JP5907859B2 - リンク機構 - Google Patents

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Description

本発明は、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構に関する。
従来、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた複数の関節機構と、複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構が知られている(特許文献1)。このリンク機構では、可動部が外部の物体と衝突するときに、関節機構の弾性要素の剛性が、所定の剛性となるように制御される。
特開2008−302496号公報
特許文献1に記載されたようなリンク機構では、可動部が物体と衝突したときに当該関節機構が損傷することを防止するために、当該関節機構の弾性要素の剛性を変更することも考えられる。
しかしながら、従来においては、関節機構の損傷を防止するために適切な当該関節機構の弾性要素の剛性の設定範囲について充分に検討されていない。そのため、関節機構の弾性要素の剛性の適切な設定範囲を、試行錯誤をした上で設定するか、又は、充分な余裕がある範囲すなわち過剰に広い範囲に設定する必要があった。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構において、可動部が外部の物体と衝突することにより関節機構が損傷することを防止するために、関節機構の弾性要素の剛性を適切な範囲に設定できるリンク機構を提供することを目的とする。
本発明は、基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構であって、
前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性は、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して設定される第1剛性以上且つ第2剛性以下の範囲で変更可能に構成されており、
前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性は、当該関節機構の前記弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の前記弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーが、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最小値となり、且つ前記アクチュエータによって変位される場合の当該関節機構が実現可能な最大の変位速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合の当該関節機構の運動エネルギー以上となるように設定され、
前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性は、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最大値となり、且つ当該関節機構の変位が開始された時点から、当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間が、前記アクチュエータによって当該関節機構が実現可能な最大加速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合に、当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度を、当該関節機構の最大の変位速度だけ変化させる場合の時間以上となるように設定されていることを特徴とする。
ここで、本発明における弾性要素の弾性変形量とは、弾性要素に動力を伝達する側と該動力が当該弾性要素を介して伝達される側との間の相対的な変位量を意味する。また、関節機構が変位する場合の当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量において、関節機構が回転関節機構の場合には、慣性モーメントであり、直動関節機構の場合には、慣性質量である。
また、関節機構が変位する場合における当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量は、1つ又は複数の関節機構の各々の変位(以下、「リンク機構の姿勢」という)に応じて変化する。当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量の最大値又は最小値は、リンク機構で実現可能な姿勢の範囲内で取り得る最大値又は最小値である。
本願発明者の各種検討によれば、可動部が外部の物体に衝突する場合、各関節機構が損傷することを防止するためには、次の2つの条件を満たすように、各関節機構の弾性要素の剛性を制御できることが必要である。
(条件1)
1つ又は複数の関節機構の各々において、可動部が物体に衝突することに起因する当該関節機構の変位による運動エネルギー(以下、「衝突運動エネルギー」という)を、当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーに全て変換できるという条件。
(条件2)
1つ又は複数の関節機構の各々において、可動部が物体に衝突することに起因する当該関節機構の変位が開始された時点から、当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始されるまでの時間、換言すると、当該衝撃を当該関節機構の弾性要素が吸収している時間(以下、「第1時間」という)が、前記アクチュエータによって当該関節機構が実現可能な最大加速度で当該関節機構を変位する場合に、当該関節機構の変位速度を、当該衝突による当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化できる時間(以下、「第2時間」という)以上であるという条件。
1つ又は複数の関節機構の各々において、上記2つの条件が満たされている場合には、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構への衝撃が、当該関節機構の弾性要素によって吸収されると共に(条件1による効果)、当該衝撃を当該関節機構の弾性要素が吸収している間に、当該関節機構の変位速度を、当該衝突による当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度だけ変化させることが可能となり、当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによって、当該関節機構が強制的に変位されてしまうことを防止できる(条件2による効果)。上記2つの条件が満たされることで、上記効果が得られるので、可動部が物体と衝突することによる当該関節機構の損傷を防止できる。
本発明においては、上記条件1及び条件2を満たすために、以下に示される構成が採用される。
まず、上記条件1を満たすために、次の構成が採用される。すなわち、1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーが、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最小値となり、且つアクチュエータによって変位される場合の当該関節機構が実現可能な最大の変位速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合の当該関節機構の運動エネルギー(以下、「関節最小慣性衝突運動エネルギー」という)以上となるように、第1剛性が設定されている。
衝突運動エネルギーは、当該関節機構が変位する場合における当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が大きくなる程大きくなる。関節最小慣性衝突運動エネルギーは、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最小値である場合における衝突運動エネルギーである。従って、当該関節機構の弾性要素の剛性及び当該関節機構の変位速度が一定という条件下において、関節最小慣性衝突運動エネルギーは、衝突運動エネルギーが取り得る値のなかの最小値となる。
当該関節機構の弾性要素の剛性が第1剛性以上に設定されることにより、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得るいずれの値であっても、及び当該関節機構の変位速度を変化させる量が当該関節機構を変化させるときに取り得るいずれの値であっても、条件1を満たすように、当該関節機構の弾性要素の剛性を設定できる。
また、上記条件2を満たすために、次の構成が採用される。すなわち、1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最大値となり、且つ当該関節機構の変位が開始された時点から、当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間(以下、「第3時間」という)が、前記アクチュエータによって当該関節機構が実現可能な最大加速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合に、当該関節機構の変位速度を、当該関節機構の最大の変位速度だけ変化させる場合の時間(以下、「第4時間」という)以上となるように、第2剛性が設定されている。
ここで、第1時間は、当該関節機構の弾性要素の剛性が一定という条件下において、当該関節機構が変位する場合の当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が大きい程大きくなる。第3時間は、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最大値である場合における第1時間である。従って、当該関節機構の弾性要素の剛性が一定という条件下において、第3時間は、第1時間が取り得る長さのなかの最大長となる。
また、第2時間は、当該関節機構の弾性要素の剛性が一定という条件下において、当該関節機構の変位速度を、変化させる量が大きい程大きくなる。第4時間は、当該関節機構の変位速度を、当該関節機構の最大の変位速度だけ変化させる場合における第2時間である。従って、当該関節機構の弾性要素の剛性が一定という条件下において、第4時間は、第2時間が取り得る長さのなかの最大長となる。
このように、第1時間の最大長である第3時間が、第2時間の最大長である第4時間以上となるように、第2剛性が設定されているので、当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得るいずれの値であっても、及び当該関節機構の変位速度を変化させる量が当該関節機構を変化させるときに取り得るいずれの値であっても、当該関節機構の弾性要素の剛性を、第1時間が第2時間以上となるような(条件2を満たすような)剛性に設定することができる。
以上のように、1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得るいずれの値であっても、及び当該関節機構の変位速度を変化させる量が当該関節機構を変化させるときに取り得るいずれの値であっても、条件1及び条件2を満たすように、当該関節機構の弾性要素の剛性を設定できるので、可動部が外部の物体と衝突することにより当該関節機構が損傷することを防止するために、当該関節機構の弾性要素の剛性を適切な範囲に設定できる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性は、次式(1)に従って得られる剛性以上に設定されていることが好ましい。
但し、I_min_iは、前記第i関節機構が変位する場合に当該第i関節機構が取り得る当該第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量の最小値を示し、ω_max_iは、前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大の変位速度を示し、x_lim_iは、前記第i関節機構の前記弾性要素の最大変形量を示す。
ここで、第i関節機構の弾性要素の剛性をk_iと定義したとき、式(1)は、次式(1−1)を満たすk_iである。
式(1−1)において、左辺は、第i関節機構が変位する場合に当該第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該第i関節機構の取り得る最小値のときに、可動部が物体と衝突する場合における第i関節機構の運動エネルギー(すなわち、関節最小慣性衝突運動エネルギー)を示す。また、右辺は、第i関節機構の弾性要素の剛性がk_iのときにおいて、第i関節機構の弾性要素の弾性変形量が、当該第i関節機構の弾性要素の最大変形量の場合における当該第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギーを示す。
従って、第i関節機構が変位する場合に第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が第i関節機構の取り得るいずれの値であっても、及び第i関節機構の変位速度を変化させる量が第i関節機構を変化させるときに取り得るいずれの値であっても、前述した条件1を満たすように、第i関節機構の弾性要素の剛性を設定できる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性は、次式(2)に従って得られる剛性以下に設定されていることが好ましい。
但し、I_max_iは、前記第i関節機構が変位する場合に当該第i関節機構が取り得る当該第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量の最大値を示し、πは、円周率を示し、A_max_iは、前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大加速度を示し、ω_max_iは、前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大の変位速度を示す。
ここで、第i関節機構の弾性要素の剛性をk_iと定義したとき、式(2)は、次式(2−1)を満たすk_iである。
式(2−1)において、左辺は、第i関節機構の状態が、第i関節機構が変位する場合に第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が第i関節機構の取り得る最大値となる状態、且つ第i関節機構の弾性要素の剛性がk_iの場合において、第i関節機構の弾性要素の固有振動数の逆数が表す周期の4分の1周期を示す。詳細には、左辺は、可動部が物体と衝突することによる第i関節機構の変位が開始された時点から、当該衝突による第i関節機構の変位によって蓄積された第i関節機構の弾性要素の弾性エネルギーによる第i関節機構の変位が開始される時点までの時間を示す。
また、右辺は、第i関節機構で実現可能な最大加速度で、アクチュエータにより第i関節機構を変位させるときに、第i関節機構の変位速度を、第i関節機構をアクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大の変位速度だけ変化させるときの時間(第i関節機構で実現可能な最短時間)を示す。
左辺で示される時間は、第i関節機構の弾性要素の剛性が小さい程長くなるので、第2剛性が、式(2)によって得られる剛性以下に設定されることで、第i関節機構が変位する場合に第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が第i関節機構の取り得るいずれの値であっても、及び第i関節機構の変位速度を変化させる量が第i関節機構を変化させるときに取り得るいずれの値であっても、前述した条件2を満たすように、第i関節機構の弾性要素の剛性を設定できる。
本発明において、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、前記弾性要素及び、粘性係数を可変的に制御可能に構成された粘性要素を介して動力伝達を行うように構成され、前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の粘性係数は、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して設定される第1粘性係数以上且つ第2粘性係数以下の範囲で変更可能に構成されており、前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の前記第1粘性係数は、当該関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第1剛性と等しいと仮定した場合に、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定され、前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の前記第2粘性係数は、当該関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第2剛性と等しいと仮定した場合に、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定されていることが好ましい。
これにより、1つ又は複数の関節機構の弾性要素の剛性が、第1剛性以上且つ第2剛性以下の範囲のいずれの剛性に変更された場合であっても、当該変更された剛性に対して、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となる粘性係数が、第1粘性係数以上且つ第2粘性係数以下の範囲に含まれる。
従って、1つ又は複数の関節機構の各々の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となるように、各関節機構の粘性要素の粘性係数を変更することが可能となり、各関節機構の挙動特性が減衰振動の特性となることが防止される。そして、各関節機構の減衰振動に応じた可動部の振動の発生が防止され、各関節機構の弾性要素の弾性による可動部と物体との衝突が生じることが防止される。これにより、可動部が物体と衝突することによる各関節機構の損傷を防止できる。
本発明の実施形態のリンク機構を示す図。 図1のリンク機構の関節機構を示す図。 図2の関節機構の伝達機構を示す図。 図3の伝達機構の特性可変機構を示す図。 図4のV−V線断面図。
(1.構成)
(1−1.リンク機構)
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態のリンク機構について説明する。図1に示されるように、リンク機構1は、基体2と、先端部3と、複数の関節機構Ji(i=1,2,...,N)と、複数のリンク部材Li(i=0,1,...,N)と、アクチュエータ4(図2参照)とを備える。
複数の関節機構Jiの「i」は、基体2から先端部3に向かって1から数えたときの順番を表している。なお、関節機構の順番がi番目であることを明示的に指定する場合には、第i関節機構と表す。例えば、j番目の関節機構を「第j関節機構Jj」と表す場合がある。また、複数のリンク部材Liの「i」は、基体2から先端部3に向かって0から数えたときの順番を表している。なお、リンク部材の順番がi番目であることを明示的に指定する場合には、第iリンク部材と表す。例えば、j番目のリンク部材を「第jリンク部材Lj」と表す場合がある。
基体2は、床面上等の所定の位置に固定されている。なお、基体2は、動力装置等を備え、該動力装置の駆動力によって、その位置及び姿勢を変更可能に構成されていてもよい。先端部3は、当該リンク機構1におけるエンドエフェクタとして機能する。先端部3は、複数の関節機構Jiを介して連結されている複数のリンク部材Liによって基体2に連結されている。
複数の関節機構Ji(i=1,...,N)の各々には、2つのリンク部材Li-1,Liが連結されている。
また、複数の関節機構Jiの各々は、当該関節機構Jiに連結されている2つのリンク部材Li-1,Liの相対的な位置及び姿勢を変化させるように構成されている。
なお、本実施形態では、全ての関節機構Jiが回転関節機構として構成されている。このため、以降の説明では、所定の関節機構Jiに連結された2つのリンク部材Li-1,Liの相対的な位置及び姿勢を、関節角度ψ_iということもある。なお、本実施形態における「関節角度ψ_iが変化する」ことが、本発明における「関節機構が変位する」ことに相当する。
なお、本実施形態では、全ての関節機構Jiが回転関節機構として構成されているが、各関節機構Jiは、回転関節機構及び直動関節機構のいずれで構成されていてもよい。また、関節機構Jiの数は任意の数でよい。
アクチュエータ4は、複数の関節機構Jiの各々に設けられており、各関節機構Jiを変位させる駆動力を出力する。
(1−2.関節機構)
(1−2−1.関節機構の構成)
次に、複数の関節機構Jiの詳細について図2〜図5を参照して説明する。なお、本実施形態において、各関節機構Jiは、全て同じ構成の回転関節機構である。
図2に示すように、関節機構Jiは、ワイヤ11と、駆動プーリ12aと、被動プーリ12bと、これらのプーリ12a,12bの間に弾性力と粘性力とを発生させる伝達機構8とを備える。
また、駆動プーリ12aには、アクチュエータ4のアクチュエータ出力軸4aに連結された減速機7が連結されている。そして、駆動プーリ12aは、アクチュエータ4から減速機7を介して付与される回転駆動力(トルク)によって、アクチュエータ出力軸4aの回転に連動して回転するようになっている。
なお、減速機7は、任意の構造のものでよく、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)若しくは複数のギヤにより構成される減速機を採用することができる。あるいは、減速機7は、直動を回転運動に変換する機構を備えるものであってもよい。その場合には、アクチュエータとして、例えば、電動モータ及びボールネジにより構成される直動アクチュエータや、電動式のリニアモータ等を採用してもよい。
また、第i関節機構Jiにおいて、第iリンク部材Liは、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bを回転自在に支持している(図示省略)。また、第i関節機構Jiにおいて、被動プーリ12bに第i-1リンク部材Li-1が固定されている。
被動プーリ12bは、その回転軸心が駆動プーリ12aの回転軸心と平行になるようにして、該駆動プーリ12aの側方に並設されている。
伝達機構8は、両プーリ12a,12b間の剛性及び粘性を変更するための特性可変機構10と、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間に架け渡されたワイヤ11とを備える。
ワイヤ11は、図3に示すように、両プーリ12a,12bの間で延在する二条の張設部分11a,11bを有し、該張設部分11a,11b以外の部分が両プーリ12a,12bの外周のうちの内端側の部分(駆動プーリ12aの外周のうちの被動プーリ12bに臨む部分、及び被動プーリ12bの外周のうちの駆動プーリ12aに臨む部分)を除く箇所に滑らないように巻き掛けられている。なお、ワイヤ11は、多少の伸縮性を有する。
特性可変機構10は、例えば図3〜図5に示すように構成されている。すなわち、特性可変機構10は、両端部にローラ13a,13bが回転自在に枢着された回転バー14を備えている。この回転バー14は、その中央部に固定された回転軸15の軸心まわりに該回転軸15と一体に回転可能とされている。回転軸15は、駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間の位置で、両プーリ12a,12bの回転軸心と平行な姿勢で配置されている。
回転バー14の両端部のローラ13a,13bは、各々の回転軸心が駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの回転軸心と平行な方向に向けられている。
そして、ローラ13a,13bのうちの一方のローラ13aの内端側(他方のローラ13bに臨む側)の外周部が、ワイヤ11の二条の張設部分11a,11bのうちの一方の張設部分11aに圧接され、他方のローラ13bの内端側(一方のローラ13aに臨む側)の外周部が、ワイヤ11の他方の張設部分11bに圧接されている。この場合、ワイヤ11の張設部分11a,11bの各々は、ローラ13a,13bの圧接箇所で湾曲されている。
特性可変機構10は、更に、回転バー14に回転軸15を介して連結されて該回転バー14と一体に回転可能に設けられたギヤ(平歯車)16と、このギヤ16に噛合されたスプリングウォーム17と、このスプリングウォーム17を回転駆動する電動モータ18と、粘性オイルが内部に封入されたシリンダ19とを備えている。
スプリングウォーム17は、ウォームギヤとして機能可能にコイルスプリング状に形成されたばね部材であり、電動モータ18の回転駆動軸18aに外挿されている。そして、スプリングウォーム17の電動モータ18の本体寄りの一端は、回転駆動軸18aに固定されたバネ座部材20aに固定されている。従って、スプリングウォーム17は、電動モータ18の回転駆動軸18aと一体に回転し、このスプリングウォーム17の回転に伴い、ギヤ16が回転するようになっている。
シリンダ19は、スプリングウォーム17の他端側で回転駆動軸18aと同軸心に配置された筒部21を有する。この筒部21の内部を電動モータ18の回転駆動軸18aが貫通し、該筒部21が、回転駆動軸18aに沿って、その軸心方向に摺動可能とされている。そして、筒部21のスプリングウォーム17側の端面に固定されたバネ座部材20bにスプリングウォーム17の他端が固定されている。従って、スプリングウォーム17の伸縮に伴い、シリンダ19の筒部21が電動モータ18の回転駆動軸18aの軸心方向に摺動するようになっている。
また、筒部21の内部には、回転駆動軸18aに固定されたピストン22が設けられており、このピストン22の外周面が筒部21の内周面に摺接されている。
そして、筒部21の内部でピストン22により画成された2つの油室23a,23bに粘性オイルが封入されている。これらの油室23a,23bは、オリフィス部24を有する連通管25により連通されている。この場合、オリフィス部24は、図示しない弁機構等により開口面積を変化させることが可能となっている。
(1−2−2.関節機構の動作)
以上の構成の関節機構Jiの動作を説明しておく。電動モータ18により、スプリングウォーム17を回転駆動することで、該スプリングウォーム17に噛合されたギヤ16を介して回転バー14が回転する。従って、電動モータ18のサーボ制御によって、回転バー14の回転角度(位相角)を制御することができる。ここで、以降の説明では、回転バー14の位相角を、図3に示すように、回転バー14の延在方向(ローラ13a,13bの間隔方向)が駆動プーリ12a及び被動プーリ12bの間隔方向と直交する状態からの該回転バー14の回転角度φとして定義する。
両プーリ12a,12b間の動力伝達(回転駆動力の伝達)を行っていない状態で、回転バー14の位相角φをある既定の角度値(例えば図3のφ0)に制御し、その状態で電動モータ18の回転駆動軸18aの回転(ひいては、スプリングウォーム17の回転)を停止させた状態(以降、この状態を基準状態という)を想定する。
この基準状態において、前記アクチュエータ4から駆動プーリ12aに回転駆動力(トルク)を付与すると、ワイヤ11の張設部分11a,11bの一方に、当該回転駆動力に比例した張力が発生し、その張力を介して、駆動プーリ12aから被動プーリ12bに回転駆動力が伝達される。
同時に、ワイヤ11の張設部分11a,11bの一方に発生する上記張力に起因して、ローラ13a,13bのうちの該張設部分11a又は11bに接触するローラ13a又は13bに、両プーリ12a,12bの間隔方向とほぼ直交する方向の並進力が作用する。
例えば、図3に示すように、駆動プーリ12aに反時計まわり方向のトルクτdを付与すると、ワイヤ11の張設部分11aにトルクτdに比例する張力Te(=τd/駆動プーリ12aの有効回転半径)が発生し、この張力Teによってローラ13aに並進力Fが作用する。なお、この並進力Fの大きさは、トルクτdにほぼ比例する。また、図3中の張力Teは、ローラ13aに対して作用する張力を示している。
基準状態での回転バー14の位相角がゼロでない場合(例えば図3に示す状況)では、ローラ13a又は13bに作用する上記並進力(以降、これをFと表記する)に起因して、回転バー14に回転駆動力(トルク)が作用することとなる。これにより、駆動プーリ12aが被動プーリ12bに対して相対回転すると共に、回転バー14が回転する。ひいては、前記スプリングウォーム17に噛合しているギヤ16が回転バー14と一体に回転する。
この場合、ローラ13a又は13bに作用する上記並進力Fに起因して回転バー14に作用するトルク(以降、τaと表記する)は、上記並進力Fに対して、次式(122−1)の関係を有する。なお、図3に示す如く、φ0は、基準状態での回転バー14の位相角φの値、Raは、回転軸15の軸心まわりでのローラ13a,13bの軸心部の回転半径である。
τa=F・sin(φ0)・Ra …(122−1)
このように回転バー14にトルクτaが作用している状況で、スプリングウォーム17は回転しないので、ギヤ16の回転によってスプリングウォーム17の一部(詳しくは、ギヤ16の噛合部分と前記電動モータ18側のバネ座部材20aとの間の部分)が伸長又は短縮され、その伸縮量に応じた弾性力をスプリングウォーム17が発生する。
この場合、スプリングウォーム17の基準状態からの伸縮量、ひいては、回転バー14の基準状態からの回転量(位相角の変化量)は、該スプリングウォーム17の弾性力(並進力)によってギヤ16に作用するトルクと、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する上記並進力Fに起因して回転バー14に作用するトルク(=ギヤ16に作用するトルク)とが釣り合う状態で平衡する。この平衡状態で、駆動プーリ12aに付与されるトルクτdが伝達機構8を介して被動プーリ12bに伝達されることとなる。
上記平衡状態での回転バー14の基準状態からの回転量をΔφ[rad]、ギヤ16の回転半径をRb、スプリングウォーム17の剛性(スプリングウォーム17の伸縮量の単位変化量あたりに発生する弾性力の変化量)をk_sp_wとおくと、上記平衡状態でのスプリングウォーム17の弾性力によってギヤ16に作用するトルク(以降、これをτbと表記する)は、次式(122−2)により与えられる。
τb=k_sp_w・sin(Δφ)・Rb≒k_sp_w・Δφ・Rb …(122−2)
この式(122−2)と前記式(122−1)とから、上記平衡状態における並進力Fと、回転バー14の基準状態からの回転量Δφとの関係は、次式(122−3)により与えられる。
F=(k_sp_w・Rb/(sin(φ0)・Ra))・Δφ …(122−3)
従って、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する並進力Fは、回転バー14の基準状態からの回転量Δφに比例するものとなる。
ここで、ワイヤ11の張力によってローラ13a又は13bに作用する並進力Fは、駆動プーリ12aに付与されるトルク(ひいては被動プーリ12bに伝達されるトルク)が大きいほど、大きくなる。また、被動プーリ12bに対する駆動プーリ12aの相対回転量(基準状態からの相対回転量)は、上記平衡状態での回転バー14の基準状態からの回転量が大きいほど、大きくなる。
従って、両プーリ12a,12b間の相対回転量が一定に維持される定常状態で、駆動プーリ12aから被動プーリ12bに伝達されるトルク(被動プーリ12bに付与されるトルク)をτspと表記し、両プーリ12a,12b間の相対回転量をΔθと表記すると、τspとΔθとの間には、近似的に次式(122−4)の比例関係が成立する。
τsp=k・Δθ …(122−4)
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの動力伝達を行うバネ部材として機能する。そして、上記トルクτspは、伝達機構8によって両プーリ12a,12b間に発生する弾性力によって伝達されるトルク(以下、「弾性力トルク」という)τspに相当する。この場合、式(122−4)におけるkは、両プーリ12a,12b間の相対回転量Δθの変化に対する弾性力トルクτspの変化の比率である。
このkは、両プーリ12a,12b間の剛性を示しており、kの値が大きいほど、両プーリ12a,12b間の剛性が高い(両プーリ12a,12b間の回転量の差が発生しにくくなる)ことを意味する。伝達機構8の剛性kの値は、基本的には、基準状態での回転バー14の位相角φ0に応じたものとなり、φ0が大きいほど、剛性kの値が小さくなる。
CPU等で構成された制御装置(図示省略)が、伝達機構8の剛性k_iを所望の剛性(目標剛性)となるように制御するためには、例えば、以下のようにする。まず、制御装置のメモリ等の記憶装置に、基準状態での回転バー14の位相角φ0と剛性kとを対応づけたテーブルを記憶保持しておく。そして、制御装置は、該記憶保持されたテーブルに従って、目標剛性に対する基準状態での回転バー14の位相角φ0を取得して、回転バー14の位相角φ0が該位相角φ0となるように電動モータ18を制御する。これにより、伝達機構8の剛性k_iが目標剛性となるように制御される。
ここで、電動モータ18、スプリングウォーム17、ギヤ16、回転バー14、及びワイヤ11をまとめて弾性要素5という。また、両プーリ12a,12b間の剛性kのことを、弾性要素5の剛性kという。また、両プーリ12a,12b間の相対回転量Δθが、弾性要素5の弾性変位量となる(すなわち、本発明における弾性要素の弾性変形量に相当する)。
また、本実施形態の伝達機構8では、回転バー14が基準状態から回転するとき、スプリングウォーム17の伸縮に伴い、シリンダ19の筒部21がピストン22に対して相対的に摺動する。
このとき、油室23a,23b間で、オリフィス部24を有する連通管25を介して粘性オイルが流通することで、筒部21の摺動に対する抵抗力となる粘性力が発生する。これにより、回転バー14の基準状態からの回転、ひいては、被動プーリ12bに対する駆動プーリ12aの相対回転に対する抵抗力となる粘性力が、両プーリ12a,12b間で発生することとなる。そして、この粘性力は、オリフィス部24の開口面積を変化させることで、変化することとなる。
この場合、オリフィス部24の開口面積を一定に維持した場合にシリンダ19で発生する粘性力は、ピストン22に対する筒部21の移動速度、ひいては、スプリングウォーム17の伸縮速度に比例する。そして、スプリングウォーム17の伸縮速度は、回転バー14の回転速度にほぼ比例する。
また、両プーリ12a,12b間の相対回転量の時間的変化率、すなわち、両プーリ12a,12b間の相対回転速度(両プーリ12a,12bの各々の回転角速度の差)は、回転バー14の回転速度に応じたものとなり、回転バー14の回転速度が大きいほど、両プーリ12a,12b間の相対回転速度が大きいものとなる。
従って、両プーリ12a,12b間の相対回転速度をΔω_pulley[rad/s]と表記し、両プーリ12a,12b間の粘性力によって被動プーリ12bに付与されるトルク(以降、粘性トルクという)をτdpと表記すると、Δω_pulleyとτdpとの間には、近似的に次式(122−5)の関係が成立する。
τdp=C・Δω_pulley …(122−5)
よって、伝達機構8は、駆動プーリ12aと被動プーリ12bとの間に粘性力を発生する機能も有する。この場合、式(122−5)におけるCは、両プーリ12a,12b間の相対回転速度Δω_pulleyの変化に対する粘性トルクτdpの変化の比率であり、以降、粘性係数Cという。
この粘性係数Cは、両プーリ12a,12b間の粘性の度合を示しており、Cの値が大きいほど、両プーリ12a,12b間の粘性が高い(両プーリ12a,12b間に発生する粘性力が大きくなりやすい)ことを意味する。そして、伝達機構8の粘性係数Cの値は、基本的には、オリフィス部24の開口面積に応じたものとなり、該開口面積が大きいほど、Cの値が小さくなる。
CPU等で構成された制御装置(図示省略)が、伝達機構8の粘性係数C_iを所望の粘性係数(目標粘性係数)となるように制御するためには、例えば、以下のようにする。まず、制御装置のメモリ等の記憶装置に、オリフィス部24の開口面積と粘性係数Cとを対応づけたテーブルを記憶保持しておく。そして、制御装置は、該記憶保持されたテーブルに従って、目標粘性係数に対するオリフィス部24の開口面積を取得して、オリフィス部24の開口面積が該取得された開口面積となるように制御する。これにより、伝達機構8の粘性係数C_iが目標粘性係数となるように制御される。
以降、シリンダ19及びオリフィス部24を、まとめて粘性要素6という。また、両プーリ12a,12b間の粘性係数Cのことを、粘性要素6の粘性係数Cという。
(2.特性可変範囲)
以降の説明においては、第i関節機構Ji(但し、iは基体2から先端部3に向かって数えたときの関節機構の順番を表す)に関する符号を明示的に表す場合には、符号の末尾に「_i」を付与する。
また、本実施形態において、特にことわりの無い限り、基体2に対して固定された座標系(以下、「基体座標系」という)を用いている。基体座標系におけるx軸,y軸,z軸に関連する値を明示的に表す場合には、符号の末尾に「_x」、「_y」、「_z」を付与する。
また、物体Objに衝突するリンク部材を衝突リンク部材Lcollと定義する。また、基体2と衝突リンク部材Lcollとの間にある1つ又は複数の関節機構Jiを、対象関節機構Jiと定義する。
なお、本実施形態における衝突リンク部材Lcollは、本発明における可動部に相当する。また、基体2との間に1つ又は複数の関節機構Jiを有するリンク部材Li(i=1,2,...,N)のいずれもが、物体Objと衝突する可能性があるので、これらのリンク部材Li(i=1,2,...,N)のいずれもが、本発明における可動部となり得る。
(2−1.剛性可変範囲)
本願発明者の各種検討によれば、衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突する場合、全関節機構Jiが損傷することを防止するためには、次の2つの条件を満たすように、各対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを制御できることが必要である。
(条件1)
各対象関節機構Jiにおいて、衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突することに起因する当該対象関節機構Jiの変位による運動エネルギー(以下、「衝突運動エネルギー」という)を、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに全て変換できるという条件。
(条件2)
各対象関節機構Jiにおいて、第1時間が、第2時間以上であるという条件。
ここで、第1時間とは、「衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突することに起因する当該対象関節機構Jiの変位が開始された時点」から、「当該対象関節機構Jiの変位によって蓄積された当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる当該対象関節機構Jiの変位が開始されるまで」の時間である。換言すると、第1時間とは、衝突運動エネルギーを当該対象関節機構Jiの弾性要素5が吸収している時間である。
また、第2時間とは、アクチュエータ4によって当該対象関節機構Jiが実現可能な最大加速度A_max_iで当該対象関節機構Jiを変位する場合に、当該対象関節機構Jiの関節変位の速度(以下、「関節変位速度」という)ω_iを、衝突リンク部材Lcollが物体Objに衝突することによる当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの向きを反転させた速度だけ変化させるために必要な時間である。
ここで、相対的関節変位速度Δω_iとは、物体Objと衝突リンク部材Lcollが、当該物体Objと衝突することによって生じる、各対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iの変化量を表す。本実施形態では、関節機構Jiが回転関節機構であるので関節変位速度ω_iは角速度である。
各対象関節機構Jiにおいて、上記2つの条件が満たされている場合には、次の2つの効果が得られる。これにより、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる各対象関節機構Jiの損傷を防止できる。
(効果1:条件1による効果)
各対象関節機構Jiにおいて、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる当該対象関節機構Jiへの衝撃を、当該対象関節機構Jiの弾性要素5によって吸収できるという効果。
(効果2:条件2による効果)
各対象関節機構Jiにおいて、衝突運動エネルギーを当該対象関節機構Jiの弾性要素5が吸収している間に、当該対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、当該衝突による当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの向きを反転させた速度だけ変化させることが可能となり、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによって、当該対象関節機構Jiが強制的に変位されてしまうことを防止できるという効果。
例えば、CPU等を備える制御装置(図示省略)は、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することを検知したとき、当該衝突により各対象関節機構Jiが損傷することを防止するために、上記の条件1及び条件2を満たすように、各対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを制御する。このため、各対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iの変更範囲(以下、当該範囲の最小値を第1剛性k1_iといい、最大値を第2剛性k2_iという)は、上記の条件1及び条件2を満たすように設定されている。以下、この弾性要素5の剛性k_iの変更範囲の設定方法について説明する。
(2−1−1.第1剛性)
条件1を満たすために、各対象関節機構Jiにおいて、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の第1剛性k1_iは、関節最大弾性エネルギーが、関節最小慣性衝突運動エネルギー以上となるように設定される。
ここで、関節最大弾性エネルギーは、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性変位量Δθ_iが当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の最大変位量Δθ_lim_iである場合における当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーである。
また、関節最小慣性衝突運動エネルギーは、当該第i対象関節機構Jiが変位する場合の当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが、当該第i対象関節機構Jiの取り得る最小値(以下、当該第i対象関節機構Jiにおいて、この最小値を「第i最小慣性モーメント」という)I_min_iとなり、且つアクチュエータ4によって変位される場合の当該第i対象関節機構Jiが実現可能な最大の変位速度ω_max_iで当該第i対象関節機構Jiが変位すると仮定した場合の当該第i対象関節機構Jiの運動エネルギーである。
ここで、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiが変位する場合の慣性モーメントI_t_iは、例えば、各関節機構Jiの関節角度ψ_iに応じて求められる各リンク部材Liの位置及び姿勢から次式(211−1)に従って求められる。
但し、「×」という記号は、外積を表す。また、I_kは、基体座標系における、第k関節機構Jkのみに着目したときの当該第k関節機構Jkを回転させるときの慣性テンソルである。また、rgc_k(=(rgc_k_x, rgc_k_y, rgc_k_z))は、第kリンク部材Lkの重心位置を示す位置ベクトルであり、r_i(=(r_i_x, r_i_y, r_i_z))は、第i対象関節機構Jiの回転中心の位置を示す位置ベクトルである。m_kは、第kリンク部材Lkの質量である。また、a_i(=(a_i_x, a_i_y, a_i_z))は、第i対象関節機構Jiの回転方向を表す回転軸ベクトルである。a_iは、第i対象関節機構Jiの回転軸を示すように適宜設定される。
式(211−1)の「||I_k・a_i||」は、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にあるリンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)の各々において、当該リンク部材Lkが、第i対象関節機構Jiの回転中心軸線と平行で、且つ当該リンク部材Lkの重心を通る軸を中心に回転するときの慣性モーメント(以下、「第1慣性モーメント」という)である。従って、式(211−1)のI_Aは、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にある各リンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)における第1慣性モーメントの総和である。
また、式(211−1)の「||a_i × (rgc_k - r_i)||2・m_k」は、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にあるリンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)の各々において、当該リンク部材Liを第i対象関節機構Jiの回転軸周りに回転させるときの慣性モーメント(以下、「第2慣性モーメント」という)である。従って、式(211−1)のI_Bは、第i対象関節機構Jiと先端部3との間にある各リンク部材Lk(k=i,i+1,...,N-1,N)における第2慣性モーメントの総和である。
なお、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiが変位する場合の慣性モーメントI_t_iは、式(211−1)に従って算出されるものに限らず、他の演算式等によって算出されてもよい。
なお、rgc_kは、第1関節機構J1〜第k−1関節機構Jk−1の各々の関節角度ψに応じて変化する。また、r_i及びa_iは、第1関節機構J1〜第i−1関節機構Ji−1の各々の関節角度ψに応じて変化する。また、I_k及びm_kは、リンク機構1の構造が決定した段階で一意に決定される。以上より、慣性モーメントI_t_iは、各関節機構Jiの関節角度ψ_iに応じて変化することが分かる。
そこで、第i対象関節機構Jiが変位するときの第i最小慣性モーメントI_min_iは、「各関節機構Jiが取り得る関節角度ψ_i」の予め想定される全ての組み合わせの各々における当該第i対象関節機構Jiが変位するときの慣性モーメントI_t_iのうち、最も小さな慣性モーメントI_t_iとして決定される。
関節最小慣性衝突運動エネルギーは、第i対象関節機構Jiが変位する場合における当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが大きくなる程大きくなる。関節最小慣性衝突運動エネルギーは、第i対象関節機構Jiが変位する場合の当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが第i最小慣性モーメントI_min_iである場合における衝突運動エネルギーである。従って、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_i及び当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iが一定という条件下において、関節最小慣性衝突運動エネルギーは、衝突運動エネルギーが取り得る値のなかの最小値となる。
第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが第1剛性k1_i以上に設定されることにより、当該第i対象関節機構Jiが変位する場合に当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントが当該第i対象関節機構Jiの取り得るいずれの値であっても、及び当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを変化させる量が当該第i対象関節機構Jiを変化させるときに取り得るいずれの値であっても、条件1を満たすように(衝突運動エネルギーを、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーに全て変換できるように)、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを設定できる。
より詳細には、各対象関節機構Jiにおいて、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の第1剛性k1_iは、次式(211−2)によって得られる値以上に設定される。
ここで、式(211−2)は、次式(211−3)を満たす、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを示している。
式(211−3)において、左辺は、前述した関節最小慣性衝突運動エネルギーを示す。また、右辺は、前述した関節最大弾性エネルギーを示す。
(2−1−2.第2剛性)
条件2を満たすために、各対象関節機構Jiにおいて、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の第2剛性k2_iは、第3時間が第4時間以上となるように設定されている。
ここで、第3時間とは、第i対象関節機構Jiが変位する場合に当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが当該第i対象関節機構Jiの取り得る最大値(以下、当該第i対象関節機構Jiにおいて、この最大値を「第i最大慣性モーメント」という)I_max_iとなり、且つ当該第i対象関節機構Jiの変位が開始された時点から、当該第i対象関節機構Jiの変位によって蓄積された当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の弾性エネルギーによる当該第i対象関節機構Jiの変位が開始される時点までの時間である。
なお、第i対象関節機構Jiが変位するときの第i最大慣性モーメントI_max_iは、「各関節機構Jiが取り得る関節角度ψ_i」の予め想定される全ての組み合わせの各々における当該第i対象関節機構Jiが変位するときの慣性モーメントI_t_iのうち、最も大きな慣性モーメントI_t_iとして決定される。
また、第4時間とは、アクチュエータ4によって第i対象関節機構Jiが実現可能な最大加速度A_max_iで当該第i対象関節機構Jiが変位すると仮定した場合に、当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、当該第i対象関節機構Jiの最大の関節変位速度ω_max_iだけ変化させる場合の時間である。
ここで、第1時間は、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが一定という条件下において、当該第i対象関節機構Jiが変位する場合の当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが大きい程大きくなる。第3時間は、当該第i対象関節機構Jiが変位する場合に当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが第i最大慣性モーメントI_max_iである場合における第1時間である。従って、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが一定という条件下において、第3時間は、第1時間が取り得る長さのなかの最大長となる。
また、第2時間は、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが一定という条件下において、当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、変化させる量が大きい程大きくなる。第4時間は、当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを、当該第i対象関節機構Jiの最大の関節変位速度ω_max_iだけ変化させる場合における第2時間である。従って、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが一定という条件下において、第4時間は、第2時間が取り得る長さのなかの最大長となる。
このように、第1時間の最大長である第3時間が、第2時間の最大長である第4時間以上となるように、第2剛性k2_iが設定されている。従って、第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが当該第i対象関節機構Jiの取り得るいずれの値であっても、及び当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを変化させる量が当該第i対象関節機構Jiを変化させるときに取り得るいずれの値であっても、条件2を満たすように(第1時間が第2時間以上となるように)当該第i対象関節機構Jiの剛性k_iを設定できる。
より詳細には、各対象関節機構Jiにおいて、第i対象関節機構Jiの弾性要素5の第2剛性k2_iは、次式(212−1)によって得られる値以上に設定される。
但し、πは、円周率を示す。
ここで、式(212−1)は、次式(212−2)を満たす第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iである。
式(212−2)において、左辺は、前述した第3時間である。また、右辺は、前述した第4時間である。
以上のように、各対象関節機構Jiにおいて、第i対象関節機構Jiが変位する場合に当該第i対象関節機構Jiの慣性モーメントI_t_iが当該第i対象関節機構Jiの取り得るいずれの値であっても、及び当該第i対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iを変化させる量が当該第i対象関節機構Jiを変化させるときに取り得るいずれの値であっても、条件1及び条件2を満たすように、当該第i対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを設定できる。従って、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することにより各関節機構Jiが損傷することを防止するために、各対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを適切な範囲に設定できる。
(2−2.粘性係数可変範囲)
各関節機構Jiにおいて、粘性要素6の粘性係数C_iは、第1粘性係数C1_i以上且つ第2粘性係数C2_i以下の範囲で変更可能に構成される。ここで、第1粘性係数C1_iは、第i関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが第1剛性k1_iと等しいと仮定した場合に、当該第i関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定される。また、第2粘性係数C2_iは、第i関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが第2剛性k2_iと等しいと仮定した場合に、当該第i関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定される。
これにより、各関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iが、第1剛性k1_i以上且つ第2剛性k2_i以下の範囲のいずれの剛性k_iに変更された場合であっても、当該変更された剛性k_iに対して、当該第i関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となる粘性係数C_iが、第1粘性係数C1_i以上且つ第2粘性係数C2_i以下の範囲に含まれる。
従って、例えば、制御装置の制御によって、各関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となるように、各関節機構Jiの粘性要素6の粘性係数C_iを変更することが可能となり、各関節機構Jiの挙動特性が減衰振動の特性となることが防止される。そして、各関節機構Jiの減衰振動に応じた衝突リンク部材Lcollの振動の発生が防止され、各関節機構Jiの弾性要素5の弾性による衝突リンク部材Lcollと物体との衝突が再度生じることが防止される。これにより、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる各関節機構Jiの損傷を防止できる。
具体的には、第1粘性係数C1_iは次式(22−1)に従って決定され、第2粘性係数C2_iは次式(22−2)に従って決定される。
但し、式(22−1)及び式(22−2)において、ζは減衰比を示す。減衰比ζは、対象関節機構Jiの挙動特性が、臨界減衰又は過減衰の特性となるように設定される(すなわち、ζが1以上に設定される)。
(3.制御)
次に、上記のように構成されたリンク機構1において、制御装置(図示省略)が、各リンク部材Liのうちいずれかが物体Objと衝突する可能性があることを検知した場合に、各関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_i及び粘性要素6の粘性係数C_iを制御する方法の一例について説明する。
なお、制御装置は、例えば、図示しない外界センサ等(カメラ等)の情報より、各リンク部材Liのいずれかが物体Objと衝突する可能性があることを検知している。そして、制御装置30は、各リンク部材Liのいずれかにおいて該可能性が一定以上である場合には、該可能性が一定以上のリンク部材Liを物体Objに衝突する可能性があるリンク部材Liであると推定している。
(3−1.剛性)
この場合、制御装置は、各対象関節機構Jiにおいて、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを変更可能な範囲内において、次式(31−1)を満たす剛性k_i以上(条件1を満たすように)、且つ次式(31−2)を満たす剛性k_i以下(条件2を満たすように)となるように、当該対象関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iの目標値となる目標剛性k_cmd_iを決定する。なお、式(31−1)において、左辺は前述した衝突運動エネルギーを示し、右辺は前述した関節最大弾性エネルギーを示す。また、式(31−2)において、左辺は前述した第1時間を示し、右辺は前述した第2時間を示す。
ここで、当該対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iは、衝突リンク部材Lcollに設けられた速度センサ(図示省略)が出力した衝突相対速度(衝突リンク部材Lcollと物体Objとの間の相対的な速度)ΔV(=(ΔV_x,ΔV_y,ΔV_z))に応じて、次式(31−3)に従って決定される。
Δω=Jcoll+・ΔV …(31−3)
ここで、Jcoll+は、以下に示されるヤコビ行列Jcollの疑似逆行列である。ヤコビ行列Jcollは、基体座標系における、衝突リンク部材Lcollの変位速度と、対象関節機構Jiの関節変位速度ω_iとの関係を規定するヤコビ行列である。また、対象関節機構Jiのうち最も衝突リンク部材Lcollに近い関節機構Jcollの相対的関節変位速度Δω_iをΔω_collと表す場合、Δωは、(Δω_1,Δω_2,...,Δω_coll)で表される。すなわち、Δωは、各対象関節機構Jiの相対的関節変位速度Δω_iの全てを要素とするベクトルである。
そして、制御装置は、各関節機構Jiの弾性要素5の剛性k_iを、決定された目標剛性k_cmd_iになるように制御する。これにより、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突した場合であっても、各関節機構Jiの損傷を防止できる。
(3−2.粘性係数)
制御装置は、各関節機構Jiにおいて、当該関節機構Jiの粘性要素6の粘性係数の目標値となる目標粘性係数C_cmd_iを、上記のように設定された目標剛性k_cmd_iに応じて、次式(32)に従って決定する。
但し、式(32)において、ζは、式(22−1)及び式(22−2)と同様に、減衰比を示す。減衰比ζは、対象関節機構Jiの挙動特性が、臨界減衰又は過減衰の特性となるように設定される(すなわち、ζが1以上に設定される)。
そして、制御装置は、各関節機構Jiの粘性要素6の粘性係数C_iを、決定された目標粘性係数C_cmd_iになるように制御する。
これにより、各関節機構Jiの挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性となり、減衰振動の特性になることが防止される。従って、該関節機構Jiの減衰振動に応じた衝突リンク部材Lcollの振動の発生が防止され、各関節機構Jiの弾性要素5の弾性による衝突リンク部材Lcollと物体Objとの衝突が生じることが防止される。これにより、衝突リンク部材Lcollが物体Objと衝突することによる各関節機構Jiの損傷を防止できる。
(4.変形例)
本実施形態において、第1剛性k1_iは、前述した式(211−2)に従って得られる剛性k_i以上の値に決定されているが、他の演算式等によって、その値が決定されてもよい。
また、本実施形態において、第2剛性k2_iは、前述した式(212−1)に従って得られる剛性以下の値に決定されているが、他の演算式等によって、その値が決定されてもよい。
また、関節機構Jiは、少なくとも弾性要素5を備えている態様であれば、粘性要素6を備えていない態様であってもよい。
また、関節機構Jiは、駆動側のリンクと被動側のリンクとの間で動力伝達をする際に、該動力が弾性力及び粘性力に変換されて伝達される態様であれば、本実施形態の態様以外の態様であってもよい。例えば、駆動側のリンクと被動側のリンクとの間の動力伝達経路上に、剛性及び粘性係数を変更可能に構成された導電性高分子アクチュエータが用いられていてもよい。
1…リンク機構、Obj…物体、2…基体、3…先端部、Ji…関節機構、4…アクチュエータ、5…弾性要素、6…粘性要素、11…ワイヤ(弾性要素)、14…回転バー(弾性要素)、16…ギヤ(弾性要素)、17…スプリングウォーム(弾性要素)、18…電動モータ(弾性要素)、19…シリンダ(粘性要素)、24…オリフィス部(粘性要素)、Δθ…弾性変位量(弾性変形量)、Δθ_i…弾性変位量(弾性変形量)、Δθ_lim_i…最大変位量(最大変形量)、k_i…剛性、C_i…粘性係数、k1_i…第1剛性、k2_i…第2剛性、C1_i…第1粘性係数、C2_i…第2粘性係数、ω_i…関節変位速度(変位速度)、I_t_i…慣性モーメント、Lcoll…衝突リンク部材(可動部)。

Claims (4)

  1. 基体と該基体に対して可動な可動部との間に設けられた1つ又は複数の関節機構と、前記1つ又は複数の関節機構を変位させる駆動力を出力するアクチュエータとを備え、前記1つ又は複数の関節機構の各々は、剛性を可変的に制御可能に構成された弾性変形可能な弾性要素を介して動力伝達を行うように構成されているリンク機構であって、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記弾性要素の剛性は、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して設定される第1剛性以上且つ第2剛性以下の範囲で変更可能に構成されており、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性は、当該関節機構の前記弾性要素の弾性変形量が当該関節機構の前記弾性要素の最大変形量である場合における当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーが、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最小値となり、且つ前記アクチュエータによって変位される場合の当該関節機構が実現可能な最大の変位速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合の当該関節機構の運動エネルギー以上となるように設定され、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々において、当該関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性は、当該関節機構が変位する場合に当該関節機構の慣性モーメント又は慣性質量が当該関節機構の取り得る最大値となり、且つ当該関節機構の変位が開始された時点から、当該関節機構の変位によって蓄積された当該関節機構の前記弾性要素の弾性エネルギーによる当該関節機構の変位が開始される時点までの時間が、前記アクチュエータによって当該関節機構が実現可能な最大加速度で当該関節機構が変位すると仮定した場合に、当該関節機構の相対的な変位速度の向きを反転させた速度を、当該関節機構の最大の変位速度だけ変化させる場合の時間以上となるように設定されていることを特徴とするリンク機構。
  2. 請求項1に記載のリンク機構において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第1剛性は、次式(1)に従って得られる剛性以上に設定されていることを特徴とするリンク機構。
    但し、
    I_min_i:前記第i関節機構が変位する場合に当該第i関節機構が取り得る当該第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量の最小値
    ω_max_i:前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大の変位速度
    x_lim_i:前記第i関節機構の前記弾性要素の最大変形量
  3. 請求項1又は2に記載のリンク機構において、前記1つ又は複数の関節機構のうちの任意の1つの関節機構を第i関節機構と定義したとき、前記第i関節機構の前記弾性要素の前記第2剛性は、次式(2)に従って得られる剛性以下に設定されていることを特徴とするリンク機構。
    但し、
    I_max_i:前記第i関節機構が変位する場合に当該第i関節機構が取り得る当該第i関節機構の慣性モーメント又は慣性質量の最大値
    π:円周率
    A_max_i:前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大加速度
    ω_max_i:前記第i関節機構を前記アクチュエータによって変位させる場合に実現可能な最大の変位速度
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンク機構において、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々は、前記弾性要素及び、粘性係数を可変的に制御可能に構成された粘性要素を介して動力伝達を行うように構成され、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の粘性係数は、前記1つ又は複数の関節機構の各々に対して設定される第1粘性係数以上且つ第2粘性係数以下の範囲で変更可能に構成されており、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の前記第1粘性係数は、当該関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第1剛性と等しいと仮定した場合に、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定され、
    前記1つ又は複数の関節機構の各々の前記粘性要素の前記第2粘性係数は、当該関節機構の前記弾性要素の剛性が前記第2剛性と等しいと仮定した場合に、当該関節機構の挙動特性が臨界減衰又は過減衰の特性になるように設定されていることを特徴とするリンク機構。
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