JP4646242B2 - 電磁式の弁、殊に自動車のブレーキ装置のための電磁式の弁 - Google Patents

Description

本発明は、電磁式の弁、殊に自動車のブレーキ装置のための電磁式の弁であって、長尺のロッドを備えており、該ロッドはロッド案内部内に軸線方向移動可能に案内されており、かつ前記ロッドに形成されたシール部材を備えており、該シール部材はシール座を密閉するようになっており、前記シール座と前記ロッド案内部とは一体に形成されている形式のものに関する。

公知のブレーキ装置においては、電磁式の弁は例えば入り口弁若しくは切換え弁として用いられて、所属の自動車のブレーキでアンチロック機能、牽引制御機能若しくは走行運動制御機能を生ぜしめるようになっている。公知の電磁式の弁は、長尺若しくは細長いロッドを有しており、該ロッドはほぼ中空円筒状のロッド案内部内に軸線方向移動可能に案内されている。中空円筒状のロッド案内部内には、同じく中空円筒状のシール座を圧入してあり、該シール座に、ロッドの端部のシール部材が当接して密閉するようになっている。ロッド案内部内へのシール座の圧入により、装置全体の幾何学形状は所望の弁機能の調節及び適合のために変化させられるようになっている。特にロッドとロッド案内との間の軸線方向の間隙は調節されるようになっている。

シール座の開放に際して、運転媒体（作動媒体）、例えばブレーキ流体若しくはブレーキ液体はシール座を経てロッド案内部の内部に流入し、次いで１８０°の角度にわたって転向して、通常はロッド案内部に設けられた３つの縦溝及び別の６つの半径方向溝によってさらに１８０°の角度にわたって転向してラジアルフィルタ（半径方向フィルタ）に向かって流れ、次いでラジアルフィルタを経て９０°の角度にわたる最終的な転向の後に電磁的な弁の所属の液圧装置へ供給される。

本発明の課題は、冒頭に述べた形式の電磁式の弁、殊に自動車のブレーキ装置のための電磁式の弁を改善して、該弁が公知の弁に比べて安価に製造できかつ殊に良好に調整可能であるようにすることである。

前記課題を解決するために本発明に基づく構成では、ロッドを案内していて固定子としてのロッド案内部に、調節装置（５６）を設けてあり、該調節装置を用いて、軸線方向で、前記ロッドを移動させるための接極子の端面と前記ロッド案内部の端面との間に設けられる間隙は調節されるようになっている。本発明の上記構成に基づき、ロッド若しくはロッド案内部の長さの製作誤差は補償され、かつシール座を閉じた際のシール部材とシール座との間に生じる間隙を調節することができるようになっている。

本発明に基づきシール部材とシール座との間の接続箇所の数は最小に減少されており、公知の電磁式の弁に比べて複数の構成部材は唯一の構成部材にまとめられている。これによって、ロッドの位置は良好に再現される。このような改善は個別の各弁において達成される。このことはさらに、今日のブレーキ装置において複数の弁を互いに協働して制御する場合に有利である。本発明に基づく電磁式の弁においては密閉及び圧力調整機能の調節も可能である。本発明に基づく弁においては構成部分の形状誤差を補償することができて有利である。

すでに述べてあるように、本発明の基本思想はシール座若しくは１つの弁部材をロッド案内部若しくは１つの弁挿入体と一体的に形成することである。本発明によるこのような構成に基づき、ロッドの案内部は正確に寸法を規定でき、その結果、ロッド及び該ロッドのシール部材は再現性をもってシール座と接触している。

本発明に基づく電磁式の弁の有利な実施態様では、ロッド案内部並びにロッドは、シール部材がシール座に同軸的（同心的）に当接するように形成されている。シール座へのシール部材の当接は、別の実施態様では偏心的（離心的）に行われるようになっていてよい。両方の実施態様は、本発明に基づく一体構造のシール座兼ロッド案内用構成部分を用いて簡単かつ経済的に達成される。シール座の位置は、本発明に基づく弁においては殊にロッド案内部内の半径方向で、正確な加工成形によって正確に規定される。その結果、ロッド並びにそのシール部材の半径方向の位置もシール座に対して正確である。

前記調節装置は調節リングとして形成されており、該調節リングは有利にはロッド案内部に配置されている。これによってロッド案内部は、三重の機能を有し、即ちシール座を保持し、ロッドを案内し、かつ調節装置のためのベースを形成している。このような構成に基づき、前記間隙はロッド案内部に沿った調節リングの簡単な移動によって調節される。

特に有利には、調節装置としての調節リングは半径方向圧着部（圧入部若しくはプレス嵌め部）によってロッド案内部に取り付けられている。半径方向圧着部は弁機能の調整に際して正確に位置決めして形成され、これによって生ぜしめられた長さ寸法（ロッド案内部上での調節リングの位置）は弁の運転時（本来の使用時）にはもはや変えられない。

前記手段に加えて若しくは別の実施態様として、調節装置としての調節リングはレーザー溶接継ぎ目によって有利には、ほぼ筒状若しくは管状のロッド案内部に固定されている。レーザー溶接継ぎ目は、調節リングとロッド案内部との間の液密で位置の正確なかつ耐久的な結合部を形成している。

ロッド案内部及び／又は調節リングに有利にはキャップをかぶせ嵌めてあり、該キャップは調節リングに別のレーザー溶接継ぎ目によって経済的に固定されている。ロッド案内部内でのロッドの最大の変位量は、調節リングに沿ったキャップの移動（調節）によって規定されるようになっている。

前述のように形成された本発明に基づく電磁式の弁においては、磁束はロッド案内から半径方向に調節リングへ、かつ調節リングから軸線方向に弁の接極子へ流れる。この場合に調節リングは通常はロッドのための案内機能を生ぜしめるものではない。

本発明に基づき設けられた一体構造のシール座・ロッド案内用構成部材は、予めロッドをその接極子、キャップ並びに調節リングと一緒に組み立てる場合に利点をもたらす。該組み立てに際してロッド行程は、調節リングとロッド案内部との間の相対位置の、半径方向圧着部による簡単な位置決めに基づき調節されてよい。ロッドの接極子と調節リングとの間の間隙は、キャップ若しくはカプセルと調節リングとの間の、同じく半径方向圧着部による位置決めに基づき調節されてよい。弁全体の前記両方の相対位置及びシール性は、前記二重のレーザー溶接継ぎ目によって確実に保証されている。このようにして、本発明に基づく電磁式の弁は正確に組み立てられて、弁の圧力調整を正確に行うようになっている。

本発明に基づくロッド案内部にはシール座を圧入するようになっているものではないので、ロッド案内部は押圧力を受けることがなく、従ってシール座の領域で薄く形成され得る。このような構成は材料、重量及びコストを節減することにつながる。本発明の有利な実施態様では、シール座の領域でロッド案内部に半径方向の少なくとも１つの貫通孔を設けてあり、該貫通孔はシール座から到来する液体をロッド案内部の外側へ導くようになっている。液体の流下に際して流体の流れは９０°の角度にわたってしか転向されない。従って流動抵抗も相応に減少されている。さらにロッド案内部は、流下する流れの案内の機能を有しており、その結果、従来は該機能を有していた別の構成部材を簡単に形成することができる。例えばシール座の、ロッドと逆の側に配置されるプラスチック装着部材を簡単に形成することができる。

次に本発明に基づく電磁式の弁の実施例を、添付の図面に即して詳細に説明する。図面において、
図１は、従来技術の電磁式の弁の縦断面図であり、
図２は、本発明に基づく電磁式の弁の第１の実施例の縦断面図であり、
図３は、図２の電磁式の弁における運転媒体の流れ及び磁束を示す図であり、
図４は、本発明に基づく電磁式の弁の第２の実施例の縦断面図である。

図１には電磁式の公知技術の弁１０を示してある。該弁１０は中央の構成部分としてほぼ中空円筒状のロッド案内部１２若しくは弁挿入体を有しており、該構成部分の外周には長手方向の中央につば１４を設けてあり、かつ該構成部分の内部には長手方向に貫通孔１６を形成してある。貫通孔１６内には、ほぼ円柱状のロッド１８をロッド案内部１２の長手方向に移動可能に支承してある。ロッド１８の図１で見て下方の端部にシール部材２０を配置してあり、シール部材（閉鎖部材）は下方に向けて湾曲された球欠面２２を有している。

シール部材２０に相対してシール座２４若しくはシール部材を配置してあり、該シール座若しくはシール部材はほぼ中空円筒状に形成されていて、かつ球欠面２２と相対する円錐台面２６を有している。ロッド１８の下方の部分（該部分は図１に示してあるように直径を減少されている）にコイルばね２８を被せはめてあり、該コイルばねは圧縮ばねとして作用するようになっていて、シール座２４に支えられている。

ほぼ中空円筒状のシール座２４の、コイルばね２８と逆の側の端面に、ほぼディスク状の装着部材３０を配置してあり、該装着部材は中心から外れて設けられた玉形逆止弁３２を備えている。装着部材３０の図１で見て下方の端面に、浅いカップ形のアキシャルフィルタ（軸線方向フィルタ）３４を配置してある。

装着部材３０に貫通孔３６を形成してあり、かつシール座２４には、貫通孔３６と接続する貫通孔３８を長手方向に形成してある。アキシャルフィルタ３４を介して供給された液状の運転媒体若しくは液体は、両方の貫通孔３６，３８を経てシール座２４の円錐台面２６に達するようになっている。図示の運転状態では、シール部材２０はシール座２４に接触していない。従って液状の運転媒体は、室内にかつコイルばね２８の周りに達して、そこからロッド案内部１２の内周面に設けられた単数若しくは複数の縦溝４０、装着部材３０に設けられた半径方向溝４２及び、ロッド案内部１２の外周面に配置されたラジアルフィルタ（半径方向フィルタ）４４を経て流出する。

運転媒体の、シール座２４を経て弁１０からの流出を遮断するために、ロッド１８は図１で見て上方の端部区分に電磁式の接極子４６を有している。該接極子は、電磁石（図示省略）を用いて作動させられ、その結果、ロッド１８はロッド案内部１２内を移動させられ、これによって球欠面２２は円錐台面２６に向けて案内される。

ロッド１８の運動を可能にするために、図１で見て、ほぼ中空円筒状のロッド案内部１２の上方の端面と接極子４６の下方の端面との間に間隙４８を設けてある。さらに接極子４６にほぼカップ形のキャップ５０をかぶせてあり、キャップは周方向溶接継ぎ目５２を用いてロッド案内部１２の外周面に固定されている。

図２に本発明に基づく電磁式の弁１０の実施例を示してある。図１に示す弁１０に比べて、図２に示す弁１０は、一体構造のシール座・ロッド案内用構成部材５４を有しており、該シール座・ロッド案内用構成部材はロッド案内の機能もシール座の機能も有している。図１に示す弁１０に対するさらなる新規技術として、図２に示す弁１０は、図２で見て上方の端部領域に断面L字形の調節リング５６を備えており、該調節リングはロッド案内部１２に半径方向圧着部５６を用いて固定されている。調節リング５６はロッド１８のための案内機能を有するものではなく、間隙４８の調節のために用いられるものであり、該間隙は図２の弁１０においては調節リング５６の上方の端面と接極子４６の下方の端面との間に形成されている。

図２に示す弁１０においてはロッド案内部１２の上方の端部区分及び調節リング５６にキャップ５０をかぶせてあり、キャップは半径方向圧着部６０によってロッド案内部１２に堅く押し嵌めてあり、かつレーザー溶接継ぎ目６２によってロッド案内部１２の外周面に固定されている。

図２の弁１０のシール座・ロッド案内用構成部材５４においては、前述の新規技術に加えて、軸線方向で見てシール座・ロッド案内用構成部材５４のシール座区分の円錐台面２６の上側に、直径方向で互いに相対しかつ半径方向に延びる２つ若しくは複数の孔６４を設けてある。シール座・ロッド案内用構成部材５４のシール座区分を通って流入する運転媒体は、前記半径方向の孔６４によって９０°の角度にわたる２回だけの転向で、ロッド案内部１２の外周面に配置されたラジアルフィルタ４４へ流れる。図３に、半径方向の孔６４を通る運転媒体の流れの主方向が矢印で示してある。

図３にはさらに、図２の弁１０の磁束の主要な磁束線６８を示してある。磁束はロッド案内部１２から半径方向に断面L字形の調節リング５６の１つの脚部へ流れ、かつ調節リングから軸線方向に接極子４６へ流れる。キャップ５６は、磁束を導く材料から成っていて、シール座・ロッド案内用構成部材５４と接極子４６との間の磁気回路を形成している。磁場若しくは磁束を形成するコイルは図示を省略してある。コイルは電磁弁に被せ嵌められて、接極子４６並びにロッド案内部１２をつば１４の箇所まで取り囲んでいる。

図２及び図３に示す弁１０において、装着部材３０は図１のものと全く同じに形成されているものの、装着部材３０の半径方向溝４２はもはや不要で従って省略されていてよいものである。

図４に本発明に基づく電磁式の弁１０の第２の実施例を示してあり、該弁はシール座・ロッド案内用構成部材５４、ひいては該構成部材によって達成されるシール座及びロッド案内の構成に関連して、図２及び図３に示すシール座・ロッド案内用構成部材５４と同じに形成されている。

図４の弁１０は調節リング５６の領域を変更してある。この場合に調節リング５６は軸線方向で第１の実施例に比べて長く形成してあり、図４で見て調節リング５６の下方の端部領域とシール座・ロッド案内用構成部材５４の上方の端部領域との間に、半径方向圧着部７０並びに周方向のレーザー溶接継ぎ目７２を設けてある。長い調節リング５６の外周面に、キャップ５０の半径方向圧着部７４を堅く押し嵌めてかつ同じくレーザー溶接継ぎ目７６によって固定してあり、この場合に両方のレーザー溶接継ぎ目７２，７６は唯一の作業過程で形成される。別の実施例として、レーザー溶接継ぎ目７２と７６とは順次にかつ必要に応じて異なる作業ステーションで形成されるようになっていてもよい。

従来技術の電磁式の弁の縦断面図 本発明に基づく電磁式の弁の第１の実施例の縦断面図 図２の電磁式の弁における運転媒体の流れ及び磁束を示す図 本発明に基づく電磁式の弁の第２の実施例の縦断面図

符号の説明

１０ 弁、 １２ ロッド案内部、 １４ つば、 １６ 貫通孔、 １８ ロッド、 ２０ シール部材、 ２２ 球欠面、 ２４ シール座、 ２６ 円錐台、 ２８ コイルばね、 ３０ 装着部材、 ３２ 逆止弁、 ３４ アキシャルフィルタ、 ３６，３８ 貫通孔、 ４０ 縦溝、 ４２ 半径方向溝、 ４４ ラジアルフィルタ、 ４６ 接極子、 ４８ 間隙、 ５０ キャップ、 ５２ 周方向溶接継ぎ目、 ５４ シール座・ロッド案内用構成部材、 ５６ 調節リング、 ５８，６０ 半径方向圧着部、 ６２ レーザー溶接継ぎ目、 ６４ 孔、 ７０ 半径方向圧着部、 ７２，７６ レーザー溶接継ぎ目

Claims (7)

1. 自動車のブレーキ装置のための電磁式の弁（１０）であって、長尺のロッド（１８）を備えており、該ロッドはロッド案内部（１２）内に軸線方向移動可能に案内されており、かつ前記ロッド（１８）に形成されたシール部材（２０）を備えており、該シール部材はシール座（２４）を密閉するようになっており、前記シール座（２４）と前記ロッド案内部（１２）とは一体に形成されている形式のものにおいて、前記ロッド（１８）を案内していて固定子としての前記ロッド案内部（１２）に、調節装置（５６）を設けてあり、該調節装置によって、軸線方向で、前記ロッド（１８）を移動させるための接極子（４６）の端面と前記ロッド案内部（１２）の端面との間に設けられる間隙（４８）は調節されるようになっており、前記調節装置（５６）はキャップ（５０）によって覆われており、該キャップ（５０）はレーザー溶接継ぎ目（７６）によって調節リング（５６）に固定されていることを特徴とする電磁式の弁。
2. ロッド（１８）は、シール部材（２０）が同軸的にシール座（２４）に当接するようにロッド案内部（１２）内に軸線方向移動可能に案内されている請求項１に記載の電磁式の弁。
3. 調節装置は調節リング（５６）として形成されている請求項１又は２に記載の電磁式の弁。
4. 調節リング（５６）は半径方向圧着部（５８，７０）によってロッド案内部（１２）に取り付けられている請求項３に記載の電磁式の弁。
5. 調節リング（５６）はレーザー溶接継ぎ目（７２）によってほぼ円筒状のロッド案内部（１２）に固定されている請求項３又は４に記載の電磁式の弁。
6. 調節リング（５６）はほぼ円筒状のロッド案内部（１２）の外周面に固定されている請求項５に記載の電磁式の弁。
7. シール座（２４）の領域でロッド案内部（１２）に半径方向の少なくとも１つの貫通孔（６４）を設けてあり、該貫通孔はシール座（２４）から到来する液体をロッド案内部（１２）の外側へ導くようになっている請求項１から６のいずれか１項に記載の電磁式の弁。

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