JP5899865B2 - 音響信号加工装置及びプログラム - Google Patents
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Description
この発明は、このような問題を解決し、入力する音響信号から、ボーカル音と周波数帯域の近い伴奏音を残しつつ効率的にボーカル音を除去できるようにすることを目的とする。
さらに、上記調整手段における、上記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号の出力を、出力信号を、上記所定の時間だけ、上記帯域除去手段による上記特定の周波数帯域の除去を行っていない音響信号に切り替えることによって行うとよい。
あるいは、上記調整手段における、上記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号の出力を、上記所定の時間だけ、上記帯域除去手段が除去する周波数帯域の下限を、所定の変化量だけ高周波数側にずらすことによって行うとよい。
これらの発明は、装置として実施する他、プログラムや方法等として実施することも可能である。
まず、図1に、この発明の音響信号加工装置の実施形態である楽音再生装置のハードウェア構成を示す。
図1に示すように、楽音再生装置10は、CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13、表示器14、操作子15、外部機器I/O16、波形再生部17、信号処理部(DSP)18、ボーカル除去部19を備え、これらをシステムバス21により接続している。また、サウンドシステム20も備える。
操作子15は、ユーザからの操作を受け付けるための、ボタンやスイッチ等からなる操作手段である。表示器14と一体のタッチパネルを用いることができる。
外部機器I/O16は、ポインティングデバイスやディスプレイ等を接続して表示器14あるいは操作子15に代えて用いたり、PC(パーソナルコンピュータ)等を接続して楽音再生装置10を外部から制御できるようにしたりするために用いるインタフェースである。
サウンドシステム20は、DA変換器とスピーカ等により構成され、DSP18又はボーカル除去部19から供給されるデジタル波形データに基づいて音声を出力する発音手段である。
図2に示す通り、ボーカル除去部19は、DSP18から入力するLとRの入力信号をそれぞれ加工して、LとRの出力信号としてサウンドシステム20に出力する。そして、BEF(バンドエリミネートフィルタ)101,111、BPF(バンドパスフィルタ)102,112、加算部103,113,121、ディレイ104,105,114,115、スイッチ106,116、解析部122、調整部123を備える。これらの各部の機能はハードウェアによって実現しても、ソフトウェアによって実現しても、それらの組み合わせであってもよい。
しかし、スネアやタムのようなリズム音は、演奏のリズムを取るために大切な音であり、ボーカル音と共に除去されることは好ましくない。
一方、スネアやタムの音は、ボーカル音と比べ、ボリュームが大きく、アタックが速い傾向にあるという特徴がある。そこで、解析部122においてこの特徴に着目してBPF102,112の出力を解析することにより、入力信号にスネアやタムの音が含まれる期間を識別することができる。
図3に示すように、解析部122は、Lエンベロープ検出部131、Rエンベロープ検出部132及びアタック検出部133を備える。
調整部123は、解析部122からアタックがあった旨の信号を受け取ると、その時点から所定期間だけ、スイッチ106,116にそれぞれ加工しない入力信号を選択させるための選択信号SWを出力する。したがって、この期間だけは、ボーカル音の除去処理が行われていない信号を出力することができる。
このため、スネアやタムの音が含まれる信号を出力することができる。このときには、ボーカル音も含まれた信号を出力することとなるが、瞬間的にはスネアやタムの音の方が音量が大きく、ボーカル音はこれにマスクされてしまうため、人の耳で聞く範囲ではさほど問題とならない。
例えば、上述した実施形態では、スネアやタムのアタックがあるとボーカル音の除去処理を全く行わない信号を出力するようにしたが、除去処理を緩和するのみでもよい。この緩和は例えば、BEF101,111において成分を除去する周波数帯域を狭めることにより行うことができる。より具体的には、スネアやタムの音が含まれる帯域は、ボーカル音が含まれ得る帯域のうち低周波数側に位置するため、成分を除去する周波数帯域の下限を、所定の変化量だけ高周波数側にずらせばよい。
また、除去処理を緩和する手法としては、BPFの出力自身と差分信号とをそれぞれレベル調整して混合し、それをBEFの出力に加算することも考えられる。このようにしても、ある程度はスネアやタムの音を残すことができる。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
従って、この発明を適用することにより、音響信号加工装置におけるボーカル音除去後の音響信号の品質を向上させることができる。
Claims (5)
- 入力するステレオの音響信号から特定の周波数帯域の成分を除去して出力する帯域除去手段と、
前記入力するステレオの音響信号を構成するL信号とR信号のそれぞれから前記特定の周波数帯域の成分を抽出する帯域抽出手段と、
前記L信号と前記R信号の双方について、前記帯域抽出手段が抽出した成分の振幅が所定の閾値を超えた場合に、所定の時間だけ、前記帯域除去手段による前記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号を出力するようにする調整手段とを備えたことを特徴とする音響信号加工装置。 - 請求項1に記載の音響信号加工装置であって、
前記帯域除去手段は、前記特定の周波数帯域の成分を除去した信号に、前記帯域抽出手段が抽出した前記特定の周波数帯域の成分についてL信号とR信号の差分を取った信号を加算して出力する手段を備えることを特徴とする音響信号加工装置。 - 請求項1又は2に記載の音響信号加工装置であって、
前記調整手段における、前記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号の出力は、出力信号を、前記所定の時間だけ、前記帯域除去手段による前記特定の周波数帯域の除去を行っていない音響信号に切り替えることによって行うことを特徴とする音響信号加工装置。 - 請求項1又は2に記載の音響信号加工装置であって、
前記調整手段における、前記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号の出力は、前記所定の時間だけ、前記帯域除去手段が除去する周波数帯域の下限を、所定の変化量だけ高周波数側にずらすことによって行うことを特徴とする音響信号加工装置。 - コンピュータを、
入力するステレオの音響信号から特定の周波数帯域の成分を除去して出力する帯域除去手段と、
前記入力するステレオの音響信号を構成するL信号とR信号のそれぞれから前記特定の周波数帯域の成分を抽出する帯域抽出手段と、
前記L信号と前記R信号の双方について、前記帯域抽出手段が抽出した成分の振幅が所定の閾値を超えた場合に、所定の時間だけ、前記帯域除去手段による前記特定の周波数帯域の成分の除去を緩和又は停止した信号を出力するようにする調整手段として機能させるためのプログラム。
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