まず、LTEの後継システム(例えば、Rel.10LTE)で採用される参照信号の1つであるCSI−RSについて説明する。
CSI−RSは、チャネル状態としてのCQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)等のCSI測定に用いられる参照信号である。CSI−RSは、全てのサブフレームに割り当てられるCRSと異なり、所定の周期、例えば10サブフレーム周期で割り当てられる。また、CSI−RSは、位置、系列および送信電力というパラメータで特定される。CSI−RSの位置には、サブフレームオフセット、周期、サブキャリア−シンボルオフセット(インデックス)が含まれる。
なお、CSI−RSとしては、ノンゼロパワーCSI−RSとゼロパワーCSI−RSとが定義されている。ノンゼロパワーCSI−RSは、CSI−RSが割り当てられるリソースに送信パワーを分配し、ゼロパワーCSI−RSは、割り当てられるリソースに送信パワーが分配されない(CSI−RSがミュートされる)。
CSI−RSは、LTEで規定される1サブフレームにおいて、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等の制御信号、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)等のユーザデータ、CRS(Cell-specific Reference Signal)やDM−RS(Demodulation-Reference Signal)等の他の参照信号と重ならないように割り当てられる。1サブフレームは、周波数方向に連続する12サブキャリアと、時間軸方向に連続する14シンボル(1リソースブロック(RB:Resource Block)ペア)とで構成される。また、PAPRを抑制する観点から、CSI-RSを割当て可能なリソースは、時間軸方向に隣接する2つのリソースエレメント(RE:Resource Element)がセットで割り当てられる。
CSI−RSを用いて干渉を推定する場合、時間軸方向に隣接する2つのCSI−RSの残差から干渉電力を求めることができる。CSI−RSを、時間軸方向に隣接する2つのリソース(RE)にペアとしてマッピングすることにより、それぞれのCSI−RSのマッピング位置でのチャネル状態がほぼ等しくなり、2つのCSI−RSの残差から干渉電力を推定したときに、高精度で干渉を推定することができる。
また、LTE−Aシステムにおいては、複数の送信ポイントからユーザ端末に送信する送信形態があるため、CSI−RSによってCQIを算出する場合、干渉測定の精度が重要となる。
複数の送信ポイントからの送信形態としては、例えば、CoMP送信がある。下りリンクのCoMP送信としては、Coordinated Scheduling/Coordinated Beamformingと、Joint processingとがある。Coordinated Scheduling/Coordinated Beamformingは、1つのユーザ端末UEに対して1つのセルからのみ共有データチャネルを送信する方法であり、他セルからの干渉や他セルへの干渉を考慮して周波数/空間領域における無線リソースの割り当てを行う。一方、Joint processingは、プリコーディングを適用して複数のセルから同時に共有データチャネルを送信する方法であり、1つのユーザ端末UEに対して複数のセルから共有データチャネルを送信するJoint transmissionと、瞬時に1つのセルを選択し共有データチャネルを送信するDynamic Point Selection(DPS)とがある。また、干渉となる送信ポイントに対して一定領域のデータ送信を停止するDynamic Point Blanking(DPB)という送信形態もある。
このように、CoMP等を行う際に複数の送信ポイントからのCSI−RSを適用して干渉測定を行うことは有効であるが、LTE(Rel.10LTE)で規定されたCSI−RSは1リソースブロックペアにおける密度が低いので、他の送信ポイント(他セル)からの干渉を高精度に測定することは困難となる。
そこで本出願人は、図1に示すように、希望信号測定に使用するCSI−RS(以下、「希望信号測定用CSI−RS」と記す)に加えて、干渉測定に使用するCSI−RS(以下、「干渉測定用CSI−RS」と記す)を追加し、複数の送信ポイント間で干渉測定用CSI−RSのリソースを制御することを提案した。これにより、希望信号測定用CSI−RS(既存CSI−RS)と干渉測定用CSI−RSの双方を用いて干渉測定できるため、干渉測定精度を改善できる。
ここで、干渉測定用CSI−RSを用いた干渉信号推定法の一例について説明する。なお、以下の説明では、2つの基地局装置が送信ポイント(TP#1、TP#2)となるシステム構成を例に説明するが、送信ポイント(TP)の数は2つに限定されない。
図2Aは、送信ポイントTP#1、TP#2からユーザ端末UEに送信を行う場合を示している。また、図2Bは、干渉測定用CSI−RSが配置されたCSI−RSパターンの一例を示している。図2Bにおいて、左側のサブフレームは、TP#1から送信されるサブフレームであり、右側のサブフレームは、TP#2から送信されるサブフレームである。
また、図2Bでは、複数の送信ポイント(TP#1、TP#2)間で、干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置する場合を示している。具体的には、TP#1、TP#2のそれぞれのサブフレームにおいて、周波数軸方向における第4のREであって、時間軸方向における第9、第10のREに、干渉測定用CSI−RSをそれぞれ配置している。これらの干渉測定用CSI−RSを用いることにより、TP#1及びTP#2の外側のセルの干渉信号の推定が可能となる。
また、図2に示すように、TP#1のサブフレームにおいて、周波数軸方向における第0のREであって時間軸方向における第9、第10のREに希望信号測定用CSI−RS(既存のCSI−RS)を配置すると、当該REではTP#1の希望信号の推定が可能となる。また、図2に示すように、TP#2のサブフレームにおいて、周波数軸方向における第1のREであって時間軸方向における第9、第10のREに希望信号測定用CSI−RSを配置すると、当該REではTP#2の希望信号の推定が可能となる。
この場合、基地局装置からユーザ端末に対して、希望信号の推定方法及び干渉信号の推定方法に関する情報をシグナリングする。すなわち、希望信号の推定に用いるRE(SMR:Signal Measurement Resource)の情報、干渉信号の推定に用いるRE(IMR:Interference Measurement Resource)の情報、SMRとIMRの組合せの情報を、基地局装置がユーザ端末にシグナリングする。これらの情報は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)で基地局装置からユーザ端末に通知しても良く、下り制御情報(DCI)でダイナミックに基地局装置からユーザ端末に通知しても良い。
このように、複数の送信ポイント(TP#1とTP#2)において、同一リソースに干渉測定用CSI−RSを配置することにより、TP#1及びTP#2の外側のセルの干渉信号の推定が可能となる。また、この際、各送信ポイントにおいて干渉測定用CSI−RSを1アンテナポートで送信することにより、シグナリングのオーバヘッドを低減することができる。
一方で、本発明者らは、異なる送信ポイントにおいて干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置する場合に、送信形態によっては各送信ポイントにおいて干渉電力の測定精度が低下するおそれがあることを見出した。一例として、CoMP非適用時(シングルセル送信時)に、異なる送信ポイントにおいて干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置すると干渉電力を正確に測定できないおそれがある。以下に、送信形態に応じた干渉電力の算出方法について説明する。
図3は、図2における所定シンボル(例えば、第8〜第11)を1リソースブロック分だけ抜き出したものであり、複数の送信ポイント間で干渉測定用CSI−RSが同一のリソースに配置されたCSI−RSパターンの一例を示している。なお、以下の説明においては説明の都合上、他の信号(DMRS、PDSCH等)は省略している。
また、図3B、図3Cにおいて、左側のサブフレームは、TP#1から送信されるサブフレームを示し、右側のサブフレームは、TP#2から送信されるサブフレームを示している。また、図3BはCoMP適用時、図3CはCoMP非適用時(シングルセル送信時)におけるCSI−RSパターンの一例を示している。
ユーザ端末において、干渉信号推定に用いる所定(例えば、j番目)のRE(IMR)における受信信号「yj」は、TP#iから送信されるj番目のRE(IMR)のCSI−RSシンボルを「Xij」、TP#iの第1のアンテナからユーザ端末までのチャネルフェージングを「hi」、ユーザ端末におけるj番目のRE(IMR)のノイズ(AWGN)を「nj」とすると、yj=hiXij+njで表すことができる。
TP#1とTP#2でCoMPを適用する場合(図3B参照)、時間軸方向に隣接する2つのRE(IMR)における受信信号(y1、y2)はそれぞれ以下の式(1)で表すことができる。なお、以下の説明では、TP#1(接続セル)及びTP#2(協調セル)から送信されるサブフレームにおいて、時間軸方向に隣接する干渉信号推定用の2つのRE(IMR)を、それぞれ時間軸方向に沿って順に1番目、2番目のIMRと仮定している。
なお、式(1)において、X11、X12は、それぞれTP#1及びTP#2から送信されるサブフレームにおいて、時間軸方向に隣接する2つの干渉測定用のRE(IMR)に配置される干渉測定用CSI−RSシンボルである(図3B参照)。また、h1は、TP#1からUEまでのチャネルフェージングを示し、h2は、TP#2からUEまでのチャネルフェージングを示している。また、n1、n2は、それぞれ時間軸方向に隣接する2つの干渉測定用のRE(IMR)におけるノイズである。
また、TP#1及びTP#2以外(TP#1とTP#2の外側)の干渉電力(P12)は、下記式(2)で表すことができる。
式(2)において、X* 11、X* 12は、それぞれX11、X12の共役である。y1にX* 11を乗算することにより、y1からX11の影響を除去して自セル以外の干渉を適切に測定することができる。
このように、TP#1及びTP#2から送信されるサブフレームにおいて、干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置することにより、ユーザ端末はTP#1及びTP#2以外の干渉電力を適切に算出することができる。
一方、TP#1とTP#2でCoMPを適用しない(シングルセル送信)場合(図3C参照)、時間軸方向に隣接する2つのRE(IMR)の受信信号(y1、y2)はそれぞれ以下の式(3)で表すことができる。
なお、式(3)において、X11、X12は、TP#1から送信されるサブフレームにおいて、それぞれ時間軸方向に隣接する2つの干渉測定用のRE(IMR)に配置される干渉測定用CSI−RSシンボルである。X21、X22は、TP#2から送信されるサブフレームにおいて、それぞれ時間軸方向に隣接する2つの干渉測定用のRE(IMR)にそれぞれ配置される干渉測定用CSI−RSシンボルである。つまり、X11とX21が同じREに配置され、X12とX22が同じREに配置される。また、h1は、TP#1からユーザ端末までのチャネルフェージングを示し、h2は、TP#2からユーザ端末までのチャネルフェージングを示している。また、n1、n2は、それぞれ時間軸方向に隣接する2つのRE(IMR)におけるノイズである。
また、TP#1以外(TP#1の外側)の干渉電力(TP#1における干渉電力P1)は、下記式(4)で表すことができる。
式(4)において、干渉測定用CSI−RSシンボル(Xij)がQPSKシンボルであり、X21とX11との位相差(α1)と、X22とX12との位相差(α2)が等しい場合(α1=α2)には、X21X* 11−X22X* 12=0となる。この場合、TP#1における干渉電力(P1)が低く見積もられる(過小評価される)こととなり、ユーザ端末における干渉電力の測定精度が低下するおそれがある。
その結果、ユーザ端末において算出されるCQI等の測定精度も低下してしまう。特に、干渉測定用CSI−RSが時間軸方向で隣接する2つのREに割当てられる場合はチャネル変動が小さいため、X21とX11との位相差と、X22とX12との位相差が等しくなりやすく、シングルセル送信時における干渉測定の精度が低下する可能性が高くなる。
そこで、本発明者らは、X21とX11との位相差(α1)と、X22とX12との位相差(α2)との差(α1−α2)に着目し、異なる送信ポイントにおいてCSI−RSシンボル間の位相差を制御することにより、異なる送信ポイント間で干渉測定用CSI−RSを同一のリソースに配置する場合であっても干渉測定の精度を向上できることを見出した。具体的には、各送信ポイントのサブフレームに割当てる所定の干渉測定用CSI−RSシンボルを異なる位相回転量(位相シフト量、位相回転角ともいう)に制御する。
以下に、本実施の形態の詳細について図面を参照して説明する。
図4は、図2における所定シンボル(例えば、第8〜第11)を1リソースブロック分だけ抜き出したものであり、複数の送信ポイントにおいて干渉測定用CSI−RSが同一のリソースに配置されたCSI−RSパターンの一例を示している。図4Bにおいて、左側のサブフレームは、TP#1から送信されるサブフレームであり、右側のサブフレームは、TP#2から送信されるサブフレームである。
本実施の形態では、異なる送信ポイント(TP#1、TP#2)における干渉測定用CSI−RSシンボルに対して、それぞれ異なる位相回転量(位相シフト量、位相回転角)を付与する。例えば、TP#1となる基地局装置は、干渉測定用CSI−RSシンボルをTI#2となる基地局装置と異なる位相回転量に制御する。
具体的には、TP#1となる基地局装置は、干渉測定用CSI−RSを時間軸方向に隣接する2つのリソース(IMR)に割当てると共に、2つのリソースの一方に割当てられる干渉測定用CSI−RSのシンボルに対して、TP#2となる基地局装置と異なる位相回転量を付与する。例えば、図4Bに示すように、TP#1から送信されるサブフレームにおいて時間軸方向に連続する2つの干渉測定用CSI−RSシンボルのうち、後半の干渉測定用CSI−RSシンボル(X12)をθ1だけ位相回転する。また、TP#2から送信されるサブフレームにおいて時間軸方向に連続する2つの干渉測定用CSI−RSシンボルのうち、後半の干渉測定用CSI−RSシンボル(X22)をθ2だけ位相回転する。
この場合、ユーザ端末において、時間軸方向に隣接する干渉信号推定に用いる2つのRE(IMR)の受信信号(y1、y2)はそれぞれ以下の式(5)で表すことができる。
また、TP#1におけるTP#1以外の干渉電力(P1)は、下記式(6)で表すことができる。
また、図5は、TP#1から送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X11、X12)、TP#2から送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X21、X22)をI−Q平面に示した場合の一例を表している。なお、図5Aは、干渉測定用CSI−RSシンボルに対して位相回転の制御を行っていない場合(図3C参照)を示しており、図5Bは、TP#1、TP#2からそれぞれ送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X12、X22)をそれぞれθ1、θ2(θ1≠θ2)だけ位相回転した場合(図4B参照)を示している。
図5Aに示すように、X21とX11との位相差(α1)と、X22とX12との位相差(α2)が等しい場合(α1=α2)には、上述したようにTP#1における干渉電力(P1)が過小評価され、ユーザ端末における干渉測定の精度が低下してしまう。一方で、本実施の形態に示すように、TP#1とTP#2から送信される所定の干渉測定用CSI−RSシンボル(例えば、X12、X22)に対してそれぞれ異なる角度(θ1≠θ2)で位相回転を行うことにより、α1=α2であっても、X21とX11との位相差(α1’)と、X22ejθ2とX12ejθ1との位相差(α2’)が異なる(α1’≠α2’)。
そのため、上記式(6)において、X21X* 11−X22X* 12ej(θ2−θ1)≠0とすることができるため、TP#1、TP#2における干渉電力(P1、P2)が過小評価されることなく、ユーザ端末における干渉測定の精度が低下することを抑制することができる。
なお、上記説明では、TP#1から送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X12)と、TP#2から送信される干渉測定用CSI−RSのシンボル(X22)の位相回転量を変化させる場合を示したが、本実施の形態はこれに限られない。X21とX11との位相差と、X22とX12との位相差が異なるような位相回転制御であれば特に限定されない。例えば、TP#1から送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X12)と、TP#2から送信される干渉測定用CSI−RSシンボル(X22)の一方のみ位相回転量を変化させることができる。また、時間軸方向に隣接する他方の干渉測定用CSI−RSシンボル(X11、X21)の位相回転量を変化させることも可能である。
このように、異なる送信ポイントから干渉信号推定用のRE(IMR)を同じリソースに配置して干渉測定を行う場合に、各送信ポイントから送信される所定の干渉測定用CSI−RSシンボルをそれぞれ異なる角度で位相回転することにより、干渉測定の精度が低下することを抑制することができる。
続いて、干渉測定用CSI−RSシンボルに位相回転制御を行う場合の基地局装置の動作の一例について説明する。基地局装置は、処理のリソースへ干渉測定用CSI−RSシンボルをマッピングする前に、当該干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を制御する。例えば、基地局装置は、下記式(7)に示すように、参照信号系列に所定の位相シフト量(θi)を付与して、複素変調シンボルにマッピングすることができる。
式(7)において、αk,l (p)はresource gridにマッピングする符号であり、wl”は長さが2のOCC codeであり、rl,nsは参照信号シーケンス(QPSK Modulation後のGoldシーケンス)であり、θiは位相回転量(シングルセル伝送時は送信ポイント固有(TP-specific)、CoMP伝送時はCoMPセット固有(Measurement set-specific))であり、jは虚数の単位(j2=−1)である。なお、位相回転は二つのCSI−RSのどちらかに導入すればよく、例えば、1つ目に導入する際に、l”=0、2つ目に導入する際に、l”=1とすることができる。
また、基地局装置は、位相回転に関する情報(位相回転量)をユーザ端末に通知する構成とすることができる。ユーザ端末は、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を特定することにより、スクランブル解析を正確に行うことができる。
例えば、基地局装置は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)や報知信号等により、位相回転量をユーザ端末に通知することができる。この場合、基地局装置は、位相回転量(θ)とビット値とを組み合わせたテーブル(図6参照)を適用してもよいし、位相回転量の情報をシグナリングするようにしてもよい。基地局装置とユーザ端末が同じ内容のテーブルを具備する場合には、ユーザ端末はRRCシグナリングや報知信号等で通知された情報から、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を特定することができる。
なお、図6で表されるテーブルでは例として3種類の位相回転量を示すテーブルを挙げているが、任意の複数種類の位相回転量を示すテーブルを用いてもよい。また、基地局装置から上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)や報知信号等を用いて位相回転量をユーザ端末に通知する場合には、基地局装置側でランダムに決定した位相回転量をユーザ端末に通知するようにしてもよいし、複数基地局装置間で異なる位相回転量となるように設定された位相回転量をユーザ端末に通知するようにしてもよい。
また、基地局装置は、希望信号測定用CSI−RSを送信する場合に、当該CSI−RSを特定するための送信パラメータ(位置、系列及び送信電力等)を示す情報(CSI-RS-Config)を、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング)でユーザ端末に通知する。したがって、基地局装置は、干渉測定用CSI−RSに対する位相回転量についても、送信パラメータを示す情報(CSI-RS-Config)と同じタイミングで(又は、CSI-RS-Configに含めて)ユーザ端末に通知する構成としてもよい。
また、基地局装置は、位相回転量(θ)と各送信ポイント(又は複数の送信ポイントグループ)固有の情報を対応づけて(括りつけて)、干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を制御することも可能である。例えば、複数の送信ポイントのセルID(又は、仮想セルID(virtual cell ID))がそれぞれ異なる場合、位相回転量と各送信ポイントのセルID(又は、仮想セルID)を対応づけて定義して、位相回転量を制御することができる。この場合、基地局装置は、位相回転量とセルID(又は、仮想セルID)が対応づけられた式(例えば、下記式(8))を用いて、干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を制御することができる。
ここで仮想セルIDとは、参照信号(例えば、CSI−RSやDM−RS)の初期化擬似ランダム系列生成において、ハイヤレイヤシグナリング(RRCシグナリング)で通知されるユーザ固有パラメータ(例えば、CSI−RSの初期化擬似ランダム系列生成式(下記式(9))におけるユーザ固有パラメータA)から生成される値でもよい。
式(8)を適用する場合、例えばNが3、TP#1、2、3のセルIDがそれぞれ1、2、3であったとすると、セルID=1の基地局装置は位相回転量(θ1)を0、セルID=2の基地局装置は位相回転角(θ2)を2π/3、セルID=3の基地局装置は位相回転角(θ3)を4π/3に制御する。この場合、ユーザ端末は、セルIDに基づいて、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を特定することができる。また、CoMPを適用する場合には、CoMPセットに固有な情報(CoMPセットの識別情報等)と位相回転量とを対応づけて定義することができる。
他にも、基地局装置は、CSI−RSのパターンと、位相回転量とを対応づけて(括りつけて)制御することも可能である。例えば、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSに対して、希望信号測定用のRE(SMR)のマッピング位置と所定の位相回転量とを対応づけて位相回転量を制御することができる。
他にも、基地局装置は、ユーザ端末のID(UEID)と、位相回転量とを対応づけて(括りつけて)制御することも可能である。この場合、基地局装置は、位相回転量とUEIDが対応づけられた式(例えば、下記式(10))を用いて、干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を制御することができる。
式(10)を適用する場合、例えばNが3、UE#1、2、3のUEIDがそれぞれ1、2、3であったとすると、UEID=1のユーザ端末に対しては位相回転角(θ1)を0、UEID=2のユーザ端末に対しては位相回転角(θ2)を2π/3、UEID=3のユーザ端末に対しては位相回転角(θ3)を4π/3に制御する。この場合、ユーザ端末は、UEIDに基づいて、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量を特定することができる。また、CoMPを適用する場合には、CoMPセットに固有な情報(CoMPセットの識別情報等)と位相回転量とを対応づけて定義することができる。
次に、複数の送信ポイントで構成されるCoMP群(CoMP cluster)を複数有するシステム構成において、各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSに対する位相回転制御について説明する。なお、以下の説明では、それぞれ3つの送信ポイントを有する2つのCoMP群を例に挙げて説明するが、送信ポイントの数、CoMP群の数はこれに限られない。また、各送信ポイントにおける位相回転量の制御は、上記方法を適用することができる。
まず、図7を参照して、CoMP送信を適用しない場合(シングルセル送信)の各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSに対する位相回転制御について説明する。
図7Aは、TP#1、TP#2、TP#3で構成されるCoMP群#1と、TP#4、TP#5、TP#6で構成されるCoMP群#2とがそれぞれ異なる周波数帯域(サブキャリア)で適用される場合を示している。各送信ポイントが所定のサブフレームにおいて干渉測定用RE(IMR)を同じリソースに割当てる場合、同じCoMP群内の他の送信ポイントからの干渉が低く見積もられる(過小評価される)おそれがある。
これは、CoMP群内の複数の送信ポイントからそれぞれ送信される干渉測定用CSI−RSシンボルがQPSK(4状態)で表されることにより、他の送信ポイントからの干渉が打ち消されるためである。一方、異なるCoMP群間では、異なるサブキャリアを適用するため、干渉測定用CSI−RSシンボルが同じ位相であっても干渉の影響が小さい。
つまり、各CoMP群を構成する複数の送信ポイント(TP#1〜TP#3の間、TP#4〜TP#6の間)で、干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置した場合、同じCoMP群を構成する他の送信ポイントからの干渉が考慮されず、各送信ポイントの干渉電力の測定精度が低下するおそれがある。
図7Bは、上記図4で示すように、同じCoMP群に属する各送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSシンボルの位相差を制御する場合を示している。図7Bでは、CoMP群#1を構成するTP#1、TP#2、TP#3の所定の干渉測定用CSI−RSシンボルに対してそれぞれ異なる位相回転量(θ1、θ2、θ3)を付与して制御する場合を示している。例えば、時間軸方向に隣接する干渉測定用CSI−RSシンボルの一方(例えば、X12、X22、X32)に対してそれぞれ異なる位相回転量(θ1、θ2、θ3)を付与することができる。
これにより、CoMP群#1を構成するTP#1〜TP#3において、干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置する場合であっても、他の送信ポイントからの干渉を適切に考慮して、各送信ポイントにおける干渉電力(P1〜P3)を適切に推定することができる。
また、図7Bでは、異なるCoMP群間では、異なるサブキャリアを適用するため、異なるCoMP群同士で同じ位相を適用することができる。そのため、CoMP群#2を構成するTP#4、TP#5、TP#6から送信される所定の干渉測定用CSI−RSシンボルについて、CoMP群#1と同様に、それぞれ異なる位相回転量(θ1、θ2、θ3)を付与して制御することができる。
図7Cは、複数のCoMP群(CoMP群#1、#2)が同じ周波数帯域(サブキャリア)で適用される場合を示している。この場合、各CoMP群における複数の送信ポイント間の干渉測定用CSI−RSシンボルの位相回転量をそれぞれ制御すると共に、異なるCoMP群の送信ポイント間の干渉測定用CSI−RSシンボルについても異なる位相回転量を付与することが好ましい。
例えば、各送信ポイント(TP#1〜TP#6)から同じ位置のREを用いて送信される干渉測定用CSI−RSシンボルに対して、それぞれ異なる位相回転量(例えば、θ1〜θ6)を付与することができる。これにより、複数の送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSを同じリソースに配置する場合であっても、各送信ポイントにおける干渉電力(P1〜P6)を適切に推定することができる。また、図7Cに示すように、複数のCoMP群間で同じ周波数帯域(サブキャリア)を適用することにより、無線リソースの有効活用を図ることができる。
次に、図8を参照して、CoMP送信を適用する場合の各送信ポイントに対する位相回転制御について説明する。
図8Aは、TP#1、TP#2、TP#3で構成されるCoMP群#1と、TP#4、TP#5、TP#6で構成されるCoMP群#2とがそれぞれ異なる周波数帯域(サブキャリア)で適用される場合を示している。CoMP送信を適用する場合には、上記図3Bに示すように、CoMP群#1を構成する複数の送信ポイント(TP#1〜TP#3)で、干渉測定用CSI−RSを同一リソースに配置することにより、CoMP群#1(TP#1〜TP#3)以外の干渉電力(P123)を適切に推定することができる。CoMP群#2についても同様である。
また、CoMP群#1、CoMP群#2間では、異なるサブキャリアを適用するため、干渉測定用CSI−RSシンボルが同じ位相であっても干渉の影響が小さい。
一方で、複数のCoMP群(CoMP群#1、#2)が同じ周波数帯域(サブキャリア)で適用されるシステムにおいて、CoMP群#1とCoMP群#2の各送信ポイントが同じREに干渉測定用CSI−RSを配置する場合、異なるCoMP群を構成する送信ポイントに対して、異なる位相回転量を付与することが好ましい。例えば、図8Bに示すように、CoMP群#1を構成する送信ポイント(TP#1〜TP#3)から送信される干渉測定用CSI−RSシンボルに対してはθ1だけ位相回転を制御し、CoMP群#2を構成する送信ポイント(TP#4〜TP#6)から送信される干渉測定用CSI−RSシンボルに対してはθ2だけ位相回転を制御する。
これにより、各CoMP群を構成する送信ポイントから送信される干渉測定用CSI−RSを同じリソースに配置する場合であっても、他のCoMP群を構成する送信ポイントからの干渉を考慮して、各CoMP群における干渉電力(P123、P456)を適切に推定することができる。また、複数のCoMP群間で同じ周波数帯域(サブキャリア)を適用することにより、無線リソースの有効活用を図ることができる。
(第2の態様)
第2の態様では、希望信号測定用CSI−RSに加えて干渉測定用CSI−RSを配置する際の、ユーザ端末におけるチャネル推定方法について説明する。
図9Aに示すように、所定のサブフレームにおいて、希望信号測定用のRE(SMR)と干渉測定用のRE(IMR)を設ける場合、干渉信号用のRE(IMR)に一つのアンテナポート(例えば、第1アンテナポート(Tx#1))から干渉測定用CSI−RSを送信し、第2アンテナポート(Tx#2)をミューティングすることができる。
この場合、希望信号の推定としては、希望信号測定用のRE(SMR)のみに基づいて、チャネル推定を行う方法がある。例えば、希望信号測定用のRE(SMR)のみに基づいて、平均2乗誤差最小(MMSE:Minimum Mean Squared Error)によるチャネル推定を行うことができる。例えば、下記式(11)により、チャネル推定を行うことができる。
また、本実施の形態では、図9Bに示すように、奇数のリソースブロック(RB)における干渉測定用のRE(IMR)に、第1アンテナポート(Tx#1)からCSI−RSを送信し、第2アンテナポート(Tx#2)をミューティングする。そして、偶数のRBにおける干渉信号用のRE(IMR)に、第2アンテナポート(Tx#2)からCSI−RSを送信し、第1アンテナポート(Tx#1)をミューティングすることができる。
この場合、希望信号の推定において、希望信号測定用のRE(SMR)に加えて干渉測定用のRE(IMR)も考慮して(希望信号測定用のRE(SMR)と干渉測定用のRE(MIR)に基づいて)、平均2乗誤差最小(MMSE)によるチャネル推定を行うことができる。例えば、下記式(12)により、チャネル推定を行うことができる。
このように、ユーザ端末は、希望信号測定用のRE(SMR)と干渉測定用のRE(IMR)に基づいてチャネル推定を行った結果に基づいて、CQIの測定、PMIの選択を行うことができる。このように、干渉測定用のREも考慮してチャネル推定を行うことにより、ユーザ端末におけるCQIの測定精度を向上することが可能となる。なお、ユーザ端末は、上記第1の態様と第2の態様を組み合わせて適用することができる。
(無線通信システム)
ここで、本実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図10は、本実の形態に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、図10に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする複数の基本周波数ブロックを一体としたキャリアアグリゲーションが用いられている。また、この無線通信システムは、IMT-Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
図10に示すように、無線通信システム1は、各送信ポイントの基地局装置20A、20Bと、この基地局装置20A、20Bと通信するユーザ端末10とを含んで構成されている。基地局装置20A、20Bは、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。また、基地局装置20A、20Bは、有線接続又は無線接続により相互に接続されている。ユーザ端末10は、送信ポイントである基地局装置20A、20Bと通信を行うことができる。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されない。
ユーザ端末10は、既存端末(Rel.10LTE)及びサポート端末(例えば、Rel.11LTE)を含むが、以下においては、特段の断りがない限りユーザ端末として説明を進める。また、説明の便宜上、基地局装置20A、20Bと無線通信するのはユーザ端末10であるものとして説明する。
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア-周波数分割多元接続)が適用されるが、上りリンクの無線アクセス方式はこれに限定されない。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、ユーザ端末10で共有される下りデータチャネルとしてのPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、送信データ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報などが伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、送信データや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクのチャネル状態情報(CSI(CQIなどを含む))、ACK/NACKなどが伝送される。
図11を参照しながら、本実施の形態に係る基地局装置の全体構成について説明する。なお、基地局装置20A、20Bは、同様な構成であるため、基地局装置20として説明する。基地局装置20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(通知部)203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより基地局装置20からユーザ端末に送信される送信データは、上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
ベースバンド信号処理部204において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、送信データの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われる。
また、ベースバンド信号処理部204は、報知チャネルにより、同一送信ポイントに接続するユーザ端末10に対して、各ユーザ端末10が基地局装置20との無線通信するための制御情報を通知する。当該送信ポイントにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACH(Physical Random Access Channel)におけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)などが含まれる。
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部202は周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。
一方、上りリンクによりユーザ端末10から基地局装置20に送信される信号については、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
ベースバンド信号処理部204は、上りリンクで受信したベースバンド信号に含まれる送信データに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行う。復号された信号は伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、基地局装置20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
次に、図12を参照しながら、本実施の形態に係るユーザ端末の全体構成について説明する。ユーザ端末10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(受信部)103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などがなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクの送信データは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
一方、上りリンクの送信データは、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、マッピング処理、再送制御(HARQ)の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理を行う。送受信部103は、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。
図13を参照して、CIS−RSパターンの決定処理に対応した基地局装置の機能ブロックについて説明する。なお、図13の各機能ブロックは、主に図11に示すベースバンド処理部に関するものである。また、図13の機能ブロック図は、本発明を説明するために簡略化したものであり、ベースバンド処理部において通常備える構成を備えるものとする。
基地局装置20は、送信側において、測定RE決定部401、上位制御情報生成部402と、下り送信データ生成部403と、下り制御情報生成部404と、CSI−RS生成部405と、下り送信データ符号化・変調部406と、下り制御情報符号化・変調部407と、位相制御部411とを備えている。また、基地局装置20は、下りチャネル多重部408と、IFFT部409と、CP付加部410とを備えている。
測定RE決定部401は、希望信号測定のための参照信号(CSI−RS)を割り当てるリソース(SMR)及び干渉測定のための参照信号を割当てるリソース(IMR)を決定する。また、測定RE決定部401は、希望信号測定のための参照信号を割り当てるリソース(測定RE)及び干渉信号推定のためのリソース(測定RE)の組合せを決定する。
例えば、測定RE決定部401は、図4Bに示すように、複数の送信ポイントからそれぞれ送信される干渉測定用CSI−RSが割当てられるリソース(IMR)を同じ位置に設定する。また、各送信ポイントから送信される希望信号測定用CSI−RSが割当てられるリソース(SMR)が送信ポイント間で重ならないように設定する。
干渉測定用CSI−RS、希望信号測定用CSI−RSの割当てに関する情報(CSI−RSパターン情報)は、ユーザ端末に準静的にシグナリングする場合には、ハイヤレイヤシグナリング(例えばRRCシグナリング)するために上位制御情報生成部402に送られる。また、この割当てに関する情報は、ユーザ端末に動的にシグナリングする場合には、下り制御情報に含めるために下り制御情報生成部404に送られる。また、この割当てに関する情報は、CSI−RSを生成するためにCSI−RS生成部405に送られると共に、下り送信データをゼロパワー(ミューティング)にするために下り送信データ生成部403に送られる。
上位制御情報生成部402は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)により送受信される上位制御情報を生成し、生成した上位制御情報を下り送信データ符号化・変調部406に出力する。例えば、上位制御情報生成部402は、測定RE決定部401から出力された情報を含む上位制御情報(CSI−RSの送信パラメータに関する情報)を生成する。また、上位制御情報生成部402は、位相制御部411で決定された干渉測定用CSI−RSの位相回転量に関する情報を含む上位制御情報を生成する。この場合、上記図6で示したテーブルを参照して、所定の位相回転量に対応するビット情報を生成することができる。
下り送信データ生成部403は、下りリンクの送信データを生成し、その下り送信データを下り送信データ符号化・変調部406に出力する。下り送信データ生成部403は、測定RE決定部401から出力された割当て情報にしたがって、ゼロパワーCSI−RSを配置する(ミューティングする)。
下り制御情報生成部404は、下りリンクの制御情報を生成し、その下り制御情報を下り制御情報符号化・変調部407に出力する。下り送信データ符号化・変調部406は、下り送信データ及び上位制御情報に対してチャネル符号化及びデータ変調を行い、下りチャネル多重部408に出力する。下り制御情報符号化・変調部407は、下り制御情報に対してチャネル符号化及びデータ変調を行い、下りチャネル多重部408に出力する。
位相制御部411は、干渉測定用CSI−RSに対する位相回転量を制御し、CSI−RS生成部405に出力する。位相制御部は、上述したように、当該基地局装置の固有の情報(例えば、セルID)に基づいて位相回転量(θ)を決定することができる。他にも、希望信号測定用CSI−RSの割当てパターンに基づいて位相回転量(θ)を決定することができる。また、位相制御部411は、決定した位相回転量に関する情報をCSI−RS生成部405に出力する。また、決定した位相回転量をユーザ端末に通知する場合には、位相回転量に関する情報を上位制御情報生成部402に出力する。
CSI−RS生成部405は、測定RE決定部401から出力された割当て情報にしたがって希望信号測定用CSI−RS、干渉測定用CSI−RSを生成し、これらのCSI−RSを下りチャネル多重部408に出力する。また、CSI−RS生成部405は、位相制御部411から出力された位相回転量に基づいて、生成した干渉測定用CSI−RSの位相回転を行うことができる。
下りチャネル多重部408は、下り制御情報、CSI−RS、上位制御情報及び下り送信データを合成して送信信号を生成する。下りチャネル多重部408は、生成した送信信号をIFFT部409に出力する。IFFT部409は、送信信号を逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform)し、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。IFFT後の送信信号をCP付加部410に出力する。CP付加部410は、IFFT後の送信信号にCP(Cyclic Prefix)を付加して、CP付加後の送信信号を図11に示すアンプ部202に出力する。
図14を参照して、本実施の形態に係るユーザ端末の機能ブロックについて説明する。なお、図14の各機能ブロックは、主に図12に示すベースバンド処理部104に関するものである。また、図12に示す機能ブロックは、本発明を説明するために簡略化したものであり、ベースバンド処理部において通常備える構成は備えるものとする。
ユーザ端末10は、受信側において、CP除去部301と、FFT部302と、下りチャネル分離部303と、下り制御情報受信部304と、下り送信データ受信部305と、干渉信号推定部306と、チャネル推定部307と、CQI測定部308と、位相回転量取得部309とを備えている。
基地局装置20から送出された送信信号は、図12に示す送受信アンテナ101により受信され、CP除去部301に出力される。CP除去部301は、受信信号からCPを除去し、FFT部302に出力する。FFT部302は、CP除去後の信号を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)し、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。FFT部302は、周波数領域の信号に変換された信号を下りチャネル分離部303に出力する。
下りチャネル分離部303は、下りチャネル信号を、下り制御情報、下り送信データ、CSI−RSに分離する。下りチャネル分離部303は、下り制御情報を下り制御情報受信部304に出力し、下り送信データ及び上位制御情報を下り送信データ受信部305に出力し、干渉測定用CSI−RSを干渉信号推定部306に出力し、希望信号測定用CSI−RSをチャネル推定部307に出力する。
下り制御情報受信部304は、下り制御情報を復調し、復調された下り制御情報を下り送信データ受信部305に出力する。下り送信データ受信部305は、復調された下り制御情報を用いて下り送信データを復調する。このとき、下り送信データ受信部305は、上位制御情報に含まれるリソース情報に基づいて希望信号測定用RE(SMR)及び干渉測定用RE(IMR)を特定する。下り送信データ受信部305は、希望信号測定RE及び干渉測定用REを除いて、ユーザデータを復調する。また、下り送信データ受信部305は、下り送信データに含まれる上位制御情報を位相回転量決定部309、干渉信号推定部306、チャネル推定部307に出力する。
位相回転量取得部309は、基地局装置で付与された干渉測定用CSI−RSの位相回転量を決定する。上述したように、位相回転量がセルIDやCSI−RSパターン位置に対応づけられている場合には、位相回転量取得部309は、これらの情報に基づいて位相回転量を決定することができる。また、位相回転量がビット情報で規定されている場合には、上記図6に示したテーブルを参照して位相回転量を特定することができる。
干渉信号推定部306は、位相回転量決定部309で特定された位相回転量、上位制御情報(又は下り制御情報)に含まれる送信パラメータ等の情報に基づいて、干渉測定用REで干渉信号を推定する。干渉信号推定部306は、干渉信号の推定を行い、全てのリソースブロックで測定結果を平均化することができる。平均化された干渉信号の推定結果は、CQI測定部308に通知される。
チャネル推定部307は、上位制御情報(又は下り制御情報)に含まれる送信パラメータ等の情報に基づいて希望信号測定用RE(CSI−RSリソース)を特定し、希望信号測定用REで希望信号を推定する。なお、チャネル推定部307は、上記図9Bで示したように、希望信号測定用RE(SMR)に加えて、干渉測定用RE(IMR)を用いてチャネル推定を行うことも可能である。
チャネル推定部307は、チャネル推定値をCQI測定部308に通知する。CQI測定部308は、干渉信号推定部306から通知される干渉推定結果、及びチャネル推定部307から通知されるチャネル推定結果、フィードバックモードに基づいてチャネル状態(CQI)を算出する。なお、フィードバックモードは、Wideband CQI、Subband CQI、best-M averageのいずれが設定されてもよい。CQI測定部308で算出されたCQIは、フィードバック情報として基地局装置20に通知される。
本発明は上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明におけるCSI−RSの設定位置、ミューティング(ゼロパワー)の設定位置、処理部の数、処理手順、CSI−RSの数、ミューティングの数、送信ポイント数については適宜変更して実施することが可能である。また、上記説明においては、複数の送信ポイントが複数の基地局装置である場合について説明しているが、送信ポイントはアンテナであっても良い。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。