JP5880851B2 - 放射性核種除染システム及び放射性核種除染方法 - Google Patents

放射性核種除染システム及び放射性核種除染方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性汚染水から放射性核種を除染する放射性核種除染システム及び放射性核種除染方法に関する。
放射性汚染水は塩分を含まない淡水に限らず、地下水や海水あるいは海塩成分(NaCl、Ca、Mgなど)を高濃度に含有する場合もあり、多種類の放射性核種を含むこれらの放射性汚染水を下水、河川、海洋などの環境へ放出するためには、含まれる放射性核種のすべてが法律で定められた各々の濃度以下になるまで除染することが求められる。
放射性核種を除染する方法には沈殿方式と吸着方式に大別できる。沈殿方式は、システムが大掛かりになってコストがかかること、共沈剤の添加物による一次廃棄物および二次廃棄物が大量に発生して、処理処分が厄介であることなどの理由から望ましい方法とはいえない。
一方、吸着方式は、吸着剤を詰めた吸着塔に放射性汚染水をスルー、すなわち通すことで除染しようとするものであり、除染システムを単純化できる可能性があり、二次廃棄物を少なくすることができる利点が期待できる。
特許文献1には、放射性物質含有排水の処理方法および装置であって、濾過水を活性炭に通水した後、イオン交換体または逆浸透膜に通水することが記載されている。
特許文献2には、水溶性の金属イオンを水に不要な酸化物として吸着材で吸着することが記載されている。
非特許文献1には、循環注水冷却と汚染水処理システムが記載されている。
特開2008−64703号公報 特開平7−260997号公報
日本原子力学会誌 Vol54.No.3(2012)
原子炉事故の発生に伴って原子炉圧力容器あるいは原子炉格納容器の閉じ込め性が失われた場合には、容器内に存在する放射性物質の放出あるいは漏洩が生じ、多種類の放射性核種を含んだ放射性汚染水が大量に発生することになる。放射性セシウム・ストロンチウム・その他多くの放射性核種を含む放射性汚染水は、それを環境へ放出する場合には放射性汚染水中の多種類の放射性核種は徹底して除染することが求められる。このような除染がなされ、厳密な放射能チェックがなされ、法律で定められた濃度以下になっていることが確認されて初めて下水、河川あるいは海洋などの環境への放出が許容されるものとなる。
特許文献に示されるように、原子力発電プラントにおいて運転に伴って通常生成される放射性核種を除去し、除染する方法及び装置については多くの方法、手段が提案されているが、原子炉事故に伴って発生する多種類の放射性核種を含んだ放射性汚染水を除染する手法、手段については提案されていない。
非特許文献1には、図10に示すように循環注水冷却と汚染水処理システムが記載されているが、凝集沈殿方式が採用されている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、原子炉事故の発生によって放出あるいは漏洩する多種類の放射性核種放射性汚染水から簡便に、かつコストを要することなく除染することができ、かつ二次廃棄物の処理を容易にすることを目的とする。
本発明は、多種類の放射性核種を含む放射性汚染水からこれらの放射性核種を除去することで除染する放射性核種除染システムにおいて、
Caアルギン酸膜が、水溶液中で使用されるとき、共存するCa、またはCa及びMgを不透過とし、Sr及びBaを選択透過させる性状を有して、無機材料で固形化された吸着部材の表面層を形成し、該吸着部材が、Ca、またはCa及びMgの不透過状態で、選択透過したSr及びBaを吸着するSr及びBa選択吸着剤が搭載された第一手段、
フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持活性炭あるいはTiO系無機材料から形成され、Cs吸着剤が搭載された第二手段、
活性炭と活性アルミナとから形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤が搭載された第三手段、
ヨウ素担持活性炭とキレート剤担持又は添加活性炭とから形成し、ヨウ素を含む超ウラン元素除染を行うヨウ素及び超ウラン元素除染吸着剤が搭載された第四手段、
とが組み合わされて形成された吸着剤除染手段に、放射性汚染水がスルーされて多種類の放射性核種が除染されること
を特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、ゼオライト粉末を上述したアルギン酸又はバインダーで球状に固めて吸着部材としたことを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した吸着剤除染手段が、DDTC担持又は添加活性炭、又はAl含有無機炭素系材料、及びオキシン担持活性炭、DTPA担持活性炭又はクペロン担持活性炭から形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤が搭載された吸着手段を含むことを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した汚染核種の除染手段が、C−14除染のための脱炭酸塔が搭載された除染手段を含むことを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段を備え、前記吸着剤除染手段が、脱塩水もしくは濃縮塩水のラインに、又は双方のラインに設けられることを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段を備え、該浸透膜搭載手段の上流側の放射性汚染水ラインに、第一手段が設けられることを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した脱塩水の淡水系ラインには、第二手段の後流側に第一手段が配列されることを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、また、上述した濃縮塩水の塩水系ラインには、第三手段及び第二手段の後流側に第一手段が配列されることを特徴とする放射性核種除染システムを提供する。
本発明は、多種類の放射性核種を含む放射性汚染水からこれらの放射性核種を除去することで除染する放射性核種除染システムによる放射性核種除染方法において、
Caアルギン酸膜が、水溶液中で使用されるとき、共存するCaまたはCa及びMgを不透過とし、Sr及びBaを選択透過させる性状を有して、無機材料で固形化された吸着部材の表面層を形成し、該吸着部材が、Ca、またはCa及びMgの不透過状態で、選択透過したSr及びBaを吸着するSr及びBa選択吸着剤を搭載して第一手段を形成し、
フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持活性炭あるいはTiO系無機材料Cs吸着剤を搭載して第二手段を形成し、
活性炭と活性アルミナとから形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤を搭載して第三手段を形成し、
ヨウ素担持活性炭とキレート剤担持又は添加活性炭とから形成し、ヨウ素を含む超ウラン元素除染を行うヨウ素及び超ウラン元素除染吸着剤を搭載して第四手段を形成し、
これらの手段を、組み合わして吸着剤除染手段を形成し、放射性汚染水をスルーさせて多種類の放射性核種を除染すること
を特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、ゼオライト粉末を上述したアルギン酸又はバインダーで球状に固めて吸着部材を形成することを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した吸着剤除染手段が、DDTC担持又は添加活性炭、又はAl含有無機炭素系材料及びオキシン担持活性炭、DTDA担持活性炭又はクペロン担持活性炭から形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤を搭載した吸着手段を含んで形成されたことを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した脱炭酸塔が附属されてC−14除染がなされることを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段が用いられ、前記吸着剤除染手段を、脱塩水もしくは濃縮塩水のラインに、又は双方のラインに設けることを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段が用いられ、該浸透膜搭載手段の上流側の放射性汚染水ラインに、第一手段を設けることを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した脱塩水ラインに、第二手段の後流側に第一手段を配列することを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明は、また、上述した濃縮塩水ラインに、第三手段及び第二手段の後流側に第一手段を配列することを特徴とする放射性核種除染方法を提供する。
本発明によれば、放射性セシウム・ストロンチウムを含めて原子炉事故の発生に伴って外部に漏洩する放射性汚染水中の多種類の放射性核種を簡便に、かつ低コストで除染することができる。また、処理に伴って発生する二次廃棄物は活性炭が主たる廃棄物となるので、焼却処理を行うことができ、処理を容易にすることができる。
本発明実施例の放射性核種除染システムの基本構成を示す図。 本実施例で採用されるSr及びBa選択吸着剤の吸着概念を示す図。 製法を示す図。 滴下ノズルの構成を示す図。 海水を使用したときの、カラムに本実施例で採用されるSr及びBa選択吸着剤を充填して得られた海水通液量と元素吸着除去率との関係を示す図。 海水にRO膜スケール防止用キレート剤が共存する場合の本実施例のSr及びBaの吸着特性に与える影響を調べた結果を示す図。 海水塩分濃度変化(海水比1〜5倍濃度)が本実施例のSr及びBaの吸着特性に与える影響を調べた結果を示す図。 淡水及び塩水対応型除染システムの吸着塔配置基本構成を示す図。 本発明実施例で採用される淡水系除染処理ライン及び塩水系除染処理ラインの詳細構成を示す図。 配置された吸着塔吸着剤によって除染される核種を示す図。 周期表において、本実施例によって除染される放射性核種の一覧を示す図。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明は、海水等のような塩水からなる放射性汚染水に含まれ、従来除染が困難であった放射性Srを除染するに有効な、後述するSr選択吸着剤が発明されたことに伴い、このSr選択吸着剤の使用と各種吸着剤の使用との併用によって多種類の放射性核種を放射性汚染水から除染することを行うものである。このような除染がSr選択吸着剤の使用によってはじめて可能になった。ここではSr選択吸着剤をSr及びBaの除去に用いるので、以下、Sr及びBa選択吸着剤と呼ぶが、吸着剤として機能は同一である。
原子炉事故に伴って原子炉格納圧力容器あるいは原子炉格納容器から外部に漏洩する放射能核種として次の多種類の放射性核種が想定され、これら放射性核種のすべてが除染されることになるかが評価の対象となる。本実施例は、これらの放射性核種を評価対象核種として除染するように構成される。
C−14,Rb−86,Sr−89,Y−90,Y−91,Nb−95,Tc−99,Ru−103,Rh−106,Ag−110m,Sn−123,Sb−124,Sb−125,Te−123m,Te−127,Te−129,Te−129m,I−129,Cs−134,Cs−136,Cs−137,Ba−140,Ce−141,Ce−144,Pr−144,Pm−146,Pm−148m,Eu−152,Eu−154,Tb−160,Pu−241,Am−241,Fe−59,Mn−54,Co−58,Co−60,Ni−63,Zn−65,Sr−90,Ru−106,Rh−103m,Cd−113m,Cd−115m,Sn−119m,Sn−126,Te−125m,Te−127m,Cs−135,Ba−137m,Pr−144m,Pm−147,Pm−148,Sm−151,Eu−155,Gd−153,Pu−238,Pu−239,Pu−240,Am−242m,Cm−242,Cm−244,ウラン,ネプツニウム
図1は、本発明の実施例である放射性核種除染システムの基本構成を示す図である。
図1において、本実施例である放射性核種除染システム100は、原子炉事故発生に伴って外部に漏洩した滞留汚染水の処理ライン1、滞留汚染水としての放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水とされた脱塩水の淡水系除染処理ライン2及び濃縮塩水とされた濃縮塩水の塩水系除染処理ライン3から形成される。
淡水系除染処理ライン2によって、〔淡水系〕海洋放出システムが構成され、塩水系除染処理ライン3によって、〔塩水系〕海洋放出システムが構成される。
図1の滞留汚染水の処理ライン1において、11は原子炉を示し、この原子炉の事故に伴って原子炉内に注水、例えば地下あるいは海水あるいかこれらの混合水12が注入されたことを想定する。大量の地下水12が原子炉11に注入され、原子炉11から多種類の放射性核種を伴って原子炉に排出されたことを想定する。なお、図1において、ROは逆浸透膜を表している。
この排出された放射性汚染水から油除去装置によって油分除去13がなされ、Cs除去装置によってCs除去14がなされ、Sr及びBa除去装置によってSr及びBa除去15がなされ、塩分除去装置によって塩分除去16がなされる。塩分が除去されることで淡水とされた放射性汚染水は処理水一時貯槽17に一時貯蔵され、一部はバッファラインからバッファ18が追加され、戻し配管19から再度原子炉11に注入される。
処理水一時貯槽17に一時貯蔵された淡水21は、淡水ライン22から淡水系除染処理ライン2に導出される。
塩分除去16された濃縮塩水は、一次濃縮塩水貯槽25に一次貯蔵され、更にエバポレータ(EVAPO)26によって蒸発濃縮される。蒸発し、冷却した水は、EVAPO処理水貯槽27に貯蔵され、脱塩塔及びRO装置28、補給水供給設備29を介してライン30を介してエバポレータ26に戻される。エバポレータは塩分除去装置として機能する。
EVAPO処理水貯槽27で貯蔵され、加熱蒸発、冷却によって淡水化された淡水は、ライン31を介してライン22に導かれ、淡水系除染処理ライン2に導出される。
エバポレータ26によって更に濃縮された濃縮塩水は、二次濃縮塩水貯槽32に貯蔵され、一時貯蔵される。この濃縮された塩水33は、塩水ライン34から一部が一次濃縮塩水貯槽25に戻され、一部がライン3から塩水系除染処理ライン3に導入される。
塩水除去16のための塩分除去装置としてRO装置が採用し得る。したがって、ここでは塩分除去(RO)として表示する。
ここでSr及びBa去するSr及びBa除去装置について説明する。
Sr及びBa選択吸着剤を搭載したSr及びBa除去装置が採用される。
図2に、このSr及びBa選択吸着剤79の吸着概念を示す。
図2において、Sr及びBa選択吸着剤79は、内側の内部充填材としてのSr及びBa吸着部材78と、この表面に形成されたCaアルギン酸膜77とから形成される。この例の場合、Caアルギン酸膜は、Sr及びBa吸着部材との混合状態で、Sr及びBa吸着部材の表面に一体的に形成されることになる。また、選択吸着に関与する物質をCaアルギン酸膜77及び内側に混合しておくことは可能である。
図3は、本発明の実施例のSrの吸着剤を作製する製法を示す図である。
図3において、Sr吸着剤製造装置200は、滴下ノズル装置201とゲル化装置202から構成される。
滴下ノズル装置201は、原料送液配管203、この配管に接続された多連(図3では6つ)の滴下ノズル204及び滴下ノズル204に接続された空気送風配管205から構成される。
原料送液配管203からは原料溶液が滴下ノズル204に送られ、空気送風配管205からは間欠送風になるように制御された空気が滴下ノズル204に送られる。
原料溶液は、Sr吸着部材とアルギン酸(Algi)が混合した溶液であり、本実施例の場合、好んでSr吸着部材としてA型ゼオライトが使用される。
図4に、滴下ノズル204の詳細を示す。
図4において、滴下ノズル204は、二重ノズル構成とされ、内側の配管211内の内側流路212を原料溶液が流過され、外側の配管213と内側の配管211とで形成される外側流路214を間欠制御された空気が流過される。外側流路214は、出口端で狭められており、流連の増した空気流が内方に向けて吹き出される。
内側流路212を流過して来た原料溶液は、出口端215から放出された時、外側流路214を流過した間欠空気の空気流によって小さな粒に切断される。切断された原料溶液の粒は、表面張力によって球状化する。図では、図3に図示した液滴206を球状化した粒液滴26として拡大して示す。
この例では、二重ノズル構成としているが、三重ノズル構成として、内側流域からゼオライトを投入し、外側流域からAlgiを投入するようにしてもよい。このようにすると、ゼオライトとAlgiを混合させずに別個に投入され、別個の構成状態になる。
図3に戻って、ゲル化装置202は、容器201とこの容器201内に貯められたゲル化溶液220から構成される。ゲル化溶液220は、本例の場合、CaClが用いられる。ゲル化溶液220の上側の表面は、多連の滴下ノズル204に対峙配置される。すなわち、液滴206は垂直方向に落下する。
このような配置構成によって、落下した液滴206は、ゲル化溶液中に受け入れられ、液滴206の表面にあるアルギン酸はCaClによってゲル化し、Caアルギン酸膜が形成される。これによって表面のみがゲル化されたゲル球状体が形成される。
図3に、生成ゲル球状体207として示す。生成ゲル球状体207は、容器201から回収される。図3に、ゲル球状体回収208として示す。
回収されたゲル球状体は粒状を呈しており、乾燥機(図示せず)によって乾燥されて、無機材料で固形化された、Srを選択透過させるCaアルギン酸膜を備えることで、Srを選択的に吸着する粒状のSr選択吸着剤となる。
には、このような形態のSr及びBa選択吸着剤79が、容器69から取り出されて、環境としての海水塩成分混入水70、例えばRO濃縮水中に置かれた場合を示す。
図2に示すように、Caアルギン酸膜77の厚さは粒径(例えば1〜2mmΦ)に比べてかなり薄い。すなわち、薄膜層とされる。
海水塩成分混入水70中には、Sr2+90Sr2+89Sr2+の放射性核種としての放射性ストロンチウムを含むストロンチウム,Ba2+140Ba2+の放射性核種としての放射性バリウムを含むバリウムが存在する。
また、一方ではCa2+,Mg2+,Na,Cl,SO 2−,HCO が存在する。これらから明瞭なように、海水塩成分混入水である濃縮された塩水33中には、Sr、Ca、Mgが共存する。
試用した海水塩成分混入水の例:
1)Sr及びBa選択吸着剤のKd値(本実施例)
試験液500mlにSr及びBa選択吸着剤2.5g添加し、2h撹拌
海水:Kd(Sr)292
淡水:Kd(Sr)>9.3e+4
2)Sr及びBa選択吸着剤のSr及びBa選択吸着部材のみからなる場合のKd値
試験液100,500mlにSr及びBa選択吸着剤1g添加し、14h撹拌
海水:Kd(Sr)645〜857,Kd(Ca)94〜135,Kd(Mg)4
.8〜7.6
淡水:Kd(Sr)6.9e+3〜1.0e+4
Sr及びBa選択吸着剤79の内部のSr及びBa吸着部材78には、Sr及びBa吸着ゾーンが形成される。このゾーンは、SrあるいはSr及びBaの吸着ゾーンでもある。Sr及びBa選択吸着剤79の外側に形成されたCaアルギン酸膜77は、Ca不透過機能を有する。この膜は、またCa、あるいはCa及びMgの不透過機能を有する。図には、Sr吸着ゾーン,Ba吸着ゾーン及びCa不透過膜として機能が表示される。Mg不透過膜としていないのは、吸着運用運転の初期でMgが吸着されることがあることによる。この初期を経て吸着運用の初期状態では、Mg不透過膜となる。したがって、この状態ではCa、Mg共不透過状態となる。
Caアルギン酸膜77は、Sr及びBaとCaが共存したときに、Sr及びBaを選択的に透過させる。海水あるいは海水塩成分混入水中にはSrの量に比べて多量のCaが共存しているが、Caアルギン酸膜77は、阻害元素としてのCaの存在下、Sr及びBaを選択的に透過させる。このCaアルギン酸膜77は、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、Sr及びBaを選択透過させる性状を有する。このことは、本発明者等によって得られた。新しい知見であることを示す。
このように、Caアルギン酸膜77は、Srに加えてBaについても選択的に透過させる。図2には、この現象をSr,Ba選択透過として表示してある。
Caアルギン酸膜77は、上述したように、Caが透過して内部のSr及びBa吸着部材78に到達することを排除する。また、Caアルギン酸膜77は、Ca更にはCaに加えてMgが内部のSr及びBa吸着部材78に到達することが排除される。この状態で、Sr及びBa吸着部材には、選択透過したSr及びBaが到達し、ここで吸着されることになる。図では、この現象をCa,Mg排除と表示している。Ca、あるいはCa及びMgが排除されたSr及びBaがSr及びBa吸着部材の吸着ゾーンに達する。Ca,Mgが排除されるということは、Ca,Mgが吸着されることがなく、海水あるいは海水塩成分混入水中に残存することであり、それら非放射性物質のCa,Mgが放射性廃棄物とはならないことを意味し、処理プロセスにおいて大きな意義がある。
海水あるいは海水塩成分混入水中に存在するNa,Cl,SO 2−,HCO は、SrあるいはBaの吸着に関与しない。
ここで、上述したように、また後述するように、Caが不透過であるという現象は、Caをまったく透過しないということを意味せず、実用的プロセスにおいて、試用開始時においてCaがCaアルギン酸膜に実質的に吸着されない状況になって透過することがなくなるという場合を含めて不透過という。本発明者等の実験によれば、Caアルギン酸膜は、実質的にCaを吸着しない。
このように、Caアルギン酸膜77を選択的に透過したSr及びBaは、Sr及びBa吸着部材78によって形成されるSr及びBa吸着ゾーンで吸着される。また、Caアルギン酸膜82を選択的に透過したBaは、Sr及びBa吸着部材78が有するBa吸着能力によって吸着される。
本実施例のSr及びBa選択吸着剤79を、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドまたはチタンテトラブトキシドに浸漬させ、Caアルギン酸膜の表面に存在するアルギン酸の水酸基と反応させて、シリカまたはチタニアで架橋することによる三次元構造体をCaアルギン酸膜の表面に形成することで、Sr及びBa吸着剤の強度を増加させることができる。これによって、Caアルギン酸膜77の表面にアルギン酸の水酸基にシリカまたはチタニアが架橋した三次元構造が形成される。
図5は、海水を使用したときの、カラムに本実施例で採用されるSr及びBa選択吸着剤を充填して得られた海水通液量と元素吸着除去率との関係を示す。本実施例で使用されたSr及びBa吸着部材はA型ゼオライトである。X型ゼオライトを使用しても同様の結果が得られる。また、他のSr及びBaの吸着部材であってもCaアルギン酸膜の作用によって同様の結果が得られる。Sr及びBa吸着部材としては各種のものが使用可能であり、多数発表されている。また、Sr及びBa吸着部材はBaを吸着することもよく知られている。
比較例は、本実施例のSr及びBa選択吸着剤のSr及びBa吸着部材のみからなって、Caアルギン酸膜を形成しないSr及びBa吸着剤を使用した場合を示す。
図5から、Caアルギン酸膜を形成したことによる膜効果は大きく2つあることが分る。
膜効果(1):本実施例によれば、Srの除去率は、海水通液が増加しても高い値を示す。また、本実施例によれば、Baの除去率は、海水通液が増加しても高い値を示す。これに対して、比較例にあっては、Ca吸着に伴い、Sr除去率が低下している。
膜効果(2):本実施例によれば、Sr及びBa選択吸着剤へのCa吸着は認められなかった。Mg吸着は運用初期においてわずかであった。本実施例にあってもMg吸着はわずかに認められ、比較例と同様であった。このわずかなMg吸着は、Sr選択吸着、Ba選択吸着に影響を与えないか、与えたとしても僅少である。また、この運用初期を経過し、運用状態に至るとMgもまた吸着されず、不透過となる。
図5から分るように、Sr及びBa吸着部材の表面に形成されたCaアルギン酸膜は、海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用されてCaを不透過とし、共存したSr及びBaを選択透過させる性状を持つという特徴がある。そして、本実施例のSr及びBa選択吸着剤は、このような性状を持つCaアルギン酸膜を備えることを特徴とする。この特徴のある状態は、Sr及びBa選択的吸着によって重要な意味を有する。
図6は、海水にRO膜スケール防止用キレート剤が共存する場合の本実施例のSr及びBaの吸着特性に与える影響を調べた結果を示す。
図6から、HEDP,EDTA共存は、本実施例のSr及びBa除去率に与える影響はないと判断される。
図7は、海水塩成分濃度変化(海水比1〜5倍濃度)が本実施例のSr及びBaの吸着特性に与える影響を調べた結果を示す。
図6から、高塩濃度でSr及びBa除去率がやや低下する傾向がみられたが、高いSr及びBa除去率を保持することができる。
従来、海水や海水塩成分を含む水溶液中において共存するCaとSr,Baとを分離することは、双方の元素が周期表で共に2A族のアルカリ土類金属に属していることから難しく、分離するためにCaを沈殿させるなどの前処理を要したが、本実施例によれば前処理などを行うことなく阻害元素としてのCaの作用を排除することができるため、容易にかつ効率的にSr及びBaを選択的に分離することが可能になった。前処理をしなくてすむために排除したCaが蓄積することになるということもない。
図1に戻って、淡水系除染処理ライン2は、淡水汚染水を一時貯蔵するFW汚染水受槽85,フェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を(主)成分として担持した活性炭あるいはTiO系Cs吸着剤を装着した吸着塔(カラム)86,アルミナAlとチタニアTiOを(主)成分として、Srを吸着する吸着剤又はFW−KAZLSを装着した吸着塔87(KAZLSについては、図2では79で示した。ここでは87で示す。),AC−Al及びCeOを(主)成分とする吸着剤を装着した吸着塔88,I/AC−タンニン/AC吸着剤を吸着した吸着塔89,DDTC/AC−アルミニウム含有炭素系吸着剤を装着した吸着塔90,DDTC+オキシン+DTPA+クペロン/AC吸着剤を装着した吸着塔91及びAC−Al吸着剤を装着した吸着剤塔92からなり、更に処理水タンク93,放出用貯槽94及び放出95が附属されて構成される。
図1にはこれらは、表示した配列順序で吸着剤配置の吸着塔が配列されることを示している。以下の説明では吸着塔を省略して吸着剤に番語を付して説明するときがある。各吸着塔は一つつでもよいが二つずつ配列され、処理上の安全性を確保するものとされてよい。アルミナAlとチタニアTiOを(主)成分としたSr吸着剤又はFW−KAZLSを装着した吸着塔87の上流側にフェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を(主)成分としたCs吸着剤を装着した吸着塔86が配置される。このフェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を(主)成分としたCs吸着剤を装着した吸着塔86の上流側にAC−Al吸着剤が設けられるのが望ましい。淡水FW除染処理水受槽93は、バックアップ系である予備ラインにも接続される。各吸着手段に用いる吸着塔は、同一構成とされ、並列もしくは直列構成とし連続処理を可能にするために弁の切換え操作が行われる。直列構成とする場合には、吸着塔の上方及び下方に設ける弁の切換えによって一方の吸着塔を上流側とし、他方の吸着塔を下流側として用いる。上流側の吸着塔からの出口濃度が所定値を超えたらバルブの切換えを行って、上流側、下流側の切換えを行う。このような切換えによれば、下流側の吸着塔がバックアップとなるため、出口濃度の所定値を並列構成時よりも高くすることができ、吸着剤の利用率を並列構成時よりも高くできる。
他方、濃縮塩水系除染処理ライン3は、濃縮塩水(SW汚染水)を貯蔵するSW汚染受槽96,AC−Al吸着剤を装着した吸着塔88,フェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を(主)して担持した活性炭あるいはTiO系Cs吸着剤を装着した吸着塔86,SW−KAZLSを装着した吸着塔87,AC−Al及びCeOを(主)成分とする吸着剤を装着した吸着塔88,I/AC−タンニン/AC吸着剤を装着した吸着塔89,還元鉄/AC−アルミニウム含有炭素系吸着剤を装着した吸着塔90,DDTC+オキシン+DTPA+クペロン/AC吸着剤を装着した吸着塔91及びAC−Alを装着した吸着塔92からなる吸着剤塔,塩水SW除染処理水受槽97,放出用貯槽98及び放出99から構成される。図1にはこれらは、表示した配列順序で配列されている。
図8に、淡水系除染処理ラインによる淡水系海洋放出システム及び塩水系除染処理ラインに共通に採用可能とした処理ラインが示される。また、この処理ラインには、脱炭酸塔及びC−14吸収塔が付加される。
図8に示す処理ラインでは、塩水系除染処理ラインに酷似するが、87で示されるKAZLSを装着した吸着塔として87FW−KAZLS及び87FW−KAZLSが並置される。
汚染水受槽96における塩分濃度ECが測定され、塩分濃度ECが所定値(例えば0.25S/m)以下である場合には、弁切換えによって87FW−KAZLSが使用され、所定値以下である場合には、87SW−KAZLSが使用される。
また、図に示すように、I/AC−タンニン/AC吸着剤を装着する吸着塔89と還元鉄(rFe)/AC−アルミニウム含有炭素系吸着剤を装着する吸着塔90との間に脱炭酸塔101を挿入している。その上流側で炭素系の脱炭剤としてScavenger(CO 2−)が添付される。これにpH調整剤としてHSOが注入され、下方からAirが注入される。
生成された気体は、C−14吸収塔102に導出され、Ca(OH)溶液の作用によってC−14の除去がなされる。
図9は、常用ライン及び非常用の予備ラインから構成された処理ラインを示す。常用ライン及び非常用の予備ラインの各処理ラインの配置構成は、図8に示す処理ラインと同等であって、2つの吸着塔を並置して構成としている。
図9に示す一連の処理システムは、トレーラーに車載し、トレーラー車載型モバイル多核種除染システムとして、放射性汚染水が溜まっている場所に移動され得る。
以上の構成において、本実施例の放射性核種除染システムには、次のような手段を有して構成される。塩水SW除染処理水受槽87は、バックアップ系である予備ラインに接続される。
Caアルギン酸膜が、水溶液中で使用されるとき、共存するCa、またはCa及びMgを不透過とし、Sr及びBaを選択透過させる性状を有し、該Caアルギン酸膜の無機材料で固形化された吸着部材の表面層形成され、該吸着部材が、Ca、またはCa及びMgの不透過状態で、選択透過したSr及びBaを吸着するSr及びBa選択吸着剤が搭載された第一手段、
フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持活性炭あるいはTiO系無機材料から形成され、Cs吸着剤が搭載された第二手段、
活性炭と活性アルミナとから形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤が搭載された第三手段、
ヨウ素担持活性炭とキレート剤担持又は添加活性炭、例えばタンニン担持活性炭又はDDTC担持又は添加活性炭とから形成し、ヨウ素を含む超ウラン元素除染を行うヨウ素及び超ウラン元素除染吸着剤が搭載された第四手段、
とが組み合わされて形成された吸着剤除染手段80に、放射性汚染水がスルーされて多種類の放射性核種が除染される。
吸着剤除染手段80が、DDTC担持活性炭、又はAl含有無機炭素系材料、及びオキシン担持活性炭又はDTPA担持活性炭から形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤が搭載された第五手段を含む。
吸着剤除染手段80が、クペロン担持活性炭から形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤が搭載された第六手段を含む。
放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段を備え、前記吸着剤除染手段が、脱塩水もしくは濃縮塩水のラインに、又は双方のラインに設けられる。
放射性汚染水から塩分を分離することで脱塩水及び濃縮塩水を生成する逆浸透膜搭載手段を備え、この浸透膜搭載手段の上流側の放射性汚染水ラインに、第一手段が設けられる。
本実施例は、放射性汚染水に含まれた多種類の放射性核種、例えば62種類もの放射性核種を放射性核種に対応して機能別に吸着することで吸着塔数を減らして、徹底した除染を可能にしたことを特徴としている。
上述したように、第一手段では、放射性Sr及びBa選択吸着剤によってSr及びBaを除去して、Sr及びBa吸着塔とし、
第二手段では、放射性Csを除去して、Cs吸着塔とし、
第三手段では、多核種(多元素)除去し、多元素吸着塔とし、
第四手段では、ヨウ素を含む超ウラン元素を除去して、超ウラン元素吸着塔とすることを行っている。第四手段Aをヨウ素除去手段、第四手段Bをその他の超ウラン元素吸着手段とすることができる。
そして、評価除染核種にC−14が含まれる場合には、第七手段を採用して、C−14の除去を行うものとしている。第一手段及び第七手段は、機能的に一緒にした手段とすることができる。
これらの第一段から第四段、あるいはこれらに第七段を備えて放射性核種除染システム及び放射性核種除染方法が構成される。
これらの放射性核種除染システム及び放射性核種除染方法には上記手段へのスルーによっても残留した放射性核種の除染のために第五手段及び第六手段が付加される。
第五手段及び第六手段によって多核種除去を行う。アルミニウム含有炭素系材料によれば、多元素の中で、Sb,Se,Te,Tcを除去するのに有効に除去される。
なお、塩水系除染システムでは、システムの初段にAC−Al吸着塔を置いて、予め多元素を除去し、除染率を下げることを行っている。また最終的に最終処理としてAC−Al吸着塔を設けておくことができる。
後述するように、除染剤であるSW−KAZLSによれば、塩水中におけるSr,Baに加えてYが除去される。また、フェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を(主)成分としたCsの吸着剤によって塩水中の放射性Csに加えてRbが除去される。ここで、フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持TiO系無機材料によるCs吸着剤、アルミナAlとチタニアTiO系を(主)成分とするSr吸着剤、アルミニウム含有炭素系の吸着剤は一般に販売されている吸着剤である。
DDTCは、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムで分子式C10NSNaで表示され、一般的な試薬として、多くのメーカーで製造販売されている。
ACは、活性炭を意味する。
脱塩水の淡水系除染処理ラインには、第二手段の後流側に第一手段が配列され、第二手段、第一手段、第三手段、第四手段、第五手段、第六手段、第七手段の配列とされる。
淡水系除染処理ライン2には、第一手段のSr及びBa吸着剤に代えて、アルミナAlとチタニウムTiOを(主)成分とするSr吸着剤からなる除染剤を用いることができる。アルミナAlとチタニアTiOを(主)成分としてSrを吸着する吸着剤はAl+TiO系無機材料から構成された除染剤であり、淡水系除染処理ライン2の導入前に第一段のSr及びBa吸着剤の使用によってSr及びBaが除染された淡水に用いられ、淡水中にSr及びBaが残留したときの除染のために使用される。
濃縮塩水の塩水系除染処理ラインには、第三手段及び第二手段の後流側に第一手段が配列され、第五手段、第二手段、第一手段、第三手段、第四手段、第六手段、第七手段の配列とされる。
第一手段から第七手段の内に、吸着手段が二つ含まれている場合に、二つの吸着手段がこれらの組み合わせで必ず用いられなければならないことを意味しない。この吸着剤が1つのカラム内に別置あるいは混合されて配置されることが望ましいことを示すにすぎない。
例えば、第四手段は、I/AC担持活性炭とTan/AC担当活性炭を搭載した吸着剤から構成されているが、これらは、第四手段の(A)がI/AC担持活性炭吸着剤であり、第四手段の(B)がタンニン(Tan)/AC担持活性炭吸着剤ということである。
図1及び図8、図9において、吸着補助のために薬剤の投入が可能である。これらの図において、Scavenger(Scav,難除去イオン多元素)及びDDTC溶液が汚染水に添加される。
各吸着手段が組み合わされて吸着剤除染手段80が構成される。この吸着剤除染手段80に、放射性汚染水が一方向通過、すなわちスルーされる。ここでは一回でのスルーをワンスルーと称する。
このようにしてワンスルーの吸着除染方法が形成される。放射性汚染水は図1に示すように3つのシステムに存在し、それぞれスルー処理されることになる。
図10に各手段が除染することのできる除染対象核種を示す。除染対象核種と共に共除染核種が除去される。除染対象核種とは主たる除染対象核種であり、共除染核種とは、除染対象核種を除去する時に補助的に除去される核種である。
除染システム、方法構成の除染剤を示すと表1及び表2に示すようになる。
Figure 0005880851
ここで、多元素:Ag,Cd,Eu,Mn,Co,Y,Ru,Ce,Te,Ni,Zn,Rh,Nd,Sn,Sb,Tc,Pr,Sm,Gd,V+TRU(U,Np,Pu,Am,Cm)の全てかその一部である。
Figure 0005880851
吸着剤除染手段80は、多種類の放射性核種の除染に際して、第一手段から第四手段までの各手段を備えることが必要である。この内、第四手段が脱炭酸塔から形成されるC−14除染機能を有することが必要かどうかは、上述したように、評価対象核種によって定めることができる。処理ラインに導入される放射性汚染水にC−14が包まれていない時、このラインにC−14除染機能を搭載した処理手段を設けることを要しない。しかし、汚染水にC−14が含まれる場合は、このラインにC−14除染機能を搭載した処理手段を設けることを要する。原子炉事故のような場合にあっては、滞留水となる放射性汚染水にはC−14が含まれるので、全体ラインのいずれかのラインにはC−14除染機能を搭載した処理手段を設ける。
第五手段から第七手段のクペロン担持活性炭による吸着手段の各手段は、前述した第一手段から第四手段までの除染処理を徹底し、確実に除染するために設けられたガード処理手段である。
これらのガード処理手段には、DDTCを担持した活性炭、オキシンを担持した活性炭及びクペロンを担持した活性炭から形成される吸着剤が用いられる。これらの担持活性炭の使用によって残留した多核種除染がなされ、処理水は法律に定められた放射能濃度以下とすることができる。
各手段における除染処理機能を高めるためにキレート剤を適宜投入するのがよい。
活性炭に担持して重金属イオンや放射性物質を吸着できるキレート剤としては、非常に多くの種類のものがあり、典型的な例としてOxine,DTPA,クペロン,タンニン酸,DDTCがある。除染に使うには、キレート剤を活性炭に担持する方法、あるいはDDTCのように溶液で投入し、放射性汚染水に添加して放射性物質をキレート化してから活性炭に吸着する方法がある。他のキレート剤としては、NTA(Nitilotriacetic acid),PAN(Pyridylozo naphthol),AA(Acetyl acetone),TOPO(Tri−octylphoshine),HFA(Hexafluoro pentanedione),Nitro−naphtol等がある。
図1,図8,図9において、各吸着塔では、吸着塔出口で線量が測定され、吸着塔並列配置の場合、上流側吸着塔、下流側吸着塔の切換えがなされる。線量測定は、γ線測定を行うことで容易に行うことができる。測定結果は電子化され、吸着剤変換時期がコンピュータコントロールによって適切に判断される。このように、処理水についてのチェックがなされ、残留放射能が予定の数値に達していないと判断された場合には、処理水はバックアップ系へと導水される。バックアップ系は、上述した処理ラインと同一構成の処理ラインとして構成され、並置される。
第一手段から第四手段までの各手段は、任意の組み合わせ順序で配列され得、運転中にも配列を変更することができるように構成されてよい。図1において、第一手段のSr及びBa選択吸着剤は無機系材料で形成され、他の手段は活性炭である多孔質炭素材料から形成されているので、上流側に多孔質炭素材料を放置し、その部位で対象核種を可能な限り除去する配列のシステム構成するのがよい。
活性炭は焼却すれば減容することができるので、濃度が高い核種については上流側で活性炭で処理し、下流下で無機系材料で処理することで飽和に到達したら交換・減容処理することでトータルとして二次廃棄物を減らすのがよい。ただ、最終段には予備としてのAC−Al吸着塔を設けておくのがよい。
図1においては、Sr及びBa選択吸着剤を搭載した第一手段の上流側に、第二手段及び第三手段及び第二手段を設置している。すなわち、脱塩水の淡水系除染処理ライン2には、第二手段、第一手段、第三手段、第四手段が、この順序で配列されている。また、濃縮塩水の塩水系除染処理ライン3には、第一手段の前の手段を増やして、第三手段、第二手段、第一手段、第四手段の配置としている。図8、図9には、各手段の配列を示した。
これによって、上述したように、上流側に多孔質炭素材料を設置し、その部位で対象核種を可能な限り除去し、多孔質炭素材料の寿命が短くなるに伴って、汚染物濃度が高く、吸着飽和に到着する処理を行い、多孔質炭素材料の廃棄物量を大きくして焼却溶容し、下流側の無機系材料の廃棄物量を減らすことを行う。
図11は、周期表において、本実施例の放射性核種除染システム100による放射性核種除染方法によって実線枠で除染可能核種(元素)及びハッチング枠で試験確認核種(元素)を示す。その他の対象外元素を細線枠で示す。よって、本実施例の方法によれば5ページに示したすべての評価対象核種を除染し得る。
1…滞留汚染水処理ライン、2…淡水系除染処理ライン、3…塩水系除染処理ライン、11…原子炉、21…淡水、22…淡水ライン、33…塩水、34…塩水ライン。

Claims (9)

  1. 多種類の放射性核種を含む放射性汚染水からこれらの放射性核種を除去する放射性核種除染システムにおいて、
    Caアルギン酸膜が、共存するCa、またはCa及びMgについて不透過で、Sr及びBaを選択透過させる性状を有し、Ca、またはCa及びMgについて不透過で、Sr及びBaを吸着可能にした吸着剤が、無機材料が固形化された吸着部材及び該吸着部材の表面に形成された前記Caアルギン酸膜からなり、該吸着剤が搭載された第一手段、
    フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持活性炭あるいはTiO系無機材料から形成され、Cs吸着剤が搭載された第二手段、
    活性炭または活性アルミナあるいはそれらの混合物とから形成された多核種除染吸着剤が搭載された第三手段、
    ヨウ素担持活性炭とキレート剤担持又は添加活性炭とから形成され、ヨウ素を含む超ウラン元素除染を行うヨウ素及び超ウラン元素除染吸着剤が搭載された第四手段、
    とが組み合わされて形成された吸着剤除染手段を備えたこと
    を特徴とする放射性核種除染システム。
  2. 請求項1において、ゼオライト粉末がアルギン酸又はバインダーで球状に固められて吸着部材とされたことを特徴とする放射性核種除染システム。
  3. 請求項1において、前記吸着剤除染手段が、DDTC担持又は添加活性炭、又はAl含有無機炭素系材料、及びオキシン担持活性炭、DTPA担持活性炭又はクペロン担持活性炭から形成され、多核種除染吸着剤が搭載された吸着手段を含むことを特徴とする放射性核種除染システム。
  4. 請求項1において、C−14除染を行う脱炭酸塔が付属されたことを含むことを特徴とする放射性核種除染システム。
  5. 請求項1から3のいずれかにおいて、放射性汚染水から塩分を分離する脱塩水及び濃縮塩水を生成する手段を備え、前記吸着剤除染手段が、脱塩水もしくは濃縮塩水のラインに、又は双方のラインに設けられることを特徴とする放射性核種除染システム。
  6. 請求項1から3のいずれかにおいて、放射性汚染水から塩分を分離する脱塩水及び濃縮塩水を生成する手段を備え、該手段の上流側の放射性汚染水ラインに、第一手段が設けられることを特徴とする放射性核種除染システム。
  7. 請求項5において、脱塩水の淡水系ラインには、第二手段の後流側に第一手段が配列されることを特徴とする放射性核種除染システム。
  8. 請求項5又は7において、濃縮塩水の塩水系ラインには、第三手段及び第二手段の後流側に第一手段が配列されることを特徴とする放射性核種除染システム。
  9. 多種類の放射性核種を含む放射性汚染水からこれらの放射性核種を除去することで除染する放射性核種除染システムによる放射性核種除染方法において、
    Caアルギン酸膜が、水溶液中で使用されるとき、共存するCaまたはCa及びMgを不透過とし、Sr及びBaを選択透過させる性状を有して、Ca、またはCa及びMgについて不透過で、Sr及びBaを吸着可能にした吸着剤が、無機材料が固形化された吸着部材及び該吸着部材の表面に形成された前記Caアルギン酸膜からなり、該吸着剤を搭載し、
    フェロシアン化Co又はフェロシアン化Fe担持活性炭あるいはTiO系無機材料Cs吸着剤を搭載し、
    活性炭とまたは活性アルミナあるいはそれらの混合物とから形成され、多核種除染を行う多核種除染吸着剤を搭載し、
    ヨウ素担持活性炭とキレート剤担持又は添加活性炭とから形成し、ヨウ素を含む超ウラン元素除染を行うヨウ素及び超ウラン元素除染吸着剤を搭載することで、吸着剤除染手段を形成し、放射性汚染水をスルーさせて多種類の放射性核種を除染すること
    を特徴とする放射性核種除染方法。
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