(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の電動弁について、図1、図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の電動弁の縦断面図である。図2(a)は、図1の電動弁が備える弁ハウジングと第1継手及び第2継手の溶接前の状態を示す部分断面図であり、(b)は、溶接後の状態を示す部分断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図1における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図1に示すように、電動弁1は、弁本体10と、第1継手17と、第2継手18と、弁体部20と、ステッピングモータ30と、第1溶接部51と、第2溶接部52と、を備えている。
弁本体10は、弁ハウジング11と、弁座部材12と、弁支持ガイド部材13と、を有している。
弁ハウジング11は、例えば、プレス成形等によりカップ状(有底円筒状)に形成されたステンレス製の部材である。弁ハウジング11の周壁11aの一部箇所には、弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11Aが形成されている。また、弁ハウジング11の底壁11bの中央部には、弁ハウジング11の内外を連通する第2連通孔11Bが形成されている。弁ハウジング11は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
弁座部材12は、内側に弁ポート12aが開口された円環状に形成されたステンレス製の部材である。弁座部材12の外径は、第2連通孔11Bの径と同一又は当該径より僅かに小さく形成されている。弁座部材12は、弁ポート12aと第2連通孔11Bとが連通するようにして弁ハウジング11の第2連通孔11Bにおける弁ハウジング11の内側寄りの箇所に配置され、弁ハウジング11に溶接により接合されている。弁座部材12は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
弁支持ガイド部材13は、樹脂製の略円筒形状の部材であり、その軸方向中央付近の箇所に外縁部がフランジ状に突出するように円環状のステンレス製の取付金具14がインサート成形されている。弁支持ガイド部材13は、取付金具14の外縁部が周方向全体にわたって溶接によって弁ハウジング11の上部開口縁部11cに固定装着されている。これにより、弁支持ガイド部材13は、弁ハウジング11の上部開口を塞ぐように配設される。
弁支持ガイド部材13は、弁ハウジング11の上部開口を塞ぐことにより、弁ハウジング11と共働して円筒空間状の弁室10Aを画定している。つまり、弁ハウジング11は、内側に後述する弁体が収容される弁室10Aが設けられている。
また、弁支持ガイド部材13には弁室10Aへ向けて開口したガイド孔15が形成されており、また、弁支持ガイド部材13の上部には、ガイド孔15と同心の雌ねじ孔16が形成されている。雌ねじ孔16には、後述するステッピングモータ30のロータ軸31に形成された雄ねじ部32が螺合される。
第1継手17は、流体が内側を流れる銅製の配管である。本実施形態では、第1継手17が純銅を材料として構成されている。本明細書において、「銅」には、純銅(純度99.9%以上)に加え、銅とその他の物質とを含む銅合金が含まれる。銅合金としては、主成分である銅を重量比で50%超含むものであればよいが、特に、無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅、又は、アルミニウム青銅などであることが好ましい。第1継手17の外径は、第1連通孔11Aの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第1継手17は、一端部が弁ハウジング11の第1連通孔11Aに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第1連通孔11Aの内周面と溶接により接合されている。
第2継手18は、第1継手17と同様の銅製の配管である。本実施形態では、第2継手18が純銅を材料として構成されている。第2継手18の外径は、第2連通孔11Bの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第2継手18は、フランジ部18aが弁ハウジング11に突き当たるように、その一端部が弁ハウジング11の第2連通孔11Bに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第2連通孔11Bの内周面と溶接により接合されている。第1継手17及び第2継手18は、それぞれ配管部材の一例に相当する。
弁ハウジング11と第1継手17との溶接箇所には、第1溶接部51が設けられている。第1溶接部51は、弁ハウジング11と第1継手17との間で、弁ハウジング11を構成するステンレスと、第1継手17を構成する銅と、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第1溶接部51を介して、弁ハウジング11と第1継手17とが互いに接合されている。
弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18との溶接箇所には、第2溶接部52が設けられている。第2溶接部52は、弁ハウジング11と弁座部材12との間、弁ハウジング11と第2継手18との間、及び、弁座部材12と第2継手18との間のそれぞれで、弁ハウジング11及び弁座部材12を構成するステンレスと、第2継手18を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部52を介して、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とが互いに接合されている。
第1溶接部51及び第2溶接部52は、ステンレス及び銅との溶接箇所において、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを含んで形成されているので、ステンレス及び銅を直接溶接した構成に比べて、ニッケルを介在することによりステンレスと銅とが混ざり合って各材料が互いによくなじむので、溶接不良を抑制でき、そのため、接合強度を高めることができる。
弁体部20は、円筒状の弁ホルダ21と、弁ホルダ21の図中下側の端部に固着されたニードル状の弁体22と、弁ホルダ21内に軸線方向(図1にて上下方向)に移動可能に配設されたバネ受け23と、弁体22とバネ受け23との間に所定の荷重を与えられた状態で配設された圧縮コイルバネ24と、を有している。弁ホルダ21は、弁支持ガイド部材13のガイド孔15内に軸線方向に摺動移動可能に嵌合されている。
ステッピングモータ30は、雄ねじ部32が弁支持ガイド部材13の雌ねじ孔16に螺合されたロータ軸31と、弁ハウジング11に固定装着されたロータケース33と、ロータ軸31に同軸に固定して取り付けられるとともにロータケース33内に軸心周りに回転可能に配置されたロータ34と、ロータケース33の外周部に固定装着されたステータコイルユニット35と、を有している。
ロータ軸31は、その下端が軸心を中心とする相対回転可能な状態で弁体部20の上端部(具体的には、弁ホルダ21の上端部)に連結されている。ロータ軸31は、雄ねじ部32と雌ねじ孔16とのねじ作用により、回転することにより軸線方向に移動し、この軸線方向の移動が弁ホルダ21および弁体22に伝達される。これにより、弁体22が弁室10A内において、弁座部材12に対して進退移動されて、弁ポート12aの開閉又は開度調節を行う。
ロータ34は、外周部を多極着磁され、ボス部34Aにてロータ軸31と固定連結されている。ステータコイルユニット35は、樹脂封止型のものであり、上下2段の電磁コイル部36、磁極歯37、リード線38等を有する略円環状に構成されている。ステータコイルユニット35は、その内側にロータケース33が挿通され、取付金具45によってロータケース33に固定して取り付けられている。また、ロータケース33内には、ロータ34の回転を制限するストッパ機構39が構成されている。
次に、上述した電動弁1の製造方法の一例について、図2(a)、(b)を参照して説明する。
(1:溶接工程)
図2(a)に示すように、弁ハウジング11の第1連通孔11Aに第1継手17の一端部を挿入し、弁ハウジング11の第1連通孔11Aの内周面と第1継手17の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材55を圧入する。または、先にチューブ材55を第1連通孔11Aに嵌め合わせたのち、チューブ材55の内側に第1継手17の一端部を圧入してもよい。つまり、第1連通孔11Aに第1継手17が挿入されるとともに、弁ハウジング11と第1継手17との間にチューブ材55が挟まれている。
次に、弁ハウジング11の外側から第1連通孔11Aの周方向に沿うように全周にわたって、第1連通孔11Aの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)、チューブ材55及び第1継手17の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図2(b)に示すように、第1連通孔11Aの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス、チューブ材55を構成するニッケル及び第1継手17を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング11と第1継手17との間に第1連通孔11Aの全周にわたって、第1溶接部51が形成される。この第1溶接部51によって、弁ハウジング11と第1継手17とが互いに接合される。
また、図2(a)に示すように、弁ハウジング11の第2連通孔11Bに弁座部材12及び第2継手18の一端部を挿入し、弁ハウジング11の第2連通孔11Bの内周面と弁座部材12の外周面及び第2継手18の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材56を圧入する。または、先にチューブ材56を第2連通孔11Bに嵌め合わせたのち、チューブ材56の内側に弁座部材12及び第2継手18を圧入してもよい。つまり、第2連通孔11Bに弁座部材12及び第2継手18が挿入されるとともに、弁ハウジング11と弁座部材12及び第2継手18との間にチューブ材56が挟まれている。
次に、弁ハウジング11の内側から第2連通孔11Bの周方向に沿うように全周にわたって、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)、チューブ材56、弁座部材12の外周面部分及び第2継手18の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図2(b)に示すように、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス、チューブ材56を構成するニッケル、弁座部材12を構成するステンレス及び第2継手18を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18との間に第2連通孔11Bの全周にわたって第2溶接部52が形成される。この第2溶接部52によって、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18が互いに接合される。
(2:組立工程)
次に、弁支持ガイド部材13の雌ねじ孔16にロータ軸31の雄ねじ部32を螺合させるとともに、ロータ軸31の下端に弁体部20を取り付ける。弁支持ガイド部材13の取付金具14を弁ハウジング11の上部開口縁部11cに溶接により固定装着する。そして、ロータ軸31にロータ34を固定して取り付けたのち、ストッパ機構39が内部に組み付けられたロータケース33を、該ロータケース33内に弁支持ガイド部材13の上部、ロータ軸31及びロータ34が収容されるように弁ハウジング11に被せて、ロータケース33を弁ハウジング11の上部開口縁部11cに溶接により固定装着する。そして、ステータコイルユニット35の内側にロータケース33を挿通して、当該ステータコイルユニット35を取付金具45によりロータケース33に固定して取り付ける。これら溶接工程及び組立工程を順次経て、電動弁1が完成する。
以上説明したように、本実施形態の電動弁1は、弁室10Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング11と、弁ハウジング11に接合された銅製の第1継手17及び第2継手18と、を備えている。そして、電動弁1は、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51及び第2溶接部52が設けられ、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18とが、第1溶接部51及び第2溶接部52を介して互いに接合されている。
また、電動弁1は、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11Aに第1継手17を挿入し、第2連通孔11Bに第2継手18を挿入するとともに弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間にニッケルからなるチューブ材55及びチューブ材56を挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51及び第2溶接部52が形成されるように、第1連通孔11A及び第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、電動弁1において、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51及び第2溶接部52が設けられ、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18とが、第1溶接部51及び第2溶接部52を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部51及び第2溶接部52によってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17及び第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、電動弁1が、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11A及び第2連通孔11Bに第1継手17及び第2継手18を挿入するとともに弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材55及びチューブ材56を挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51及び第2溶接部52が形成されるように、第1連通孔11A及び第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部51及び第2溶接部52によってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17及び第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態の電動弁について、図3、図4を参照して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態の電動弁の縦断面図である。図4(a)は、図3の電動弁が備える弁ハウジングと第1継手及び第2継手の溶接前の状態を示す部分断面図であり、(b)は、溶接後の状態を示す部分断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図3における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図3に示すように、電動弁1Aは、弁本体10と、第1継手17と、第2継手18と、弁体部20と、ステッピングモータ30と、第1溶接部51と、第2溶接部52Aと、直接溶接部53を備えている。
図3に示す電動弁1Aは、上述した第1の実施形態の電動弁1において、(1)弁ハウジング11と弁座部材12とが、第2溶接部52に代えて直接溶接により形成された直接溶接部53を介して接合され、(2)また、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とを互いに接合する第2溶接部52に代えて、弁ハウジング11と第2継手18とを互いに接合する第2溶接部52Aを有し、それ以外の構成については同一である。そのため、以下の説明において、第1の実施形態の電動弁1と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
弁座部材12は、弁ポート12aと第2連通孔11Bとが連通するようにして弁ハウジング11の第2連通孔11Bにおける弁ハウジング11の内側寄りの箇所に配置されている。弁座部材12は、第1の実施形態でのチューブ材56等を用いずに、弁ハウジング11に直接的に溶接され接合されている。具体的には、弁座部材12は、弁ハウジング11との溶接により形成されたステンレスからなる直接溶接部53を介して弁ハウジング11と接合されている。直接溶接部53は、弁ハウジング11の外側から当該弁ハウジングを貫き弁座部材12に至るように形成されている。また、直接溶接部53は、第2連通孔11Bの周方向全体にわたって環状に配置されている。弁座部材12と弁ハウジング11とは共にステンレスを材料として構成されているので、直接溶接により接合しても必要な接合強度を確保できる。
第2継手18は、一端部が弁ハウジング11の第2連通孔11Bに挿入、嵌合されて、当該一端部に設けられたフランジ部18aの図中上部が第2連通孔11Bの外側周縁部11dと溶接により接合されている。
弁ハウジング11と第2継手18との溶接箇所には、第2溶接部52Aが設けられている。第2溶接部52Aは、弁ハウジング11と第2継手18との間で、弁ハウジング11を構成するステンレスと、第2継手18を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部52Aを介して、弁ハウジング11と第2継手18とが互いに接合されている。
次に、上述した電動弁1Aの製造方法の一例について、図4(a)、(b)を参照して説明する。
(1:溶接工程)
本実施形態の溶接工程における弁ハウジング11と第1継手17との溶接については、上述した第1の実施形態と同一である。
図4(a)に示すように、弁ハウジング11の第2連通孔11Bに弁座部材12を挿入する。そして、弁ハウジング11の外側から当該弁ハウジング11を貫通して第2連通孔11B内の弁座部材12に到達するように、第2連通孔11Bの周方向に沿い全周にわたって、弁ハウジング11及び弁座部材12が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス及び弁座部材12を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されてなる環状の直接溶接部53が、第2連通孔11Bの周方向の全周にわたり形成される。この環状の直接溶接部53によって、弁ハウジング11と弁座部材12とが互いに接合される。
また、図4(a)に示すように、平ワッシャー形状で厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のリング材56Aの内側に第2継手18の一端部を挿通し、この状態で第2継手18の一端部を弁ハウジング11の第2連通孔11Bに挿入する。リング材56Aの内径は、第2継手18の外径より若干大きく且つフランジ部18aの外径より小さくされている。この状態において、弁ハウジング11の第2連通孔11Bの外側周縁部11dとリング材56Aと第2継手18のフランジ部18aとが順に重ねて配置されている。つまり、第2連通孔11Bに第2継手18が挿入されるとともに、弁ハウジング11と第2継手18との間にリング材56Aが挟まれている。
次に、リング材56Aの外周端面56aに向けてその周方向(即ち、第2連通孔11Bの周方向)に沿うように全周にわたって、第2連通孔11Bの外側周縁部11d(即ち、弁ハウジング11)、リング材56A、第2継手18のフランジ部18aが同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図4(b)に示すように、第2連通孔11Bの外側周縁部11d(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス、リング材56Aを構成するニッケル及び第2継手18を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング11と第2継手18との間に第2連通孔11Bの全周にわたって第2溶接部52Aが形成される。この第2溶接部52Aによって、弁ハウジング11と第2継手18とが互いに接合される。
(2:組立工程)
本実施形態の組立工程は、上述した第1の実施形態と同一である。これら溶接工程及び組立工程を順次経て、電動弁1Aが完成する。
以上説明したように、本実施形態の電動弁1Aは、弁室10Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング11と、弁ハウジング11に接合された銅製の第1継手17及び第2継手18と、を備えている。そして、電動弁1Aは、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51及び第2溶接部52Aが設けられ、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18とが、第1溶接部51及び第2溶接部52Aを介して互いに接合されている。
また、電動弁1Aは、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11Aに第1継手17を挿入し、第2連通孔11Bに第2継手18を挿入して、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間にニッケルからなるチューブ材55及びリング材56Aを挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51及び第2溶接部52Aが形成されるように、第1連通孔11A及び第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、電動弁1Aにおいて、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51及び第2溶接部52Aが設けられ、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18とが、第1溶接部51及び第2溶接部52Aを介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部51及び第2溶接部52Aによってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17及び第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、電動弁1Aが、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11A及び第2連通孔11Bに第1継手17及び第2継手18を挿入するとともに弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材55及びリング材56Aを挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17及び第2継手18との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51及び第2溶接部52Aが形成されるように、第1連通孔11A及び第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された溶接部によってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17及び第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態の電動弁について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態の電動弁の縦断面図である。図6(a)は、図5の電動弁が備える弁ハウジングと第1継手及び第2継手の溶接前の状態を示す部分断面図であり、(b)は、溶接後の状態を示す部分断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図5における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図5に示すように、電動弁1Bは、弁本体10と、第1継手17と、第2継手18と、弁体部20と、ステッピングモータ30と、第1溶接部51と、第2溶接部52Bと、直接溶接部54と、を備えている。
図5に示す電動弁1Bは、上述した第1の実施形態の電動弁1において、(1)弁ハウジング11と弁座部材12とが、第2溶接部52に代えて直接溶接により形成された直接溶接部54を介して接合され、(2)また、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とを互いに接合する第2溶接部52に代えて、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とを互いに接合する第2溶接部52Bを有し、それ以外の構成については同一である。そのため、以下の説明において、第1の実施形態の電動弁1と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
弁座部材12は、弁ポート12aと第2連通孔11Bとが連通するようにして弁ハウジング11の第2連通孔11Bにおける弁ハウジング11の内側寄りの箇所に配置されている。弁座部材12は、第1の実施形態でのチューブ材56等を用いずに、弁ハウジング11に直接的に溶接され接合されている。具体的には、弁座部材12は、弁ハウジング11との溶接により形成されたステンレスからなる直接溶接部54を介して弁ハウジング11と接合されている。直接溶接部54は、第2連通孔11Bの内周面と弁座部材12の外周面との間に全周にわたって形成されている。弁座部材12と弁ハウジング11とは共にステンレスを材料として構成されているので、直接溶接により接合した場合において必要な接合強度を確保できる。
第2継手18は、一端部が弁ハウジング11の第2連通孔11Bに挿入、嵌合されて、当該一端部の端面が第2連通孔11Bの内周面及び弁座部材12の下面と溶接により接合されている。
弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18との溶接箇所には、第2溶接部52Bが設けられている。第2溶接部52Bは、弁ハウジング11と第2継手18との間、及び、弁座部材12と第2継手18との間のそれぞれで、弁ハウジング11及び弁座部材12を構成するステンレスと、第2継手18を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部52Bを介して、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とが互いに接合されている。
次に、上述した電動弁1Bの製造方法の一例について、図6(a)、(b)を参照して説明する。
(1:溶接工程)
本実施形態の溶接工程における弁ハウジング11と第1継手17との溶接については、上述した第1の実施形態と同一である。
図6(a)に示すように、弁ハウジング11の第2連通孔11Bに弁座部材12、平ワッシャー形状で厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のリング材56B及び第2継手18の一端部を順に挿入する。リング材56Bは、内径が第2継手18の内径と略同一で、外径が第2継手18の外径(即ち、第2連通孔11Bの径)と略同一にされている。つまり、第2連通孔11B内に弁座部材12及び第2継手18が当該第2連通孔11Bの軸方向(図中上下方向)に順に並べて配置されているとともに、弁座部材12及び第2継手18との間にリング材56Bが挟まれている。
次に、弁ハウジング11の内側から第2連通孔11Bの周方向に沿うように全周にわたって、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)、リング材56B、弁座部材12の外周面部分及び第2継手18の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図6(b)に示すように、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス、リング材56Bを構成するニッケル、弁座部材12を構成するステンレス及び第2継手18を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18との間に第2連通孔11Bの全周にわたって第2溶接部52Bが形成される。この第2溶接部52Bによって、弁ハウジング11と弁座部材12と第2継手18とが互いに接合される。また、第2連通孔11Bの内周面部分(即ち、弁ハウジング11)を構成するステンレス及び弁座部材12を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング11と弁座部材12との間に第2連通孔11Bの全周にわたって直接溶接部54が形成される。この直接溶接部54によって、弁ハウジング11と弁座部材12とが互いに接合される。
(2:組立工程)
本実施形態の組立工程は、上述した第1の実施形態と同一である。
以上説明したように、本実施形態の電動弁1Bは、弁室10Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング11と、弁ハウジング11に接合された銅製の第1継手17と、を備えている。そして、電動弁1Bは、弁ハウジング11と第1継手17との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51が設けられ、弁ハウジング11と第1継手17とが、第1溶接部51を介して互いに接合されている。
また、電動弁1Bは、弁室10Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング11と、弁ハウジング11に接合された銅製の第2継手18と、弁ハウジング11に接合されたステンレス製の弁座部材12と、を備えている。そして、電動弁1Bは、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第2連通孔11B内に、弁座部材12と第2継手18の一端部とが当該第2連通孔11Bの軸方向に順に並べて配置され、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部52Bが設けられ、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12とが、第2溶接部52Bを介して互いに接合されている。
また、電動弁1Bは、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11Aに第1継手17を挿入して、弁ハウジング11と第1継手17との間にニッケルからなるチューブ材55を挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51が形成されるように、第1連通孔11Aの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
また、電動弁1Bは、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第2連通孔11B内に、弁座部材12と第2継手18の一端部とを第2連通孔11Bの軸方向に順に並べて配置するとともに弁座部材12と第2継手18との間にニッケルからなるリング材56Bを挟み、そして、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部52Bが形成されるように、第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、電動弁1Bにおいて、弁ハウジング11と第1継手17との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部51が設けられ、弁ハウジング11と第1継手17とが、第1溶接部51を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部51によってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、電動弁1Bにおいて、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第2連通孔内に、弁座部材12と第2継手18の一端部とが第2連通孔11Bの軸方向に順に並べて配置され、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部52Bが設けられ、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12とが、第2溶接部52Bを介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部52Bによってステンレス製の弁ハウジング11及び弁座部材12と銅製の第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。また、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12とを同時に溶接することができるので、弁ハウジング11と第2継手18とを溶接する工程、及び、弁ハウジング11と弁座部材12とを溶接する工程を別々に行う必要が無くなり、そのため、製造作業性を向上させることができる。
また、電動弁1Bが、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第1連通孔11Aに第1継手17を挿入するとともに弁ハウジング11と第1継手17との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材55を挟み、そして、弁ハウジング11と第1継手17との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部51が形成されるように、第1連通孔11Aの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部51によってステンレス製の弁ハウジング11と銅製の第1継手17との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、電動弁1Bが、弁ハウジング11に形成された当該弁ハウジング11の内外を連通する第2連通孔11B内に、弁座部材12と第2継手18の一端部とを第2連通孔11Bの軸方向に順に並べて配置するとともに弁座部材12と第2継手18との間にニッケルからなるリング材56Bを挟み、そして、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部52Bが形成されるように、第2連通孔11Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部52Bによってステンレス製の弁ハウジング11及び弁座部材12と銅製の第2継手18との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。また、弁ハウジング11と第2継手18と弁座部材12とを同時に溶接することができるので、弁ハウジング11と第2継手18とを溶接する工程、及び、弁ハウジング11と弁座部材12とを溶接する工程を別々に行う必要が無くなり、そのため、製造作業性を向上させることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態の絞り弁装置について、図7、図8を参照して説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態の絞り弁装置の部分縦断面図である。図8は、図7の絞り弁装置が備える弁ハウジングと第1継手及び第2継手の溶接前の状態を示す部分縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図7における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図7に一部を示すように、絞り弁装置2は、弁本体60と、第1継手67と、第2継手68と、弁体部70と、第1溶接部81と、第2溶接部82と、図示しないプランジャ及び電磁コイル部と、を備えている
弁本体60は、弁ハウジング61と、弁座部材62と、を有している。
弁ハウジング61は、例えば、円筒状に形成されたステンレス製の部材である。弁ハウジング61の周壁61aの一部箇所には、弁ハウジング61の内外を連通する第1連通孔61Aが形成されている。弁ハウジング61は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
弁座部材62は、円筒部62aと、円筒部62aの図中下端に連接されたフランジ部62bとが一体に形成されたステンレス製の部材である。円筒部62aの図中上端には、円環状テーパ面である弁座部62cが形成されており、この弁座部62cに対して後述する弁体部70が着座及び離座される。弁座部62cには、半径方向に延びる複数の図示しない溝が、周方向に互いに間隔をあけて並ぶように形成されている。また、円筒部62aの内側には、第2連通孔61Bが形成されている。フランジ部62bの外径は、弁ハウジング61の内径と同一に形成されている。弁座部材62は、円筒部62aが弁ハウジング61の内側に位置づけられるようにして、フランジ部62bの外周縁部が弁ハウジング61の図中下端近傍に溶接などにより固定装着されている。これにより、第2連通孔61Bは、弁ハウジング61の内外を連通する。弁座部材62は、弁ハウジング61と共に、弁室60Aを画定している。
第1継手67は、流体が内側を流れる銅製の配管である。本実施形態では、第1継手67が純銅を材料として構成されている。第1継手67を構成する材料は、純銅以外の銅(銅合金含む)であってもよい。第1継手67の外径は、第1連通孔61Aの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第1継手67は、一端部が弁ハウジング61の第1連通孔61Aに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第1連通孔61Aの内周面と溶接により接合されている。
第2継手68は、第1継手67と同様の銅製の配管である。本実施形態では、第2継手68が純銅を材料として構成されている。第2継手68を構成する材料は、純銅以外の銅(銅合金含む)であってもよい。第2継手68の外径は、第2連通孔61Bの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第2継手68は、一端部が弁ハウジング61の第2連通孔61Bに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第2連通孔61Bの内周面と溶接により接合されている。第1継手67及び第2継手68は、それぞれ配管部材の一例に相当する。
弁ハウジング61と第1継手67との溶接箇所には、第1溶接部81が設けられている。第1溶接部81は、弁ハウジング61と第1継手67との間で、弁ハウジング61を構成するステンレスと、第1継手67を構成する銅と、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第1溶接部81を介して、弁ハウジング61と第1継手67とが互いに接合されている。
弁座部材62と第2継手68との溶接箇所には、第2溶接部82が設けられている。第2溶接部82は、弁座部材62と第2継手68との間のそれぞれで、弁座部材62を構成するステンレスと、第2継手68を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部82を介して、弁座部材62と第2継手68とが互いに接合されている。
第1溶接部81及び第2溶接部82は、ステンレス及び銅との溶接箇所において、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを含んで形成されているので、ステンレス及び銅を直接溶接した構成に比べて、ニッケルを介在することによりステンレスと銅とが混ざり合って各材料が互いによくなじむので、溶接不良を抑制でき、そのため、接合強度を高めることができる。
弁体部70は、円柱状の弁軸部71と、弁軸部71の図中下端に一体に設けられた袴形状の先端部72と、を一体に有している。先端部72は、弁座部材62の弁座部62cに着座されることにより、弁座部62cの内側の弁ポート62dを閉じて弁閉状態とし、また、先端部72は、弁座部材62の弁座部62cから離座されることにより、弁座部62cの内側の弁ポート62dを開いて弁開状態とする。
弁体部70は、その上端部において図示しないプランジャと結合されており、このプランジャの周囲には、図示しない電磁コイル部が配置されている。そして、この電磁コイル部を通電状態または非通電状態とすることで、プランジャが上方または下方に移動し、これとともに弁体部70も上方または下方に移動するように構成されている。
次に、上述した絞り弁装置2の製造方法の一例について、図7、図8を参照して説明する。
(1:組立工程)
弁ハウジング61内に、弁体部70、不図示のプランジャ及び電磁コイル部を組み付ける。そして、弁ハウジング61の下端開口を塞ぐように、弁座部材62を弁ハウジング61に溶接により固定装着する。
(2:溶接工程)
図8に示すように、弁ハウジング61の第1連通孔61Aに第1継手67の一端部を挿入し、弁ハウジング61の第1連通孔61Aの内周面と第1継手67の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材85を圧入する。または、先にチューブ材85を第1連通孔61Aに嵌め合わせたのち、チューブ材85の内側に第1継手67の一端部を圧入してもよい。つまり、第1連通孔61Aに第1継手67が挿入されるとともに、弁ハウジング61と第1継手67との間にチューブ材85が挟まれている。
次に、弁ハウジング61の外側から第1連通孔61Aの周方向に沿うように全周にわたって、第1連通孔61Aの内周面部分(即ち、弁ハウジング61)、チューブ材85及び第1継手67の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図7に示すように、第1連通孔61Aの内周面部分(即ち、弁ハウジング61)を構成するステンレス、チューブ材85を構成するニッケル及び第1継手67を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁ハウジング61と第1継手67との間に第1連通孔61Aの全周にわたって、第1溶接部81が形成される。この第1溶接部81によって、弁ハウジング61と第1継手67とが互いに接合される。
また、図8に示すように、弁座部材62の第2連通孔61Bに弁座部材62及び第2継手68の一端部を挿入し、弁座部材62の第2連通孔61Bの内周面と第2継手68の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材86を圧入する。または、先にチューブ材86を第2連通孔61Bに嵌め合わせたのち、チューブ材86の内側に第2継手68を圧入してもよい。つまり、第2連通孔61Bに第2継手68が挿入されるとともに、弁座部材62及び第2継手68との間にチューブ材86が挟まれている。
次に、弁座部材62の外側から第2連通孔61Bの周方向に沿うように全周にわたって、第2連通孔61Bの内周面部分(即ち、弁座部材62)、チューブ材86及び第2継手68の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図7に示すように、第2連通孔61Bの内周面部分(即ち、弁座部材62)を構成するステンレス、チューブ材86を構成するニッケル及び第2継手68を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁座部材62と第2継手68との間に第2連通孔61Bの全周にわたって第2溶接部82が形成される。この第2溶接部82によって、弁座部材62と第2継手68が互いに接合される。これら組立工程及び溶接工程を順次経て、絞り弁装置2が完成する。
以上説明したように、本実施形態の絞り弁装置2は、弁室60Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング61と、弁ハウジング61に接合された銅製の第1継手67と、を備えている。そして、絞り弁装置2は、弁ハウジング61と第1継手67との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部81が設けられ、弁ハウジング61と第1継手67とが、第1溶接部81を介して互いに接合されている。
また、絞り弁装置2は、弁室60Aが内側に設けられたステンレス製の弁ハウジング61と、弁ハウジング61に取り付けられて当該弁ハウジング61とともに弁室60Aを画定するステンレス製の弁座部材62と、弁座部材62に接合された銅製の第2継手68と、を備えている。そして、絞り弁装置2は、弁座部材62と第2継手68との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部82が設けられ、弁座部材62と第2継手68とが、第2溶接部82を介して互いに接合されている。
また、絞り弁装置2は、弁ハウジング61に形成された当該弁ハウジング61の内外を連通する第1連通孔61Aに第1継手67を挿入するとともに弁ハウジング61と第1継手67との間にニッケルからなるチューブ材85を挟み、そして、弁ハウジング61と第1継手67との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部81が形成されるように、第1連通孔61Aの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
また、絞り弁装置2は、弁座部材62に形成された弁ハウジング61の内外を連通する第2連通孔61Bに第2継手68を挿入するとともに弁座部材62と第2継手68との間にニッケルからなるチューブ材86を挟み、そして、弁座部材62と第2継手68との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部82が形成されるように、第2連通孔61Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、絞り弁装置2において、弁ハウジング61と第1継手67との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部81が設けられ、弁ハウジング61と第1継手67とが、第1溶接部81を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部81によってステンレス製の弁ハウジング61と銅製の第1継手67との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、絞り弁装置2において、弁座部材62と第2継手68との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部82が設けられ、弁座部材62と第2継手68とが、第2溶接部82を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部82によってステンレス製の弁座部材62と銅製の第2継手68との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、絞り弁装置2が、弁ハウジング61に形成された当該弁ハウジング61の内外を連通する第1連通孔61Aに第1継手67を挿入するとともに弁ハウジング61と第1継手67との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材85を挟み、そして、弁ハウジング61と第1継手67との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部81が形成されるように、第1連通孔61Aの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部81によってステンレス製の弁ハウジング61と銅製の第1継手67との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、絞り弁装置2が、弁座部材62に形成された弁ハウジング61の内外を連通する第2連通孔61Bに第2継手68を挿入するとともに弁座部材62と第2継手68との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材86を挟み、そして、弁座部材62と第2継手68との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部82が形成されるように、第2連通孔61Bの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部82によってステンレス製の弁座部材62と銅製の第2継手68との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態の流路切換弁について、図9、図10を参照して説明する。
図9は、本発明の第5の実施形態の流路切換弁の縦断面図である。図10は、図9の流路切換弁が備える弁本体及び弁座部材と第1継手、第2継手、第3継手及び第4継手との溶接前の状態を示す縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図9における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図9に示すように、流路切換弁3は、弁本体101と、2つのピストン102、102と、連結部材103と、弁座部材104、弁体部105と、第1継手121と、第2継手122と、第3継手123と、第4継手124と、第1溶接部161と、第2溶接部162と、第3溶接部163と、第4溶接部164と、を備えている。
弁本体101は、ステンレスを材料として構成されており、円筒形状の円筒部101aと円板形状の2つのキャップ部101b、101bとを一体に有している。キャップ部101b、101bはそれぞれ円筒部101aの端部を塞ぐように円筒部101aに溶接等により取り付けられている。円筒部101a及びキャップ部101b、101bの中心軸が弁本体101の軸線L1となっている。弁本体101は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。また、円筒部101aの中間部における後述する弁座部材104と対向する箇所には、連通孔101cが形成されている。また、連通孔101cにおける弁本体101内側寄りの端部側には、第1固定ポートF1が形成されている。
2つのピストン102、102は、連結部材103により互いに連結されており、弁本体101内に互いに軸線L1方向に対向するように配置され、また軸線L1方向に移動可能とされている。2つのピストン102、102は、弁本体101内に配置されることにより、弁本体101内を、中央部の主弁室101Aと、主弁室101Aの両側の2つの副弁室101B、101Cとに仕切っている。副弁室101B、101Cは、それぞれ2つのキャップ部101b、101b内の空間を含む。
弁座部材104は、ステンレスを材料として構成されており、主弁室101Aの中間部に弁本体101に溶接により固定して配設されている。弁座部材104は、弁本体101とともに、主弁室101Aを画定している。弁座部材104には、弁本体101の軸線L1方向に一直線上に並んで第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cが形成されている。これら第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cは、それぞれの一端が弁本体101の外部に向けて開口されている。つまり、これら第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cは、弁本体101の内外を連通する。また、弁座部材104には、第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cは、それぞれの他端側に、主弁室101Aに向けて開口する第1切換ポートC1、第2固定ポートF2及び第2切換ポートC2が形成されている。
弁体部105は、弁座部材104上に弁本体101の軸線L1方向に摺動可能に配設されている。弁体部105は、お椀状に成形されており、その内側に主弁凹部105Aが形成されている。弁体部105は、連結部材103を介して2つのピストン102、102と連結されており、2つのピストン102、102とともに移動する。
第1継手121は、流体が内側を流れる銅製の配管である。本実施形態では、第1継手121が純銅を材料として構成されている。本明細書において、「銅」には、純銅(純度99.9%以上)に加え、銅とその他の物質とを含む銅合金が含まれる。銅合金としては、主成分である銅を重量比で50%超含むものであればよいが、特に、無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅、又は、アルミニウム青銅などであることが好ましい。第1継手121の外径は、連通孔101cの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第1継手121は、一端部が連通孔101cに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が連通孔101cの内周面(即ち、弁本体101)と溶接により接合されている。
第2継手122は、第1継手121と同様の銅製の配管である。本実施形態では、第2継手122が純銅を材料として構成されている。第2継手122の外径は、第1連通孔104aの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第2継手122は、一端部が弁座部材104の第1連通孔104aに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第1連通孔104aの内周面(即ち、弁座部材104)及び弁本体101における第1連通孔104a近傍箇所と溶接により接合されている。
第3継手123は、第1継手121と同様の銅製の配管である。本実施形態では、第3継手123が純銅を材料として構成されている。第3継手123の外径は、第2連通孔104bの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第3継手123は、一端部が弁座部材104の第2連通孔104bに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第2連通孔104bの内周面(即ち、弁座部材104)と溶接により接合されている。
第4継手124は、第1継手121と同様の銅製の配管である。本実施形態では、第4継手124が純銅を材料として構成されている。第4継手124の外径は、第3連通孔104cの径と同一又は当該径よりわずかに小さく形成されている。第4継手124は、一端部が弁座部材104の第3連通孔104cに挿入、嵌合されて、当該一端部の外周面が第3連通孔104cの内周面(即ち、弁座部材104)及び弁本体101における第3連通孔104c近傍箇所と溶接により接合されている。第1継手121、第2継手122、第3継手123及び第4継手124は、それぞれ配管部材の一例に相当する。
弁本体101と第1継手121との溶接箇所には、第1溶接部161が設けられている。第1溶接部161は、弁本体101と第1継手121との間で、弁本体101を構成するステンレスと、第1継手121を構成する銅と、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第1溶接部161を介して、弁本体101と第1継手121とが互いに接合されている。
弁本体101及び弁座部材104と第2継手122との溶接箇所には、第2溶接部162が設けられている。第2溶接部162は、弁本体101と弁座部材104との間、弁本体101と第2継手122との間、及び、弁座部材104と第2継手122との間のそれぞれで、弁本体101及び弁座部材104を構成するステンレスと、第2継手122を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部162を介して、弁本体101と弁座部材104と第2継手122とが互いに接合されている。
弁座部材104と第3継手123との溶接箇所には、第3溶接部163が設けられている。第3溶接部163は、弁座部材104と第3継手123との間で、弁座部材104を構成するステンレスと、第3継手123を構成する銅と、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第3溶接部163を介して、弁座部材104と第3継手123とが互いに接合されている。
弁本体101及び弁座部材104と第4継手124との溶接箇所には、第4溶接部164が設けられている。第4溶接部164は、弁本体101と弁座部材104との間、弁本体101と第4継手124との間、及び、弁座部材104と第4継手124との間のそれぞれで、弁本体101及び弁座部材104を構成するステンレスと、第4継手124を構成する銅と、ニッケルと、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第4溶接部164を介して、弁本体101と弁座部材104と第4継手124とが互いに接合されている。
第1溶接部161、第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164は、ステンレス及び銅との溶接箇所において、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを含んで形成されているので、ステンレス及び銅を直接溶接した構成に比べて、ニッケルを介在することによりステンレスと銅とが混ざり合って各材料が互いによくなじむので、溶接不良を抑制でき、そのため、接合強度を高めることができる。
弁本体101のキャップ部101b、101bには、図示しないパイロット弁に接続された導管115f、115gがそれぞれ接続されている。そして、パイロット弁の動作により、例えば、図中左側の副弁室101Bが低圧にされ、図中右側の副弁室101Cが高圧にされると、ピストン102、102が図中左方向に移動し、これらピストン102、102の移動に伴って、弁体部105も図中左方向に移動する。これとは逆に、パイロット弁の動作により、例えば、副弁室101Bが高圧にされ、副弁室101Cが低圧にされると、ピストン102、102が図中右方向に移動し、これらピストン102、102の移動に伴って、弁体部105も図中右方向に移動する。
そして、弁体部105は、図9の左側の端部位置において、第2固定ポートF2と第1切換ポートC1とを主弁凹部105Aにより連通する。このとき、第2切換ポートC2は主弁室101A内で第1固定ポートF1に連通する。また、弁体部105は、図9の右側の端部位置において、第2固定ポートF2と第2切換ポートC2とを主弁凹部105Aにより連通する。このとき、第1切換ポートC1は主弁室101A内で第1固定ポートF1に連通する。このようにして、流路切換弁3は、第1継手121、第2継手122、第3継手123及び第4継手124がそれぞれ接続された第1固定ポートF1、第1切換ポートC1、第2固定ポートF2及び第2切換ポートC2の接続関係を切り換えることにより、流路の切換を行う。
次に、上述した流路切換弁3の製造方法の一例について、図9、図10を参照して説明する。
(1:溶接工程)
図10に示すように、弁本体101(具体的には、円筒部101aであり、以下、溶接工程において同じ)の連通孔101cに第1継手121の一端部を挿入し、弁本体101の連通孔101cの内周面と第1継手121の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製の第1チューブ材171を圧入する。または、先に第1チューブ材171を連通孔101cに嵌め合わせたのち、第1チューブ材171の内側に第1継手121の一端部を圧入してもよい。つまり、連通孔101cに第1継手121が挿入されるとともに、弁本体101と第1継手121との間に第1チューブ材171が挟まれている。
次に、弁本体101の外側から連通孔101cの周方向に沿うように全周にわたって、連通孔101cの内周面部分(即ち、弁本体101)、第1チューブ材171及び第1継手121の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図9に示すように、連通孔101cの内周面部分(即ち、弁本体101)を構成するステンレス、第1チューブ材171を構成するニッケル及び第1継手121を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体101と第1継手121との間に連通孔101cの全周にわたって、第1溶接部161が形成される。この第1溶接部161によって、弁本体101と第1継手121とが互いに接合される。
また、図10に示すように、弁座部材104の第1連通孔104aに第2継手122の一端部を挿入し、弁座部材104の第1連通孔104aの内周面と第2継手122の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製の第2チューブ材172を圧入する。または、先に第2チューブ材172を第1連通孔104aに嵌め合わせたのち、第2チューブ材172の内側に第2継手122を圧入してもよい。つまり、第1連通孔104aに第2継手122が挿入されるとともに、弁座部材104と第2継手122との間に第2チューブ材172が挟まれている。
次に、弁本体101の外側からから第1連通孔104aの周方向に沿うように全周にわたって、第1連通孔104aの内周面部分(即ち、弁座部材104)、第2チューブ材172、弁本体101における第1連通孔104a近傍箇所及び第2継手122の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図9に示すように、第1連通孔104aの内周面部分(即ち、弁座部材104)を構成するステンレス、第2チューブ材172を構成するニッケル、弁本体101を構成するステンレス及び第2継手122を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体101と弁座部材104と第2継手122との間に第1連通孔104aの全周にわたって第2溶接部162が形成される。この第2溶接部162によって、弁本体101と弁座部材104と第2継手122とが互いに接合される。
また、図10に示すように、弁座部材104の第2連通孔104bに第3継手123の一端部を挿入し、弁座部材104の第2連通孔104bの内周面と第3継手123の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製の第3チューブ材173を圧入する。または、先に第3チューブ材173を第2連通孔104bに嵌め合わせたのち、第3チューブ材173の内側に第3継手123を圧入してもよい。つまり、第2連通孔104bに第3継手123が挿入されるとともに、弁座部材104と第3継手123との間に第3チューブ材173が挟まれている。
次に、弁本体101の外側からから第2連通孔104bの周方向に沿うように全周にわたって、第2連通孔104bの内周面部分(即ち、弁座部材104)、第2チューブ材172及び第3継手123の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図9に示すように、第2連通孔104bの内周面部分(即ち、弁座部材104)を構成するステンレス、第3チューブ材173を構成するニッケル及び第3継手123を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁座部材104と第3継手123との間に第2連通孔104bの全周にわたって第3溶接部163が形成される。この第3溶接部163によって、弁座部材104と第3継手123とが互いに接合される。
また、図10に示すように、弁座部材104の第3連通孔104cに第4継手124の一端部を挿入し、弁座部材104の第3連通孔104cの内周面と第4継手124の一端部の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製の第4チューブ材174を圧入する。または、先に第4チューブ材174を第3連通孔104cに嵌め合わせたのち、第4チューブ材174の内側に第4継手124を圧入してもよい。つまり、第3連通孔104cに第4継手124が挿入されるとともに、弁座部材104と第4継手124との間に第4チューブ材174が挟まれている。
次に、弁本体101の外側からから第3連通孔104cの周方向に沿うように全周にわたって、第3連通孔104cの内周面部分(即ち、弁座部材104)、第4チューブ材174、弁本体101における第3連通孔104c近傍箇所及び第4継手124の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図9に示すように、第3連通孔104cの内周面部分(即ち、弁座部材104)を構成するステンレス、第4チューブ材174を構成するニッケル、弁本体101を構成するステンレス及び第4継手124を構成する銅が、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体101と弁座部材104と第4継手124との間に第3連通孔104cの全周にわたって第4溶接部164が形成される。この第4溶接部164によって、弁本体101と弁座部材104と第4継手124とが互いに接合される。
(2:組立工程)
次に、弁本体101の円筒部101a内に、2つのピストン102、102と連結部材103とを互いに組み付けた組付体を挿入して所定箇所に配置し、円筒部101aの両端に、導管115f、115gがそれぞれ取り付けられた2つのキャップ部101b、101bを溶接によって固定して取り付ける。これら溶接工程及び組立工程を順次経て、流路切換弁3が完成する。
以上説明したように、本実施形態の流路切換弁3は、主弁室101A及び副弁室101B、101Cが内側に設けられたステンレス製の弁本体101と、弁本体101に接合された銅製の第1継手121と、を備えている。そして、流路切換弁3は、弁本体101と第1継手121との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部161が設けられ、弁本体101と第1継手121とが、第1溶接部161を介して互いに接合されている。
また、流路切換弁3は、主弁室101A及び副弁室101B、101Cが内側に設けられたステンレス製の弁本体101と、弁本体101に取り付けられて当該弁本体101とともに主弁室101Aを画定するステンレス製の弁座部材104と、弁座部材104に接合された銅製の第2継手122、第3継手123及び第4継手124と、を備えている。そして、流路切換弁3は、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間に、ステンレスと、銅と、ニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164が設けられ、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124とが、それぞれ第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164を介して互いに接合されている。
また、流路切換弁3は、弁本体101に形成された当該弁本体101の内外を連通する連通孔101cに第1継手121を挿入するとともに弁本体101と第1継手121との間にニッケルからなる第1チューブ材171を挟み、そして、弁本体101と第1継手121との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部161が形成されるように、連通孔101cの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
また、流路切換弁3は、弁座部材104に形成された弁本体101の内外を連通する第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cにそれぞれ第2継手122、第3継手123及び第4継手124を挿入するとともに弁座部材104とこれら第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間にニッケルからなる第2チューブ材172、第3チューブ材173及び第4チューブ材174を挟み、そして、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164が形成されるように、第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、流路切換弁3において、弁本体101と第1継手121との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部161が設けられ、弁本体101と第1継手121とが、第1溶接部161を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部161によってステンレス製の弁本体101と銅製の第1継手121との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、流路切換弁3において、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164が設けられ、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124とが、第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164によってステンレス製の弁座部材104と銅製の第2継手122、第3継手123及び第4継手124との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、流路切換弁3が、弁本体101に形成された当該弁本体101の内外を連通する連通孔101cに第1継手121を挿入するとともに弁本体101と第1継手121との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなる第1チューブ材171を挟み、そして、弁本体101と第1継手121との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部161が形成されるように、連通孔101cの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部161によってステンレス製の弁本体101と銅製の第1継手121との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、流路切換弁3が、弁座部材104に形成された弁本体101の内外を連通する第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cに第2継手122、第3継手123及び第4継手124を挿入するとともに弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなる第2チューブ材172、第3チューブ材173及び第4チューブ材174を挟み、そして、弁座部材104と第2継手122、第3継手123及び第4継手124との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164が形成されるように、第1連通孔104a、第2連通孔104b及び第3連通孔104cの周方向に沿ってレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部162、第3溶接部163及び第4溶接部164によってステンレス製の弁座部材104と銅製の第2継手122、第3継手123及び第4継手124との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態の逆止弁について、図11〜図14を参照して説明する。
図11は、本発明の第6の実施形態の逆止弁の縦断面図である。図12は、図11の逆止弁が備える銅管と弁座部材との溶接前の状態を示す縦断面図である。図13は、図11の逆止弁の変形例の構成を示す縦断面図である。図14は、図13の逆止弁が備える銅管と弁座部材との溶接前の状態を示す縦断面図である。
図11に示すように、逆止弁4は、弁ハウジングとしての銅管201と、弁座部材202と、ホルダ部材203と、弁体部204と、溶接部261と、を備えている。
この逆止弁4は、流体が流れる配管など直列に挿入されて、流体の一方向(図中、左から右に向かう方向)の流動を許容し、一方向と反対の他方向(図中、右から左に向かう方向)の流動を規制するものである。
銅管201は、銅を材料として構成された円筒形状の配管部材である。
弁座部材202は、ステンレスを材料として構成され、外径が銅管201の内径にほぼ等しいか、当該内径より少し小さい略円筒形状に形成されている。弁座部材202の内側には、弁ポート202aが形成されている。弁座部材202は、銅管201の内側に挿入されて、銅管201に溶接により接合されている。弁座部材202は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
ホルダ部材203は、ステンレスを材料として構成されており、籠状に形成されている。ホルダ部材203は、銅管201内に弁座部材202と軸方向に並ぶように配置されるとともに、一端が弁座部材202を外側から掴むように当該弁座部材202の端部に係止して固定されている。
弁体部204は、ステンレスを材料として構成された板状の部材である。弁体部204は、ホルダ部材203内に図中左右方向に移動可能に配置され、両面に作用する流体圧の差により図中左右方向に移動される。弁体部204は、図中右側に移動されて、ホルダ部材203のストッパ片203aに当接されると、ホルダ部材203と弁体部204との間に隙間が形成されて、流体の流動が許容される。また、弁体部204は、図中左側に移動されて、弁座部材202に当接(即ち、着座)されると、弁ポート202aを塞いで、流体の流動が規制される。
銅管201と弁座部材202との溶接箇所には、溶接部261が設けられている。溶接部261は、銅管201と弁座部材202との間で、銅管201を構成する銅と、弁座部材202を構成するステンレスと、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この溶接部261を介して、銅管201と弁座部材202とが互いに接合されている。
溶接部261は、ステンレス及び銅との溶接箇所において、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを含んで形成されているので、ステンレス及び銅を直接溶接した構成に比べて、ニッケルを介在することによりステンレスと銅とが混ざり合って各材料が互いによくなじむので、溶接不良を抑制でき、そのため、接合強度を高めることができる。
次に、上述した逆止弁4の製造方法の一例について、図11、図12を参照して説明する。
(1:組立工程)
ホルダ部材203内に弁体部204を収容した後、ホルダ部材203の一端を弁座部材202の端部に係止させ、これら弁座部材202、ホルダ部材203及び弁体部204からなる組立体を組み立てる。
(2:溶接工程)
図12に、上記組立工程で組み立てた組立体を銅管201の内側に挿入し、銅管201の内周面と弁座部材202の外周面との間に、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材285を圧入する。または、先にチューブ材285を銅管201の内側に嵌め合わせたのち、チューブ材285の内側に上記組立体を圧入してもよい。つまり、銅管201の内側に弁座部材202を挿入するとともに銅管201と弁座部材202との間にチューブ材285が挟まれている。
次に、銅管201の内周面の周方向に沿うように全周にわたって、銅管201の内周面部分、チューブ材285及び弁座部材202の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図11に示すように、銅管201を構成する銅、チューブ材285を構成するニッケル及び弁座部材202を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、銅管201と弁座部材202との間に銅管201の内周面の全周にわたって、溶接部261が形成される。この溶接部261によって、銅管201と弁座部材202とが互いに接合される。これら組立工程及び溶接工程を順次経て、逆止弁4が完成する。
以上説明したように、本実施形態の逆止弁4は、銅製の銅管201と、銅管201の内側に接合されたステンレス製の弁座部材202と、を備えている。そして、銅管201と弁座部材202との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された溶接部261が設けられ、銅管201と弁座部材202とが、溶接部261を介して互いに接合されている。
また、逆止弁4は、銅管201の内側に弁座部材202を挿入するとともに銅管201と弁座部材202との間にニッケルからなるチューブ材285を挟み、そして、銅管201と弁座部材202との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる溶接部261が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、逆止弁4において、銅製の銅管201とステンレス製の弁座部材202との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された溶接部261が設けられ、銅管201と弁座部材202とが、溶接部261を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された溶接部261によって銅製の銅管201とステンレス製の弁座部材202との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。即ち、ステンレス製の部材と銅製の部材との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、従来、このような逆止弁では、弁座部材の外周面に全周にわたって溝を設けるとともに、銅管を当該溝に沿って縮径させてかしめることにより、銅管と弁座部材とを固定していたが、このような構成では、銅管のかしめ部分が振動などの影響により疲労することがあり、また、かしめ程度のバラツキにより、銅管と弁座部材との間の密閉が十分に確保できない恐れがあった。そして、本実施形態では、上記溶接部261を設けることにより、銅管のかしめ部分の疲労をなくすことができるとともに銅管と弁座部材との間の密閉を十分に確保することができる。
また、逆止弁4は、銅管201の内側に弁座部材202を挿入するとともに銅管201と弁座部材202との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材285を挟み、そして、銅製の銅管201とステンレス製の弁座部材202との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる溶接部261が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された溶接部261によって銅製の銅管201とステンレス製の弁座部材202との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。即ち、ステンレス製の部材と銅製の部材との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
本実施形態においては、溶接工程において、銅管201の内側からレーザーLを照射して溶接部261を形成した構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、溶接工程において、銅管201の外側からレーザーLを照射して溶接部262を形成した構成としてもよい。具体的には、溶接工程において、図14に示すように、銅管201の外周面の周方向に沿うように全周にわたって、銅管201、チューブ材285及び弁座部材202の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図13に示すように、銅管201を構成する銅、チューブ材285を構成するニッケル及び弁座部材202を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、銅管201と弁座部材202との間に銅管201の全周にわたって、銅管201の外周面から半径方向内側に向けて延在する溶接部262が形成される。この溶接部262によって、銅管201と弁座部材202とが互いに接合される。このような構成においても、上述した本実施形態と同様の効果を奏する。
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態の圧力調整弁について、図15〜図19を参照して説明する。
図15は、本発明の第7の実施形態の圧力調整弁の縦断面図である。図16は、図15の圧力調整弁が備える弁本体と弁座部材及びスラスト軸受との溶接前の状態を示す縦断面図である。図17は、図15の圧力調整弁が備える弁本体と弁座部材及びスラスト軸受との溶接後の状態を示す縦断面図である。図18は、図15の圧力調整弁の変形例の構成を示す縦断面図であって、圧力調整弁が備える弁本体と弁座部材及びスラスト軸受との溶接前の状態を示す縦断面図である。図19は、図15の圧力調整弁の変形例の構成を示す縦断面図であって、圧力調整弁が備える弁本体と弁座部材及びスラスト軸受との溶接後の状態を示す縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は、図15における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
図15に示すように、圧力調整弁5は、弁ハウジングとしての弁本体310と、スプリングケース315と、弁座部材320と、弁体部330と、スラスト軸受335と、調整ネジ341と、一対のバネ受け342、343と、圧縮スプリング344と、ベローズ345と、キャップ部材346と、第1溶接部361と、第2溶接部362と、を備えている。
弁本体310は、銅を材料として構成された略円筒状の管状部材である。弁本体310の長手方向中央部には、弁本体310の内外を連通する連通孔311が設けられている。この連通孔311には、銅製の入口継手314が挿入されて溶接により接合される。弁本体310は、流体が連通孔311から流入され、図中下方の下開口312から流出される。
スプリングケース315は、銅を材料として構成された、弁本体310より外径の小さい略円筒状の管状部材である。スプリングケース315は、図中下方の端部が弁本体310の上開口313内に溶接により接合されている。スプリングケース315内には、後述する圧縮スプリング344の図中上方の一部、バネ受け343及び調整ネジ341が収容される。
弁座部材320は、内側に弁ポート321が開口された円環状に形成されたステンレス製の部材である。弁座部材320の外径は、弁本体310の内径と同一又は当該内径より僅かに小さく形成されている。弁座部材320は、弁ポート321と弁本体の図中下方の下開口312とが連通するように、弁本体310内の連通孔311の図中下方に配置され、弁本体310に溶接により接合されている。この弁座部材320に円板状の弁体331が接離されることによって連通孔311と下開口312とを遮断し又は連通して流路が開閉される。弁座部材320は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
弁体部330は、円板状の弁体331と、この弁体331が図中下方の一端332aに固定して取り付けられたシャフト332と、を有している。シャフト332は、スラスト軸受335によって弁本体310内に図中上下方向に移動可能に配設されている。
スラスト軸受335は、ステンレスを材料として構成されており、円柱状の軸受本体部335aと、軸受本体部335aの図中上方の端部に設けられたフランジ部335bと、を有している。軸受本体部335aは、内径がシャフト332の外径と略同一に形成され、外径が弁本体310の内径より小さく形成されている。フランジ部335bは、外径が弁本体310の内径と同一又は当該内径より僅かに小さく形成されている。スラスト軸受335は、弁本体310内の連通孔311の図中上方に配置され、フランジ部335bが弁本体310に溶接により接合されている。スラスト軸受335のフランジ部335bには、図中上下方向に貫通された連通孔335cが設けられている。スラスト軸受335は、内側にシャフト332が挿通され、当該シャフト332を図中上下方向に移動可能に支持している。スラスト軸受335は、オーステナイト系ステンレスで構成されていることが好ましい。
調整ネジ341は、スプリングケース315内に螺合され、回転により図中上下方向に移動可能なように配設されている。一対のバネ受け342、343は、調整ネジ341とシャフト332の図中上方の他端332bとの間に、圧縮スプリング344を間に挟んで対向して配置されている。これにより、シャフト332は、図中上方から下方に向けて圧縮スプリング344により押圧されている。圧縮スプリング344の図中下方の一部は、当該圧縮スプリング344とともに伸縮可能なベローズ345で覆われている。調整ネジ341を回して移動させることにより、圧縮スプリング344の圧縮量を変えて、シャフト332を押圧する力を調整できる。キャップ部材346は、スプリングケース315の図中上方の開口316を塞ぐように固定して取り付けられている。
弁本体310と弁座部材320との溶接箇所には、第1溶接部361が設けられている。第1溶接部361は、弁本体310と弁座部材320との間で、弁本体310を構成する銅と、弁座部材320を構成するステンレスと、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第1溶接部361を介して、弁本体310と弁座部材320とが互いに接合されている。
弁本体310とスラスト軸受335との溶接箇所には、第2溶接部362が設けられている。第2溶接部362は、弁本体310とスラスト軸受335との間で、弁本体310を構成する銅と、スラスト軸受335を構成するステンレスと、ニッケル(Ni)と、がそれぞれレーザー溶接により溶融されて混ざり合ったのち固化された部位である。この第2溶接部362を介して、弁本体310とスラスト軸受335とが互いに接合されている。
第1溶接部361及び第2溶接部362は、ステンレス及び銅との溶接箇所において、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを含んで形成されているので、ステンレス及び銅を直接溶接した構成に比べて、ニッケルを介在することによりステンレスと銅とが混ざり合って各材料が互いによくなじむので、溶接不良を抑制でき、そのため、接合強度を高めることができる。
圧力調整弁5では、弁体331が弁座部材320から離座した弁開状態において、流体が連通孔311から弁本体310内に進入して、弁ポート321を通じて下開口312へ流動する。この圧力調整弁5において、入口圧力(弁開閉方向の荷重)は、弁ポート321と略同一の平面視面積のベローズ345と対向させることにより打ち消される。そのため、圧力調整弁5は、圧縮スプリング344の押圧力にベローズ345の押圧力を加えた力と、出口圧力(下開口312側からの流体圧力)に弁ポート321の面積を乗じた力と、のバランスにより弁が開閉される。そのため、出口圧力が所定圧力以上に上昇すると、弁体331が弁座部材320に押しつけられて着座し、弁ポート321が閉じられて弁閉状態となる。この弁閉状態で、出口圧力が所定圧力より下降すると、弁体331が弁座部材320から離座して弁開状態となる。また、調整ネジ341を回すことにより、圧縮スプリング344の押圧力を調整して、上記所定圧力を変更することができる。
次に、上述した圧力調整弁5の製造方法の一例について、図15〜図17を参照して説明する。
(1:溶接工程)
図16に示すように、弁座部材320及びスラスト軸受335に弁体331が一端332aに取り付けられたシャフト332を挿通し、これら弁座部材320及びスラスト軸受335を弁本体310の内側に挿入する。そして、弁本体310の内周面と弁座部材320の外周面との間、及び、弁本体310の内周面とスラスト軸受335の外周面との間のそれぞれに厚みが0.1mm〜0.5mm程度のニッケル(Ni)製のチューブ材385、386を圧入する。つまり、弁本体310の内側に弁座部材320及びスラスト軸受335を挿入するとともに弁本体310と弁座部材320及びスラスト軸受335との間にチューブ材385、386が挟まれている。
次に、弁本体310の内周面の周方向に沿うように全周にわたって、弁本体310の内周面部分、チューブ材385及び弁座部材320の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図17に示すように、弁本体310を構成する銅、チューブ材385を構成するニッケル及び弁座部材320を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体310と弁座部材320との間に弁本体310の内周面の全周にわたって、第1溶接部361が形成される。この第1溶接部361によって、弁本体310と弁座部材320とが互いに接合される。
また、弁本体310の内周面の周方向に沿うように全周にわたって、弁本体310の内周面部分、チューブ材386及びスラスト軸受335のフランジ部335bの外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図16に示すように、弁本体310を構成する銅、チューブ材385を構成するニッケル及びスラスト軸受335を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体310とスラスト軸受335との間に弁本体310の内周面の全周にわたって、第2溶接部362が形成される。この第2溶接部362によって、弁本体310とスラスト軸受335とが互いに接合される。
(2:組立工程)
次に、弁本体310の上開口313から当該弁本体310内にベローズ345を挿入した後、弁本体310の上開口313にスプリングケース315を溶接して接合する。そして、スプリングケース315の開口316から、一方のバネ受け342、圧縮スプリング344、他方のバネ受け343を順に挿入する。そのあと、調整ネジ341をスプリングケース315に螺合させ、圧縮スプリング344の圧縮量を調整した後、スプリングケース315の開口316を塞ぐようにキャップ部材346を取り付ける。そして、弁本体310の連通孔311に入口継手314を挿入して溶接により接合する。これら溶接工程及び組立工程を順次経て、図15に示す圧力調整弁5が完成する。
以上説明したように、本実施形態の圧力調整弁5は、銅製の弁本体310と、弁本体310の内側に接合されたステンレス製の弁座部材320と、を備えている。そして、弁本体310と弁座部材320との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部361が設けられ、弁本体310と弁座部材320とが、第1溶接部361を介して互いに接合されている。
また、圧力調整弁5は、ステンレス製のスラスト軸受335と、銅製の弁本体310とを備えている。そしてスラスト軸受335と弁本体310との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部362が設けられ、スラスト軸受335と弁本体310とが、第2溶接部362を介して互いに接合されている。
また、圧力調整弁5は、弁本体310の内側に弁座部材320を挿入するとともに弁本体310と弁座部材320との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材385を挟み、そして、弁本体310と弁座部材320との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部361が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
また、圧力調整弁5は、スラスト軸受335と弁本体310との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材386を挟み、そして、スラスト軸受335と弁本体310との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部362が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造される。
以上より、本実施形態によれば、圧力調整弁5において、銅製の弁本体310とステンレス製の弁座部材320との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第1溶接部361が設けられ、弁本体310と弁座部材320とが、第1溶接部361を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部361によって銅製の弁本体310とステンレス製の弁座部材320との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、圧力調整弁5において、ステンレス製のスラスト軸受335と銅製の弁本体310との間に、ステンレスと、銅と、これらと溶接により混ざり合うニッケルとのそれぞれがレーザー溶接により溶融固化されて形成された第2溶接部362が設けられ、スラスト軸受335と弁本体310とが、第2溶接部362を介して互いに接合されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部362によってスラスト軸受335と弁本体310との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、従来、このような圧力調整弁では、弁座部材及びスラスト軸受の外周面に全周にわたって溝を設けるとともに、弁本体を当該溝に沿って縮径させてかしめることにより、弁本体と弁座部材及びスラスト軸受とを固定していたが、このような構成では、弁本体のかしめ部分が振動などの影響により疲労することがあり、また、かしめ程度のバラツキにより、弁本体と弁座部材との間の密閉が十分に確保できない恐れがあった。そして、本実施形態では、第1溶接部361及び第2溶接部362を設けることにより、弁本体のかしめ部分の疲労をなくすことができるとともに弁本体と弁座部材との間の密閉を十分に確保することができる。
また、圧力調整弁5は、弁本体310の内側に弁座部材320を挿入するとともに弁本体310と弁座部材320との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材385を挟み、そして、銅製の弁本体310とステンレス製の弁座部材320との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第1溶接部361が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第1溶接部361によって銅製の弁本体310とステンレス製の弁座部材320との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
また、圧力調整弁5は、スラスト軸受335と弁本体310との間にステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルからなるチューブ材386を挟み、そして、ステンレス製のスラスト軸受335と銅製の弁本体310との間に、ステンレス、銅及びニッケルのそれぞれが溶融後に固化されてなる第2溶接部362が形成されるようにレーザー溶接を行う溶接工程を含む製造方法で製造されている。このようにしたことから、ステンレスと銅とを直接溶接した構成に比べて、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合うニッケルを介在することによりステンレスと銅とが互いに混ざり合うので、ステンレスと銅とが混ざり合わずに分離した状態で固まってしまうことを抑制することができる。そのため、ステンレスと銅とが混ざり合わないことにより発生する内部クラックなどの溶接不良を抑制することができる。これにより、レーザー溶接により形成された第2溶接部362によってスラスト軸受335と弁本体310との溶接による接合箇所の接合強度を効果的に確保できる。
本実施形態においては、溶接工程において、弁本体310の内側からレーザーLを照射して第1溶接部361及び第2溶接部362を形成した構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、溶接工程において、弁本体310の外側からレーザーLを照射して第1溶接部363及び第2溶接部364を形成した構成としてもよい。
具体的には、溶接工程において、図18に示すように、弁本体310の外周面の周方向に沿うように全周にわたって、弁本体310、チューブ材385及び弁座部材320の外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図19に示すように、弁本体310を構成する銅、チューブ材385を構成するニッケル及び弁座部材320を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体310と弁座部材320との間に弁本体310の全周にわたって、弁本体310の外周面から半径方向内側に向けて延在する第1溶接部363が形成される。この第1溶接部363によって、弁本体310と弁座部材320とが互いに接合される。
また、溶接工程において、図18に示すように、弁本体310の外周面の周方向に沿うように全周にわたって、弁本体310、チューブ材385及びスラスト軸受335のフランジ部335bの外周面部分が同時に溶融するようにレーザーLを照射した後、照射を停止する。これにより、図19に示すように、弁本体310を構成する銅、チューブ材385を構成するニッケル及びスラスト軸受335を構成するステンレスが、それぞれ溶融されて混ざり合ったのち固化されて、弁本体310とスラスト軸受335との間に弁本体310の全周にわたって、弁本体310の外周面から半径方向内側に向けて延在する第2溶接部364が形成される。この第2溶接部364によって、弁本体310とスラスト軸受335とが互いに接合される。このような構成においても、上述した本実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の弁装置及びその製造方法はこれらの実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態において、弁ハウジング及び弁座部材と各継手との間に挟む金属材であるチューブ材及びリング材として、ニッケルを材料として構成されたものを用いていたが、これに限定されるものではない。このような金属材を構成する材料として、本発明の目的に反しない限り、ステンレス及び銅と溶接により混ざり合う金属であればよく、その材料となる金属の種類は任意である。金属材を構成する材料として、特にニッケル、リチウム、ビスマス、金及び白金の中から選択される1の金属を主成分(重量比で50%超含む)とするものあることが好ましく、これら金属を用いることにより、溶接性を高めて溶接不良を抑制することができる。または、金属材を構成する材料として、りん銅ろう、銀ろう又はニッケルろうを用いてもよい。リン銅ろう(JISZ3264)は、銅に5%〜8%程度のリンを添加してなるろう材である。銀ろうは(JISZ3261)は、銀、銅、亜鉛を高い割合で含むろう材であり、用途により、カドミウム、錫、ニッケルなどが添加されることがある。ニッケルろう(JISZ3265)は、ニッケルを主成分として含むろう材であり、クロムやホウ素、珪素などが添加されている。
また、上述した各実施形態において、配管部材である第1継手及び第2継手等が、純銅を材料として構成されていたが、これに限定されるものではない。このような配管部材の材料として、本発明の目的に反しない限り、銅又は銅を主成分(重量比で50%超含む)とする銅合金であればよい。配管部材の材料として、特に、純銅、無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅及びアルミニウム青銅の中から選択される1の銅(銅合金を含む)であることが好ましい。
また、上述した各実施形態において、第1継手及び第2継手等の外周面における弁ハウジング又は弁座部材と溶接により接合される箇所には、ニッケルメッキ層又はニッケル系部材が溶融付着されたニッケル付着部が設けられていてもよい。このようにすることで、弁ハウジング及び弁座部材と各継手との溶接性をさらに高めることができる。
なお、前述した第1〜第7の実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態の例として上述した電動弁、絞り弁装置(電磁弁)、流路切換弁(四方弁)、逆止弁、圧力調整弁を示したが、本発明は他の様々な種類の弁装置にも適用できる。つまり、本発明は、ステンレス製の部材と銅製の部材とが溶接により固定される構成を備えた弁装置であれば適用可能である。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の弁装置及びその製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。