JP5910530B2 - 親水化処理基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシラン、及び該アルコキシシランにより表面処理されてなる親水化処理基材、特に親水化処理粉体、及びこれらの製造方法、並びにこれを含有する水系組成物、更にそれらを含有する化粧料、皮膚外用剤、塗料及びインクに関する。
基材表面の処理は、求める目的により、様々な処理剤が使用されているが、この表面処理に用いる処理剤や処理方法は、被処理基材の表面性質等を考慮して選択され、例えば、油剤や金属石鹸などによる親油化処理、界面活性剤や水溶性高分子等による親水化処理、シリコーン油等による撥水撥油処理等が知られている。
しかしながら、親水化処理についてみると、例えば、粉体を水系の媒質中に分散させる場合、粉体表面の持つ電荷や極性、微量の不純物等による凝集が起こる場合が多々ある。これまで、粉体表面の親水化処理により、水系媒質中での凝集を抑える試みがなされてきている。しかし、従来の界面活性剤や水溶性高分子等による親水化処理では効果が十分ではなく、これらで処理した粉体を配合した組成物は、系中で粉体と処理剤が解離してしまい色むらが生じたり、外観色と塗布色との差を生じたり、また経時的に分散性が悪化して使用性を著しく損ねてしまう場合があった。
また、加水分解性シリル基を含有するポリエーテル変性シラン化合物を用いてスメクタイト型粘土鉱物の表面を親水化する方法が提案されている(特許文献1:特開2004−155978号公報)。しかし、この方法では、まだ親水化が十分ではなく、例えば、紫外線吸収剤として様々な組成物へ配合される酸化チタン粉体の表面処理へ適用した場合、水系媒質中への十分な分散性が得られないという問題がある。
特開2004−155978号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、親水化処理基材の製造工程において、基材表面を効率的に親水化することができる、分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシラン、及びこれで表面処理して得られる親水化処理基材、特に親水化処理粉体、これらの製造方法、並びに該親水化処理粉体を含有する水系組成物、更にそれらを含有する化粧料、皮膚外用剤、塗料及びインクを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために基材の親水化について鋭意研究を行った結果、基材の表面処理剤として、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有する新規なアルコキシシランを用いることが有効であることを知見した。
更に、下記の製造方法により該アルコキシシランで表面処理された親水化処理基材、特に親水化処理粉体は、親水性が極めて高く、水系溶媒中での分散性、分散安定性に優れているため、化粧料、皮膚外用剤、塗料、インク等に好適に使用し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、
〔1〕 基材を、下記一般式(1)で表される分子内に硫黄原子及び親水性基を含有するアルコキシシランで表面処理する親水化処理基材の製造方法であって、下記(A),(B)の工程を含むことを特徴とする親水化処理基材の製造方法、
(A)基材を、下記一般式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシランで表面処理する工程、
(B)前記(A)工程で得られた表面処理基材の表面に存在するメルカプト基と、下記一般式(5)で表される化合物の反応性二重結合部を反応させる工程、
Figure 0005910530
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。R3は炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示す。R4は炭素原子数3〜10の二価炭化水素基を示す。R5は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す。R6は水素原子又はヒドロキシ基を示す。R9は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基を示す。aは1〜3の整数を示す。bは、5≦b≦15を満たす整数を示し、cは0以上の整数を示す。]
〔2〕 R3が、−C36−基である〔1〕記載の親水化処理基材の製造方法、
〔3〕 R4が、−C36−基である〔1〕又は〔2〕記載の親水化処理基材の製造方法、
〔4〕 基材が、粉体である〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の親水化処理基材の製造方法、
〔5〕 粉体が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、マイカ、セリサイト、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄、アルギン酸、オルガノシロキサンの群より選択される1種類以上の表面処理剤で表面処理された酸化チタンである〔4〕記載の親水化処理基材の製造方法、
〔6〕 前記式(1)で表される分子内に硫黄原子及び親水性基を含有するアルコキシシランの表面処理量が、粉体100質量部に対して0.01〜30質量部である〔4〕又は〔5〕記載の親水化処理基材の製造方法、
〔7〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の製造方法で得られた親水化処理基材を、水、水溶性溶剤、水と水溶性溶剤の混合物、又は水と水溶性シリコーン化合物の混合物中に分散する水系組成物の製造方法、
〔8〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる化粧料の製造方法、
〔9〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる皮膚外用剤の製造方法、
〔10〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる塗料の製造方法、
〔11〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いるインクの製造方法、
〔12〕 〔7〕の製造方法で得られた水系組成物を用いる化粧料の製造方法、
〔13〕 〔7〕の製造方法で得られた水系組成物を用いる皮膚外用剤の製造方法、
〔14〕 〔7〕の製造方法で得られた水系組成物を用いる塗料の製造方法、
〔15〕 〔7〕の製造方法で得られた水系組成物を用いるインクの製造方法、
を提供する。
本発明の分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有する新規なアルコキシシランは、親水性が極めて高く、該アルコキシシランで表面処理された親水化処理基材、特に親水化処理粉体は、親水性が極めて高く、水系溶媒中での分散性、分散安定性に優れているため、化粧料、皮膚外用剤、塗料、インク等に好適に使用し得る。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランは、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005910530
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。R3は炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示す。R4は炭素原子数2〜10の二価炭化水素基を示す。R5は水素原子、炭素原子数1〜6の一価炭化水素基又は下記一般式(3)
Figure 0005910530
(式中、R8は炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。)
で表される基を示す。R6は水素原子又はヒドロキシ基を示す。R7は水素原子又はメチル基を示す。aは1〜3の整数を示す。b,cはそれぞれ0以上の整数を示す。ただし、b,cの少なくとも1つは1以上の整数をとる。]
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基であり、この具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、プロペニル基、i−プロペニル基等のアルキル基、アルケニル基等が例示され、特にメチル基、エチル基が好ましい。R3は、炭素原子数1〜10の二価炭化水素基であり、この具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基等が例示され、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にプロピレン基が好ましい。R4は、炭素原子数2〜10の二価炭化水素基であり、この具体例としては、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基等が例示され、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にプロピレン基が好ましい。R5は、水素原子、炭素原子数1〜6の一価炭化水素基、又は下記一般式(3)
Figure 0005910530
(式中、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基などの炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。)
で表される基であり、この具体例としては、水素原子、メチル基、n−ブチル基等のアルキル基等が例示され、特に、水素原子、メチル基が好ましい。R6は、水素原子又はヒドロキシ基であり、R7は、水素原子又はメチル基である。aは、1〜3の整数を示し、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。b,cは、それぞれ0以上の整数を示し、好ましくは、0≦b≦50、0≦c≦50、より好ましくは、0≦b≦20、0≦c≦20、更に好ましくは、5≦b≦15、5≦c≦15の範囲をとる。ただし、b,cの少なくとも1つは、1以上の整数をとる。
前記式(1)及び式(2)で表されるアルコキシシランの具体例としては、下記のような化合物を例示することができる。
Figure 0005910530
次に、本発明の分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランの製造方法について説明する。
前記式(1)で表されるアルコキシシランは、下記一般式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシランと、下記一般式(5)で表される特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物を付加反応させることにより、また、前記式(2)で表されるアルコキシシランは、下記一般式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシランと、下記一般式(6)で表される特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物を付加反応させることにより、製造することができる。
Figure 0005910530
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。R3は炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示す。R5は水素原子、炭素原子数1〜6の一価炭化水素基又は前記式(3)で表される基を示す。R6は水素原子又はヒドロキシ基を示す。R9は単結合又は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基を示す。R10は水素原子又はメチル基を示す。aは1〜3の整数を示す。b,cはそれぞれ0以上の整数を示す。ただし、b,cの少なくとも1つは1以上の整数をとる。)
上記式中、R1〜R6は上記式(1),(2)のR1〜R6と同様の基を例示することができる。R9は、単結合又は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基であり、この具体例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基等が例示され、単結合、メチレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。R10は、水素原子又はメチル基である。また、a,b,cも上記式(1),(2)のa,b,cと同様である。
メルカプト基を含有する前記式(4)で表されるアルコキシシランの具体例としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジプロポキシシランのような化合物が挙げられる。中でも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
また、前記式(5)で表される特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物の具体例としては、例えば、下記式で表されるポリエーテル基、及びアリル基を含有する化合物等が挙げられる。
Figure 0005910530
更に、前記式(6)で表される特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物の具体例としては、例えば、下記式で表されるポリエーテル基、及びアクリル基又はメタクリル基を含有する化合物等が挙げられる。
Figure 0005910530
硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランの製造手順としては、まず、前記式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシラン、前記式(5)及び/又は式(6)で表される特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物、及び必要に応じて、溶媒、重合開始剤又は触媒を混合する。次に、この混合液の熟成を行うことにより、前記式(1)及び/又は式(2)で表される硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランが生成される。
具体的な製造例としては、例えば、下記式で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシラン及びポリエーテル基とアリル基を含有する化合物、溶媒、及びラジカル発生剤を混合し、加熱熟成を行う。
Figure 0005910530
メルカプト基とアリル基との付加反応が進行し、溶媒中に、下記式で表される硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランが生成される。
Figure 0005910530
なお、前記式(5)及び/又は式(6)で表される化合物の添加量は、上記式(4)で表される化合物の添加量に対して、0.5〜2倍モルであることが好ましく、0.8〜1.2倍モルであることがより好ましい。0.5倍モル量未満だと、式(4)で表される化合物の未反応物が多量に残留する場合がある。2倍モルより多い量であると、式(5)及び/又は式(6)で表される化合物の未反応物が多量に残留する場合がある。
また、上記の反応は、重合開始剤や触媒の存在下で行うことが好ましい。
重合開始剤としては、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)が挙げられ、好ましい重合開始剤は光重合開始剤である。
光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど);ブチリルフェノン類[1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなど];アミノアセトフェノン類[2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オンなど];ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、ベンジル、N,N’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのN,N’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタンなど);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルフォスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
触媒としては、アミン系の塩基性触媒等が好ましく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。
重合開始剤又は触媒の添加量は、例えば、前記式(4)で表される化合物、及び前記式(5)で表される化合物及び/又は式(6)で表される化合物の総量100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲から選択でき、好ましくは0.3〜10質量部の範囲であり、更に好ましくは0.7〜5質量部程度の範囲である。
反応温度は、10〜100℃の範囲が好ましく、50〜80℃の範囲が更に好ましい。10℃未満では反応が進行しにくくなるおそれがあり、100℃を超えると同じ化合物同士の重合等、副反応が多くなる場合がある。また、反応時間は、30分間〜5時間であることが好ましく、1時間〜3時間であることがより好ましい。
また、上記の反応は、無溶媒でも反応を進行させることができるが、粘度を下げて反応効率を向上させる場合等に、溶媒を加えることもできる。
溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられる。原料との相溶性が高く、また、原料中に含有する反応性基(メルカプト基、反応性二重結合、アルコキシ基)と反応しない溶媒を選定して使用する。
溶媒の使用量としては、例えば、前記式(4)で表される化合物、及び前記式(5)で表される化合物及び/又は式(6)で表される化合物の総量100質量部に対して、好ましくは0〜1,000質量部の範囲であり、より好ましくは10〜500質量部の範囲であり、更に好ましくは20〜200質量部の範囲である。
本発明の親水化処理基材は、基材を、前記式(1)及び/又は式(2)で表される分子内に硫黄原子及び特定の親水性基を含有するアルコキシシランで表面処理して得られるものである。中でも、特に前記式(1)で表されるアルコキシシランで表面処理して得られる粉体は、表面の親水性が極めて高く、水系溶媒へ分散させる用途等で、より好適に使用できる。
本発明で使用される被表面処理基材としては、特に限定されず、例えば、種々の金属酸化物等の無機材料や、有機高分子化合物等の有機材料が使用できる。また、表面処理層との密着性がより高くなることから、その表面に親水基(例えば、水酸基等)を含む基材を使用することが好ましい。一方、表面に親水基を含まない基材であっても、例えば、基材の表面にケン化処理等の親水化処理を施すことによって、表面上に親水基を付与できる。
なお、本発明は、被表面処理基材として特に粉体を取り扱い、水系溶媒中への分散性に優れる親水化処理粉体を提供することができる。粉体としては、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。
このような粉体の具体例としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素等が挙げられる。
無機粉体としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、デンプン末、ラウロイルリジン末、フェノール樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、セルロース、シルクパウダー等の、例えば水酸基等のSiH結合と反応し得る基を有する粉体、及びジメチルシリコーンが架橋されてなる架橋型シリコーン微粉末、ポリメチルシルセスキオキサンの微粉末等のシリコーン粉体が挙げられる。
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられ、有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体等が挙げられる。
本発明においては、特に、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、マイカ、セリサイト、タルク等の粉体、及び表面処理がなされているこれらの粉体が好適に使用される。ここで、表面処理がなされているこれらの粉体としては、例えば、表面処理剤として、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄、アルギン酸、オルガノシロキサン、又はそれらの併用等により表面処理された表面処理酸化チタンが、好適に使用される。
なお、粉体の表面処理量に関しては、粉体100質量部に対して、前記式(1)及び/又は式(2)で表されるアルコキシシラン0.01〜30質量部を添加して、表面処理することが好ましい。更に好ましくは0.1〜20質量部の範囲で添加される。添加量が、0.01質量部より少ないと最終的に十分に親水化された粉体が得られない場合がある。また、30質量部を超えて添加しても、親水化効果はすでに飽和に達していて増加しない場合がある。
基材の場合の表面処理量は、特に制限はないが、基材上へ単分子層を形成しうる処理量であれば、表面の親水化効果が発揮される。
次に、本発明による親水化処理基材の製造方法について説明する。
製法例1
まず、製法例1として、前記式(1)及び/又は式(2)で表されるアルコキシシランで基材を表面処理する方法を挙げることができる。
具体例として、まず、前記式(1)及び/又は式(2)で表されるアルコキシシラン、溶媒、及び必要に応じて加水分解水(アルコキシ基の加水分解に必要な量の水)を混合し、基材の表面へ接触させる。次に、加熱処理して、溶媒除去、及びアルコキシシラン成分の基材表面への焼き付けを行う。
上記処理において、溶媒除去は、使用する溶媒の沸点近傍で進行する。また、アルコキシシラン成分の基材表面への焼き付け温度は、50〜200℃の範囲が好ましく、80〜150℃の範囲が更に好ましい。50℃未満であると、焼き付け処理効率が悪くなる場合があり、200℃を超えるとポリエーテル基等の有機基が熱分解する可能性がある。また、反応時間は、5分間〜5時間であることが好ましく、1時間〜3時間であることがより好ましい。
上記処理により得られる基材の表面構造を下記に示す。
基材表面に存在するOH基と、アルコキシシラン中に含有するアルコキシ基又はそれが加水分解して生成するシラノール基とが反応して、基材とシラン化合物との間に化学結合が形成される。
<一般式(1)で表わされる化合物(a=3)で表面処理した場合>
Figure 0005910530
(式中、R3〜R6、b、cは上記と同じである。)
<一般式(2)で表わされる化合物(a=3)で表面処理した場合>
Figure 0005910530
(式中、R3、R5〜R7、b、cは上記と同じである。)
製法例2
次に、製法例2として、下記(A),(B)の工程を含むことを特徴とする方法を挙げることができる。
(A)基材を前記式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシランで表面処理する工程
(B)前記(A)工程で得られた表面処理基材の表面に存在するメルカプト基と、前記式(5)及び/又は式(6)で表される化合物の反応性二重結合部を反応させる工程
例えば、被表面処理基材が粉体である場合、具体的に次のような操作を行う。
前記(A)工程は、次の(a1),(a2)の操作を行う。
(a1)前記一般式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシラン、溶媒、被表面処理粉体、及び必要に応じて加水分解水を混合して、スラリーを形成する。
(a2)前記(a1)工程で得られたスラリーを加熱処理し、溶媒除去、及び前記式(4)で表されるアルコキシシランの粉体表面への焼き付けを行う。ここで、上記の操作により得られる塊状物を粉砕して粉体状としておくと、次の作業におけるスラリー化が容易となる。
また、前記(B)工程は、次の(b1),(b2)の操作を行う。
(b1)前記(a2)工程で得られた表面処理粉体、前記式(5)及び/又は式(6)で表される反応性二重結合を含有する化合物、及び溶媒を混合してスラリーを形成する。
(b2)前記(b1)工程で形成したスラリーへ、必要に応じて、重合開始剤又は触媒を混合し、熟成を行って、粉体表面に存在するメルカプト基と、前記式(5)及び/又は式(6)で表される化合物中の反応性二重結合を反応させる。上記で得られたスラリーに含有される溶媒を加熱留去し、得られた塊状物を粉砕して、目的の表面処理粉体を得る。
上記(a1)工程において、前記式(4)で表される化合物の添加量は、被表面処理粉体100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲であることが好ましく、1〜15質量部の範囲であることが更に好ましい。
溶媒は、前記に例示したが、原料中に含有する反応性基(メルカプト基、アルコキシ基)と反応性がなく、また、使用する粉体の分散性が良いものを選定して使用する。スラリー形成温度は、特に限定されず、室温でもよい。
上記(a2)工程において、溶媒除去は、使用する溶媒の沸点近傍で進行する。また、アルコキシシラン成分の粉体表面への焼き付け温度は、50〜200℃の範囲が好ましく、80〜150℃の範囲が更に好ましい。50℃未満であると、焼き付け処理効率が悪くなる場合があり、200℃を超えるとポリエーテル基等の有機基が熱分解する可能性がある。また、反応時間は、5分間〜5時間であることが好ましく、1時間〜3時間であることがより好ましい。
上記(b1)工程において、前記式(5)及び/又は式(6)で表される化合物の添加量は、式(4)で表される化合物の添加量に対して、0.5〜2倍モルであることが好ましく、0.8〜1.2倍モルであることが更に好ましい。0.5倍モル量未満であると、未反応のメルカプト基が残留し、粉体表面の親水化効果が十分に得られない場合があり、2倍モルより多い量の場合は、メルカプト基はおよそ反応を完了しているため、親水化効果は既に飽和に達していて増加しないおそれがある。
また、溶媒は、原料中に含有する反応性基(メルカプト基、反応性二重結合、アルコキシ基)と反応性がなく、粉体の分散性が良いものを選定して使用する。スラリー形成温度は、特に限定されず、室温でもよい。
上記(b2)工程において、重合開始剤、触媒は、前記に例示したものが好適に使用できる。なお、熟成温度は、10〜100℃の範囲が好ましく、50〜80℃の範囲が更に好ましい。10℃未満では反応が進行しにくくなる場合があり、100℃を超えると同じ化合物同士の重合等、副反応が多くなる場合がある。また、反応時間は、30分間〜5時間であることが好ましく、1時間〜3時間であることがより好ましい。
上記(a1),(a2)の操作により得られた粉体の表面構造を下記に示す。
粉体表面に存在する水酸基と、アルコキシシラン中に含有するアルコキシ基又はそれが加水分解して生成するシラノール基とが反応して、粉体とシラン化合物との間に化学結合が形成される。
<一般式(4)で表わされる化合物(a=3)で表面処理した場合>
Figure 0005910530
(式中、R3は上記と同じである。)
前記(b1),(b2)の操作により得られた粉体の表面構造を下記に示す。
上記操作により得られた粉体表面に存在するメルカプト基と、前記式(5)及び/又は式(6)で表される化合物中に存在する反応性二重結合との反応が進行する。これにより、粉体表面への特定の親水性基が導入され、製法例1の場合と同様、目的の表面処理粉体が得られる。
<一般式(5)で表わされる化合物と反応させた場合>
Figure 0005910530
(式中、R3〜R6、b、cは上記と同じである。)
<一般式(6)で表わされる化合物と反応させた場合>
Figure 0005910530
(式中、R3、R5〜R7、b、cは上記と同じである。)
上記製法例1,2のいずれの製造方法を用いた場合においても、上記式に示すように、同様の表面処理がなされた粉体を製造することができる。
なお、製法例2は、粉体表面へアルコール性水酸基を含有する親水性基を反応導入させたい場合等に有効な方法である。分子内に水酸基とアルコキシシリル基の両者を含有するシランを製造する場合、反応の過程において、エステル交換反応等の副反応を起こす場合がある。このような場合、製法例1を選択せずに、製法例2を適用するのが有効となる。
ここで、本発明による親水化処理粉体の親水性について説明する。
前記式(1)及び/又は式(2)で表されるアルコキシシランで表面処理して得られた親水化処理粉体は、硫黄原子を含有しない同様のシラン化合物で処理したものと比較して、親水性が高くなる。
例えば、上記式(1)に相当する下記式(7)で表される硫黄原子を含有する化合物で表面処理して得られた親水化処理粉体と、下記式(8)で表される硫黄原子を含有しない化合物で表面処理して得られた親水化処理粉体とを比較した場合、前者の方が、親水性が高く、水中への分散性及び分散安定性に優れる。
一般に、下記式(8)のようなポリエーテル基を含有するシラン化合物において、ポリエーテル基の含有量(bの値)を増加した場合、シラン化合物自体の親水性は増加する傾向がある。しかし、このシラン化合物で粉体の表面処理を行う場合、ポリエーテル基による立体障害の増大により、アルコキシシリルによる粉体表面の処理効率は低下する傾向がある。一方、下記式(7)のような分子内に硫黄原子を含有するシラン化合物を使用した場合、上記のような表面処理効率の低下を抑えることができる。その理由としては、硫黄原子と粉体表面との間に生じる相互作用により、硫黄原子の近傍に存在するアルコキシシリル基と粉体表面との反応効率が向上するためであると推定する。これにより、得られた表面処理粉体の親水性は高く、水中への分散性及び分散安定性に優れるものと推定される。
Figure 0005910530
(式中、bは、1以上の整数を示す。)
次に、前記式(7)式で表される化合物で表面処理された親水化処理粉体について、製法の違いによる親水性の違いを比較する。
前記製法例1と製法例2では、後者の製法で作製した表面処理粉体の方が、高親水となる。その理由として、後者の場合、まずメルカプト基を含有するアルコキシシランで粉体の表面処理を行うため、処理する際に、アルコキシシリル基と粉体表面の水酸基との反応を阻害する要因となる長鎖ポリエーテル基が存在しない。このため、表面処理効率が高くなる。従って、粉体表面に存在するメルカプト基に、ポリエーテル基を含有する化合物を反応導入して製造される最終的な表面処理粉体は、極めて親水性の高いものとなる。
上記のごとく得られた本発明による親水化処理粉体は、親水性が極めて高く、水系溶媒中での分散性、分散安定性に優れている。このため、親水化処理粉体が、水、水溶性溶剤、水と水溶性溶剤の混合物、又は水と水溶性油剤の混合物等の水系溶媒に分散された組成物は、分散安定性に優れているため、化粧料、皮膚外用剤、塗料、インク等に適用することができる。
ここで、水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ソルビトール、マルトース等の糖アルコール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられ、油剤としては、例えば、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
本発明の組成物は、例えば下記の方法により製造することができる。
まず、上記の方法により、親水化処理粉体を作製する。次に、親水化処理粉体を水やアルコールなどの水系溶媒に添加して、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の分散機器で分散する。
本発明の組成物を化粧料に使用する場合、通常の化粧料に使用される固体、半固体、液状の油剤、水、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、水溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。
ここで、皮膚外用剤としては、化粧水、乳液、クリーム、パック、マッサージ料、リップクリーム、ハンドクリーム、洗浄剤等のスキンケア料、ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメークアップ料等を例示することができる。
また、塗料としては、合成樹脂バインダーとして、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン、バーサチック酸ビニル系樹脂エマルジョン、エチレン系樹脂エマルジョン等を使用することができる。
更に、インクとしては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー等の色を与える公知の色素成分として用いられるもの等を好適に添加することができ、色素成分としては、染料、有機顔料を用いることができ、染料として、具体的には、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー73、アシッドイエロー79、ダイレクトイエロー86等のイエロー染料、アシッドレッド1、アシッドレッド8、アシッドレッド14、アシッドレッド37、アシッドレッド52、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド103、アシッドレッド289、リアクティブレッド4等のマゼンタ染料、アシッドブルー9、アシッドブルー87、アシッドブルー92、リアクティブブルー15、ダイレクトブルー86等のシアン染料、アシッドブラック2、ダイレクトブラック22、ダイレクトブラック154、フードブラック2等のブラック染料等を挙げることができ、また、有機顔料として、具体的には、アニリンブラック、ファーストイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントオレンジ、リゾールレッド、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ブリリアントカーミン6B、カーミン3B、コバルトバイオレット、メチルバイオレットレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、フタロシアニングリーン等を挙げることができる。また、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の保湿剤も添加することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
I.表面処理粉体の製造(製法例1による製造)
下記(A),(B)の操作に従い、酸化チタン粉体の表面親水化処理を行った。
(A)表面処理剤(硫黄原子及びポリエーテル基を含有するアルコキシシラン)の作製
攪拌機、温度計、エステルアダプター及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、下記式(9)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシラン4.2g、下記式(10)で表されるポリエーテル基及びアリル基を含有する化合物12.6g、THF(テトラヒドロフラン)36.5gを仕込んだ後、攪拌を加えながら、PERBUTYL−O[日油株式会社製:t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート]1gを添加して、65℃で2時間の熟成を行った。
Figure 0005910530
上記で生成した液体について、1H−NMR測定を行った。その結果として、4.7〜6.0ppmの範囲において、反応前に存在していた式(10)で表される化合物のアリル基由来ピークが消失していた。
また、上記液体について、THF溶媒下でのGPC(Gel Permeation Chromatography)測定を行った。その結果、保持時間28分間〜33分間の範囲において、生成物ピークを確認した。なお、保持時間36分間〜38分間の範囲において、式(9)で表される化合物由来のピークは、およそ消失していた。
上記の結果より、得られた液体中には、下記式(11)で表される硫黄原子を含有するポリエーテル変性トリメトキシシランが生成していることが推定される。
Figure 0005910530
(B)粉体の表面親水化処理
次に、上記で生成した液体全量に対し、水を7質量%含浸した酸化チタン粉体[石原産業株式会社製TTO−S−3:1次粒子径0.01〜0.02μm(短軸)、0.05〜0.1μm(長軸)、Al(OH)3表面処理品]70g、及びTHF104gを添加、混合し、スラリーを形成した。そして、100℃まで昇温し、THF溶媒の留去、乾燥を行った。ここで、攪拌を止め、更に105℃で3時間の加熱処理を行い、アルコキシシラン成分の粉体表面への焼き付けを行った。最後に、室温まで冷却した後、得られた塊状物を乳鉢で粉砕し、粉体サンプルを得た。
表1に上記の酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、上記粉体サンプル40g、水60g、ジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定により、分散性の評価を行った。表3にその結果を示す。
分散体中における表面処理粉体の粒径は、粒度分布測定機(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により測定し、体積基準メジアン径を平均粒径とした。なお、メジアン径とは粒度分布を累積分布として表した時の累積50%に相当する粒子径である。
分散体の粘度は、毛細管式動粘度計による25℃における測定に基づく。分散直後及び25℃,7日間静置後にそれぞれ粘度測定を行った。
表面処理粉体の平均粒径は、1次粒径のオーダーまで微細化し、分散していた。また、分散体は、極めて低い粘度の流動性液体であり、1週間経過後でも、目立った粘度の増加はみられなかった。
一方、後述する比較例1に示すように、上記のような表面処理を行わず、単純に、未処理の酸化チタン粉体を水中へ分散させた場合、平均粒径は1.567μmと極めて大きく、また増粘により、半固体状となった。
以上のことから、本発明による表面処理酸化チタンの粉体は、高度に表面が親水化されており、水中への微分散が可能で、また極めて良好な分散安定性を示すことが確認された。
[実施例2]
I.表面処理粉体の製造(製法例2による製造)
以下(A),(B)の2工程により、酸化チタン粉体の表面親水化処理を行った。
(A)メルカプト基を含有するアルコキシシランで粉体を表面処理する工程
攪拌機、温度計、エステルアダプター及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、下記式(9)で表されるメルカプト基含有トリメトキシシラン4.2g、及びTHF140gを仕込んだ後、攪拌を加えながら、水を7質量%含浸させた酸化チタン粉体[石原産業株式会社製TTO−S−3:1次粒子径0.01〜0.02μm(短軸)、0.05〜0.1μm(長軸)、Al(OH)3表面処理品]70gを添加、混合し、スラリーを形成した。
Figure 0005910530
次に、100℃まで昇温し、THF溶媒の留去、乾燥を行った。ここで、攪拌を止め、更に105℃で3時間の加熱処理を行い、アルコキシシラン成分の粉体表面への焼き付けを行った。室温まで冷却した後、得られた塊状物を乳鉢で粉砕し、粉体サンプルAを得た。
(B)前記(A)工程で製造した粉体の表面に存在するメルカプト基と、特定の親水性基及び反応性二重結合を含有する化合物を反応させて、粉体表面へ親水性基を導入する工程
下記式(10)で表されるアリルポリエーテル12.6g、及びTHF140gを仕込んだ後、攪拌を加えながら、(A)工程で得られた粉体全量を混合し、スラリーを形成した。
Figure 0005910530
次に、上記に得られたスラリーへ、ラジカル発生剤としてPERBUTYL−O[日油株式会社製:t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート]1gを添加し、65℃で2時間の熟成を行った。上記に得られたスラリーを約100℃まで昇温し、THF留去を行った後、攪拌を止め、更に105℃で3時間の加熱乾燥を行った。そして、室温まで冷却した後、得られた塊状の固体を乳鉢で粉砕し、粉体サンプルBを得た。
表1に上記の酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、上記粉体サンプルB40g、水60g、ジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
表面処理効率
上記に得られた粉体サンプルA及び粉体サンプルBのメルカプト当量を測定した。以下に、その結果を示す。
(メルカプト当量測定結果)
・粉体サンプルA・・・ 3,113g/mol
・粉体サンプルB・・・49,896g/mol
粉体サンプルAのメルカプト当量は、原料の配合量から算出した理論値(3,145g/mol)とほぼ一致した。
なお、粉体サンプルAと粉体サンプルBでのメルカプト当量値の変化量から、粉体表面に存在するメルカプト基の反応率を算出すると94%と高く、上記式(10)で表される親水性基をもつ化合物が、粉体表面へ反応導入された可能性が示唆された。
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
表面処理粉体の平均粒径は、1次粒径のオーダーまで微細化し、分散していた。
また、分散体は、極めて低い粘度の流動性液体であり、1週間経過後でも、目立った粘度の増加はみられなかった。
以上のことから、本発明による表面処理酸化チタンの粉体は、高度に表面が親水化されており、水中への微分散が可能で、また極めて良好な分散安定性を示すことが確認された。
[実施例3]
I.表面処理粉体の製造(製法例2による製造)
実施例2の(B)の工程において、上記式(10)で表されるアリルポリエーテルを下記式(12)で表される化合物へ変更したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。
表1に酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
Figure 0005910530
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、得られた粉体サンプルB40g、水60g、ジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
表面処理粉体の平均粒径は、後述する比較例1に示す未処理の場合と比較して、粒径が微細化していた。また、分散体は、低粘度の流動性液体であり、1週間経過後でも、目立った粘度の増加はみられなかった。
以上のことから、本発明による表面処理酸化チタンの粉体は、表面が親水化されており、水中への微分散が可能で、また良好な分散安定性を示すことが確認された。
[実施例4]
I.表面処理粉体の製造(製法例2による製造)
実施例2の(A)の工程において、粉体の種類を、水を7質量%含浸した酸化チタン粉体[TAYCA CORPORATION社製MT−100SA:平均1次粒径20〜30nm、アルミナ・シリカ処理品]へ変更したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。
表1に酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、得られた粉体サンプルB40g、水60g、ジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
種類の異なる酸化チタン粉体を用いた場合においても、粉体表面の親水化が進み、水中への微分散が可能で、また良好な分散安定性を示すことが確認された。
[比較例1]
I.分散処理
100mlガラス瓶内に、水を7質量%含浸した酸化チタン粉体[石原産業株式会社製TTO−S−3:1次粒子径0.01〜0.02μm(短軸)、0.05〜0.1μm(長軸)、Al(OH)3表面処理品]40g、水60g、ジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
II.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
分散体は、増粘により半固体状となった。また、分散体中における粉体の平均粒径は、実施例と比較して、極めて大きな値となった。
以上のことから、表面処理を行わない粉体の表面は、親水性が低く、水中への分散性、及び分散安定性が低いと推定される。
[比較例2]
I.表面処理粉体の製造
攪拌機、温度計、エステルアダプター及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに、下記式(13)で表される化合物16.0g、及びTHF140gを仕込んだ後、攪拌を加えながら、水7質量%を含浸した酸化チタン粉体[石原産業株式会社製TTO−S−3:1次粒子径0.01〜0.02μm(短軸)、0.05〜0.1μm(長軸)、Al(OH)3表面処理品]70gを添加、混合し、スラリーを形成した。
Figure 0005910530
次に、100℃まで昇温し、THF溶媒の留去、乾燥を行った。ここで、攪拌を止め、更に105℃で3時間の加熱処理を行い、アルコキシシラン成分の粉体表面への焼き付けを行った。室温まで冷却した後、得られた塊状の固体を乳鉢で粉砕し、粉体サンプルを得た。
表2に上記の酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、上記粉体サンプル40g、水60g、及びジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
表面処理粉体の平均粒径は、1次粒径のオーダーまで微細化し、分散していた。
分散体の粘度は、分散直後において、比較的高めであるものの流動を示した。しかし、1週間経過後では、増粘により、半固体状となり、流動性を示さなくなった。
以上のことから、比較例2の表面処理酸化チタンの粉体は、表面が親水化されており、水中への微分散が可能であるが、分散の経時安定性は得られない。
[比較例3]
I.表面処理粉体の製造
比較例2において、前記式(13)で表されるポリエーテル変性トリメトキシシランを、下記式(10)で表されるポリエーテル化合物12.6gへ変更したこと以外は、同様の操作を行った。
Figure 0005910530
表2に上記の酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、得られた粉体サンプル40g、水60g、及びジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
表面処理粉体は、表面が親水化され、水中での微細化が進行した。
分散体の粘度は、分散直後において、比較的高めであるものの流動を示した。しかし、1週間経過後では、増粘により、半固体状となり、流動性を示さなくなった。
以上のことから、比較例3の表面処理酸化チタンの粉体は、表面が親水化されており、水中への微分散が可能であるが、分散の経時安定性は得られない。
[比較例4]
I.表面処理粉体の製造
比較例2において、前記式(13)で表されるポリエーテル変性トリメトキシシラン16.8gを、下記式(9)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシラン4.2gへ変更したこと以外は、同様の操作を行った。
Figure 0005910530
表2に上記の酸化チタン粉体と表面処理剤の配合をまとめる。
II.分散処理
100mlガラス瓶内に、得られた粉体サンプル40g、水60g、及びジルコニアビーズ[粒径0.5mm/粒径1mm=1/1(質量比)]200gを加え、蓋をした後、ペイントシェーカーにて12時間、分散処理を行った。
III.評価
分散性
上記水系分散体中における表面処理粉体の粒径測定、及び分散体の粘度測定を実施例1と同様の方法で行った。表3にその結果を示す。
表面処理粉体は、水中での微細化が全く進行しなかった。また、分散体は、分散直後において、半固体状であり、流動性を示さなかった。
以上のことから、比較例4の表面処理酸化チタンの粉体は、表面の親水化は全く進行していない。
Figure 0005910530
Figure 0005910530
Figure 0005910530
上記の結果から明らかなように、本発明の親水化処理粉体は、水中で良好な分散性、及び良好な分散安定性を示す。特に、実施例1及び2において、表面が高度に親水化された粉体が得られている。前記式(1)で表面処理された基材は、特に表面の親水性が高く、水系溶媒へ分散させる用途等で、より好適に使用できる。

Claims (15)

  1. 基材を、下記一般式(1)で表される分子内に硫黄原子及び親水性基を含有するアルコキシシランで表面処理する親水化処理基材の製造方法であって、
    下記(A),(B)の工程を含むことを特徴とする親水化処理基材の製造方法、
    (A)基材を、下記一般式(4)で表されるメルカプト基を含有するアルコキシシランで表面処理する工程、
    (B)前記(A)工程で得られた表面処理基材の表面に存在するメルカプト基と、下記一般式(5)で表される化合物の反応性二重結合部を反応させる工程。
    Figure 0005910530
    [式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示す。R3は炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示す。R4は炭素原子数3〜10の二価炭化水素基を示す。R5は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を示す。R6は水素原子又はヒドロキシ基を示す。R9は炭素原子数1〜8の二価炭化水素基を示す。aは1〜3の整数を示す。bは、5≦b≦15を満たす整数を示し、cは0以上の整数を示す。]
  2. 3が、−C36−基である請求項1記載の親水化処理基材の製造方法。
  3. 4が、−C36−基である請求項1又は2記載の親水化処理基材の製造方法。
  4. 基材が、粉体である請求項1〜3のいずれか1項記載の親水化処理基材の製造方法。
  5. 粉体が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、マイカ、セリサイト、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄、アルギン酸、オルガノシロキサンの群より選択される1種類以上の表面処理剤で表面処理された酸化チタンである請求項4記載の親水化処理基材の製造方法。
  6. 前記式(1)で表される分子内に硫黄原子及び親水性基を含有するアルコキシシランの表面処理量が、粉体100質量部に対して0.01〜30質量部である請求項4又は5記載の親水化処理基材の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法で得られた親水化処理基材を、水、水溶性溶剤、水と水溶性溶剤の混合物、又は水と水溶性シリコーン化合物の混合物中に分散する水系組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる化粧料の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる皮膚外用剤の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いる塗料の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法で得られた親水化処理基材を用いるインクの製造方法。
  12. 請求項7記載の製造方法で得られた水系組成物を用いる化粧料の製造方法。
  13. 請求項7記載の製造方法で得られた水系組成物を用いる皮膚外用剤の製造方法。
  14. 請求項7記載の製造方法で得られた水系組成物を用いる塗料の製造方法。
  15. 請求項7記載の製造方法で得られた水系組成物を用いるインクの製造方法。
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