<発明者らによる事前検討>
実施の形態の説明をする前に、本発明者らが事前検討した内容について説明する。
図15は、実施の形態に至る前の構想にかかる半導体集積回路100の構成を示す回路図である。なお、半導体集積回路100は、いわゆるシリーズレギュレータである。
図15に示す半導体集積回路100は、出力トランジスタMP101と、増幅回路AMP101と、位相補償用のキャパシタC101と、抵抗素子R101,R102と、を備える。ここでは、出力トランジスタMP101がPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
出力トランジスタMP101は、制御信号va'(ノードva'の電圧)に応じた出力電圧VOUT(出力端子VOUTの電圧)を生成する。抵抗素子R101,R102は、出力電圧VOUTを分圧して帰還信号vfeedを出力する。増幅回路AMP101は、基準電圧vrefと、帰還信号vfeedと、の電位差を増幅して制御信号va'として出力する。
例えば、出力電圧VOUTが所望の電圧レベルから上昇すると、増幅回路AMP101への帰還信号vfeedの電圧レベルが上昇して基準電圧vrefよりも大きくなるため、増幅回路AMP101は、制御信号va'の電圧レベルを上昇させる。それにより、出力電圧VOUTは降下する。一方、出力電圧VOUTが所望の電圧レベルから下降すると、増幅回路AMP101への帰還信号vfeedの電圧レベルが下降して基準電圧vrefよりも小さくなるため、増幅回路AMP101は、制御信号va'の電圧レベルを降下させる。それにより、出力電圧VOUTは上昇する。このようにして、出力電圧VOUTは所望の電圧レベルに維持される。
また、位相補償用キャパシタC101は、ノードva'と出力端子VOUTとの間に設けられ、出力電圧VOUTの発振を防止するために位相の補償を行っている。
ここで、出力トランジスタMP101の電流ゲインをgm_MP101、ドレイン抵抗をrds_MP101と定義する。また、出力トランジスタMP101のドレイン抵抗rds_MP101と、抵抗素子R101,R102と、出力端子VOUTに接続される外部付加抵抗と、の並列抵抗をro'と定義する。
この場合、ノードva'から見たキャパシタC101の容量値は、ミラー効果により、実際よりも出力トランジスタMP101の電圧ゲイン(gm_MP101×ro')倍に大きくなって見える。それにより、比較的小規模のキャパシタC101でも、ノードva'にドミナントポール(第1ポール)を発生させることが可能となる。
なお、半導体集積回路100のように回路内部のノードva'にドミナントポールを発生させる位相補償方法は、出力端子VOUTの外部に大きな容量値のキャパシタを設けることができない場合に特に有効な方法である。
例えば、出力端子VOUTの外部に大きな容量値のキャパシタが設けられる構成(即ち、出力端子VOUTにドミナントポールを発生させる構成)では、回路規模が増大するという問題がある。また、このキャパシタは、チップ外部に別部品(外付け部品)として設けられるのが一般的である。そのため、この構成では、コストが増大するという問題がある。さらに、チップ上にキャパシタ接続用の外付けピンを追加で設けなければならないという問題もある。
一方、出力端子VOUTの外部に大きな容量値のキャパシタを設けずに構成される半導体集積回路100,200では、そのような問題は生じない。また、外付けピンの削減により、安全性がさらに向上する等の効果もある。
しかしながら、半導体集積回路100の構成では、設計によって複素平面において右半平面に零点が発生してしまう。そのため、半導体集積回路100は、出力電圧VOUTの発振を安定的に防止することができないという問題がある。
この問題を解決するために、図16に示す半導体集積回路200を検討した。図16は、実施の形態に至る前の構想にかかる半導体集積回路200の構成を示す回路図である。図16に示す半導体集積回路200は、図15に示す半導体集積回路100と比較して、キャパシタとノードva'との間にゲート接地増幅回路として機能するトランジスタMN102をさらに備えている。
より具体的には、図16に示す半導体集積回路200は、図15に示す半導体集積回路100と比較して、トランジスタMP102,MN101,MN102と、を備える。ここでは、トランジスタMP102がPチャネルMOSトランジスタ、トランジスタMN101,MN102がNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
トランジスタMP102は、電源電圧VCCの供給される電源電圧端子(以下、電源電圧端子VCCと称す)と、ノードva'と、の間に設けられ、ゲートにバイアス電圧Vbp101が供給される。トランジスタMN102は、ノードva'とノードvb'との間に設けられ、ゲートにバイアス電圧Vbn102が供給される。トランジスタMN101は、ノードvb'と、接地電圧GNDの供給される接地電圧端子(以下、接地電圧端子GNDと称す)と、の間に設けられ、ゲートにバイアス電圧Vbn101が供給される。なお、トランジスタMP102,MN101は、それぞれ所定の電流を流す定電流源として機能する。また、キャパシタC101は、ノードvb'と、出力端子VOUTと、の間に設けられる。図16に示す半導体集積回路200のその他の回路構成については、図15に示す半導体集積回路100と同様であるため、その説明を省略する。
それにより、図16に示す半導体集積回路200は、ミラー効果の利点を損なうことなく、複素平面における右半平面に零点を発生させるのを防止することができる。その結果、半導体集積回路200は、図15に示す半導体集積回路100よりも、出力電圧VOUTの発振を安定的に防止することができる。それ以外にも、半導体集積回路200では、電源電圧除去比(PSRP)が高くなる等のメリットがある。
しかしながら、半導体集積回路200では、プロセス、電源電圧VCC、出力電圧VOUT、温度環境等の条件によっては、上記したミラー効果が小さくなってしまう可能性がある。そのため、半導体集積回路200は、ミラー効果が小さくなった場合を想定して、キャパシタC101の規模をある程度大きくしておく必要がある。その結果、半導体集積回路200では、回路規模が増大してしまうという問題がある。
さらに、半導体集積回路200では、ゲート接地増幅回路として機能するトランジスタMN102に大電流を流す必要があるため、消費電流が増大してしまうという問題がある。以下、具体的に説明する。
半導体集積回路200は、ノードvb'に発生するポールを高周波にすることにより、出力端子VOUTからキャパシタC101を介してノードva'に帰還する帰還信号を、補償する必要のある周波数まで減衰させないようにする必要がある。
ノードvb'に高周波のポールを発生させるためには、ノードvb'の時定数τをできるだけ小さくする必要がある。時定数τは、キャパシタC101の容量値をC'とし、トランジスタMN102のトランスコンダクタンスをgm'とすると、C'×1/gm'と表すことができる。ここで、キャパシタC101の容量値C'は上記したように大きいため、時定数τを小さくするためには、1/gm'をできるだけ小さくする必要がある。1/gm'を小さくするためには、トランジスタMN102に大電流を流す必要がある。そのため、半導体集積回路200では、消費電流が増大してしまうという問題がある。
さらに、半導体集積回路200では、増幅回路AMP101の入力換算オフセット電圧が大きくなってしまうという問題がある。以下、具体的に説明する。
半導体集積回路200は、通常、定電流源として機能するトランジスタMP102,MN101に略同一のバイアス電流が流れるように設計される。図17は、バイアス電圧生成部の構成が明示された半導体集積回路200の回路図である。バイアス電圧生成部は、トランジスタMP103,MN103,MN104により構成される。ここでは、トランジスタMP103がPチャネルMOSトランジスタ、MN103,MN104がNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。図17を見てもわかるように、半導体集積回路200は、トランジスタMP102,MN101に略同一の電流が流れるように設計される。
しかしながら、実際には、デバイスのミスマッチやプロセスなどに起因して、トランジスタMP102,MN101に流れるバイアス電流は略同一とならない場合がある。この場合、トランジスタMP102に流れるバイアス電流と、トランジスタMN101に流れるバイアス電流と、の差電流は、ノードva'を介して増幅回路AMP101の出力端子に流れ込む。この差電流が大きくなるほど、増幅回路AMP101の入力換算オフセット電圧は大きくなる。
ここで、半導体集積回路200では、上記したようにトランジスタMP102,MN101に大電流が流れるため、トランジスタMP102,MN101に小電流が流れる場合よりも、差電流は大きくなる。したがって、半導体集積回路200では、増幅回路AMP101の入力換算オフセット電圧が大きくなってしまうという問題がある。
さらに、プロセス、電源電圧VCC、温度等の条件により、トランジスタMP102,MN101に流れるバイアス電流が変化すると、それに伴って、入力換算オフセット電圧も変化する。そのため、半導体集積回路200は、精度の高い出力電圧VOUTを生成できないという問題がある。
なお、上記した問題は、電源電圧VCCと出力電圧VOUTとの差電圧VCC−VOUTが小さい場合(Low−Dropout構成の場合)において特に顕著になる。以下、具体的に説明する。
まず、電源電圧VCCと出力電圧VOUTとの差電圧が小さい場合、ミラー効果が小さくなるため、キャパシタC101の規模をより大きくする必要がある。また、電源電圧VCCと出力電圧VOUTとの差電圧が小さい場合、トランジスタMP101のドレイン抵抗rds_MP101が小さくなるため、それに伴って、トランジスタMP101の電圧ゲイン(rds_MP101×ro')も小さくなる。電圧ゲインが小さくなると、ミラー効果が小さくなるため、キャパシタC101の規模をさらに大きくする必要がある。その結果、半導体集積回路200の回路規模はさらに増大してしまう。それに伴って、消費電流もさらに増大し、入力換算オフセット電圧もさらに増大する。
近年では、電力効率の改善や、電源電圧VCCの範囲の拡大等を目的として、Low−Dropout構成を採用したシリーズレギュレータが求められている。そのため、位相補償用キャパシタの規模を小さくして回路規模の増大等を抑制する必要性はさらに高まってきている。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる半導体集積回路1の概念図である。本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、位相補償用のキャパシタによって生成される帰還電流を電流増幅部にて増幅して出力トランジスタのゲートに帰還させる。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、位相補償用のキャパシタの規模を従来よりも小さくすることができる。その結果、本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、回路規模の増大を抑制することができる。以下、具体的に説明する。
図1に示す半導体集積回路1は、いわゆるシリーズレギュレータであって、出力トランジスタMP11と、増幅回路(第1増幅部)AMP11と、抵抗素子R11,R12と、位相補償部11と、を備える。位相補償部11は、位相補償用のキャパシタC11と、電流増幅部12と、交流電圧源A11と、を有する。本実施の形態では、出力トランジスタMP11がPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
出力トランジスタMP11は、電源電圧VCCの供給される電源電圧端子(以下、電源電圧端子VCCと称す)と、出力端子VOUTと、の間に設けられる。抵抗素子R11,R12は、出力端子VOUTと、接地電圧GNDの供給される接地電圧端子(以下、接地電圧端子GNDと称す)と、の間に直列に設けられる。増幅回路AMP11では、反転入力端子が基準電圧vrefの供給される入力端子(以下、入力端子vrefと称す)に接続され、非反転入力端子が抵抗素子R11,R12間のノードに接続され、出力端子がノードvaを介して出力トランジスタMP11のゲートに接続される。位相補償部11は、ノードvaと出力端子VOUTとの間に設けられ、出力電圧VOUTの発振を防止するために位相の補償を行っている。
図2は、増幅回路AMP11の具体的構成の一例を示す図である。図2に示す増幅回路AMP11は、PチャネルMOSトランジスタであるトランジスタMP1〜MP4と、NチャネルMOSトランジスタであるトランジスタMN1〜MN5と、を有する。
トランジスタMP1では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレイン及びゲートがトランジスタMN1のドレインに接続される。トランジスタMN1では、ソースがトランジスタMN5のドレインに接続され、ゲートが反転入力端子(in−)に接続される。トランジスタMP2では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレイン及びゲートがトランジスタMN2のドレインに接続される。トランジスタMN2では、ソースがトランジスタMN5のドレインに接続され、ゲートが非反転入力端子(in+)に接続される。トランジスタMN5では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbn11が供給される。
トランジスタMP3では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレインがトランジスタMN3のドレイン及びゲートに接続され、ゲートがトランジスタMP1のゲートに接続される。トランジスタMN3では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ゲートがトランジスタMN4のゲートに接続される。トランジスタMP4では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレインがトランジスタMN4のドレインに接続され、ゲートがトランジスタMP2のゲートに接続される。トランジスタMN4では、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。
図1に戻り、出力トランジスタMP11は、制御信号va(ノードvaの電圧)に応じた出力電圧VOUT(出力端子VOUTの電圧)を生成する。抵抗素子R11,R12は、出力電圧VOUTを分圧して帰還信号vfeedを出力する。増幅回路AMP11は、基準電圧vrefと、帰還信号vfeedと、の電位差を増幅して制御信号vaとして出力する。
例えば、出力電圧VOUTが所望の電圧レベルから上昇すると、増幅回路AMP11への帰還信号vfeedの電圧レベルが上昇して基準電圧vrefよりも大きくなるため、増幅回路AMP11は、制御信号vaの電圧レベルを上昇させる。それにより、出力電圧VOUTは降下する。一方、出力電圧VOUTが所望の電圧レベルから下降すると、増幅回路AMP11への帰還信号vfeedの電圧レベルが下降して基準電圧vrefよりも小さくなるため、増幅回路AMP11は、制御信号vaの電圧レベルを降下させる。それにより、出力電圧VOUTは上昇する。このようにして、出力電圧VOUTは所望の電圧レベルに維持される。
位相補償部11において、交流電圧源A11は、出力電圧VOUTの変動成分をキャパシタC11に与える。キャパシタC11は、出力電圧VOUTの変動に応じた帰還電流(第1電流)iAを生成する。電流増幅部12は、キャパシタC11によって生成された帰還電流iAを増幅して帰還電流(第2電流)iBとして生成し、当該帰還電流iBを制御信号vaに重畳する。換言すると、電流増幅部12は、キャパシタC11によって生成された帰還電流iAを増幅して帰還電流iBとして生成し、当該帰還電流iBを出力トランジスタMP11のゲート(ノードva)に帰還させる。
このように、本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、位相補償用のキャパシタによって生成される帰還電流を電流増幅部にて増幅して出力トランジスタのゲート(ノードva)に帰還させる。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、位相補償用のキャパシタの規模を従来よりも小さくすることができる。その結果、本実施の形態にかかる半導体集積回路1は、回路規模の増大を抑制することができる。
実施の形態2以降では、半導体集積回路1の具体的構成例について説明する。
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2にかかる半導体集積回路2の構成例を示す回路図である。図3に示す半導体集積回路2は、図1に示す半導体集積回路1の具体的な構成例を示したものである。
図3に示す半導体集積回路2は、位相補償部11として、トランジスタ(第1トランジスタ)MP21と、トランジスタ(第2トランジスタ)MP22と、トランジスタ(第1定電流トランジスタ)MN21と、トランジスタ(第2定電流トランジスタ)MN22とトランジスタMN23と、キャパシタC11と、を備える。なお、トランジスタMP21,MP22,MN21,MN22により電流増幅部(図1における電流増幅部12に対応)が構成される。トランジスタMN23により交流電圧源(図1における交流電圧源A11に対応)が構成される。本実施の形態では、トランジスタMP21,MP22がPチャネルMOSトランジスタであって、トランジスタMN21〜MN23がNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
トランジスタMP21では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレイン及びゲートがトランジスタMN23のドレインに接続される。トランジスタMP22では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレインがノードvaに接続され、ゲートがトランジスタMP21のゲートに接続される。即ち、トランジスタMP21,MP22によりカレントミラー回路が構成される。したがって、トランジスタMP22のソース−ドレイン間には、トランジスタMP21に流れる電流idに応じた電流が流れる。以下の説明では、トランジスタMP22のソース−ドレイン間には、トランジスタMP21に流れる電流idのn倍の電流が流れる場合について説明する。
トランジスタMN23では、ソースがノードvbに接続され、ゲートが出力端子VOUTに接続される。なお、トランジスタMN23は、ゲート電圧(出力電圧VOUT)に応じたソース電圧(ノードvbの電圧)を生成するソースフォロア回路として機能する。
トランジスタMN21では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレインがノードvbに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbn11が供給される。したがって、トランジスタMN21には所定のバイアス電流(第1所定電流)ibが流れる。即ち、トランジスタMN21は、所定のバイアス電流ibを流す定電流源として機能する。
トランジスタMN22では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレインがノードvaに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbn11が供給される。したがって、トランジスタMN22には所定のバイアス電流(第2所定電流)iaが流れる。即ち、トランジスタMN22は、所定のバイアス電流iaを流す定電流源として機能する。
キャパシタC11の一端はノードvbに接続され、キャパシタC11の他端は接地電圧端子GNDに接続される。半導体集積回路2のその他の回路構成については、半導体集積回路1と同様であるため、その説明を省略する。
続いて、半導体集積回路2の動作について説明する。半導体集積回路2の基本動作は半導体集積回路1と同様であるため、以下では、主として位相補償部の動作について説明する。
まず、定電流源として機能するトランジスタMN21には、所定のバイアス電流ibが流れている。また、トランジスタMP21には、電流idが流れている。
ソースフォロア回路として機能するトランジスタMN23は、出力電圧VOUTに応じたソース電圧(ノードvbの電圧)を生成する。キャパシタC11は、ノードvbの電圧の変動に応じた帰還電流ic(図1における帰還電流iAに相当)を生成する。換言すると、キャパシタC11は、出力電圧VOUTの変動に応じた帰還電流icを生成する。
例えば、出力電圧VOUTに変動が無い場合、キャパシタC11は帰還電流icを生成しない。換言すると、出力電圧VOUTに変動が無い場合、帰還電流icの電流値は0Aを示す。この場合、帰還電流idは、バイアス電流ibと同じ電流値を示す(id=ib)。
一方、出力電圧VOUTが変動した場合、キャパシタC11は出力電圧VOUTの変動に応じた(ノードvbの電圧の変動に応じた)帰還電流icを生成する。ここで、キャパシタC11によって生成された帰還電流icは、ドレイン抵抗の高いトランジスタMN21にはほとんど流れず、トランジスタMP21に流れることとなる。この場合、電流idはバイアス電流ibと帰還電流icとを加算した電流値を示す(id=ib+ic)。
トランジスタMP22には、電流idのn倍の電流が流れる。一方、定電流源として機能するトランジスタMN22には、所定のバイアス電流iaが流れている。
例えば、出力電圧VOUTに変動が無い場合、トランジスタMP22には、バイアス電流ibのn倍の電流(n×ib)が流れる。ここで、図3の例では、トランジスタMN22に流れる所定のバイアス電流iaがバイアス電流ibのn倍の電流値を示すように調整されている。そのため、出力電圧VOUTに変動が無い場合には、出力トランジスタMP11のゲートに電流は流れない。
一方、出力電圧VOUTが変動した場合、トランジスタMP22には、バイアス電流ibと帰還電流icとを加算した電流のn倍の電流(n×(ib+ic))が流れる。また、トランジスタMN22には、バイアス電流ibのn倍の電流値を示す電流iaが流れている。そのため、出力電圧VOUTが変動した場合、出力トランジスタMP11のゲートには、トランジスタMP22に流れる電流と、トランジスタMN22に流れる電流と、の差電流(n×ic)が流れる。この差電流は図1における帰還電流iBに相当する。つまり、キャパシタC11によって生成された帰還電流icをn倍に増幅した電流がトランジスタMP11のゲート(ノードva)に帰還する。
このように、本実施の形態にかかる半導体集積回路2は、位相補償用のキャパシタC11によって生成される帰還電流icをn倍に増幅して出力トランジスタのゲート(ノードva)に帰還させる。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路2は、位相補償用のキャパシタC11の規模を従来よりも小さくすることができる。単純に考えれば、本実施の形態にかかる半導体集積回路2は、電流増幅部を有しない図16の半導体集積回路200と比較して、キャパシタC11を容量値にして1/nにまで小さくすることができる(実際には、トランジスタMN23のロスゲインを考慮する必要がある)。その結果、本実施の形態にかかる半導体集積回路2は、回路規模の増大を抑制することができる。
ここで、本実施の形態にかかる半導体集積回路2では、図16に示す半導体集積回路200と比較して、キャパシタC11が1/n倍となるため、ノードvbにて同等のac特性を実現するためには、トランジスタMN23に流れる電流は1/√n倍でよい。
また、キャパシタC11は、一端を接地電圧端子GNDに接続した低耐圧容量にて構成可能である。それにより、回路規模の増大は抑制される。一方、図15,図16に示す半導体集積回路100,200では、キャパシタC101は、使用条件によっては低耐圧容量にて構成できない。
図4は、半導体集積回路2の周波数特性を示す図である。図4では、比較のため、図16に示す半導体集積回路200の周波数特性も示している。なお、図4の例では、半導体集積回路2,200のそれぞれのキャパシタC11,C101が同じ容量値であるものとする。また、以下では、簡単のため、第1ポール(ドミナントポール)及び第2ポールについてのみ説明するが、実際には、第2ポールとほぼ同じ周波数付近に第3ポール以上が存在する。
まず、半導体集積回路200の第1ポールの周波数は、1/(2π×gm_MP101×ro'×C'×rampout')と表すことができる。なお、gm_MP101は出力トランジスタMP101の電流ゲインを示す。ro'は、出力トランジスタMP101のドレイン抵抗と、抵抗素子R101,R102と、出力端子VOUTに接続される外部付加抵抗と、の並列抵抗を示す。C'はキャパシタC101の容量値を示す。rampout'はノードva'のインピーダンスを示す。
一方、半導体集積回路2の第1ポールの周波数は、1/(n×2π×gm_MP11×ro×C×rampout)と表すことができる。なお、gm_MP11は出力トランジスタMP11の電流ゲインを示す。roは、出力トランジスタMP11のドレイン抵抗rds_MP11と、抵抗素子R11,R12と、出力端子VOUTに接続される外部付加抵抗と、の並列抵抗を示す。CはキャパシタC11の容量値を示す。rampoutはノードvaのインピーダンスを示す。
gm_MP101=gm_M11、ro'=ro、C'=C、rampout'=rampoutとすると、半導体集積回路2では、半導体集積回路200の場合と比較して、第1ポールが1/n倍の低周波にまで移動していることが分かる。その結果、位相余裕が、0°から45°にまで改善している。
<実施の形態3>
図5は、実施の形態3にかかる半導体集積回路3の構成例を示す回路図である。図5に示す半導体集積回路3は、図3に示す半導体集積回路2と比較して、トランジスタ(第3定電流トランジスタ)MP31をさらに備える。以下、具体的に説明する。
本実施の形態では、トランジスタMP31がPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。トランジスタMP31では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ドレインがトランジスタMN23のドレインに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbp11が供給される。したがって、トランジスタMP31には所定のバイアス電流(第3所定電流)ieが流れる。即ち、トランジスタMP31は、所定のバイアス電流ieを流す定電流源として機能する。半導体集積回路3のその他の回路構成については、半導体集積回路2と同様であるため、その説明を省略する。
続いて、半導体集積回路3の動作について説明する。半導体集積回路3の基本動作は半導体集積回路1と同様であるため、以下では、主として位相補償部の動作について説明する。
まず、定電流源として機能するトランジスタMN21,MP31には、それぞれ所定のバイアス電流ib,ieが流れている。また、トランジスタMP21には、電流idが流れている。
ソースフォロア回路として機能するトランジスタMN23は、出力電圧VOUTに応じたソース電圧(ノードvbの電圧)を生成する。キャパシタC11は、ノードvbの電圧の変動に応じた帰還電流icを生成する。換言すると、キャパシタC11は、出力電圧VOUTの変動に応じた帰還電流icを生成する。
例えば、出力電圧VOUTに変動が無い場合、キャパシタC11は帰還電流icを生成しない。換言すると、出力電圧VOUTに変動が無い場合、帰還電流icの電流値は0Aを示す。この場合、電流idは、バイアス電流ibとバイアス電流ieとの差分の電流値を示す(id=ib−ie)。
一方、出力電圧VOUTが変動した場合、キャパシタC11は出力電圧VOUTの変動に応じた(ノードvbの電圧の変動に応じた)帰還電流icを生成する。ここで、キャパシタC11によって生成された帰還電流icは、ドレイン抵抗の高いトランジスタMN21,MP31にはほとんど流れず、トランジスタMP21に流れることとなる。この場合、電流idは、前記電流値(ib−ie)に帰還電流icを加えた電流値を示す(id=ib+ic−ie)。
トランジスタMP22には、電流idのn倍の電流が流れる。一方、定電流源として機能するトランジスタMN22には、所定のバイアス電流iaが流れている。
例えば、出力電圧VOUTに変動が無い場合、トランジスタMP22には、電流(ib−ie)のn倍の電流(n×(ib−ie))が流れる。ここで、図5の例では、トランジスタMN22に流れる所定のバイアス電流iaが電流(n×(ib−ie))と同じ値を示すように調整されている。そのため、出力電圧VOUTに変動が無い場合には、出力トランジスタMP11のゲートに電流は流れない。
一方、出力電圧VOUTが変動した場合、トランジスタMP22には、電流(ib+ic−ie)のn倍の電流(n×(ib+ic−ie))が流れる。また、トランジスタMN22には、電流(n×(ib−ie))と同じ値を示すバイアス電流iaが流れている。そのため、出力電圧VOUTが変動した場合、出力トランジスタMP11のゲートには、トランジスタMP22に流れる電流と、トランジスタMN22に流れる電流と、の差電流(n×ic)が流れる。つまり、キャパシタC11によって生成された帰還電流icをn倍に増幅した電流がトランジスタMP11のゲート(ノードva)に帰還する。
このように、本実施の形態にかかる半導体集積回路3は、実施の形態2と同等の効果を奏することができる。さらに、本実施の形態にかかる半導体集積回路3は、トランジスタMP21に並列にトランジスタMP31を備えることにより、トランジスタMP21に流れるバイアス電流ib成分を比較的小さくしている。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路3は、増幅された帰還電流(n×ic)を減少させることなく、トランジスタMP22,MN22に流れるバイアス電流iaを小さくすることができる。その結果、消費電流の増大は抑制される。それに伴って、増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧の増大も抑制される。
ここで、トランジスタMP31に流れるバイアス電流ieをトランジスタMN21に流れるバイアス電流ibと同等程度にまで大きくして、トランジスタMP21に流れるバイアス電流ib成分をできるだけ小さくすることにより、消費電流の増大はさらに抑制される。それに伴って、増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧の増大もさらに抑制される。
なお、本実施の形態にかかる半導体集積回路3では、図16に示す半導体集積回路200と比較して、キャパシタC11が1/n倍となるため、ノードvbにて同等のac特性を実現するためには、トランジスタMN23に流れる電流は1/√n倍でよい。バイアス電流ia,ibの比が1:1であるならば、消費電流は、従来の2/√n倍にまで抑制される。例えば、n=20の場合、消費電流は、従来の約半分にまで抑制される。それに伴って、増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧も1/√n倍にまで抑制される。
続いて、バイアス電流ia,ib,ieの設定の詳細について、計算式を用いて説明する。以下では、バイアス電流ia,ibの比をa:bとする。また、トランジスタMP22、MP21,MP31にそれぞれ流れるバイアス電流成分の比をa:d:eとする。このとき、下記式(1)、(2)、(3)が成り立つ。
ib=id+ie ・・・(1)
id:ia=d:a ・・・(2)
ia:ib=a:b ・・・(3)
式(2)より、下記式(4)が成り立つ。
id=(d/a)×ia ・・・(4)
式(3)より、下記式(5)が成り立つ。
ib=(b/a)×ia ・・・(5)
式(4)、(5)を式(1)に代入すると、下記式(6)のように表される。
(b/a)×ia=(d/a)×ia+ie ・・・(6)
ここで、a:d=n:1であるため、式(6)は下記式(7)のように表される。
(b/a)×ia=(1/n)×ia+ie ・・・(7)
また、a:b=1:1と仮定すると、式(7)は下記式(8)のように表される。
ia=(1/n)×ia+ie ・・・(8)
式(8)より、バイアス電流ia,ibの比を1:1にするためには、ie={(n−1)/n}×iaを満たすように設計されればよい。
なお、ここでは、バイアス電流ia,ibの比が1:1である場合を例に説明したが、これに限られない。バイアス電流ia,ibの比は任意に変更可能である。バイアス電流ia,ibの比やカレントミラー比nを調整することにより、DC特性、AC特性、TRAN特性のそれぞれの特性を改善することが可能である。
<実施の形態4>
図6は、実施の形態4にかかる半導体集積回路3aの構成例を示す回路図である。図6に示す半導体集積回路3aでは、図5に示す半導体集積回路3と比較して、各トランジスタの導電型(P型、N型)が異なる導電型のものに変更されている。また、電源電圧端子VCC及び接地電圧端子GNDの接続関係が逆になっている。即ち、本実施の形態では、GND基準に代わってVCC基準の出力電圧VOUTが生成される。
図6に示す半導体集積回路3aは、出力トランジスタMN11aと、増幅回路AMP11aと、抵抗素子R11a,R12aと、トランジスタMN21a,MN22a,MP21a,MP22a,MP23a,MN31aと、キャパシタC11aと、を備える。
ここで、出力トランジスタMN11a、増幅回路AMP11a、抵抗素子R11a,R12a、トランジスタMN21a,MN22a,MP21a,MP22a,MP23a,MN31a及びキャパシタC11aは、それぞれ、図5における、出力トランジスタMP11、増幅回路AMP11、抵抗素子R11,R12、トランジスタMP21,MP22,MN21,MN22,MN23,MP31及びキャパシタC11に対応する。
本実施の形態にかかる半導体集積回路3aでも、実施の形態3にかかる半導体集積回路3と同等の効果を奏することができる。なお、他の実施の形態においても同様のことが言える。
<実施の形態5>
図7は、実施の形態5にかかる半導体集積回路4の構成例を示す回路図である。図7に示す半導体集積回路4は、図5に示す半導体集積回路3と比較して、ノードvbとキャパシタC11との間に抵抗素子R41をさらに備える。半導体集積回路4のその他の回路構成及び動作については、半導体集積回路3と同様であるため、その説明を省略する。
本実施の形態にかかる半導体集積回路4は、抵抗素子R41を備えることにより、複素平面における左半平面に零点(進んだ位相を戻すことのできる零点)を発生させることができる。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路4は、位相補償用の帰還電流(n×ic)の上限を設定することが可能になるため、位相補償用の帰還電流のパスの安定性を向上させたり、PSRR特性を改善させたりすることができる。
本実施の形態では、抵抗素子R41が図5に示す半導体集積回路3に対して追加された場合について説明したが、これに限られない。抵抗素子R41は、他の実施の形態にかかる半導体集積回路に対しても適宜追加可能である。
<実施の形態6>
図8は、実施の形態6にかかる半導体集積回路5の構成例を示す回路図である。図8に示す半導体集積回路5は、図5に示す半導体集積回路3と比較して、ゲインブースト回路GB51をさらに備える。以下、具体的に説明する。
ゲインブースト回路GB51は、トランジスタMN51,MN52と、増幅回路(第2増幅部)AMP51と、を有する。本実施の形態では、トランジスタMN51,MN52がNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
トランジスタMN51では、ドレインが電源電圧端子VCCに接続され、ソースがノードvcに接続され、ゲートに出力電圧VOUTが供給される。トランジスタMN52では、ドレインがノードvcに接続され、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbn11が供給される。増幅回路AMP51では、反転入力端子がノードvbに接続され、非反転入力端子がノードvcに接続され、出力端子がトランジスタMN23のゲートに接続される。
図9は、増幅回路AMP51の具体的構成の一例を示す図である。図9に示す増幅回路AMP51は、NチャネルMOSトランジスタであるトランジスタMN6〜MN9と、PチャネルMOSトランジスタであるトランジスタMP5〜MP9と、を有する。
トランジスタMN6では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレイン及びゲートがトランジスタMP5のドレインに接続される。トランジスタMP5では、ソースがトランジスタMP9のドレインに接続され、ゲートが反転入力端子(in−)に接続される。トランジスタMN7では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレイン及びゲートがトランジスタMP6のドレインに接続される。トランジスタMP6では、ソースがトランジスタMP9のドレインに接続され、ゲートが非反転入力端子(in+)に接続される。トランジスタMP9では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ゲートにバイアス電圧Vbp11が供給される。
トランジスタMN8では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレインがトランジスタMP7のドレイン及びゲートに接続され、ゲートがトランジスタMN6のゲートに接続される。トランジスタMP7では、ソースが電源電圧端子VCCに接続され、ゲートがトランジスタMP8のゲートに接続される。トランジスタMN9では、ソースが接地電圧端子GNDに接続され、ドレインがトランジスタMP8のドレインに接続され、ゲートがトランジスタMN7のゲートに接続される。トランジスタMP8では、ソースが電源電圧端子VCCに接続される。
図8に戻り、半導体集積回路5のその他の回路構成については、図5に示す半導体集積回路3と同様であるため、その説明を省略する。
トランジスタMN51,MN52は、レベルシフタを構成し、出力電圧VOUTを低い電圧レベルにシフトしてノードvcから出力する。増幅回路AMP51は、ノードvcの電圧と、ノードvbの電圧と、の電位差を増幅してトランジスタMN23のゲートに出力する。即ち、増幅回路AMP51はトランジスタMN23をゲインブーストしている。
それにより、トランジスタMN23のトランスコンダクタンスgmが大きくなるため、ノードvbのインピーダンスは低くなる。それにより、トランジスタMN23に流す必要のある電流はさらに小さくなる。つまり、バイアス電流ia,ibをさらに小さくすることができる。その結果、消費電流の増大はさらに抑制され、それに伴って、増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧の増大もさらに抑制される。
また、本実施の形態にかかる半導体集積回路5は、上記したようにバイアス電流ia,ibを小さくすることができるため、消費電流を増大させることなくカレントミラー比nをさらに大きくすることができる。それにより、本実施の形態にかかる半導体集積回路5は、キャパシタC11の規模をさらに小さくすることができる。
なお、出力電圧VOUTを低いレベルにシフトする必要が無ければ、トランジスタMN51,MN52は設けらなくても良い(図10参照)。
本実施の形態では、ゲインブースト回路GB51が図5に示す半導体集積回路5に対して追加された場合について説明したが、これに限られない。ゲインブースト回路GB51は、他の実施の形態にかかる半導体集積回路に対しても適宜追加可能である。
<実施の形態7>
図11は、実施の形態7にかかる半導体集積回路6の構成例を示す回路図である。図11に示す半導体集積回路6は、図5に示す半導体集積回路3と比較して、トランジスタ(第4定電流トランジスタ)MN61と、トランジスタ(第5定電流トランジスタ)MN62と、をさらに備える。
本実施の形態では、トランジスタMN61,MN62がNチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。トランジスタMN61,MN62は、それぞれトランジスタMN21,MN22にカスコード接続される。より具体的には、トランジスタMN61は、ノードvbとトランジスタMN21との間に設けられ、ゲートにバイアス電圧Vbn61が供給される。トランジスタMN62は、ノードvaとトランジスタMN22との間に設けられ、ゲートにバイアス電圧Vbn61が供給される。半導体集積回路6のその他の回路構成については、半導体集積回路3と同様であるため、その説明を省略する。
それにより、トランジスタMN21,MN22のドレイン抵抗が大きくなるため、プロセス、電源電圧VCC、温度等の変化によるバイアス電流ia,ibの変動は抑制される。それにより、増幅回路AMP11の出力端子に流れ込む誤差電流の変動が小さくなるため、当該増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧は効果的に抑制される。
本実施の形態では、トランジスタMN61,MN62が図5に示す半導体集積回路5に対して追加された場合について説明したが、これに限られない。トランジスタMN61,MN62は、他の実施の形態にかかる半導体集積回路に対しても適宜追加可能である。
<実施の形態8>
図12は、実施の形態8にかかる半導体集積回路7の構成例を示す回路図である。図12に示す半導体集積回路7は、上記した抵抗素子R41、ゲインブースト回路GB51及びトランジスタMN61,MN62をいずれも備えている。半導体集積回路7の具体的構成については、その説明を省略する。
本実施の形態では、半導体集積回路7が抵抗素子R41,ゲインブースト回路GB51及びトランジスタMN61,MN62をいずれも備えた場合を例に説明したが、これに限られない。半導体集積回路7は、抵抗素子R41,ゲインブースト回路GB51及びトランジスタMN61,MN62のうちいずれか一つ又は二つを備えた構成にも適宜変更可能である。
図13は、バイアス電圧生成部の第1構成例が明示された半導体集積回路7を半導体集積回路7aとして示す回路図である。このバイアス電圧生成部は、定電流源I71と、トランジスタMN71〜MN73,MP71,MP72と、により構成される。図14は、半導体集積回路7にバイアス電圧生成部の第2の構成例を追加して半導体集積回路7bとして示したものである。このバイアス電圧生成部は、定電流源I71と、トランジスタMN71,MN73,MP72と、により構成される。なお、トランジスタMN71〜MN73がNチャネルMOSトランジスタであって、トランジスタMP71,MP72がPチャネルMOSトランジスタであるものとする。
以上のように、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、位相補償用のキャパシタによって生成される帰還電流を電流増幅部にて増幅して出力トランジスタのゲート(ノードva)に帰還させる。それにより、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、位相補償用のキャパシタの規模を従来よりも小さくすることができる。その結果、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、回路規模の増大を抑制することができる。
さらに、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、トランジスタMP21に並列にトランジスタMP31を備えることにより、トランジスタMP21に流れるバイアス電流ib成分を比較的小さくしている。それにより、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、増幅された帰還電流を減少させることなく、トランジスタMP22,MN22に流れるバイアス電流iaを小さくすることができる。その結果、消費電流の増大は抑制される。それに伴って、増幅回路AMP11の入力換算オフセット電圧の増大も抑制される。
なお、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、近年要求の高いLow−Dropout構成を採用する場合に、特に有効である。
(従来技術との比較)
特許文献2に開示された構成は、位相補償用帰還電流を増幅する構成(例えば、カレントミラー回路)を有していない。したがって、この構成では、位相補償用キャパシタの規模が大きくなるという問題がある。一方、上記実施の形態にかかる半導体集積回路では、このような問題は発生しない。
特許文献3に開示された構成は、ミラー効果を利用した位相補償を行っていない。一方、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、ミラー効果を利用した位相補償を行い、かつ、位相補償用帰還電流を増幅する構成を有している。さらに、特許文献3に開示された構成と、上記実施の形態にかかる半導体集積回路の構成とでは、位相補償用帰還電流の帰還先が異なる。要するに、特許文献3に開示された構成と、上記実施の形態にかかる半導体集積回路の構成とでは、回路構成がまったく異なる。
また、特許文献4に開示された構成では、カレントミラー回路の出力側に位相補償用帰還電流が供給されている。つまり、このカレントミラー回路では、位相補償用帰還電流は増幅されていない。一方、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、位相補償用帰還電流をカレントミラー回路で増幅している。そのため、上記実施の形態にかかる半導体集積回路は、位相補償用キャパシタの規模をより小さくすることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
上記実施の形態では、半導体集積回路1〜7,1a,3a,5a,7a,7bがシリーズレギュレータである場合を例に説明したが、これに限られない。半導体集積回路1〜7,1a,3a,5a,7a,7bは、増幅回路であってもよい。
また、上記実施の形態では、半導体集積回路1〜7,1a,3a,5a,7a,7bが抵抗素子R11,R12を備えた場合を例に説明したが、これに限られない。半導体集積回路1〜7,1a,3a,5a,7a,7bは、出力電圧VOUTを分圧する必要がなければ、抵抗素子R11,R12を備えない構成に適宜変更可能である。