JP5942942B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乗物用シートの側方から乗物に衝撃が加わった場合に、その乗物用シートに着座している乗員の側方でエアバッグ本体を展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に関する。
側突等により車両に対し側方から衝撃が加わった場合に、車両用シートに着座している乗員を保護する装置として、サイドエアバッグ装置が広く知られている。このサイドエアバッグ装置では、車両の側壁部、例えばサイドドア等に対し側方から衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスがエアバッグ本体に供給される。この膨張用ガスにより、エアバッグ本体が側壁部と車両用シートとの間で前方へ向けて展開及び膨張する。このエアバッグ本体が、乗員と車内側へ進入してくる側壁部との間に介在して乗員を拘束するとともに、側壁部を通じて乗員へ伝わる側方からの衝撃を緩和する。
上記サイドエアバッグ装置の一態様として、例えば特許文献1に記載されたものがある。図16に示すように、このサイドエアバッグ装置のエアバッグ本体101は、車両用シートの幅方向に重ね合わされた一対の布部102,103をそれらの周縁部に沿って結合することにより袋状に形成されている。車外側の布部103は矩形状をなしており、特定布部とされている。布部103の一部の車外側には、同布部103よりも車幅方向外側へ突出するように膨張する突出膨張部104が形成されている。突出膨張部104は側面視でJ字状をなし、その周縁部の全周にわたり、縫合により布部103に結合されている。
このサイドエアバッグ装置によれば、エアバッグ本体101の車幅方向の膨張厚みを、突出膨張部104により部分的に大きくすることができ、乗員を拘束する性能が高められる。
そのほか、エアバッグ本体の車幅方向の膨張厚みを部分的に異ならせたサイドエアバッグ装置として、以下のようなものがある。
・特許文献2に記載されているように、両布部を互いに接触させた状態で縫合してなるシームを設けたサイドエアバッグ装置。同装置では、エアバッグ本体の車幅方向の膨張厚みは、同エアバッグ本体の周縁部を除き、シームの設けられた箇所で最小(零)となり、同箇所から離れるに従い大きくなる。
・特許文献3に記載されているように、両布部の間に、テザーと呼ばれる布片を架け渡したサイドエアバッグ装置。同装置では、テザーによりエアバッグ本体の車幅方向の膨張厚みが規制される。そのため、同装置では、エアバッグ本体の車幅方向の膨張厚みは、同エアバッグ本体の周縁部を除き、テザーの設けられた箇所で最小となり、同箇所から離れるに従い大きくなる。
上記特許文献2及び特許文献3に記載されたサイドエアバッグ装置では、両布部がともに特定布部とされる。各特定布部の一部において残部よりも多く車幅方向へ膨張する部分が突出膨張部とされる。
特開2010−188891号公報 特開2003−335208号公報 特開2010−221738号公報
ところが、特許文献1に記載されたサイドエアバッグ装置では、エアバッグの製造に際し、矩形状をなす車外側の布部103に対し、側面視でJ字状をなす突出膨張部104の周縁部を縫合する工程が行なわれる。しかも、突出膨張部104は、その周縁部の全周にわたり車外側の布部103に縫合される。そのため、車外側の布部103に対し突出膨張部104を位置決めする箇所が多く、位置決めの作業が繁雑である。また、突出膨張部104の全周が縫合の対象箇所となり、縫合する箇所の長さが長く、縫合作業が大変である。
また、シームによって膨張厚みを異ならせる特許文献2や、テザーによって膨張厚みを異ならせる特許文献3では、車幅方向についての内側にも外側にも突出膨張部が形成される。そのため、車幅方向についての内側にのみ、又は外側にのみ突出膨張部を有するサイドエアバッグ装置には適用できない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、突出膨張部の形成対象となる布部のいずれについても突出膨張部を容易に形成することのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の布部をそれらの周縁部に沿って結合することにより袋状に形成され、かつ前記乗物用シートの側方からの衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートに着座している乗員の側方で膨張するエアバッグ本体が備えられ、少なくとも一方の前記布部は特定布部とされ、前記特定布部の一部には、残部よりも多く前記幅方向へ突出するように膨張する突出膨張部が形成されたサイドエアバッグ装置であって、前記突出膨張部は、膨張時に前後方向に配置される一対の突出壁部により形成され、前記特定布部は、後側の前記突出壁部を有する第1構成布部と、前側の前記突出壁部を有する第2構成布部とに分割され、前記第1構成布部及び前記第2構成布部の分割部分の周縁部同士を結合することにより、前記突出膨張部を有する前記特定布部が形成されている。
上記の構成によれば、突出膨張部の一部を構成する後側の突出壁部は第1構成布部の一部として形成されている。そのため、後側の突出壁部を第1構成布部に結合する工程は不要である。また、突出膨張部の残りの部分を構成する前側の突出壁部は第2構成布部の一部として形成されている。そのため、前側の突出壁部を第2構成布部に結合する工程は不要である。
特定布部の形成に際しては、第1構成布部及び第2構成布部の分割部分の周縁部同士が重ね合わされる。この周縁部には、突出壁部の周縁部も含まれる。この際、各突出壁部が構成布部の一部によって構成されているため、同突出壁部の構成布部に対する位置決めは不要である。なお、第1構成布部に対する第2構成布部の位置決めは必要であるが、その場合の位置決めの箇所は、両構成布部の分割部分の周縁部のみであり、少ない。そのため、位置決め作業がしやすい。
そして、上記のように重ね合わされた両構成布部の分割部分の周縁部同士が結合される。この結合により、突出膨張部を有する特定布部が形成される。この際、結合の対象となる箇所の長さは、両構成布部の分割部分の周縁部のみであり、短い。そのため、結合作業が容易である。
また、後側の突出壁部を有する第1構成布部と、前側の突出壁部を有する第2構成布部とに分割することは、いずれの布部についても可能である。また、第1構成布部及び第2構成布部の分割部分の周縁部同士を結合することは、いずれの布部についても可能である。そのため、いずれの布部についても、突出膨張部を容易に形成することが可能である。
上記サイドエアバッグ装置において、前記乗物用シートの幅方向についての一方には、乗物の側部を構成し、かつ前記乗物用シート側へ向けて膨出する膨出部を有する側壁部が設けられており、前記側壁部側の前記布部は前記特定布部とされ、同特定布部の前記突出膨張部は、前記膨出部とは異なる箇所の側方に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、エアバッグ本体による乗員の拘束に際しては、そのエアバッグ本体が側壁部によって押圧され、そのエアバッグ本体によって乗員が押圧される。従って、乗員を拘束するには、エアバッグ本体の全体が乗物用シートと側壁部との隙間を埋めることが重要である。
一方、乗物用シートと側壁部との間隙は、位置、例えば上下方向の位置(高さ)に応じて異なる。この間隙は、膨出部が設けられた箇所では、膨出部の設けられない箇所よりも小さい。そのため、仮に、エアバッグ本体の全体が乗物用シートの幅方向に同程度の膨張厚みで膨張すると、エアバッグ本体が膨出部に当接したとき、膨出部の設けられていない、間隙の大きな箇所ではエアバッグ本体と側壁部との間に隙間が生じ、乗員を拘束し始める時期が遅くなる。
しかし、側壁部側の布部が特定布部とされ、突出膨張部が、側壁部の膨出部とは異なる箇所の側方に形成されることで、エアバッグ本体の全体を側壁部に当接させることが可能となる。その結果、乗物用シート側へ進入してくる側壁部によって、エアバッグ本体の全体を早い時期から押圧して、乗員を拘束し始めることが可能となる。
上記サイドエアバッグ装置によれば、突出膨張部の形成対象となる布部のいずれについても突出膨張部を容易に形成することができる。
サイドエアバッグ装置の一実施形態を示す図であり、同装置が設けられた車両用シートをエアバッグ及び乗員とともに示す側面図。 一実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及び側壁部の位置関係を示す平断面図。 一実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及び側壁部の位置関係を示す正断面図。 一実施形態において、エアバッグモジュールが組み込まれたシートバックの側部の内部構造を示す部分平断面図。 一実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを示す側面図。 図5の6−6線に沿ったエアバッグの内部構造を模式的に示す断面図。 (a)は、図5のエアバッグモジュールの内部構造を乗員とともに示す側断面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 一実施形態において、エアバッグの構成部材を分解して示す斜視図。 一実施形態において、エアバッグ本体の構成部材を分解して示す斜視図。 一実施形態において、エアバッグ本体と縦区画部とを分解して示す斜視図。 一実施形態における縦区画部が緊張したときの調圧弁及びその周辺部分を示す部分斜視図。 (a)〜(c)は、一実施形態における調圧弁の動作を模式的に示す側断面図。 エアバッグの変形例を示す図であり、図6に対応する断面図。 エアバッグの変形例を示す図であり、図6に対応する断面図。 エアバッグの変形例を示す図であり、図6に対応する断面図。 従来のサイドエアバッグ装置におけるエアバッグ本体を構成する部材を分解して示す斜視図。
以下、サイドエアバッグ装置の一実施形態として、乗物としての車両に装備されるサイドエアバッグ装置について、図1〜図12を参照して説明する。
なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方と記載し、それを基準に前、後、上、下、左、右を規定している。また、各図において、「前」は車両前側を、「後」は車両後側を、「内」は車両内側を、「外」は車両外側をそれぞれ示している。車両内側は、車幅方向について、その中央位置に近づく側であり、車両外側は上記中央位置から遠ざかる側である。
また、車両用シートには、標準的な体格を有する大人が乗員として、予め定められた姿勢(正規の姿勢)で着座しているものとする。
図1〜図3に示すように、車両10において側壁部11の車内側の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、側壁部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応する側壁部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応する側壁部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。側壁部11には、車両用シート12側へ膨出する膨出部として、アームレスト11aが設けられている。
車両用シート12は、その下部を構成するシートクッション(座部)13と、そのシートクッション13の後側から起立するシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車両10に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
シートバック14は、シートバック本体15と、そのシートバック本体15の幅方向についての両側部に設けられた一対のサイドサポート部16とを備えている。シートバック本体15は後側へ傾斜しており、乗員Pの上半身を後側から支える。両サイドサポート部16は、シートバック本体15から前方へ突出しており、シートクッション13に腰掛けてシートバック本体15に凭れた乗員Pの上半身の車幅方向についての動きを規制する。
次に、シートバック14において、車外側のサイドサポート部16を含む車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。
シートパッド18内において、サイドフレーム部17の車外側近傍には収納部21が設けられている。この収納部21には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールAMが組み込まれている。
収納部21の角部からは、斜め前かつ車外側に向けてスリット22が延びている。シートパッド18の前側の角部18cとスリット22とによって挟まれた箇所(図4において二点鎖線の枠で囲んだ箇所)は、後述するエアバッグ本体41によって破断される破断予定部23を構成している。
エアバッグモジュールAMは、インフレータアセンブリ30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<インフレータアセンブリ30>
図4及び図5に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略上下方向に延びる略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その上端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ31の下端部には、そのインフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ32は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、上記インフレータ31をエアバッグ本体41と一緒に上記サイドフレーム部17に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって、略上下方向へ延びる略筒状に形成されている。そして、インフレータ31のガス噴出部から噴出された膨張用ガスが、リテーナ32の外部へ噴き出される。
リテーナ32には、これをサイドフレーム部17に取付けるための係止部材として、複数本のボルト34が固定されている。
なお、インフレータアセンブリ30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
エアバッグ40は、その外殻部分を構成するエアバッグ本体41と、エアバッグ本体41内に設けられた縦区画部61とを備えている。
<エアバッグ本体41>
図5及び図6は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図7(a)は、図5のエアバッグモジュールAMの内部構造を乗員Pとともに示している。
図5、図6及び図7(a)に示すように、エアバッグ本体41は、布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線42に沿って前方へ二つ折りして車両用シート12の幅方向(車幅方向)に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ本体41の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを布部43といい、車外側に位置するものを布部44というものとする。
本実施形態では、上記両布部43,44は、いずれも特定布部を構成している。各布部43,44の上部には、残部よりも多く車幅方向へ突出するように膨張する突出膨張部45が形成されている(図3参照)。各突出膨張部45は、膨張時に前後方向に配置される一対の突出壁部45f,45rを備えている。各布部43,44は、後側の突出壁部45rを有する第1構成布部46と、前側の突出壁部45fを有する第2構成布部47とに分割されている。両第1構成布部46は、非膨張展開状態では、それらの後縁部において相互に繋がっており、折り線42に沿って前方へ折り返されることで、相互に車幅方向に重ね合わされている。また、両第2構成布部47は、非膨張展開状態では、相互に車幅方向に重ね合わされている。
このように、突出膨張部45の半分を構成する後側の突出壁部45rは、第1構成布部46の一部として形成されている。また、突出膨張部45の残りの半分を構成する前側の突出壁部45fは、第2構成布部47の一部として形成されている。
図9では、各第2構成布部47が裏返された状態で図示されている。この図9に示すように、各第1構成布部46の分割部分の周縁部と、裏返された各第2構成布部47の分割部分の周縁部とは同一の形状を有している。図10に示すように、第1構成布部46及び第2構成布部47の分割部分の周縁部同士が結合されることにより、突出膨張部45を有する布部43,44が形成されている。上記結合は、各第1構成布部46の周縁部と各第2構成布部47の周縁部とに設けられた結合部48においてなされている。本実施形態では、結合部48は、両構成布部46,47の周縁部において、外周縁から一定距離離れた箇所を縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する周縁結合部51、外結合部63及び内結合部73についても同様である。
なお、結合部48は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する周縁結合部51、外結合部63及び内結合部73についても同様である。
図9に示すように、各第1構成布部46の周縁部において、結合部48と外周縁との間の領域は、第2構成布部47との結合のために同第1構成布部46に設定された結合代46a(縫い代)となっている。同様に、各第2構成布部47の周縁部において、結合部48と外周縁との間の領域は、第1構成布部46との結合のために設定された結合代47a(縫い代)となっている。図6に示すように、エアバッグ本体41の非膨張展開状態では、突出壁部45f,45rが前方へ折り返されている。各第2構成布部47において突出壁部45f,45rを除く箇所の結合代46a,47aもまた前方へ折り返されている。
上記縫製に関し、図5及び図7〜図11では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している(図5における結合部48等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図7(a)における結合部48等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る断面に沿った縫糸の断面を示している(図7(a)における周縁結合部51等参照)。
エアバッグ本体41においては、両布部43,44の外形形状が、折り線42を対称軸として互いに線対称の関係にある。各布部43,44の形状・大きさは、エアバッグ本体41が車両用シート12と側壁部11との間で展開及び膨張したときに、その車両用シート12に着座している乗員Pの上半身の多くの部分の側方の領域を占有し得るように設定されている。
上記両布部43,44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
両布部43,44の上記結合は、それらの周縁部のうち、後端部(折り線42の近傍部分)を除く部分に設けられた周縁結合部51においてなされている。
図5及び図7(a)に示すように、両布部43,44の間であって、周縁結合部51及び折り線42によって囲まれた空間は、膨張用ガスによって乗員Pの上半身の側方で展開及び膨張することにより、同上半身の多くの部分を拘束して衝撃から保護するための膨張部52となっている。
各布部43,44の後端部であって上下方向についての中間部分には、折り線42を跨いで前方へ延びるスリット53(図8参照)が形成されている。両布部43,44においてスリット53よりも下側部分は、他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられた内折り部54となっている。内折り部54の下端部は、上述した周縁結合部51によって両布部43,44の他の部分に結合されている。また、上記内折り部54の形成に伴い、スリット53が略円形に開かれて、上記インフレータアセンブリ30の挿入口55が形成されている。さらに、車内側の布部43について、上記折り線42の近傍であって上記スリット53の上方となる複数箇所(2箇所)には、上記リテーナ32のボルト34を挿通させるためのボルト孔56があけられている。
膨張部52の内部は、縦区画部61により複数の部屋に区画されている。縦区画部61は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。
<縦区画部61>
図6は、図5の6−6線に沿った断面構造を示している。この図6では、各部材が厚みを省略して描かれている。図6及び図7(a)に示すように、エアバッグ本体41が非膨張展開状態となっているときには、縦区画部61は、両布部43,44間において、略上下方向に延びる折り線62に沿って前方へ二つ折りされている。二つ折り状態の縦区画部61の上端部及び下端部は、上述した周縁結合部51によって両布部43,44に対し、共縫いにより結合されている。
図8に示すように、縦区画部61は、展開させられた状態では、折り線62に沿う方向(以下「縦方向」という)の寸法が、同折り線62に直交する方向(以下「横方向」という)の寸法よりも長い形状を有している。図6及び図7(a)に示すように、縦区画部61は、自身の周縁部に沿って設けられた外結合部63によって布部43,44に結合されている。なお、外結合部63は、エアバッグ本体41が二つ折りされて、両布部43,44が重ね合わせられたときに相互に合致する箇所に設けられている。
縦区画部61は、上記の結合により、両布部43,44の間に架け渡されている。膨張部52において、縦区画部61よりも後側の部屋は、乗員Pの上半身の後半部の側方で展開及び膨張する後膨張室58を構成している。また、膨張部52において、縦区画部61よりも前側の部屋は、乗員Pの上半身の前半部の側方で展開及び膨張する前膨張室59を構成している。
縦区画部61は、図7(a),(b)及び図11に示すように、縦方向(上下方向)に並べられた2つの布片66,67によって構成されている。両布片66,67は、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えば織布等からなる。
上下両布片66,67では、それらの端部68,69の端縁68e,69e同士が合致させられた状態で、端部68,69同士が帯状に重ね合わされている。上下両布片66,67は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部71と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部72」という)との境界部分において、横方向(車幅方向)へ延びる内結合部73によって結合されている。
なお、縦区画部61における上側の布片66及び下側の布片67の少なくとも一方は、折り線62に沿って2枚に分割されてもよい。
そして、インフレータアセンブリ30の大部分は、略上下方向へ延びる姿勢にされて、エアバッグ本体41内の後端部に収容されている。インフレータアセンブリ30の下部は、挿入口55を通り、エアバッグ本体41の外部に露出している。リテーナ32のボルト34は、ボルト孔56に挿通されている。こうした挿通により、インフレータアセンブリ30がエアバッグ本体41に対し位置決めされた状態で係止されている。
なお、インフレータアセンブリ30の全部が後膨張室58の内部に配置されもよい。
さらに、縦区画部61において、縦及び横の両方向についての略中央部分には、連通部74及び調圧弁75が設けられている。詳しくは、縦区画部61における上記内結合部73は、その一部である、折り線62を跨ぐ部分において結合を解除されている。表現を変えると、両重ね合わせ部71と非重ね合わせ部72との境界部分において、折り線62を跨ぐ部分では、上下両布片66,67を結合させる内結合部73が設けられていない。このように内結合部73が設けられていない部分である、結合を解除された箇所は、横方向(車幅方向)に延びて、後膨張室58と前膨張室59とを連通させるスリットからなる連通部74を構成している。
調圧弁75は、連通部74での膨張用ガスの流通を制御することで、後膨張室58及び前膨張室59の各内圧を調整する弁である。重ね合わせ部71であって、連通部74と端縁68eとの間の部分は、調圧弁75の弁体部76を構成し、連通部74と端縁69eとの間の部分は、調圧弁75の弁体部77を構成している。両弁体部76,77が、それらの少なくとも一部、例えば先端部76t,77tにおいて互いに接触することで、両弁体部76,77の間での膨張用ガスの流通が規制される(図12(a),(b)参照)。このときの調圧弁75の動作態様を「閉弁」という。また、連通部74が開かれ、かつ弁体部76の全体が弁体部77の全体から離間することで、両弁体部76,77の間での膨張用ガスの流通が可能となる(図12(c)参照)。このときの調圧弁75の動作態様を「開弁」という。
そして、両重ね合わせ部71は非重ね合わせ部72との境界部分において、上方又は下方(本実施形態では上方)へ折り曲げられて、同非重ね合わせ部72に重ねられている。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部71は、内結合部73に沿う方向(横方向:車幅方向)の両端部において、前述した外結合部63により、エアバッグ本体41の対応する布部43,44及び非重ね合わせ部72に対し、共縫いにより結合されている。
なお、縦区画部61の両周縁部は、布部43,44に対し、後膨張室58内で結合されてもよいし、前膨張室59内で結合されてもよい。両周縁部の一方が後膨張室58内で結合され、他方が前膨張室59内で結合されてもよい。
また、内結合部73において結合を解除される箇所は、必ずしも折り線62を跨ぐ部分に設けられなくてもよく、折り線62から、同折り線62に直交する方向へ外れた箇所に設けられてもよい。また、両内結合部73間の結合を解除される部分は、複数箇所に設けられてもよい。
また、両弁体部76,77を含む一対の重ね合わせ部71は、膨張部52の展開及び膨張前に後膨張室58に代えて、前膨張室59に配置されてもよい。
さらに、二つ折り状態の縦区画部61は、折り線62を外結合部63よりも前膨張室59側に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部52に配設されてもよい。この場合、両弁体部76,77を含む重ね合わせ部71が、膨張部52の展開及び膨張前に前膨張室59に配置されてもよい。
ところで、図4に示すように、インフレータアセンブリ30及びエアバッグ40を主要な構成部材として有する上記エアバッグモジュールAMは、非膨張展開状態のエアバッグ本体41(図5、図7(a)参照)が折り畳まれることにより、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールAMを、シートバック14における限られた大きさの収納部21に対し、収納に適したものとするためである。
収納用形態にされたエアバッグモジュールAMでは、上記のようにリテーナ32から延びてエアバッグ本体41の布部43に挿通されたボルト34がサイドフレーム部17に挿通され、このボルト34に車内側からナット35が締付けられている。この締付けにより、インフレータアセンブリ30がエアバッグ本体41と一緒にサイドフレーム部17に取付けられている。
なお、インフレータアセンブリ30は、上述したボルト34及びナット35とは異なる部材によってサイドフレーム部17に取付けられてもよい。また、リテーナ32が用いられることなくインフレータ31がサイドフレーム部17に直接取付けられてもよい。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両10の側壁部11等に設けられており、同側壁部11に側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81からの検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
さらに、車両10には、車両用シート12に着座している乗員Pをその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
上記のようにして、本実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、サイドエアバッグ装置の代表的な動作の態様(モード)について説明する。
図12(a)〜(c)は、調圧弁75及び縦区画部61の形態が、膨張用ガスの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略・簡略化されている。
このサイドエアバッグ装置では、車両10の側壁部11に対し側方から衝撃が加わらないときには、制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、インフレータ31から膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ本体41は、収納用形態で収納部21に収納され続ける(図4参照)。
これに対し、車両10の走行中等に、側突等により側壁部11に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ81によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31から膨張用ガスが噴出される。膨張用ガスの一部が、リテーナ32を通って後膨張室58に供給されることで、後膨張室58が膨張を開始する。
また、二つ折り状態の縦区画部61が、膨張する後膨張室58によって、横方向(車幅方向)に引っ張られる。図12(a)に示すように、調圧弁75の両弁体部76,77に対しては、その重なり方向(厚み方向)から内圧PIが加わる。両弁体部76,77は、この内圧PIにより面全体で互いに密着し、両弁体部76,77間での膨張用ガスの流通を規制する自己シール状態となる。さらに、折り曲げられて縦区画部61の上側の非重ね合わせ部72に重ねられた重ね合わせ部71が、内圧によりその上側の非重ね合わせ部72に押付けられ(図11参照)、両弁体部76,77が一層閉じられやすくなる。
ここで、縦区画部61が、横方向(車幅方向)よりも縦方向(上下方向)に長く形成されていることから、縦区画部61では、横方向(車幅方向)に対し、縦方向(上下方向)に対するよりも強いテンションが掛かりやすい。連通部74は、この強いテンションの掛かりやすい横方向(車幅方向)に延びているため、閉じられやすい。
さらに、後膨張室58が展開及び膨張したときには、縦区画部61に対するだけでなく、重ね合わせ部71に対しても横方向(車幅方向)に強いテンションが掛かる。これは、重ね合わせ部71の両端部が布部43,44に結合されているからである。
両弁体部76,77が、それらの少なくとも一部において互いに接触すると、調圧弁75が閉弁した状態となる。後膨張室58内の膨張用ガスは、両弁体部76,77の間及び連通部74を通って前膨張室59へ流出することを規制される。この規制により、後膨張室58に膨張用ガスが溜まり、専ら後膨張室58の内圧が上昇する。
本実施形態では、膨張部52が縦区画部61によって2つに区画されていて、その一方が後膨張室58とされていることから、後膨張室58の容積は、縦区画部61により区画されていない場合の容積よりも小さい。そのため、後膨張室58の内圧は、縦区画部61により区画されていない場合よりも早く上昇を開始し、しかも高くなる。
上記内圧の上昇により、後膨張室58が折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消(展開)しながら膨張していくと、シートバック14のシートパッド18が後膨張室58によって押圧され、破断予定部23(図4参照)において破断される。後膨張室58は、一部を収納部21に残した状態で、破断された箇所を通じてシートバック14から前方へ飛び出す。
図1及び図2に示すように、その後も膨張用ガスの供給される後膨張室58は、乗員Pの上半身の後半部と側壁部11との間を前方へ向けて展開及び膨張する。このときには、前膨張室59は未だ膨張してないか、膨張していたとしても僅かであり、その内圧は低い。
なお、図11に示すように、横方向(車幅方向)に引っ張られた縦区画部61は緊張した状態となって、後膨張室58の同方向の膨張厚みを規制する。
側壁部11がさらに車内側へ進入することで、乗員Pの上半身の後半部が後膨張室58によって車内側へ押圧され始める。両弁体部76,77がそれらの面全体で密着した(閉じられた)状態で、後膨張室58内に膨張用ガスが供給され続ける一方、側壁部11から加わる外力により、調圧弁75が開弁し始める。
すなわち、後膨張室58への膨張用ガスの供給期間の途中からは、乗員Pの拘束に伴う外力が加わって膨張部52が変形する。これに伴い、縦区画部61に対し横方向(車幅方向)に強く掛かっていたテンションが減少し、縦方向(上下方向)に掛かるテンションが増加する。
また、膨張部52の上記変形に伴い後膨張室58の内圧PIがさらに上昇して、縦区画部61が前膨張室59側へ押圧されて(図12(b)参照)、同縦区画部61に掛かるテンションが変化し、縦方向及び横方向のテンションの差が小さくなる。連通部74の変形が許容され、弁体部76,77の作動が許容されるようになる。
一方、重ね合わせ部71は非重ね合わせ部72に重ねられ、横方向(車幅方向)についての両端部において、外結合部63によって布部43,44に結合されている。そのため、重ね合わせ部71において外結合部63に近い部分では、重ね合わされた状態を維持しようとする力が強い。しかし、この力は、外結合部63から遠ざかるに従い小さくなり、横方向(車幅方向)についての中央部分、すなわち両弁体部76,77において最小となる。そのため、縦方向(上下方向)へ引っ張られた重ね合わせ部71は、弁体部76,77及びその近傍部分においてのみ同方向へ変形する。
連通部74が縦方向(上下方向)へある程度開くと、重ね合わせ部71では、図12(b)に示すように、後膨張室58の高い内圧PIを受けた両弁体部76,77においてのみ、連通部74を通って前膨張室59へ押し出される(反転される)。この連通部74の上下方向の幅W1が狭いときには、先端部76t,77t同士が接触し合い、調圧弁75が閉じる。
そして、連通部74の幅W1の増大により、図12(c)に示すように、先端部76t,77tが離れ、調圧弁75が開弁した状態になると、上記流通規制が解除される。後膨張室58内の膨張用ガスは、連通部74と両弁体部76,77の間とを順に通って前膨張室59へ流出することを許容される。
上記膨張用ガスの流出により、後膨張室58の内圧が上昇から低下に転ずる。ただし、側壁部11は車内側へ依然として進入し続けていて、膨張部52が後膨張室58において乗員Pに押付けられる。
また、膨張用ガスの流入により前膨張室59が膨張を開始するとともに、同前膨張室59の内圧が上昇し始める。前膨張室59が折り畳まれた順とは逆の順に折り状態を解消(展開)しようとする。このときには、前膨張室59は、上記後膨張室58よりも低い内圧で、乗員Pの上半身の前半部の側方で展開及び膨張する。
そして、前膨張室59の内圧の上昇開始から少し遅れて、車内側へ進入する側壁部11により、後膨張室58に加え、前膨張室59が乗員Pの上半身に接触し押し付けられ始める。同上半身が後膨張室58に加え、前膨張室59によって拘束され始める。
このように、後膨張室58及び前膨張室59がそれぞれ展開及び膨張したエアバッグ40が、乗員Pの上半身と、車内側へ進入してくる側壁部11との間に介在する。このエアバッグ40によって上半身が車内側へ押圧されて拘束される。そして、側壁部11を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃が、膨張部52によって緩和されて、同上半身が保護される。
ここで、エアバッグ本体41による乗員Pの拘束に際しては、そのエアバッグ本体41が側壁部11によって押圧され、エアバッグ本体41によって乗員Pの上半身が押圧される。従って、乗員Pを拘束するには、エアバッグ本体41の全体が車両用シート12と側壁部11との隙間を埋めることが重要である。
一方、車両用シート12と側壁部11との間隙は、高さに応じて異なる。この間隙は、アームレスト11aの設けられた箇所では、設けられない箇所よりも小さい。アームレスト11aの上側の領域が、間隙の大きな箇所に該当する。そのため、仮にエアバッグ本体41の全体が車両用シート12の幅方向に同程度の膨張厚みで膨張すると、エアバッグ本体41がアームレスト11aに当接したとき、そのアームレスト11aの上側の、間隙の大きな箇所ではエアバッグ本体41と側壁部11との間に隙間が生じ、乗員Pを拘束し始める時期が遅くなる。
しかし、側壁部11側の布部44が特定布部とされ、突出膨張部45が、アームレスト11aの上側の領域の側方に形成された本実施形態では、突出膨張部45が間隙の大きな箇所で側壁部11に当接される。エアバッグ本体41の全体が側壁部11に当接される。その結果、車両用シート12側へ進入してくる側壁部11によって、エアバッグ本体41の全体が早い時期から押圧され、乗員Pが早い時期から拘束され始める。
さらに、本実施形態では、車両用シート12側の布部43も特定布部とされ、突出膨張部45が布部43に形成されている。そのため、エアバッグ本体41の膨張時には、突出膨張部45が布部43の残部よりも車両用シート12側へ多く突出する。この点からも、エアバッグ本体41が突出膨張部45は、同突出膨張部45が設けられていない場合よりも早いタイミングで乗員Pの上半身を押圧し始める。従って、エアバッグ本体41による乗員Pの拘束の開始時期がさらに早められる。
次に、本実施形態の作用として、突出膨張部45を有する布部43,44を形成する作業について説明する。
この形成に際しては、図9に示すように、それぞれ後側の突出壁部45rを有する一対の第1構成布部46と、それぞれ前側の突出壁部45fを有する一対の第2構成布部47とが準備される。突出膨張部45の半分を構成する後側の各突出壁部45rは、各第1構成布部46の一部によって構成されている。そのため、後側の各突出壁部45rを各第1構成布部46に結合する工程は不要である。また、突出膨張部45の残りの部分を構成する前側の各突出壁部45fは、各第2構成布部47の一部によって構成されている。そのため、前側の各突出壁部45fを各第2構成布部47に結合する工程は不要である。
上記形成に際しては、同図9に示すように、各第2構成布部47が裏返される。この裏返しにより、各第2構成布部47が、それらの周縁部を、各第1構成布部46の周縁部に直接重ね合わせることのできる形態となる。
裏返された各第2構成布部47の周縁部が、各第1構成布部46の周縁部に重ね合わされる。この重ね合わせの対象となる箇所には、各突出壁部45f,45rの周縁部も含まれる。
この際、上述したように、各突出壁部45f,45rが構成布部46,47の一部によって構成されているため、同突出壁部45f,45rの構成布部46,47に対する位置決めは不要である。
なお、第1構成布部46に対する第2構成布部47の位置決めは必要であるが、その場合の位置決めの箇所は、両構成布部46,47の分割部分の周縁部のみであり、J字状の突出膨張部104を矩形状の布部103に位置決めする特許文献1よりも少ない。そのため、位置決め作業がしやすい。
そして、上記のように重ね合わされた両構成布部46,47の分割部分の周縁部同士が縫合により結合される。この際、両突出壁部45f,45rの周縁部同士も縫合される。この縫合は、第1構成布部46及び第2構成布部47の重ね合わされた周縁部が平らにされた状態で行なわれる。表現を変えると、両構成布部46,47の分割部分の周縁部同士が二次元形状(平面状)にされて縫合される。そのため、車幅方向外側へ突出するように膨張する、三次元形状の突出膨張部104を縫合する特許文献1よりも縫合作業がしやすい。
上記縫合により、図10に示すように、各第1構成布部46と各第2構成布部47とがそれらの周縁部において繋がって、布部43,44が形成される。この際、図6に示すように、突出壁部45fと突出壁部45rとがそれらの周縁部において繋がって、突出膨張部45が形成される。このようにして、それぞれ突出膨張部45を有する布部43,44が形成される。結合の対象となる箇所の長さは、両構成布部46,47の分割部分の周縁部のみであり、側面視でJ字状をなす突出膨張部104が周縁部の全周にわたって布部103に結合される特許文献1よりも短い。そのため、縫合作業が容易となる。
また、上記のように、後側の突出壁部45rを有する第1構成布部46と、前側の突出壁部45fを有する第2構成布部47とに分割することは、車内側の布部43についても車外側の布部44についても可能である。また、第1構成布部46及び第2構成布部47の分割部分の周縁部同士を結合することは、車内側の布部43についても車外側の布部44についても可能である。そのため、いずれの布部43,44についても、突出膨張部45を容易に形成することが可能である。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)エアバッグ本体41を構成する一対の布部43,44のいずれをも特定布部とし、各布部43,44の一部には、残部よりも多く幅方向へ突出するように膨張する突出膨張部45を形成する。突出膨張部45を、膨張時に前後方向に配置される一対の突出壁部45f,45rにより形成する。各布部43,44を、後側の突出壁部45rを有する第1構成布部46と、前側の突出壁部45fを有する第2構成布部47とに分割する。そして、両構成布部46,47の分割部分の周縁部同士を縫合により結合させている(図6)。
そのため、突出膨張部45の形成対象となる布部43,44のいずれについても突出膨張部45を容易に形成することができる。
(2)車両用シート12側へ向けて膨出する膨出部(アームレスト11a)を有する側壁部11が設けられた車両10を対象とする。側壁部11側の布部44を特定布部とし、その布部44の突出膨張部45を、アームレスト11aの上側の領域の側方に形成している(図3)。
そのため、側壁部11のうちアームレスト11aの設けられていない箇所では、設けられている箇所よりも車両用シート12との間隙が大きいが、側壁部11に側方から衝撃が加わって、膨張用ガスによりエアバッグ本体41が膨張した場合には、突出膨張部45をアームレスト11aの上側の領域へ向けて膨張させることができる。この突出膨張部45によって上記間隙を埋めて、突出膨張部45を側壁部11に当接させることができる。その結果、車両用シート12側へ進入してくる側壁部11によって、エアバッグ本体41の全体を早い時期から押圧して、乗員Pの拘束開始時期を早める。乗員Pに加わる荷重を小さくして、エアバッグ本体41による乗員Pの拘束性能の向上を図ることができる。
(3)一対の布部43,44のいずれも特定布部とし、各布部43,44の一部に突出膨張部45を形成している。
そのため、エアバッグ本体41が膨張したときには、一対の布部43,44を車両用シート12の幅方向へ膨張させることができるほか、各布部43,44から突出膨張部45をさらに多く同幅方向へ突出するように膨張させることができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<特定布部について>
・一対の布部43,44のうち、一方の布部44のみが特定布部とされ、その布部44の一部に突出膨張部45が形成されてもよい。図13はその一例を示している。
この場合にも、布部44は、後側の突出壁部45rを有する第1構成布部46と、前側の突出壁部45fを有する第2構成布部47とに分割される。そして、両構成布部46,47の分割部分の周縁部同士を縫合により結合することにより、突出膨張部45を有する布部44が形成される。
特定布部とされない側の布部43は分割されず、突出膨張部45が形成されない。
この変形例によれば、エアバッグ本体41が膨張したときには、一対の布部43,44が車両用シート12の幅方向へ膨張するほか、一方の布部44のみから突出膨張部45がさらに多く同幅方向へ突出するように膨張する。
なお、車内側の布部43のみが特定布部とされ、その布部43の一部に突出膨張部45が形成されてもよい。
・車内側の布部43における第1構成布部46と、車外側の布部44における第1構成布部46とは別々の布片によって構成されてもよい。この場合には、両第1構成布部46同士が、縫合等により、結合される必要がある。
この変形例の場合にも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
・布部43,44のうち、特定布部とされたものにおいて、突出膨張部45が形成される箇所は適宜変更可能である。
<縦区画部61、連通部74及び調圧弁75について>
・図11に示すように、重ね合わせ部71において、両弁体部76,77として機能するのは、連通部74に対応する部分(連通部74の近傍部分、より正確には、連通部74と端縁68e,69eとの間の部分)である。そのため、後膨張室58の展開及び膨張時に、両弁体部76,77の少なくとも先端部76t,77tが接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部71において、連通部74に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部71において連通部74に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部71において連通部74に対応する部分だけ両弁体部76,77として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えば、ばたつく現象を抑制することができる。
そのほかにも、重ね合わせ部71において連通部74に対応しない箇所の少なくとも一部に切欠きが入れられてもよい。
・縦区画部61と両弁体部76,77とは、互いに異なる部材によって構成されてもよい。
・縦区画部61として、上記実施形態とは異なる外形形状を有するものが用いられてもよい。この場合、乗員Pの上半身のうち、後膨張室58によって拘束及び保護したい箇所に応じて縦区画部61の外形形状が変更されることが望ましい。これに伴い、縦区画部61を布部43,44に結合する外結合部63の形態が上記実施形態とは異なるものとなる。
・連通部74は上記実施形態に記載されたもの、すなわち、横方向(車幅方向)に延びるスリット状をなすもの)のほか、縦区画部61に貫通された孔によって構成されてもよい。この場合、連通部74は1つ又は複数設けられてもよい。また、連通部74の位置、形状、大きさは適宜に設定されてもよい。この場合には、調圧弁75は省略されてもよい。
・図14及び図15に示すように、縦区画部61が省略されてもよい。この場合、エアバッグ本体41の内部は区画されず、1つの部屋によって構成される。
なお、図14は、一対の布部43,44がともに特定布部とされ、各布部43,44の一部に突出膨張部45が形成されたサイドエアバッグ装置において、縦区画部61が省略された変形例を示している。
また、図15は、一対の布部43,44の一方の布部44のみが特定布部とされ、その布部44の一部に突出膨張部45が形成されたサイドエアバッグ装置において、縦区画部61が省略された変形例を示している。
なお、車内側の布部43のみが特定布部とされ、その布部43の一部に突出膨張部45が形成されてもよい。
<エアバッグモジュールAMの収納部21について>
・車両用シート12のシートバック14に代えて、側壁部11において乗員Pの外側近傍となる箇所に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
<その他>
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部52からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・サイドエアバッグ装置によって拘束及び保護される乗員Pの箇所は、上記実施形態と異なっていてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)請求項2に記載のサイドエアバッグ装置において、前記乗物は車両であり、前記乗物用シートは、前記車両の進行方向前方を向くように配置された車両用シートであり、前記膨出部は、前記車両用シートに着座した乗員の腕を下側から受け止めるアームレストであり、前記突出膨張部は、前記側壁部側の前記特定布部において、前記アームレストの上側の領域の側方に形成されている。
上記の構成によれば、車両の側壁部に対し、その側方から衝撃が加わって、膨張用ガスによりエアバッグ本体が膨張した場合には、突出膨張部がアームレストの上側の領域へ向けて膨張する。
(B)請求項1、請求項2又は上記(A)に記載のサイドエアバッグ装置において、前記両布部の一方は、後側の前記突出壁部を有する第1構成布部と、前側の前記突出壁部を有する第2構成布部とに分割された前記特定布部とされており、前記両布部の他方は分割されていない。
上記の構成によれば、エアバッグ本体が膨張したときには、一対の布部が乗物用シートの幅方向へ膨張するほか、一方の布部のみから突出膨張部がさらに多く同幅方向へ突出するように膨張する。
10…車両(乗物)、11…側壁部、11a…アームレスト(膨出部)、12…車両用シート(乗物用シート)、41…エアバッグ本体、43,44…布部(特定布部を構成)、45…突出膨張部、45f,45r…突出壁部、46…第1構成布部、47…第2構成布部、P…乗員。

Claims (2)

  1. 乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の布部をそれらの周縁部に沿って結合することにより袋状に形成され、かつ前記乗物用シートの側方からの衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートに着座している乗員の側方で膨張するエアバッグ本体が備えられ、
    少なくとも一方の前記布部は特定布部とされ、前記特定布部の一部には、残部よりも多く前記幅方向へ突出するように膨張する突出膨張部が形成されたサイドエアバッグ装置であって、
    前記突出膨張部は、膨張時に前後方向に配置される一対の突出壁部により形成され、
    前記特定布部は、後側の前記突出壁部を有する第1構成布部と、前側の前記突出壁部を有する第2構成布部とに分割され、
    前記第1構成布部及び前記第2構成布部の分割部分の周縁部同士を結合することにより、前記突出膨張部を有する前記特定布部が形成されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
  2. 前記乗物用シートの幅方向についての一方には、乗物の側部を構成し、かつ前記乗物用シート側へ向けて膨出する膨出部を有する側壁部が設けられており、
    前記側壁部側の前記布部は前記特定布部とされ、同特定布部の前記突出膨張部は、前記膨出部とは異なる箇所の側方に形成されている請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
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