JP5919945B2 - 燃料電池システム及び燃料電池の触媒性能向上方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池の触媒性能向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池に用いられるカソード側の白金触媒に生じた酸化皮膜を除去するために、燃料ガスの供給圧力を高くすることで、燃料ガスを還元剤としてアノードからカソードにリークさせる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2007−157604号公報
上記従来技術が有する課題は、触媒の性能の向上が不十分であるという点であった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態または適用例として実現できる。
適用例1:燃料電池システムであって;触媒を用いる燃料電池と;前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給しつつ、前記燃料電池のカソードに水分を含む不活性ガスを流すガス制御部と;を備える燃料電池システム。この適用例によれば、カソードの触媒の性能を向上させることができる。アノードに燃料ガスが、カソードに不活性ガスが供給された状態は、カソードに対して強い還元力を持つ。この還元力によって、カソードの触媒に存在する酸化被膜が還元除去される。さらに、水分を含んだ不活性ガスがカソードに流れることによって、カソードの触媒に吸着した被毒物質が洗い流される。このようにして、カソードに生じた酸化皮膜および被毒物質が除去される結果、カソードの触媒の性能が向上する。
適用例2:適用例1に記載の燃料電池システムであって;前記燃料電池のアノードに燃料ガスが、前記燃料電池のカソードに酸化ガスが供給されている時に、前記燃料電池の電圧を、要求された電力値を発電するための値よりも小さな値に調節する電圧調節部を備える燃料電池システム。この適用例によれば、カソードの触媒の性能を向上させることができる。電圧調節部によって燃料電池の電圧が小さくなると、カソードの触媒に吸着したアニオンの吸着力が弱まる。よって、この後、カソードに空気が供給されると、空気に含まれる水分の流れによって、吸着が弱まったアニオンが洗浄される。アニオンは被毒物質の一種なので、アニオンの除去によって、カソードの触媒の性能が向上する。さらに、電圧調節部によって燃料電池の電圧が小さくなると、通常、発電される電力値が増加する。発電される電力値が増加すると、発電に伴って生成される水分が増加する。生成水の増量は、上記洗浄の能力を向上させるので、カソードの触媒の性能が効率的に向上する。
適用例3:適用例2に記載の燃料電池システムであって;前記電圧調節部の動作に伴い、カソードに供給する酸化ガスの流量を、要求された電力値を発電するための流量よりも増大させる流量増大部を備える燃料電池システム。この適用例によれば、カソードの触媒の性能を更に向上させることができる。電圧調節部の動作に伴い、カソードに供給される酸化ガスの流量が増大すると、上記の洗浄能力が更に向上するからである。なお「電圧調節部の動作に伴い…増大させる」とは、「電圧調節部の動作開始と同時に…増大を開始する」という意味に限定されず、流量の増大の開始は、電圧調節部の動作開始の前後何れでも良い。
適用例4:適用例1から適用例3の何れか1つに記載の燃料電池システムであって;前記ガス制御部は、発電が要求されていない場合に動作する燃料電池システム。この適用例によれば、カソードの触媒の性能をより向上させることができる。カソードに不活性ガスが流れれば、アノードに燃料ガスが供給されたとしても、発電は起こらなくなる。よって、カソードに不活性ガスを流すことによって、発電が要求されていない状況に応えることができる。さらに、発電が起こらなくなれば、燃料電池の電圧は降下していく。電圧が降下すると、カソードの触媒に付着したアニオンの吸着力が弱まる。この結果、アニオンの吸着力が弱まった状態で、水分を含む不活性ガスが流れることになり、アニオンがより効率的に除去される。
適用例5:適用例1から適用例4の何れか1つに記載の燃料電池システムであって;前記ガス制御部に供給する不活性ガスを貯蔵するためのタンクを備える燃料電池システム。この適用例によれば、外部から不活性ガスの供給を受けなくても、ガス制御部が動作できる。
適用例6:車両に搭載される適用例1から適用例4の何れか1つに記載の燃料電池システムであって;前記ガス制御部は、車両の駐車時に動作する燃料電池システム。この適用例によれば、燃料電池システムに不活性ガスを保存しなくても良くなる。駐車時であれば、外部から不活性ガスを供給できるからである。駐車時とは、例えば、車両の点検時や修理時などが考えられる。
適用例7:燃料電池に用いられる触媒の性能を向上させる方法であって;前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給しつつ、前記燃料電池のカソードに水分を含む不活性ガスを流す触媒性能向上方法。この適用例は、例えば、燃料電池の製造工程において、或いは、燃料電池の使用開始後における点検時に実施できる。
上記の何れの適用例も、他の形態によって実現できる。例えば、上記の触媒性能向上方法を生産工程の一部とした燃料電池の生産方法、上記の触媒性能向上方法を実現するためのプラグラム、このプログラムを記憶する一時的でない記憶媒体などが考えられる。この他、適用例2又は適用例3からガス制御部を除外した形態が考えられる。電圧調節部および流量増大部は、ガス制御部を除外しても動作し得るからである。
燃料電池自動車の概略図。 燃料電池運転処理を示すフローチャート。 発電要求時における各値の経時変化を示したグラフ。 発電が要求されていない時における各値の経時変化を示したグラフ。
1.実施例1:
1−1.ハードウェア構成:
図1は、燃料電池自動車20の概略図である。図示するように、燃料電池自動車20は、燃料電池システム30と、燃料電池自動車20の前輪駆動用のモータ170とを車体22に搭載する。燃料電池システム30は、燃料電池100、水素ガス供給系120、空気供給系140、冷却系160、二次電池172及びDC−DCコンバータ174を備え、前輪駆動用のモータ170等に電力を供給する。
燃料電池100は、固体電解質膜の両側に白金触媒を担持した両電極(アノード及びカソード)を接合させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を備えるセルを積層して構成され、前輪FWと後輪RWとの間、かつ車体22の床下に配置される。燃料電池100は、水素ガス供給系120から供給される水素と、空気供給系140から供給される空気中の酸素との電気化学反応によって発電する。この発電した電力は、モータ170を駆動するために用いられる。燃料電池100の発電による電流は電流センサ102によって計測され、その計測結果は電流センサ102から後述する制御装置200へ出力される。
水素ガス供給系120は、水素ガスタンク110、水素供給経路121、水素供給用開閉バルブ124、減圧バルブ125及び水素供給機器126を備える。水素ガスタンク110は、内部に水素ガスを貯蔵する。水素供給経路121は、水素ガスタンク110と燃料電池100とをつなぐガス経路である。水素供給機器126は、水素ガスタンク110内の水素ガスを水素供給経路121経由で燃料電池100のアノードに供給する。水素供給用開閉バルブ124は、水素供給経路121を開閉する。減圧バルブ125は、水素ガスタンク110から供給される水素を減圧する。減圧された水素は、水素供給経路121に供給される。
水素ガス供給系120は更に、水素ガス循環経路122、放出経路123、水素ガス循環ポンプ127及び水素ガス流量センサ128を備える。水素ガス循環経路122は、アノードオフガスを水素供給経路121に戻して循環させるための経路である。この循環は、水素ガス循環ポンプ127が実行する。水素ガス流量センサ128は、循環する水素ガスの流量を測定する。放出用開閉バルブ129は、水素ガス循環経路122と放出経路123との間の経路を開閉する。放出経路123は、燃料電池100によって消費されなかった水素ガス(アノードオフガス)を、大気放出するための経路である。放出経路123は、後述する空気供給系140においても、空気を放出する経路として用いられる。放出経路123において、アノードオフガスと空気とが混合することによって、アノードオフガスが希釈される。
一方、空気供給系140は、コンプレッサ130、空気供給経路141、排出流量調整バルブ143、加湿装置145及び空気流量センサ147を備える。コンプレッサ130は、大気から取り込んだ空気を圧縮する。空気供給経路141は、コンプレッサ130によって圧縮された空気が流れるガス経路であり、燃料電池100のカソードに通じている。加湿装置145は、空気供給経路141上においてコンプレッサ130と燃料電池100との間に配置されており、燃料電池100に供給される空気を加湿する。排出流量調整バルブ143は、水素ガス供給系120と放出経路123との間をつなぐ経路上に配置され、燃料電池100によって消費されなかった空気(カソードオフガス)の排出圧力(カソード背圧)及び排出量を調整する。
空気供給系140は更に、窒素ガスタンク148と窒素供給用開閉バルブ149とを備える。窒素ガスタンク148は、内部に窒素ガスを貯蔵する。窒素供給用開閉バルブ149は、窒素ガスタンク148と加湿装置145との間のガス経路に設けられ、燃料電池100のカソードに対する窒素ガスの供給を制御するために開閉する。加湿装置145を通った窒素ガスは、燃料電池100のカソードに供給され、その後、カソードから排出流量調整バルブ143に向けて排出される。
上記の排出流量調整バルブ143から排出された空気または窒素ガスは、加湿装置145を経て、先述した放出経路123に流入する。この加湿装置145は、気液分離機器として構成されている。つまり、加湿装置145は、カソードオフガスから水分を分離し、その分離した水分を空気供給経路141内の空気または窒素ガスに混合するように、なおかつ、カソード背圧が高いほど分離・混合する水分量が多くなるように構成されている。これを利用して、燃料電池100に供給される空気または窒素ガスの湿度調整は、排出流量調整バルブ143によるカソード背圧調整によって実行される。
一方、冷却系160は、ラジエータ150、冷却水循環経路161、バイパス162、三方流量調整弁163、冷却水循環ポンプ164及び温度センサ166を備える。冷却水循環経路161は、燃料電池100とラジエータ150との間で冷却水を循環させるための経路である。この循環は冷却水循環ポンプ164が行う。このようにして循環する冷却水は、燃料電池100内において吸熱し、ラジエータ150において放熱することで、燃料電池100を冷却する。つまり、セル温度を低下させる。また、バイパス162は、燃料電池100から流出した冷却水を、ラジエータ150を通過させずに再度、燃料電池100に流入させるための経路である。一方、三方流量調整弁163は、バイパス162を通過する冷却水の流量を調整する。この調整は、ラジエータ150における放熱量の調整のために行われる。
次に、電気系統について説明する。電気系統としては、燃料電池100の他、先述した二次電池172及びDC−DCコンバータ174が備えられている。二次電池172は、DC−DCコンバータ174を介して燃料電池100に接続されており、燃料電池100によって発電された電力の充電、及び充電した電力を他の機器へ供給することができる。二次電池172には、残容量検出センサ176が接続されている。DC−DCコンバータ174は、燃料電池100の電圧制御を含む発電制御、二次電池172の充放電の制御、モータ170への電力供給を行う。
制御装置200は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。この制御装置200は、アクセルペダル180や先述した種々のセンサからの信号入力を取得し、その取得した信号に基づいてDC−DCコンバータ174やその他種々のバルブや機器等を先述したように制御することにより、燃料電池システム30を運転する。
1−2.燃料電池運転処理(図2):
図2は、燃料電池運転処理を示すフローチャートである。燃料電池運転処理の実行主体は、制御装置200である。燃料電池運転処理は、燃料電池自動車20が走行可能状態である場合に継続して実行される。走行可能状態とは、駐車状態でない状態である。本実施形態では、セレクトレバー(シフトレバー)がパーキングレンジを選択している状態であり、且つ駐車ブレーキ(サイドブレーキ)が制動を行っている状態である場合、駐車状態であると判定する。
まず、発電が要求されている(発電要求時である)かを判定する(ステップS210)。この判定は、二次電池172の残容量や、モータ170による消費電力などに基づく。発電が要求されている場合(ステップS210、YES)、触媒の性能が低下したかを判定する(ステップS220)。この判定は、燃料電池の電流−電圧特性(IV特性)等に基づく。具体的には、現状のIV特性が、判定基準として予め定められた電流−電圧特性(IV特性)を下回った場合に、触媒の性能が低下したかを判定する。触媒の性能が低下していないと判定すると(ステップS220、NO)、要求に応じた負荷運転を実行し(ステップS230)、ステップS210に戻る。
一方、触媒の性能が低下したと判定すると(ステップS220、YES)、時間T1に渡り、電圧をV1に設定する(ステップS240)。時間T1及び後述する時間T2〜T4は、実験等に基づき予め定めておく。電圧の設定には、DC−DCコンバータ174を利用する。電圧V1は、負荷運転時において設定される電圧の平均値よりも低い電圧である。より好ましいのは、負荷運転時において設定される電圧の最低値よりも低い電圧である。この運転を、本実施形態では低電位運転と呼ぶ。
続いて、電圧を負荷運転のための値に戻しつつ、時間T2に渡り、カソードに供給する空気の流量を、負荷運転のための値よりも増大させる(ステップS250)。この流量の増大は、コンプレッサ130の制御によって実現する。ステップS240及びステップS250について、図3を用いて説明する。
1−2a.発電要求時における経時変化(図3):
図3は、発電要求時における各値の経時変化を示したグラフである。図3(A)は燃料電池100の電圧値、図3(B)は燃料電池100の電流値、図3(C)はカソードの触媒に存在する硫酸イオン(Pt−SO4 2-)の量と、酸化皮膜(PtO)の量との経時変化を示す。
図3(A)(B)における時刻0〜時刻t1は、通常の負荷運転によって、電圧値および電流値が要求電力値に応じて変動することを模式的に示す。図3(C)における時刻0〜時刻t1は、これまでの運転によって、或る量の硫酸イオンと酸化皮膜とがカソードの触媒に存在することを模式的に示す。
図3(A)における時刻t1〜時刻t2は、低電位運転(ステップS240)の実行によって、時間T1に渡り、電圧値が電圧V1に設定されたことを示す。図3(B)における時刻t1〜時刻t2は、電圧値が電圧V1に設定されたことによって、電流値が負荷運転時よりも増大したことを示す。このような電圧値および電流値によって、ステップS240の実行中は、発電される電力値が負荷運転時に比べて増大すると共に、発電と共に生成される水の量も増大する。
図3(C)における時刻t1〜時刻t2は、低電位運転(ステップS240)の実行によって、カソードの触媒に存在する硫酸イオンの量と酸化皮膜の量とが減少することを示す。酸化皮膜の量が減少するのは、電圧V1による還元力が作用した結果である。硫酸イオンが減少するのは、電圧V1によって、触媒に対する吸着力が弱くなったからである。硫酸イオンの吸着力が弱くなると、カソードに作用する洗浄力によって、徐々に硫酸イオンの量が減少する。この洗浄力は、カソードにおける水分の流れによって生じる。この水分の流れは、カソードに供給される空気の流れによって引き起こされる。この水分の由来は、加湿装置145によって空気に加えられた水分、及び発電に伴う生成水である。この生成水は、先述したように、ステップS240において量が増える。この生成水の増量は、洗浄力の向上に貢献する。
図3(C)における時刻t2〜時刻t3は、カソードの触媒に存在する硫酸イオンの量が更に減少することを示す。硫酸イオンが更に減少するのは、ステップS250の実行によって、時間T2(時刻t2〜時刻t3)に渡り、上記の洗浄力が更に増強されるからである。洗浄力が増強されるのは、ステップS250の実行によって、カソードに供給される空気の流量が増大するからである。
図3(A)(B)における時刻t2〜時刻t3は、カソードに供給される空気の流量が増大している間、電圧値および電流値は、通常の負荷運転時と同じように制御されることを示す。ステップS250を終えると、ステップS210に戻る。
一方、発電が要求されていない場合(以下「発電不要時」とも言う。)(ステップS210、NO)、触媒の性能が低下したかを判定する(ステップS260)。判定手法は、ステップS220の手法と同じである。但し、ステップS260の判定基準は、ステップS220の判定基準よりも、触媒の性能が低下したという判定を下しやすいように設定されている。触媒性能の向上は、発電不要時に実行した方が好ましいからである。
触媒の性能が低下していないと判定すると(ステップS260、NO)、間欠運転を行い(ステップS270)、ステップS210に戻る。間欠運転とは、発電を中断するための運転であり、両極へのガスの供給を中断すると共に、電圧をV2に設定する。電圧V2は、開回路電圧(OCV)よりも少し低い電圧である。
一方、触媒の性能が低下したと判定すると(ステップS260、YES)、時間T3に渡り、アノードに水素ガスを供給しつつ、カソードに窒素ガスを供給する(ステップS280)。カソードに窒素ガスを供給するには、コンプレッサ130を停止させ、窒素供給用開閉バルブ149を開く。図4と共に説明する。
1−2b.発電不要時における経時変化(図4):
図4は、発電不要時における各値の経時変化を示したグラフである。図4(A)は燃料電池100の電圧値、図4(B)は燃料電池100の電流値、図4(C)はカソードの触媒に存在する硫酸イオン(Pt−SO4 2-)の量と、酸化皮膜(PtO)の量との経時変化を示す。
図4(A)(B)における時刻t4〜時刻t5は、水素ガス及び窒素ガスの供給(ステップS280)の実行によって、電圧値および電流値が降下してゼロに収束することを示す。この現象は、カソードに窒素ガスが供給されることによって、カソードにおける酸素量が減少し、やがて発電が起こらなくなることに起因する。
図4(C)における時刻t4〜時刻t5は、水素ガス及び窒素ガスの供給(ステップS280)の実行によって、カソードの触媒に存在する硫酸イオンの量と酸化皮膜の量とが減少することを示す。酸化皮膜の量が減少するのは、電圧降下と還元雰囲気とによる還元力が作用した結果である。この還元雰囲気とは、アノードが水素ガスリッチ、カソードが窒素ガスリッチの状態のことである。
一方、硫酸イオンが減少するのは、カソードに洗浄力が作用するからである。この洗浄力は、カソードにおける水分の流れによって生じる。水分の流れは、カソードに供給される窒素ガスの流れが引き起こす。この水分の由来は、加湿装置145によって窒素ガスに加えられた水分である。さらに、先述した電圧降下が、触媒に対する硫酸イオンの吸着力を弱めるので、硫酸イオンが効率的に除去される。
ステップS280の後、時間T4に渡り、アノードへの水素ガスの供給を止めつつ、カソードに空気を供給する(ステップS290)。ステップS290の目的は、発電を素早く再開するための準備である。この後、ステップS210に戻る。
1−3.効果:
燃料電池運転処理によれば、先述した通り、カソードの触媒に存在する酸化皮膜と硫酸イオンとの除去によって、カソードの触媒性能を向上させることができる。特に、硫酸イオンを除去する効果が大きい。なぜなら、発電不要時に、水素をアノードに供給しつつ、加湿された窒素ガスをカソードに流すことによって、強い洗浄力をカソードに及ぼすことができるからである。しかも、この洗浄に際して電圧降下が起こるので、硫酸イオンの吸着が弱まる。この結果、硫酸イオンの除去が効率的に行われる。加えて、この電圧降下は、酸化皮膜の除去にも貢献する。
さらに、発電要求時においても、電圧を低下させ、供給する空気を増量することによって、触媒性能を向上させることができる。
2.実施例1と適用例との対応関係:
ステップS240が電圧調節部を、ステップS250が流量増大部を、ステップS280がガス制御部をそれぞれ実現するためのソフトウェアに相当する。
3.実施例2:
実施例2の説明は、実施例1と異なる点を説明することによって行う。実施例2における燃料電池自動車20は、窒素ガスタンク148と窒素供給用開閉バルブ149とを備えない。よって、先述した燃料電池運転処理の全てのステップを実行することはできないので、燃料電池システム30の運転は、従来の手法による。
その代わり、実施例2の燃料電池100は、燃料電池自動車20の製造時と、燃料電池自動車20の使用開始後における点検時とにおいて、アノードへの水素ガスの供給と、カソードへの加湿された窒素ガスの供給とを受ける。燃料電池自動車20の製造時とは、燃料電池システム30が自動車に搭載される前でも後でも良い。点検時や、燃料電池システム30が自動車に搭載された後に実行する場合は、例えば、空気供給経路141の大気取り込み口に窒素ガスタンクを接続することによってカソードに窒素を供給できる。これらのガス供給時において、電圧の制御などは不要である。これらのガス供給は、点検時においてはもちろん、製造時においてもカソードの触媒の性能を向上させることが見出された。なお、この効果は、製造時における供給のみでも、点検時における供給のみでも発揮される。
4.他の実施形態:
本発明の実施形態は、先述した実施形態に限られず、発明の技術的範囲を逸脱しない範囲における種々の形態が採用され得る。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、先述した課題の一部または全部を解決するために、或いは、先述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことができる。その技術的特徴は、必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。この他、例えば、以下のものが考えられる。
自動車搭載用の燃料電池でなくとも、二輪車など、他の輸送用機器搭載用や家庭用発電機等どのような用途のものでも良い。
除去されるアニオンは、硫酸イオンに限られない。例えば塩化物イオンなどが挙げられる。
不活性ガスは、窒素ガスでなくても良い。例えば、アルゴンガス等の希ガスでも良いし、複数の不活性ガスを混合したものでも良い。
不活性ガスに水分を含ませる手法は、加湿装置を用いるものでなくても良い。例えば、水分を不活性ガスと共にタンクに貯蔵しても良い。
実施例2において、燃料電池100の製造時と、燃料電池自動車20の使用開始後における点検時との何れか一方のみにおいて、アノードへの水素ガスの供給と、カソードへの加湿された窒素ガスの供給とを実行しても良い。
20…燃料電池自動車
22…車体
30…燃料電池システム
100…燃料電池
102…電流センサ
110…水素ガスタンク
120…水素ガス供給系
121…水素供給経路
122…水素ガス循環経路
123…放出経路
124…水素供給用開閉バルブ
125…減圧バルブ
126…水素供給機器
127…水素ガス循環ポンプ
128…水素ガス流量センサ
129…放出用開閉バルブ
130…コンプレッサ
140…空気供給系
141…空気供給経路
143…排出流量調整バルブ
145…加湿装置
147…空気流量センサ
148…窒素ガスタンク
149…窒素供給用開閉バルブ
150…ラジエータ
160…冷却系
161…冷却水循環経路
162…バイパス
163…三方流量調整弁
164…冷却水循環ポンプ
166…温度センサ
170…モータ
172…二次電池
174…DC−DCコンバータ
176…残容量検出センサ
180…アクセルペダル
200…制御装置

Claims (6)

  1. 車両に搭載される燃料電池システムであって、
    触媒を用いる燃料電池と、
    前記車両の駐車時に、前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給しつつ、前記燃料電池のカソードに水分を含む不活性ガスを流すことによって、前記触媒に吸着したアニオンを除去するガス制御部と、
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池のアノードに燃料ガスが、前記燃料電池のカソードに酸化ガスが供給されている時に、前記燃料電池の電圧を、要求された電力値を発電するための値よりも小さな値に調節する電圧調節部
    を備える燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムであって、
    前記電圧調節部の動作に伴い、カソードに供給する酸化ガスの流量を、要求された電力値を発電するための流量よりも増大させる流量増大部
    を備える燃料電池システム。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記ガス制御部は、発電が要求されていない場合に動作する
    燃料電池システム。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1つに記載の燃料電池システムであって、
    前記ガス制御部に供給する不活性ガスを貯蔵するためのタンク
    を備える燃料電池システム。
  6. 車両に搭載された燃料電池に用いられる触媒の性能を向上させる方法であって、
    前記車両の駐車時に、前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給しつつ、前記燃料電池のカソードに水分を含む不活性ガスを流すことによって、前記触媒に吸着したアニオンを除去する
    触媒性能向上方法。
JP2012072764A 2012-03-28 2012-03-28 燃料電池システム及び燃料電池の触媒性能向上方法 Expired - Fee Related JP5919945B2 (ja)

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