを示すフロー図である。 (a)部は減衰係数と減衰定数との関係を示すグラフであり、(b)部は減衰定数と固有周期との関係を示す図である。 地震に対する建物の加速度応答スペクトルの一例を示すグラフである。 (a)部は比較例に係る免震構造の応答解析の結果であり、(b)部は第1実施形態に係る設計方法によって設計された免震構造の応答解析の結果である。 本発明の第2実施形態に係る免震構造が適用された建物を示す図である。 図9に示された鉛プラグ入り積層ゴム支承装置の構造を示す図である。 図9に示された建物及び免震構造を振動モデルとして示した図である。 本発明の第2実施形態に係る免震構造を設計する方法の主要なステップを示すフロー図である。 鉛プラグ入り積層ゴム支承装置の変形荷重特性を示すグラフである。 変形例に係る免震構造を振動モデルとして示した図である。 変形例に係る免震構造を設計する方法の主要なステップを示すフロー図である。 すべり支承の変位摩擦力特性を示すグラフである。
〔第1実施形態〕
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、建物100は、免震構造1と、下部構造物2と、上部構造物3と、を備える。下部構造物2は、上部構造物3に対して下方に離間して配置されて、地盤101に対して固定された基礎である。上部構造物3は、免震構造1を介して下部構造物2の上に配置された躯体である。上部構造物3は、柱4aや梁4bなどを含む躯体構造4と、床構造6とを含む。
免震構造1は、下部構造物2から上部構造物3に伝達される水平方向の振動を減衰させる。免震構造1は、すべり支承装置7と、弾性ゴム8(下部弾性部)、粘弾性装置9(粘弾性部)、回転質量装置11(慣性質量部)を備える。
すべり支承装置7は、上部構造物3に基づく鉛直下向きの荷重を支持する。この荷重は、上部構造物3の躯体構造4の重量と床構造6の重量とを合せたものである。複数のすべり支承装置7は、下部構造物2の主面2aにおいてマトリクス状に配置される。すべり支承装置7は、上部構造物3を構成する柱4aの直下に配置される。すべり支承装置7は、床構造6の下面に固定された建物側の滑り部7aと、下部構造物2の主面2aに固定された基礎側の滑り部7bと、を有する。すべり支承装置7は、滑り部7aと滑り部7bとの間で水平方向の滑りを生じさせる。この滑りによって、下部構造物2に対して床構造6が水平方向に相対的に移動できる。
弾性ゴム8は、いわゆる水平バネとして機能するものであり、上部構造物3に基づく鉛直下向きの荷重が作用しないように配置される。弾性ゴム8は、下部構造物2及び床構造6に連結される。下部構造物2に対して床構造6が水平方向に相対移動すると、弾性ゴム8は、せん断変形を生じる。このせん断変形により、弾性ゴム8は水平方向における復元力を発揮する。
弾性ゴム8は、すべり支承装置7とは別体であるので、すべり支承装置7及び弾性ゴム8は、それぞれ所望の位置に配置できる。従って、すべり支承装置7及び弾性ゴム8の配置の自由度を高めることができる。弾性ゴム8は、下部構造物2と上部構造物3との間において、任意の場所に任意の数だけ配置してよい。従って、免震構造1は、弾性ゴム8の配置自由度が高いので、弾性ゴム8の配置によって上部構造物3の重心に上部構造物3の剛心を合わせやすい。このような構成によれば、地震等で上部構造物3に水平方向への力が加わった場合に、建物100がねじれることによって上部構造物3が損傷しやすくなるという問題の発生を抑制できる。
弾性ゴム8は水平方向に自在に変形可能である。換言すると、弾性ゴム8の水平方向における弾性定数は、変形の方向によらず一定である。従って、免震構造1の固有周期も方向によらず一定である。免震構造1の固有周期は、床構造6への揺れの入力遮断性能を向上させる観点に基づき、例えば10秒以上15秒以下に設定される。弾性ゴム8には、種々のゴムを採用することができる。従って、弾性ゴム8におけるクリープを生じにくくさせることが可能となる。
粘弾性装置9は、上部構造物3の水平方向における揺れを減衰させる。すなわち、粘弾性装置9は、下部構造物2に対する床構造6の水平方向に沿った相対変位を低減する。粘弾性装置9は、水平面上で互いに点対称或いは線対称となる位置に配置される。粘弾性装置9は、すべり支承装置7及び弾性ゴム8に対して別体である。
図2の(a)部に示されるように、粘弾性装置9は、バネ機構12(連結弾性部)と、オイルダンパ13(連結減衰部)と、を備える。バネ機構12とオイルダンパ13とは互いに直列に接続される。このようにオイルダンパ13といった減衰要素が、バネ機構12といった弾性要素に直列接続された粘弾性装置9は、いわゆるマクスウェル型の減衰装置である。バネ機構12は、クレビス16と第1のブラケット14とを介して下部構造物2の主面2aに連結される。クレビス16の内部には球面軸受が設けられており、この球面軸受によって第1のブラケット14に対するバネ機構12の傾きが吸収される。バネ機構12は、下部構造物2に対する床構造6の相対的な水平方向への変位に対応する付勢力を発生させる。バネ機構12の一端に連結されたオイルダンパ13は、第2のブラケット17を介して床構造6の下面6aに連結される。また、オイルダンパ13は、オイルが封入されたシリンダと、シリンダに対して出没するロッドとを備える。
なお、粘弾性装置9において、バネ機構12が第1のブラケット14を介して床構造6に連結されると共に、オイルダンパ13が第2のブラケット17を介して下部構造物2に連結されてもよい。
図2の(b)部に示されるように、回転質量装置11は、下部構造物2に対する床構造6の水平方向に沿った加速度に対応する慣性力を発揮する。この慣性力によれば、水平方向に沿った加速度が低減される。回転質量装置11は、粘弾性装置9と同様に、水平面上で互いに点対称或いは線対称となる位置に配置される。回転質量装置11は、すべり支承装置7、弾性ゴム8及び粘弾性装置9に対して別体である。
回転質量装置11は、第3のブラケット18を介して下部構造物2の主面2aに連結され、第4のブラケット19を介して床構造6の下面6aに連結される。第4のブラケット19は、揺動部19aを有し、回転質量装置11を床構造6に対して揺動可能に連結する。
回転質量装置11は、フライホイール21と、ロッド22と、を備える。ロッド22は、その一端が揺動部19aを介して第4のブラケット19に連結され、他端がフライホイール21に連結される。ロッド22は、フライホイール21に対してその軸線方向に相対的に移動可能である。フライホイール21は円筒状の質量体を有し、ロッド22の軸線方向への直線運動を軸線まわりの質量体の回転運動に変換する。つまり、上部構造物3に水平方向の加速度が作用すると、床構造6、第4のブラケット19を介してロッド22がフライホイール21に対して水平方向に移動する。このロッド22の移動はフライホイール21の質量体の回転を生じさせる。回転体は、その直径及び質量に基づく慣性モーメントを有するので、ロッド22は、この慣性モーメントに起因する反力を受けながらフライホイール21に対して相対的に移動する。フライホイール21は、ねじ貫通型のクレビスを介して下部構造物2に接続される。フライホイール21は、回転質量体の直径及び質量などを設計変数としての慣性質量(m’)を有する。
なお、回転質量装置11において、第3のブラケット18が床構造6に連結されると共に、第4のブラケット19が下部構造物2に連結されてもよい。
図3は、建物100を振動モデルとして図示したものである。図3に示されるように、建物100は、床構造6を第1の質量要素とし、躯体構造4を第2の質量要素として扱った二質点系の振動系として示される。以下、床構造6の質量を質量(m)として示す。また、躯体構造4の質量を質量(m)として示す。躯体構造4と床構造6とは、上部弾性要素により結合されている。上部弾性要素は、躯体構造4の柱4aや梁4bといった構成要素に起因する。以下、躯体構造4における上部弾性要素の弾性係数を弾性係数(k)として示す。
下部構造物2と床構造6との間には、3個の振動要素、つまり、弾性ゴム8、粘弾性装置9及び回転質量装置11が配置される。弾性ゴム8は、下部弾性要素であり、粘弾性装置9は、粘弾性要素であり、回転質量装置11は、慣性質量要素である。さらに、粘弾性装置9において、バネ機構12が連結弾性要素であり、オイルダンパ13が連結減衰要素である。これら下部弾性要素、粘弾性要素及び慣性質量要素は、互いに直列に連結されることはなく、下部構造物2と床構造6との間に互いに並列に配置される。下部弾性要素としての弾性ゴム8の弾性係数を、弾性係数(k)として示す。連結弾性要素としてのバネ機構12の弾性係数を、弾性係数(k)として示す。連結減衰要素としてのオイルダンパ13の減衰係数を、減衰係数(C)として示す。慣性質量要素としての回転質量装置11の質量を、質量(m’)として示す。
二自由度振動系である建物100は、一次固有周期(T)及び二次固有周期(T)を有する。地震に基づく振動が建物100に入力されたとき、建物100は、それぞれの固有周期(T,T)に対応する振動モードに従って変形する。具体的には、建物100の変形は、一次振動モードに対応する変形と、二次振動モードに対応する変形との足し合わせにより表現される。例えば、図4は、建物100のモード解析を行った結果を示す。横軸は水平方向における正規化された変位を示し、縦軸は建物100の鉛直方向における高さを示す。図4に示されるように、建物100は、一次振動モードに従う変形により、上部構造物3が下部構造物2に対して水平に移動する変形モード(グラフG1参照)を有する。また、建物100は、二次振動モードに従う変形により、鉛直方向における所定位置を節とした変形モード(グラフG2参照)を有する。
この免震構造1では、建物100の一次固有周期(T)を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加が粘弾性装置9のオイルダンパ13によって低減される。従って、地震が建物100に印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響が低減される。さらに、免震構造1では、二次振動モードに起因する加速度の増加が回転質量装置11によって低減される。従って、地震が建物100に印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響が低減される。よって、免震構造1によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減し得るので、免震性能を向上させることができる。
次に、図5、図6、図7及び図8を適宜参照しつつ、免震構造を設計する方法について説明する。建物100は、7個の設計変数を有する。具体的に、7個の設計変数とは、質量(m)、質量(m)、弾性係数(k)、弾性係数(k)、弾性係数(k)、減衰係数(C)及び質量(m’)である。なお、すべり支承装置7は水平方向への相対移動に対してはほとんど抵抗しないものとして取り扱う。
まず、建物100の一次固有周期(T)を設定する(ステップS1)。固有周期(T,T)は、弾性係数(k)、弾性係数(k)、質量(m)及び質量(m)により決定される。具体的には、予想される地震波が建物100に入力されたとき、建物100の応答加速度が所定値以下になる一次固有周期(T)を決定する。また、質量(m)及び質量(m)は、予め設定されている。従って、一次固有周期(T)、質量(m)及び質量(m)から弾性係数(k)及び弾性係数(k)が決定される。
次に、最適減衰係数(C)を得る(ステップS2)。図6の(a)部は、減衰係数(C)と減衰定数(h)の関係を示す。そして、グラフG3は一次振動モードに対応する減衰係数(C)と減衰定数(h)の関係であり、グラフG4は二次振動モードに対応する減衰係数(C)と減衰定数(h)の関係である。これらの関係は、複素固有値解析を行うことにより得られる。ここで、免震構造の設計に要する値は、グラフG3において減衰定数(h)を最大値とする最適減衰係数(C)である。この最適減衰係数(C)は、下記式(9)(第1の関数)及び式(10)により得られる。
Figure 0006636383

Figure 0006636383

式(9)において、ωは式(10)に示される円振動数である。Nは弾性係数(k)に対する弾性係数(k)の比を示す剛性比(k/k)である。
ところで、図7は、地震が建物100に入力したときの建物100の加速度応答スペクトルを示す。横軸は建物100の固有周期(T)であり、縦軸は応答加速度である。例えば、図7のグラフG7によれば、建物100の固有周期(T)である場合には、応答加速度(R)が得られる。そして、一次固有周期(T)を設定するステップS1で決定された固有周期(T)とした場合には、応答加速度(R)が得られる。応答加速度(R)は、応答加速度(R)より小さいので、長周期化により応答加速度を低減できることがわかる。
上述したように、建物100は一次固有周期(T)と二次固有周期(T)を有する。二次固有周期(T)は一次固有周期(T)より短い。従って、建物100において、一次固有周期(T)であるとき、二次固有周期(T)である場合があり得る。この場合には、一次固有周期(T)に対応する一次振動モードの影響は抑制される。しかし、二次固有周期(T)では応答加速度(R)であり、応答加速度(R)よりも大きくなってしまう。従って、二次振動モードの影響が無視できなくなる。そこで、二次振動モードを低減させる点から、回転質量装置11の慣性質量(m’)を設定する。
二次振動モードを低減させる、つまり、二次振動モードをゼロに近づける慣性質量(m’)の決定には、式(11)(第2の関数)を利用する。ここで、式(11)におけるkは、後述する第1の等価弾性係数であり、式(12)より示される。
Figure 0006636383

Figure 0006636383
式(11)を本実施形態の設計方法に利用する場合、例えば、単純にバネ機構12を無視して(k=0)とすると、二次振動モードを好適に抑制することができない。図8の(a)部は、式(11)において、(k=k)とした場合の解析結果である。グラフG8は、躯体構造4における加速度応答を示す。グラフG9は、床構造6における加速度応答を示す。グラフG9に示されるように、床構造6における加速度が十分に抑制されていない。従って、式(11)の取り扱いにおいては、バネ機構12の取り扱いが問題となる。
図6の(b)部は、減衰係数(C)と固有周期(T)との関係を示す。減衰係数(C)がゼロのとき、一次振動モードは固有周期(T)であり、二次振動モードは固有周期(T)である。減衰係数(C)が大きくなると、一次振動モードでは、固有周期(T)が減衰係数(C)を境に大幅に低下し、固有周期(T’)に収束する。一方、二次振動モードでは、固有周期(T)が減衰係数(C)を境に大幅に低下し、固有周期(T’)に収束する。一次振動モードの固有周期(T)が低下する減衰係数(C)は、二次振動モードの固有周期(T)が低下する減衰係数(C)より大きい。
既に述べたように、ステップS2では、オイルダンパ13の減衰係数(C)を最適減衰係数(C)に設定した。グラフG6を参照すると、この最適減衰係数(C)には、二次固有周期(T’)が対応する。この状態は、バネ機構12が振動に対して有効に機能している状態である。ここで、免震構造1における弾性係数を示す第1の等価弾性係数(k)を導入する。バネ機構12が振動に対して有効に機能している状態では、免震構造1における弾性要素は、式(12)に示されるように、弾性ゴム8とバネ機構12とが並列接続されたものであるとして取り扱える。従って、弾性係数(k)と弾性係数(k)との和を算出することにより、免震構造1における第1の等価弾性係数(k)を得る(ステップS3)。
そして、式(12)により得られた第1の等価弾性係数(k)と、弾性係数(k)と、質量(m)と質量(m)とを式(11)に代入することにより、慣性質量(m’)を得る(ステップS4)。
以上のステップS1、S2、S3及びS4により、免震構造1が設計される。
免震構造1では、建物100の固有周期(T)を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加が粘弾性装置9のオイルダンパ13によって低減される。このオイルダンパ13の特性は、最適減衰係数(C)を得るステップS2において、建物100の一次振動モードの減衰に対応するように決定される。この方法によれば、地震が建物100に印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響を好適に低減し得る最適減衰係数(C)を得ることができる。さらに、免震構造1では、二次振動モードに起因する変形の増加が回転質量装置11によって低減される。この回転質量装置11の特性は、回転質量装置11の慣性質量(m’)を得るステップS3において、弾性ゴム8の弾性係数(k)とバネ機構12の弾性係数(k)との和(k=k+k)として取り扱われる。この方法によれば、地震が建物100に印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響を好適に低減し得る慣性質量(m’)を得ることができる。従って、この免震構造を設計する方法によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減することにより免震性能を向上させ得る免震構造1を設計することができる。
図8の(b)部は、本実施形態の設計方法により設計された免震構造の解析結果である。グラフG10は、躯体構造4における加速度応答を示す。グラフG11は、床構造6における加速度応答を示す。グラフG11に示されるように、床構造6における加速度が十分に低減できていることがわかる。従って、本実施形態の免震構造を設計する方法によれば、二次振動モードに起因する加速度応答を十分に低減できることがわかった。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る免震構造及び免震構造を設計する方法について説明する。図9に示されるように、本実施形態の免震構造1Aは、免震構造1Aが、弾性ゴム8及び粘弾性装置9に代えて、鉛プラグ入り積層ゴム支承装置(以下、LRB23:Lead Rubber Bearingともいう)を備える点で、第1実施形態の免震構造1と相違する。第2実施形態に係る免震構造1Aのそのほかの構成は、第1実施形態に係る免震構造1と同様である。
建物100Aは、免震構造1Aを備える。免震構造1Aは、回転質量装置11と、LRB23とを有する。LRB23は、躯体構造4及び床構造6の荷重を支持すると共に、水平ゴムとして機能し、さらに、減衰機能を有する。つまり、LRB23は、第1実施形態のすべり支承装置7、弾性ゴム8及び粘弾性装置9の機能を併せ持つ。
図10に示されるように、LRB23は、複数枚の鋼板23aと複数枚のゴムシート23bとが鉛直方向に交互に積層されてなる。この鋼板23aが鉛直方向の荷重を支持する機能を発揮する。また。ゴムシート23bが水平ゴムの機能を発揮する。さらに、鋼板23a及びゴムシート23bには、それらの積層方向に貫通する孔が設けられる。この孔には、鉛プラグ23cが配置される。鋼板23a及びゴムシート23bが水平方向に変形したとき、鉛プラグ23cは塑性変形を生じる。この塑性変形によって振動のエネルギーが消費されるので、減衰機能が発揮される。
この免震構造1Aでは、建物100Aの一次固有周期を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加がLRB23によって低減される。従って、地震が建物100Aに印加されたときに生じ得る一次振動モードに起因する影響が低減される。さらに、免震構造1Aでは、二次振動モードに起因する加速度の増加が回転質量装置11によって低減される。従って、地震が建物100Aに印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響が低減される。従って、免震構造1Aによれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減し得るので、免震性能を向上させることができる。
次に、図11に示されるような振動モデルである免震構造1Aを設計する方法について、図12を参照しつつ説明する。建物100Aは、7個の設計変数を有する。具体的に、設計変数とは、床構造6の質量(m)、躯体構造4の質量(m)、躯体構造4の弾性係数(k)、回転質量装置11の慣性質量(m’)、LRB23の弾性係数(k)及びLRB23の減衰係数(C)である。
まず、建物100Aの一次固有周期(T)を得る(ステップS1)。一次固有周期(T)は、弾性係数(k)、弾性係数(k)、質量(m)及び質量(m)により決定される。具体的には、予想される地震波が建物100Aに入力されたとき、建物100Aの応答加速度が所定値以下になる一次固有周期(T)を決定する。次に、LRB23の最適減衰係数(C)を得る(ステップS2)。このステップS2は、第1実施形態のステップS2と同様の処理により実行される。
次に、第2の等価弾性係数(k)を得た(ステップS3A)後に、第2の等価弾性係数(k)を用いて慣性質量(m’)を得る(ステップS4A)。図13に示されるように、LRB23の弾性係数は、唯一の値ではなく、変形量又は荷重によって種々の値を取り得る。図13は、LRB23の変形荷重特性を示す。横軸は水平方向の変形量であり、縦軸は荷重である。図13に示されるように、LRB23は、いわゆるバイリニアループと呼ばれるヒステリシス性を有する。このような特性を有するLRB23の弾性係数(k)は、割線剛性として示すことができる。この場合の割線剛性は、原点Oから点Aを結ぶ直線L1の傾き(k)として扱うことができる。従って、慣性質量(m’)を決定する際に用いる第2の等価弾性係数(k)をどのように扱うかが問題となる。発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の手順によって得られた第2の等価弾性係数(k)によれば、二次振動モードの影響を低減し得る好適な慣性質量(m’)が得られることを見出した。
第2の等価弾性係数(k)の導出には、二次振動モードに対応する二次変位(δ)を利用する。具体的には、まず、一次振動モードに対応する一次変位(δ)を得る(ステップS3a)。そして、この一次変位(δ)から二次振動モードに対応する二次変位(δ)を導出する(ステップS3b)。この導出には、式(13)を利用する。式(13)において、δは二次振動モードに対応する床構造6の二次変位であり、δは床構造6の一次変位量であり、βは一次振動モードの第1の刺激係数であり、βは二次振動モードの第2の刺激係数である。
Figure 0006636383
式(13)から得られた二次変位(δ)と、図13に示された変位荷重特性とを利用して、第2の等価弾性係数(k)としての割線剛性を得る。具体的には、二次変位(δ)に対応するループP1上の点Bを得る。次に、点Bと原点Oと結ぶ直線L2を得る。そして、直線L2の傾きを得る(ステップS3c)。そして、この傾きを第2の等価弾性係数(k)として決定する(ステップS3d)。
次に、第2の等価弾性係数(k)を利用して、慣性質量(m’)を得る(ステップS4A)。このステップS4Aは、第3の関数である式(14)を用いる。
Figure 0006636383
以上のステップS1〜S4Aにより、免震構造1Aが設計される。
免震構造1Aでは、建物100Aの固有周期(T)を長周期化させたときに生じ得る一次振動モードに起因する変形の増加がLRB23によって低減される。このLRB23の特性は、最適減衰係数(C)を得るステップS2において、建物100Aの一次振動モードの減衰に対応するように決定される。従って、一次振動モードに起因する影響を好適に低減できる。さらに、免震構造1Aでは、二次振動モードに起因する変形の増加が回転質量装置11によって低減される。この回転質量装置11の特性は、回転質量装置11の質量(m’)を得るステップS4において、LRB23の変形荷重特性に基づく第2の等価弾性係数(k)として取り扱われる。この方法によれば、地震が建物100Aに印加されたときに生じ得る二次振動モードに起因する影響を好適に低減し得る慣性質量(m’)を決めることができる。従って、この免震構造1Aを設計する方法によれば、一次振動モード及び二次振動モードに起因する影響を低減することにより免震性能を向上させ得る免震構造1Aを設計することができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る免震構造及び免震構造を設計する方法の一例を示すものである。本発明に係る免震構造及び免震構造を設計する方法は、実施形態に係る免震構造及び免震構造を設計する方法に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、変形し又は他のものに適用したものであってもよい。
第1実施形態の免震構造を設計する方法では、すべり支承装置7は水平方向への相対変位に対してはほとんど影響しないものとして取り扱った。しかし、免震構造を設計する方法には、図14に示されるように、摩擦要素として、すべり支承装置7におけるすべりの影響すなわち摩擦力を取り入れてもよい。実際の免震構造1Bでは、滑り部7aと滑り部7bとの間において抵抗力としての摩擦力を生じる。この摩擦力は、すべり支承装置7が支持する構造物の重さと摩擦係数とに起因するものであるが、水平方向における変位とその変位が生じた時の摩擦力との関係を利用して取り扱うことも可能である。従って、すべり支承装置7により生じ得る摩擦の影響を、水平方向への変位とその時の摩擦力との関係の等価剛性として示す。図14は、すべり支承装置7の等価剛性(k)を取り入れた振動モデルを示す。免震構造1Bは、免震構造1Bに示された振動要素に加えてさらに、振動要素としてのすべり支承装置7を含む。
図15に示されるように、変形例に係る免震構造を設計する方法は、建物100Bの固有周期(T)を決定するステップS1と、オイルダンパ13の最適減衰係数(C)を決定するステップS2と、に加えてさらに、すべり支承の等価剛性(k)を得るステップS3Bを実施した後に、回転質量装置11の慣性質量(m’)を設定するステップS4Bを実施する。ステップS1及びステップS2は、第1実施形態と同様である。
ステップS3Bは、図16に示された変位摩擦力特性を利用して等価剛性(k)を得る。変位摩擦力特性とは、すべり支承装置7における水平方向における変位と摩擦力との関係である。図16に示されるように、すべり支承の等価剛性(k)は唯一の値ではなく、変位又は摩擦力の組み合わせによって種々の値を取り得る。そこで、すべり支承の等価剛性(k)は、上述したLRB23の弾性係数(k)を算出した手法と同様に、等価剛性(k)を割線剛性として算出する。
具体的には、まず、建物100Bの一次振動モードに対応する床構造6の一次変位(δ)を得る(ステップS3e)。次に、下記式(15)を利用して、一次変位(δ)から二次変位(δ)を得る(ステップS3f)。式(15)において、βは一次振動モードの第1の刺激係数であり、βは二次振動モードの第2の刺激係数である。
Figure 0006636383
そして、式(15)から得られた二次変位(δ)と図16に示された変位摩擦力特性とを利用して、すべり支承の等価剛性(k)としての割線剛性を得る(ステップS3g)。具体的には、二次変位(δ)に対応するループP2上の点Cを得る。点Cと原点Oとを結ぶ直線L3を得る。この直線L3の傾きが割線剛性である。そして、割線剛性を、すべり支承装置7の等価剛性(k)とする(ステップS3h)。
次に、すべり支承の等価剛性(k)を利用して慣性質量(m’)を得る(ステップS4B)。このステップS4Bには、下記式(16)が用いられる。ここで第1の等価弾性係数(k)は、式(17)に示されるように、弾性係数(k)、弾性係数(k)、及びすべり支承の等価剛性(k)の総和(k+k+k)である。
Figure 0006636383

Figure 0006636383
変形例に係る免震構造を設計する方法によれば、すべり支承装置7の摩擦を考慮した慣性質量(m’)の設定が可能になる。従って、実際に施工される免震構造1Bの振動特性により近いモデルに基づいて慣性質量(m’)が設定されるので、良好な免震性能を発揮し得る免震構造を設計することができる。
また、第1実施形態の変形例では、ステップS3fにおいて、刺激係数(β,β)を用いて二次変位(δ)を得た。同様に、第2実施形態では、ステップS3bにおいて、刺激係数(β,β)を用いて二次変位(δ)を得た。二次変位(δ)を得るステップでは、刺激係数(β,β)に代えて、刺激関数(γ、γ)を用いてもよい。式(18)は、刺激関数(γ、γ)を用いて一次変位(δ)から二次変位(δ)を得る算出式である。式(18)において、γは一次振動モードにおける床構造6の刺激関数であり、γは二次振動モードにおける床構造6の刺激関数である。刺激関数によっても、水平方向の二次変位を好適に得ることができる。
Figure 0006636383
また、上記実施形態では、下部構造物2が基礎であり、上部構造物3が躯体構造であったがこれに限定されることはない。下部構造物2及び上部構造物3が共に躯体構造であってもよい。例えば、20階建ての建物において、下部構造物2を1階から10階までの躯体構造とし、上部構造物3を11階から20階までの躯体構造としてもよい。すなわち、免震構造は、1階から10階までの躯体構造と11階から20階までの躯体構造との間に配置されてもよい。さらに、本発明に係る免震構造及び免震構造を設計する方法は、構造物として橋梁構造物や鉄道構造物に用いられてもよい。
1,1A,1B…免震構造、2…下部構造物、3…上部構造物、4…躯体構造、6…床構造、7…すべり支承装置、8…弾性ゴム(下部弾性部)、9…粘弾性装置(粘弾性部)、11…回転質量装置(慣性質量部)、12…バネ機構(連結弾性部)、13…オイルダンパ(連結減衰部)、23…鉛プラグ入り積層ゴム支承装置、100…建物、101…地盤。

Claims (13)

  1. 上部構造物と下部構造物とを含む建物に適用される免震構造であって、
    前記上部構造物及び前記下部構造物に連結され、水平方向への復元力を発揮する下部弾性部と、
    前記上部構造物及び前記下部構造物に連結され、互いに直列に連結された連結弾性部及び連結減衰部を有すると共にマクスウェルの粘弾性モデルに従う粘弾性部と、
    前記上部構造物及び前記下部構造物に連結され、前記上部構造物に対して水平方向に作用する加速度に基づく慣性力を発揮する慣性質量部と、を備え、
    前記下部弾性部、前記粘弾性部及び前記慣性質量部は、互いに並列に配置されると共に、それぞれが前記上部構造物と前記下部構造物とに連結される免震構造。
  2. 前記下部構造物に載置されると共に前記上部構造物に連結され、前記下部構造物との間において水平方向の摩擦力を発揮するすべり支承をさらに備える、請求項1に記載の免震構造。
  3. 建物に適用される免震構造を設計する方法であって、
    前記建物は、
    第1の質量要素、第2の質量要素、及び前記第1の質量要素を前記第2の質量要素に連結する上部弾性要素を含む上部構造物と、
    前記上部構造物に対して下方に離間して配置された下部構造物と、
    下部弾性要素、慣性質量要素、及び、連結弾性要素と連結減衰要素とを含み前記連結弾性要素に前記連結減衰要素が直列に連結された粘弾性要素を有し、互いに並列に配置された前記下部弾性要素、前記粘弾性要素、及び前記慣性質量要素のそれぞれが前記第1の質量要素と前記下部構造物とに連結される免震構造と、を備え、
    前記下部弾性要素の弾性係数(k)、前記連結弾性要素の弾性係数(k)、及び前記第1の質量要素の質量(m)を含む第1の関数を利用して、前記連結減衰要素の減衰係数(C)を得るステップと、
    前記下部弾性要素の弾性係数(k)及び前記連結弾性要素の弾性係数(k)を利用して、第1の等価弾性係数(k)を得るステップと、
    前記第1の質量要素の質量(m)、前記第2の質量要素の質量(m)、前記第1の等価弾性係数(k)及び前記上部弾性要素の弾性係数(k)を含む第2の関数を利用して、前記慣性質量要素の質量(m’)を得るステップと、を有する、免震構造を設計する方法。
  4. 前記建物は、前記下部構造物に載置されると共に前記上部構造物に連結され、前記下部構造物との間において水平方向の摩擦力を発揮する摩擦要素をさらに備え、
    前記摩擦要素の等価剛性(k)を得るステップをさらに有し、
    前記等価剛性(k)を得るステップは、前記建物の二次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の二次変位を得るステップと、前記下部構造物に対する前記上部構造物の水平方向への変位と前記摩擦力との関係を示す変位摩擦力特性及び前記二次変位を利用して割線剛性を得るステップと、前記割線剛性を前記摩擦要素の等価剛性(k)として決定するステップと、を含み、
    前記第1の等価弾性係数(k)を得るステップは、前記下部弾性要素の弾性係数(k)、前記連結弾性要素の弾性係数(k)、及び前記摩擦要素の等価剛性(k)を利用して、前記第1の等価弾性係数(k)を得る、請求項3に記載の免震構造を設計する方法。
  5. 前記二次変位を得るステップは、式(1)を利用して前記二次変位を算出し、
    前記式(1)において、δは前記二次変位であり、δは前記建物の一次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、βは一次振動モードの刺激係数であり、βは二次振動モードの刺激係数である、請求項4に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383
  6. 前記二次変位を得るステップは、式(2)を利用して前記二次変位を算出し、
    前記式(2)において、δは前記二次変位であり、δは前記建物の一次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、γは一次振動モードにおける前記第1の質量要素の刺激関数であり、γは二次振動モードにおける前記第1の質量要素の刺激関数である、請求項4に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383
  7. 前記第1の関数は式(3)であり、
    前記式(3)において、Cは前記連結減衰要素の減衰係数であり、kは前記下部弾性要素の弾性係数であり、kは前記連結弾性要素の弾性係数であり、ωは式(4)に示される円振動数であり、Nは前記下部弾性要素の弾性係数(k)に対する前記連結弾性要素の弾性係数(k)の比としての剛性比(k/k)であり、mは前記第1の質量要素の質量である、請求項3〜6の何れか一項に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383

    Figure 0006636383
  8. 前記第2の関数は式(5)であり、
    前記式(5)において、m’は前記慣性質量要素の質量であり、kは前記第1の等価弾性係数であり、mは前記第1の質量要素の質量であり、mは前記第2の質量要素の質量であり、kは前記上部弾性要素の弾性係数である、請求項3〜7の何れか一項に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383
  9. 第1の質量要素、第2の質量要素、及び前記第1の質量要素を前記第2の質量要素に連結する上部弾性要素を含む上部構造物と前記上部構造物に対して下方に離間して配置された下部構造物とを含む建物に適用される免震構造であって、
    前記上部構造物及び前記下部構造物に連結され、水平方向への復元力及び減衰力を発揮する鉛プラグ入り積層ゴム支承と、
    前記上部構造物及び前記下部構造物に連結され、前記上部構造物に対して水平方向に作用する加速度に基づく慣性力を発揮する慣性質量部と、を備え、
    前記鉛プラグ入り積層ゴム支承及び前記慣性質量部は、互いに並列に配置されると共に、それぞれが前記上部構造物と前記下部構造物とに連結され
    前記鉛プラグ入り積層ゴム支承は、前記鉛プラグ入り積層ゴム支承の変形と荷重との関係を示す変形荷重特性と、前記建物の二次振動モードに起因し前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の二次変位と、を利用して得られる割線剛性として設定される第2の等価弾性係数(k )を有し、
    前記慣性質量部は、前記第2の等価弾性係数(k )、前記第1の質量要素の質量(m )、前記第2の質量要素の質量(m )及び前記上部弾性要素の弾性係数(k )を含む第3の関数を利用して設定される質量(m ’)を有する、免震構造。
  10. 建物に適用される免震構造を設計する方法であって、
    前記建物は、
    第1の質量要素、第2の質量要素、及び前記第1の質量要素を前記第2の質量要素に連結する上部弾性要素を含む上部構造物と、
    前記上部構造物に対して下方に離間して配置された下部構造物と、
    慣性質量要素、及び、鉛プラグ入り積層ゴム支承を有し、互いに並列に配置された前記慣性質量要素及び前記鉛プラグ入り積層ゴム支承のそれぞれが前記第1の質量要素と前記下部構造物とに連結される免震構造と、を備え、
    前記鉛プラグ入り積層ゴム支承の変形と荷重との関係を示す変形荷重特性を利用して、前記鉛プラグ入り積層ゴム支承の第2の等価弾性係数(k)を得るステップと、
    前記第2の等価弾性係数(k)、前記第1の質量要素の質量(m)、前記第2の質量要素の質量(m)及び前記上部弾性要素の弾性係数(k)を含む第3の関数を利用して、前記慣性質量要素の質量(m’)を得るステップと、を有し、
    前記第2の等価弾性係数(k)を得るステップは、前記建物の二次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の二次変位を得るステップと、前記変形荷重特性と前記二次変位とを利用して割線剛性を得るステップと、前記割線剛性を前記鉛プラグ入り積層ゴム支承の前記第2の等価弾性係数(k)として決定するステップと、を含む、免震構造を設計する方法。
  11. 前記二次変位を得るステップは、式(6)を利用して前記二次変位を算出し、
    前記式(6)において、δは前記二次変位であり、δは前記建物の一次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、βは一次振動モードの刺激係数であり、βは二次振動モードの刺激係数である、請求項10に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383
  12. 前記二次変位を得るステップは、式(7)を利用して前記二次変位を算出し、
    前記式(7)において、δは前記二次変位であり、δは前記建物の一次振動モードに起因し、前記下部構造物に対する前記上部構造物の相対的な水平方向の一次変位であり、γは一次振動モードにおける前記第1の質量要素の刺激関数であり、γは二次振動モードにおける前記第1の質量要素の刺激関数である、請求項10又は11に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383
  13. 前記第3の関数は式(8)であり、
    前記式(8)において、m’は前記慣性質量要素の質量であり、kは前記第2の等価弾性係数であり、kは前記上部弾性要素の弾性係数であり、mは前記第1の質量要素の質量であり、mは前記第2の質量要素の質量である、請求項10〜12の何れか一項に記載の免震構造を設計する方法。
    Figure 0006636383

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