JP6180838B2 - 土壌除染方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性セシウムを含有した土壌の除染方法及び装置に関する。
例えば、原子力発電所において大規模な事故が発生した場合、大量の放射性核種が飛散し、土壌、樹木、建築物、建造物、海洋及び湖沼水等の環境汚染を引き起こすことが懸念される。そのため、放射性核種を含有した土壌、建築物、建造物、汚泥や焼却灰の処理方法の開発が急務となっている。
放射性核種で汚染された土壌や汚泥に含有される放射性核種の大部分はセシウム134やセシウム137であり、特にセシウム137は半減期が30.2年と長く、長期に影響を及ぼすことが想定される。そのため、汚染土壌や汚泥からのセシウムの除去が望まれる。このような放射性の汚染物質の除去に関しては、いくつかの提案がなされている。
例えば、放射性物質を含む汚染物質とカチオン、アニオン等の化学種を混合させた後、陽極及び陰極間に電位勾配を生ぜしめ、これらカチオンあるいはアニオンをそれぞれ陰極及び陽極へ移動させながら、その間に上記放射性物質と親和性のあるマトリックス材料を配置して吸着させるとともに、これらの系のpHを所定の値以下とすることによって汚染物質を沈殿させ、上記放射性物質を除去することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、汚染土壌の表層に少なくとも一組の電極を所定の間隔で埋設し、これら電極間に通電することにより電極で汚染物質を集積するとともに、汚染土壌中に有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に上記汚染物質を吸収させて除去する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらの方法は、電極の設置や通電が必要であり、オンサイトでの処理が難しいという問題がある。また、植物栽培の工程を含む方法では、処理に長時間を要するという問題もある。
さらに、環境対応型合成無機イオン吸着材、無機ヒ素吸着材を用いる方法も提案されているが、この方法は、海洋や河川、湖沼、地下水等の陸水、及び農薬、合金や半導体等の製造排水の分離・除去に有用であるが、土壌や汚泥では、吸着に使用した吸着材の除去が出来ないという課題がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、汚染された水及び土壌から地衣類とその代謝生成物及び合成代謝生成物とを用いて放射性核種を除去する方法も提案されているが、対象核種がウラン、プルトニウムであり、セシウムの除去には適していない。(例えば、特許文献4参照。)。さらに、地層又は海底層に存在する可溶性重金属汚染物質に対処する方法も提案されているが、安定化することにより重金属汚染物質が地下水によって再び流動化させられるのを防ぐものであり、セシウムを除去するものではない(例えば、特許文献5参照。)。
さらに、汚染された土壌を有機酸の溶液に浸漬してセシウムを当該溶液中に溶離させた後、吸着材を用いてセシウムを回収する方法が提案されているが、土質の異なる土壌では溶離性能が異なるため十分な除染ができないことが懸念される。
特許第4128620号 特開2007−289897号 特許第3557461号 特開2002−107489号 特開平6−39055号
本発明は、上記した課題を解消するためになされたものであって、放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することのできる土壌除染方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明による土壌除染方法の一態様は、放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染方法であって、前記土壌と水酸化カリウムを含む第1の溶離液とを接触させ、前記土壌中のセシウムを前記第1の溶離液中に溶離させる第1の溶離工程と、前記土壌とシュウ酸を含む第2の溶離液とを接触させ、前記土壌中のセシウムを前記第2の溶離液中に溶離させる第2の溶離工程とを有し、前記第1の溶離工程及び前記第2の溶離工程をそれぞれ交互に複数回行うことを特徴とする。
本発明による土壌除染装置の一態様は、放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染装置であって、前記土壌を収容する処理槽と、前記処理槽に水酸化カリウムを含む第1の溶離液を供給して前記土壌中のセシウムを前記第1の溶離液中に溶離させる第1の溶離液供給手段と、前記処理槽にシュウ酸を含む第2の溶離液を供給して前記土壌中のセシウムを前記第2の溶離液中に溶離させる第2の溶離液供給手段と、前記処理槽内の前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液の温度をそれぞれ60℃以上100℃以下とする加熱装置とを有することを特徴とする。
本発明によれば、放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することができる。
実施形態の土壌除染装置を概略的に示す図である。 水酸化カリウムとシュウ酸を用いた溶離での溶離率を示すグラフである。 水酸化カリウム水溶液の温度と溶離率の関係を示すグラフである。 水酸化カリウム水溶液の濃度と溶離率の関係を示すグラフである。 水酸化カリウムとシュウ酸を用いた場合の土質区分と溶離率の関係を示すグラフである。 シュウ酸を用いた場合の溶離率と土質区分との関係を示すグラフである。 塩酸と水酸化ナトリウムを用いた溶離での溶離率を示すグラフである。
図1は、本実施形態における放射性セシウムを含有する土壌を除染するために使用する土壌除染装置の概略構成を示す図である。
図1に示す土壌除染装置1は土壌Sを収容する処理槽2を有している。また、土壌除染装置1は、処理槽2に供給ライン3によって接続された水酸化カリウム水溶液槽4と、処理槽2に供給ライン5によって接続された洗浄液槽6と、処理槽2に供給ライン7によって接続されたシュウ酸水溶液槽8とを有している。供給ライン3,5,7にはそれぞれ、移送ポンプ9,10,11が介挿されている。
土壌除染装置1において、水酸化カリウム水溶液槽4と移送ポンプ9と供給ライン3とが第1の溶離液供給手段を構成し、シュウ酸水溶液槽8と移送ポンプ11と供給ライン7とが第2の溶離液供給手段を構成している。また、洗浄液槽6と移送ポンプ10と供給ライン5とが洗浄手段を構成している。
さらに、土壌除染装置1は、吸着塔12を有しており、吸引ライン13によって処理槽2と吸着塔12の入水口12Aとが接続されている。また、吸着塔12の出水口12Bには、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液Wを、処理槽2と吸着塔12との間で循環させる循環ライン14が開閉バルブ15を介して接続されており、循環ライン14には、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液Wをそれぞれ水酸化カリウム水溶液槽4、シュウ酸水溶液槽8、洗浄液槽6に送るように開閉バルブ16,18,17が介挿されている。土壌除染装置1において、循環ライン14と、開閉バルブ15〜18とが循環手段を構成している。
また、循環ライン14には、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液Wを排出する排出ライン20が開閉バルブ19を介して接続されている。
吸引ライン13には、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液Wを移送する移送ポンプ21が介挿されている。また、処理槽2内の液面より下に位置する吸引ライン13の取水口には、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液W中の固形分を除去するためのフィルタ22が備えられている。
処理槽2には、処理槽2内の第1の溶離液L1及び第2の溶離液L2を所定の温度に加熱するために、ヒータ等の加熱装置23が設けられている。また、処理槽2には、攪拌子等の撹拌装置が設置されていることが好ましい。なお、攪拌子に代えて、あるいはこれに加えて超音波印加装置を配設することもできる。
土壌除染装置1を構成する処理槽2、供給ライン3,5,7、吸引ライン13、循環ライン14、排出ライン20は、耐食性の高い材料から構成する。このような材料として、耐食性に富むステンレス鋼等が好ましい。
また、処理槽2の容量は、処理すべき土壌Sの量に応じて適宜決定する。
フィルタ22は、土壌Sを通過させないものであれば特に限定されない。例えばポリエチレン、ポリスルホン及びポリプロピレン等を材料とする中空糸膜からなるフィルタを用いることができる。
吸着塔12には、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液W中のセシウムを吸着する吸着材が収容されている。
吸着材は、セシウムに対して高い吸着性能を有するものであれば特に限定されず、例えば、フェロシアン化物、ケイチタン酸及びゼオライトを使用することができる。
フェロシアン化物としては、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化銅などを挙げることができる。また、ゼオライトは、モルデナイト型ゼオライト、チャバサイト型ゼオライト、クリノプチロライト型ゼオライト、A型ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライトなどを挙げることができる。さらに、ケイチタン酸は、ケイチタン酸バリウム、ケイチタン酸ストロンチウムなどの塩であってもよい。
また、吸着材の量は、吸着材の種類、第1の溶離液L1及び第2の溶離液L2中のセシウム濃度に応じて適宜決定する。
次に、図1に示す土壌除染装置1を用いた土壌除染方法について説明する。
本実施形態の土壌除染方法は、土壌Sに対し、第1の溶離液L1として水酸化カリウム水溶液を用いる第1の溶離工程を行い、次いで、必要に応じて洗浄液Wを用いる洗浄工程を行い、次いで、第2の溶離液L2としてシュウ酸水溶液を用いる第2の溶離工程を行う。
土壌Sは、放射性セシウムを含む土壌であり、汚泥、砂等を含んでいてもよい。
また、一般的に、土壌はこれ自体が粒子の集合体であって、粒子自体はμmのオーダからmmのオーダ程度であるので、第1の溶離液L1及び第2の溶離液L2との接触面積を大きくすることができ、以下に説明する土壌Sからのセシウムの溶離を効率的かつ効果的に行うことができる。
土壌Sは、Si、Al、Fe、Ca、Na、K、Mg及び残部からなる。これらの元素は酸化物や所定の塩として土壌S中に存在するのが通常であり、上記残部には、動植物が作り出した有機物等が含まれる。
土壌Sは、上記した元素の酸化物で構成される積層構造を有しており、セシウムの多くはこの積層構造の中に取り込まれた形で存在している。土壌Sを水酸化カリウム水溶液又はシュウ酸水溶液に浸漬することで、積層構造の一部が壊され、内部のセシウムが水溶液中に溶離する。
土質の異なる土壌Sでは、土壌Sを構成する成分の種類や構成、土壌Sの構造等が異なる場合があり、用いる溶離液によってはセシウムの溶離率が異なる場合がある。本実施形態の土壌除染方法では、第1の溶離工程で土壌Sの構造の一部を壊し、内部のセシウムを除去した後、第2の溶離工程において第1の溶離工程で破壊されなかった土壌Sの残部の構造を部分的に壊し、この内部のセシウムを除去する。そのため、土質によらず、種々の土壌Sについていずれも効率的に除染することができる。
なお、図1において、土壌Sと第1の溶離液L1とは分離して記載しているが、実際には、上述した攪拌混合の操作及び土壌Sの態様(形態及び大きさ等)が相伴って、土壌Sは、第1の溶離液L1に分散するようになる。ここでは本実施形態の説明の便宜のために、土壌Sと第1の溶離液L1とを分離して記載している。第2の溶離液L2及び洗浄液Wについても同様である。
第1の溶離工程では、処理槽2に放射性セシウムを含む土壌Sを収容し、水酸化カリウム水溶液槽4から移送ポンプ9により第1の溶離液L1として水酸化カリウム水溶液を処理槽2に供給し、加熱装置23で第1の溶離液L1を加熱する。また、必要に応じて第1の溶離液L1を撹拌する。これにより、土壌Sに含まれるセシウムが第1の溶離液L1に溶離するようになる。
水酸化カリウム水溶液の濃度は、土壌Sの種類に応じて適宜設定する。水酸化カリウム水溶液の濃度は、例えば、0.05mol/L以上1.0mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上1.0mol/L以下であることがより好ましい。
第1の溶離工程では、第1の溶離液L1を好ましくは60℃以上100℃以下、より好ましくは95℃以上100℃以下に加熱する。特に好ましくは95℃程度に加熱する。これにより、溶離率を向上させ、セシウムの溶離を効率的に行うことができる。
次いで、セシウムを含む第1の溶離液L1を、移送ポンプ21により吸着塔12に供給する。このとき、第1の溶離液L1がフィルタ22を通過することで、第1の溶離液L1中の固形分が除去される。
吸着塔12内で、第1の溶離液L1が吸着材と接触することで第1の溶離液L1中のセシウムが除去される。セシウムの除去された第1の溶離液L1は、排出ライン20を通じて系外に排出する。
本実施形態では、第1の溶離工程に次いで、必要に応じて洗浄工程を行う。
洗浄工程では、洗浄液Wを洗浄液槽6から移送ポンプ10で処理槽2に供給し、必要に応じて撹拌する。洗浄液Wを撹拌すると同時に、又はこれに代えて、洗浄液Wを処理槽2に連続的に通液してもよい。また、必要に応じて洗浄液Wを加熱装置23で加熱してもよい。これにより土壌S中の水酸化カリウムを洗浄液W中に効率的に溶解させて低減することができる。洗浄液Wとしては、一般的には水を使用する。
所定の時間後、処理槽2内の洗浄液Wを移送ポンプ21により吸着塔12に供給する。このとき、洗浄液Wがフィルタ22を通過することで、洗浄液W中の固形分が除去される。
吸着塔12内で、洗浄液Wが吸着材と接触することで、洗浄液W中のセシウムが除去される。セシウムの除去された洗浄液Wは、排出ライン20から排出する。
このように、洗浄工程で土壌S中の水酸化カリウムを洗浄液に溶解させて除去することで、処理槽2内や土壌S中に残留する水酸化カリウムを低減することができる。そのため、第2の溶離工程で、この残留する水酸化カリウムと反応する分シュウ酸の使用量が増加することを抑制することができる。また、土壌S中に残留するシュウ酸カリウムを低減することができる。
本実施形態では、洗浄工程に続いて、第2の溶離工程を行う。第2の溶離工程では、シュウ酸水溶液槽8から移送ポンプ11により第2の溶離液L2としてシュウ酸水溶液を処理槽2内に供給し、加熱装置23で第2の溶離液L2を加熱する。また、必要に応じて第2の溶離液L2を撹拌する。これにより、第1の溶離工程で土壌S中に残存するセシウムが第2の溶離液L2中に溶離するようになる。
シュウ酸水溶液の濃度は、土壌Sの種類に応じて適宜設定する。シュウ酸水溶液の濃度は土壌S中の鉄を溶解させる濃度であることが好ましい。このような濃度としては、0.05mol/L以上1.0mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上1.0mol/L以下であることがより好ましい。
第2の溶離工程では、第2の溶離液L2を好ましくは60℃以上100℃以下、より好ましくは95℃以上100℃以下に加熱する。特に好ましくは95℃程度に加熱する。これにより、溶離率を向上させ、セシウムの溶離を効率的に行うことができる。
次いで、処理槽2内の第2の溶離液L2を、移送ポンプ21により吸着塔12に供給する。このとき、第2の溶離液L2がフィルタ22を通過することで、第2の溶離液L2中の固形分が除去される。
吸着塔12内で、第2の溶離液L2が吸着材と接触することで第2の溶離液L2中のセシウムが除去される。セシウムの除去された第2の溶離液L2は、排出ライン20を通じて系外に排出する。
なお、本実施形態では、上記した第1の溶離工程と第2の溶離工程をそれぞれ2回以上交互に繰り返すことが好ましい。これにより、溶離率を向上させることができる。
また、この場合、第2の溶離工程後に上記と同様に洗浄工程を行うことが好ましい。これにより、処理槽2内の土壌S中に残留するシュウ酸を低減することで、第1の溶離工程における水酸化カリウムの必要量や生成するシュウ酸カリウムの量を低減することができる。
本実施形態では、吸着塔12を通過した第1の溶離液L1及び第2の溶離液L2は、系外に排出して廃棄する。そのため、第1の溶離液L1と第2の溶離液L2のそれぞれの総使用量は、第1の溶離液L1中の水酸化カリウムの1molに対し第2の溶離液L2中のシュウ酸が0.5molの割合となる量であることが好ましい。これにより、水酸化カリウム水溶液とシュウ酸水溶液の混合液である廃液は中性になり、廃棄費用を低減することが可能となる。
また、吸着塔12を通過した第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液Wは、系外に排出せずに循環使用することもできる。具体的には、各工程において、第1の溶離液L1は、吸着塔12から循環ライン14を通じて水酸化カリウム水溶液槽4へ供給し、第2の溶離液L2は、吸着塔12から循環ライン14を通じてシュウ酸水溶液槽8へ供給し、それぞれ再度処理槽2へ供給することで循環使用することができる。洗浄液Wもまた同様に、吸着塔12から循環ライン14を通じて洗浄液槽6へ供給し、再度処理槽2へ供給することで循環使用することができる。
この場合、第1の溶離液L1、第2の溶離液L2及び洗浄液W中のセシウム濃度を常時低く保つことができるので、セシウムの溶離を迅速かつ効率的に行うことができ、短時間で高い溶離率を得ることができる。
このように、本実施形態によれば、土質が異なる場合でも、放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することができる。
(実施例1)
本実施例では、第1の溶離工程に次いで第2の溶離工程を行ったときの溶離率を調べた。
具体的には、土質区分が砂質埴壌土である土壌5gを、第1の溶離液である0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液の250ml(液固比(溶離液体積[ml]/土壌質量[g])50ml/g)に浸漬し、撹拌しながら加温した。
第1の溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行った。その後、第1の溶離液を排出した。次いで、残留した土壌を、液固比50ml/gで第2の溶離液である0.5mol/Lシュウ酸水溶液に浸漬し、撹拌しながら第2の溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行った。
溶離前の土壌の放射能と、各溶離後の土壌の放射能とをそれぞれ測定し、下記のように溶離率を算出した。
溶離率[%]=(1−溶離後の土壌中の放射能[Bq]÷溶離前の土壌中の放射能[Bq])×100
結果を、溶離率を縦軸として、図2のグラフに示す。
図2より第1の溶離工程に次いで、第2の溶離工程を行った後の溶離率は、80%以上が得られることが判明した。さらに、水酸化カリウムとシュウ酸での反応生成物がシュウ酸カリウムであり、本実施例の方法は、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を用いた方法より農地への影響が小さく、除染に適していることが判明した。
(実施例2)
本実施例では、水酸化カリウム水溶液の温度と溶離率の関係を調べた。
具体的には、放射性セシウムを含む土壌を、第1の溶離液である0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液に液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温しつつ、溶離率を測定した。
溶離液の温度と溶離率の関係を、溶離率を縦軸、溶離液の温度を横軸として、図3のグラフに示す。
図3より、第1の溶離液の温度が60℃以上で溶離率10%以上が得られ、95℃以上で溶離率65%以上が得られることが判明した。このため、第1の溶離液の温度は60℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましいことが分かる。
(実施例3)
本実施例では、水酸化カリウム水溶液の濃度と溶離率の関係を調べた。
具体的には、液固比50ml/gで、濃度の異なる水酸化カリウム水溶液(第1の溶離液)に土壌を浸漬した。それぞれ、第1の溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行い、溶離率を測定した。
水酸化カリウム水溶液の濃度と溶離率の関係を、溶離率を縦軸、水酸化カリウムの濃度を横軸として、図4のグラフに示す。これらから、水酸化カリウム水溶液の濃度が0.05mol/L以上で溶離率10%以上、0.5mol/L以上で溶離率65%以上を得られることが判明した。このため、水酸化カリウム水溶液の濃度は、0.05mol/L以上が好ましく、0.5mol/L以上がより好ましいことが分かる。
(実施例3)
本実施例では、異なる土質区分の土壌に対して第1の溶離工程と第2の溶離工程をそれぞれ2回交互に繰り返し行ったときの溶離率を調べた。
具体的には、土質区分が軽埴土、砂質埴土、砂質埴壌土、埴壌土の土壌に対し、それぞれ次のように溶離を行った。
まず、土壌を第1の溶離液である0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液に液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温した。第1の溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行った。その後、第1の溶離液を排出した。
次いで、残留した土壌を、第2の溶離液である0.5mol/Lのシュウ酸水溶液に液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温した。第2の溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行った。その後、第2の溶離液を排出した。
このような操作を2回繰り返し、溶離率を測定した。結果を、溶離率を縦軸として図5のグラフに示す。
図5より水酸化カリウム水溶液及びシュウ酸水溶液を用いた溶離をそれぞれ2回交互に繰り返した後には、90%以上の溶離率が得られることが判明した。
(比較例1)
本比較例では、溶離液としてシュウ酸水溶液のみを用い、異なる土質区分の土壌に対して溶離を行った場合の溶離率を調べた。
具体的には、土質区分が砂質埴土、壌質砂土、砂質埴壌土、埴壌土である土壌を、溶離液である0.5mol/Lのシュウ酸水溶液に液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温した。溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行った。このときの溶離率を測定した。結果を、各土壌について溶離率を縦軸として図6のグラフに示す。
図6より、シュウ酸水溶液のみで溶離を行った場合、土質区分によって溶離率にばらつきが生じることが判明した。
(比較例2)
本比較例では、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を溶離液として用い、砂質埴壌土の溶離を行った。
具体的には、砂質埴壌土を、1mol/Lの塩酸水溶液を溶離液として、液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温した。塩酸溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行い、溶離率を測定した。次いで、溶離後の塩酸溶離液を排出し、残留した土壌を、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液として、液固比50ml/gで浸漬し、撹拌しながら加温した。水酸化ナトリウム溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間として溶離を行い、溶離率を測定した。これらの結果を、溶離率を縦軸として、図7のグラフに示す。
図7より、塩酸での溶離後で溶離率30%程度、水酸化ナトリウム水溶液での溶離後では溶離率55%程度であった。さらに、この方法では、塩酸と水酸化ナトリウムとから生成した塩化ナトリウムが土壌中に残留するため、農地等の土壌の除染には適さないという問題があることが判明した。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…土壌除染装置
2…処理槽
3,5,7…供給ライン
4…水酸化カリウム水溶液槽
6…洗浄液槽
8…シュウ酸水溶液槽
9,10,11,21…移送ポンプ
12…吸着塔
12A…入水口
12B…出水口
13…吸引ライン
14…循環ライン
15,16,17,18,19…開閉バルブ
20…排出ライン
22…フィルタ
23…加熱装置
S…土壌
L1…第1の溶離液
L2…第2の溶離液
W…洗浄液。

Claims (11)

  1. 放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染方法であって、
    前記土壌と、水酸化カリウムを含む第1の溶離液とを接触させ、前記土壌中のセシウムを前記第1の溶離液中に溶離させる第1の溶離工程と、
    前記土壌とシュウ酸を含む第2の溶離液とを接触させ、前記土壌中のセシウムを前記第2の溶離液中に溶離させる第2の溶離工程と
    を有し、
    前記第1の溶離工程及び前記第2の溶離工程をそれぞれ交互に複数回行うことを特徴とする土壌除染方法。
  2. 前記第1の溶離工程及び前記第2の溶離工程で使用した前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液を吸着材と接触させて前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液中のセシウムを除去する除去工程を有することを特徴とする請求項1記載の土壌除染方法。
  3. 前記吸着材と接触した前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液を前記土壌と接触させることで、前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液を循環使用することを特徴とする請求項記載の土壌除染方法。
  4. 前記第1の溶離液の水酸化カリウムの濃度は、0.05mol/L以上1.0mol/L以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の土壌除染方法。
  5. 前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液の温度は、それぞれ60℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の土壌除染方法。
  6. 前記第1の溶離工程と前記第2の溶離工程の間に、前記土壌と洗浄液とを接触させて前記土壌中に残留する水酸化カリウムを除去する洗浄工程を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の土壌除染方法。
  7. 前記第1の溶離液の量と前記第2の溶離液の量は、前記第1の溶離液中の水酸化カリウムの1molに対し、前記第2の溶離液中のシュウ酸が0.5molとなる割合の量であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の土壌除染方法。
  8. 放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染装置であって、
    前記土壌を収容する処理槽と、
    前記処理槽に水酸化カリウムを含む第1の溶離液を供給して前記土壌中のセシウムを前記第1の溶離液中に溶離させる第1の溶離液供給手段と、
    前記処理槽にシュウ酸を含む第2の溶離液を供給して前記土壌中のセシウムを前記第2の溶離液中に溶離させる第2の溶離液供給手段と、
    前記処理槽内の前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液の温度をそれぞれ60℃以上100℃以下とする加熱装置と
    を有することを特徴とする土壌除染装置。
  9. 前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液中のセシウムを吸着する吸着材を収容する吸着塔を有することを特徴とする請求項記載の土壌除染装置。
  10. 前記第1の溶離液及び前記第2の溶離液を前記吸着塔と前記処理槽との間で循環させる循環手段を有することを特徴とする請求項9記載の土壌除染装置。
  11. 前記処理槽に洗浄液を供給して前記土壌中に残留する水酸化カリウムを除去する洗浄手段を有することを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項記載の土壌除染装置。
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