JP5887265B2 - Gip受容体活性グルカゴン化合物 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2009年6月16日に出願された米国特許仮出願第61/187,578号の優先権を主張するものである。
プレプログルカゴンは、様々な組織でプロセスされて、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)、及びオキシントモジュリン(OXM)を含む多数の異なるプログルカゴン由来ペプチドを形成し、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃内容排出、及び腸成長、並びに食物摂取量の調節を含む幅広く多様な生理学的機能に関与する158個アミノ酸の前駆体ポリペプチドである。グルカゴンは、プレプログルカゴンのアミノ酸33〜61に対応する29個アミノ酸のペプチドであり、GLP−1は、プレプログルカゴンのアミノ酸72〜108に対応する37個アミノ酸のペプチドとして産生される。GLP−1(7〜36)アミド又はGLP−1(7〜37)酸は、GLP−1の生物学的有効形態であり、GLP−1受容体に対して本質的に同等の活性を示す。
低血糖症は、血糖レベルが低下し過ぎて、身体活動に十分なエネルギーを供給することができない場合に生じる。成人又は10歳を超える小児では、低血糖症は、糖尿病治療の副作用を除くとまれであるが、他の薬物治療若しくは疾患、ホルモン若しくは酵素欠損症、又は腫瘍に起因する場合がある。血糖が低下し始めると、膵臓により産生されるホルモンであるグルカゴンは、グリコーゲン分解及びグルコース放出のシグナルを肝臓に伝達し、正常レベルに向う血糖レベルの上昇を引き起こす。従って、グルコース調節におけるグルカゴンの最も認められている役割は、インスリン作用を打ち消し、血糖レベルを維持することである。しかしながら、糖尿病の場合、低血糖症に対するこのグルカゴン応答は障害を受けている場合があり、グルコースレベルを正常範囲に戻すことがより困難になる。
低血糖症は、直ちに医学的対応が必要な生命に関わる事象である。グルカゴンの投与は、急性低血糖症を治療するための確立されている薬物治療であり、投与の数分以内に正常なグルコースレベルを回復することができる。グルカゴンが低血糖症の急性治療に使用される場合、結晶形態のグルカゴンを希酸性緩衝液で可溶化し、溶液を筋肉内に注入する。この治療は効果的であるものの、この方法は、意識混濁している人には重荷であり、危険である。従って、関連する生理学的条件下で、親分子の生物学的な性能を維持又は凌駕するが、十分に可溶性であり、安定しており、すぐ注射できる液剤として事前に製剤化することができるグルカゴン類似体が必要とされている。
加えて、糖尿病患者は、微小血管合併症を遅延又は予防するために、正常な血糖レベル付近を維持するように奨励される。この目的の達成には、通常は強化インスリン療法が必要とされる。この目的の達成を試みる際に、医師は、糖尿病患者の低血糖症の頻度及び重症度の実質的増加に遭遇している。従って、現行のインスリン療法よりも低血糖症を誘導する可能性がより少ない糖尿病治療には、医薬品及び方法の改良が必要である。
GLP−1は、グルカゴンと比較して、異なる生物活性を有する。その作用には、インスリン合成及び分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、及び食物摂取量の抑制が含まれる。GLP−1は、糖尿病患者の高血糖症(グルコースレベル上昇)を低減することが示されている。GLP−1と約50%のアミノ酸同一性を共有するトカゲ毒由来のペプチドであるエキセンディン−4は、GLP−1受容体を活性化し、同様に糖尿病患者の高血糖症を低減することが示されている。
GLP−1及びエキセンディン−4が、食物摂取量を低減させ、体重減少を促進するという根拠も存在し、それは糖尿病患者だけでなく肥満に苦しむ患者にとっても有益な効果であろう。肥満の患者は、糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管疾患、及び筋骨格疾患のより高いリスクを有する。
従って、糖尿病及び肥満を治療するための代替的で好ましくは改良された方法に対する必要性が依然として存在する。
本明細書に記載のように、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示すグルカゴンペプチドの類似体が、本発明により提供される。加えて、そのような類似体を使用する方法が、本明細書で提供される。
天然グルカゴン(配列番号1)はGIP受容体を活性化せず、典型的には、天然グルカゴンは、GIP受容体に対する天然GIP活性の本質的に0%(例えば、0.001%未満、0.0001%未満)の活性を示す。また、天然グルカゴンは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約1%を示す。天然グルカゴン(配列番号1)の活性と同等以上の強力なグルカゴン活性、天然GIP(配列番号675)の活性と同等以上の強力なGIP活性、及び/又は天然GLP−1の活性と同等以上の強力なGLP−1活性を示すことができるグルカゴンペプチドの類似体をもたらす、天然グルカゴン配列(配列番号1)に対する修飾が、本明細書に記載されている。GLP−1(7〜36)アミド(配列番号52)又はGLP−1(7〜37)(酸)(配列番号50)は、GLP−1の生物学的有効形態であり、GLP−1受容体に対して本質的に同等の活性を示す。
本明細書に記載のデータは、GIP活性及びGLP−1活性を両方とも有するグルカゴン類似体が、糖尿病を含む高血糖症の治療だけでなく体重減少の誘導又は体重増加の予防にも特に有利であることを示す。この活性は、GIPの拮抗が、1日の食物摂取量及び体重を低減させ、インスリン感受性及びエネルギー消費を増加させるのに望ましいという当技術分野の教示を考慮すると、特に予想外である。(Irwin et al, Diabetologia 50: 1532−1540 (2007);及びAlthage et al., J Biol Chem、2008年4月17日に電子的に公開された)。
従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチド類似体は、約100nM以下、又は約75、50、25、10、8、6、5、4、3、2、若しくは1nM以下のGIP受容体活性化活性のEC50を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、約0.001nM、0.01nM、又は0.1nMの、GIP受容体に対するEC50を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、多くとも約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、40nM、50nM、75nM、又は100nMの、GIP受容体に対するEC50を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、約100nM以下、又は約75、50、25、10、8、6、5、4、3、2、若しくは1nM以下のグルカゴン受容体活性化のEC50を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、約0.001nM、0.01nM、又は0.1nMの、グルカゴン受容体に対するEC50を示す。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対するEC50は、多くとも約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、40nM、50nM、75nM、又は100nMである。幾つかの実施形態では、類似体は、約100nM以下、又は約75、50、25、10、8、6、5、4、3、2、若しくは1nM以下のGLP−1受容体活性化のEC50を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、約0.001nM、0.01nM、又は0.1nMの、GLP−1受容体に対するEC50を示す。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対するEC50は、多くとも約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、8nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、40nM、50nM、75nM、又は100nMである。受容体活性化は、受容体を過剰発現するHEK293細胞でのcAMP誘導を測定するin vitroアッセイ、例えば、受容体をコードするDNA及び実施例14に記載のcAMP反応性エレメントに結合されたルシフェラーゼ遺伝子で同時形質移入されたHEK293細胞のアッセイにより測定することができる。
幾つかの実施形態では、類似体は、天然GIP(GIP効力)と比べたGIP受容体に対する活性の少なくとも約0.005%、0.0075%、0.01%、0.025%、0.05%、0.075%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、又は200%以上を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、天然GIPと比べたGIP受容体に対する活性の多くとも1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、天然グルカゴン(グルカゴン効力)と比べたグルカゴン受容体に対する活性の少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、又は500%以上を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、天然グルカゴンと比べたグルカゴン受容体に対する活性の多くとも1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、天然GLP−1(GLP−1効力)と比べたGLP−1受容体に対する活性の少なくとも約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、又は200%以上を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の類似体は、天然GLP−1と比べたGLP−1受容体に対する活性の多くとも1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。
ある実施形態では、本明細書に記載の類似体及びグルカゴンペプチドは、親水性部分、例えばPEGを欠如する場合は、表示されている活性%を示すが、親水性部分、例えばPEGを含む場合は、活性%の減少(例えば、約10倍の活性減少)を示す。従って、幾つかの実施形態では、類似体は、親水性部分を欠如する場合、前述の活性%レベルを示し、親水性部分を含む場合は、約10倍の活性減少を示す。受容体の天然リガンドと比べた受容体に対する類似体の活性は、類似体対天然リガンドのEC50の逆比として計算される。
従って、本発明の1つの態様は、グルカゴン受容体及びGIP受容体の両方に対して活性を示す類似体(「グルカゴン/GIP同時アゴニスト」)を提供する。これら類似体は、GIP受容体と比較して、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの選択性を喪失している。幾つかの実施形態では、GIP受容体に対する類似体のEC50は、グルカゴン受容体に対するそのEC50と、約50倍、40倍、30倍、又は20倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、類似体のGIP効力は、そのグルカゴン効力と、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、又は5倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対する類似体のEC50で除算したGIP受容体に対する類似体のEC50の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対するEC50で除算したGIP受容体に対するEC50の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、類似体のグルカゴン効力と比較した類似体のGIP効力の比率は、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対する効力で除算したGIP受容体に対する効力の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、GLP−1活性は、例えば、7位のアミノ酸の修飾、例えばIleでの置換、27又は28位のアミノ酸のC末端側のアミノ酸(複数可)を欠失させて、27又は28個アミノ酸のペプチドを産生すること、又はそれらの組み合わせにより、著しく低減又は破壊される。
本発明の別の態様は、グルカゴン、GIP、及びGLP−1受容体に対して活性を示す類似体(「グルカゴン/GIP/GLP−1トリアゴニスト」)を提供する。これら類似体は、GLP−1及びGIP受容体の両方と比較して、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの選択性を喪失している。幾つかの実施形態では、GIP受容体に対する類似体のEC50は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対するそのそれぞれのEC50と、約5000倍、2500倍、750倍、500倍、250倍、100倍、50倍、40倍、30倍、又は20倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、類似体のGIP効力は、そのグルカゴン及びGLP−1効力と、約1000、750、500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、又は5倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対するトリアゴニストのEC50で除算したGIP受容体に対するトリアゴニストのEC50の比率は、約10,000、7500、5000、2500、1000、750、500、250、100、75、60、50、40、30、20、15、10、5、又は1未満である。幾つかの実施形態では、GIP受容体に対するEC50で除算したGLP−1受容体に対するEC50の比率は、約5、4、3、2、又は1、又は約1未満(例えば、約0.00001、0.0001、0.001、0.0025、0.005、0.0075、0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対するEC50は、約0.1より大きい(例えば、約0.25より大きい、約0.5より大きい、約0.75より大きい、約1より大きい)。幾つかの実施形態では、トリアゴニストのGLP−1効力と比較したトリアゴニストのGIP効力の比率は、約1000、750、500、250、100、75、60、50、40、30、20、15、10、5、又は1未満である。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対する効力で除算したGIP受容体に対する効力の比率は、約5、4、3、2、又は1、又は約1未満(例えば、約0.0001、0.001、0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。関連する実施形態では、グルカゴン受容体に対するトリアゴニストのEC50で除算したGIP受容体に対するトリアゴニストのEC50の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対するEC50で除算したGIP受容体に対するEC50の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、トリアゴニストのグルカゴン効力と比較したトリアゴニストのGIP効力の比率は、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対する効力で除算したGIP受容体に対する効力の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対するトリアゴニストのEC50で除算したGLP−1受容体に対するトリアゴニストのEC50の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対するEC50で除算したGLP−1受容体に対するEC50の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、トリアゴニストのグルカゴン効力と比較したトリアゴニストのGLP−1効力の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。幾つかの実施形態では、グルカゴン受容体に対する効力で除算したGLP−1受容体に対する効力の比率は、約1又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。
本発明の更に別の態様は、GLP−1及びGIP受容体に対して活性を示すが、グルカゴン活性が、例えば3位のアミノ酸修飾により著しく低減又は破壊されている類似体(「GIP/GLP−1同時アゴニスト」)を提供する。例えば、この位置における、酸性、塩基性、又は疎水性のアミノ酸(グルタミン酸、オルニチン、ノルロイシン)での置換は、グルカゴン活性を低減する。幾つかの実施形態では、GIP受容体に対する類似体のEC50は、GLP−1受容体に対するそのEC50と、約1000倍、750倍、500倍、250倍、100倍、50倍、40倍、30倍、又は20倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、類似体のGIP効力は、そのGLP−1効力と、約1000、750、500、250、100、25、20、15、10、又は5倍未満だけ異なる(より高いか又はより低い)。幾つかの実施形態では、これら類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下を有し、例えば約1〜10%、又は約0.1〜10%、又は約0.1%より大きいが約10%未満である。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対する類似体のEC50で除算したGIP受容体に対する類似体のEC50の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満、及び1以上である。幾つかの実施形態では、類似体のGLP−1効力と比較した類似体のGIP効力の比率は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満、及び1以上である。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対する同時アゴニストのEC50で除算したGIP受容体に対する同時アゴニストのEC50の比率は、約10,000、7500、5000、2500、1000、750、500、250、100、75、60、50、40、30、20、15、10、5、又は1未満である。幾つかの実施形態では、GIP受容体に対するEC50で除算したGLP−1受容体に対するEC50の比率は、約5、4、3、2、又は1、又は約1未満(例えば、約0.00001、0.0001、0.001、0.0025、0.005、0.0075、0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。幾つかの実施形態では、同時アゴニストのGLP−1効力と比較した同時アゴニストのGIP効力の比率は、約1000、750、500、250、100、75、60、50、40、30、20、15、10、5、又は1未満である。幾つかの実施形態では、GLP−1受容体に対する効力で除算したGIP受容体に対する効力の比率は、約5、4、3、2、又は1、又は約1未満(例えば、約0.0001、0.001、0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。
本発明の更なる態様は、GIP受容体に対して活性を示し、グルカゴン及びGLP−1活性が、例えば3及び7位のアミノ酸修飾により著しく低減又は破壊されている類似体(「GIPアゴニストグルカゴンペプチド」)を提供する。幾つかの実施形態では、これら類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下を有し、例えば約1〜10%、又は約0.1〜10%、又は約0.1%、0.5%、若しくは1%より大きいが約1%、5%、若しくは10%未満である。幾つかの実施形態では、これら類似体は、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約10%以下を有し、例えば、約1〜10%、又は約0.1〜10%、又は約0.1%、0.5%、若しくは1%より大きいが約1%、5%、若しくは10%未満である。
本発明の幾つかの態様では、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類似体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する配列番号1、及び類似体の29位のアミノ酸のC末端側に1〜21個のアミノ酸(例えば、5〜18、7〜15、9〜12個のアミノ酸)の延長部分を含む。
ある態様では、類似体は、少なくとも1個のアミノ酸修飾、及び最大15個のアミノ酸修飾(例えば、多くとも15個のアミノ酸修飾、多くとも10個のアミノ酸修飾)を含む。例えば、類似体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸修飾を有する配列番号1を含むことができる。ある態様では、類似体は、少なくとも1個のアミノ酸修飾、最大10個のアミノ酸修飾、及び追加的な保存的アミノ酸修飾を含む。更なる態様では、アミノ酸修飾の少なくとも1つは、類似体のC末端部分に安定化されたアルファヘリックス構造を付与する。安定化されたアルファヘリックス構造を達成する修飾は、本明細書に記載されている。例えば、アルファヘリックス/分子内架橋の安定化と題する項目の教示を参照されたい。
アシル化又はアルキル化されたC末端延長部分、又は1〜6個の正荷電アミノ酸を含むC末端延長部分を含む類似体は、意外にもGIP受容体に対するアゴニスト活性の増加を示した。従って、ある態様では、37〜43位(配列番号1の付番による)のいずれかに位置する延長部分のアミノ酸の少なくとも1つは、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル又はアルキル基を含んでおり、つまり延長部分はアシル化又はアルキル化されている。幾つかの実施形態では、アシル又はアルキル基は、アミノ酸に、例えばアミノ酸の側鎖を介して直接結合されている。他の実施形態では、アシル又はアルキル基は、スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、疎水性の二官能性スペーサー)を介してアミノ酸に結合されている。アシル又はアルキル基を含む好適なアミノ酸、並びに好適なアシル基及びアルキル基は、本明細書に記載されている。例えば、アシル化及びアルキル化と題する項目の教示を参照されたい。
他の実施形態では、延長部分の1〜6個のアミノ酸(例えば、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5個のアミノ酸)は、例えばLys等の正荷電アミノ酸、例えば式IVのアミノ酸である。本明細書で使用される場合、用語「正荷電アミノ酸」は、生理学的なpH(例えば、pH6.8〜8.0、pH7.0〜7.7)においてその側鎖の原子に正電荷を含む、天然又は非天然のあらゆるアミノ酸を指す。ある態様では、正荷電アミノ酸は、37、38、39、40、41、42、又は43位のいずれかに位置する。特定の実施形態では、正荷電アミノ酸は40位に位置する。
他の場合では、延長部分は、本明細書に記載のようにアシル化又はアルキル化されており、本明細書に記載のように1〜6個の正荷電アミノ酸を含む。
更に他の実施形態では、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類似体は、(i)少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する配列番号1、(ii)類似体の29位のアミノ酸のC末端側の1〜21個のアミノ酸(例えば、5〜18、7〜15、9〜12個のアミノ酸)の延長部分、及び(iii)C末端延長部分の外側(例えば、1〜29位のいずれか)に位置する天然アミノ酸に対して非天然であるアシル又はアルキル基を含むアミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、類似体は、10位にアシル化又はアルキル化アミノ酸を含む。特定の態様では、アシル又はアルキル基は、C4〜C30脂肪酸アシル又はC4〜C30アルキル基である。幾つかの実施形態では、アシル又はアルキル基は、スペーサー、例えばアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、疎水性の二官能性スペーサーを介してアミノ酸に結合されている。ある態様では、類似体は、16位のGlu及び20位のLys間の塩橋、又は16、20、21、及び24位のいずれか1、2、又は3箇所以上におけるアルファ,アルファ−ニ置換アミノ酸等の、アルファヘリックスを安定化させるアミノ酸修飾を含む。特定の態様では、類似体は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を付与するアミノ酸修飾を更に含む。更なるアミノ酸修飾を含む類似体が、本明細書で企図される。
ある実施形態では、GIP受容体活性を有する類似体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の少なくとも0.1%(例えば、少なくとも0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、又は20%)を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の20%超(例えば、50%超、75%超、100%超、200%超、300%超、500%超)を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、GLP−1及びグルカゴン受容体の1つ又は両方に対して測定可能なアゴニスト活性を示す。幾つかの態様では、これら受容体(GIP受容体及びGLP−1受容体及び/又はグルカゴン受容体)の選択性は、100倍以内である。例えば、GIP受容体活性を有する類似体のGLP−1受容体に対する選択性は、GIP受容体及び/又はグルカゴン受容体に対する選択性の100倍未満、50倍以内、25倍以内、15倍以内、10倍以内であってもよい。
本明細書に記載のように、グルカゴン受容体に対する活性増加も示し、更なる実施形態では、生物物理学的安定性及び/又は水溶解度の増強を示す高度に強力なグルカゴンアゴニスト類似体が提供される。加えて、本発明の別の態様によると、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの選択性を喪失し、従ってそれら2つの受容体の同時アゴニストであるグルカゴンアゴニスト類似体が提供される。グルカゴン類似体内の選択されたアミノ酸修飾は、グルカゴン受容体に比べてGLP−1受容体に対する類似体の相対的活性を制御することができる。従って、本発明の更に別の態様は、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体に対してより高い活性を有するグルカゴン同時アゴニスト類似体、両受容体に対してほぼ同等の活性を有するグルカゴン同時アゴニスト類似体、及びグルカゴン受容体と比べてGLP−1受容体に対してより高い活性を有するグルカゴン同時アゴニスト類似体を提供する。後者の種類の同時アゴニストは、グルカゴン受容体に対する活性をほとんど又は全く示さないが、天然GLP−1と同じか又はより良好な効力でGLP−1受容体を活性化する能力を保持するように操作することができる。これら類似体はいずれも、生物物理学的安定性及び/又は水溶解度の増強を付与する修飾を含むこともできる。
グルカゴン及びGLP−1受容体に対して同時アゴニズムを示すグルカゴン類似体は、幾つかの応用に有利である。まず第1には、低血糖症を治療するためのグルカゴンの使用は、低血糖レベルを過剰補償し、過剰な血糖レベルをもたらす場合がある。グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが投与される場合、追加的なGLP−1刺激は、グルカゴンアゴニスト効果を緩衝化して、低血糖症の治療に起因する過剰なグルコース血中レベルを予防することができる。
加えて、本明細書に記載のように、本発明のグルカゴン同時アゴニスト類似体を使用して、単独で又は他の抗糖尿病治療若しくは抗肥満治療と組み合わせて投与すると、高血糖症を制御するか、又は体重減少を誘導するか若しくは体重増加を防止することができる。体重減少を誘導する別の化合物は、小腸に見出される天然消化ホルモンであるオキシントモジュリンである(Diabetes 2005; 54:2390−2395を参照)。オキシントモジュリンは、グルカゴンの29個アミノ酸の配列(つまり、配列番号1)及びその後に配列番号27(KRNRNNIA)の8個アミノ酸のカルボキシ端末延長部分を含有する37個アミノ酸のペプチドである。本発明は、本明細書に記載のグルカゴン類似体が、この8個アミノ酸のカルボキシ末端延長部分(配列番号27)に随意に結合されていてもよいことを企図するが、幾つかの実施形態では、本発明は、配列番号27の8個の連続したカルボキシアミノ酸を欠如する類似体及び類似体の使用も明確に企図する。
化合物は、アミノ酸修飾により個別化して、ペプチドのGLP−1活性を制御することができ、従って本発明のグルカゴン類似体は、特定の状態又は疾患を治療するために特別に製作することができる。より詳しくは、各類似体が、それぞれのグルカゴン及びGLP−1受容体に対して特徴的な相対的活性レベルを示すグルカゴン類似体が本明細書で提供される。例えば、各ペプチドに修飾を行って、天然GLP1と比べてGLP−1受容体に対する活性の少なくとも約1%(少なくとも約1.5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%を含む)から約200%以上の範囲、及び天然グルカゴンと比べてグルカゴン受容体に対する活性の少なくとも約1%(約1.5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%を含む)から約500%以上の範囲を有するグルカゴンペプチドを産生することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴン活性の多くとも約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1活性の多くとも約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。天然グルカゴンのアミノ酸配列は配列番号1であり、GLP−1(7〜36)アミドのアミノ酸配列は配列番号52であり、GLP−1(7〜37)酸のアミノ酸配列は配列番号50である。例示的な実施形態では、グルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンの活性の少なくとも10%及びGLP−1受容体に対して天然GLP−1の活性少なくとも50%、又はグルカゴン受容体に対して天然グルカゴン活性の少なくとも40%及びGLP−1受容体に対して天然GLP−1活性の少なくとも40%、又はグルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の少なくとも60%及びGLP−1受容体に対して天然GLP−1活性の少なくとも60%を示すことができる。
GLP−1受容体と比べたグルカゴン受容体に対するグルカゴンペプチドの選択性は、グルカゴン/GLP−1活性の相対的比率(天然GLP−1と比べたGLP−1受容体に対するペプチドの活性で除算された天然グルカゴンと比べたグルカゴン受容体に対するペプチドの活性)として記述することができる。例えば、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の60%及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の60%を示すグルカゴンペプチドは、1:1比のグルカゴン/GLP−1活性を示す。グルカゴン/GLP−1活性の例示的な比率には、約1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、若しくは10:1、又は約1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2若しくは1:1.5が含まれる。一例として、10:1のグルカゴン/GLP−1活性比は、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体の選択性が10倍であることを示す。同様に、10:1のGLP−1/グルカゴン活性比は、グルカゴン受容体と比べてGLP−1受容体の選択性が10倍であることを示す。
1つの実施形態によると、効力の増強並びに随意に溶解度及び安定性の向上を示すグルカゴン類似体が提供される。1つの実施形態では、グルカゴン効力の増強は、天然グルカゴン(配列番号1)の16位のアミノ酸修飾により提供される。非限定的な例では、そのような効力の増強は、16位の天然セリンを、グルタミン酸で、又は長さが4個の原子の側鎖を有する別の負荷電アミノ酸で、又はその代わりにグルタミン、ホモグルタミン酸、若しくはホモシステイン酸、若しくは少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含有する側鎖を有し、側鎖の長さが約4個(又は3〜5個)の原子である荷電アミノ酸のいずれか1つで置換することにより提供することができる。1つの実施形態では、効力が増強されたグルカゴンアゴニストは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7のペプチド、又は配列番号5のグルカゴンアゴニスト類似体を含む。1つの実施形態によると、野生型グルカゴンと比べてグルカゴン受容体に対して増強された効力を有するグルカゴン類似体タンパク質が提供され、このペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、又は配列番号10の配列を含み、このグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体に対するその選択性を保持する。
グルカゴン受容体活性は、3位のアミノ酸修飾、例えば3位の天然グルタミンの置換により低減、維持、又は増強させることができる。1つの実施形態では、3位のアミノ酸を、酸性、塩基性、又は疎水性アミノ酸(グルタミン酸、オルニチン、ノルロイシン)で置換することにより、グルカゴン受容体活性が実質的に低減又は破壊されることが示される。例えば、グルタミン酸、オルニチン、又はノルロイシンで置換されている類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の約10%以下を示し、例えば約1〜10%、若しくは約0.1〜10%、又は約0.1%より大きいが約10%未満であるが、GLP−1受容体に対するGLP−1の活性の少なくとも20%を示す。例えば、本明細書に記載の例示的な類似体は、天然グルカゴン活性の約0.5%、約1%、又は約7%を示すが、GLP−1受容体に対するGLP−1の活性の少なくとも20%を示す。
別の実施形態では、グルカゴンペプチドの3位の天然グルタミンをグルタミン類似体で置換して、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に喪失させず、ある場合には、グルカゴン受容体活性を増強させることができる。例えば、3位にグルタミン類似体を含むグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン(例えば、配列番号1)の活性の約5%、約10%、約20%、約50%、又は約85%以上を示すことができる。幾つかの実施形態では、3位にグルタミン類似体を含むグルカゴンペプチドは、3位の修飾アミノ酸を除いてグルタミン類似体を含むペプチドと同じアミノ酸配列(例えば、配列番号601又は配列番号602)を有する対応するグルカゴンペプチドの、グルカゴン受容体に対する活性の約20%、約50%、約75%、約100%、約200%、又は約500%以上を示すことができる。幾つかの実施形態では、3位にグルタミン類似体を含むグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して活性の増強を示すが、活性の増強は、天然グルカゴン又は3位の修飾アミノ酸を除いてグルタミン類似体を含むペプチドと同じアミノ酸配列を有する対応するグルカゴンペプチドの活性の多くとも1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%である。
幾つかの実施形態では、グルタミン類似体は、構造I、II、又はIIIの側鎖を含む天然又は非天然アミノ酸であり、
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式中、Rは、C0〜3アルキル又はC0〜3ヘテロアルキルであり、Rは、NHR又はC1〜3アルキルであり、Rは、C1〜3アルキルであり、Rは、H又はC1〜3アルキルであり、Xは、NH、O、又はSであり、Yは、NHR、SR、又はORである。幾つかの実施形態では、XはNHであるか、又はYはNHRである。幾つかの実施形態では、RはC0〜2アルキル又はCヘテロアルキルである。幾つかの実施形態では、RはNHR又はCアルキルである。幾つかの実施形態では、RはH又はCアルキルである。構造Iの例示的な実施形態では、RはCH−Sであり、XはNHであり、RはCHであり(アセトアミドメチル−システイン、C(Acm));RはCHであり、XはNHであり、RはCHであり(アセチルジアミノブタン酸、Dab(Ac));RはCアルキルであり、XはNHであり、RはNHRであり、RはHであり(カルバモイルジアミノプロパン酸、Dap(尿素));又はRはCH−CHであり、XはNHであり、RはCHである(アセチルオルニチン、Orn(Ac))。構造IIの例示的な実施形態では、RはCHであり、YはNHRであり、RはCHであり(メチルグルタミン、Q(Me))、構造IIIの例示的な実施形態では、RはCHであり、RはHであり(メチオニン−スルホキシド、M(O))、特定の実施形態では、3位のアミノ酸は、Dab(Ac)で置換されている。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号595、配列番号601、配列番号603、配列番号604、配列番号605、及び配列番号606のアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、天然グルカゴンペプチドと比べてグルカゴン受容体に対する効力が増強又は保持されているが、GLP−1受容体に対する大きな活性増強も示すグルカゴン類似体が提供される。グルカゴンは、通常、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約1%を有するが、GLP−1は、通常、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンの活性の約0.01%未満を有する。GLP−1受容体に対する活性増強は、C末端アミノ酸のカルボキシル酸を、アミド又はエステル等の荷電中性基で置換することにより提供される。1つの実施形態では、これらグルカゴン類似体は、カルボキシ端末アミノ酸が、天然アミノ酸に見出されるカルボキシル酸基の代りのアミド基を有する配列番号20の配列を含む。これらグルカゴン類似体は、グルカゴン及びGLP−1受容体の両方に対して強力な活性を有し、従って両受容体に対して同時アゴニストとして作用する。1つの実施形態によると、グルカゴン及びGLP−1受容体同時アゴニストが提供され、このペプチドは配列番号20の配列を含み、28位のアミノ酸がAsn又はLysであり、29位のアミノ酸がThr−アミドである。
GLP−1受容体に対する活性増強は、3個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸、つまりiが12〜25の任意の整数である「i」位のアミノ酸及び「i+4」位のアミノ酸の側鎖間の分子内架橋、2個の介在アミノ酸、つまりjが12〜27の任意の整数である「j」位のアミノ酸及び「j+3」位のアミノ酸による分子内架橋、又は6個の介在アミノ酸、つまりkが12〜22の任意の整数である「k」位のアミノ酸及び「k+7」位のアミノ酸による分子内架橋の形成により、グルカゴンのC末端部分にあるアルファヘリックス構造(アミノ酸12〜29付近)を安定化させることによっても提供される。例示的な実施形態では、架橋又はリンカーは、長さが約8個(又は約7〜9個)の原子であり、12及び16位、又は16及び20位、又は20及び24位、又は24及び28位のアミノ酸側鎖間で形成される。これらアミノ酸の側鎖は、非共有結合、例えば水素結合、又は塩橋の形成等のイオン性相互作用により、又は共有結合により互いに結合されていてもよい。
1つの実施形態によると、配列番号20のグルカゴンペプチドを含み、12、20、又は28位に位置するリジン残基側鎖と16又は24位に位置するグルタミン酸残基側鎖との間でラクタム環が形成されており、その側鎖がラクタム環の形成に寄与しているグルカゴンペプチドの2個のアミノ酸が、3個の介在アミノ酸により互いに隔てられているグルカゴンアゴニストが提供される。1つの実施形態によると、ラクタム保持グルカゴン類似体は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態では、ラクタム保持ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、末端カルボキシル酸の代りにアミド基又はエステル基を含む。1つの実施形態では、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18のグルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18のカルボキシ末端に共有結合で結合された追加的なアミノ酸を更に含む。更なる実施形態では、配列番号66、配列番号67、配列番号68、及び配列番号69からなる群から選択される配列を含み、配列番号66、配列番号67、配列番号68、及び配列番号69のカルボキシ末端に共有結合で結合された追加的なアミノ酸を更に含むグルカゴンペプチドが提供される。1つの実施形態では、28位のアミノ酸は、アスパラギン又はリジンであり、29位のアミノ酸は、トレオニンである。
幾つかの特定の実施形態では、グルカゴンアゴニストペプチドのC末端部分にあるアルファヘリックス構造の安定化は、ラクタム架橋以外の共有結合性分子内架橋の形成により達成される。例えば、好適な共有結合を形成する方法(つまり、共有結合性分子内架橋を形成する手段)には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づく環化、ジスルフィド架橋又は修飾硫黄含有架橋の形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、及びペプチド環化の他の手段のいずれか1つ又は複数が含まれ、アルファヘリックスを安定させるために使用される。
GLP−1受容体に対する活性増強は、所望の活性を保持する位置に1つ又は複数のα,α−二置換アミノ酸を導入することにより、グルカゴンペプチドのC末端部分にあるアルファヘリックス構造(アミノ酸12〜29付近)を安定化させることによっても提供される。幾つかの態様では、アルファヘリックスの安定化は、塩橋又は共有結合等の分子内架橋を意図的に導入せずに、この様式で達成される。そのようなペプチドは、分子内架橋を欠如するペプチドとして、本明細書にて考慮することができる。特定の態様では、アルファヘリックスの安定化は、共有結合性分子内架橋、例えばラクタム架橋、ジスルフィド架橋を導入せずに、1つ又は複数のα,α−二置換アミノ酸を導入することにより達成される。そのようなペプチドは、共有結合性分子内架橋を欠如するペプチドとして、本明細書にて考慮することができる。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドの16、17、18、19、20、21、24、又は29位のうちの1、2、3、又は4箇所以上が、α,α−二置換アミノ酸で置換される。例えば、アミノイソ酪酸(AIB)によるグルカゴンペプチドの16位の置換は、塩橋又はラクタムの非存在下で、GLP−1活性を増強する。幾つかの実施形態では、16、20、21、又は24位のうちの1、2、又は3箇所以上が、AIBで置換される。
分子内架橋(例えば、共有結合性分子内架橋)を欠如するグルカゴン類似体ペプチドのGLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性増強は、ペプチドの10位のアミノ酸側鎖にアシル又はアルキル基を付加することにより提供される。幾つかの態様では、アシル又はアルキル基は、天然ではアミノ酸に存在しない。特定の態様では、アシル又はアルキル基は、いかなる天然アミノ酸に対しても非天然である。幾つかの実施形態では、アシル基は、脂肪酸アシル基、例えばC4〜C30脂肪酸アシル基である。例えば、本明細書では、共有結合性分子内架橋を欠如し、16位にAIBを含み、C14、C16、又はC18脂肪酸アシル基が共有結合で10位のLys残基に結合されているグルカゴン類似体ペプチドが提供される。また、分子内架橋(例えば、共有結合性分子内架橋)を欠如し、2及び16位にAIBを含み、C14、C16、又はC18脂肪酸アシル基が共有結合で10位のLys残基に結合されているグルカゴン類似体ペプチドが提供される。分子内架橋(例えば、共有結合性分子内架橋)を欠如するそのようなアシル化グルカゴン類似体ペプチドは、本明細書に更に記載のようにペグ化されていてもよい。
分子内架橋(例えば、分子内架橋)を欠如するアシル化グルカゴン類似体ペプチドのGLP−1活性及びグルカゴン活性の更なる増強は、アシル又はアルキル基と10位のアミノ酸側鎖との間にスペーサーを組み込むことにより達成することができる。幾つかの実施形態によると、スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、又は疎水性の二官能性スペーサー)は、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)である。ある特定の実施形態によると、スペーサー及びアシル又はアルキル基の全長は、14〜28個の原子、例えば17〜28個の、19〜26個の原子、19〜21個の原子である。分子内架橋(例えば、共有結合性分子内架橋)を欠如するアシル化又はアルキル化ペプチドのGLP−1活性及びグルカゴン活性を増強するために好適なスペーサーは、本明細書にて更に記載されている。
例えば、本明細書では、アシル基又はアルキル基を含み、多くとも10個のアミノ酸修飾が配列番号1とは異なる非天然グルカゴンペプチドが提供され、アシル又はアルキル基はスペーサーに結合されており、スペーサーは、グルカゴンペプチドの10位のアミノ酸側鎖に結合されており、前記グルカゴンペプチドが、親水性部分、例えばPEGを欠如する場合、前記グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1活性の少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、約100%、約150%、約200%、約400%、約500%以上)を示す。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドが親水性部分、例えばPEGを欠如する場合、グルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の少なくとも0.5%(例えば、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%)を示す。幾つかの実施形態では、上述のグルカゴンペプチドは、上記に示されている活性のいずれか、及びグルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の多くとも約1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示すことができる。幾つかの実施形態では、上述のグルカゴンペプチドは、上記に示されている活性のいずれか、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1活性の多くとも約1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示すことができる。
GLP−1受容体に対する活性増強は、20位のアミノ酸修飾によっても提供される。1つの実施形態では、20位のグルタミンは、電荷を有するか又は水素結合する能力を有するかのいずれかである側鎖を有する別の親水性アミノ酸で置換されており、長さが少なくとも約5個(又は、約4〜6個)の原子であり、例えば、リジン、シトルリン、アルギニン、又はオルニチンである。
GLP−1活性は、(i)C末端アルファカルボキシラート基、(ii)ヒドロキシル基を欠如するアミノ酸、例えばAbu又はIleによる7位Thrの置換、(iii)27又は28位のアミノ酸のC末端側のアミノ酸(複数可)を欠失させて(例えば、28位のアミノ酸の欠失、28及び29位のアミノ酸の欠失)、長さが27又は28個アミノ酸のペプチドを産生すること、又は(iv)それらの組み合わせを含むことにより低減させることができる。
グルカゴン受容体活性を増加又は減少させ、GLP−1受容体活性を増加させる上述の修飾はいずれも、個々に又は組み合わせて適用することができる。GLP−1受容体活性を増加させる修飾の組み合わせは、そのような修飾のいずれかを単独で使用した場合よりも高いGLP−活性を提供する場合がある。例えば、本発明は、16位、20位、及びC末端カルボキシル酸基における修飾を含み、随意に16及び20位のアミノ酸間に共有結合を有するグルカゴン類似体;16位及びC末端カルボキシル酸基における修飾を含むグルカゴン類似体;16及び20位における修飾を含み、随意に16及び20位のアミノ酸間に共有結合を有するグルカゴン類似体;並びに20位及びC末端カルボキシル酸基における修飾を含むグルカゴン類似体を提供し、但し随意に12位のアミノ酸はArgではなく、又は但し随意に9位のアミノ酸はGluではない。
本明細書に記載の1又は2位における他の修飾は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP IV)切断に対するペプチドの耐性を増加させることができる。例えば、2位のアミノ酸は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、又はアミノイソ酪酸で置換されてもよい。その代わりに又はそれに加えて、1位のアミノ酸は、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、又はアルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA、dimethyl imidiazole acetic acid)で置換されてもよい。
2位における修飾(例えば2位のAIB)及び幾つかの場合では1位における修飾が、グルカゴン活性を時には著しく低減する場合があることが観察され、驚くべきことに、グルカゴン活性のこの低減は、例えば、「i」及び「i+4」位、例えば12及び16位、16及び20位、又は20及び24位のアミノ酸間の共有結合によって、グルカゴンのC末端部分にあるアルファヘリックスを安定化させることにより回復させることができる。幾つかの実施形態では、この共有結合は、16位のグルタミン酸と20位のリジンとの間のラクタム架橋である。幾つかの実施形態では、この共有結合は、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。例えば、好適な共有結合を形成する方法には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づく環化、ジスルフィド架橋又は修飾硫黄含有架橋の形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、及びペプチド環化の他の手段のいずれか1つ又は複数が含まれる。
大型芳香族アミノ酸(例えば、Tyr)による1位のHisの非保存的置換を含有し、GLP−1活性を有するグルカゴンペプチドは、アルファヘリックスが、分子内架橋により、例えば「i」及び「i+4」位の、例えば12及び16位、16及び20位、20及び24位のアミノ酸間の共有結合により安定化されれば、GLP−1活性を保持することができる。幾つかの実施形態では、この共有結合は、16位のグルタミン酸と20位のリジンとの間のラクタム架橋である。幾つかの実施形態では、この共有結合は、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。例えば、好適な共有結合を形成する方法には、オレフィンメタセシス、ランチオニンに基づく環化、ジスルフィド架橋又は修飾硫黄含有架橋の形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、及びペプチド環化の他の手段のいずれか1つ又は複数が含まれる。
また更なる例示的な実施形態では、先述の化合物のいずれかを、配列番号1の15位のアミノ酸を修飾することにより更に修飾して安定性を向上させ、特に酸性又はアルカリ性緩衝液中での経時的なペプチドの分解を低減することができる。
別の実施形態では、本明細書で開示されたグルカゴンペプチドの溶解度は、ペプチドに親水性部分を共有結合で結合することにより増強される。1つの実施形態では、親水性部分は、随意にC末端延長部分内の16、17、21、24、29位の1箇所若しくは複数箇所又はC末端アミノ酸においてペプチドに結合されたポリエチレングリコール(PEG)鎖である。幾つかの実施形態では、その位置の天然アミノ酸は、ペプチドへの親水性部分の結合を容易にするために、親水性部分との架橋結合に好適な側鎖を有するアミノ酸で置換される。他の実施形態では、親水性基を含むように修飾されたアミノ酸は、ペプチドのC末端アミノ酸に付加される。1つの実施形態では、ペプチド同時アゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19からなる群から選択される配列を含み、前記グルカゴンペプチドの16、17、21、又は24位のうちの1つのアミノ酸残基側鎖は、約500〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するポリエチレングリコール鎖を更に含む。1つの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約500〜約5,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有する。別の実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000〜約20,000ダルトンの分子量を有する。更に他の実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000〜約40,000ダルトンの分子量を有する。
別の実施形態では、上記のグルカゴン類似体のいずれかの溶解度は、ペプチドのC末端部分に、好ましくは配列番号1の27位のC末端側の位置に、荷電アミノ酸を導入するアミノ酸置換及び/又は付加により向上させることができる。随意に、1、2、又は3個の荷電アミノ酸を、C末端部分内に、好ましくは27位のC末端側に導入してもよい。1つの実施形態によると、28及び/又は29位の天然アミノ酸(複数可)が、荷電アミノ酸で置換され、及び/又は更なる実施形態では、1〜3個の荷電アミノ酸もペプチドのC末端に付加される。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、又は全てが、負に荷電されている。グルカゴン活性を依然として保持することを可能にさせる追加的な修飾、例えば保存的置換をグルカゴンペプチドに行ってもよい。1つの実施形態では、配列番号20のペプチドの類似体が提供され、類似体は、17〜26位における1〜2個のアミノ酸置換が配列番号20と異なっており、1つの実施形態では、類似体は、20位のアミノ酸置換が配列番号20のペプチドと異なっている。
幾つかの実施形態によると、本明細書で開示されたグルカゴンペプチドは、1又は2個のアミノ酸残基だけC末端を切断することにより修飾される。そのような修飾グルカゴンペプチドは、本明細書に示されているように、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対する同様の活性及び効力を保持する。この点で、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載の追加的な修飾のいずれかを随意に有する、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1〜27又は1〜28を含むことができる。
1つの実施形態によると、本明細書で開示されたグルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのカルボキシ末端に第2のペプチド、例えば配列番号26、配列番号27、配列番号28を付加することにより修飾される。1つの実施形態では、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号66、配列番号67、配列番号68、及び配列番号69からなる群から選択されるペプチド配列を有するグルカゴンペプチドは、ペプチド結合により第2のペプチドに共有結合で結合されており、第2のペプチドは、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28からなる群から選択される配列を含む。更なる実施形態では、C末端延長部分を含むグルカゴンペプチドでは、天然グルカゴンペプチドの29位のトレオニンがグリシンに置換されている。29位のトレオニンのグリシン置換を有し、配列番号26のカルボキシ末端延長部分を含むグルカゴン類似体は、GLP−1受容体に対して、配列番号26のカルボキシ末端延長部分を含むように修飾された天然グルカゴンよりも4倍強力である。GLP−1受容体に対する効力は、18位の天然アルギニンをアラニンに置換することにより更に増強することができる。
本明細書で開示されたグルカゴンペプチドはいずれも、アシル基又はアルキル基、例えばC4〜C30アシル又はアルキル基を含むように修飾することができる。幾つかの態様では、アシル基又はアルキル基は、あらゆる天然アミノ酸に対して非天然である。アシル化又はアルキル化は、グルカゴンペプチドの血中半減期を増加させることができる。アシル化又はアルキル化は、有利には、グルカゴン及び/又はGLP−1受容体に対する作用開始を遅延及び/又は作用持続時間を延長し、及び/又はDPP−IV等のプロテアーゼに対する耐性を向上させる。本明細書に示されているように、グルカゴンペプチドのグルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対する活性は、アシル化した後、実質的に増強されないとしても、維持される。更に、アシル化グルカゴンペプチドの効力は、実質的に増強されないとしても、グルカゴンペプチドの非アシル化型と同等であった。グルカゴンペプチドは、親水性部分が結合されているのと同じアミノ酸位置で、又は異なるアミノ酸位置でアシル化又はアルキル化されていてもよい。幾つかの実施形態では、本発明は、グルカゴンペプチドの10位のアミノ酸に共有結合で結合されたアシル基又はアルキル基を含むように修飾されたグルカゴンペプチドを提供する。グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの10位のアミノ酸と、アシル基又はアルキル基との間のスペーサーを更に含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、アシル基は、脂肪酸又は胆汁酸、又はその塩、例えばC4〜C30脂肪酸、C8〜C24脂肪酸、コール酸、C4〜C30アルキル、C8〜C24アルキル、又は胆汁酸のステロイド部分を含むアルキルである。スペーサーは、アシル又はアルキル基を結合させるのに好適な反応基を有する任意の部分である。例示的な実施形態では、スペーサーは、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、又は疎水性の二官能性スペーサーを含む。幾つかの実施形態では、スペーサーは、以下のものからなる群から選択される:Trp、Glu、Asp、Cys、及びmが1〜6の任意の整数であり、nが2〜12の任意の整数であるNH(CHCHO)n(CH2)COOHを含むスペーサー。そのようなアシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドは、親水性部分、随意にポリエチレングリコールを更に含むこともできる。先述のグルカゴンペプチドはいずれも、2つのアシル基又は2つのアルキル基、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
従って、本明細書で開示されたように、溶解度及び/又は安定性の向上も示す高度に強力なグルカゴン類似体又はグルカゴン同時アゴニスト類似体が提供される。例示的な高度に強力なグルカゴン類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも約200%を示し、随意に、6〜8の、又は6〜9の、又は7〜9(例えば、pH7)のpHにおいて少なくとも1mg/mLの濃度で可溶性であり、随意に、25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも95%を保持する(例えば、元のペプチドの5%以下が、分解又は切断される)。別の例として、例示的なグルカゴン同時アゴニスト類似体は、グルカゴン及びGLP−1受容体の両方(約1:3〜3:1、又は約1:2〜2:1の比率で)に対して、約40%を超える又は約60%を超える活性を示し、随意に、6〜8の、又は6〜9、又は7〜9(例えば、pH7)のpHにおいて少なくとも1mg/mLの濃度で可溶性であり、随意に、25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも95%を保持する。別の例示的なグルカゴン同時アゴニスト類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約175%以上、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約20%以下を示し、随意に、6〜8の、又は6〜9の、又は7〜9(例えば、pH7)のpHにおいて少なくとも1mg/mLの濃度で可溶性であり、随意に、25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも95%を保持する。更に別の例示的なグルカゴン同時アゴニスト類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも約20%を示し、随意に、6〜8の、又は6〜9の、又は7〜9(例えば、pH7)のpHにおいて少なくとも1mg/mLの濃度で可溶性であり、随意に、25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも95%を保持する。更に別の例示的なグルカゴン同時アゴニスト類似体は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の約10%以下であるが、0.1%、0.5%、又は1%を超える活性示し、GLP−1受容体に対する天然GLP−1活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上を示し、随意に、6〜8の、又は6〜9の、又は7〜9(例えば、pH7)のpHにおいて少なくとも1mg/mLの濃度で可溶性であり、随意に、25℃で24時間後に元のペプチドの少なくとも95%を保持する。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の多くとも約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。幾つかの実施形態では、そのようなグルカゴン類似体は、天然グルカゴンの対応する位置の天然アミノ酸の少なくとも22、23、24、25、26、27、又は28個を保持する(例えば、天然グルカゴンと比べて1〜7、1〜5、又は1〜3個の修飾を有する)。
以下のペプチドのいずれか1つは本発明の化合物から除外されるが、所望のGLP−1又は同時アゴニスト活性を示し、本明細書に記載の1つ又は複数の更なる修飾をそれに含む以下のペプチドのいずれか、そのような化合物を使用する医薬組成物、キット、及び治療方法が、本発明に含まれていてもよい:[Arg12]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;[Arg12、Lys20]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;[Arg12、Lys24]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;[Arg12、Lys29]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;[Glu9]置換を有する配列番号1のペプチド;His1を欠如し、[Glu9、Glu16、Lys29]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;[Glu9、Glu16、Lys29]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;ラクタム架橋を介して結合された[Lys13、Glu17]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;ラクタム架橋を介して結合された[Lys17、Glu21]置換及びC末端アミドを有する配列番号1のペプチド;His1を欠如し、ラクタム架橋を介して結合された[Glu20、Lys24]置換を有する配列番号1のペプチド。
1つの実施形態によると、好ましくは無菌であり、好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度レベルである、本明細書で開示された新規のグルカゴンペプチドのいずれか、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。そのような組成物は、少なくともA濃度のグルカゴンペプチドを含有していてもよく、Aは、0.001mg/ml、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、又は25mg/ml以上である。他の実施形態では、そのような組成物は、最大でB濃度のグルカゴンペプチドを含有していてもよく、Bは、30mg/ml、25mg/ml、24mg/ml、23、mg/ml、22mg/ml、21mg/ml、20mg/ml、19mg/ml、18mg/ml、17mg/ml、16mg/ml、15mg/ml、14mg/ml、13mg/ml、12mg/ml、11mg/ml、10mg/ml、9mg/ml、8mg/ml、7mg/ml、6mg/ml、5mg/ml、4mg/ml、3mg/ml、2mg/ml、1mg/ml、又は0.1mg/mlである。幾つかの実施形態では、組成物は、A〜Bmg/ml、例えば0.001〜30.0mg/mlの濃度範囲のグルカゴンペプチドを含有していてもよい。1つの実施形態では、医薬組成物は、滅菌され随意に種々の容器内に保管されている水溶液を含む。1つの実施形態によると、本発明の化合物を使用して、すぐに注射できる事前に製剤化された溶液を調製することができる。他の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥粉末を含む。医薬組成物は、患者に組成物を投与するための使い捨てデバイスを含むキットの一部として更にパーケージ化することができる。容器又はキットは、周囲室温又は冷却温度で保管するように表示されていてもよい。
1つの実施形態によると、本発明のグルカゴンペプチドの事前に製剤化された水溶性組成物を使用して、グルコースレベルを急速に増加させるか又は低血糖症を治療する方法が提供される。この方法は、本開示の新規修飾グルカゴンペプチドを含む有効量の水溶液を投与するステップを含む。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの21又は24位でペグ化されており、PEG鎖は、約500〜約5,000ダルトンの分子量を有する。1つの実施形態では、修飾グルカゴン溶液は、低血糖症を罹患している患者に組成物を投与するために使用されるデバイスに事前パッケージ化されている。
1つの実施形態によると、インスリン依存性患者の血糖レベルを調節する改良された方法が提供される。この方法は、糖尿病を管理するための治療上有効量のインスリンを投与するステップと、低血糖症を予防するための治療上有効量の本開示の新規修飾グルカゴンペプチドを投与ステップとを含み、前記投与ステップは、互いの12時間以内に実施される。1つの実施形態では、グルカゴンペプチド及びインスリンは、単一組成物として同時投与され、グルカゴンペプチドは、約5,000〜約40,000ダルトンの範囲から選択される分子量を有するPEG鎖でペグ化されている。
別の実施形態では、腸管の一時的麻痺を誘導するための方法が提供される。この方法は、本明細書で開示されたグルカゴンペプチドの1つ又は複数を患者に投与するステップを含む。
メタボリック症候群は、代謝X症候群、インスリン抵抗症候群、又はReaven症候群としても知られており、5000万人を超えるアメリカ人に影響を及ぼす障害である。メタボリック症候群は、典型的には、以下のリスク因子の少なくとも3つ以上が当てはまることを特徴とする:(1)腹部肥満(腹部の及び腹部周囲の過剰な脂肪組織)、(2)アテローム生成性脂質異常症(動脈壁におけるプラークの蓄積を増強する高トリグリセリド、低HDLコレステロール、及び高LDLコレステロールを含む血中脂質量障害)、(3)高血圧、(4)インスリン抵抗性又はグルコース不耐性、(5)血栓形成促進性状態(例えば、血液中の高フィブリノゲン又はプラスミノゲン活性化因子阻害因子−1)、及び(6)炎症促進性状態(例えば、血中のC反応性タンパク質上昇)。他のリスク因子には、老化、ホルモン失調、及び遺伝的疾病素質が含まれていてもよい。
メタボリック症候群には、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)と呼ばれる、脳卒中及び末梢血管疾患等の、血管プラークの蓄積と関連する冠状動脈性心疾患及び他の障害のリスクが伴う。メタボリック症候群の患者は、その初期段階のインスリン抵抗性状態から末期のII型糖尿病に進行し、ASCVDのリスクが更に増加する可能性がある。いかなる特定の理論により束縛されないが、インスリン抵抗性、メタボリック症候群、及び血管疾患間の関係性には、インスリン刺激性血管拡張障害、酸化ストレスの増強よるインスリン抵抗性関連のNO利用能の低下、及びアディポネクチン等の脂肪細胞由来ホルモン異常を含む1つ又は複数の同時発症機序が関与している可能性がある(Lteif and Mather, Can. J. Cardiol. 20 (suppl. B):66B−76B (2004))。
2001年全国コレステロール教育プログラム成人治療調査(ATP III)(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel)によると、同一個人における以下の体質のうちのいずれか3つが、メタボリック症候群の基準を満たす:(a)腹部肥満(男性では102cmを超える胴囲、及び女性では88cmを超える胴囲)、(b)血清トリグリセリド(150mg/dl以上)、(c)HDLコレステロール(男性では40mg/dl以下、及び女性では50mg/dl以下)、(d)血圧(130/85以上)、及び(e)空腹時血中グルコース(110mg/dl以上)。世界保健機構(WHO)によると、以下の基準の少なくとも2つと共に高インスリンレベル(空腹時血中グルコース上昇又は食後グルコース上昇のみ)を有する個人が、メタボリック症候群の基準を満たす:(a)腹部肥満(0.9を超える胴囲対腰囲比率、少なくとも30kg/mの肥満度指数、又は37インチを超える胴囲測定)、(b)少なくとも150mg/dlのトリグリセリドレベル又は35mg/dl未満のHDLコレステロールを示すコレステロール調査、(c)140/90以上の血圧、又は高血圧の治療中(Mathur, Ruchi, “Metabolic Syndrome,” ed. Shiel, Jr., William C, MedicineNet.com, May 11, 2009)。
本明細書の目的では、個人が、2001年全国コレステロール教育プログラム成人治療調査又はWHOにより示された基準のいずれか又は両方を満たせば、その個人は、メタボリック症候群であるとみなされる。
いかなる特定の理論に束縛されないが、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、メタボリック症候群の治療に有用である。従って、本発明は、対象体のメタボリック症候群を予防又は治療する、又はその1つ、2つ、又は3つ以上のリスク因子を低減する方法であって、メタボリック症候群又はそのリスク因子を予防又は治療するのに有効な量の、本明細書に記載のグルカゴンペプチドを対象体に投与することを含む方法を提供する。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、単純な脂肪肝(脂肪症)から、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に、肝硬変(不可逆的で進行性の肝臓瘢痕化)に及ぶ幅広い肝臓病を指す。NAFLDの全ての段階には、肝臓細胞(肝細胞)における脂肪蓄積(脂肪浸潤)が共通している。単純な脂肪肝は、あるタイプの脂肪、トリグリセリドの肝臓細胞における異常蓄積であり、炎症又は瘢痕を示さない。NASHでは、脂肪蓄積は、様々な程度の炎症(肝炎)及び肝臓瘢痕化(線維症)に関連する。炎症細胞は、肝臓細胞を破壊する場合がある(肝細胞性ネクローシス)。「脂肪性肝炎」及び「脂肪壊死」という用語では、脂肪性とは脂肪浸潤を指し、肝炎とは肝臓の炎症を指し、ネクローシスとは肝臓細胞の破壊を指す。NASHは、最終的に肝臓瘢痕化(線維症)に結び付き、その後不可逆で進行性の瘢痕化(肝硬変)に結び付く場合がある。NASHによって引き起こされる肝硬変は、広域NAFLDの最後の最も重篤な段階である(Mendler, Michel, “Fatty Liver: Nonalcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD) and Nonalcoholic Steatohepatitis (NASH),” ed. Schoenfield, Leslie J., MedicineNet.com, August 29, 2005)。
アルコール性肝疾患又はアルコール誘発性肝疾患は、アルコールの過剰摂取に関連するか又はそれにより引き起こされる3つの病理学的に異なる肝臓疾患:脂肪肝(脂肪症)、慢性又は急性肝炎、及び肝硬変を包含する。アルコール性肝炎は、臨床検査での異常が疾患の唯一の兆候である軽症の肝炎から、黄疸(ビリルビン滞留により引き起こされる黄色皮膚)、肝性脳障害(肝不全により引き起こされる神経学的機能障害)、腹水症(腹部の液体貯留)、食道静脈瘤出血(食道の静脈瘤)、血液凝固異常、及び昏睡等の合併症を有する重篤な肝機能障害に及び場合がある。組織学的に、アルコール性肝炎は、肝細胞の気球状変性、好中球を有する炎症、及び時にはマロリー体(細胞性中間径フィラメントタンパク質の異常凝集)を有する特徴的な外観を示す。肝硬変は、肝臓の広範な小結節と線維症との組み合わせを解剖学的な特徴とする(Worman, Howard J., “Alcoholic Liver Disease”, Columbia University Medical Center website)。
いかなる特定の理論に束縛されないが、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、例えば、脂肪症、脂肪性肝炎、肝炎、肝性炎症、NASH、肝硬変、又はそれらの合併症を含む、アルコール性肝疾患、NAFLD、又はそれらの任意の段階の治療に有用である。従って、本発明は、対象体のアルコール性肝疾患、NAFLD、又はそれらの任意の段階を予防又は治療する方法であって、アルコール性肝疾患、NAFLD、又はそれらの段階を予防又は治療するのに有効な量の、本明細書に記載のグルカゴンペプチドを対象体に投与することを含む方法を提供する。そのような治療方法には、以下のうちの1つ、2つ、又は3以上を低減することを含む:肝臓脂肪含量、肝硬変の発症又は進行、肝細胞癌の発症、炎症の徴候、例えば肝酵素レベル異常(例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST及び/又はアラニンアミノトランスフェラーゼALT、又はLDH)、血清フェリチン上昇、血清ビリルビン上昇、及び/又は線維症の徴候、例えばTGF−ベータレベル上昇。好ましい実施形態では、グルカゴンペプチドは、単純な脂肪肝(脂肪症)を超えて進行し、炎症又は肝炎の徴候を示す患者を治療するために使用される。そのような方法は、例えば、AST及び/又はALTレベルの低減をもたらすことができる。
更に別の実施形態では、高血糖症を治療する方法、又は体重増加を低減又は体重減少を誘導する方法が提供され、それには、本発明のグルカゴンペプチドを含む有効量の水溶液を投与することが伴う。1つの実施形態では、いずれの方法も、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19からなる群から選択されるグルカゴンアゴニストを含む有効量の組成物を投与することを含む。別の実施形態では、この方法は、グルカゴンアゴニストを含む有効量の組成物を投与することを含み、グルカゴンアゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号66、配列番号67、配列番号68、及び配列番号69からなる群から選択されるグルカゴンペプチドを含み、グルカゴンペプチドのアミノ酸29は、ペプチド結合により第2のペプチドに結合されており、前記第2のペプチドは、配列番号26、配列番号27、又は配列番号28の配列を含む。更なる実施形態では、従来の用量又は低減された用量のインスリン及び本発明のグルカゴンペプチドを同時投与することを伴う糖尿病を治療する方法が提供される。インスリンを同時投与せずに、本発明のグルカゴンペプチドを用いて糖尿病を治療する方法も提供される。
更に別の態様では、本発明は、高血糖症を治療するための新規な方法、及び食欲を減退させるか又は体重減少を促進するための新規な方法であって、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体を両方とも活性化するグルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子(その薬学的に許容される塩を含む)を投与することを含む方法を提供する。グルカゴン及びGLP−1受容体の両方のアゴニズム、つまり活性化は、高血糖症の治療に際し、GLP−1アゴニズム単独で比較して、予想外の改善性を提供する。従って、グルカゴンアゴニズムの付加は、予想外の相加効果若しくは相乗効果、又は他の予想外の臨床的有益性(複数可)を提供する。そのような方法により、従来の用量のインスリンと共に、低減された量のインスリンと共に、又はインスリンを用いずに投与することが企図される。グルカゴン受容体のアゴニズムは、体重減少の促進又は体重増加の防止に際し、GLP−1アゴニズム単独と比較して予想外の有益効果も示す。
例示的なグルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子には、本発明のグルカゴンペプチド、GLP−1及びグルカゴン受容体を両方とも活性化するGLP−1類似体、グルカゴン及びGLP−1の融合体、又はグルカゴン類似体及びGLP−1類似体の融合体、又は化学的に修飾されたそれらの誘導体が含まれる。或いは、グルカゴン受容体を活性化する化合物は、GLP−1受容体を活性化する化合物(GLP−1類似体、エキセンディン−4類似体、又はそれらの誘導体等)と共に同時投与することができる。本発明は、GLP−1アゴニスト類似体と共にグルカゴンアゴニスト類似体を同時投与することも企図する。
高血糖症を治療するための、及び/又は食欲を減退させるか若しくは体重減少を促進するためのそのような方法には、随意に16位及び/又は20位における修飾と組み合わせて、12位(例えば、Arg12)における修飾を有するグルカゴン類似体の投与が含まれる。本発明の方法は、3個の介在アミノ酸により隔てられているアミノ酸12〜29の領域内の2つのアミノ酸、例えば12及び16位、13及び17位(例えば、Lys13 Glu17又はGlu13 Lys17)、16及び20位、17及び21位(例えば、Lys17 Glu21又はGlu17 Lys21)、20及び24位、又は24及び28位の側鎖間の分子内架橋を含み、但し随意に9位のアミノ酸はGluではなく、随意にC末端アミド又はエステルを含むグルカゴン類似体の投与も含む。
1つの実施形態によると、そのようなグルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子から除外されるのは、そのような方法に有用であることが知られている従来技術のあらゆるグルカゴン類似体又はGLP−1類似体である。別の実施形態では、糖尿病を治療するためのGLP−1アゴニスト及びグルカゴンアンタゴニストの両方として作用する、米国特許第6,864,069号に記載のペプチドも、グルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子として除外される。別の実施形態では、Unson et al, J. Biol. Chem., 264:789−794 (1989)、Ahn et al., J. Med. Chem., 44:3109−3116 (2001)、及びSapse et al., Mol. Med., 8(5):251−262 (2002)に記載のアンタゴニスト等の、糖尿病を治療するためのグルカゴンアンタゴニストの使用が除外される。更なる実施形態では、オキシントモジュリン(配列番号27)の8個のC末端アミノ酸を含有するオキシントモジュリン又はグルカゴン類似体も、グルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子として除外される。
高血糖症を治療するためのそのような方法は、糖尿病、I型真性糖尿病、II型真性糖尿病、又は妊娠性糖尿病、インスリン依存性又はインシュリン非依存性のいずれか、並びに腎症、網膜症、及び血管疾患を含む糖尿病の合併症の低減を含む、様々なタイプの高血糖症に有用であることが予測される。食欲を減退させるか又は体重の減少を促進するためのそのような方法は、体重の低減、体重増加の防止、又は薬物誘導性肥満を含む原因が様々な肥満の治療、及び血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中、末梢血管疾患、虚血再灌流等)を含む肥満関連合併症の低減に有用であることが予測される。
本明細書に記載の治療方法、医薬組成物、キット、及び他の類似実施形態は全て、グルカゴン類似体という用語の使用が、薬学的に許容される塩又はそれらのエステルを全て含むことを企図する。
37℃でそれぞれ24、48、72、96、144、及び166時間インキュベートしたグルカゴンCys21マレイミドPEG5Kの安定性を示す棒グラフである。 37℃でそれぞれ24、72、又は144時間pH5にてインキュベートしたグルカゴンCys21マレイミドPEG5KのHPLC分析から生成されたデータを示す図である。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図3Aでは、グルカゴン類似体E16、K20(●)、E15、E16(▲)、E16、K20(▼)、E15、E16(▲を90度左回転させたもの)、E16(▲を90度右回転させたもの)、及びGluc−NH(■)によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図4Aでは、天然グルカゴン(■)と比べた、グルカゴン類似体Gluc−NH(●)、E16 Gluc−NH(▲)、E3、E16 Gluc−NH(▼)、Orn3、E16 Gluc−NH(▲を90度左回転させたもの)、及びNle3、E16 Gluc−NH(▲を90度右回転させたもの)によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図4Bでは、天然GLP−1(■)と比べた、グルカゴン類似体Gluc−NH(●)、E16 Gluc−NH(▲)、E3、E16 Gluc−NH(▼)、Orn3、E16 Gluc−NH(▲を90度左回転させたもの)、及びNle3、E16 Gluc−NH(▲を90度右回転させたもの)によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図5Aでは、グルカゴンNH(■)と比べた、グルカゴン類似体(E16、K20 Gluc−NH(●)(5nM、原液)、E15、E16 Gluc−NH(▲)(5nM、原液)、E16、K20 Gluc−NH(▼)(10nM、原液)、E15、E16 Gluc−NH(▲を90度左回転させたもの)(10nM、原液)、及びE16 Gluc−NH(▲を90度右回転させたもの)によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図5Bでは、GLP−1(■)及びグルカゴン−NH(□)と比べた、グルカゴン類似体(E16、K20 Gluc−NH(●)、E15、E16 Gluc−NH(▲)、及びE16 Gluc−NH(▲を90度右回転させたもの))によるGLP−1受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図6Aでは、グルカゴン(■)と比べた、グルカゴン類似体(Gluc−NH(●)、K12 E16−NHラクタム(▲)、E16 K20−NHラクタム(▼)、K20 E24−NHラクタム(▲を90度左回転させたもの)、及びE24 K28−NHラクタム(▲を90度右回転させたもの))によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図6Bでは、GLP−1(■)と比べた、グルカゴン類似体(Gluc−NH(●)、K12 E16−NHラクタム(▲)、E16 K20−NHラクタム(▼)、K20 E24−NHラクタム(▲を90度左回転させたもの)、及びE24 K28−NHラクタム(▲を90度右回転させたもの))によるGLP−1受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図7Aでは、グルカゴン(■)と比べた、グルカゴン類似体(Gluc−NH(●)、E16 Gluc−NH(▲)、K12、E16 Gluc−NHラクタム(▼)、E16、K20 Gluc−NH(▲を90度左回転させたもの)、及びE16、K20 Gluc−NHラクタム(▲を90度右回転させたもの))によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図7Bでは、GLP−1(■)と比べた、グルカゴン類似体(Gluc−NH(●)、E16 Gluc−NH(▲)、K12、E16 Gluc−NHラクタム(▼)、E16、K20 Gluc−NH(▲を90度左回転させたもの)、及びE16、K20 Gluc−NHラクタム(▲を90度右回転させたもの))によるGLP−1受容体の誘導が比較されている。 グルカゴン受容体(図8A)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 GLP−1受容体(図8B)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 グルカゴン受容体(図8C)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 GLP−1受容体(図8D)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 グルカゴン受容体(図8E)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 GLP−1受容体(図8F)に対するグルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを表す図であり、hE=ホモグルタミン酸であり、hC=ホモシステイン酸である。 天然グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸17〜26位が、天然GLP−1(配列番号50)の17〜26位のアミノ酸で置換されたGLP(17〜26)グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図9Aでは、指定のGLP(17〜26)グルカゴン類似体によるグルカゴン受容体の誘導が比較されている。 天然グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸17〜26位が、天然GLP−1(配列番号50)の17〜26位のアミノ酸で置換されたGLP(17〜26)グルカゴン類似体による受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。より詳しくは、図9Bでは、指定のGLP(17〜26)グルカゴン類似体によるGLP−1受容体の誘導が比較されている。 表示されている量のそれぞれの化合物を皮下注射したマウスの体重減少を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。図10Aに列挙されたグルカゴンペプチドの配列識別子は以下の通りである。図10Aでは、キメラ2 Aib2 C24 40K PEG(配列番号486)、Aib2 C24 キメラ2 40Kラクタム(配列番号504)、及びAib2 E16 K20 Gluc−NH2 Lac 40K(配列番号528)。 表示されている量のそれぞれの化合物を皮下注射したマウスの体重減少を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。図10Bに列挙されたグルカゴンペプチドの配列識別子は以下の通りである。図10Bでは、Aib2 C24 Chi2 ラクタム 40K(配列番号504)、DMIA1 C24 Chi2 ラクタム 40K(配列番号505)、キメラ2 DMIA1 C24 40K(配列番号519)、及びキメラ2 Aib2 C24 40K(配列番号486)、ここでは配列の最後の数字は使用された用量、70又は350nmol/kgのいずれかを表す。 表示されている量のそれぞれの化合物を皮下注射したマウスの体重減少を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。図10Cに列挙されたグルカゴンペプチドの配列識別子は以下の通りである。図10Cでは、AIB2 ラクタム有り C24 40K(配列番号504)、AIB2 E16 K20 ラクタム有り C24 40K(配列番号528)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有り、C24 40K(配列番号510)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有り CEX 40K(配列番号513)、及びDMIA1 E16 K20 ラクタム無し CEX 40K(配列番号529)。 表示されている量のそれぞれの化合物を皮下注射したマウスの体重減少を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。図10Dに列挙されたグルカゴンペプチドの配列識別子は以下の通りである。図10Dでは、AIB2 ラクタム有り C24 40K(配列番号504)、AIB2 E16 K20 ラクタム有り C24 40K(配列番号528)、DMIA1 E16 K20 ラクタム有り C24 40K(配列番号510)、及びDMIA1 E16 K20 ラクタム有り/Cex C24 40K(配列番号513)、ここでは配列の最後の数は、使用された用量、14又は70nmol/kg/wkを表す。 表示されている量のそれぞれの化合物を皮下注射したマウスの体重減少を誘導する、本発明のグルカゴンペプチドの能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。図10Eに列挙されたグルカゴンペプチドの配列識別子は以下の通りである。図10Eでは、AIB2 ラクタム無し C24 40K(配列番号486)、Chi2 AIB2 C24 CEX 40K(配列番号533)、AIB2 E16 A18 K20 C24 40K(配列番号492)、AIB2 ラクタム無し CEX G29 C40 40K(配列番号488)、AIB2 ラクタム無し CEX C40 C41−2(配列番号532)、AIB2 ラクタム無し CEX C24 C40−2(配列番号531)、及びAIB2 ラクタム無し C24 60K(配列番号498)、40K又は60Kという表示は、グルカゴンペプチドに結合されたポリエチレン鎖の分子量を表す。 表示されている量の化合物を皮下注射したマウスにおいて、アシル化グルカゴンペプチドが体重減少を誘導する(図11)能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。 表示されている量の化合物を皮下注射したマウスにおいて、食物摂取量を減少させる(図12)能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。 表示されている量の化合物を皮下注射したマウスにおいて、血糖レベルを低下させる(図13)能力を実証するin vivoデータを提供するグラフである。 グルカゴン類似体によるグルカゴン及びGLP−1受容体媒介性cAMP誘導を示すデータを示す図である。 2nmol/kgの媒体のみ(三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C8 Cys24−40kD PEG(白抜き正方形)、又はキメラ−2 AIB、K10−C16 Cys24−40kD PEG(逆三角形)で処置し、その後ペプチドを投与した15分後にグルコース負荷したDIOマウスにおける血糖値(mg/dL)を時間(分)の関数として表すグラフである。 20nmol/kgの媒体のみ(三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C8 Cys24−40kD PEG(白抜き正方形)、又はキメラ−2 AIB、K10−C16 Cys24−40kD PEG(逆三角形)で処置し、その後ペプチドを投与した15分後にグルコース負荷したDIOマウスにおける血糖値(mg/dL)を時間(分)の関数として表すグラフである。 70nmol/kgの媒体のみ(逆三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C8 Cys24−40kD PEG(白抜き三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C16 Cys24−40kD PEG(菱形)、又はキメラ−2 AIB、Cys24−40kD PEG(白抜き正方形)で処置し、その後ペプチドを投与した15分後にグルコース負荷したDIOマウスにおける血糖値(mg/dL)を時間(分)の関数として表すグラフである。 70nmol/kgの媒体のみ(逆三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C8 Cys24−40kD PEG(白抜き三角形)、キメラ−2 AIB、K10−C16 Cys24−40kD PEG(菱形)、又はキメラ−2 AIB、Cys24−40kD PEG(白抜き正方形)で処置し、その後ペプチドを投与した24時間後にグルコース負荷したDIOマウスにおける血糖値(mg/dL)を時間(分)の関数として表すグラフである。 15又は70nmol/kgの媒体のみ(菱形及び実線);キメラ−2 AIB、Cys24−40kD PEG(15nmol/kg、白抜き菱形及び点線;70nmol/kg、白抜き三角形及び実線);キメラ−2 AIB、K10−C8 Cys24−40kD PEG(15nmol/kg、黒抜き三角形及び点線;70nmol/kg、黒抜き三角形及び実線);キメラ−2 AIB、K10−C16 Cys24−40kD Peg(15nmol/kg、逆三角形及び点線;70nmol/kg;逆三角形及び実線)で処置したDIOマウスの体重変化(%)を時間(日)の関数として表すグラフである。 10、20、40、又は80nmol/kgのペプチドA K10−C14又は20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD、又は媒体対照をQW注射した14日後のマウスの総体重変化(%)を表すグラフである。 グルコース注射の24時間前に、10、20、40、又は80nmol/kgのペプチドA K10−C14又は20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD、又は媒体対照を注射したマウスのグルコース注射に応答した血糖レベル(mg/dL)表すグラフである。 表示されている用量の媒体対照、リラグルチド、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミド、又はβAβA−C16グルカゴンアミドを注射したマウスの総体重変化(%)を表すグラフである。 表示されている用量の媒体対照、リラグルチド、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミド、又はβAβA−C16グルカゴンアミドを注射したマウスの、研究7日目に測定した体脂肪量(g)を表すグラフである。 表示されている用量の媒体対照、リラグルチド、(C16)グルカゴンアミド、γE−γE−C16グルカゴンアミド、AA−C16グルカゴンアミド、又はβAβA−C16グルカゴンアミドを注射したマウスの血糖値の変化(mg/dL;7日目レベル−0日目レベル)を表すグラフである。 10%TFEを含む又は含まないかのいずれかである10mMリン酸(pH5.9)中のペプチドX−PEG又はペプチドY−PEGの平均残基楕円率を波長(nm)の関数として表すグラフである。 グルカゴン、GLP−1、ペプチドX、ペプチドX−PEG、ペプチドY、又はペプチドY−PEGの、グルカゴン受容体(左)又はGLP−1受容体(右)のいずれかに対する結合に応答して産生されたcAMP%を濃度(nM)の関数として表すグラフである。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで1週間処置した食餌誘導性肥満マウスにおける、A)体重、B)体脂肪量、C)食物摂取量、及びD)空腹時血中グルコースレベルに対するin vivo効果を示す一連のグラフである。より詳しくは、図27Aは、体重(BW)の変化%を時間(日)の関数として表すグラフであり、図27Bは、7日目に測定した体脂肪量の変化%を(最初の体脂肪量測定と比較して)表すグラフであり、図27Cは、7日目に測定した研究の経過全体にわたる総食物摂取量(g)を表すグラフであり、図27Dは、7日目に測定した血糖値(mg/dL)の変化を(最初の血糖レベルと比較して)表すグラフである。 様々な用量(nmol/kg/週)のペプチドX−PEG(図28A及び28B)又はペプチドY−PEG(図28C及び28D)のいずれかで処置したマウスにおける、体重(図28A及び28C)及び空腹時血中グルコースレベル(図28B及び28D)に対するin vivo効果を示す一連のグラフである。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで1か月間処置した食餌誘導性肥満マウスにおける、A)体重(BW)、B)体脂肪量、C)総食物摂取量、D)エネルギー消費量、E)呼吸商、F)自発運動活性、G)空腹時血中グルコース、H)糖耐性、及びI)全血漿インスリンレベルに対するin vivo効果を示す一連のグラフである。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで1か月間処置した食餌誘導性肥満マウスにおける、A)食物摂取量、B)総エネルギー消費量、C)総呼吸商、D)自発運動活性、E)総自発運動活性、F)ipGTT曲線下面積、G)血漿C−ペプチドレベル、H)PEPCK/HPRT発現倍数、及びI)G6P/HPRT発現倍数の熱量測定に対する3週目のin vivo効果を示す一連のグラフである。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで1か月間処置した食餌誘導性肥満マウスにおける、血漿中のA)コレステロール、B)コレステロールFPLC、C)トリグリセリド、D)レプチン、E)レジスチン、及びF)アディポネクチンに対するin vivo効果を実証する一連のグラフである。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで処置したマウスにおける、ホルモン感受性リパーゼのリン酸化(pHSL)により反映されるような、A)BAT UCP−1発現レベル及びB)白色脂肪組織に対するin vivo効果を実証する一連のグラフである。 DIOラットにおける、媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGのA)体重及びB)体脂肪量に対するin vivo効果を示す一連のグラフである。図33Cは、ペプチドY−PEG、ペプチドX−PEG、又は媒体で2週間処置したマウスから単離された精巣上体脂肪組織における、リアルタイムRT−PCRにより定量的に評価された、TFIIBに対するCD68の相対的発現を表すグラフである。データは、TFIIB mRNA発現に対して正規化され、平均±SEMとして表されている相対的CD68 mRNA発現として示されている。 媒体対照、ペプチドX−PEG、又はペプチドY−PEGで処置したGLP−1−Rノックアウトマウスにおける、体重(BW;34A及び34B)、体脂肪量(34C)、食物摂取量(34D)、及び血糖レベル(34E及び34F)に対するin vivo効果を示す一連のグラフである。 媒体対照、ペプチドV、又はペプチドUで処置したDIOマウスにおける、体重(35A)、血糖(35B)、及び体脂肪量(35C)に対するin vivo効果を示す一連のグラフである。 ( )内に示されている用量の媒体、リラグルチド、グルカゴンアミド、MT−261、MT−345、MT−347、又はMT−348を注射したマウスの、研究14日目に測定された総体重変化%を表すグラフである。 媒体、MT−278、MT−358、MT−261、MT−297、又はMT−364を注射したマウスの、研究7日目に測定された総体重変化%を表すグラフである。 媒体、ペプチド83、ペプチド900、ペプチド901、又はMT−364を注射したマウスの、研究7日目に測定された総体重変化%を表すグラフである。
定義
本発明を記載及び請求するに際して、以下の用語は、下記に示した定義に従って使用されるものとする。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水又は水/油乳剤等の乳剤、及び種々のタイプの湿潤剤等の標準的医薬担体のいずれかを含む。この用語は、ヒトを含む動物での使用に、米国連邦政府の規制当局により承認されているか又は米国薬局方に列挙されている作用剤のいずれをも包含する。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の生物活性を保持し、生物学的に又は別様に望ましくないというわけではない化合物の塩を指す。本明細書で開示された化合物の多くは、アミノ及び/又はカルボキシル基又はそれに類似した基が存在することにより、酸性塩及び/又は塩基性塩を形成することが可能である。
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製することができる。無機塩基に由来する塩には、単なる例として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩が含まれる。有機塩基に由来する塩には、これらに限定されないが、第一級、第二級、及び第三級アミンの塩が含まれる。
薬学的に許容される酸付加塩は、無機及び有機酸から調製することができる。無機酸に由来する塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸等が含まれる。有機酸に由来する塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、珪皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、及びサリチル酸等が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、特定の疾患又は状態の予防、又は特定の疾患又は状態に伴う症状の緩和、及び/又は前記症状を予防又は解消することを含む。例えば、本明細書で使用される場合、用語「糖尿病を治療する」は、一般的に、正常なレベルに向かって血糖レベルを変化させることを指し、所与の状況に応じて血糖レベルを増加又は減少させることを含んでいてもよい。
本明細書で使用される場合、「有効」量又は「治療上有効量」のグルカゴンペプチドは、所望の効果を提供するための、無毒であるが十分な量のペプチドを指す。例えば、1つの所望の効果は、例えば血糖レベルの増加により測定される、低血糖症の予防又は治療だろう。本開示の同時アゴニスト類似体の代替的な所望な効果には、例えば血糖レベルを正常値により近づくように変化させることにより測定される高血糖症の治療、例えば体重の減少又は体重増加の防止若しくは低減により測定される体重減少の誘導/体重増加の防止、又は体脂分布の正常化が含まれる。「有効」である量は、個体の年齢及び全身状態、及び投与方法等に応じて、対象体毎に変動するだろう。従って、正確な「有効量」を指定することは必ずしも可能ではない。しかしながら、任意の個々の症例における適切な「有効」量は、日常的な実験作業を使用して、当業者により決定することができる。
用語「非経口」は、消化管を介してではなく、皮下、筋肉内、脊髄内、又は静脈内等の、幾つかの他の経路によることを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「精製された」及び類似の用語は、天然又は自然環境中でその分子又は化合物に通常伴っている夾雑物を実質的含まない形態の分子又は化合物の単離に関する。本明細書で使用される場合、用語「精製された」は、絶対的な純度を必要とせず、むしろ、相対的な定義として意図される。用語「精製されたポリペプチド」は、本明細書では、これらに限定されないが、核酸分子、脂質、及び炭水化物を含む他の化合物から分離されたポリペプチドを記述するために使用される。
用語「単離された」は、参照される物質が、その元々の環境(例えば、それが天然である場合は、自然環境)から取り出されることを必要とする。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドは単離されていないが、天然系に同時に存在する物質の幾つか又は全てから分離された同じポリヌクレオチドは、単離されている。
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」は、3個以上のアミノ酸の配列、及び典型的には50個のアミノ酸未満の配列を包含し、アミノ酸は天然又は非天然アミノ酸である。非天然アミノ酸は、in vivoでは天然に生じないが、それにもかかわらず本明細書に記載のペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を指す。
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ポリマーの長さに関わらず、アミノ酸のポリマーを参照するために同義的に使用される。典型的には、ポリペプチド及びタンパク質は、「ペプチド」より長いポリマー長さを有する。
「グルカゴンペプチド」は、本明細書で使用される場合、配列番号1のアミノ酸配列、又はこのペプチドのアミノ酸置換、付加、欠失、又は翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、ラクタム架橋形成、及びペグ化等の分子内共有結合)を含む配列番号1のアミノ酸配列のあらゆる類似体のいずれかを含む任意のペプチドを含み、類似体は、グルカゴン又はGLP−1受容体活性を刺激し、活性は、例えば実施例14に記載のアッセイを使用してcAMP産生により測定される。
用語「グルカゴンアゴニスト」は、グルカゴン受容体活性を刺激するグルカゴンペプチドを含む複合体を指し、活性は、例えば実施例14に記載のアッセイを使用してcAMP産生により測定される。
本明細書で使用される場合、「グルカゴンアゴニスト類似体」は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群から選択される配列を含むグルカゴンペプチドであるか、又は2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29位の1つ又は複数に1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を含むように修飾されたそのような配列の類似体である。
本明細書で使用される場合、アミノ酸「修飾」は、アミノ酸の置換、付加、又は欠失を指し、ヒトタンパク質に一般的に見出される20種のアミノ酸並びに異型又は非天然のアミノ酸のいずれかの置換又は付加を含む。本出願の全体にわたって、数字による特定のアミノ酸位置への参照(例えば、28位)は全て、天然グルカゴン(配列番号1)のその位置にあるアミノ酸又はその任意の類似体の対応するアミノ酸位置にあるアミノ酸を指す。例えば、本明細書では、「28位」に対する参照は、配列番号1の最初のアミノ酸が欠失されたグルカゴン類似体の対応する27位を意味するものとする。同様に、本明細書では、「28位」に対する参照は、配列番号1のN末端の前に1個のアミノ酸が付加されたグルカゴン類似体の対応する29位を意味するものとする。異型アミノ酸の販売元には、Sigma−Aldrich社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、ChemPep社(マイアミ、フロリダ州)、及びGenzyme Pharmaceuticals社(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)が含まれる。異型アミノ酸は、市販の販売業者から購入してもよく、de novo合成してもよく、又は他のアミノ酸から化学的に修飾若しくは誘導してもよい。
本明細書で使用される場合、「グルカゴン同時アゴニスト」は、天然グルカゴンと比べて少なくとも約10%から約500%以上のグルカゴン受容体に対する活性を示し、天然GLP−1と比べて少なくとも約10%から約200%以上のGLP−1受容体に対する活性も示すグルカゴンペプチドである。
本明細書で使用される場合、「グルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子」は、天然グルカゴンと比べて少なくとも約10%のグルカゴン受容体に対する活性を示し、天然GLP−1と比べて少なくとも約10%のGLP−1受容体に対する活性も示す分子である。
本明細書で使用される場合、用語「天然グルカゴン」は、配列番号1の配列からなるペプチドを指し、用語「天然GLP−1」は、GLP−1(7〜36)アミド(配列番号52の配列からなる)、GLP−1(7〜37)酸(配列番号50の配列からなる)、又はそれら2つの化合物の混合物を指す総称である。本明細書で使用される場合、いかなる更なる指定のない「グルカゴン」又は「GLP−1」に対する一般的な言及は、それぞれ天然グルカゴン又は天然GLP−1を意味することが意図される。
本明細書で使用される場合、アミノ酸「置換」は、異なるアミノ酸残基による1つのアミノ酸残基の置換を指す。
本明細書で使用される場合、用語「保存的アミノ酸置換」は、本明細書では、以下の5つの群の1つの中での交換と定義される:
I.小型の脂肪族、無極性、又は微極性の残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性、負荷電の残基並びにそれらのアミド及びエステル:
Asp、Asn、Glu、Gln、システイン酸、及びホモシステイン酸;
III.極性、正荷電の残基:
His、Arg、Lys;オルニチン(Orn)
IV.大型の脂肪族、無極性の残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン
V.大型の芳香族残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン
本明細書で使用される場合、一般的用語「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、エチレンオキシド及び水の縮合ポリマーの混合物を指し、分岐鎖又は直鎖であり、一般式H(OCHCHOHにより表され、nは少なくとも9である。いかなる更なる特徴付けがなければ、この用語は、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される平均総分子量を有するエチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、その近似的平均分子量を示す数値の接尾辞と組み合わせて使用される。例えば、PEG−5,000は、約5,000の総分子量平均を有するポリエチレングリコール鎖を指す。
本明細書で使用される場合、用語「ペグ化」及び類似用語は、ポリエチレングリコール鎖を化合物に結合することによりその天然状態から修飾された化合物を指す。「ペグ化グルカゴンペプチド」は、PEG鎖がグルカゴンペプチドに共有結合で結合されたグルカゴンペプチドである。
本明細書で使用される場合、ペプチドに対する一般的な参照は、修飾されたアミノ末端及びカルボキシ末端を有するペプチドを包含することが意図される。例えば、末端のカルボキシル酸の代りのアミド基を含むアミノ酸鎖は、標準的アミノ酸を指定するアミノ酸配列により包含されることが意図される。
本明細書で使用される場合、「リンカー」は、2つの別々の物質を互いに結合する結合、分子、又は分子の群である。リンカーは、2つの物質の最適な離間を提供することができるか、又は2つの物質が互いから分離されることを可能にする切断可能な結合を更に提供することができる。切断可能な連結には、光切断可能な基、酸で切断可能な部分、塩基で切断可能な部分、及び酵素切断可能な基が含まれる。
本明細書で使用される場合、「二量体」は、リンカーを介して互いに共有結合で結合された2つのサブユニットを含む複合体である。用語二量体は、いかなる制限的な言語を伴わずに使用された場合、ホモ二量体及びヘテロ二量体を両方とも包含する。ホモ二量体は、2つの同一サブユニットを含み、ヘテロ二量体は異なる2つのサブユニットを含むが、2つのサブユニットは互いに実質的に類似している。
本明細書で使用される場合、用語「荷電アミノ酸」は、生理学的なpHの水溶液中で負に荷電(つまり、脱プロトン化)されるか、又は正に荷電(つまり、プロトン化)される側鎖を含むアミノ酸を指す。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、及びホモグルタミン酸が含まれ、正荷電アミノ酸には、アルギニン、リジン、及びヒスチジンが含まれる。荷電アミノ酸には、ヒトタンパク質に一般的に見出される20種のアミノ酸、並びに異型又は非天然アミノ酸の荷電アミノ酸が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「酸性アミノ酸」は、例えばカルボキシル酸基又はスルホン酸基を含む第2の酸性部分を含むアミノ酸を指す。
用語「アルキル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。例示的なアルキルには、メチル、エチル、及び直鎖プロピル基が含まれる。
用語「ヘテロアルキル」は、構造の骨格に指定数の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を含有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。本明細書の目的に好適なヘテロ原子には、これらに限定されないが、N、S、及びOが含まれる。
実施形態
本発明は、グルカゴン受容体、又はGLP−1受容体、又は両受容体に対する活性の増加又は減少を示すグルカゴンペプチドを提供する。本発明は、GLP−1受容体と比べてグルカゴン受容体に対する選択性が変更されたグルカゴンペプチドも提供する。
グルカゴン受容体に対する活性増加は、本明細書に記載のように天然グルカゴン(配列番号1)の16位のアミノ酸を修飾することにより提供される。
グルカゴン受容体に対する活性の維持又は増加は、グルタミン類似体(例えば、(Dab(Ac))による天然グルカゴンの3位のアミノ酸修飾によっても提供される。
グルカゴン受容体に対する活性低減は、本明細書に記載のように、例えば3位のアミノ酸を酸性、塩基性、又は疎水性のアミノ酸で置換することにより提供される。
GLP−1受容体に対する活性増加は、C末端アミノ酸のカルボキシル酸を、アミド又はエステル等の荷電中性基で置換することにより提供される。
GLP−1受容体の活性増加は、グルカゴンのC末端部分のアルファヘリックス(例えば、残基12〜29付近)を安定化させる修飾により提供される。幾つかの実施形態では、そのような修飾は、本明細書に記載のように、3個の介在アミノ酸により隔てられている2つのアミノ酸、例えば12及び16位、又は16及び20位、又は20及び24位の側鎖間の分子内架橋の形成を可能にする。他の実施形態では、そのような修飾には、1つ又はα,α−二置換アミノ酸、例えばAIBを、16、20、21、又は24位の1箇所又は複数個所に導入する挿入修飾又は置換修飾が含まれる。
分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋を欠如するペプチドのGLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性増加は、アシル又はアルキル基をペプチドの10位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合させることにより提供され、アシル又はアルキル基は10位のアミノ酸に対して非天然である。分子内架橋、例えば、共有結合性分子内架橋を欠如するそのようなペプチドのGLP−1及びグルカゴン受容体に対する更なる活性増加は、アシル又はアルキル基と10位のアミノ酸側鎖との間にスペーサーを組み込むことにより達成することができる。好適なスペーサーは、本明細書中に記載されており、これらに限定されないが、長さが3〜10個の原子であるスペーサーが含まれる。
GLP−1受容体に対する活性増加は、本明細書に記載のように、20位のアミノ酸を修飾することにより提供される。
GLP−1受容体に対する活性増加は、配列番号26のC末端延長部分を含むグルカゴン類似体において提供される。配列番号26を含むそのような類似体のGLP−1活性は、本明細書に記載のように、18、28、若しくは29位の、又は18及び29位のアミノ酸を修飾することにより更に増加させることができる。
1及び2位のアミノ酸修飾により低減されたグルカゴン活性の回復は、本明細書に記載のように、3個の介在アミノ酸より隔てられている2個のアミノ酸、例えば12及び16位、又は16及び20位、又は20及び24位の側鎖間の共有結合により提供される。
GLP−1効力の更に適度な増加は、10位のアミノ酸をTrpに修飾することにより提供される。
グルカゴン受容体活性を増加又は減少させ、GLP−1受容体活性を増加させる上述の修飾はいずれも、個々に又は組み合わせで適用することができる。上述の修飾はいずれも、溶解度及び/又は安定性及び/又は作用持続時間の増加等の他の所望の特性を付与する他の修飾と組み合わせることもできる。或いは、上述の修飾はいずれも、溶解度又は安定性又は活性に実質的に影響を及ぼさない他の修飾と組み合わせることができる。例示的な修飾には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:
(A)例えば、1、2、又は3個以上荷電アミノ酸を天然グルカゴンのC末端部分に、好ましくは27位のC末端側の位置に導入することによる溶解度の向上。そのような荷電アミノ酸は、例えば28又は29位の天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換することにより、又はその代わりに荷電アミノ酸を、例えば27、28、又は29位の後に付加することにより導入することができる。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、3個、又は全てが、負に荷電されている。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、3個、又は全てが、正に荷電されている。そのような修飾は、溶解度を増加させ、約5.5〜8の所定のpH、例えばpH7にて、25℃で24時間後に測定した場合に、天然グルカゴンと比べて少なくとも2倍、5倍、10倍、15倍、25倍、又は30倍以上の溶解度を提供する、
(B)本明細書に記載のように、ポリエチレングリコール鎖等の親水性部分を、例えばペプチドの16、17、20、21、24、若しくは29位、又はC末端アミノ酸に付加することによる、溶解度及び作用持続時間又は血中半減期の増加、
(C)15位のアスパラギン酸の修飾による、例えば、欠失又はグルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、若しくはホモシステイン酸での置換による増加。そのような修飾は、5.5〜8の範囲内のpHで分解又は切断を低減することができ、例えば、25℃で24時間後に元々のペプチドの少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を保持する、
(D)27位のメチオニンの修飾による、例えばロイシン又はノルロイシンでの置換よる安定性の増加。そのような修飾は、酸化的分解反応を低減することができる。安定性は、20又は24位のGlnの修飾によっても、例えばAla、Ser、Thr、又はAIBでの置換によっても増加させることができる。そのような修飾は、Glnの脱アミド化により生じる分解を低減することができる。安定性は、21位のAspの修飾により、例えばGluでの置換によっても増加させることができる。そのような修飾は、Aspが脱水されて環式スクシンイミド中間体が形成され、その後イソ−アスパラギン酸へと異性化することより生じる分解を低減することができる、
(E)本明細書に記載の1又は2位のアミノ酸の修飾による、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP IV)切断に対する耐性の増加、
(F)活性に影響を及ぼさない保存的又は非保存的置換、付加、又は欠失、例えば、2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29位の1個所又は複数個所での保存的置換;27、28、又は29位の1個所又は複数個所の欠失;又はC末端カルボキシル酸基の代りのC末端アミド又はエステルと随意に組み合わせたアミノ酸29の欠失、
(G)本明細書に記載のC末端延長部分の付加、
(H)例えば、本明細書に記載のように、グルカゴンペプチドのアシル化又はアルキル化による、血中半減期の増加及び/又は作用持続時間の延長及び/又は作用開始の遅延、
(I)本明細書中に記載のホモ二量体化又はヘテロ二量体化。
例示的な実施形態では、グルカゴンペプチドは、天然グルカゴン配列と比べて、合計1個の、最大2個の、最大3個の、最大4個の、最大5個の、最大6個の、最大7個の、最大8個の、最大9個の、又は最大10個のアミノ酸修飾を含んでいてもよい。
他の修飾には、以下が含まれる:1位のHisを大型芳香族アミノ酸(例えば、Tyr、Phe、Trp、又はアミノ−Phe)で置換すること、
2位のSerをAlaで置換すること、
10位のTyrをVal又はPheで置換すること、
12位のLysをArgで置換すること、
15位のAspをGluで置換すること、
16位のSerをThr又はAIBで置換すること。
本明細書で開示された1つの実施形態は、野生型ペプチドであるHis−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号1)に対して修飾して、グルカゴン受容体に対するペプチドの効力を増強させたグルカゴンアゴニストに関する。驚くべきことに、本出願人らは、天然グルカゴン(配列番号1)の16位の通常に生じるセリンを、選択された酸性アミノ酸で置換し、検証されたin vitroモデルアッセイにおいてcAMP合成を刺激するその能力の点で、グルカゴンの効力を増強することができることを発見した(実施例14を参照)。より詳しくは、この置換は、グルカゴン受容体に対する類似体の効力を、少なくとも2倍、4倍、5倍、及び最大10倍まで増強する。また、この置換は、天然グルカゴンと比べて、GLP−1受容体に対する類似体の活性を、少なくとも5倍、10倍、又は15倍増強するが、GLP−1受容体に対するグルカゴン受容体の選択性が維持される。
1つの実施形態によると、天然グルカゴンの16位のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、トレオニン、又はグリシンからなる群から選択されるアミノ酸で置換される。1つの実施形態によると、天然グルカゴンの16位のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなる群から選択されるアミノ酸で置換され、1つの実施形態では、セリン残基はグルタミン酸で置換される。1つの実施形態では、グルカゴン受容体に対する特異性が増強されたグルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10のペプチド、又はそれらのグルカゴンアゴニスト類似体を含み、カルボキシ端末アミノ酸は、その天然カルボキシル酸基を保持する。1つの実施形態によると、NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−COOH(配列番号10)の配列を含むグルカゴンアゴニストが提供され、このペプチドは、実施例14のin vitro cAMPアッセイにより測定すると、天然グルカゴンに比べて、グルカゴン受容体に対しておよそ5倍の効力増強を示す。
親水性部分
本発明のグルカゴンペプチドは、生理学的なpHの水溶液中でのペプチドの溶解度及び安定性を向上させると共に、天然グルカゴンと比べて高い生物活性を保持するように更に修飾することができる。PEG基等の親水性部分は、タンパク質を活性化ポリマー分子と反応させるために使用される任意の好適な条件下でグルカゴンペプチドに結合させることができる。PEG部分の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基)よる、標的化合物の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基)に対する、アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加反応、チオールアルキル化、又は他の化学選択的な結合/連結方法を含む、当技術分野で公知の任意の手段を使用することができる。水溶性ポリマーを1つ又は複数のタンパク質に結合するために使用することができる活性基には、限定ではないが、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフラート、トレシラート(tresylate)、アジジリン、オキシラン、5−ピリジル、及びアルファ−ハロゲン化アシル基(例えば、アルファ−ヨード酢酸、アルファ−ブロモ酢酸、アルファ−クロロ酢酸)が含まれる。還元的アルキル化によりペプチドに結合される場合、選択されたポリマーは、重合度が制御されるように、単一の反応性アルデヒドを有するべきである。例えば、Kinstler et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 54: 477−485 (2002);Roberts et al., Adv. Drug Delivery Rev. 54: 459−476 (2002);及びZalipsky et al., Adv. Drug Delivery Rev. 16: 157−182 (1995)を参照されたい。
本発明の特定の態様では、チオールを有するグルカゴンペプチドのアミノ酸残基は、PEG等の親水性部分で修飾される。幾つかの実施形態では、チオールが、マレイミド活性化PEGにマイケル付加反応で修飾され、下記に示されているチオエーテル結合を含むペグ化ペプチドがもたらされる。
Figure 0005887265
幾つかの実施形態では、チオールが、ハロアセチル活性化PEGに求核置換反応で修飾され、下記に示されているチオエーテル結合を含むペグ化ペプチドがもたらされる。
Figure 0005887265
好適な親水性部分には、以下のものが含まれる:ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1〜C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ベータ−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー(PPG)、及び他のポリアキレン(polyakylene)オキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、コロン酸(colonic acid)又は他のポリサッカライドポリマー、フィコール、又はデキストラン、並びにそれらの混合物。デキストランは、主にα1−6結合により結合された、グルコースサブユニットのポリサッカライドポリマーである。多数の分子量範囲、例えば、約1kD〜約100kD、又は約5、10、15、又は20kD〜約20、30、40、50、60、70、又は90kDのデキストランが入手可能である。直鎖又は分枝ポリマーが企図される。その結果生じる結合体の調製物は、本質的に単分散系であってもよく、又は多分散系であってもよく、1個のペプチド当たり約0.5、0.7、1、1.2、1.5、又は2個のポリマー部分を有してもよい。
1つの実施形態によると、配列番号9又は配列番号10のペプチドの17、21、及び24位に親水性基を導入することにより、生理学的なpHを有する溶液中で高度に強力なグルカゴン類似体の溶解度及び安定性が向上すると予測される。そのような基の導入は、例えば、血中半減期の長期化により測定される作用持続時間も増加させる。好適な親水性部分には、PEG、PEGのホモポリマー又はコポリマー、PEGのモノメチル置換ポリマー(mPEG)、又はポリオキシエチレングリセロール(POG)を含む、当技術分野で公知の任意の水溶性ポリマーが含まれる。1つの実施形態によると、親水性基は、ポリエチレン(PEG)鎖を含む。より詳しくは、1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号6又は配列番号7の配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの21及び24位に存在するアミノ酸の側鎖に共有結合で連結され、ペプチドのカルボキシ端末アミノ酸は、カルボキシル酸基を有する。
結合体
本開示は、本発明のグルカゴンペプチドが、随意に共有結合により、及び随意にリンカーにより、結合部分に結合されている他の結合体も包含する。結合は、共有結合化学結合、静電気、水素、イオン、ファンデルワールス、又は疎水性若しくは親水性相互作用等の物理学的力により達成することができる。様々な非共有結合結合系を使用することができ、それらには、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞接着分子パートナー、又は互いに対して親和性を有する任意の結合パートナー又はそれらの断片が含まれる。
ペプチドは、これら標的アミノ酸の側鎖又はN−若しくはC−末端残基と反応することが可能な有機誘導体化剤とペプチドの標的側鎖とを反応させることにより、直接的共有結合で結合部分に結合することができる。ペプチド又は結合部分の反応基には、例えばアルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基が含まれる。誘導体化剤には、例えば、マレイミドベンゾイル スルホサクシニミドエステル(システイン残基による結合)、N−ヒドロキシサクシニミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、又は当技術分野で公知の他の作用剤が含まれる。或いは、結合部分は、ポリサッカライド又はポリペプチド担体等の中間担体により、間接的にペプチドに結合させることができる。ポリサッカライド担体の例には、アミノデキストランが含まれる。好適なポリペプチド担体の例には、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー、及びこれらアミノ酸と他のアミノ酸、例えばセリンとの混合ポリマー等が含まれ、その結果生じる負荷担体に望ましい溶解度特性を付与する。
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸、クロロアセトアミド等のα−ハロアセタート(及び対応するアミン)と反応して、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体をもたらす。システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、リン酸クロロアセチル、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾアート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させることによっても誘導体化される。
ヒスチジル残基は、この作用剤がヒスチジル側鎖に比較的特異的であるため、pH5.5〜7.0でジエチルピロカルボナートと反応させることにより誘導体化される。パラ−ブロモフェナシルブロミドも有用であり、その反応は、好ましくはpH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で実施される。
リシニル及びアミノ末端残基は、コハク酸又は他のカルボキシル酸無水物と反応させる。これら作用剤による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転する効果を有する。アルファ−アミノ含有残基の誘導体化に好適な他の試薬には、メチルピコリンイミダート等のイミドエステル、リン酸ピリドキサール、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4−ペンタンジオン、及びグリオキシラートとのトランスアミナーゼ触媒反応が含まれる。
アルギニル残基は、1つ又は幾つかの従来の試薬、それらの中でもフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンと反応させることにより修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基のpKが高いため、アルカリ条件で反応を実施することが必要である。更に、これら試薬は、リジン基並びアルギニンイプシロン−アミノ基と反応させることもできる。
チロシル残基の特異的修飾を行うことができ、特に興味深いのは、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応により、スペクトル標識をチロシル残基に導入することである。最も一般的には、N−アセチルイミジゾール(N−acetylimidizole)及びテトラニトロメタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体を形成する。
カルボキシル側鎖基(アスパルチル又はグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)との反応により選択的に修飾され、式中R及びR’は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド等の異なるアルキル基である。更に、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によりアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
他の修飾には、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアルファ−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79−86 (1983))、アスパラギン又はグルタミンの脱アミド化、N末端アミンのアセチル化、及び/又はC末端カルボキシル酸基のアミド化若しくはエステル化が含まれる。
別のタイプの共有結合性修飾には、化学的又は酵素的にグリコシドをペプチドに結合させることを伴う。糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのスルフヒドリル基等の遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン、又はヒドロキシプロリンのヒドロキシル基等の遊離ヒドロキシル基、(e)チロシン又はトリプトファンの芳香族基等の芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これら方法は、1987年9月11日に公開された国際公開第87/05330号、及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259−306 (1981)に記載されている。
本明細書に記載のグルカゴンペプチドのいずれかに結合することができる例示的な結合部分には、これらに限定されないが、異種性ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパク質を含む)、標的化剤、免疫グロブリン又はその部分(例えば、可変領域、CDR、又はFc領域)、放射性同位元素、蛍光体、又は酵素標識等の診断標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は他の治療薬又は診断薬が含まれる。1つの実施形態では、本発明のグルカゴンペプチド及び血漿タンパク質を含む結合体が提供され、血漿タンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノゲン、及びグロブリンからなる群から選択される。1つの実施形態では、結合体の血漿タンパク質部分は、アルブミン又はトランスフェリンである。
幾つかの実施形態では、リンカーは、1〜約60個の原子、又は1〜30個以上の原子、2〜5個の原子、2〜10個の原子、5〜10個の原子、又は10〜20個の原子の長さの鎖を含む。幾つかの実施形態では、鎖原子は全て炭素原子である。幾つかの実施形態では、リンカーの骨格にある鎖原子は、C、O、N、及びSからなる群から選択される。鎖原子及びリンカーは、より可溶性の結合体を提供するように、それらの予測される溶解度(親水性)に従って選択することができる。幾つかの実施形態では、リンカーは、酵素又は他の触媒による切断、又は標的組織若しくは器官若しくは細胞に見出される加水分解性条件の影響を受けやすい官能基を提供する。幾つかの実施形態では、リンカーの長さは、立体障害の可能性を低減するのに十分な程度の長さである。リンカーが共有結合又はペプチジル結合であり、結合体がポリペプチドである場合、結合体全体は、融合タンパク質であってもよい。そのようなペプチジルリンカーは、任意の長さであってもよい。例示的なリンカーは、長さが約1〜50個のアミノ酸、長さが5〜50個、3〜5個、5〜10個、5〜15個、又は10〜30個のアミノ酸である。そのような融合タンパク質は、その代わりに、当業者に公知の組換え遺伝子工学法により産生することができる。
上述のように、幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、免疫グロブリン又はその部分(例えば可変領域、CDR、又はFc領域)に結合、例えば融合される。公知のタイプの免疫グロブリン(Ig)には、IgG、IgA、IgE、IgD、又はIgMが含まれる。Fc領域は、Ig重鎖のC末端領域であり、再利用等の活性を実行するFc受容体への結合(これにより、半減期延長がもたらされる)、抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)に関与する。
例えば、幾つかの定義によると、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226〜重鎖のC末端に及ぶ。「ヒンジ領域」は、一般的に、ヒトIgG1のGlu216〜Pro230に及び(他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、システイン結合に関与するシステインをアラインすることによりIgG1配列とアラインすることができる)。IgGのFc領域は、2つの定常ドメイン、CH2及びCH3を含む。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、通常はアミノ酸231〜アミノ酸341に及ぶ。ヒトIgG Fc領域のCH3ドメインは、通常はアミノ酸342〜447に及ぶ。免疫グロブリン又は免疫グロブリン断片又は領域のアミノ酸付番への参照は全て、Kabat et al. 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Public Health, Bethesda, Mdに基づく。関連する実施形態では、Fc領域は、CH1以外の免疫グロブリン重鎖、例えばIgG及びIgAのCH2及びCH3領域、又はIgEのCH3及びCH4領域に由来する1つ又は複数の天然又は修飾定常領域を含んでいてもよい。
好適な結合部分には、FcRn結合部位を含む免疫グロブリン配列の部分が含まれる。FcRn、サルベージ受容体(salvage receptor)は、免疫グロブリンを再利用し、それらを血液循環中に戻すことに関与する。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶解析に基づいて記述されている(Burmeister et al. 1994, Nature 372:379)。FcRnとFcとの主な接触区域は、CH2及びCH3ドメインの接合部付近にある。Fc−FcRn接触は全て、単一のIg重鎖内にある。主な接触部位には、CH2ドメインのアミノ酸残基248、250〜257、272、285、288、290〜291、308〜311、及び314、及びCH3ドメインのアミノ酸残基385〜387、428、及び433〜436が含まれる。
幾つかの結合部分は、FcγR結合部位(複数可)を含んでいてもよく、又は含んでいなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCに関与する。FcγRと直接的に接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(下部ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C/Eループ)、及びアミノ酸327〜332(F/G)ループである(Sondermann et al., Nature 406: 267−273, 2000)。IgEの下部ヒンジ領域は、FcRI結合にも関与する(Henry, et al., Biochemistry 36, 15568−15578, 1997)。IgA受容体結合に関与する残基は、Lewisら(J Immunol. 175:6694−701, 2005)に記載されている。IgE受容体結合に関与するアミノ酸残基は、Sayersら(J Biol Chem. 279(34):35320−5, 2004)に記載されている。
アミノ酸修飾は、免疫グロブリンのFc領域になされている場合がある。そのような変異体Fc領域は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342〜447)に少なくとも1つのアミノ酸修飾、及び/又はFc領域のCH2ドメイン(残基231−341)に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに親和性の増加を付与すると考えられる突然変異には、T256A、T307A、E380A、及びN434Aが含まれる(Shields et al. 2001, J. Biol. Chem. 276:6591)。他の突然変異は、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、及び/又はFcγRIIIAに対するFc領域の結合を、FcRnへの親和性を著しく低減することなく低減することができる。例えば、Fc領域の297位のAsnをAla又は別のアミノ酸で置換することにより、高度に保存されたN−グリコシル化部位が取り除かれて、免疫原性の低減がもたらされ、同時にFc領域の半減期が延長され、並びにFcγRに対する結合の低減がもたらされる場合がある(Routledge et al. 1995, Transplantation 60:847;Friend et al. 1999, Transplantation 68: 1632;Shields et al. 1995, J. Biol. Chem. 276:6591)。FcγRに対する結合を低減する、IgG1の233〜236位のアミノ酸修飾がなされている(Ward and Ghetie 1995, Therapeutic Immunology 2:77及びArmour et al. 1999, Eur. J. Immunol. 29:2613)。幾つかの例示的なアミノ酸置換は、米国特許第7,355,008号及び第7,381,408号に記載されており、各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
融合タンパク質及び末端延長部分
本開示は、第2のペプチド又はポリペプチドが、グルカゴンペプチドの末端、例えばカルボキシ末端に融合されたグルカゴン融合ペプチド又はタンパク質も包含する。より詳しくは、融合グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列を更に含む配列番号55、配列番号9、又は配列番号10のグルカゴンアゴニストを含んでいてもよい。1つの実施形態では、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列は、ペプチド結合によりグルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合される。本出願人らは、エキセンディン−4(例えば、配列番号26又は配列番号29)のC末端延長ペプチドを含むグルカゴン融合ペプチドにおいて、29位の天然トレオニン残基をグリシンに置換することにより、GLP−1受容体活性が劇的に増加されることを発見した。このアミノ酸置換を、本明細書で開示された他の修飾と共に使用して、GLP−1受容体用のグルカゴン類似体の親和性を増強することができる。例えば、T29G置換は、本明細書に記載のように、S16E及びN20Kアミノ酸置換と、随意にアミノ酸16及び20間のラクタム架橋と、及び随意にPEG鎖の付加と組み合わせて使用することができる。1つの実施形態では、配列番号64の配列を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが提供される。1つの実施形態では、グルカゴン融合ペプチドのグルカゴンペプチド部分は、配列番号55、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5からなる群から選択され、PEG鎖は、17、21、24位、又はC末端アミノ酸に、又は21及び24位の両方に存在する場合、500〜40,000ダルトンの範囲から選択される。より詳しくは、1つの実施形態では、グルカゴンペプチドセグメントは、配列番号7、配列番号8、及び配列番号63からなる群から選択され、PEG鎖は、500〜5,000の範囲から選択される。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号55及び配列番号65の配列を含む融合ペプチドであり、配列番号65のペプチドは、配列番号55のカルボキシ末端に結合されている。
荷電中性C末端
1つの実施形態によると、配列番号10のグルカゴンペプチドの追加的化学修飾は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する相対的活性が事実上同じになるまで、GLP−1受容体効力の増加をもたらす。従って、1つの実施形態では、本発明のグルカゴンペプチドの末端アミノ酸が、天然アミノ酸に存在するカルボキシル酸基の代りのアミド基を有するグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが提供される。それぞれのグルカゴン及びGLP−1受容体に対するグルカゴン類似体の相対的活性は、グルカゴンペプチドを更に修飾して、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の約40%〜約500%以上を示し、GLP−1受容体に対する天然GLP−1活性の約20%〜約200%以上、例えばGLP−1受容体に対するグルカゴンの通常の活性と比べて50倍、100倍以上の増加を示す類似体を生成することにより調整することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴン活性の最大約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1活性の最大約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%を示す。
アルファヘリックス/分子内架橋の安定化
更なる実施形態では、ペプチドのカルボキシ末端の3次元構造を安定化させるために、2個のアミノ酸側鎖間に分子内架橋が形成されている、GLP−1受容体アゴニスト活性の増加を示すグルカゴン類似体が提供される。これら2個のアミノ酸側鎖は、非共有結合、例えば水素結合、塩橋の形成等のイオン性相互作用により、又は共有結合により互いに結合することができる。これら2個のアミノ酸側鎖が1つ又は複数の共有結合により互いに結合されている場合、本明細書では、ペプチドは共有結合性分子内架橋を含むとみなすことができる。これら2個のアミノ酸側鎖が、非共有結合、例えば水素結合、イオン性相互作用により互いに結合されている場合、本明細書では、ペプチドは非共有結合性分子内架橋を含むとみなすことができる。
幾つかの実施形態では、分子内架橋は、3個のアミノ酸で隔てられる2個のアミノ酸、例えばi及びi+4位のアミノ酸間で形成され、iは、12〜25の任意の整数である(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、及び25)。より詳しくは、アミノ酸対12及び16、16及び20、20及び24、又は24及び28(i=12、16、20、又は24であるアミノ酸対)の側鎖が互いに結合され、従ってグルカゴンアルファヘリックスを安定化させる。或いは、iは17であってもよい。
i及びi+4位のアミノ酸が分子内架橋により結合されている幾つかの特定の実施形態では、リンカーのサイズは、約8個の原子、又は約7〜9個の原子である。
他の実施形態では、分子内架橋は、2個のアミノ酸で隔てられる2個のアミノ酸間、例えばj及びj+3位のアミノ酸間で形成され、jは、12〜26の任意の整数である(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、及び26)。幾つかの特定の実施形態では、jは17である。
j及びi+3位のアミノ酸が分子内架橋により結合されている幾つかの特定の実施形態では、リンカーのサイズは、約6個の原子、又は約5〜7個の原子である。
更に他の実施形態では、分子内架橋は、6個のアミノ酸で隔てられている2個のアミノ酸間、例えばk及びk+7位のアミノ酸間で形成され、kは、12〜22の任意の整数である(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、及び22)。幾つかの特定の実施形態では、kは、12、13、又は17である。例示的な実施形態では、kは17である。
共有結合で結合されて6原子結合架橋を形成することが可能なアミノ酸対の例には、Orn及びAsp、Glu及び式中nが2である式Iのアミノ酸、並びにホモグルタミン酸及び式中nが1である式Iのアミノ酸が含まれ、式Iは下記の通りである。
Figure 0005887265
共有結合で結合されて7原子結合架橋を形成することが可能なアミノ酸対の例には、Orn−Glu(ラクタム環)、Lys−Asp(ラクタム)、又はホモser−ホモglu(ラクトン)が含まれる。8原子リンカーを形成することができるアミノ酸対の例には、Lys−Glu(ラクタム)、ホモlys−Asp(ラクタム)、Orn−ホモglu(ラクタム)、4−アミノPhe−Asp(ラクタム)、又はTyr−Asp(ラクトン)が含まれる。9原子リンカーを形成することができるアミノ酸対の例には、ホモlys−Glu(ラクタム)、Lys−ホモglu(ラクタム)、4−アミノPhe−Glu(ラクタム)、又はTyr−Glu(ラクトン)が含まれる。これらアミノ酸の側鎖はいずれも、アルファヘリックスの3次元構造が破壊されない限り、追加的な化学基で更に置換されていてもよい。当業者であれば、同様のサイズ及び所望の効果の安定化構造を生成することになる、化学的に修飾された誘導体を含む代替対又は代替アミノ酸類似体を想起することができる。例えば、ホモシステイン−ホモシステインジスルフィド架橋は、長さが6個の原子であり、所望の効果を提供するために更に修飾することができる。共有結合が無くとも、上述のアミノ酸対、又は当業者が想起することのできる類似した対も、非共有結合により、例えば塩橋又は水素結合相互作用の形成により、アルファヘリックスに安定性の付加を提供することができる。
更なる例示的な実施形態には、随意にラクタム架橋を有する以下の対が含まれる:12位のGlu及び16位のLys;12位の天然Lys及び16位のGlu;16位のGlu及び20位のLys;16位のLys及び20位のGlu;20位のGlu及び24位のLys;20位のLys及び24位のGlu;24位のGlu及び28位のLys;24位のLys及び28位のGlu。
1つの実施形態によると、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニスト活性を示すグルカゴン類似体であって、配列番号11、47、48、及び49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む類似体が提供される。1つの実施形態では、側鎖は、互いに共有結合で結合されており、1つの実施形態では、2個のアミノ酸は、互いに結合されてラクタム環を形成する。ラクタム環のサイズは、アミノ酸側鎖の長さに応じて様々であってもよく、1つの実施形態では、ラクタムは、リジンアミノ酸の側鎖をグルタミン酸側鎖に結合させることにより形成される。
ラクタム環のアミド結合の順序は逆転させることができる(例えば、ラクタム環は、Lys12及びGlu16又はその代わりにGlu12及びLys16の側鎖間に形成することができる)。1つの実施形態によると、アミノ酸対12及び16、16及び20、20及び24、24及び28からなる群から選択されるアミノ酸対の側鎖間に少なくとも1つのラクタム環が形成されている配列番号45のグルカゴン類似体が提供される。1つの実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、同時アゴニストが配列番号20のグルカゴンペプチド類似体を含み、ペプチドが、アミノ酸12及び16位間、又はアミノ酸16及び20位間に形成された分子内ラクタム架橋を含む同時アゴニストが提供される。1つの実施形態では、配列番号20の配列を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、分子内ラクタム架橋が、アミノ酸12及び16位間、アミノ酸16及び20位間、又はアミノ酸20及び24位間に形成されており、29位のアミノ酸がグリシンであり、配列番号29の配列が、配列番号20のC末端アミノ酸に結合されている同時アゴニストが提供される。更なる実施形態では、28位のアミノ酸はアスパラギン酸である。
ラクタム架橋以外の分子内架橋を使用して、グルカゴン類似体ペプチドのアルファヘリックスを安定化させることができる。1つの実施形態では、分子内架橋は疎水性架橋である。この場合、分子内架橋は、随意に、グルカゴン類似体ペプチドのアルファヘリックスの疎水性面の一部である2個のアミノ酸の側鎖間にある。例えば、疎水性架橋により結合されるアミノ酸の1個は、10、14、及び18位のアミノ酸であってもよい。
1つの特定の態様では、全炭化水素架橋系を使用して、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスの1つ又は2つのターンを架橋するために、オレフィンメタセシスを使用する。この場合、グルカゴンペプチドは、様々な長さのオレフィンの側鎖を保持し、i及びi+4又はi+7位がR又はS立体化学のいずれかの配置であるα−メチル化アミノ酸を含むことができる。例えば、オレフィン側鎖は、式中nが1〜6の任意の整数である(CH)nを含むことができる。1つの実施形態では、8原子の長さの架橋の場合、nは3である。そのような分子内架橋を形成する好適な方法は、当技術分野に記述されている。例えば、Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122: 5891−5892 (2000)及びWalensky et al, Science 305: 1466−1470 (2004)を参照されたい。或いは、グルカゴンペプチドは、隣接するヘリックスターンに位置するO−アリルSer残基を含むことができ、それらはルテニウム触媒性閉環メタセシスにより一緒に架橋される。そのような架橋手順は、例えば、Blackwell et al., Angew, Chem., Int. Ed. 37: 3281−3284 (1998)に記述されている。
別の特定の態様では、シスチンのペプチド模倣体として広く採用されている非天然チオ−ジアラニンアミノ酸、ランチオニンの使用が、アルファヘリックスの1つのターンを架橋するために使用される。ランチオニンに基づく環化の好適な方法は、当技術分野で公知である。例えば、Matteucci et al., Tetrahedron Letters 45: 1399−1401 (2004);Mayer et al., J. Peptide Res. 51: 432−436 (1998);Polinsky et al., J. Med. Chem. 35: 4185−4194 (1992);Osapay et al., J. Med. Chem. 40: 2241−2251 (1997);Fukase et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 65: 2227−2240 (1992);Harpp et al., J. Org. Chem. 36: 73−80 (1971);Goodman and Shao, Pure Appl. Chem. 68: 1303−1308 (1996);及びOsapay and Goodman, J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1599−1600 (1993)を参照されたい。
幾つかの実施形態では、α,ω−ジアミノアルカンテザー、例えば、i及びi+7位の2個のGlu残基間の1,4−ジアミノプロパン及び1,5−ジアミノペンタンを使用して、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスを安定化させる。そのようなテザーは、ジアミノアルカンテザーの長さに応じて、長さが9原子以上の架橋の形成に結び付く。そのようなテザーで架橋されたペプチドを生成する好適な方法は、当技術分野に記述されている。例えば、Phelan et al., J. Am. Chem. Soc. 119: 455−460 (1997)を参照されたい。
本発明の更に別の実施形態では、ジスルフィド架橋を使用して、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスの1つ又は2つのターンを架橋する。或いは、1つ又は両方の硫黄原子がメチレン基で置換されており、等配電子的な大環状化をもたらす修飾ジスルフィド架橋を使用して、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスを安定化させる。ジスルフィド架橋又は硫黄に基づく環化でペプチドを修飾する好適な方法は、例えば、Jackson et al., J. Am. Chem. Soc. 113: 9391−9392 (1991)及びRudinger and Jost, Experientia 20: 570−571 (1964)に記述されている。
更に別の実施形態では、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスは、i及びi+4に位置する2個のHis残基又はHis及びCys対による金属原子の結合により安定化される。金属原子は、例えば、Ru(III)、Cu(II)、Zn(II)、又はCd(II)であってもよい。金属結合に基づくアルファヘリックス安定化のそのような方法は、当技術分野で公知である。例えば、Andrews and Tabor, Tetrahedron 55: 11711−11743 (1999);Ghadiri et al, J. Am. Chem. Soc. 112: 1630−1632 (1990);及びGhadiri et al, J. Am. Chem. Soc. 119: 9063−9064 (1997)を参照されたい。
或いは、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスは、ペプチド環化の他の手段により安定化させることができ、それら手段は、Davies, J. Peptide. Sci. 9: 471−501 (2003)に概説されている。アルファヘリックスは、アミド架橋、チオエーテル架橋、チオエステル架橋、尿素架橋、カルバマート架橋、及びスルホンアミド架橋等の形成により安定化させることができる。例えば、チオエステル架橋を、C末端とCys残基の側鎖との間で形成することができる。或いは、チオエステルは、チオール(Cys)及びカルボキシル酸(例えば、Asp、Glu)を有するアミノ酸の側鎖により形成することができる。別の方法では、ジカルボキシル酸、例えばスベリン酸(オクタン二酸)等の架橋剤は、遊離アミノ、ヒドロキシル、チオール基、及びそれらの組み合わせ等の、アミノ酸側鎖の2つの官能基間に結合を導入することができる。
1つの実施形態によると、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスは、i及びi+4位に疎水性アミノ酸を組み込むことにより安定化される。例えば、iはTyrであってもよく、i+4はVal又はLeuのいずれかであってもよく;iはPheであってもよく、i+4はCys又はMetであってもよく;IはCysであってもよく、i+4はMetであってもよく;又はiはPheであってもよく、i+4はIleであってもよい。本明細書の目的の場合、上記のアミノ酸対は逆転していてもよく、i位に指定されているアミノ酸は、その代わりにi+4位に位置してもよく、i+4位のアミノ酸は、i位に位置してもよいことが理解されるべきである。
本発明の更に別の実施形態によると、GLP−1活性が増強されたグルカゴンペプチドは、(a)α,α−二置換アミノ酸による12〜29位のアミノ酸内の1つ又は複数の置換、及び随意に(b)C末端アミドを含む。幾つかの態様では、そのようなグルカゴンペプチドは、特に、グルカゴンのC末端部分にあるアルファ−ヘリックス(12〜29位付近)を安定化させる分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋を欠如することが認識されるべきである。幾つかの実施形態では、グルカゴンの16、17、18、19、20、21、24、又は29位のうちの1、2、3、又は4つ以上が、α,α−二置換アミノ酸、例えば、アミノイソ酪酸(AIB)、メチル、エチル、プロピル、及びn−ブチルから選択される同じ又は異なる基で、又はシクロオクタン若しくはシクロヘプタン(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボキシル酸)で二置換されたアミノ酸で置換されている。例えば、AIBによる16位の置換は、分子内架橋、例えば非共有結合性分子内架橋(例えば、塩橋)、又は共有結合性分子内架橋(例えば、ラクタム)の非存在下で、GLP−1活性を増強する。幾つかの実施形態では、16、20、21、又は24位の1、2、又は3箇所以上が、AIBで置換される。そのようなグルカゴンペプチドは、本明細書に記載の他の修飾の1つ又は複数を更に含むことができ、それらには、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:アシル化、アルキル化、ペグ化、C末端の1〜2個のアミノ酸の欠失、C末端における荷電アミノ酸の付加及び/又置換、アミドによるC末端カルボキシラートの置換、C末端延長部分の付加、並びに保存的及び/又は非保存的アミノ酸置換、例えば、Leu又はNleによる27位のMetの置換、Glu(又は類似のアミノ酸)による15位のAspの置換、DPP−IVプロテアーゼ耐性を達成するアミノ酸による1位及び/又は2位の置換、Alaによる2位のSerの置換、Val又はPheによる10位のTyrの置換、Argによる12位のLysの置換、Thr又はAIBによる16位のSerの置換、Asp、Glu、又はAIBによる20及び/又は24位のGlnの置換、Glu又はThrによる16位のSerの置換、Alaによる18位のArgの置換、Lysによる20位のGlnの置換、Gluによる21位のAsp、及びAsn又はCysによる24位のGln。幾つかの実施形態では、先述のグルカゴンペプチドは、29位にGln又はGlyを含むか、又は28位のアミノ酸のC末端側へのC末端延長部分、例えばGGPSSGAPPPS(配列番号26)の付加を含む。特定の態様では、グルカゴンペプチドは、C末端カルボキシラートの代りに、アミド基、アシル基、例えばC16脂肪酸、及び親水性部分、例えばポリエチレングリコール(PEG)の1つ又は複数を含む。
また、別の特定の態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号1〜25、30〜64、及び66〜555のいずれかのアミノ酸配列を含み、それら配列は、配列番号1と比べて多くとも10個の修飾を含み、16、20、21、及び/又は24位にAIBによる1つ又は複数のアミノ酸置換含み、ペプチドは、ペプチドの2個のアミノ酸の側鎖間の分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋を欠如している。従って、より特定の態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号556〜561のいずれかのアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態によると、分子内架橋を欠如するグルカゴンペプチドは、α,α−二置換アミノ酸によるアミノ酸12〜29位内の1つ又は複数の置換、及びグルカゴンペプチドの10位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されたアシル又はアルキル基を含む。特定の実施形態では、アシル又はアルキル基は、天然ではアミノ酸に存在しない。ある態様では、アシル又はアルキル基は、10位のアミノ酸に対して非天然である。例示的な実施形態では、分子内架橋を欠如するグルカゴンペプチドは、配列番号556〜561のいずれかのアミノ酸配列、及びグルカゴンペプチドの10位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されたアシル又はアルキル基を含む。分子内架橋を欠如するそのようなアシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドは、アシル化されていない対応するペプチドと比較して、GLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性の増強を示す。アシル又はアルキル基とペプチドの10位のアミノ酸側鎖との間にスペーサーを組み込むことにより、分子内架橋を欠如するアシル化グルカゴンペプチドによるGLP−1及びグルカゴン受容体に対する更なる活性の増強が達成される。スペーサーが組み込まれているか又は組み込まれていないアシル化及びアルキル化は、本明細書に更に記述されている。
1位における修飾
本発明の1つの実施形態によると、GLP−1活性が増強されたグルカゴンペプチドは、(a)大型芳香族アミノ酸による1位のHisのアミノ酸置換、及び(b)この分子のC末端部分にあるそのアルファヘリックス(例えば、12〜29位付近)を安定化させる分子内架橋を含む。特定の実施形態では、1位のアミノ酸は、Tyr、Phe、Trp、アミノ−Phe、ニトロ−Phe、クロロ−Phe、スルホ−Phe、4−ピリジル−Ala、メチル−Tyr、又は3−アミノ−Tyrである。特定の態様では、分子内架橋は、3個の介在アミノ酸により隔てられている2個のアミノ酸の側鎖間、つまりアミノ酸i及びi+4位の側鎖間にある。幾つかの実施形態では、分子内架橋はラクタム架橋である。本発明のより特定の実施形態では、グルカゴンペプチドは、1位に大型芳香族アミノ酸、並びにペプチドの16及び20位のアミノ酸間のラクタム架橋を含む。そのようなグルカゴンペプチドは、本明細書に記載の他の修飾の1つ又は複数(例えば、2、3、4、又は5つ以上)を更に含んでいてもよい。例えば、グルカゴンペプチドは、C末端カルボキシラートの代りにアミドを含んでいてもよい。従って、1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号555のアミノ酸配列を含む。
アシル化
1つの実施形態によると、グルカゴンペプチドは、アシル基、例えば天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基を含む。アシル基は、ペプチドが、(i)血中半減期の長期化、(ii)作用開始の遅延、(iii)作用持続時間の延長、(iv)DPP−IV等のプロテアーゼに対する耐性の向上、並びに(v)GLP−1受容体、GIP受容体、及び/又はグルカゴン受容体に対する効力増加のうちの1つ又は複数を示すことの原因となる。本明細書に示されているように、アシル化グルカゴンペプチドは、対応する非アシル化グルカゴンペプチドと比較して、グルカゴン受容体、GIP受容体、及び/又はGLP−1受容体に対する活性減少を示さない。むしろ、幾つかの場合では、アシル化グルカゴンペプチドは、実際に、GLP−1受容体、GIP受容体、及び/又はグルカゴン受容体に対する活性増加を示す。従って、アシル化類似体の効力は、増強されない場合でも、グルカゴン同時アゴニスト類似体の非アシル化型と同等である。
1つの実施形態によると、グルカゴンペプチドは、血中半減期の長期化、及び/又は作用開始の遅延、及び/又は作用持続時間の延長、及び/又はDPP−IV等のプロテアーゼに対する耐性の向上のために、エステル、チオエステル、又はアミド結合によりグルカゴンペプチドに結合されているアシル基を含むように修飾される。
アシル化は、グルカゴン及び/又はGLP−1活性及び/又はGIP活性が、増強されないとしても保持される限り、1〜29位のいずれかを含むグルカゴンペプチド内の任意の位置、C末端延長部分内の位置、又はC末端アミノ酸において実施することができる。非限定的な例には、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、29、30、37、38、39、40、41、42、又は43位(配列番号1のアミノ酸の付番による)が含まれる。特定の実施形態では、アシル化は、グルカゴンペプチドの10又は40位で生じ、グルカゴンペプチドは、分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋(例えば、ラクタム架橋)を欠如しており、C末端延長部分を含む。分子内架橋を欠如し、C末端延長部分を含むそのようなアシル化ペプチドは、対応する非アシル化ペプチドと比較して、GLP−1、GIP、及びグルカゴン受容体に対する活性の増強を示す。従って、アシル化が生じる位置は、グルカゴン類似体の全体的な活性特性を変更する場合がある。
グルカゴンペプチドは、親水性部分が結合されているのと同じアミノ酸位置で、又は異なるアミノ酸位置でアシル化されていてもよい。非限定的な例には、10又は40位のアシル化、及びグルカゴンペプチドのC末端部分の1つ又は複数の位置、例えばC末端延長部分内の24、28、29、又は40位の、又はC末端の(例えば、C末端Cysの付加による)ペグ化が含まれる。
アシル基は、グルカゴンペプチドのアミノ酸に共有結合で直接的に結合されていてもよく、又はスペーサーを介して間接的にグルカゴンペプチドのアミノ酸に結合されていてもよく、スペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ酸とアシル基との間に配置される。
本発明の特定の態様では、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的アシル化により、アシル基を含むように修飾される。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールにより直接的にアシル化される。幾つかの実施形態では、アシル化は、10、20、24、29、又は40位にある。この点で、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は本明細書に記載のアミノ酸修飾の1つ又は複数を含み、10、20、24、29、又は40位のアミノ酸の少なくとも1つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸に修飾されている、配列番号1の修飾されたアミノ酸配列を含むことができる。本発明の幾つかの特定の実施形態では、グルカゴンペプチドの直接的アシル化は、10又は40位のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールにより生じる。
幾つかの実施形態では、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。
Figure 0005887265
幾つかの例示的な実施形態では、式Iのアミノ酸は、nが4の場合は(Lys)、又はnが3の場合は(Orn)のアミノ酸である。
幾つかの実施形態では、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。
Figure 0005887265
幾つかの例示的な実施形態では、式IIのアミノ酸は、nが1の場合は(Ser)のアミノ酸である。
幾つかの実施形態では、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。
Figure 0005887265
幾つかの例示的な実施形態では、式IIIのアミノ酸は、nが1の場合は(Cys)のアミノ酸である。
更なる他の実施形態では、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合された水素が、第2の側鎖で置換されていることを除き、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む二置換アミノ酸である。
本発明の1つの実施形態では、アシル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアシル基の間にスペーサーを含む。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、共有結合でアシル基に結合されているスペーサーに共有結合で結合されている。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸、又は側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。スペーサーが結合されているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸(例えば、一置換又は二置換のα−置換アミノ酸)であってもよい。例えば、側鎖NH、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)が好適である。この点で、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は本明細書に記載のアミノ酸修飾の1つ又は複数を含み、10、20、24、29、及び40位のアミノ酸の少なくとも1つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシラートを含む任意のアミノ酸に修飾されている、配列番号1の修飾されたアミノ酸配列を含むことができる。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸、又は側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
アシル化がスペーサーのアミン基により生じる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンにより生じ得る。アルファアミンがアシル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、任意のアミノ酸であってもよい。例えば、スペーサーのアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸であってもよい。或いは、スペーサーのアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp及びGluであってもよい。
スペーサーのアミノ酸の側鎖アミンがアシル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーのアミノ酸のアルファアミン及び側鎖アミンを両方ともアシル化することが可能であり、その結果グルカゴンペプチドがジアシル化される。本発明の実施形態には、そのようなジアシル化分子が含まれる。
アシル化がスペーサーのヒドロキシル基により生じる場合、ジペプチド又はトリペプチドのアミノ酸又はアミノ酸の1つは、式IIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施形態では、アミノ酸はSerである。
アシル化がスペーサーのチオール基により生じる場合、ジペプチド又はトリペプチドのアミノ酸又はアミノ酸の1つは、式IIIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施形態では、アミノ酸はCysである。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、親水性の二官能性スペーサーである。ある実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、2つ以上の反応基、例えばアミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、アミン基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、チオール基及びカルボキシラートを含む。特定の実施形態では、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシラートを含む。この点で、スペーサーは、例えば、NH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ、式中、mは1〜6の任意の整数であり、nは2〜12の任意の整数であり、例えば、Peptides International,Inc.社(ルーイビル、ケンタッキー州)から市販されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸等である。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、疎水性の二官能性スペーサーである。疎水性の二官能性のスペーサーは、当技術分野で公知である。例えば、参照によりその全体が組み込まれるBioconjugate Techniques, G. T. Hermanson (Academic Press, San Diego, CA, 1996)を参照されたい。ある実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、2つ以上の反応基、例えばアミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、アミン基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、チオール基及びカルボキシラートを含む。カルボキシラート及びヒドロキシル基又はチオール基を含む好適な疎水性の二官能性スペーサーは、当技術分野で公知であり、例えば、8−ヒドロキシオクタン酸及び8−メルカプトオクタン酸が含まれる。
幾つかの実施形態では、二官能性スペーサーは、カルボキシラート基間に1〜7個の炭素原子の非分岐メチレンを含むジカルボキシル酸ではない。幾つかの実施形態では、二官能性スペーサーは、カルボキシラート基間に1〜7個の炭素原子の非分岐メチレンを含むジカルボキシル酸である。
スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、又は疎水性の二官能性スペーサー)は、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子、(例えば、6、7、8、9、又は10個の原子)である。より特定の実施形態では、スペーサーは、長さが約3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)であり、アシル基は、C12〜C18脂肪酸アシル基、例えば、C14脂肪酸アシル基、C16脂肪酸アシル基であり、従ってスペーサー及びアシル基の全長は、14〜28個の原子、例えば約14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28個の原子である。幾つかの実施形態では、スペーサー及びアシル基の長さは、17〜28個(例えば、19〜26、19〜21個)の原子である。
ある先述の実施形態によると、二官能性スペーサーは、長さが3〜10個の原子であるアミノ酸骨格を含む合成又は天然アミノ酸(これらに限定されないが、本明細書に記載されているもののいずれかを含む)であってもよい(例えば、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸)。或いは、スペーサーは、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)であるペプチド骨格を有するジペプチド又はトリペプチドスペーサーであってもよい。ジペプチド又はトリペプチドスペーサーの各アミノ酸は、ジペプチド又はトリペプチドの他のアミノ酸(複数可)と同じであってもよく又は異なっていてもよく、以下のものからなる群から独立して選択することができる:例えば、天然アミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr)のD又はL異性体のいずれか、又は以下のものからなる群から選択される非天然アミノ酸のあらゆるD又はL異性体を含む天然及び/又は非天然アミノ酸:β−アラニン(β−Ala)、N−α−メチル−アラニン(Me−Ala)、アミノ酪酸(Abu)、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、アミノイソ酪酸(Aib)、アミノメチルピロールカルボキシル酸、アミノピペリジンカルボキシル酸、アミノセリン(Ams)、アミノテトラヒドロピラン−4−カルボキシル酸、アルギニンN−メトキシ−N−メチルアミド、β−アスパラギン酸(β−Asp)、アゼチジンカルボキシル酸、3−(2−ベンゾチアゾリル)アラニン、α−tert−ブチルグリシン、2−アミノ−5−ウレイド−n−吉草酸(シトルリン、Cit)、β−シクロヘキシルアラニン(Cha)、アセトアミドメチル−システイン、ジアミノブタン酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、ジメチルチアゾリジン(DMTA)、γ−グルタミン酸(γ−Glu)、ホモセリン(Hse)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、イソロイシンN−メトキシ−N−メチルアミド、メチル−イソロイシン(MeIle)、イソニペコチン酸(Isn)、メチル−ロイシン(MeLeu)、メチル−リジン、ジメチル−リジン、トリメチル−リジン、メタノプロリン、メチオニンースルホキシド(Met(O))、メチオニン−スルホン(Met(O))、ノルロイシン(Nle)、メチル−ノルロイシン(Me−Nle)、ノルバリン(Nva)、オルニチン(Orn)、パラーアミノ安息香酸(PABA)、ペニシラミン(Pen)、メチルフェニルアラニン(MePhe)、4−クロロフェニルアラニン(Phe(4−Cl))、4−フルオロフェニルアラニン(Phe(4−F))、4−ニトロフェニルアラニン(Phe(4−NO))、4−シアノフェニルアラニン(Phe(4−CN))、フェニルグリシン(Phg)、ピペリジニルアラニン、ピペリジニルグリシン、3,4−デヒドロプロリン、ピロリジニルアラニン、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、O−ベンジル−ホスホセリン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸(Sta)、4−アミノ−5−シクロヘキシル−3−ヒドロキシペンタン酸(ACHPA)、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸(AHPPA)、1,2,3,4,−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボキシル酸(Tic)、テトラヒドロピラングリシン、チエニルアラニン(Thi)、O−ベンジル−ホスホチロシン、O−ホスホチロシン、メトキシチロシン、エトキシチロシン、O−(ビス−ジメチルアミノ−ホスホノ)−チロシン、チロシンスルファートテトラブチルアミン、メチル−バリン(MeVal)、及びアルキル化3−メルカプトプロピオン酸。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、全体的に負電荷を含み、例えば、1個又は2個の負荷電アミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、ジペプチドは、基本構造A−Bのジペプチドのいずれでもなく、Aは、Gly、Gln、Ala、Arg、Asp、Asn、Ile、Leu、Val、Phe、及びProからなる群から選択され、Bは、Lys、His、Trpからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、ジペプチドスペーサーは、以下のものからなる群から選択される:Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノ酪酸−γ−アミノ酪酸、及びγ−Glu−γ−Glu。
幾つかの例示的な実施形態では、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールをアシル化することにより、アシル基を含むように修飾され、スペーサーは、グルカゴンペプチドの10、20、24、29、又は40位のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の側鎖に結合されている。
更により特定の実施形態では、アシル基は、グルカゴンペプチドの10又は40位のアミノ酸に結合されており、スペーサー及びアシル基の長さは、14〜28個の原子である。10又は40位のアミノ酸は、幾つかの態様では、式Iのアミノ酸、例えばLys、又は式Iと関連する二置換アミノ酸である。より特定の実施形態では、グルカゴンペプチドは、分子内架橋、例えば共有結合性分子内架橋を欠如する。グルカゴンペプチドは、例えば、ペプチドのアルファヘリックスを安定化させるための1つ又は複数のアルファ,アルファ二置換アミノ酸、例えばAIBを含むペプチドであってもよい。従って、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号555〜561及び610〜612のいずれかのアミノ酸配列、表20及び28の又は配列番号657〜669のAIB含有ペプチドを含むことができる。
アミン、ヒドロキシル、及びチオールによるペプチドアシル化の好適な方法は、当技術分野で公知である。例えば、実施例19(アミンによるアシル化の方法について)、Miller, Biochem Biophys Res Commun 218: 377−382 (1996);Shimohigashi and Stammer, Int J Pept Protein Res 19: 54−62 (1982);及びPreviero et al, Biochim Biophys Acta 263: 7−13 (1972)(ヒドロキシルによるアシル化の方法について);及びSan and Silvius, J Pept Res 66: 169−180 (2005)(チオールによるアシル化の方法について);Bioconjugate Chem. “Chemical Modifications of Proteins: History and Applications” pages 1, 2−12 (1990);Hashimoto et al., Pharmacuetical Res. “Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity” Vol. 6, No: 2 pp.171−176 (1989)を参照されたい。
アシル化グルカゴンペプチドのアシル基は、任意のサイズ、例えば任意の長さの炭素鎖であってもよく、直鎖であってもよく、又は分岐していてもよい。本発明の幾つかの特定の実施形態では、アシル基は、C4〜C30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸、又はC30脂肪酸のいずれであってもよい。幾つかの実施形態では、アシル基は、C8〜C20脂肪酸、例えばC14脂肪酸又はC16脂肪酸である。
代替的な実施形態では、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、これらに限定されないが、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸を含む、任意の好適な胆汁酸であってもよい。
本発明の幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドにより長鎖アルカンをアシル化することにより、アシル基を含むように修飾される。特定の態様では、長鎖アルカンは、グルカゴンペプチドのカルボキシル基又はその活性化形態と反応するアミン、ヒドロキシル、又はチオール基(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール、及びヘキサデカンチオール)を含む。グルカゴンペプチドのカルボキシル基又はその活性化形態は、グルカゴンペプチドのアミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)の側鎖の一部であってもよく、又はペプチド骨格の一部であってもよい。
ある実施形態では、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドに結合されるスペーサーにより長鎖アルカンをアシル化することにより、アシル基を含むように修飾される。特定の態様では、長鎖アルカンは、スペーサーのカルボキシル基又はその活性化形態と反応するアミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。カルボキシル基又はその活性化形態を含む好適なスペーサーは、本明細書に記載されており、例えば、二官能性スペーサー、例えばアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、及び疎水性の二官能性スペーサーが含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「カルボキシル基の活性化形態」は、一般式R(C=O)Xを有するカルボキシル基を指し、式中Xは脱離基であり、Rはグルカゴンペプチド又はスペーサーである。例えば、カルボキシル基の活性化形態には、これらに限定されないが、塩化アシル、酸無水物、及びエステルが含まれていてもよい。幾つかの実施形態では、活性化カルボキシル基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)脱離基を有するエステルである。
長鎖アルカンが、グルカゴンペプチド又はスペーサーによりアシル化されている本発明のこれら態様に関して、長鎖アルカンは、任意のサイズであってもよく、任意の長さの炭素鎖を含んでいてもよい。長鎖アルカンは、直鎖であってもよく、又は分岐していてもよい。ある態様では、長連鎖アルカンは、C4〜C30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン、又はC30アルカンのいずれであってもよい。幾つかの実施形態では、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えばC14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカンを含む。
また、幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドのアミン、ヒドロキシル、又はチオール基が、コレステロール酸でアシル化される。特定の実施形態では、グルカゴンペプチドは、アルキル化デス−アミノCysスペーサー、又はアルキル化3−メルカプトプロピオン酸スペーサーによりコレステロール酸に結合される。アルキル化デス−アミノCysスペーサーは、例えば、ドデカエチレングリコール部分を含むデス−アミノCysスペーサーであってもよい。
本明細書に記載のアシル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を含むように更に修飾されていてもよい。幾つかの特定の実施形態では、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載の方法のいずれか等の任意の好適な方法により達成することができる。この点で、アシル化グルカゴンペプチドは、本明細書に記載の修飾のいずれかを含む配列番号1を含んでいてもよく、10、20、24、29、及び40位のアミノ酸の少なくとも1つはアシル基を含み、16、17、21、24、29、40位、C末端延長部分内の位置のアミノ酸、又はC末端アミノ酸のうちの少なくとも1つが、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheへと修飾されており、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合で結合されている。幾つかの実施形態では、アシル基は、随意に、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheを含むスペーサーにより10又は40位に結合されており、親水性部分は、24位のCys残基に組み込まれている。
或いは、アシル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、スペーサーは、アシル化されており、かつ親水性部分を含むように修飾されている。好適なスペーサーの非限定的な例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、及びAc−Pheからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸を含むスペーサーが含まれる。
本発明の特定の態様では、アシル化グルカゴンペプチドは、配列番号534〜544、546〜549、及び657〜669のいずれかのアミノ酸配列を含む。
アルキル化
幾つかの実施形態によると、グルカゴンペプチドは、アルキル基、例えば、天然ではアミノ酸に生じないアルキル基(例えば、天然アミノ酸に対して非天然であるアルキル基)を含むように修飾される。任意の特定の理論に束縛されないが、グルカゴンペプチドのアルキル化は、同じではないとしても、グルカゴンペプチドのアシル化と同様の効果、例えば、血中半減期の長期化、作用開始の遅延、作用持続時間の延長、DPP−IV等のプロテアーゼに対する耐性の向上、及びGLP−1及びグルカゴン受容体に対する効力の増加を達成することになると考えられる。
アルキル化は、グルカゴン活性が保持される限り、1〜29位のいずれかを含むグルカゴンペプチド内の任意の位置、C末端延長部分内の位置、又はC末端アミノ酸において実施することができる。非限定的な例には、配列番号1のアミノ酸の付番による、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、29、30、37、38、39、40、41、42、又は43位が含まれる。アルキル基は、グルカゴンペプチドのアミノ酸に共有結合で直接的に結合されていてもよく、又はスペーサーを介して間接的にグルカゴンペプチドのアミノ酸に結合されていてもよく、スペーサーは、グルカゴンペプチドのアミノ酸とアルキル基との間に配置される。グルカゴンペプチドは、親水性部分が結合されているのと同じアミノ酸位置で、又は異なるアミノ酸位置でアルキル化されていてもよい。非限定的な例には、40位のアルキル化、及びグルカゴンペプチドのC末端部分の1つ又は複数の位置、例えばC末端延長部分内の24、28、29、又は40位の、又はC末端の(例えば、C末端Cysの付加による)ペグ化が含まれる。
本発明の特定の態様では、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的アルキル化により、アルキル基を含むように修飾される。幾つかの実施形態では、アルキル化は、10、20、24、29、又は40位にある。この点で、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は本明細書に記載のアミノ酸修飾の1つ又は複数を含み、10、20、24、29、又は40位のアミノ酸の少なくとも1つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸へと修飾されている、配列番号1の修飾アミノ酸配列を含むことができる。本発明の幾つかの特定の実施形態では、グルカゴンペプチドの直接的アルキル化は、40位のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールにより生じる。
幾つかの実施形態では、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施形態では、式Iのアミノ酸は、nが4の場合は(Lys)、又はnが3の場合は(Orn)のアミノ酸である。
他の実施形態では、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施形態では、式IIのアミノ酸は、nが1の場合は(Ser)のアミノ酸である。
更なる他の実施形態では、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。幾つかの例示的な実施形態では、式IIIのアミノ酸は、nが1の場合は(Cys)のアミノ酸である。
更なる他の実施形態では、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合された水素が、第2の側鎖で置換されていることを除き、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む二置換アミノ酸である。
本発明の1つの実施形態では、アルキル化グルカゴンペプチドは、ペプチドとアルキル基との間にスペーサーを含む。幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、共有結合でアルキル基に結合されているスペーサーに共有結合で結合されている。幾つかの例示的な実施形態では、グルカゴンペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールをアルキル化することにより、アルキル基を含むように修飾され、スペーサーは、グルカゴンペプチドの10、20、24、29、又は40位のアミノ酸の側鎖に結合されている。スペーサーが結合されているアミノ酸は、スペーサーへの結合を可能にする部分を含む任意のアミノ酸であってもよい。例えば、側鎖NH、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)が好適である。この点で、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は本明細書に記載のアミノ酸修飾の1つ又は複数を含み、10、20、24、29、又は40位のアミノ酸の少なくとも1つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸へと修飾されている、配列番号1の修飾アミノ酸配列を含むことができる。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸、又は側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含むジペプチド若しくはトリペプチドである。
アルキル化がスペーサーのアミン基により生じる場合、アルキル化は、アミノ酸のアルファアミン又は側鎖アミンにより生じる場合がある。アルファアミンがアルキル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、任意のアミノ酸であってもよい。例えば、スペーサーのアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えばGly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸であってもよい。或いは、アルキル化が酸性残基のアルファアミンに生じる場合、スペーサーのアミノ酸は、酸性残基、例えばAsp、Gluであってもよい。スペーサーのアミノ酸の側鎖アミンがアルキル化される場合、スペーサーのアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーのアミノ酸のアルファアミン及び側鎖アミンを両方ともアルキル化することが可能であり、その結果グルカゴンペプチドはジアルキル化される。本発明の実施形態には、そのようなジアルキル化された分子が含まれる。
アルキル化がスペーサーのヒドロキシル基により生じる場合、ジペプチド又はトリペプチドのアミノ酸又はアミノ酸の1つは、式IIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施形態では、アミノ酸はSerである。
アルキル化がスペーサーのチオール基により生じる場合、ジペプチド又はトリペプチドのアミノ酸又はアミノ酸の1つは、式IIIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的な実施形態では、アミノ酸はCysである。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、親水性の二官能性スペーサーである。ある実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、2つ以上の反応基、例えばアミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、アミン基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、親水性の二官能性スペーサーは、チオール基及びカルボキシラートを含む。特定の実施形態では、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシラートを含む。この点で、スペーサーは、例えば、NH(CHCHO)(CHCOOHを含むことができ、式中、mは1〜6の任意の整数であり、nは2〜12の任意の整数であり、例えば、Peptides International,Inc.社(ルーイビル、ケンタッキー州)から市販されている8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸等である。
幾つかの実施形態では、スペーサーは、疎水性の二官能性スペーサーである。ある実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、2つ以上の反応基、例えばアミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ある実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、アミン基及びカルボキシラートを含む。他の実施形態では、疎水性の二官能性スペーサーは、チオール基及びカルボキシラートを含む。カルボキシラート及びヒドロキシル基又はチオール基を含む好適な疎水性の二官能性スペーサーは、当技術分野で公知であり、例えば、8−ヒドロキシオクタン酸、8−メルカプトオクタン酸が含まれる。
スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、又は疎水性の二官能性スペーサー)は、特定の実施形態では、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子、(例えば、6、7、8、9、又は10個の原子))である。より特定の実施形態では、スペーサーは、長さが約3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)であり、アルキル基は、C12〜C18アルキル基、例えば、C14アルキル基、C16アルキル基であり、そのため、スペーサー及びアルキル基の全長は、14〜28個の原子、例えば約14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28個の原子である。幾つかの実施形態では、スペーサー及びアルキルの長さは、17〜28個(例えば、19〜26、19〜21個)の原子である。
ある先述の実施形態によると、二官能性スペーサーは、長さが3〜10個の原子であるアミノ酸骨格を含む合成又は天然アミノ酸であってもよい(例えば、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸)。或いは、スペーサーは、長さが3〜10個の原子(例えば、6〜10個の原子)であるペプチド骨格を有するジペプチド又はトリペプチドスペーサーであってもよい。ジペプチド又はトリペプチドスペーサーは、例えば、本明細書で教示されているアミノ酸のいずれかを含む天然及び/又は非天然アミノ酸で構成されていてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサーは、全体的に負電荷を含み、例えば、1個又は2個の負荷電アミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、ジペプチドスペーサーは、以下のものからなる群から選択される:Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノ酪酸−γ−アミノ酪酸、及びγ−Glu−γ−Glu。
アミン、ヒドロキシル、及びチオールによるペプチドアルキル化の好適な方法は、当技術分野で公知である。例えば、ウィリアムソンエーテル合成を使用して、グルカゴンペプチドのヒドロキシル基とアルキル基との間にエーテル結合を形成することができる。また、ハロゲン化アルキルによるペプチドの求核置換反応により、エーテル、チオエーテル、又はアミノ結合のいずれかをもたらすことができる。
アルキル化グルカゴンペプチドのアルキル基は、任意のサイズ、例えば任意の長さの炭素鎖であってもよく、直鎖であってもよく、又は分岐していてもよい。本発明の幾つかの実施形態では、アルキル基は、C4〜C30アルキルである。例えば、アルキル基は、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル、又はC30アルキルのいずれであってもよい。幾つかの実施形態では、アルキル基は、C8〜C20アルキル、例えばC14アルキル又はC16アルキルである。
幾つかの特定の実施形態では、アルキル基は、胆汁酸、例えばコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸のステロイド部分を含む。
本発明の幾つかの実施形態では、グルカゴンペプチドは、求核性長鎖アルカンをグルカゴンペプチドと反応させることにより、アルキル基を含むように修飾され、グルカゴンペプチドは求核置換に好適な脱離基を含む。特定の態様では、長鎖アルカンの求核基は、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール、及びヘキサデカンチオール)。グルカゴンペプチドの脱離基は、アミノ酸側鎖の一部であってもよく、又はペプチド骨格の一部であってもよい。好適な脱離基には、例えば、N−ヒドロキシサクシニミド、ハロゲン、及びスルホン酸エステルが含んでいる。
ある実施形態では、グルカゴンペプチドは、求核性長鎖アルカンをグルカゴンペプチドに結合されているスペーサーと反応させることにより、アルキル基を含むように修飾され、スペーサーは脱離基を含む。特定の態様では、長鎖アルカンは、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。ある実施形態では、脱離基を含むスペーサーは、本明細書で考察されている任意のスペーサー、例えば、好適な脱離基を更に含むアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、及び疎水性の二官能性スペーサーであってもよい。
長鎖アルカンが、グルカゴンペプチド又はスペーサーによりアルキル化される本発明のこれら態様に関して、長鎖アルカンは、任意のサイズであってもよく、任意の長さの炭素鎖を含んでいてもよい。長鎖アルカンは、直鎖であってもよく、又は分岐していてもよい。ある態様では、長連鎖アルカンは、C4〜C30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン、又はC30アルカンのいずれであってもよい。幾つかの実施形態では、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えばC14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカンを含む。
また、幾つかの実施形態では、アルキル化は、グルカゴンペプチドとコレステロール部分との間に生じてもよい。例えば、コレステロールのヒドロキシル基は、長鎖アルカンの脱離基を置換して、コレステロール−グルカゴンペプチド生成物を形成することができる。
本明細書に記載のアルキル化グルカゴンペプチドは、親水性部分を含むように更に修飾されていてもよい。幾つかの特定の実施形態では、親水性部分は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。親水性部分の組み込みは、本明細書に記載の方法のいずれか等の任意の好適な手段により達成することができる。この点で、アルキル化グルカゴンペプチドは、配列番号1、又は本明細書に記載のアミノ酸修飾の1つ又は複数を含むその修飾アミノ酸配列を含んでいてもよく、10、20、24、29、及び40位のアミノ酸の少なくとも1つがアルキル基を含み、16、17、21、24、29、40位、C末端延長部分内の位置のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の少なくとも1つが、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheへと修飾されており、アミノ酸の側鎖は、親水性部分(例えば、PEG)に共有結合で結合されている。幾つかの実施形態では、アルキル基は、随意に、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheを含むスペーサーを介して40位に結合されており、親水性部分は、24位のCys残基に組み込まれている。
或いは、アルキル化グルカゴンペプチドは、スペーサーを含むことができ、スペーサーは、アルキル化されており、かつ親水性部分を含むように修飾されている。好適なスペーサーの非限定的な例には、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、及びAc−Pheからなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸を含むスペーサーが含まれる。
C末端切断
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドのC末端の1個又は2個のアミノ酸(つまり、29及び/又は28位)の切断又は欠失により、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する活性及び/又は効力に影響を及ぼすことなく更に修飾される。この点で、グルカゴンペプチドは、随意に本明細書に記載の1つ又は複数の修飾を有する天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1〜27又は1〜28を含むことができる。
1つの実施形態では、切断型グルカゴンアゴニストペプチドは、配列番号550又は配列番号551を含む。別の実施形態では、切断型グルカゴンアゴニストペプチドは、配列番号552又は配列番号553を含む。
荷電C末端残基
配列番号20のグルカゴンペプチドの溶解度は、例えば、1、2、又は3個以上の荷電アミノ酸を、配列番号20のグルカゴンペプチドのC末端部分に、好ましくは27位のC末端側の位置に導入することにより更に向上させることができる。そのような荷電アミノ酸は、例えば28又は29位の天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換することにより、又はその代わりに荷電アミノ酸を、例えば27、28、又は29位の後に付加することにより導入することができる。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、3個、又は全てが、負に荷電されている。或いは、溶解度は、ポリエチレングリコール等の親水性部分を共有結合でペプチドに結合することにより増強することができる。
例示的な実施形態
1つの実施形態によると、配列番号55の配列を含むグルカゴン類似体であって、前記類似体が、1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、24、27、28、及び29位から選択される1〜3個のアミノ酸で配列番号55と異なっており、前記グルカゴンペプチドが、GLP−1受容体に対して天然GLP−1の活性の少なくとも20%を示す類似体が提供される。
1つの実施形態によると、以下の配列を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが提供される:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号33)、配列中、15位のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、16位のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、20位のXaaは、Gln又はLysであり、24位のXaaは、Gln又はGluであり、28位のXaaは、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、29位のXaaは、Thr、Gly、又は酸性アミノ酸であり、Rは、COOH又はCONHであり、但し16位がセリンである場合、20位はLysであるか、又はその代わりに16位がセリンである場合、24位はGluであり、20位又は28位のいずれかはLysである。1つの実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、28位のアミノ酸がアスパラギン酸であり、29位のアミノ酸がグルタミン酸である配列番号33の配列を含む。別の実施形態では、28位のアミノ酸は天然アスパラギンであり、29位のアミノ酸は、グリシンであり、配列番号29又は配列番号65のアミノ酸配列が、配列番号33のカルボキシ末端に共有結合で結合されている。
1つの実施形態では、追加的な酸性アミノ酸がペプチドのカルボキシ末端に付加されている配列番号33の配列を含む同時アゴニストが提供される。更なる実施形態では、グルカゴン類似体のカルボキシ端末アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシル酸基の代りのアミドを有する。1つの実施形態では、グルカゴン類似体は、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、及び配列番号44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
1つの実施形態によると、配列番号33のグルカゴンペプチド類似体であって、前記類似体が、1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、及び27位から選択される1〜3個のアミノ酸により配列番号33と異なっており、但し16位のアミノ酸がセリンである場合、20位がリジンであるか、又はラクタム架橋が、24位のアミノ酸と20又は28位のアミノ酸のいずれかとの間で形成されるかのいずれかである類似体が提供される。1つの実施形態によると、類似体は、1、2、3、21、及び27位から選択される1〜3個のアミノ酸が配列番号33と異なっている。1つの実施形態では、配列番号33のグルカゴンペプチド類似体は、1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、及び27位から選択される1〜2個のアミノ酸、又は1つの実施形態では単一のアミノ酸がその配列と異なっており、但し16位のアミノ酸がセリンである場合、20位がリジンであるか、又はラクタム架橋が、24位のアミノ酸と20又は28位のアミノ酸のいずれかとの間で形成されるかのいずれかである。
別の実施形態によると、比較的選択的なGLP−1受容体アゴニストであって、NH−His−Ser−Xaa−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号53)を含み、配列中、3位のXaaが、Glu、Orn、又はNleからなるアミノ酸の群から選択され、15位のXaaが、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、16位のXaaが、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、20位のXaaが、Gln又はLysであり、24位のXaaが、Gln又はGluであり、28位のXaaが、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、29位のXaaが、Thr、Gly、又は酸性アミノ酸であり、Rが、COOH、CONH、配列番号26、又は配列番号29であり、但し16位がセリンである場合、20位がLysであるか、又はその代わりに16位がセリンである場合、24位がGluであり、20位又は28位のいずれかがLysであるアゴニストが提供される。1つの実施形態では、3位のアミノ酸はグルタミン酸である。1つの実施形態では、28及び/又は29位で置換される酸性アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。1つの実施形態では、同時アゴニストペプチドを含むグルカゴンペプチドは、ペプチドのカルボキシ末端に付加された追加的な酸性アミノ酸を更に含む配列番号33の配列を含む。更なる実施形態では、グルカゴン類似体のカルボキシ端末アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシル酸基の代りにアミドを有する。
1つの実施形態によると、以下からなる群から選択される修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが提供される:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号34)、配列中、15位のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、16位のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、20位のXaaは、Gln又はLysであり、24位のXaaは、Gln又はGluであり、28位のXaaは、Asn、Asp、又はLysであり、Rは、COOH又はCONHであり、29位のXaaは、Thr又はGlyであり、Rは、COOH、CONH、配列番号26、又は配列番号29であり、但し16位がセリンである場合、20位はLysであるか、又はその代わりに16位がセリンである場合、24位はGluであり、20位又は28位のいずれかはLysである。1つの実施形態では、RはCONHであり、15位のXaaはAspであり、16位のXaaは、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸からなるアミノ酸の群から選択され、20及び24位のXaasは、各々Glnであり、28位のXaaは、Asn又はAspであり、29位のXaaはThrである。1つの実施形態では、15及び16位のXaaは、各々Gluであり、20及び24位のXaaは、各々Glnであり、28位のXaaは、Asn又はAspであり、29位のXaaはThrであり、RはCONHである。
親ペプチドの活性の少なくとも幾らかを保持しつつ、天然グルカゴンペプチドのある位置を修飾することができることが報告されている。従って、出願人らは、配列番号11のペプチドの2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29位の位置に位置するアミノ酸の1つ又は複数を、天然グルカゴンペプチドに存在するものとは異なるアミノ酸で置換し、グルカゴン受容体に対する活性を依然として保持させることができると予測する。1つの実施形態では、天然ペプチドの27位に存在するメチオニン残基をロイシン又はノルロイシンに変更して、ペプチドの酸化的分解を防止する。別の実施形態では、20位のアミノ酸は、Lys、Arg、Orn、又はシトルレン(Citrullene)と置換され、及び/又は21位は、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸で置換される。
1つの実施形態では、配列番号20のグルカゴンペプチド類似体であって、類似体の1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、27、28、又は29位から選択される1〜6個のアミノ酸が、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっており、但し16位がセリンである場合、20位がリジンであるか、又はその代わりに16位がセリンである場合、24位がGluであり、20又は28位のいずれかがLysである類似体が提供される。別の実施形態によると、配列番号20のグルカゴンペプチド類似体であって、類似体の1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、28、又は29位から選択される1〜3個のアミノ酸が、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている類似体が提供される。別の実施形態では、配列番号8、配列番号9、又は配列番号11のグルカゴン類似体であって、類似体の1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、又は21位から選択される1〜2個のアミノ酸が、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっており、更なる実施形態では、1〜2個の異なるアミノ酸が、天然グルカゴン配列(配列番号1)に存在するアミノ酸と比べて保存的なアミノ酸である類似体が提供される。1つの実施形態では、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴンペプチドであって、グルカゴンペプチドが、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、又は29位から選択される位置に1、2、又は3個のアミノ酸置換を更に含むグルカゴンペプチドが提供される。1つの実施形態では、2、5、7、10、11、13、14、16、17、18、19、20、21、27、又は29位の置換は、保守的なアミノ酸置換である。
1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、変異体の16、17、18、20、21、23、24、27、28、及び29位から選択される1〜10個のアミノ酸が、それぞれ配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている同時アゴニストが提供される。1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体であって、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、Ala24、Val27、及びGly29からなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸置換が配列番号33と異なる変異体が提供される。1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、変異体の17〜26位から選択される1〜2個のアミノ酸が、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている同時アゴニストが提供される。1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体であって、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、及びAla24からなる群から選択されるアミノ酸置換が配列番号33と異なる変異体が提供される。1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体であって、18位のアミノ酸置換が配列番号33と異なっており、置換されたアミノ酸が、Ala、Ser、Thr、及びGlyからなる群から選択される変異体が提供される。1つの実施形態によると、配列番号33の配列の変異体であって、18位のAlaのアミノ酸置換が配列番号33と異なっている変異体が提供される。そのような変異は、配列番号55により包含される。別の実施形態では、配列番号33の配列の変異体を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、変異体の7〜22位から選択される1〜2個のアミノ酸が、配列番号1の対応するアミノ酸と異なっている同時アゴニストが提供され、更なる実施形態では、配列番号33の変異体であって、20及び21位の1又は2個のアミノ酸が配列番号33と異なっている変異体が提供される。1つの実施形態によると、以下の配列を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストが提供される:NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号51)を含み、式中、15位のXaaが、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、16位のXaaが、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、20位のXaaが、Gln、Lys、Arg、Orn、又はシトルリンであり、21位のXaaが、Asp、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、24位のXaaが、Gln又はGluであり、28位のXaaが、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、29位のXaaが、Thr又は酸性アミノ酸であり、Rが、COOH又はCONHである。1つの実施形態では、RはCONHである。1つの実施形態によると、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号47、配列番号48、又は配列番号49の変異体を含むグルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、変異体が、20位のアミノ酸置換で前記配列と異なっている同時アゴニストが提供される。1つの実施形態では、20位のアミノ酸置換は、Lys、Arg、Orn、又はシトルリンからなる群から選択される。
1つの実施形態では、配列番号34の類似体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストであって、2位にセリン以外のアミノ酸を有することにより配列番号34と異なっている類似体が提供される。1つの実施形態では、セリン残基は、アミノイソ酪酸、D−アラニンで置換され、1つの実施形態では、セリン残基は、アミノイソ酪酸で置換される。そのような修飾は、親化合物の固有の効力を保持しつつ(例えば、親化合物の効力の少なくとも75、80、85、90、又は95%以上)、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断を抑制する。1つの実施形態では、例えば、1、2、又は3個以上荷電アミノ酸を天然グルカゴンのC末端部分に、好ましくは27位のC末端側に導入することにより、類似体の溶解度が増加される。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、3個、又は全てが、負に荷電されている。別の実施形態では、類似体は、28又は29位の天然アミノ酸を置換した酸性アミノ酸、又は配列番号34のペプチドのカルボキシ末端に付加された酸性アミノ酸を更に含む。
1つの実施形態では、本明細書で開示されたグルカゴン類似体を、1又は2位で更に修飾して、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を低減させる。1つの実施形態では、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴン類似体であって、2位の置換が親分子と異なっており、ジペプチジルペプチダーゼ−IVによる切断に対する感受性の低減(つまり、耐性)を示す類似体が提供される。より詳しくは、1つの実施形態位置では、類似体ペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、バリン、アミノ酪酸、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。1つの実施形態位置では、類似体ペプチドの2位は、D−セリン、D−アラニン、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。別の実施形態位置では、類似体ペプチドの2位は、D−セリン、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号21又は配列番号22の配列を含む。
1つの実施形態では、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴン類似体であって、1位の置換が親分子と異なっており、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性の低減(つまり、耐性)を示す類似体が提供される。より詳しくは、類似体ペプチドの1位は、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。別の実施形態では、配列番号34の類似体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストであって、1位にヒスチジン以外のアミノ酸を有することが配列番号34と異なっている類似体が提供される。1つの実施形態では、例えば、1、2、又は3個以上荷電アミノ酸を天然グルカゴンのC末端部分に、好ましくは27位のC末端側に導入することにより、類似体の溶解度が増加される。例示的な実施形態では、荷電アミノ酸の1個、2個、3個、又は全てが、負に荷電されている。別の実施形態では、類似体は、28又は29位の天然アミノ酸を置換した酸性アミノ酸、又は配列番号34のペプチドのカルボキシ末端に付加された酸性アミノ酸を更に含む。1つの実施形態では、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。
1つの実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、1個のアミノ酸の、又は配列番号26、配列番号27、及び配列番号28からなる群から選択されるペプチドの追加的なカルボキシ末端延長部分を更に含む配列番号20の配列を含む。単一のアミノ酸が配列番号20のカルボキシ末端に付加されている実施形態では、アミノ酸は、典型的には20種の一般的アミノ酸の1つから選択され、1つの実施形態では、追加的カルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシル酸の代りにアミド基を有する。1つの実施形態では、追加的アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びグリシンからなる群から選択される。
代替的な実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストであって、ペプチドが、グルタミン酸残基及びリジン残基の側鎖間に形成された少なくとも1つのラクタム環を含み、グルタミン酸残基及びリジン残基が、3個のアミノ酸により隔てられている同時アゴニストが提供される。1つの実施形態では、ラクタム保持グルカゴンペプチドのカルボキシ端末アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシル酸の代りにアミド基を有する。より詳しくは、1つの実施形態では、以下のものからなる群から選択される修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴン及びGLP−1同時アゴニストが提供される:
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号66)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号67)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号68)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Xaa−R(配列番号69)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−R(配列番号16)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号17)
NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号18)
式中、28位のXaa=Asp又はAsnであり、29位のXaaは、Thr又はGlyであり、Rは、COOH、CONH、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28からなる群から選択され、配列番号66の場合は12位のLysと16位のGluとの間に、配列番号67の場合は16位のGluと20位のLysとの間に、配列番号68の場合は20位のLysと24位のGluとの間に、配列番号69の場合は24位のGluと28位のLysとの間に、配列番号16の場合は20位のLysと24位のGluとの間及び20位のLysと24位のGluとの間に、配列番号17の場合は12位のLysと16位のGluとの間及び24位のGluと28位のLysとの間に、及び配列番号18の場合は16位のGluと20位のLysとの間及び24位のGluと28位のLysとの間に、ラクタム架橋が形成されている。1つの実施形態では、Rは、COOH、CONH、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、グリシンからなる群から選択され、28位のアミノ酸はAsnであり、29位のアミノ酸はトレオニンである。1つの実施形態では、RはCONHであり、28位のアミノ酸はAsnであり、29位のアミノ酸は、トレオニンである。別の実施形態では、Rは、配列番号26、配列番号29、及び配列番号65からなる群から選択され、29位のアミノ酸はグリシンである。
更なる実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18からなる群から選択され、ペプチドは、1つのアミノ酸の、又は配列番号26、配列番号27、及び配列番号28からなる群から選択されるペプチドの追加的なカルボキシ末端延長部分を更に含む。1つの実施形態では、末端延長部分は、配列番号26、配列番号29、又は配列番号65の配列を含み、グルカゴンペプチドは、配列番号55の配列を含む。1つの実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号33の配列を含み、16位のアミノ酸はグルタミン酸であり、20位のアミノ酸はリジンであり、28位のアミノ酸はアスパラギンであり、配列番号26又は配列番号29のアミノ酸は、配列番号33のカルボキシ末端に結合されている。
単一のアミノ酸が配列番号20のカルボキシ末端に付加されている実施形態では、アミノ酸は、典型的には20種の一般的アミノ酸の1つから選択され、1つの実施形態では、アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシル酸の代りにアミド基を有する。1つの実施形態では、追加的なアミノ酸は、グルタミン酸、及びアスパラギン酸、及びグリシンからなる群から選択される。グルカゴンアゴニスト類似体がカルボキシ末端延長部分を更に含む実施形態では、延長部分のカルボキシ末端アミノ酸は、1つの実施形態では、カルボキシル酸ではなく、アミド基又はエステル基で終了する。
別の実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、以下の配列を含む:NH−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−Xaa−CONH(配列番号19)、式中30位のXaaは、任意のアミノ酸を表す。1つの実施形態では、Xaaは、20種の一般的アミノ酸の1つから選択され、1つの実施形態では、アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はグリシンである。このペプチドの溶解度は、配列番号19の17、21、24、又は30位のアミノ酸の側鎖にPEG鎖を共有結合で結合させることより更に向上させることができる。更なる実施形態では、ペプチドは、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28からなる群から選択されるペプチドの追加的なカルボキシ末端延長部分を含む。1つの実施形態によると、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32の配列を含む。
配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号64のグルカゴン配列の内部に追加的な部位特異的修飾を行って、様々な度合いのGLP−1アゴニズムを有する一組のグルカゴンアゴニストを産出することができる。従って、各受容体に対して事実上同一のin vitro効力を有するペプチドが、調製及び特徴付けられた。同様に、2つの受容体の各々に対して効力が選択的に10倍増強されたペプチドが、特定及び特徴付けられた。上記のように、グルタミン酸による16位のセリン残基の置換は、グルカゴン及びGLP−1受容体の両方に対する天然グルカゴンの効力を増強するが、グルカゴン受容体に対するおよそ10倍の選択性を維持する。加えて、3位の天然グルタミンをグルタミン酸で置換することにより(配列番号22)、GLP−1受容体に対するおよそ10倍の選択性を示すグルカゴン類似体が生成される。
グルカゴン/GLP−1同時アゴニストペプチドの溶解度は、ペプチドの16、17、21、及び24位に親水性基を導入することにより、又は単一の修飾アミノ酸(つまり、親水性基を含むように修飾されたアミノ酸)をグルカゴン/GLP−1同時アゴニストペプチドのカルボキシ末端に付加することより、天然グルカゴンと比べて高い生物活性を保持させつつ、生理学的なpHの水溶液中で更に増強することができる。1つの実施形態によると、親水性基は、ポリエチレン(PEG)鎖を含む。より詳しくは、1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18の配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの16、17、21、24、29位のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されており、但しペプチドが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、17、21、又は24位のアミノ酸残基に共有結合で結合されており、ペプチドが、配列番号14又は配列番号15を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、16、17、又は21位のアミノ酸残基に共有結合で結合されており、ペプチドが、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、17又は21位のアミノ酸残基に共有結合で結合されている。
1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13の配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの17、21、24位のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されており、ペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸は、天然アミノ酸のカルボキシ酸基の代りにアミド基を有する。1つの実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19からなる群から選択される配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの配列番号12、配列番号13、及び配列番号19の17、21、又は24位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されているか、又は配列番号14及び配列番号15の16、17、又は21位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されているか、又は配列番号16、配列番号17、及び配列番号18の17又は21位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されている。別の実施形態では、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号11又は配列番号19の配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの17、21、又は24位のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されている。
1つの実施形態によると、及び上記の段落に記載の制限に従うと、グルカゴン同時アゴニストペプチドは、16、17、21、24、又は29位、又はC末端アミノ酸に1つ又は複数のアミノ酸置換を含有するように修飾されており、天然アミノ酸は、例えばPEG含む親水性部分との架橋に好適な側鎖を有するアミノ酸で置換されている。天然ペプチドは、天然アミノ酸又は合成(非天然)アミノ酸で置換することができる。合成又は非天然アミノ酸は、in vivoでは天然に生じないが、にもかかわらず本明細書に記載のペプチド構造に組み込むことができるアミノ酸を指す。或いは、例えばPEG含む親水性部分との架橋に好適な側鎖を有するアミノ酸を、本明細書で開示されたグルカゴン類似体のいずれかのカルボキシ末端に付加することができる。1つの実施形態によると、グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストペプチドにおいて、16、17、21、24、又は29位からなる群から選択される位置のアミノ酸置換が行われ、天然アミノ酸が、リシン、システイン、オルニチン、ホモシステイン、及びアセチルフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸で置換され、置換するアミノ酸は、アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されたPEG鎖を更に含む。1つの実施形態では、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19からなる群から選択されるグルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの17又は21位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されているPEG鎖を含むように更に修飾される。1つの実施形態によると、ペグ化グルカゴン/GLP−1受容体同時アゴニストは、配列番号26、配列番号27、又は配列番号29の配列を更に含む。
別の実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号55又は配列番号56の配列を含み、配列番号55又は配列番号56のC末端アミノ酸に結合された配列番号26、配列番号29、又は配列番号65のC末端延長部分を更に含み、随意にペプチドの17、18、21、24、又は29位のアミノ酸、又はC末端アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されたPEG鎖を更に含む。別の実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号55又は配列番号56の配列を含み、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの21又は24位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されており、ペプチドは、配列番号26又は配列番号29のC末端延長部分を更に含む。
別の実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号55、又は配列番号33、又は配列番号34の配列を含み、追加的なアミノ酸が、配列番号33又は配列番号34のC末端に付加されており、PEG鎖が、付加されたアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されている。更なる実施形態では、ペグ化グルカゴン類似体は、配列番号33又は配列番号34のC末端アミノ酸に結合された配列番号26又は配列番号29のC末端延長部分を更に含む。別の実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号19の配列を含み、PEG鎖が、グルカゴンペプチドの30位のアミノ酸の側鎖に共有結合で結合されており、ペプチドは、配列番号19のC末端アミノ酸に結合された配列番号26又は配列番号29のC末端延長部分を更に含む。
ポリエチレングリコール鎖は、直鎖の形態であってもよく、又は分岐していてもよい。1つの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約500〜約10,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。1つの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000〜約5,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。代替的な実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000〜約20,000ダルトンの範囲から選択される平均分子量を有する。1つの実施形態によると、ペグ化グルカゴンペプチドは、グルカゴン鎖の総分子量が、約1,000〜約5,000ダルトンであるグルカゴンペプチドに共有結合で結合された2つ以上のポリエチレン鎖を含む。1つの実施形態では、ペグ化グルカゴンアゴニストは、配列番号5からなるペプチド又は配列番号5のグルカゴンアゴニスト類似体を含み、PEG鎖が、21位及び24位のアミノ酸残基に共有結合で結合されており、2つのPEG鎖を合わせた分子量は、約1,000〜約5,000ダルトンである。
ある例示的な実施形態では、グルカゴンペプチドは、最大10個のアミノ酸修飾を有する配列番号1のアミノ酸配列を含み、アシル化又はアルキル化されている10位のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、10位のアミノ酸が、C4〜C30脂肪酸でアシル化又はアルキル化されている。ある態様では、10位のアミノ酸は、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基又はアルキル基を含む。
ある実施形態では、アシル化又はアルキル化されている10位のアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、安定化されたアルファヘリックスを含む。従ってある態様では、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載のアシル又はアルキル基、及び分子内架橋、例えばi位のアミノ酸及びi+4位のアミノ酸の側鎖間の共有結合性分子内架橋(例えば、ラクタム架橋)を含み、iは12、16、20、又は24である。その代わりに又はそれに加えて、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載のアシル又はアルキル基を含み、グルカゴンペプチドの16、20、21、及び/又は24位の1、2、又は3箇所以上は、α,α−二置換アミノ酸、例えばAIBで置換されている。幾つかの場合、非天然グルカゴンペプチドは、16位のGlu及び20位のLysを含み、随意にラクタム架橋はGlu及びLysを結合し、随意にグルカゴンペプチドは、以下のものからなる群から選択される1つ又は複数の修飾を更に含む:17位のGln、18位のAla、21位のGlu、23位のIle、及び24位のAla。
また、グルカゴンペプチドが、アシル化又はアルキル化されている10位のアミノ酸を含む実施形態のいずれかでは、グルカゴンペプチドは、C末端アルファカルボキシラートの代わりにC末端アミドを更に含むことができる。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のアシル又はアルキル基を含むグルカゴンペプチドは、1位、2位、又は1位及び2位にアミノ酸置換を更に含み、アミノ酸置換(複数可)は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を達成する。例えば、1位のHisは、D−ヒスチジン、アルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンからなる群から選択されるアミノ酸で置換されていてもよい。その代わりに又はそれに加えて、2位のSerは、D−セリン、アラニン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、又はアミノイソ酪酸で置換されてもよい。
本明細書に記載のアシル化又はアルキル化されている10位のアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、配列番号1と実質的に関連する任意のアミノ酸配列を含むことができる。例えば、グルカゴンペプチドは、最大10個のアミノ酸修飾(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の修飾)を有する配列番号1を含む。ある実施形態では、アシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と25%を超えて同一である(例えば、配列番号1と30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%を超えて、又はほぼ100%同一である)。ある特定の実施形態では、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載のアシル化又はアルキル化された10位のアミノ酸を有する配列番号55を含むペプチドである。グルカゴンペプチドは、配列番号55、1つ又は2つのアミノ酸修飾、2〜4、9〜18、20、23〜25、33、40〜44、53、56、61、62、64、66〜514、及び534を有する55のいずれかを含んでいてもよい。
これら実施形態のアシル又はアルキル基は、本明細書に記載の任意のアシル又はアルキル基であってもよい。例えば、アシル基は、C4〜C30(例えば、C8〜C24)脂肪酸アシル基であってもよく、アルキル基は、C4〜C30(例えば、C8〜C24)アルキル基であってもよい。
アシル又はアルキル基が結合されているアミノ酸は、本明細書に記載のアミノ酸のいずれであってもよく、例えば、式I(例えば、Lys)、式II、及び式IIIのいずれのアミノ酸であってもよい。
幾つかの実施形態では、アシル基又はアルキル基は、10位のアミノ酸に直接結合されている。幾つかの実施形態では、アシル又はアルキル基は、例えば、長さが3〜10個の原子であるスペーサー、例えば、アミノ酸又はジペプチド等のスペーサーを介して10位のアミノ酸に結合されている。アシル又はアルキル基を結合させるために好適なスペーサーは、本明細書に記載されている。
本発明の幾つかの実施形態では、GIP受容体に対するアゴニスト活性を示すグルカゴンペプチドの類似体が提供される。ある実施形態の類似体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(随意に、最大15個のアミノ酸修飾)を有する配列番号1のアミノ酸配列、及び類似体の29位のアミノ酸のC末端側に1〜21個のアミノ酸の延長部分を含む。
ある態様では、類似体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾及び最大15個のアミノ酸修飾(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個のアミノ酸修飾、最大10個のアミノ酸修飾)を含む。ある態様では、類似体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、最大10個のアミノ酸修飾、及び追加的な保存的アミノ酸修飾を含む。保存的なアミノ酸修飾は、本明細書に記載されている。
幾つかの態様では、アミノ酸修飾の少なくとも1つは、類似体のC末端部分に安定化されたアルファヘリックス構造を付与する。安定化されたアルファヘリックス構造を達成する修飾は、本明細書に記載されている。例えば、アルファヘリックス/分子内架橋の安定化と題する項目の教示を参照されたい。幾つかの態様では、類似体は、類似体の2個のアミノ酸の側鎖間の分子内架橋(例えば、共有結合性分子内架橋、非共有結合性分子内架橋)を含む。ある態様では、分子内架橋は、i位及びi+4位のアミノ酸の側鎖を結合し、iは、12、13、16、17、20、又は24である。他の態様では、分子内架橋は、jが17であるj位及びj+3位のアミノ酸の側鎖、又はkが12〜22の任意の整数であるk位及びk+7位のアミノ酸の側鎖を接続する。ある実施形態では、分子内架橋は、共有結合性分子内架橋、例えばラクタム架橋である。特定の態様では、ラクタム架橋は、16及び20位のアミノ酸の側鎖を接続する。特定の態様では、16及び20位のアミノ酸の1つは正荷電アミノ酸であり、他方は負荷電アミノ酸である。例えば、類似体は、16位のGlu及び20位のLysの側鎖を接続するラクタム架橋を含んでいてもよい。他の態様では、負荷電アミノ酸及び正荷電アミノ酸は、塩橋を形成する。この場合、分子内架橋は、非共有結合性分子内架橋である。
特定の態様では、安定化されたアルファヘリックスを付与するアミノ酸修飾は、α,α−二置換アミノ酸による配列番号1のアミノ酸の挿入又は置換である。アルファヘリックスを安定化させるための好適なα,α−二置換アミノ酸は、本明細書に記載されており、例えばAIBが含まれる。幾つかの態様では、配列番号1の16、20、21、及び24位のアミノ酸の1、2、又は3個以上が、α,α−二置換アミノ酸、例えばAIBで置換されている。特定の実施形態では、16位のアミノ酸はAIBである。
GIP受容体に対するアゴニスト活性を示す類似体は、本明細書に記載されている修飾のいずれか等の追加的な修飾を含むことができる。例えば、アミノ酸修飾は、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体の1つ又は両方に対する活性を増加又は減少させることができる。アミノ酸修飾は、ペプチドの安定性を増加させ、例えば、DPP−IVプロテアーゼ分解に対する耐性を増加させ、アミノ酸15と16との間の結合を安定化させることができる。アミノ酸修飾は、ペプチドの溶解度を増加させることができ、及び/又はGIP、グルカゴン、及びGLP−1受容体のいずれかに対する類似体の作用時間を変更することができる。これらのタイプの修飾のいずれの組み合わせが、GIP受容体に対するアゴニスト活性を示す類似体に存在していてもよい。
従って、幾つかの態様では、類似体は、17位のGln、18位のAla、21位のGlu、23位のIle、及び24位のAla、Asn、若しくはCys、又はそれらの保存的なアミノ酸置換の1つ又は複数を有する配列番号1のアミノ酸配列を含む。幾つかの態様では、類似体は、C末端アルファカルボキシラートの代りにC末端アミドを含む。ある実施形態では、類似体は、1位、2位、又は1位及び2位にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換(複数可)はDPP−IVプロテアーゼ耐性を達成する。好適なアミノ酸置換は、本明細書に記載されている。例えば、1位のDMIA、及び/又は2位のd−Ser若しくはAIBである。
幾つかの実施形態では、類似体は、27及び/又は28位が、並びに随意に29位が修飾されている。例えば、27位のMetは、大型脂肪族アミノ酸、随意にLeuで置換されており、28位のAsnは、小型脂肪族アミノ酸、随意にAlaで置換されており、29位のThrは、小型脂肪族アミノ酸、随意にGlyで置換されている。任意の特定の理論に束縛されないが、27〜29位のLAGによる置換は、それらの位置の配列番号1の天然MNT配列と比べて、GIP活性の増加を提供すると考えられる。幾つかの態様では、1位のアミノ酸は、イミダゾール環を含むアミノ酸、例えばHIs、Hisの類似体であり、類似体は、本明細書に記載のように、27及び/又は28位が、並びに随意に29位が修飾されている。
それに加えて又はその代わりに、類似体は、以下のうちの1つ又は組み合わせを含んでいてもよい:(a)Alaによる2位のSerの置換;(b)Glu又はグルタミン類似体による3位のGlnの置換;(c)Ileによる7位のThrの置換;(d)Trp、又は天然アミノ酸に対して非天然であるアシル若しくはアルキル基を含むアミノ酸による10位のTyrの置換;(e)Ileによる12位のLysの置換;(f)Gluによる15位のAspの置換;(g)Gluによる16位のSerの置換;(h)Ser、Thr、Ala、AIBによる20位のGlnの置換;(i)Ser、Thr、Ala、AIBによる24位のGlnの置換;(j)Leu又はNleによる27位のMetの置換;(k)荷電アミノ酸、随意にAsp又はGluによる29位のAsnの置換;及び(l)Gly又は荷電アミノ酸、随意にAsp又はGluによる29位のThrの置換。
ある態様では、類似体は、修飾によりGIPアゴニスト活性が付与される1位のアミノ酸修飾を含んでいない。幾つかの態様では、1位のアミノ酸は、大型芳香族アミノ酸、例えば、Tyrではない。幾つかの実施形態では、1位のアミノ酸は、イミダゾール環を含むアミノ酸、例えばHis、Hisの類似体である。ある実施形態では、類似体は、米国特許出願第61/151,349号で開示された化合物のいずれでもない。ある態様では、類似体は、配列番号657〜669のいずれかのアミノ酸配列を含む。ある態様では、類似体は、配列番号657〜669のいずれかの修飾アミノ酸配列を含み、12位のアミノ酸はIleであり、及び/又は27位のアミノ酸はLeuであり、及び/又は28位のアミノ酸はAlaである。ある態様では、類似体は、配列番号676、677、679、680のいずれかのアミノ酸配列を含む。
GIP受容体に対するアゴニスト活性を示す類似体に関して、類似体は、1〜21個のアミノ酸(例えば、5〜19、7〜15、及び9〜12個のアミノ酸)の延長部分を含む。類似体の延長部分は、延長部分が1〜21個のアミノ酸である限り、いかなるアミノ酸配列を含んでいてもよい。幾つかの態様では、延長部分は、7〜15個のアミノ酸であり、他の態様では、延長部分は、9〜12個のアミノ酸である。幾つかの実施形態では、延長部分は、(i)配列番号26又は674のアミノ酸配列、(ii)配列番号26又は674のアミノ酸配列と高度な配列同一性(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%)を有するアミノ酸配列、又は(iii)1つ又は複数の保存的アミノ酸修飾を有する(i)又は(ii)のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態では、延長部分のアミノ酸の少なくとも1つは、アシル化又はアルキル化されている。アシル又はアルキル基を含むアミノ酸は、類似体の伸長部分の任意の位置に位置していてもよい。ある実施形態では、伸長部分のアシル化又はアルキル化アミノ酸は、類似体の37、38、39、40、41、又は42位(配列番号1の付番による)の1つに位置する。ある実施形態では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、類似体の40位に位置する。
例示的な実施形態では、アシル又はアルキル基は、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル又はアルキル基である。例えば、アシル又はアルキル基は、C4〜C30(例えば、C12〜C18)脂肪酸アシル基又はC4〜C30(例えば、C12〜C18)アルキル基であってもよい。アシル又はアルキル基は、本明細書で考察されたもののいずれであってもよい。
幾つかの実施形態では、アシル又はアルキル基は、アミノ酸に、例えばアミノ酸の側鎖により直接的に結合されている。他の実施形態では、アシル又はアルキル基は、スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、疎水性の二官能性スペーサー)を介してアミノ酸に結合されている。ある態様では、スペーサーは、長さが3〜10個の原子である。幾つかの実施形態では、スペーサーは、6−アミノヘキサン酸、Ala、Pro、Leu、ベータ−Ala、ガンマ−Glu(例えば、ガンマ−Glu−ガンマ−Glu)の1つ又は2つを含むアミノ酸又はジペプチドである。特定の態様では、スペーサーの全長は、14〜28個の原子である。
また、例示的な実施形態では、アシル又はアルキル基が結合されるアミノ酸は、例えば、式I、II、又はIIIのアミノ酸を含む、本明細書に記載されているもののいずれであってもよい。例えば、アシル化又はアルキル化されるアミノ酸は、Lysであってもよい。アシル又はアルキル基を含む好適なアミノ酸、並びに好適なアシル基、アルキル基、及びスペーサーは、本明細書に記載されている。例えば、アシル化及びアルキル化と題する項目の教示を参照されたい。
他の実施形態では、延長部分の1〜6個のアミノ酸(例えば、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5個のアミノ酸)は、例えばLys等の正荷電アミノ酸、例えば式IVのアミノ酸である。本明細書で使用される場合、用語「正荷電アミノ酸」は、生理学的なpHにおいてその側鎖の原子に正電荷を含む、天然又は非天然のあらゆるアミノ酸を指す。ある態様では、正荷電アミノ酸は、37、38、39、40、41、42、及び43位のいずれかに位置する。特定の実施形態では、正荷電アミノ酸は、40位に位置する。
他の場合では、延長部分は、本明細書に記載のようにアシル化又はアルキル化されており、本明細書に記載のように1〜6個の正荷電アミノ酸を含む。
更に他の実施形態では、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類似体は、(i)少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する配列番号1、(ii)類似体の29位のアミノ酸のC末端側の1〜21個のアミノ酸(例えば、5〜18、7〜15、9〜12個のアミノ酸)の延長部分、及び(iii)C末端延長部分の外側(例えば、1〜29位のいずれか)に位置する天然アミノ酸に対して非天然であるアシル又はアルキル基を含むアミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、類似体は、10位にアシル化又はアルキル化アミノ酸を含む。特定の態様では、アシル又はアルキル基は、C4〜C30脂肪酸アシル又はC4〜C30アルキル基である。幾つかの実施形態では、アシル又はアルキル基は、スペーサー、例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性の二官能性スペーサー、疎水性の二官能性スペーサーを介してアミノ酸に結合されている。ある態様では、類似体は、16位のGluと20位のLysとの間の塩橋、又は16、20、21、及び24位のいずれか1、2、3箇所以上におけるアルファ,アルファ−ニ置換アミノ酸等のアルファヘリックスを安定化させるアミノ酸修飾を含む。特定の態様では、類似体は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を付与するアミノ酸修飾、例えば1位のDMIA、2位のAIBを更に含む。更なるアミノ酸修飾を含む類似体が、本明細書で企図されている。
ある実施形態では、GIP受容体活性を有する類似体は、類似体が親水性部分、例えばPEGを欠如する場合、GIP受容体に対する天然GIPの活性の少なくとも0.1%(例えば、少なくとも0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、又は20%)を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の10%超(例えば、20%超、50%超、75%超、100%超、200%超、300%超、500%超)を示す。幾つかの実施形態では、類似体は、GLP−1及びグルカゴン受容体の1つ又は両方に対する検出可能なアゴニスト活性を示す。幾つかの態様では、これら受容体(GIP受容体及びGLP−1受容体及び/又はグルカゴン受容体)の効力及び/又は選択性は、1000倍、750倍、500倍、250倍、又は100倍以内(より高いか又はより低い)である。例えば、GIP受容体活性を有する類似体のGLP−1受容体に対する選択性は、GIP受容体及び/又はグルカゴン受容体に対する選択性の1000倍、500倍、100倍未満、50倍以内、25倍以内、15倍以内、10倍以内(より高いか又はより低い)であってもよい。
本明細書に記載の態様のいずれかでは、本発明では、国際公開第2010/011439号、国際公開第2008/101017号、又は国際公開第2009/155258号に記載のペプチドのいずれかが除外されていてもよい。
使用
実施例において詳細に記載されているように、本発明のグルカゴンアゴニストは、天然ペプチドと比べて生物活性の増強を示すと共に、生物物理学的な安定性及び水溶解度の増強を示す。従って、本発明のグルカゴンアゴニストは、天然グルカゴンペプチドについて以前に記述されているあらゆる使用に好適であると考えられる。従って、本明細書に記載の修飾グルカゴンペプチドを使用して、低血糖症を治療するか又は血糖レベルを増加させることができ、放射線医学的使用のために腸の一時的麻痺を誘導するか、又はグルカゴンの血中レベル低下に起因する他の代謝疾患を治療することができる。本明細書に記載のグルカゴンペプチドは、体重の低減若しくは維持、又は高血糖症の治療、又は血糖レベルの低下、又は血糖レベルの正常化にも使用することができると予測される。
本発明のグルカゴンペプチドは、単独で又は他の抗糖尿病薬若しくは抗肥満薬と組み合わせて投与することができる。当技術分野で公知の又は研究中の抗糖尿病薬には、以下のものが含まれる:インスリン、トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロルプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブライド(Diabeta、Micronase、Glynase)、グリメピリド(Amaryl)、又はグリクラジド(Diamicron)等のスルホニル尿素;レパグリニド(Prandin)又はナテグリニド(Starlix)等のメグリチニド;メトホルミン(Glucophage)又はフェンホルミン等のビグアニド;ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)又はトログリタゾン(Rezulin)又は他のPPARγ阻害剤等のチアゾリジンジオン;ミグリトール(Glyset)、アカルボース(Precose/Glucobay)等の、炭水化物消化を阻害するアルファグルコシダーゼ阻害剤;エクセナチド(Byetta)又はプラムリンチド;ビルダグリプチン又はシタグリプチン等のジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤;SGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送体1)阻害剤;グルコキナーゼ活性化因子(GKA);グルカゴン受容体アンタゴニスト(GRA);又はFBPase(フルクトース1,6−ビスホスファターゼ)阻害剤。
当技術分野で公知の又は研究中の抗肥満薬には、以下のものが含まれる:フェネチルアミンタイプ刺激薬、フェンテルミン(随意に、フェンフルラミン又はデクスフェンフルラミンと共に)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu−2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))を含む食欲抑制薬;リモナバン(Acomplia(登録商標))、他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;塩酸フルオキセチン(Prozac);Qnexa(トピラマート及びフェンテルミン)、Excalia(ブプロピオン及びゾニサミド)若しくはContrave(ブプロピオン及びナルトレキソン);又はXENICAL(オルリスタット)若しくはCetilistat(ATL−962としても知られている)若しくはGT389−255に類似のリパーゼ阻害剤。
本開示の1つの態様は、低血糖症の治療に使用される本開示のグルカゴンアゴニストの事前に製剤化された水溶液に関する。本明細書に記載のアゴニスト組成物の安定性及び溶解度の向上は、迅速投与及び低血糖症治療用の、グルカゴンの事前に製剤化された水溶液の調製を可能にする。1つの実施形態では、低血糖症を罹患している患者に投与するための、ペグ化グルカゴンアゴニストを含む溶液が提供され、ペグ化グルカゴンアゴニストに結合されたPEG鎖の総分子量は、約500〜約5,000ダルトンである。1つの実施形態では、ペグ化グルカゴンアゴニストは、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25からなる群から選択されるペプチド、並びに配列番号23、配列番号24、及び配列番号25のグルカゴンアゴニスト類似体、又は配列番号20の配列を含むグルカゴンのペグ化ラクタム誘導体を含み、前記グルカゴンペプチドのアミノ酸残基の側鎖は、ポリエチレングリコール鎖に共有結合で結合されている。
低血糖症の治療を含むがそれに限定されない本発明による治療方法は、静脈内、腹腔内、皮下又は筋肉内、髄腔内、経皮的、経直腸、経口、経鼻、又は吸入による等、非経口を含む任意の標準的な投与経路を使用して、本開示のグルカゴンアゴニストを患者に投与するステップを含んでいてもよい。1つの実施形態では、組成物は、皮下又は筋肉内に投与される。1つの実施形態では、組成物は非経口的に投与され、グルカゴン組成物は、注射器に事前にパッケージ化されている。別の実施形態では、組成物は、吸入器又は他のアエロゾル化薬物送達デバイスに事前にパッケージ化されている。
驚くべきことに、出願人らは、親ペプチドの生物活性及び特異性を保持するペグ化グルカゴンペプチドを調製することができることを発見した。しかしながら、結合されたPEGの総分子量が5,000ダルトンを超えるように、PEG鎖の長さを増加させること又はペプチドに複数のPEG鎖を結合させることにより、修飾グルカゴンの作用時間が遅延し始める。1つの実施形態によると、配列番号23、配列番号24、及び配列番号25のグルカゴンペプチド、又はそのグルカゴンアゴニスト類似体、又は配列番号20の配列を含むグルカゴンのペグ化ラクタム誘導体が提供され、ペプチドは、1つ又は複数のポリエチレングリコール鎖を含み、結合されたPEGの総分子量は5,000ダルトンを超えており、1つの実施形態では10,000ダルトンを超えているが40,000ダルトン未満である。そのような修飾グルカゴンペプチドは、活性時間の遅延又は長期化を示すが、生物活性を喪失しない。従って、そのような化合物を投与して、投与されたグルカゴンペプチドの効果を拡張することができる。
10,000ダルトンを超える分子量を有するPEG鎖に共有結合で結合されるように修飾されたグルカゴンペプチドをインスリンと共に投与して、インスリンの作用を緩衝化し、糖尿病患者において安定した血糖レベルの維持を支援することができる。本開示の修飾グルカゴンペプチドは、単一組成物として、別々の溶液として同時に、インスリンと共に同時投与してもよく、又はその代わりにインスリン及び修飾グルカゴンペプチドは、互いと比べて異なる時点で投与してもよい。1つの実施形態では、インスリンを含む組成物、及び修飾グルカゴンペプチドを含む組成物は、互いに12時間以内に投与される。投与されたインスリンに対する修飾グルカゴンペプチドの正確な比率は、部分的には患者のグルカゴンレベルの決定に依存し、日常的な実験作業により決定することができる。
1つの実施形態によると、インスリン、及び配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5からなる群から選択される修飾グルカゴンペプチド及びそれらのグルカゴンアゴニスト類似体を含む組成物が提供され、修飾グルカゴンペプチドは、17、21、24位、又は21及び24位のアミノ酸側鎖に共有結合で結合されたポリエチレングリコール鎖を更に含む。1つの実施形態では、組成物は、インスリン及びグルカゴン類似体を含む水溶液である。グルカゴンペプチドが、配列番号24又は配列番号25の配列を含む実施形態では、PEG鎖は、グルカゴンペプチドの21又は24位に共有結合で結合されている。1つの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000〜約40,000ダルトンの分子量を有する。
1つの実施形態によると、本明細書で開示された修飾グルカゴンペプチドは、腸管の一時的麻痺を誘導するために使用される。この方法は、放射線医学的目的に有用性を有し、ペグ化グルカゴンペプチド、c末端延長部分を含むグルカゴンペプチド、又はそのようなペプチドの二量体を含む有効量の医薬組成物を投与するステップを含む。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群から選択される配列を含む。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、約1,000〜40,000ダルトンのPEG鎖を含み、PEG鎖は、21又は24位のアミノ酸残基に共有結合で結合されている。1つの実施形態では、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群から選択される配列を含む。1つの実施形態では、PEG鎖は、約500〜約5,000ダルトンの分子量を有する。
更なる実施形態では、腸管の一時的麻痺を誘導するために使用される組成物は、第1の修飾グルカゴンペプチド及び第2の修飾グルカゴンペプチドを含む。第1の修飾ペプチドは、随意に約500〜約5,000ダルトンのPEG鎖に結合されている配列番号23、配列番号24、及び配列番号25からなる群から選択される配列を含み、第2のペプチドは、約10,000〜約40,000ダルトンのPEG鎖に共有結合で結合されている配列番号23、配列番号24、及び配列番号25からなる群から選択される配列を含む。この実施形態では、各ペプチドのPEG鎖は、それぞれのペプチドの17、21、又は24位のいずれかのアミノ酸残基に互いに独立して共有結合で結合されている。
オキシントモジュリン、小腸に見出される天然の消化ホルモンは、ラット又はヒトに投与されると体重減少を引き起こすことが報告されている(Diabetes 2005; 54:2390−2395を参照)。オキシントモジュリンは、グルカゴンの29個アミノ酸の配列(つまり、配列番号1)及びその後に配列番号27(KRNRNNIA)の8個アミノ酸のカルボキシ端末延長部分を含有する37個アミノ酸のペプチドである。従って、出願人らは、オキシントモジュリンのグルカゴンペプチド部分を、本明細書で開示された修飾グルカゴンペプチドで置換することにより、オキシントモジュリンの生物活性(つまり、食欲抑制、及び体重減少/体重維持の誘導)を保持すると共に、化合物の溶解度及び安定性を向上させ、薬物動態を向上させることができると考える。加えて、出願人らは、本発明のグルカゴンペプチドを含み、オキシントモジュリンの端末の4個のアミノ酸が除去されている切断型オキシントモジュリンも、食欲抑制、及び体重減少/体重維持の誘導に有効であろうと考える。
従って、本発明は、配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のカルボキシ末端延長部分を有する本発明の修飾グルカゴンペプチドも包含する。これら化合物は、体重減少を誘導又は体重増加を防止するために個体に投与することができる。1つの実施形態によると、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のアミノ酸配列を更に含む配列番号33又は配列番号20のグルカゴンアゴニスト類似体は、体重減少を誘導又は体重増加を防止するために個体に投与される。より詳しくは、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群から選択される配列を含み、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のアミノ酸配列を更に含む。
エキセンディン−4は、39個のアミノ酸で構成されるペプチドである。エキセンディン−4は、GLP−1として知られている受容体の強力な刺激因子である。このペプチドも、食欲を抑制し、体重減少を誘導することが報告されている。出願人らは、エキセンディン−4の末端配列は、グルカゴンのカルボキシ末端に付加されると、グルカゴンの生物活性を妨害せずに、グルカゴンの溶解度及び安定性を向上させる。1つの実施形態では、エキセンディン−4の端末の10個のアミノ酸(つまり、配列番号26(GPSSGAPPPS)の配列)は、本開示のグルカゴンペプチドのカルボキシ末端に結合される。これら融合タンパク質は、食欲を抑制し、体重減少/体重維持を誘導するための薬理学的活性を有することが予想される。1つの実施形態によると、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)又は配列番号29のアミノ酸配列を更に含む配列番号33又は配列番号20のグルカゴンアゴニスト類似体が、体重減少を誘導又は体重増加を防止するために個体に投与される。より詳しくは、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号55、及び配列番号56からなる群から選択される配列を含み、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)又は配列番号29のアミノ酸配列を更に含む。1つの実施形態では、投与されたグルカゴンペプチド類似体は、配列番号64の配列を含む。
多量体
本開示は、本明細書で開示された修飾グルカゴンペプチドの多量体も包含する。当業者に公知の標準的結合剤及び手順を使用して、2つ以上の修飾グルカゴンペプチドを一緒に結合させることができる。例えば、特に、システイン、リシン オルニチン、ホモシステイン、又はアセチルフェニルアラニン残基で置換されたグルカゴンペプチド(例えば、配列番号3及び配列番号4)の場合、二官能性チオール架橋リンカー及び二官能性アミン架橋リンカーを使用することにより、2つの修飾グルカゴンペプチド間で二量体を形成することができる。二量体はホモ二量体であってもよく、又はその代わりにヘテロ二量体であってもよい。ある実施形態では、2つの(又はより多くの)グルカゴンペプチドを接続するリンカーは、PEG、例えば5kDa PEG、20kDa PEGである。幾つかの実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合である。例えば、二量体の各単量体は、Cys残基(例えば、端末又は内部に位置するCys)を含んでいてもよく、各Cys残基の硫黄原子は、ジスルフィド結合の形成に寄与する。本発明の幾つかの態様では、単量体は、末端アミノ酸(例えば、N末端又はC末端)により、内部アミノ酸により、又は少なくとも1つの単量体の末端アミノ酸及び少なくとも1つの他の単量体の内部アミノ酸により接続される。特定の態様では、単量体は、N末端アミノ酸によっては接続されていない。幾つかの態様では、多量体の単量体は、各単量体のC末端アミノ酸が一緒に結合される「尾−尾」配向性で共に結合される。
1つの実施形態では、二量体は、グルカゴン融合ペプチドのホモ二量体を含み、グルカゴンペプチド部分は、配列番号11又は配列番号20、及びグルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、二量体は、配列番号11のグルカゴンアゴニスト類似体のホモ二量体を含み、グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチドの21又は24位に共有結合で結合されているポリエチレングリコール鎖を更に含む。
1つの実施形態によると、リンカーを介して第2のグルカゴンペプチドに結合された第1のグルカゴンペプチドを含む二量体が提供され、第1のグルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11からなる群から選択されるペプチドを含み、第2のグルカゴンペプチドは、配列番号20を含む。別の実施形態によると、リンカーを介して第2のグルカゴンペプチドに結合された第1のグルカゴンペプチドを含む二量体が提供され、前記第1のグルカゴンペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11からなる群から選択される配列を含み、第2のグルカゴンペプチドは、配列番号11、及び前記グルカゴンポリペプチドの薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態によると、リンカーを介して第2のグルカゴンペプチドに結合された第1のグルカゴンペプチドを含む二量体が提供され、前記第1のグルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18からなる群から選択され、第2のグルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18、及び前記グルカゴンポリペプチドの薬学的に許容される塩からなる群から独立して選択される。1つの実施形態では、第1のグルカゴンペプチドは、配列番号20からなる群から選択され、第2のグルカゴンペプチドは、配列番号8、配列番号9、及び配列番号11からなる群から独立して選択される。1つの実施形態では、二量体は、各ペプチドが配列番号11のアミノ酸配列を含む2つのペプチド間で形成される。
キット
本発明の修飾グルカゴンペプチドは、1つの実施形態によると、キットの一部として提供することができる。1つの実施形態では、グルカゴンアゴニストをその必要性のある患者の投与するためのキットが提供され、キットは、1)配列番号20、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11の配列を含むグルカゴンペプチド;2)配列番号11、配列番号20、又は配列番号55のグルカゴンアゴニスト類似体、及びグルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列を含むグルカゴン融合ペプチド;及び3)グルカゴンペプチドのアミノ酸29に結合された配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列を更に含み、17、21、又は24位に共有結合で結合されたPEG鎖が、約500〜約40,000ダルトンの分子量を有する、配列番号11又は配列番号51のペグ化グルカゴンペプチドからなる群から選択される修飾グルカゴンペプチドを含む。1つの実施形態では、キットは、グルカゴン/GLP−1同時アゴニストを含み、ペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18からなる群から選択される配列を含む。
1つの実施形態では、キットは、患者にグルカゴン組成物を投与するためのデバイス、例えば注射針、ペンデバイス、ジェット式注射器、又は他の無針注射器を備えている。その代わりに又はそれに加えて、キットは、1つ又は複数の容器、例えばバイアル、チューブ、ボトル、単一又は多チャンバー充填済注射器、カートリッジ、輸液ポンプ(外部又は埋込型)、ジェット式注射器、及び充填済ペンデバイス等を含み、随意に凍結乾燥形態の又は水溶液のグルカゴンペプチドを含む。好ましくは、キットは、使用説明書も含むだろう。1つの実施形態によると、キットのデバイスは、エアロゾル投薬デバイスであり、組成物は、エーロゾルデバイス内に事前にパッケージ化されている。別の実施形態では、キットは注射器及び針を含み、1つの実施形態では、無菌グルカゴン組成物は、注射器内に事前にパッケージ化されている。
医薬製剤
1つの実施形態によると、組成物が本開示のグルカゴンペプチド、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、任意の薬学的に許容される成分を含むことができ、それらには、例えば、以下のものが含まれる:酸性化剤、添加剤、吸着剤、エアロゾル噴霧体、空気置換剤(air displacement agent)、アルカリ化剤、固化防止剤、抗凝血剤、抗菌保存剤、酸化防止剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、界面活性剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解促進剤、染料、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、充填剤、被膜形成剤、香味強化剤、流動促進剤(flow enhancer)、ゲル化剤、造粒剤、保湿剤、潤滑剤、粘膜付着剤(mucoadhesive)、軟膏基剤、軟膏剤、油性媒体、有機基剤、香錠基剤、色素、可塑剤、研磨剤、保存剤、金属イオン封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、表面活性剤、界面活性剤、懸濁化剤、甘味料、治療剤、増粘剤、等張化剤、毒性作用剤、増粘剤、水吸収剤、水混和性共溶媒、硬水軟化剤、又は湿潤剤。
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、以下の成分いずれか1つ又は組み合わせを含む:アカシア、アセスルファムカリウム、アセチルトリブチルシトラート、アセチルトリエチルシトラート、寒天、アルブミン、アルコール、脱水アルコール、変性アルコール、希アルコール、アロイリチン酸、アルギン酸、脂肪族ポリエステル、アルミナ、水酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アミロペクチン、α−アミロース、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパルテーム、静菌注射用蒸留水、ベントナイト、ベントナイトマグマ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、アルギン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シクラミン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、脱水リン酸水素カルシウム、第三リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水化物、キャノーラ油、カルボマー、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、β−カロチン、カラゲナン、ヒマシ油、水添ヒマシ油、陽イオン性乳化ろう、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、コレステロール、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、クロロジフルオロエタン(HCFC)、クロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン(CFC)クロロフェノキシエタノール、クロロキシレノール、コーンシロップ固形物、無水クエン酸、クエン酸一水和物、ココアバター、着色剤、トウモロコシ油、綿実油、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、シクラミン酸、シクロデキストリン、デキストラート、デキストリン、デキストロース、デキストロース無水物、ジアゾリジニル尿素、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ジエタノールアミン、フタル酸ジエチル、ジフルオロエタン(HFC)、ジメチル−β−シクロデキストリン、Captisol(登録商標)等のシクロデキストリン型化合物、ジメチルエーテル、フタル酸ジメチル、二カリウムエデンタート(dipotassium edentate)、ニナトリウムエデンタート(disodium edenate)、リン酸水素二ナトリウム、ドキュセートカルシウム、ドキュセートカリウム、ドキュセートナトリウム、没食子酸ドデシル、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、エデンタートカルシウムニナトリウム(edentate calcium disodium)、エドト酸(edtic acid)、エグルミン(eglumine)、エチルアルコール、エチルセルロース、没食子酸エチル、エチルラウレート、エチルマルトール、オレイン酸エチル、エチルパラベン、エチルパラベンカリウム、エチルパラベンナトリウム、エチルバニリン、フルクトース、液体フルクトース、粉砕フルクトース、無発熱性物質フルクトース、粉末フルクトース、フマル酸、ゼラチン、グルコース、液体グルコース、飽和植物脂肪酸のグリセリド混合物、グリセリン、グリセリルベヘナート、グリセリルモノオレアート、グリセリルモノステアラート、自己乳化グリセリルモノステアラート、グリセリルパルミトステアラート、グリシン、グリコール、グリコフロール、グアーガム、ヘプタフルオロプロパン(HFC)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、高フルクトースシロップ、ヒト血清アルブミン、炭化水素(HC)、希塩酸、硬化植物油、II型、ヒドロキシエチルセルロース、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、イミド尿素、インジゴカルミン、イオン交換剤、酸化鉄、イソプロピルアルコール、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、等張性生理食塩水、カオリン、乳酸、ラクチトール、ラクトース、ラノリン、ラノリンアルコール、無水ラノリン、レシチン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、規定濃度炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム無水物、炭酸水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム無水物、リンゴ酸、麦芽、マルチトール、マルチトール溶液、マルトデキストリン、マルトール、マルトース、マンニトール、中鎖トリグリセライド、メグルミン、メントール、メチルセルロース、メタクリル酸メチル、オレイン酸メチル、メチルパラベン、メチルパラベンカリウム、メチルパラベンナトリウム、微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、鉱油、軽油、鉱油及びラノリンアルコール、油類、オリーブオイル、モノエタノールアミン、モンモリロナイト、没食子オクチル、オレイン酸、パルミチン酸、パラフィン、落花生油、ペトロラタム、ペトロラタム及びラノリンアルコール、医薬品用グレース、フェノール、液化フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ポラクリリン、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリラート、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリメタクリラート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアラート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸カリウム、安息香酸カリウム、重炭酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カリウム無水物、リン酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、プロピオン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ポビドン、プロパノール、プロピオン酸、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、プロピルパラベンカリウム、プロピルパラベンナトリウム、硫酸プロタミン、菜種油、リンゲル液、サッカリン、サッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サフラワー油、サポナイト、血清タンパク質、胡麻油、コロイドシリカ、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水物、塩化ナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム、ナトリウムエデンタート(sodium edentate)、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、二塩基、リン酸ナトリウム、一塩基、リン酸ナトリウム、三塩基、無水プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマラート、亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、ソルビトール、70%ソルビトール溶液、大豆油、鯨ろう、デンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、滅菌トウモロコシデンプン、ステアリン酸、精製ステアリン酸、ステアリルアルコール、スクロース、糖、圧縮糖(compressible sugar)、粉砂糖、球状糖(sugar sphere)、転化糖、Sugartab、サンセットイエローFCF、合成パラフィン、タルク、酒石酸、タルトラジン、テトラフルオロエタン(HFC)、カカオ脂、チメロサール、二酸化チタン、アルファトコフェロール、酢酸トコフェリル、アルファトコフェリル酸スクシナート、ベータトコフェロール、デルタ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、トラガント、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリエタノールアミン、クエン酸トリエチル、トリメチル−β−シクロデキストリン、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド、トリス緩衝液、三ナトリウムエデンタート(trisodium edentate)、バニリン、I型硬化植物油、水、軟水、硬水、無二酸化炭素水、無発熱性物質水、注射用蒸留水、吸入用滅菌水、注射用滅菌水、洗浄用滅菌水、ろう、陰イオン性乳化ろう、カルナウバろう、陽イオン性乳化ろう、セチルエステルろう、微結晶性ろう、非イオン性乳化ろう、坐剤ろう、白ろう、黄ろう、白色ワセリン、羊毛脂、キサンタンガム、キシリトール、ゼイン、プロピオン酸亜鉛、亜鉛塩、ステアリン酸亜鉛、又は参照によりその全体が組み込まれるthe Handbook of Pharmaceutical Excipients, Third Edition, A. H. Kibbe (Pharmaceutical Press, London, UK, 2000)中の任意の賦形剤。参照によりその全体が組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)には、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される種々の成分、及びそれを調製するための公知の技術が開示されている。あらゆる従来の作用剤は、医薬組成物と適合性がない場合を除いて、医薬組成物におけるその使用が企図される。補完的な活性成分を、組成物に組み込むこともできる。
本明細書で開示された医薬製剤は、下記に記載のように、短期間作用性、迅速放出性、長期間作用性、又は徐放性に設計することができる。医薬製剤は、即時放出、制御放出、又は遅延放出用に製剤化することもできる。即時放出用組成物には、例えば、ミセル又はリポソーム、又は他の幾つかのカプセル化形態が更に含まれていてもよく、又は長期保管及び/若しくは送達効果を提供するために長期間放出形態で投与してもよい。開示された医薬製剤は、例えば、毎日(1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回)、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週、3週間毎、毎月、又は隔月を含む、任意の投薬計画により投与することができる。
幾つかの実施形態では、先述の成分(複数可)は、例えば、少なくともA等の任意の濃度で医薬組成物中に存在してもよく、Aは、0.0001重量/容積%、0.001重量/容積%、0.01重量/容積%、0.1重量/容積%、1重量/容積%、2重量/容積%、5重量/容積%、10重量/容積%、20重量/容積%、30重量/容積%、40重量/容積%、50重量/容積%、60重量/容積%、70重量/容積%、80重量/容積%、又は90重量/容積%である。幾つかの実施形態では、先述の成分(複数可)は、例えば、多くともB等の任意の濃度で医薬組成物中に存在してもよく、Bは、90重量/容積%、80重量/容積%、70重量/容積%、60重量/容積%、50重量/容積%、40重量/容積%、30重量/容積%、20重量/容積%、10重量/容積%、5重量/容積%、2重量/容積%、1重量/容積%、0.1重量/容積%、0.001%重量/容積%、又は0.0001%である。他の実施形態では、先述の成分(複数可)は、例えば、約A〜約B等の任意の濃度範囲で医薬組成物中に存在してもよい。幾つかの実施形態では、Aは0.0001%であり、Bは90%である。
医薬組成物は、生理学的適合性pHを達成するように製剤化することができる。幾つかの実施形態では、医薬組成物のpHは、製剤及び投与経路に応じて、少なくとも5、少なくとも5.5、少なくとも6、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8、少なくとも8.5、少なくとも9、少なくとも9.5、少なくとも10、又は少なくとも10.5からpH11以内であってもよい。ある実施形態では、医薬組成物は、生理学的適合性pHを達成するように緩衝剤を含んでいてもよい。緩衝剤には、例えば、リン酸緩衝剤(例えば、PBS)、トリエタノールアミン、Tris、ビシン、TAPS、トリシン、HEPES、TES、MOPS、PIPES、カコジラート、及びMES等の、所望のpHで緩衝化が可能な任意の化合物が含まれていてもよい。ある実施形態では、緩衝剤の強度は、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、少なくとも120mM、少なくとも150mM、又は少なくとも200mMである。幾つかの実施形態では、緩衝剤の強度は、多くとも300mM(例えば、多くとも200mM、多くとも100mM、多くとも90mM、多くとも80mM、多くとも70mM、多くとも60mM、多くとも50mM、多くとも40mM、多くとも30mM、多くとも20mM、多くとも10mM、多くとも5mM、多くとも1mM)である。
3位の修飾
本明細書に記載のグルカゴン類似体、グルカゴンアゴニスト類似体、グルカゴン同時アゴニスト、及びグルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子を含むグルカゴンペプチドはいずれも、3位における修飾、例えばGluによるGlnの置換を含むように修飾して、グルカゴン受容体に対する選択性と比較して、GLP−1受容体に対する高い選択性、例えば10倍の選択性を有するペプチドを生成することができる。
本明細書に記載のグルカゴン類似体、グルカゴンアゴニスト類似体、グルカゴン同時アゴニスト、及びグルカゴン/GLP−1同時アゴニスト分子を含むグルカゴンペプチドはいずれも、3位における修飾、例えばグルタミン類似体(例えば、Dab(Ac))によるGlnの置換を含むように修飾して、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に喪失することなく、幾つかの場合にはグルカゴン受容体活性を増強することができる。
調製方法
本発明の化合物は、標準的合成法、組換えDNA技術、又はペプチド及び融合タンパク質を調製する任意の他の方法により調製することができる。標準的組換えDNA技術により、特定の非天然アミノ酸を発現させることはできないが、それらを調製するための技術は当技術分野で公知である。非ペプチド部分を包含する本発明の化合物は、適用可能な場合、標準的ペプチド化学反応に加えて、標準的有機化学反応により合成することができる。
実施例
基本合成プロトコール:
グルカゴン類似体は、改良型Applied Biosystem社製430Aペプチド合成機を用いて、0.2ミリモルのBoc Thr(OBzl)Pamレジンから開始し、HBTU活性化「Fast Boc」単一カップリング法を使用して合成した。Bocアミノ酸及びHBTUは、Midwest Biotech社(フィッシャー、イリノイ州)から取得した。使用した側鎖保護基は、以下の通りだった:Arg(Tos)、Asn(Xan)、Asp(OcHex)、Cys(pMeBzl)、His(Bom)、Lys(2Cl−Z)、Ser(OBzl)、Thr(OBzl)、Tyr(2Br−Z)、及びTrp(CHO)。N末端Hisの側鎖保護基は、Bocだった。
各々の完成したペプチジルレジンを、ジメチルホルムアミド中20%ピペルジン(piperdine)溶液で処理して、ホルミル基をトリプトファンから除去した。p−クレゾール及び硫化ジメチルの存在下で液体水素フルオリド切断を実施した。切断は、HF装置(Penninsula Labs社製)を使用して、氷浴中で1時間実施した。HFを蒸発させた後、残基をジエチルエーテルに懸濁し、固形物質をろ過した。各ペプチドを、30〜70ml酢酸水溶液に抽出し、希釈等量をHPLCで分析した[Beckman System Gold、0.46x5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル、10分間で10%から80%Bの勾配]。
2.2×25cmのKromasil C18カラムを使用してFPLCで精製を実施しながら、214nmでUVをモニターし、5分間の画分を収集した。均質な画分を混合し凍結乾燥して、95%超の産物純度を得た。正確な分子量及び純度は、MALDI質量スペクトル解析を使用して確認した。
基本ペグ化プロトコール:(Cys−マレイミド)
典型的には、グルカゴンCys類似体を、リン酸緩衝生理食塩水に溶解し(5〜10mg/ml)、0.01Mエチレンジアミン四酢酸を添加する(全容積の10〜15%)。過剰(2倍)マレイミドメトキシPEG試薬(Nektar社製)を添加し、反応物を室温で撹拌しつつ、HPLCで反応進行をモニターする。8〜24時間後に、反応混合物を酸性化し、分取用逆相カラムに負荷して、0.1%TFA/アセトニトリル勾配を使用して精製する。適切な画分を混合し凍結乾燥して、所望のペグ化類似体を得た。
実施例1
グルカゴンCys17(1〜29)及び類似のモノCys類似体の合成
0.2ミリモルのBoc Thr(OBzl)Pamレジン(SynChem社製)を60ml反応槽に投入し、下記の配列を入力し、FastBoc HBTU活性化単一カップリング法を使用して、改良型Applied Biosystems430Aペプチド合成機で実行した。
Figure 0005887265
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)、及びTyr(BrZ)。完成したペプチジルレジンを、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理してTrpホルミル保護を除去し、その後HF反応槽に移し、減圧下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメヒルスルフィド(dimehyl sulfide)を、磁気撹拌子と共に添加した。槽をHF装置(Pennisula Labs社製)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、減圧し、およそ10mlの液体フッ化水素を凝縮した。反応を氷浴中で1時間撹拌し、その後HFを減圧下で除去した。残基をエチルエーテルに懸濁し、固形物をろ過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。切断抽出物の少量試料を用いて分析HPLCを実施した[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%Bから80%B)。残りの抽出物を、2.2×25cmのKromasil C18分取用逆相カラムに負荷し、Pharmacia社製FPLCシステムを使用してアセトニトリル勾配を実施した。214nmのUVをモニター(2.0A)しながら、5分間の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間で30%Bから100%B。
最も純粋な産物を含有する画分(48〜52)を混合して凍結し、凍結乾燥して、30.1mgを得た。産物のHPLC分析は、90%超の純度を示し、MALDI質量スペクトル解析は、3429.7の所望の質量を示した。グルカゴンCys21、グルカゴンCys24、及びグルカゴンCys29を同様に調製した。
実施例2
グルカゴン−Cex及び他のC末端延長類似体の合成
285mg(0.2ミリモル)のメトキシベンズヒドリルアミンレジン(Midwest Biotech社製)を60ml反応槽に投入し、下記の配列を入力し、FastBoc HBTU活性化単一カップリング法を使用して、改良型Applied Biosystems430Aペプチド合成機で実行した。
Figure 0005887265
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Cys(pMeBzl)、Glu(OcHex)、His(Boc)、Lys(2Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)、及びTyr(BrZ)。完成したペプチジルレジンを、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで処理してTrpホルミル保護を除去し、その後HF反応槽に移し、減圧下で乾燥した。1.0mlのp−クレゾール及び0.5mlのジメヒルスルフィドを、磁気撹拌子と共に添加した。槽をHF装置(Pennisula Labs社製)に取り付け、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、減圧し、およそ10mlの液体フッ化水素を凝縮した。反応を氷浴中で1時間撹拌し、その後HFを減圧下で除去した。残基をエチルエーテルに懸濁し、固形物をろ過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを50mlの酢酸水溶液に抽出した。切断抽出物の等量に対して分析HPLCを実施した[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm、A緩衝液は0.1%TFA、B緩衝液は0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%Bから80%B)。抽出物を、2.2×25cmのKromasil C18分取用逆相カラムに負荷し、Pharmacia社製FPLCシステムを使用してアセトニトリル勾配を実施して溶出した。214nmのUVをモニター(2.0A)しながら、5分間の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間で30%Bから100%B。画分58〜65を混合し、凍結し、凍結乾燥して、198.1mgを得た。
産物のHPLC分析は、95%超の純度を示した。MALDI質量スペクトル解析は、C末端アミドとしての産物が有する4316.7の所望の理論的質量が存在することを示した。オキシントモジュリン及びオキシントモジュリン−KRNRを、適切に負荷したPAM−レジンで始まるC末端カルボキシル酸として同様に調製した。
実施例3
グルカゴンCys17Mal−PEG−5K
15.1mgのグルカゴンCys17(1〜29)及び27.3mgのメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド 平均分子量5000(mPEG−Mal−5000、Nektar Therapeutics社製)を、3.5mlリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行をHPLC分析でモニターした[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%から80%B]。.
5時間後、反応混合物を、2.2×25cm Kromasil C18分取用逆相カラムに負荷した。Pharmacia社製FPLCでアセトニトリル勾配を実施しながら、214nmのUV波長をモニターし、5分間の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル、勾配=450分間で30%Bから100%B。産物に対応する画分を混合し、凍結し、凍結乾燥して25.9mgを得た。
この産物をHPLCで分析し[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%Bから80%B]、およそ90%の純度を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル解析は、8700〜9500の広域質量範囲を示した(PEG誘導体に典型的)。これは、開始グルカゴンペプチド(3429)の質量におよそ5,000a.m.u.が付加されたことを示す。
実施例4
グルカゴンCys21Mal−PEG−5K
21.6mgのグルカゴンCys21(1〜29)及び24mgのmPEG−MAL−5000(Nektar Therapeutics社製)を、3.5mlリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解し、0.5mlの0.01Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加した。反応物を室温で撹拌した。2時間後、更に12.7mgのmPEG−MAL−5000を添加した。8時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取用逆相カラムに負荷し、Pharmacia社製FPLCを用いてアセトニトリル勾配を4ml/分で実施しながら、5分間の画分を収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。勾配=450分間で30%Bから80%B。
産物の出現に対応する画分を混合し、凍結し、凍結乾燥して34mgを得た。この産物の分析HPLCによる分析は[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%Bから80%B]、開始グルカゴンペプチドの分だけ異なる均質な産物を示した。MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量スペクトル解析は、8700〜9700の広域質量範囲を示した(PEG誘導体に典型的)。これは、開始グルカゴンペプチド(3470)の質量におよそ5,000a.m.u.が付加されたことを示す。
実施例5
グルカゴンCys24Mal−PEG−5K
20.1mgのグルカゴンC24(1〜29)及び39.5mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics社製)を、3.5mlのPBSに撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを添加した。反応物を室温で7時間撹拌し、その後更に40mgのmPEG−Mal−5000を添加した。およそ15時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取用逆相カラムに負荷し、Pharmacia社製FPLCを使用してアセトニトリル勾配を実施した。5分間の画分を、214nmのUVをモニター(2.0A)しながら収集した。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、勾配=450分間で30%Bから100%B。産物に対応する画分を混合し、凍結し、凍結乾燥して45.8mgを得た。MALDI質量スペクトル解析は、グルカゴンC24(3457.8)よりおよそ5,000a.m.u.大きな、最大9175.2の典型的なPEG広域シグナルを示した。
実施例6
グルカゴンCys24Mal−PEG−20K
25.7mgのグルカゴンC24(1〜29)及び40.7mgのmPEG−Mal−20K(Nektar Therapeutics社製)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを添加した。6時間後、産物に対する出発物質の比率は、HPLCで決定したところ、およそ60:40だった。更に25.1mgのmPEG−Mal−20Kを添加し、反応物を更に16時間撹拌させた。産物比率が著しくは向上しなかったため、反応混合物を、2.2×25cmのKromasil C18分取用逆相カラムに負荷し、450分間で30%Bから100%Bの勾配を使用して、Pharmacia社製FPLCで精製した。A緩衝液=0.1%TFA、B緩衝液=0.1%TFA/50%ACN、流速=4ml/分、214nmのUVをモニター(2.0A)しながら、5分間の画分を収集した。均質な産物を含有する画分を混合し、凍結し、凍結乾燥して、25.7mgを得た。分析HPLCで決定した純度は約90%だった。MALDI質量スペクトル解析は、23,000〜27,000の広域ピークを示し、これは、グルカゴンC24(3457.8)よりおよそ20,000a.m.u.大きかった。
実施例7
グルカゴンCys29Mal−PEG−5K
20.0mgのグルカゴンC29(1〜29)及び24.7mgのmPEG−Mal−5000(Nektar Therapeutics社製)を、3.5mlのPBSに室温で撹拌しながら溶解し、0.5mlの0.01M EDTAを添加した。4時間後、更に15.6mgのmPEG−Mal−5000を添加して、反応を完了へと推進した。8時間後、反応混合物を、2.2×25cmのVydac C18分取用逆相カラムに負荷し、Pharmacia社製FPLCでアセトニトリル勾配を実施した。5分間の画分を、214nmのUVをモニター(2.0A)しながら収集した。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。画分75〜97を混合し、凍結し、凍結乾燥して、HPLCで回収した出発物質(画分58〜63)と異なる40.0mgの産物を得た。この産物の分析HPLCによる分析[0.46×5cm Zorbax C8、1ml/分、45C、214nm(0.5A)、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/90%ACN、勾配=10分間で10%Bから80%B]は、95%超の純度を示した。MALDI質量スペクトル解析は、出発物質(3484.8)よりも5,540a.m.u.大きい8,000〜10,000(最大9025.3)の質量範囲を有するPEG成分が存在することを示した。
実施例8
グルカゴンCys24(2−ブチロラクトン)
24.7mgのグルカゴンCys24(1〜29)に、4mlの0.05M重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル、及び5.5μlの2−ブロモ−4−ヒドロキシ酪酸−γ−ラクトン溶液(900μlアセトニトリル中100μl)を添加した。室温で3時間撹拌した後、更に105μlのラクトン溶液を反応混合物に添加し、それを更に15時間撹拌した。反応混合物を10%酢酸水溶液で10mlに希釈し、2.2×25cmのKromasil C18分取用逆相カラムに負荷した。アセトニトリル勾配(450分間で20%Bから80%B)をPharmacia社製FPLCで実施しながら、5分間の画分を収集し、214nmのUVをモニターーした(2.0A)。流速=4ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分74〜77を混合し、凍結し、凍結乾燥して、7.5mgを得た。HPLC分析は、95%の純度を示し、MALDI質量スペクトル解析は、3540.7の質量、つまり出発物質よりも84質量単位だけ大きな質量を示した。この結果は、単一のブチロラクトン部分の付加と一致する。
実施例9
グルカゴンCys24(S−カルボキシメチル)
18.1mgのグルカゴンCys24(1〜29)を、9.4mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH=9.2)に溶解し、0.6mlのブロモ酢酸溶液(アセトニトリル中1.3mg/ml)を添加した。反応物を室温で撹拌し、反応進行を分析HPLCで追跡した。1時間後、更に0.1mlのブロモ酢酸溶液を添加した。反応物を更に60分間撹拌し、その後酢酸水溶液で酸性化し、2.2×25cmのKromasil C18分取用逆相カラムに負荷して精製した。アセトニトリル勾配をPharmacia社製FPLCで実施しながら(流速=4ml/分)、5分間の画分を収集し、214nmのUVをモニターした(2.0A)。A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%アセトニトリル。画分26〜29を混合し、凍結し、凍結乾燥して、数mgを得た。分析HPLCは、90%の純度を示し、MALDI質量スペクトル解析は、所望の産物の3515の質量を確認した。
Figure 0005887265
実施例10
グルカゴンCys24マレイミド、PEG−3.4K−二量体
16mgのグルカゴンCys24及び1.02mgのMal−PEG−Mal−3400、ポリ(エチレングリコール)−ビス−マレイミド 平均分子量3400(Nektar Therpeutics社製)を、3.5のリン酸緩衝生理食塩水及び0.5mlの0.01M EDTAに溶解し、反応物を室温で撹拌した。16時間後、更に16mgのグルカゴンCys24を添加し、撹拌を継続した。およそ40時間後に、反応混合物をPharmcia社製PepRPC 16/10カラムに負荷し、アセトニトリル勾配をPharmacia社製FPLCで実施しながら、2分間の画分を収集し、214nmのUVをモニターした(2.0A)。流速=2ml/分、A=0.1%TFA、B=0.1%TFA/50%ACN。画分69〜74を混合し、凍結し、凍結乾燥して、10.4mgを得た。分析HPLCは、90%の純度を示した。MALDI質量スペクトル解析は、所望の二量体と一致する9500〜11,000の範囲の成分を示す。
Figure 0005887265
実施例11
グルカゴンラクタムの合成
285mg(0.2ミリモル)のメトキシベンズヒドリルアミンレジン(Midwest Biotech社製)を60mL反応槽に投入し、下記の配列を、Boc DEPBT活性化単一カップリング法を使用して、改良型Applied Biosystems430Aペプチド合成機で構築した。
Figure 0005887265
以下の側鎖保護基を使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Glu(OFm)、His(BOM)、Lys(Fmoc)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CHO)、Tyr(Br−Z)。ラクタムが16〜20、20〜24、又は24〜28から構築された場合、Lys(Cl−Z)を12位に使用した。完成したペプチジルレジンを、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミドで1時間循環させながら処理し、Trpホルミル基を除去し、並びにLys12及びGlu16からFmoc及びOFm保護を除去した。陽性ニンヒドリン試験で除去を確認した際、レジンをジメチルホルムアミドで洗浄し、その後ジクロロメタンで洗浄し、その後再びジメチルホルムアミドで洗浄した。ジメチルホルムアミド及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)中520mg(1ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)でレジンを処理した。反応物を8〜10時間進行させ、陰性ニンヒドリン反応で環化を確認した。レジンをジメチルホルムアミドで、その後ジクロロメタンで洗浄し、その後トリフルオロ酢酸で10分間処理した。Boc基の除去は、陽性ニンヒドリン反応で確認した。レジンをジメチルホルムアミド及びジクロロメタンで洗浄し、乾燥し、その後フッ化水素酸(HF)反応槽に移した。500μLのp−クレゾールを磁気撹拌子と共に添加した。反応槽を、ドライアイス/メタノール浴中で冷却されたHF装置(Peninsula Labs社製)に取り付け、減圧し、およそ10mLの液体フッ化水素酸を反応槽に凝縮させた。反応物を氷浴で1時間撹拌し、その後HFを減圧下で除去した。残基をエチルエーテルに懸濁し、固形物をろ過し、エーテルで洗浄し、ペプチドを150mLの20%アセトニトリル/1%酢酸で可溶化した。
可溶化された粗ペプチドの分析HPLC分析は、以下の条件下で実施した[4.6×30mm Xterra C8、1.50mL/分、220nm、A緩衝液0.1%TFA/10%ACN、B緩衝液0.1%TFA/100%ACN、15分間で5〜95%Bの勾配]。抽出物を水で2倍に希釈し、2.2×25cmのVydac C4分取用逆相カラムに負荷し、Waters社製HPLCシステムでアセトニトリル勾配を使用して溶出した(A緩衝液は0.1%TFA/10%ACN、B緩衝液は0.1%TFA/10%CANであり、勾配は、15.00ml/分の流速にて120分間で0〜100%Bだった)。精製ペプチドのHPLC分析は、95%超の純度を示し、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル解析は、12〜16間のラクタムの3506Daの質量を確認した。16〜20、20〜24、及び24〜28間のラクタムを同様に調製した。
実施例12
グルカゴン溶解度アッセイ:
グルカゴン(又は類似体)の溶液(1mg/ml又は3mg/ml)を、0.01NのHCl中に調製する。100μlの原液を、0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度(276nm)を決定する。残りの原液のpHを、200〜250μlの0.1M NaHPO(pH9.2)を使用してpH7に調整する。溶液を4℃で一晩静置させておき、その後遠心分離する。その後100μlの上清を0.01NのHClで1mlに希釈し、UV吸光度を決定する(重複して)。
最初の吸光度測定は、容積増加を補正し、以下の計算を使用して溶解度パーセントを確立する:
Figure 0005887265
結果は表1に示されており、グルカゴン−Cexは、配列番号26のカルボキシ末端追加部分が加えられた野生型グルカゴン(配列番号1)を表し、グルカゴン−Cex R12は、配列番号39を表す。
Figure 0005887265
実施例13
グルカゴン受容体結合アッセイ
グルカゴン受容体に対するペプチドの親和性は、シンチレーション近接アッセイ技術を使用する競合結合アッセイで測定した。シンチレーション接近アッセイ緩衝液(0.05M Tris−HCl、pH7.5、0.15M NaCl、0.1重量/容積%のウシ血清アルブミン)で製作されたペプチドの連続3倍希釈物を、96ウエル白色/透明底プレート(Corning Inc.社製、アクトン、マサチューセッツ州)中で、1ウエル当たり1〜6マイクログラム0.05nM(3−[125I]−ヨードチロシル)Tyr10グルカゴン(Amersham Biosciences社製、ピスカタウエイ、ニュージャージー州)、ヒトグルカゴン受容体を過剰発現する細胞から調製された原形質膜断片、及び1mg/ウエルのポリエチレンイミン処理小麦胚芽凝集素A型シンチレーション近接アッセイビーズ(Amersham Biosciences社製、ピスカタウエイ、ニュージャージー州)と混合する。回転振とう器で5分間800rpmにて振とうした後、プレートを室温で12時間インキュベートし、その後MicroBeta1450液体シンチレーション計数器(Perkin Elmer社製、ウェルズリー、マサチューセッツ州)で測定した。非特異的結合(NSB)放射能を、検査試料の最高濃度よりも4倍高い濃度の「コールド」天然リガンドを有するウエル中で測定し、総結合放射能は、競合体を有していないウエル中で検出した。特異的結合パーセントは、以下のように計算した:特異的結合%=((結合−NSB)/(総結合−NSB))X100。IC50値は、Originソフトウェア(OriginLab社製、ノーサンプトン、マサチューセッツ州)を使用することにより決定した。
実施例14
機能的アッセイ−cAMP合成
グルカゴン類似体がcAMPを誘導する能力を、ホタルルシフェラーゼに基づくリポーターアッセイで測定した。グルカゴン受容体又はGLP−1受容体のいずれか、及びcAMP反応性エレメントに結合されたルシフェラーゼ遺伝子で同時形質移入されたHEK293細胞を、0.25%のウシ増殖血清(HyClone社製、ローガン、ユタ州)で補完されたDMEM(Invitrogen社製、カールズバッド、カリフォルニア州)中で16時間培養することにより血清除去し、その後、96ウエルポリ−D−リシンでコーティングされた「Biocoat」プレート(BD Biosciences社製、サンノゼ、カリフォルニア州)中で、グルカゴン、GLP−1、又は新規グルカゴン類似体のいずれかの連続希釈物と共に、37℃、5%COにて5時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、100マイクロリットルのLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin Elmer社製、ウェルズリー、マサチューセッツ州)を、各ウエルに添加した。プレートを手短に振とうし、暗所で10分間インキュベートし、光出力を、MicroBeta−1450液体シンチレーション計数器(Perkin Elmer社製、ウェルズリー、マサチューセッツ州)で測定した。有効50%濃度を、Originソフトウェア(OriginLab社製、ノーサンプトン、マサチューセッツ州)を使用することにより計算した。結果は、図3〜9及び表2〜10に示されている。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
実施例15
グルカゴンCys−マレイミドPEG類似体の安定性アッセイ
各グルカゴン類似体を水又はPBSに溶解し、初期HPLC分析を実施した。pH(4、5、6、7)を調整した後、試料を、指定の期間にわたって37℃でインキュベートし、HPLCにより再分析してペプチドの完全性を決定した。指定の目的ペプチドの濃度を決定し、完全性を維持しているパーセントを、初期分析と比べて計算した。グルカゴンCys21−マレイミドPEG5Kの結果は、図1及び2に示されている。
実施例16
上記の実施例1〜11で一般的に述されているように、以下のグルカゴンペプチドを構築する:
以下の配列の全てにおいて、「a」は、C末端アミドを意味する。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸である。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)である。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸である。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)である。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、X1=(デス−アミノ)Hisであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、X2=アミノイソ酪酸であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、X2=(D−Ala)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
式中、X1=(デス−アミノ)Hisであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、X2=(D−Ala)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、X2=(D−Ala)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸である。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)である。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=(デス−アミノ)Hisである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=アミノイソ酪酸である。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=(D−Ala)である。
上記の実施例1〜11に一般的に述られているように、約5以上のGLP−1/グルカゴン活性比率を有する以下のグルカゴンペプチドも構築する。一般的に、これらペプチドでは、2位のAIBは、DPP IV耐性を提供するだけでなく、グルカゴン活性を著しく低減する。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=AIBであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=AIBであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
上記の実施例1〜11に一般的に述べられているように、GLP−1/グルカゴン同時アゴニストである以下のグルカゴンペプチドも構築する。アミノ酸16及び20間のラクタム架橋の形成は、2位の置換により引き起こされたグルカゴン活性の低減を回復させる。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=AIBであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにC*は、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=DMIA(アルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
式中、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X2=AIBであり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
上記の配列では、X1=DMIA(アルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸)であり、Cは、Cys又は親水性ポリマーに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約20kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysであるか、又はその代わりにCは、約40kD平均重量のポリエチレングリコールに結合されたCysである。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
式中、
X1=His、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、又はアルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、又はイミダゾール酢酸であり、
X2=Ser、D−セリン、Ala、Val、グリシン、N−メチルセリン、又はアミノイソ酪酸(AIB)、N−メチルアラニン、及びD−アラニンであり、
X3=Ala、Gln、又はCys−PEGであり、
X4=Thr−CONH2又はCys−PEG又はGGPSSGAPPPS(配列番号515)又はGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)であり、
但し、X3がCys−PEGである場合、X4は、Cys−PEG又はGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)ではなく、X2=Serの場合、X1はHisではない。
X5=Ala又はArgである。
Figure 0005887265
式中、
X1=His、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、ホモ−ヒスチジン、又はアルファ,アルファ−ジメチルイミジアゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、又はイミダゾール酢酸であり、
X2=Ser、D−セリン、Ala、Val、グリシン、N−メチルセリン、又はアミノイソ酪酸(AIB)、N−メチルアラニン、及びD−アラニンであり、
X3=Ala、Gln、又はCys−PEGであり、
X4=Thr−CONH2又はCys−PEG又はGGPSSGAPPPS(配列番号515)又はGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)であり、
但し、X3がCys−PEGである場合、X4は、Cys−PEG又はGGPSSGAPPPSC−PEG(配列番号516)ではなく、X2=Serの場合、X1はHisではない。
X5=Ala又はArgである。
HSEGT FTSDY SKYLD EQAAK EFIAW LXNTa(配列番号554)、式中、27位のXはノルロイシンであり、29位のアミノ酸はアミノ化されている。
上記の配列はいずれも、追加的な修飾、例えば、効力を増強するために使用することができるW10又はR20置換を含むがこれらに限定されない、活性を破壊しない1、2、3、4、又は5つの修飾を含むことができる。上記の配列はいずれも、DPP IV耐性を付与する修飾を含まずに生成することもでき、つまり1位が天然Hisであり、2位が天然Serである。加えて、上記の化合物はいずれも、異種性ポリペプチド、免疫グロブリン若しくはその部分(例えば、Fc領域)、標的化剤、診断用標識、又は診断薬若しくは治療薬等の結合体に随意に結合されていてもよい。
実施例17
グルカゴンペプチドのカルボキシ末端に結合された配列番号26のc末端延長部分を含むように修飾された以下のグルカゴンペプチドを、上記の実施例1〜11に一般的に記述されているように構築し、実施例14に記載のin vitroアッセイを使用してGLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性をアッセイした。
表11は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する種々のグルカゴン類似体の活性を表す。データは、配列番号26のc末端延長部分を含むグルカゴン類似体の場合、16、20、28、及び29位のアミノ酸置換は、GLP−1受容体に対する類似体活性に影響を及ぼす場合があるを示す。
Figure 0005887265
実施例18
表12は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対するそれらの相対活性を比較する、種々のグルカゴンペプチドについて蓄積されたin vitroデータを表す。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
実施例19
アシル化及び/又はペグ化ペプチドを以下のように調製した。ペプチドを、CS Bio4886型ペプチド合成機又はApplied Biosystems社製430Aペプチド合成機のいずれかを使用して、固体担体レジンで合成した。In situ中和化学を、Schnolzer et al., Int. J. Peptide Protein Res. 40: 180−193 (1992)に記載のように使用した。アシル化ペプチドの場合、アシル化する標的アミノ酸残基(例えば、10位)を、Nε−FMOCリジン残基で置換した。完成したN末端BOC保護ペプチドを、DMF中20%のピペリジンで30分間処理して、FMOC/ホルミル基を除去した。遊離ε−アミノLys残基への結合は、DMF/DIEA中で、10倍過剰モル量のFMOC保護スペーサーアミノ酸(例えば、FMOC−(N−BOC)−トリプトファン−OH)又はアシル鎖(例えば、C17−COOH)のいずれか及びPyBOP又はDEPBT結合試薬を結合することにより達成した。その後スペーサーアミノ酸のFMOC基を除去した後で、アシル鎖との結合を繰り返す。100%TFAで最終的処理することにより、あらゆる側鎖保護基及びN末端BOC基の除去がもたらされた。ペプチドレジンを、5%DIEA/DMFで中和し、乾燥し、その後HF/p−クレゾール95:5を0℃で1時間使用して担体から切断した。エーテル抽出した後、5%HOAc溶液を使用して粗ペプチドを溶媒和した。その後、この溶液の試料が正しい分子量のペプチドを含有していることを、ESI−MSにより検証した。正しいペプチドを、10%CH3CN/0.1%TFA〜100%CH3CN中0.1%TFAの線形勾配を使用してRP−HPLCにより精製した。精製には、Vydac社製C18 22mm×250mmタンパク質カラムを使用した。アシル化ペプチド類似体は、一般的に20:80の緩衝液比率で溶出を完了させた。部分を一緒に貯溜して、分析RP−HPLCで純度を検証した。純粋な画分を凍結乾燥して、白色固形ペプチドを得た。収率は、典型的には、合成に応じて10mg〜100mgの範囲だった。
ペプチドがラクタム架橋及びアシル化の標的残基を含む場合、アシル化は、ペプチド骨格にそのアミノ酸を付加する際に、上述のように実施する。
ペプチドペグ化の場合、40kDaのメトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド−プロピオンアミド(Chirotech Technology Ltd社製)を、7M尿素、50mM Tris−HCl緩衝液中のモル当量のペプチドと、両ペプチド及びPEGを溶解して清澄溶液にするために必要な最少量の溶媒(2〜3mgのペプチドを使用する反応の場合、一般的に2mL未満)を使用して反応させた。室温で4〜6時間激しく撹拌を実施し、反応物を分析RP−HPLCにより分析した。ペグ化産物は、出発物質とは別に出現し、滞留時間の減少を示した。精製は、初期ペプチド精製に使用した条件と同様の条件を用いて、Vydac社製C4カラムで実施した。溶出は、50:50の緩衝液比率付近で生じた。純粋なペグ化ペプチドの画分を見出し、凍結乾燥した。収率は50%超であり、反応毎に変動した。
ペプチドは、グルカゴン受容体(GLUR)又はGLP−1受容体(GLP−1R)のいずれか及びcAMP反応性エレメントに結合されたルシフェラーゼ遺伝子を用いてHEK293細胞を同時形質移入することにより、生物活性を分析した。形質移入された細胞は、0.25%ウシ増殖血清で補完されたたDMEM中で16時間培養することにより血清除去し、その後選択された類似体の連続希釈物及びグルカゴン又はGLP−1のいずれかと共にそれぞれ5時間インキュベートした。ペプチド吸光度測定値は、Genesys6分光光度計(Thermo Electron Corporation社製)を用いて、280nmのUV吸光度測定から得た。ベールの法則を使用して、各類似体中のトリプトファン及びチロシン残基の数に基づく溶液濃度を計算した。インキュベーションの終了時に、100μLのLucLiteルミネセンス基質試薬を各ウエルに添加し、プレートを密閉し、振とうし、cAMP検出のためにWallac Triluxルミネセンス計数器に配置した。有効50%濃度(EC50)を、Originソフトウェア(OriginLab社製、ノーサンプトン、マサチューセッツ州)を使用して計算した。
アシル化されたグルカゴンに基づく同時アゴニストペプチドを調製した。選択されたこれらペプチドのin vitro結果は、表13に示されている。天然グルカゴンのようにアシル化されていないペプチドは、1mg/mL濃度ではリン酸緩衝生理食塩水溶液に不溶性であったが、アシル化により、中性pHにおけるペプチド溶解度が増強されることを観察した。
Figure 0005887265
4つのアシル化ペプチドは全て、GLP−1受容体に対する効力増加を示した。トリプトファンスペーサーを付加することにより、グルカゴン受容体に対するより良好な効力が提供された。C18のアシル鎖長が、わずかに好ましい。
アシル化は、ペプチドの半減期を数時間以上延長させることができるが、数十kDaの範囲の反復を有するペグ化は、更にそれを超えて延長させることができる。両タイプの修飾を含むペプチドを調製した。これらペプチドは、血中半減期の延長、並びにDPP−IV及び他のプロテアーゼに対する耐性を示すと予測される。選択されたこれらペプチドのin vitro結果は、表14に示されている。
Figure 0005887265
3つのペプチドのうちの2つは、GLP−1及びグルカゴン受容体の両方に対するそれらの高効力を保持し、1nM未満のEC50を示した。K10−W−C18アシル化及びペグ化ペプチドは、両受容体に対して約10倍の効力喪失を示した。この一連のペプチドは、10位のアシル化が、グルカゴンペプチドのC末端部分、例えば、24、28、又は29位、C末端延長部分内、又はC末端でのPEG化と同等であることを示す。
実施例20
種々のアシル化グルカゴン同時アゴニストペプチドを、本質的に実施例19に記載のように製作し、in vivo活性を試験した。特に、ペプチドA(2位にAIB、16位にGlu、17位にGln、18位にAla、20位にLys、21位にGlu、23位にIle、24位にCysを含有するように修飾され、Cysが40K PEGと結合されており、C末端がアミドである配列番号1)を、10位にLysを含むように更に修飾した。Lys10を、C8脂肪酸鎖、C14脂肪酸鎖、C16脂肪酸鎖、又はC18脂肪酸鎖でアシル化した。
アシル化ペプチドの各々のGLP−1受容体に対する活性を、実施例14に記載のようにアッセイし、対照としてのGLP−1(7〜37)酸(配列番号50)活性と比較した。表15に示されている、GLP−1受容体に対するアシル化ペプチドの各々のEC50は、GLP−1ペプチドのEC50と同様である。
Figure 0005887265
その後、食餌誘導性肥満(DIO)マウスに、種々のアシル化及び非アシル化ペプチド又は媒体のみをQW(70nmol/kg/週)で2週間皮下注射することにより、ペプチドをin vivoで試験した。44gの初期平均体重を有する1群当たり6匹のマウスを試験した。体重、体組成、食物摂取量、及び血糖レベルを、定期的に決定した。
図11に示されているように、アシル化ペプチドは、非アシル化ペプチドと同程度に体重減少を引き起こすことができる。図11に示されているように、約7〜12%の体重減少が、アシル化ペプチドで処置した最初の3日以内に達成される。図12に示されているように、アシル化ペプチドは、食物摂取量の減少を引き起こした。更に、図13に示されているように、アシル化ペプチドの自由摂取血糖レベルは、処置の1日後に低減した。
実施例21
以下のアシル化グルカゴン同時アゴニストペプチドを、本質的に実施例19に記載のように製作した。
(A)「キメラ−2 Aib2 Lys10−C18 Cys24(40K)」:以下の修飾:16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、及び24位のAla、及びC末端アミドを含む天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「キメラ2」)を、2位のAIB、C18脂肪酸でアシル化されたLys10、及び40K PEG基でペグ化された24位のCysで更に修飾した;
(B)「キメラ−2 Aib2 Lys10−C16 Cys24(40K)」:キメラ2を、2位のAIB、C16脂肪酸でアシル化されたLys10、40K PEG基でペグ化されたCys24で更に修飾した;
(C)「グルカゴン Lys10−C18 E16 K20 Cys24(40K)」:以下の修飾:16位のGlu、20位のLys、及びC末端アミドを含む天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「E16K20−グルカゴン−NH2」)を、C18脂肪酸でアシル化されたLys10、及び40K PEG基でペグ化されたCys24で更に修飾した;
(D)「グルカゴンLys10−TrpC16 E16 K20 Cys24(40K)」:E16K20グルカゴン−NH2を、C16脂肪酸でアシル化されたTrpスペーサーに結合されたLys10で更に修飾した;
(E)「グルカゴンLys10−TrpC18 E16 K20 Cys24(40K)」:E16K20グルカゴン−NH2を、C18脂肪酸でアシル化されたTrpスペーサーに結合されたLys10で更に修飾した。
アシル化グルカゴン同時アゴニストペプチドを、基本的に実施例14に記述されているように、グルカゴン及びGLP−1受容体に対するそれらの活性について試験した。(GLP−1(7〜37)OH(GLP−1のアミノ酸7〜37)、グルカゴン(1〜29)OH(配列番号1)、及びキメラ2 Cys24(40K)(Cys24に40K PEGを有するキメラ2)と比較した、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体の各々に対するEC50は、表16に示されている通りである。
Figure 0005887265
実施例22
以下のアシル化グルカゴン同時アゴニストペプチドを、本質的に実施例19に記載のように製作した。
(A)ペプチドA:以下の修飾:16位のGlu、20位のLys、及びC末端アミドを含む天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「E16K20−グルカゴン−NH2」);
(B)ペプチドB:C16脂肪酸でアシル化されたLys10を更に含むE16K20−グルカゴン−NH2;
(C)ペプチドC:C18脂肪酸でアシル化されたLys10を更に含むE16K20−グルカゴン−NH2;
(D)ペプチドD:C16脂肪酸でアシル化されたGlu(スペーサー残基)に結合されたLys10を更に含むE16K20−グルカゴン−NH2;
(E)ペプチドE:C18脂肪酸でアシル化されたTrp(スペーサー残基)に結合されたLys10を更に含むE16K20−グルカゴン−NH2。
ペプチドの活性は、基本的に実施例14に従ってアッセイし、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体の各々に対するEC50は、表17に示されている。
Figure 0005887265
実施例23
以下の修飾:16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、24位のAla、27位のVal、28位のLys、及びC末端アミドを有する配列番号1のアミノ酸配列を含むグルカゴン同時アゴニストペプチド(「キメラ1」)を製作した。キメラ1のC末端切断型を、キメラ1(「Chi1(1〜28)」)の29位のアミノ酸を欠失することにより、又はキメラ1(「Chi1(1〜27)」)の28及び29位のアミノ酸を両方とも欠失することにより製作した。
また、以下の修飾:16位のGlu、C末端アミドを有する配列番号1のアミノ酸配列を含むグルカゴンペプチド(「E16 Gluc−NH2」)は、29位のアミノ酸を欠失することによるか(「E16 GlucNH2」(1〜28))、又は28及び29位のアミノ酸を両方とも欠失することによるかのいずれかにより(「E16 GlucNH2」(1〜27))、C末端を切断した。
切断型ペプチド並びに非切断型ペプチドのグルカゴン受容体及びGLP−I受容体に対する活性を、基本的に実施例14に従って機能的活性についてアッセイした。E16 GlucNH2ペプチド又はキメラ1ペプチドの28及び29位のアミノ酸欠失は、グルカゴン受容体に対するペプチドの活性に著しくは影響を及ぼさなかった。E16 GlucNH2の28及び29位のアミノ酸欠失は、GLP−1受容体に対するペプチドの効力を測定可能なほど変更しないと考えられた。キメラ1ペプチドの28及び29位のアミノ酸欠失は、GLP−1受容体に対するその活性に影響を及ぼさなかった。
キメラ1ペプチド及びE16 GlucNH2ペプチドのいずれの29位アミノ酸の欠失も、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体のいずれの活性に対しても著しくは影響を及ぼさなかった。
実施例24
食餌誘導性肥満(DIO)マウスに、以下のうちの1つを、0.2、2、20、又は70nmol/kgで約15分の時点にて腹腔内に注射した:
(A)媒体のみ、
(B)以下の修飾:16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、及び24位のAla、及びC末端アミドを含み(「キメラ2」)、2位のAIB、及び40K PEG基でペグ化されている24位のCysを含むように更に修飾されている天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号1)(「キメラ−2 AIB Cys24−40kD」)、
(C)2位のAIB、C8脂肪酸でアシル化されている10位のLys、及び40K PEGでペグ化されている24位のCysを含むように更に修飾されているキメラ2(「キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD」)、又は
(D)2位のAIB、C16脂肪酸でアシル化されている10位のLys、及び40K PEGでペグ化されている24位のCysを含むように更に修飾されているキメラ2(「キメラ−2 AIB10−C16 Cys24−40kD」)。
25%(容積/容積)グルコースを含む生理食塩水を、0分の時点で1.5g/kg体重の用量で注射した。血糖レベルを、−15、0、15、30、60、及び120分の時点で測定した。
図15〜17は、表示されている時点における、それぞれ2、20、及び70nmol/kgで注射したマウスの血糖レベル(mg/dL)を示す。試験した用量の全てで、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDは、マウスの血糖を低下させる最大の能力を示した。図17に示されているように、このペプチドは、キメラ−2−AIB Cys24−40kDと同様の活性を示した。
実施例25
DIOマウスに、以下のうちの1つを70nmol/kgで約24時間の時点にて腹腔内注射した:
(A)媒体のみ、
(B)上記の実施例24に記載のキメラ−2−AIB Cys24−40kD
(C)上記の実施例24に記載のキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD、又は
(D)上記の実施例24に記載のようなキメラ−2 AIB10−C16 Cys24−40kD。
25%(容積/容積)グルコースを含む生理食塩水を、0分の時点で1.5g/kg体重の用量で注射した。血糖レベルを、0、15、30、60、及び120分の時点で測定した。
図18は、表示されている時点におけるマウスの血糖レベル(mg/dL)を示す。3つのペプチドは全て、マウスの血糖低下に著しい活性を示す。
実施例26
DIOマウスに、媒体のみ、又は以下のうちの1つを15若しくは70nmol/kgで腹腔内注射した:
(A)上記の実施例24に記載のキメラ−2−AIB Cys24−40kD
(B)上記の実施例24に記載のキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD、又は
(C)上記の実施例24に記載のキメラ−2 AIB10−C16 Cys24−40kD。
体重を、注射前、及び注射の1、3、5、及び7日後に測定した。
図19は、各群のマウスの体重変化%を示す。両試験用量で、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD及びキメラ−2−AIB Cys24−40kDは、体重を低下させる能力が同等であることを示す。より高い試験用量では、キメラ−2 AIB10−C16 Cys24−40kDは、著しい体重低下能力を示す。
実施例27
1位のチロシン、並びにE16及びK20間のラクタム架橋(並びにC末端カルボキシラートの代りにアミド)を含む配列番号555のペプチドを、本質的に上述のように合成し、実施例14によりGLP−1及びグルカゴン受容体に対する活性についてin vitroで試験した。各受容体に対するペプチドのEC50は、図18に示されている。
Figure 0005887265
これらデータに基づいて、配列番号555のペプチドは、例示的なグルカゴン/GLP−1同時アゴニストペプチドだったことが決定された。
実施例28
配列番号1(グルカゴン(l〜29))のペプチド、C末端カルボキシラートを置換したアミドを有する配列番号1のペプチド(グルカゴン(1〜29a))、並びに2及び16位の各々にAIBを有し、C末端カルボキシラートを置換したアミドを有する配列番号1のペプチド(グルカゴン(1〜29a)Aib Aib16)を、本質的に上述のように合成した。その後、これらペプチドを、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対する活性について、実施例14に記載の方法によりin vitroで試験した。各ペプチドのEC50は、図19に示されている。
Figure 0005887265
実施例29
以下のペプチドを、本質的に上述のように合成した:
(1)実施例28に記載のグルカゴン(1〜29)、
(2)24位のCys、及びC16脂肪酸を含むTrpに共有結合で結合された10位のLysを有するグルカゴン(1〜29a)Aib Aib16(実施例28に記載)(「グルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24」)、
(3)Cysが40kD PEG基を含むグルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24(「グルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24−40kD」)、
(4)20位のAibを含むグルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Cys24(「グルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24」)及び、
(5)Cysが40kD PEG基を含むグルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24(「グルカゴン(1〜29a)Aib Lys10−Trp−C16 Aib16 Aib20 Cys24−40kD」)。
その後、これらペプチドを、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対する活性について、実施例14に記載の方法によりin vitroで試験した。各ペプチドのEC50は、表20に示されている。
Figure 0005887265
実施例30
アシル化及びペグ化グルカゴンペプチドのin vivo効果をDIOマウスで試験した。特に、各群が58gの平均初期体重を有する6群のDIOマウス(1群当たり8匹のマウス)に、10、20、40、又は80nmol/kgのアシル化及びペグ化グルカゴンペプチド又は媒体対照を、週1回で2週間腹腔内に注射した。この研究で使用したアシル化及びペグ化グルカゴンペプチドは、キメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kD(実施例26に記載)及びペプチドA K10−C14(実施例20に記載)だった。
マウスの体重変化及びマウスによる食物摂取量の変化を、注射の0、1、3、5、7、8、10、12、及び14日後に測定した。マウスの血糖レベルを、14日間の全体にわたってモニターした。アシル化又はペグ化ペプチド投与の1時間又は24時間後に生理食塩水中25%グルコースを注射し、グルコース注射の−60、0、15、30、60、又は120分後に血糖レベルを測定することにより、グルコース負荷試験を実施した。
図20に示されているように、40又は80nmol/kgのアシル化又はペグ化ペプチドA K10−C14を注射したマウスの総体重は、媒体対照を注射したマウスと比較して低減された。
図21に示されているように、グルコース注射に応答した、20、40、又は80nmol/kgのペプチドA K10−C14、又は20nmol/kgのキメラ−2 AIB10−C8 Cys24−40kDを注射したマウスの血糖レベルは、媒体対照と比較して低下した。
実施例31
共有結合性分子内架橋を含むか又は欠如するアシル化グルカゴン類似体ペプチドを、固相合成により製作し、グルカゴン及びGLP−1受容体に対するin vitro活性について試験した。各受容体に対するEC50(nM)、及び対応する受容体に対する天然ペプチドと比べたペプチドの活性%は、表21に示されている。
Figure 0005887265
共有結合性分子内架橋を欠如し、2位のAIB、16位のAIB、及び10位のLys残基にスペーサーを介して結合された脂肪酸アシル基を含む幾つかのグルカゴン類似体を、本質的に本明細書に記載のように製作した。アシル化グルカゴン類似体は、スペーサーのタイプ、ペグ化の存在又は非存在、及び/又はアシル基のサイズが異なっていた。アシル化グルカゴン類似体を、グルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対するin vitro活性について、本質的に実施例14に記載のように試験した。各ペプチドのグルカゴン及びGLP−1受容体の構造及びin vitro活性の要約は、表22及び23に示されている。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
表22及び23に示されているように、スペーサーを介して結合された脂肪酸アシル基を含むペプチドは、ペプチド骨格に直接結合された脂肪酸アシル基を含むペプチドと比較して、それらの効力を著しく増加させた。
実施例32
各々が48.7gの平均体重を有するDIOマウス(1群当たり8匹のマウス)に、媒体のみ、30nmol/kg又は100nmol/kgのアシル化グルカゴン類似体ペプチド、又は長期間作用性GLP−1類似体であるリラグルチド(Novo Nordisk社製、デンマーク)を、7日間毎日皮下注射した。アシル化グルカゴン類似体は以下の通りだった:
10位のTyrがアシル化Lys残基に修飾された野生型のグルカゴン(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、アシル化LysがC16脂肪酸アシル基を含み、C末端カルボキシラートがアミド基で置換された「(C16)グルカゴンアミド」、
C16脂肪酸アシル基が、ガンマ−Glu−ガンマ−Gluジペプチドスペーサーを介して10位のLys(下記のアシル化Lysの構造を参照)に結合されたことを除いて、C16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「γE−γE−C16グルカゴンアミド」、
Figure 0005887265
C16脂肪酸アシル基が、Ala−Alaジペプチドスペーサーを介して10位のLysに結合されたことを除いて、C16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「AA−C16グルカゴンアミド」、及び
C16脂肪酸アシル基が、β−Ala−β−Alaジペプチドスペーサーを介して10位のLysに結合されたことを除いて、C16グルカゴンアミドと同じ構造を含む「βAβA−C16グルカゴンアミド」。
マウスの体重を毎日モニターし、総体重変化(%)を図22に示す。図22に示されているように、ほとんどのアシル化グルカゴンペプチドは、各用量において体重の低減を引き起こした。リラグルチドはおよそ12%の体重減少を示したが、グルカゴン類似体ペプチドγE−γE−C16グルカゴンアミドは、同じ用量で、マウスの体重減少を引き起こす能力が最大であったこと示した。より低用量のγE−γE−C16グルカゴンアミドでさえ、体重の実質的減少を引き起こした。
マウスの体脂肪量を、研究の7日目に測定した。図23に示されているように、100nmol/kgのγE−γE−C16グルカゴンアミドを投与したマウスは、最も低い体脂肪量を示した。
アッセイの経過中にマウスの血糖レベルもモニターした。図24に示されているように、より高用量のグルカゴン類似体ペプチドγE−γE−C16グルカゴンアミドは、リラグルチドと同様にマウスの血糖レベルを減少させるように作用した。
実施例33
GLP−I活性を有するグルカゴン類似体ペプチドのアシル化を、以下のように評価した。2位のAIB及び24位のCys(40kDa PEG分子を含む)を有するキメラ2の構造を含む非アシル化グルカゴン類似体ペプチドを、10位のアシル化Lys残基を含むように修飾した。非アシル化グルカゴン類似体ペプチドは、配列番号580のアミノ酸配列を含んでいた。10位のLysは、C8、C14、C16、又はC18脂肪酸アシル基でアシル化されており、アシル化ペプチドは、それぞれ配列番号534〜537の構造を含んでいた。非アシル化ペプチド及びそのアシル化型のGLP−1受容体に対するin vitro活性を、本質的に本明細書に記載のように試験した。GLP−1受容体に対する各ペプチドのEC50は、表24に示されている。
Figure 0005887265
実施例34
グルカゴン類似体ペプチドを、本明細書に記載のように固相ペプチド合成により製作し、ペプチドの10又は30位のいずれかをアシル化した。ペプチド及びそれらの構造は以下の通りだった:
アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVQWLMNTK−アミド(配列番号581)を含み、式中2位のXがd−Serであり、30位のLysがC14脂肪酸アシル基でアシル化されており、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドdS2E16K20K30−C14Glucアミド」;
アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDERRAKDFVQWLMNT−アミド(配列番号582)を含み、式中2位のXがd−Serであり、10位のLysがC14脂肪酸アシル基でアシル化されており、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドdS2K10(C14)E16K20−Glucアミド」;
アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVQWLMNTK−アミド(配列番号583)を含み、式中2位のXがd−Serであり、30位のLysがC16脂肪酸アシル基でアシル化されており、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドdS2E16K20K30−C16Glucアミド」;
アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDERRAKDFVQWLMNT−アミド(配列番号584)を含み、式中2位のXがd−Serであり、10位のLysがC16脂肪酸アシル基でアシル化されており、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドdS2K10(C16)E16K20−Glucアミド」;
アミノ酸配列HXQGTFTSDKSKYLDEQAAKEFICWLMNT−アミド(配列番号585)を含み、式中2位のXがAIBであり、10位のKがC18脂肪酸アシル基でアシル化されており、24位のCysが40kDa PEG分子を含み、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドキメラ2−AIB2−K10アシル化」;及び
アミノ酸配列HXQGTFTSDYSKYLDEQAAKEFICWLMNTK−アミド(配列番号586)を含み、式中2位のXがAIBであり、10位のKがC18脂肪酸アシル基でアシル化されており、24位のCysが40kDa PEG分子を含み、C末端カルボキシラートがアミドで置換されている「ペプチドキメラ2−AIB2−K30−アシル化」。
GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対する各ペプチドのin vitro活性を、本質的に実施例14に記載のように試験した。結果は表25に示されている。
Figure 0005887265
実施例35
固相ペプチド合成を使用して、X=DMIAである配列XSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVCWLMNT−NHを構築した(配列番号587)。16位のGlu及び20位のLysを選択的に脱保護した後、ペプチドをラクタム架橋によりレジン上で環化した。その後、切断後の粗ペプチドを分取用RP−HPLCにより精製し、MSにより特徴付けた([M+H]の計算値:3479.9;実測値3480.9)。ペプチド前駆体及びヨードアセチル官能化40kDa PEG(NOF)(1:1)を、7M尿素/50mM Tris緩衝液、pH8.5中で45分間室温にて混合することにより、ペグ化を実施し、PEGとペプチドのCysとの間に共有結合性チオエーテル結合を形成した。
Figure 0005887265
ペグ化ペプチドを、分取用HPLCにより精製し、所望の画分を収集及び凍結乾燥して、白色に近い粉末を得た。産物を、MALDI−TOF−MSで確認した(44000〜46000、広域ピーク)。
GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対するin vitro活性を、本質的に実施例14に記載のように試験した。GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対するEC50は、それぞれ0.327nM及び0.042nMだった。
実施例36
固相ペプチド合成を使用して、X=AIBであるペプチド前駆体HXEGTFTSDYSKYLDEQAAKEFICWLMNT−NH(配列番号589)を調製した。その後、粗ペプチドを分取用RP−HPLCにより精製し、MSにより特徴付けた([M+H]の計算値:3412.8;実測値3413.9)。ペプチド前駆体及びヨードアセチル官能化40kDa PEG(NOF)(1:1)を、7M尿素/50mM Tris緩衝液、pH8.5中で45分間室温にて混合することにより、ペグ化を実施し、PEGとペプチドのCysとの間に共有結合性チオエーテル結合を形成した。
Figure 0005887265
ペグ化ペプチドを、分取用HPLCにより精製し、所望の画分を収集及び凍結乾燥して、白色に近い粉末を得た。産物を、MALDI−TOF−MSで確認した(44000〜46000、広域ピーク)。
GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対するin vitro活性を、本質的に実施例14に記載のように試験した。GLP−1受容体及びグルカゴン受容体に対するEC50は、それぞれ0.027nM及び33nMだった。
実施例37
ペプチドJ
Figure 0005887265
又はペプチドK
Figure 0005887265
の骨格を含み、3位に追加的修飾を有する上記のグルカゴン類似体ペプチドを、固相ペプチド合成により、本質的に本明細書に記載のように製作した。グルカゴン受容体に対するin vitro活性について、ペプチドを本質的に実施例14に記載のように試験した。各ペプチドのEC50(nM)は、表26に示されている。
Figure 0005887265
表26に示されているように、グルカゴン受容体に対する活性を実質的に喪失することなく、3位を複数のアミノ酸で置換することができ、ある場合には、修飾、例えばペプチドKの骨格のDab(Ac)及びQ(Me)は、実際に活性を増加させた。
実施例38
種々のグルカゴン類似体骨格に3位のDab(Ac)を含むグルカゴン類似体ペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作し、グルカゴン受容体に対するin vitro活性を試験した。各ペプチドの構造及び活性は、表27に示されている。
Figure 0005887265
実施例39
配列番号1を含み、2及び16位にAIB及び10位にLysを有し、10位のLysがC16脂肪酸アシル基に共有結合で結合され、C末端カルボキシラートの代りにアミドを有する第1のグルカゴン類似体ペプチド(AIB2、AIB16、K10(C16)Glucアミド)を、本質的に本明細書に記載のように製作した。第2のグルカゴン類似体ペプチド(AIB2、AIB16、K10(C16)、K30 Glucアミド)は、LysがC末端に付加されたことを除いて、第1のグルカゴン類似体ペプチドと同じ構造を有する。ペプチドのin vitro活性を、本質的に実施例14に記載のように試験し、20%ヒト血漿を含む溶液中で更に試験した。各受容体に対するペプチドのEC50(nM)は、表28に示されている。
Figure 0005887265
実施例40
レプチンの発見は、エネルギーバランス及び体脂肪過多を制御する内分泌系の存在を明らかにした。また、レプチンの発見により、世界的流行疾患となったものを管理するための環境的及び薬理学的手法を特定する手段として、肥満研究に関心及び投資が集まった。十分に効果的で安全な肥満の薬理学的治療はまだ出現しておらず、持続的に体重を減少させることが証明された唯一の選択肢は、外科手術である。作用持続時間が持続的な単一ペプチドの強力な満腹誘導効果及び脂肪分解効果を達成する2つの内分泌ホルモン受容体に対する受容体アゴニズムのコンビナトリアル効能が本明細書で報告されている。天然GLP−1と同等なGLP1−Rに対する活性を有するが、それらのグルカゴン受容体アゴニズムのレベルが互いに異なる2つの特異的なグルカゴン類似体を、げっ歯動物肥満モデルで薬理学的に研究した。異なるグルカゴン及びGLP−1活性を有する一連の高効力類似体から選択されたそれらペグ化ペプチドを週1回投与することにより、食餌誘導性肥満マウス(平均体重約50g)の脂肪過多及び糖耐性レベルが1か月以内に正常化された。体重減少は、食物摂取量の減少及びエネルギー消費量の増加に起因する体脂肪減少の結果であり、グルカゴン受容体アゴニズムのレベルと共に増加した。これら同時アゴニスト化合物は、肝臓脂肪症を含むグルコース及び脂質代謝も正常化した。効果は用量依存的であり、食餌誘導性肥満ラットで繰り返すことに成功した。これら前臨床研究は、完全なGLP−1アゴニズムが、適切な度合いのグルカゴン受容体活性化により増強される場合、体脂肪低減を実質的に及び安全に加速することができることを示す。本明細書に示されている知見は、臨床検査の根拠を確立し、メタボリック症候群に対する魅力的な新規治療選択肢を示唆する。
実施例41
以下の物質及び方法は、実施例42〜51に記載の実験に関する。
Bocペプチド合成及び切断
ペプチド合成は、改良型Applied Biosystems社製430Aペプチド合成機で、0.2mmolの4−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)レジン(Midwest Biotech社製、フィッシャーズ、インディアナ州)を使用して実施した。固相ペプチド合成には、Boc−化学の場合、in situ中和を使用した(Schnolzer, M. et al., International Journal of Peptide Research and Therapeutics, 13:31−44 (2007))。完成したペプチジルレジンを、0℃で1時間HF/p−クレゾール(10:0.5容積/容積)で処理した。HFを減圧下で除去し、脱保護したペプチドを沈殿させ、ジエチルエーテルで洗浄した。ペプチドを20%アセトニトリル/1%酢酸に溶解し、凍結乾燥した。ほとんどのペプチドは、Boc化学により調製した。以下の側鎖保護基を、Boc−アミノ酸(Midwest Biotech社製)に使用した:Arg(Tos)、Asp(OcHex)、Asn(Xan)、Glu(OcHex)、His(BOM)、Lys(2−Cl−Z)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Trp(CH0)、Tyr(Br−Z)。ペプチド分子量を、エレクトロスプレーイオン化又はMALDI−TOF質量分析により確認し、別記のように精製した。
ラクタム合成
i及びi+4ラクタム形成を有する環化ペプチドをレジン上で合成した。Glu(OFm)−OHガンマエステル(Peptides International社製、ルーイビル、ケンタッキー州)及びLys(Fmoc)−OH(Peptides International社製)を、ラクタム形成に関与する位置のGlu(OcHex)及びLys(2−Cl−Z)の代わりに用いた。完全に保護されたペプチジルレジンをDMF中20%ピペリジンで45分間処理して、Fmoc及びOFm保護基を除去した。レジン上でのラクタム形成は、DMF/DIEA中で、5当量のベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)(Fluka社製)で5時間処理した後に達成された。ラクタム形成は、ニンヒドリン分析及び開環形態のペプチドと比べて18の質量低減により確認した。
ペプチド精製
レジンから切断した後、粗ペプチド抽出物を、分析的逆相HPLCにより分析した。分析的分離を、Zorbax C8カラム(0.46×5cm)を用いて、0.1%TFA中でアセトニトリル勾配により実施した。分析的解析の後、粗抽出物を、Vydac社製C4又はC18カラム(2.2×25cm)を用いて、0.1%TFA中でアセトニトリル勾配により半分取用クロマトグラフィーにより精製した。同じ条件を使用してペグ化ペプチドを精製した。分析的分離用に列挙した条件を使用した分析的逆相HPLCにより、分取画分の純度を分析した(>95%)。ペプチド質量及び純度は、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析により確認した。ペグ化ペプチドは、MALDI−TOFにより、43400にわたる幅の広い質量範囲を示した。精製ペプチドを凍結乾燥し、4℃で保管した。
ペプチドのペグ化
精製ペプチドを、7M尿素/50mM Tris、pH8.0中で、メトキシポリ(エチレングリコール)マレイミド−プロピオンアミド−40K(Chirotech Technology Ltd社製、ケンブリッジ)と1:1モル比で混合した。反応進行を分析的逆相HPLCによりモニターし、遊離ペプチドは、30分以内に消費された。反応を0.1%TFAで停止させ、別記のように精製及び特徴付けた。
グルカゴン及びGLP−1受容体媒介性cAMP合成
各ペプチド類似体を、グルカゴン(Gcg)及びGLP−1受容体を介してcAMP産生を刺激するその能力について試験した。HEK293細胞を、GcgR又はGLP−1R cDNA、及びcAMP応答エレメント(CRE)に結合されたルシフェラーゼレポーター遺伝子で同時形質移入した。0.25%ウシ増殖血清(HyClone社製、ローガン、ユタ州)で補完されたDMEM(Invitrogen社製、カールズバッド、カリフォルニア州)中で培養することにより、細胞を16時間血清除去した。グルカゴン及びGLP−1類似体の連続希釈物を、同時形質移入されたHEK293細胞を含有する96ウエルポリ−D−リジンコーティングプレート(BD Biosciences社製、サンホゼ、カリフォルニア州)に添加し、プレートを37℃、5%COにて5時間インキュベートした。インキュベーションした後、当量容積(100μL)のLucLiteルミネセンス基質試薬(Perkin Elmer社製、ウェルズリー、マサチューセッツ州)を、各ウエルに添加し、プレートを800rpmで3分間振とうした。プレートを、暗所で10分間インキュベートし、光出力を、MicroBeta−1450液体シンチレーション計数器(Perkin Elmer社製、ウェルズリー、マサチューセッツ州)で定量化した。有効50%濃度(EC50)を、Originソフトウェア(OriginLab社製、ノーサンプトン、マサチューセッツ州)により計算した。
円偏光二色性測定
ペプチドを、TFE濃度を増加させながら10mMリン酸緩衝液pH5.9に溶解し、ペプチド濃度を定量化した。CD測定用に各試料を10μMに希釈した。CDデータは、窒素を常に流動させ、温度調節を25℃に設定した1mm光路長セルを備えたJASCO社製J−715円偏光二色性分光旋光計で収集した。スペクトルデータは、100nm/分の走査速度及び1nm波長ステップで、270〜190nmの走査を5回蓄積した。JASCOスペクトルマネージャーソフトウェアで、溶媒シグナルを減算し、データを滑らかにした(Savitzky and Golay, Anal. Chem. 36: 1627 (1964))。得られたミリ度値を、degcmdmol−1の単位を有する平均残基楕円率に変換した。計算した平均残基楕円率値を、DICHROWEB(Whitmore and Wallace, Biopolymers 89:392− 400 (2008);Whitmore and Wallace, Nucleic Acids Research 32:W668−W673 (2004))に入力して、ヘリシティパーセント値を得た。
動物
C57BI/6マウスを、Jackson Laboratories社から取得し、脂肪から58%kcalを有する高スクロース餌であるResearch Diets社製の糖尿病誘発餌を与えた。マウスを、22℃の12:12時間明暗サイクルで食餌及び水を自由に摂取させ、単一で又は集団で飼育した。研究は全て、シンシナティ大学の組織内動物実験委員会により承認され、それに従って実施された。
体組成測定
全体組成(脂肪及び除脂肪体重)をNMR技術(EchoMRI社製、ヒューストン、テキサス州)を使用して測定した。
エネルギーバランス生理学的測定
エネルギー摂取量及び消費量並びにホームケージ活性を、混合型間接熱量測定システム(TSE Systems社製、バートホンブルク、ドイツ)を使用することにより評価した。酸素消費量及びCO産生量を、45分毎に合計120時間(12時間の順応期含む)測定して、呼吸商及びエネルギー消費量を決定した。食餌及び水分摂取量並びに食事パターンを、尺度を密閉ケージ環境に統合することにより、間接熱量測定評価と同時に120時間連続して決定した。食事は、最短期間が60秒間の食餌摂取事象であり、食餌摂取事象間には300秒間の中断があると定義した。ホームケージ自発運動活性を、光線がケージの底部及び上部レベルを走査する多次元赤外線光線システムを使用して決定し、活性は光線の中断として表された。静止運動活性(そわそわすること)は、ケージ底部レベルにおける1本の単一光線の連続した中断として定義し、歩行運動は、ケージ底部レベルの任意の2本の異なる光線の中断として定義し、立ち上がりは、ケージ底部及び上部レベルの両方における光線の同時中断として定義した。
血液パラメーター
6時間の断食後に、EDTAをコーティングしたMicrovetteチューブ(Sarstedt社製、ニュルンベルク、ドイツ)を使用して、血液を尾部静脈から採取し、直ちに氷上で冷却した。3,000g及び4℃で15分間遠心分離した後、血漿を−80℃で保管した。血漿インスリンを、Linco社製のラジオイムノアッセイ(感受性ラットインスリンRIA;Linco Research社製、セントチャールズ、ミズーリ州)により定量化した。血漿TG及びコレステロール値を、酵素アッセイキット(Thermo Electron社製、ウォルサム、マサチューセッツ州)により測定した。試料は、5匹の動物/群に由来する貯留試料(0.25ml)を、リポタンパク質分離用に直列に接続した2つのSuperose6カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(FPLC)ゲルろ過にかけたことを除いて、個々に分析した。アッセイは全て、製造業者の説明書に従って実施した。
グルコース負荷試験
糖耐性の決定の場合、マウスを6時間断食させ、グルコース負荷試験(GTT)用に、体重1kg当たり2gのグルコース(0.9%生理食塩水中50%D−グルコース(Sigma社製))を腹腔内(i.p.)注射した。尾部血糖レベル(mg/dl)を、注射前(0分)及び注射の15、30、60、90、及び120分後に、携帯型グルコメーター(TheraSense Freestyle)を使用することにより測定した。
WAT HSlのウエスタンブロット
脂肪組織を1.5mlの微量遠心チューブに配置し、組織溶解器(Retsch,Inc.社製、ニュータウン、ペンシルバニア州、カタログ番号85210)を30hzで3分間使用して、氷冷RIPA緩衝液(50mM NaF、0.5Mフェニルメチルスルホニルフルオリド、0.1mMバナジン酸Na、20μg/mlアプロチニン、10μg/mlロイペプチンを有する1×PBS、1%ノニデットP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS)中で溶解した。試料を12,000rpmで15分間(4℃)遠心し、その際にインターナタント(internatant)を新しいチューブに取り出し、氷上で15秒間超音波処理した。試料を14,000rpmで10分間(4℃)遠心し、インターナタントを新しいチューブに収集した。試料を再び19,000rpmで10分間(4℃)遠心し、インターナタントを新しいチューブに収集した。その後、等量の試料をタンパク質アッセイのために取り出した。その後、試料を4×SDS/DTT緩衝液中で2分間沸騰させた。細胞溶解産物に由来する50μgのタンパク質を、9%(重量/容積)アクリルアミド分離ゲルのSDS/PAGEにかけ、Hybond ECL nictroセルロース膜に移した。膜をブロッキングし、Cell Signaling社製の目的一次抗体(HSL(4107);Cell Signaling社製のホスホ−HSL(ser660)(4126))で探索した。洗浄した後、HRP結合抗(ウサギIgG)又は抗(マウスIgG)(HRP結合抗ウサギ及び抗マウス二次抗体は、Bio−Radから購入した(170−6515及び170−6516))のいずれかを使用して、一次抗体検出を実施し、高感度化学ルミネセンス(Amersham Biosciences社製)を使用して検出し、CL−Xposureフィルム(Pierce社製)に露光させた。
免疫組織化学
白色精巣上体脂肪組織のパラフィン包埋切片(5μm)を、記載のようにヘマトキシリン/エオシンで染色した(Ogden, C. L. et al. JAMA 295: 1549−1555 (2006))。個々のマウス組織ブロックの各々について、3つの異なる高倍率視野の各々からの100個の細胞の脂肪細胞サイズを、Image Pro Plus5.1ソフトウェア(Media Cybernetics社製、ベセスダ、メリーランド州、米国)を使用して、面積測定値として定量化した。
オイルレッド染色
肝臓組織中の脂質蓄積を視覚化するために、犠牲時に回収した肝臓の4〜8mm断面をオイルレッドO染料で染色した。20×及び40×の両倍率での画像を[複合レンズ]顕微鏡を使用して得た。
定量RT−PCR手順
給餌状態(午前給餌の1〜4時間後)で断頭することにより動物を犠牲にし、種々の組織を試料採取し、凍結クランプし、後にリアルタイム定量PCR(icycler、BioRad社製)によりPEPCK、G6P、及びHPRT(ハウスキーピング)のmRNA発現を測定するために−80℃で保管した。
標準的プロトコールを使用してRNeasy脂質組織キット(Qiagen社製、Ca#74804)を使用し、全RNAを凍結組織試料から抽出した。RNA濃度及び純度は、Nanodropを使用して分光光度法により決定した。RT−PCRのcDNAテンプレートを、2μgの全RNAを使用して得た。逆転写反応は、10×DNaseI反応緩衝液、DNaseI、増幅等級、1U/μl、depc−HO、25mM EDTA、10mM dNTP混合物、オリゴ(dT)20(50μM)、5×First−Strand緩衝液、0.1M DTT、RNaseOUT、及びSuperscript III(Invitrogen社製)を用いて実施した。
0.5μMの終濃度の順方向及び逆方向プライマーを含有する蛍光染料SYBR Green(BioRad社製、Ca#1708882)を使用して、合成cDNAをPCRにより更に増幅した。産物純度を、解離曲線により確認した。一貫した増幅を産出しない無テンプレート対照は、全てのアッセイに含まれていた。検量線を使用してPEPCK又はG6Pの相対的濃度を取得し、結果を、ハウスキーピング遺伝子として使用したHPRTの濃度により補正した。結果を、媒体のパーセントとして表し、媒体群の平均を100%と設定し、その後研究した3群の動物の各個々の値を計算した。
プライマー配列
PEPCK、G6P、及びHPRTのプライマー配列は、NIHウェブサイトから取得し、プライマーはIDT DNA社により生成された。
逆転写及び定量リアルタイムRT−PCR
CD68 mRNA発現を、記載のようにリアルタイムRT−PCRにより定量化した(Nomiyama, T. et al. Journal of Clinical Investigation 117:2877−2888 (2007))。手短かに言えば、犠牲時に、100mgの精巣上体脂肪組織をTRIZOLでホモジナイズし、全mRNAをcDNAに逆転写した。PCR反応は、iCycler(Bio−Rad社製)及びSYBR Green I系(Bio−Rad社製)を使用して実施した。各試料を三重反復で分析し、TFIIB mRNA発現の値に対して正規化した。使用したマウスプライマー配列は以下の通りだった:CD68、5’−CAAGGTCCAGGGAGGTTGTG−3’(順方向)(配列番号638)、5’−CCAAAGGTAAGCTGTCCATAAGGA−3’(逆方向)(配列番号639);及びTFIIB、5’−CTCTCCCAAGAGTCACATGTCC(配列番号640)、5’−CAATAACTCGGTCCCCTACAAC−3’(逆方向)(配列番号641)。
統計分析
別様の指示がない限り、統計分析は全て、GraphPad Prismの一元配置ANOVA及びカラム統計を使用して実施した。記載のP値は、一元配置分散分析用である。結果は全て、平均±SEとして示されている(受容体活性化データは、±S.Dである)。.
実施例42
アミノ酸修飾を有する配列番号1のアミノ酸配列を含む2つのグルカゴンペプチド、ペプチドX及びYを本明細書に記載のように製作した。両ペプチドは、2位のAIB、16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、及び24位のCysを含んでいた。24位のCysにおける部位特異的な40−kdペグ化を、マレイミド官能化直鎖pegとの反応により達成し、ペプチドX−PEG及びY−PEGを得た。ペプチドY及びY−PEGは、二次構造を安定化し、グルカゴンアゴニズムを増強させるために、単一の側鎖ラクタム架橋がペプチドY又はペプチドY−PEGの中間部分に導入されていた点で、それぞれペプチドX及びX−PEGとは異なっていた。16位のGlu及び20位のLysの2つの側鎖を、ペプチド構築中に側鎖アミドとして共有結合で結合した。ペプチドのこの大環状化は、21個原子のラクタムを表す。ペプチドX−PEG及びY−PEGの溶解度を試験し、生理学的緩衝液中に25mg/mlを超える濃度で溶解することが見出され、ペプチドX−PEG及びY−PEGは、1週間の血漿とのex vivoインキュベーションに対して完全に耐性であることが判明した。
実施例43
種々の濃度のトリフルオロエタノール(TFE)水溶液に可溶化された際のペプチドの二次立体構造を、円偏光二色性により分析した(図25)。グルカゴンは、試験した中で最もヘリックス性の少ないペプチドであり、0、10、及び20%のTFE溶液中でそれぞれ10、15、及び33%のヘリシティ計算値を有した(表29)。同じ実験条件下で、GLP−1は、14、29、及び55%のヘリシティ増強を示し、これら2つのペプチドが、一次構造並びに二次構造において異なることを示した。ペグ化部分が、分子の90%を超える質量に相当するという事実にも関わらず、ペグ化の際にペプチドX及びYのヘリシティに著しい変化はなかった(表29)。対照的に、TFEの非存在下におけるリン酸緩衝液中のペプチドYの見かけ上のヘリシティは、ペプチドXのおよそ2倍であり、17%〜36%だった。結果的に、これら2つのキメラペプチド(ペプチドX−PEG及びペプチドY−PEG)のペグ化形態は、二次構造がかなり異なっており(図25)、生物学的特性の違いは、これら二次構造の違いの結果である可能性が高い。
Figure 0005887265
実施例44
2つのペプチド(ペプチドX及びY)及びそれらの40−kdペグ化誘導体(ペプチドX−PEG及びY−PEG)を、細胞に基づくCREル−シフェラーゼリポーターアッセイにおいてcAMP合成を刺激するそれらの能力について評価した(図26)。表30に示されているように、天然グルカゴンは、0.055±0.014nMの有効濃度(EC50)で、GLP−1受容体(GLP−1R)は、はるかにより高い濃度である3.29±0.39nMのEC50で、グルカゴン受容体を最大半量に活性化した。対照的に、GLP−1は、0.028±0.009nMのEC50でその受容体を活性化し、グルカゴン受容体(GcgR)に対する相互作用が1μMを超えるEC50で生じたという点で高度に特異的であることが判明した。それらの受容体に対する天然リガンドの特異性のダイナミックレンジは、100万を超えている。GLP−1Rに対するペプチドX−PEGの効力は、天然GLP−1の効力の2倍であり、相対的な意味で、GcgRに対して更により増強された。しかしながら、GcgR活性は、天然グルカゴンのおよそ10%に過ぎなかった。ラクタムを導入することにより、グルカゴンアゴニズムは完全に回復したが、GLP−1Rに対しては変化がなかった。結果的に、ペプチドY−PEGは、2つのそれぞれの受容体に対する天然リガンドと比較して、十分に強力な、ほとんどバランスのとれた同時アゴニストである。各ペプチドのペグ化により、GcgRに対しては10倍ほど、GLP−1Rに対しては5倍ほど効力が低減された。GcgRに対する活性喪失がわずかに増強されたのは、C末端配列が、グルカゴン受容体相互作用に対してより大きな相対的重要性を持つことの結果である可能性がある。ペグ化ペプチド(ペプチドX−PEG及びY−PEG)は、GLP−1Rに対して、天然GLP−1よりわずかに強力ではなかったが、依然としてナノモル以下のEC50を示した。ペプチドX−PEGは、GLP−1Rに対して、このペプチド、つまりペプチドY−PEGのラクタム型より7倍選択的である。従って、これら2つのDPP−4耐性ペプチドは、持続性in vivo時間−作用実験に好適であり、GLP−1Rアゴニズムは良好に一致するが、グルカゴンアゴニズムは異なっている。
Figure 0005887265
実施例45
40−kdペグ化ペプチドであるペプチドX−PEG及びY−PEGを、食餌誘導性肥満(DIO)C57B6マウスに対する週1回の皮下(s.c)注射剤として使用した。325nmol/kgのペプチドY−PEGの単回注射は、1週間で体重を50.9±1.4gから37.8±0.8gへと25.8%減少させた(p<0.0001、n=8/群)。ペプチドX−PEGの同様な投与は有効だったが、効力がかなり低く、体重減少は9%だった(49.1±1.51g〜44.68±1.38g)。生理食塩水注射対照マウスに、体重変化はなかった(以前:50.61±1.32g、以後:50.87±1.46g、図27A)。体重変化は、体脂肪量減少の結果であり(ラクタムペプチドの場合は41.9%、開環形態の場合は22.2%、対照の場合は2.3%、p<0.001、図27B)、平均毎日食物摂取量の有意な減少と一致した(ペプチドY−PEG:0.40±0.29g/日、ペプチドX−PEG:1.83±0.81g/日、生理食塩水:2.70±0.78g/日、p<0.0001、図27C)。血糖は、対照と比較して両ペプチドで有意に減少し、ペプチドY−PEGでわずかにより減少した(ペプチドY−PEG:−90.1mg/dL、ペプチドX−PEG:−79.6mg/dL、対照:−23.9g/dL、p=0.0433、図27D)。2つのペプチド(ペプチドX−PEG及びペプチドY−PEG)間の相対的な違いは、統計的に有意ではなかった。
実施例46
別の実験では、6つの異なる用量(0、7、14、35、70、350nmol/kg)のペプチドY−PEG及びペプチドX−PEGの単回皮下注射は、体重及び血糖の線形応答性で用量依存的な減少を示した(図28A、28B、28C、及び28D)。これは、観察された効果が、急速で過度な体重減少の間接的影響以外に、薬理学的に明白な毒性とは関連しないことが示唆される。効果の大きさは、ペプチドY−PEGがより顕著であり、グルカゴンアゴニズムの追加的要素が、ペプチドの効力を向上させることを示す。
実施例47
別の実験では、70nmol/kgのペプチドY−PEG又はペプチドX−PEGの毎週皮下注射は、DIOマウスの体重をそれぞれ28.1%及び20.1%減少させた(p<0.0001、n=7〜8/群、図29A)。体重変化は、体脂肪量の減少と関連していた(ペプチドY−PEGの場合は−62.9%、ペプチドX−PEGの場合は−52.2%、及び対照の場合は5.1%、p<0.0001、図29B)。食物摂取量に対するこれらより低用量の長期的効果(p=0.95、図29C)は、より高用量での短期的効果(図27C)ほど高くなかった。エネルギー消費量は、媒体(12.71±0.45kcal/[kg*h]、p=0.0187)と比較して、ペプチドY−PEG(14.60±0.69kcal/[kg*h])及びペプチドX−PEG(17.19±1.49kcal/[kg*h])で増加したが、呼吸商は、減少する傾向があり(図29D及び29E;ペプチドY−PEGの場合は0.719±0.01、ペプチドX−PEGの場合は0.725±0.01、及び媒体の場合は0.755±0.01、p=0.1028)、熱発生の増加及び栄養素配分の変更が、全体的に負のエネルギーバランスを説明することができることを示した。自発運動活性が処置群及び対照間で変わらなかったため、エネルギー消費量の増加は、自発的身体活動誘導性熱発生(NEAT)の変化と関連しなかった(p=0.4281、図29F)。急性摂食の自動オンラインモニタリング及び食物摂取量の長期モニタリングはいずれも、カロリー摂取量のいかなる違いも明らかにしなかった(自動p=0.667、長期p=0.9484、図30A)。
血糖レベルは、最初の注射後3日目に開始した処置期間にわたって著しく減少した(平均減少:ペプチドY−PEG −32%、ペプチドX−PEG −24.5%、対照:−2.7%、p<0.0001、図29G)。3日目の腹腔内(i.p.)グルコース負荷に応答して、血糖ピーク(図29H)及び特性(AUC)(図30F)は、媒体処理対照と比較して、2つの処置群(ペプチドY−PEG 14183±1072、ペプチドX−PEG 13794±824.1)で著しくより低かった(34125±3142、p<0.0001)。ペプチドY−PEG又はペプチドX−PEGによる処置の1か月後、血漿インスリンは、対照と比較して(2675pg/ml)、処置群でより低く(1194pg/ml、1034pg/ml、p=0.0244)、インスリン感受性が向上されたことが示唆された(図29I)。血漿C−ペプチドレベルは、媒体と比べて(1077pg/ml)、ペプチドY−PEG又はペプチドX−PEG(738.8pg/ml、624.7pg/ml)による処置の1か月後に減少する傾向があった(p=0.108)(図30G)。
主要な現象が種を超えて一般化されるか否かを決定するために、両化合物を、食餌誘導性肥満ラットに投与した(平均体重777.4+/−2.1g、用量70nmol/kg/週、週1回注射、3週間の処置)。ペプチドY−PEG及びペプチドX−PEGは各々、DIOラットの体重(ペプチドX−PEG:−11.15+/−0.88%;ペプチドY−PEG:−20.58+/−2.26%、媒体:1.09+/−0.56%)(p<0.0001)及び体脂肪量(ペプチドX−PEG:−19.17+/−2.03%;ペプチドY−PEG:−33.76+/−4.76%、媒体:0.65+/−1.20%、p<0.0001)を減少させ、この抗肥満治療手法の種非依存的適用可能性が確認された。
実施例48
ペプチドX−PEG及びペプチドY−PEGによる27日間にわたる長期皮下処置は、媒体と比べて(254.0 25.33mg/dL、p=0.0441;図31A)、DIOマウスの総コレステロールを減少させた(それぞれ、106.9±6.3mg/dL及び200.8±29.58mg/dL)。別の実験では、0日目及び7日目に70nmol/kgのペプチドX−PEG、ペプチドY−PEG、又は媒体を皮下で受容したDIOマウスを、9日目に評価した。ペプチドY−PEGは、血漿トリグリセリド、LDLコレステロール、及び総コレステロールを減少させ(媒体177.7±11.8mg/dLと比較して、総コレステロールは63.0 2.49mg/dL)(p<0.0001)、LDLからHDLコレステロールへの切替を引き起こした可能性がある(図31B)。ペプチドX−PEGは、LDL及びHDLコレステロールを両方とも減少させたが、トリグリセリドには著しい影響を及ぼさなかった(図31C)。レプチンは有意に減少した(ペプチドY−PEGの場合は3343±723.3pg/ml;ペプチドX−PEGの場合は7308±2927、及び媒体の場合は18,642±6124、p=0.0426、図31D、31E、31F)。27日間の長期処置は、肝臓脂質含有量も正常化したが、対照DIOマウスは著しい脂肪肝を維持した(データ非表示)。
実施例49
ペプチドX−PEG又はペプチドY−PEGによる1か月間の処置は、DIOマウスの白色脂肪組織(WAT)におけるホルモン感受性リパーゼ(HSL)のリン酸化の増加をもたらし(ペプチドX−PEG:1.135±0.315;ペプチドY−PEG:1.625±0.149;媒体:0.597±0.204;p=0.0369;図32B)、WAT脂肪分解に対するグルカゴン特異的直接効果を示唆した。用量が35nmol/kg/週のペプチドY−PEG及びペプチドX−PEGで2週間処置したマウスの体脂肪量が減少したと同時に、精巣上体脂肪組織中の脂肪細胞サイズが、対照マウスと比較して著しく低減した(データ非表示)。しかしながら、体脂肪量を減少させ、脂肪細胞をより小さくしたにも関わらず、ペプチドY−PEG及びペプチドX−PEGによるこの2週間の短期処置は、CD68のリアルタイムRT−PCRにより定量化したところ、脂肪組織マクロファージ含有量の著しい低減とは関連しなかった(図33C)。褐色脂肪組織(BAT)の脱共役タンパク質I(UCP1)レベルは、ペプチドX−PEGにより増加されたが、ペプチドY−PEG処置では増加せず(ペプチドX−PEG 2.167±0.429、ペプチドY−PEG 1.287±0.1558、及び媒体1.0±0.118;p=0.0264;図32A)、BATに対するGLP−1の、熱発生を停止させる特異的作用と一致した。肝臓グルコース新生を反映する肝臓遺伝子発現は、ペプチドX−PEG又はペプチドY−PEG(図30H及び30I)のいずれによっても影響を受けなかった。組織学的検査は、膵島が、ペプチドX−PEG処置後に、より小さくなる傾向があることを示した(データ非表示)。
実施例50
ペプチドX−PEG及びY−PEGのGLP−1R及びGcgRアゴニスト成分の寄与を精査するために、高脂肪食で飼育したGLP−1受容体ノックアウト(GLP−1R−/−)マウスに、各々を1か月間投与した。ペプチドX−PEGは、生理食塩水と比較して、体重(p>0.05;図34A及び34B)及び体脂肪量(p>0.05;図34C)の低減を引き起こした。ペプチドY−PEGは、GLP−1R−/−マウスの体重(p=0.0025)及び体脂肪量(p=0.0025)の有意な減少を引き起こした(図34A〜34C)。ペプチドX−PEGは、GLP−1R−/−マウスの食物摂取量に影響を及ぼさなかったが、ペプチドY−PEGは、食物摂取量を有意に抑制した(p=0.017)(図34D)。ペプチドY−PEGは、機能性GLP−1Rの非存在下でのグルコース負荷試験において血糖を増加させる傾向を有し(しかし、ペプチドX−PEGはその傾向を有しない)(p=0.03)(図34E及び34F)、グルカゴン誘導性高血糖症を防御するために同時アゴニストのGLP−1成分が必要であることが示唆された。
実施例51
グルカゴンアゴニズムに寄与することができるペプチドX−PEG及びY−PEGの効果に関する独立した評価として、同等なGLP−1R効力を有するが、著しく異なるGcgR活性を有する2つの追加的なペプチドアゴニストを研究した。2つのペプチド(ペプチドU及びV)は、ペプチドX−PEG及びY−PEGに関する。ペプチドU及びVは、以下の修飾:16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、及び24位のCysを有する配列番号1のアミノ酸配列を含むが、24位のCysに20−kdペグ化を含み、2位のAIBを含んでいない。ペプチドVは、グルカゴンアゴニズムを10倍を超えて選択的に低減したGluによるGln3の置換を更に含んでいた。ペプチドU及びペプチドVはいずれも、ラクタム架橋を含んでいなかった。DIOマウスを50nmol/kgのペプチドVにより毎日皮下で1週間処置することにより、ペプチドUと比べて体重低下に対する効果が低減することが明らかになった(それぞれ、−9.09±0.80対−13.71±0.92g、p<0.0001;図35A)。
実施例52
γ−Gluスペーサー又はγ−Glu−γ−Gluジペプチドスペーサーを介してLys残基に結合されたC16脂肪酸アシル基を含み、Lys残基が10位又はC末端(29位)に位置するグルカゴンペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作した。グルカゴン及びGLP−1受容体に対するin vitro活性について、ペプチドを本明細書に記載のように試験した。結果は表31に示されている。
Figure 0005887265
実施例53
表32に示されているペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作した:
Figure 0005887265
表32のペプチドは全て、配列番号624、631、及び632のペプチドを除いて、グルカゴン及びGLP−1受容体の両方に対して強力なin vitro活性を示した。
表33に概説されている変更を除いて、天然グルカゴン(配列番号1)のアミノ酸配列を含むA組のペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作する。
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
Figure 0005887265
27位のMetがノルロイシンで置換されていることを除いて、A組のペプチドと同じ構造を有するペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作する。これら修飾ペプチドは、B組のペプチドである。
24位のGlnが、40kDaのPEGに共有結合で結合されたCysで置換されていることを除いて、A及びB組のペプチドと同じ構造を有するペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作する。これらペグ化ペプチドは、C組のペプチドを形成する。
10位のTyrが、C8、C12、C14、C16、又はC18脂肪酸アシル基に共有結合で結合されたLysで置換されていることを除いて、A、B、又はC組のペプチドと同じ構造を有するペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作する。C8脂肪酸アシル基でアシル化されたペプチドは、D組のペプチドを形成する。C12脂肪酸アシル基でアシル化されたペプチドは、E組のペプチドを形成する。C14脂肪酸アシル基でアシル化されたペプチドは、F組のペプチドを形成する。C16脂肪酸アシル基でアシル化されたペプチドは、G組のペプチドを形成する。C18脂肪酸アシル基でアシル化されたペプチドは、H組のペプチドを形成する。
脂肪酸アシル基が10位のLysにスペーサーを介して結合されていることを除いて、D〜H組のペプチドと同じ構造を有するペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作する。γ−Glu−γ−Gluスペーサーを含むペプチドは、I組のペプチドを形成する。γ−Gluスペーサーを含むペプチドは、J組のペプチドを形成する。Ala−Alaスペーサーを含むペプチドは、K組のペプチドを形成する。β−Ala−β−Alaスペーサーを含むペプチドは、L組のペプチドを形成する。
実施例54
最大15個のアミノ酸修飾、1〜21個アミノ酸のC末端延長部分を有する配列番号1を含み、(a)延長部分がアシル化又はアルキル化されており、及び/又は(b)延長部分が1〜6個の正荷電アミノ酸を含むグルカゴンペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作した。グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対するin vitro活性について、ペプチドを、本質的に実施例14に記載のように試験した。ペプチド及びそれらのin vitro活性の構造は、表34に要約されている。
Figure 0005887265
表34に示されているように、非ペグ化ペプチドは全て、0.1%を超える、GIP受容体に対するアゴニスト活性を示し、ペプチドmt−345、mt−362、及びmt−364は、GIP受容体に対する特別に強力な活性を示した。ペプチドmt−350、mt−351、及びmt−352は、恐らくはこれらペプチドがペグ化されていたという事実のため0.1%未満の活性を示した。
実施例55
mt−345(配列番号657の構造を有する)のin vivo効果は、他のアシル化ペプチド(リラグルチド、mt−261(配列番号670)、及びmt−347(配列番号659))、及び非アシル化ペプチド(mt−348;配列番号660)の効果と比較した。ペプチドmt−345、mt−261、及びmt−347は、アミノ酸修飾を有するグルカゴンのアミノ酸配列(配列番号1)を含み、29位のアミノ酸のC末端側のGPSSGAPPPS(配列番号26)の延長部分、その後に40位のアシル化Lysを更に含んでいた。ペプチドmt−345は、2位のAIB、16位のGlu、17位のGln、18位のAla、20位のLys、21位のGlu、23位のIle、24位のCys、29位のGly、29位のGlyのc末端側の配列番号26、及び40位のアシル化Lysを含んでいた。mt−345のアシル基は、C14脂肪酸アシル基だった。ペプチドmt−261は、mt−261が、1位のTyr、3位のGlu、12位のIle、16位のLys、20位のAIB、23位のVal、24位のAsn、27位のLeu、28位のAla、及び40位のC16脂肪酸アシル基を含んでいたことを除いては、mt−345と同様の構造を有していた。mt−347及びmt−348の構造は、mt−347及びmt−348が16位のAIBを含んでいたことを除いては、mt−345の構造と同一だった。mt−347の構造は、mt−347が40位のC14脂肪酸アシル基を含み、mt−348がアシル基を欠いたことを除いては、mt−348の構造と同じだった。
グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対する、ペプチドのin vitro活性を、本質的に実施例14に記載のように試験した。相対的活性は、表35に示されている。
Figure 0005887265
ペプチドを、10又は30nmol/kgの用量で皮下注射により、11群の8匹C57B1/6マウスに2週間毎日投与した。マウスの初期平均体重は51gだった。マウスは6か月齢であり、糖尿病誘発性食餌を4か月間与えていた。1群のマウスは媒体対照を受容し、別の群は、C末端アルファカルボキシラートの代りにC末端アミド化を有する配列番号1のアミノ酸配列を含んでいたグルカゴンアミド対照ペプチドを受容した。
ペプチドを受容した各群のマウスの体重は、媒体対照と比較して、研究の経過にわたって着実に減少した。しかしながら、図36に示されているように、10nmol/kgのmt−261又はmt−345を受容したマウスの総体重変化が、最も著しかった(約20%)。グルカゴンアミドペプチドを投与したマウスも、mt−261及びmt−345によるものと同様の総体重減少を示したが、グルカゴンアミドの用量は、mt−261及びmt−345の用量の3倍ほどだった。体重に対する効果は、リラグルチドの効果より明らかに著しかった。
マウス群による食物摂取量も研究中に評価した。mt−261又はmt−345ペプチドを受容したマウスは、最も低い食物摂取量を示した。
マウスの血糖レベルも研究した。リラグルチド、mt−261、又はmt−345を投与したマウスは、7日目(ペプチドを最初に投与した7日後)に血糖レベルの全体的な減少を示した。しかしながら、14日目に測定した際には、減少の程度はより少なかった。
実施例56
アシル化C末端延長部分を含むグルカゴンペプチドを、本質的に本明細書に記載のように製作した。ペプチドmt−278、mt−261、mt−297、及びmt−358は、以下のアミノ酸修飾:1位のTyr、2及び20位のAIB、16位のLys、12位のIle、17位のGln、18位のAla、21位のGlu、29位のGly、29位のアミノ酸のC末端側の配列番号26のアミノ酸配列、及び40位のアシル化Lysを有する配列番号1のアミノ酸配列を含んでいた。ペプチドmt−364は、1位のHis、16位のGlu、及び20位のLysを含むことにより他のペプチドと構造が異なっていた。これらペプチドの構造の詳細な説明は、本明細書に添付した配列表に記述されている:mt−364(配列番号669)、mt−261(配列番号270)、mt−278(配列番号271)、mt−297(配列番号272)、及びmt−358(配列番号673)。
グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体に対するin vitro活性について、ペプチドを本質的に実施例14に記載のように試験した。示されている受容体に対する天然ホルモンと比較したペプチドの活性は、表36に示されている。
Figure 0005887265
その後、糖尿病誘発性食餌を6か月間与えていた8か月齢のC57B1/6マウスの体重、食物摂取量、血糖レベル、及び体脂肪量に対するそれらの効果について、ペプチドをin vivoで試験した。11群の8匹マウスに、10nmol/kgのペプチドを1週間毎日皮下に注射した。マウスは、53gの初期体重を有していた。
媒体のみを注射したマウスと比較して、mt−278、mt−261、又はmt−364を注射したマウスの体重は、研究の経過にわたって着実に減少した。図37に示されているように、mt−364を注射したマウスは、1週間にわたる研究の終了までに最も大きな体重減少を示し、15%を超える体重減少を達成した。mt−278又はmt−261を注射したマウスも、実質的な(10%を超える)体重減少を示した。
マウスによる総食物摂取量をモニターし、mt−364又はmt−261を注射したマウスによる研究の終了までの総食物摂取量は、媒体のみを注射したマウスによる総食物摂取量の50%未満の総食物摂取量を示した。
マウスの体脂肪量を、研究の全体にわたって測定した。mt−364、mt−278、又はmt−261を注射したマウスは、媒体のみを注射したマウスの体脂肪量未満の体脂肪量を示した。
血糖レベルに対する効果を更に評価した。研究の最終日(7日目)に、mt−364又はmt−261を注射したマウスは、0日目に測定した血糖レベルと比較して60%を超える血糖レベルの減少を示した。加えてmt−278を注射したマウスも、血糖の実質的な減少を示した(約40%の減少)。
実施例57
C末端アルファカルボキシラートの代りにC末端アミドを有するグルカゴンの類似体を、本質的に本明細書に記載のように製作した:
ペプチド83は、2位のAIB、16位のAIB、及び10位のLysを有し、Lysが、γ−Glu−γ−Gluジペプチドスペーサーを介してC16脂肪酸アシル基を含んでいた配列番号1の構造を含んでいた。
ペプチド900は、2位のAIB、16位のAIB、及び配列番号26を含むC末端延長部分、及び40位のLysを有し、Lysが、γ−Glu−γ−Gluジペプチドスペーサーを介してC16脂肪酸アシル基を含んでいた配列番号1の構造を含んでいた。
ペプチド901は、2位のAIB、16位のAIB、及び配列番号26を含むC末端延長部分、及び10位のLysを有し、Lysが、γ−Glu−γ−Gluジペプチドスペーサーを介してC16脂肪酸アシル基を含んでいた配列番号1の構造を含んでいた。
ペプチドmt−364は、配列番号669の構造を含んでいた。
グルカゴン、GLP−1、及びGIP受容体の各々に対するin vitro活性について、類似体を本質的に本明細書に記載のように試験した。結果は表37に示されている。
Figure 0005887265
9群の8匹DIOマウス(系統:C57B16WT)に、表37のペプチドのうちの1つを10nmol/kgで7日間毎日皮下に注射した。マウスの平均初期体重は57.6gだった。マウスはおよそ10か月齢であり、高脂肪食餌を約8か月間与えていた。
総体重変化を7日目に測定した。図38に示されているように、表37のペプチドを注射したマウスは全て、媒体対照と比較して体重減少を示した。全て同様のペプチド構造を有するペプチド83、900、及び901の中でも、ペプチド900及び901は、最も大きな体重減少を示した。興味深いことには、ペプチド900及び901の各々は、アシル化されていたがC末端延長部分を含んでいなかったペプチド83とは対照的に、C末端延長部分を含み、アシル化されていた。10位がアシル化されていたペプチド901は、40位がアシル化されていたペプチド900(約10%の減少)より大きな減少(約15%の減少)を示した。しかしながら、体重に対するこれらペプチドのin vivo効果は、依然としてMT−364の効果ほど著しくはなかった。MT−364を注射したマウスは、約20%の減少を示した。
出版物、特許出願、及び特許を含む、本明細書に引用された全ての参考文献は、あたかも参照により組み込まれているように各参考文献が個々に及び具体的に示され、文献全体が本明細書に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
用語「a」及び「an」及び「the」及び本発明を説明する状況(特に添付の特許請求の範囲の状況)での類似の指示対象は、本明細書で別様に指示されておらず、状況と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数を両方とも包含すると解釈されるべきである。用語「含む」、「有する」、「含んでいる」、及び「含有する」は、別様の指示がない限り、非限定的な用語として解釈されるべきである(つまり、「〜を含むがそれらに限定されない」ことを意味する)。
本明細書では、数値の範囲の列挙は、別様の指定がない限り、個別の値の各々が範囲及び各エンドポイント以内にあることを個々に参照する簡潔な表記方法としての役割を果たすことが単に意図されているに過ぎず、個別の数値及びエンドポイントの各々は、あたかもそれが個々に本明細書に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の方法は全て、本明細書に別様の指定がない限り、又は状況と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的言語(例えば「等の」)の使用は、本発明をより良好に明確にすることを単に意図しているに過ぎず、別様に特許請求されない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中の言語は、任意の非特許請求要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈されるべきでない。
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載されており、それらには、本発明を実施するために本発明者らが認知している最良の形態が含まれる。好ましい実施形態の変異形態は、当業者であれば先述の説明を読めば自明となるだろう。本発明者らは、当業者がそのような変異形態を必要に応じて使用することを予想しており、本発明者らは、本発明が本明細書に特に記載したのと別様に実施されることを意図している。従って、本発明は、準拠法により許容されるように、添付の特許請求の範囲に記述されている主題の改変及び等価物を全て含む。更に、その考え得る全ての変異形態の上述要素のあらゆる組み合わせも、本明細書に別様の指定がない限り、又は状況と明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。

Claims (22)

  1. GIP受容活性を示すグルカゴン(配列番号1)の一つの類似体であって、該類似体は以下の修飾を備える配列番号1を含ものであり、
    )前記類似体の2位にイソ酪酸(AIB)あり、
    ii)前記類似体の16位にGluがあり、
    iii)前記類似体の17位にGlnがあり、
    iv)前記類似体の18位にAlaがあり、
    )前記類似体の20位にLysがあり、
    vi)前記類似体の21位にGluがあり、
    vii)前記類似体の23位にIleがあり、
    viii)前記類似体の24位にAlaがあり、
    ix)前記類似体の29位にGlyがあり、
    ここで、前記類似体は、前記類似体の29位においてアミノ酸に共有結合しているGPSSGAPPPS(配列番号26)のアミノ酸配列、およびさらに一つの付加的なアミノ酸であって、前記類似体の40位においてGPSSGAPPPS(配列番号26)のC末端側に共有結合している、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基又はアルキル基を含むアミノ酸を含み、
    前記アシル基又はアルキル基は、前記40位のアミノ酸の側鎖に直接共有結合しているか、又はスペーサーを介して共有結合しており、
    さらに、前記類似体は、前記GIP受容体に対する天然GIPの活性の少なくとも10%を示し、
    前記類似体のGLP−1受容体に対する選択性は、GIP受容体の選択性の100分の1より大きく、且つ100倍より小さい範囲内にある類似体。
  2. 16位のGlu及び20位のLysの間にラクタム架橋を含む、請求項1に記載の類似体。
  3. 一つのC末端アミドを含む、請求項1又は2に記載の類似体。
  4. アシル基又はアルキル基を含む前記アミノ酸が、式I、II、又はIIIのアミノ酸であって、
    ここで、式Iは次式で表され、
    Figure 0005887265
    式IIは次式で表され、
    Figure 0005887265
    そして、式IIIは次式で表され、
    Figure 0005887265
    nは1から4である、請求項1〜のいずれか一項に記載の類似体。
  5. 前記式Iのアミノ酸がLysである、請求項に記載の類似体。
  6. 前記アシル基が、C4〜C30脂肪酸アシル基である、請求項1〜のいずれか一項に記載の類似体。
  7. 前記アシル基が、C12〜C18脂肪酸アシル基である、請求項に記載の類似体。
  8. 前記アシル基が、C14〜C16脂肪酸アシル基である、請求項に記載の類似体。
  9. 前記アシル又はアルキル基が、スペーサーを介して前記アミノ酸の側鎖に共有結合で結合されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の類似体。
  10. (I)前記スペーサーが、(A)3〜10個の原子長であるか、(B)アミノ酸若しくはジペプチドであるか、(C)6−アミノヘキサン酸であるか、又は(D)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、及びPro−Proからなる群から選択されるジペプチドであるか、あるいは(II)前記スペーサー及び前記アシル基の全長が、14〜28個の原子長である、請求項に記載の類似体。
  11. 前記類似体が、(A)親水性部分を含まない場合、前記類似体が、前記GLP−1受容体に対するGLP−1(配列番号2)の活性の少なくとも4%を示すか、(B)前記類似体が親水性部分を含まない場合、前記類似体が、前記グルカゴン受容体に対するグルカゴンの活性の少なくとも20%を示すか、(C)前記類似体が親水性部分を含まない場合、前記類似体が、3位のアミノ酸修飾を含み、前記グルカゴン受容体に対するグルカゴンの活性の1%未満を示すか、(D)前記類似体が親水性部分を含まない場合、前記類似体が、7位のアミノ酸修飾を含み、前記GLP−1受容体に対するGLP−1の活性の10%未満を示すか、又は(A)および(B)若しくは(C)のいずれかの組み合わせであるか、又は(B)および(D)の組み合わせである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の類似体。
  12. 親水性部分が、前記類似体の16、17、20、21、24位のアミノ酸、又はC末端のいずれかに共有結合で結合されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の類似体。
  13. 前記親水性部分がポリエチレングリコール(PEG)である、請求項12に記載の類似体。
  14. 前記PEGが、1,000ダルトン〜40,000ダルトンの分子量を有する、請求項13に記載の類似体。
  15. GIP受容体活性化に対する前記類似体のEC50が、10nM以下である、請求項1214のいずれか一項に記載の類似体。
  16. 前記類似体が、前記GIP受容体に対する野生型GIP(配列番号4)の活性の少なくとも20%を示す、請求項1215のいずれか一項に記載の類似体。
  17. 前記類似体の前記GIP効力が、前記類似体の前記GLP−1効力の75倍以内であり、および/また前記類似体の前記GIP効力が、前記類似体のグルカゴン効力の500倍以内である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の類似体。
  18. 配列番号669の前記アミノ酸配列を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の類似体。
  19. 2つのグルカゴンペプチドを含む二量体であって、前記グルカゴンペプチドの少なくとも1つが、請求項1〜18のいずれかに記載の類似体であり、リンカーを介して互いに結合されている二量体。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の類似体が共役部分に結合された共役体であって、
    前記共役部分が、異種性ペプチド又は血漿タンパク質を含むポリペプチド、標的化剤、免疫グロブリン又はそれらの免疫グロブリン断片であって、免疫グロブリン可変領域、CDR、若しくはFc領域から成るそれらの免疫グロブリン断片、診断標識、あるいは水溶性ポリマーを含むポリマーから選ばれる一つである、共役体。
  21. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の類似体、請求項19に記載の二量体、請求項20に記載の共役体、又はそれらの組み合わせ、及びそれらの薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  22. 体重増加を低減又は体重減少を誘導する糖尿病治療薬剤又は肥満治療薬剤の製造において、請求項1〜18のいずれか一項に記載の類似体、請求項19に記載の二量体、請求項20に記載の共役体、又はそれらの組み合わせを使用する方法。
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