JP5878388B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、ビード部内にワイヤーチェーファを備える空気入りタイヤにおいて、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障を防止するとともに、サイドウォール部の外表面におけるクラック発生の抑制を図ろうとするものである。
従来より、建設車輌などに用いられる重荷重用タイヤにおいて、ビード部の耐久性向上を目的として、ワイヤーチェーファや有機繊維補強層などの補強部材を配設している。図3は従来の空気入りタイヤの幅方向断面を示し、ビードコア3’の周りで折り返されたカーカス11’の外側に、ワイヤーチェーファ21’および有機繊維補強層23’を配置して、耐久性の向上を図っている。しかし、剛性の高い補強部材の端部には隣接するゴム部材との剛性の段差に起因して応力が集中し、歪が発生する。タイヤの転動によって、歪が繰り返し働きゴム疲労が進行することで、最終的に補強部材の端部を起点としたセパレーション故障が発生するという問題がある。
上述のようなビード部故障の問題に鑑み、これまでに種々の手段が講じられている。例えば、補強部材の端部を、ビード部内において負荷転動時の変形が比較的小さいタイヤ径方向内側の領域に配置することで、補強部材の端部に応力が集中するのを防止し、セパレーション故障の発生を抑制するなどの対策がある。特許文献1には、ビードコアの周りでカーカスの外側に順に配置されたワイヤーチェーファおよび有機繊維チェーファの端部をタイヤ径方向の内側寄りに配置して、ワイヤーチェーファ、有機繊維チェーファそれぞれの端部で発生するセパレーション故障を防止する技術が開示されている。
特開2006-168500号公報
しかしながら、上述のように補強部材の端部の位置をタイヤ径方向内側の領域にすると該補強部材による補強範囲が小さくなりビード部の剛性が低下する。このビード部の剛性の低下によって、荷重負荷時にビード部がリムのフランジ部に倒れこむ、所謂、倒れこみ変形が大きくなり、ビード部およびサイドウォール部には変形によって歪が生じる。さらに、タイヤ周方向の剛性も低下することから、タイヤ周方向の剪断変形も大きくなり、サイドウォール部の外表面に、タイヤ周方向に対して斜め方向のクラック(所謂、ダイアゴナルクラック)が発生し易くなる。
それゆえ本願発明は、ビード部にワイヤーチェーファを配設して補強したタイヤにつき、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障およびサイドウォール部表面におけるクラックの発生を抑制した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の空気入りタイヤは、一対のビード部内に埋設したビードコア相互間にわたってトロイダルに延び、前記ビードコアの周りをタイヤの幅方向内側から外側に向かって折り返してなる、少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスを備え、前記ビードコアから見てカーカスの外側に順にワイヤーチェーファおよび有機繊維補強層を有する空気入りタイヤにおいて、該空気入りタイヤを所定のリムに装着し定の内圧を充填した状態におけるタイヤ幅方向断面にて、該空気入りタイヤの外表面とリムのフランジ部との接触点よりもタイヤ径方向内側に前記ワイヤーチェーファの両端部を配置し、前記接触点よりもタイヤ径方向外側において、空気入りタイヤのサイドウォール部表面を構成するサイドゴムのタイヤ幅方向内側に、該サイドゴムより300%伸張時の弾性率の大きいゴムチェーファを配置してなり、前記ワイヤーチェーファと前記有機繊維補強層の間に、シート状のゴム部材を配設してなり、前記所定のリムに装着し前記所定の内圧を充填した状態におけるタイヤ幅方向断面にて、前記リムのフランジ部が形成する曲線部の曲率中心を通りタイヤ軸心に平行に仮想的に引いた直線を基準線として、前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部は、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に7°の角度で引いた直線と、前記基準線との間に位置し、前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で内側に位置する側の端部は、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に10°の角度で引いた直線と、前記基準線との間に位置し、前記シート状のゴム部材は、少なくとも前記ビードコアのタイヤ径方向内側に配置されていることを特徴とするものである。なお、ここでいう「所定のリムに装着し定の内圧を充填した状態」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定された、所謂、正規リムに組み付け、上記規格に記載されているタイヤの最大負荷能力に応じた空気圧を充填し、無負荷状態をいうものとする。また、「空気入りタイヤの外表面とリムのフランジ部との接触点」とは、タイヤ幅方向断面で見てタイヤの外表面とリムとが接している部分の、タイヤ径方向の最外端をいう。また、「300%伸張時の弾性率」とは、JIS K 6301に準拠して測定した常温(25度)における300%伸張時の引張弾性率(M300)をいうものとする。
かかる空気入りタイヤにあっては、ワイヤーチェーファの両端部をそれぞれ、タイヤの外表面とリムのフランジ部との接触点すなわち、倒れこみ変形時の歪が比較的大きく生じる部分よりもタイヤ径方向の内側にそれぞれ配置したことにより、該端部に応力が集中してセパレーション故障が発生するのを抑制することができる。同時に、ワイヤーチェーファの補強範囲が小さくなるため、ビード部の剛性は低下し、荷重負荷時の倒れこみ変形は大きくなる。空気入りタイヤのサイドウォール部外表面を構成するサイドゴムを、上記接触点まで延在させ、そのタイヤ幅方向内側に、該サイドゴムより300%伸張時の弾性率の大きいゴムチェーファを配置したことにより、外表面側は変形が大きくクラックが発生しやすいところ、伸びに強いサイドゴムを配置したことで、図4(b)に示すようなタイヤ転動時にリムのフランジ部との接触点付近のタイヤ表面に発生する剪断変形に対し、伸びに強いサイドゴムが伸縮し追従することでクラックを抑制し、さらに内側に弾性率の大きいゴムチェーファを配置したことで剛性の低下を軽減する。また、前記ワイヤーチェーファと前記有機繊維補強層の間に、シート状のゴム部材を配設してなることによって、ワイヤーチェーファと有機繊維補強層との間の剪断力をゴム部材の変形をもって緩和し、セパレーションを抑制することができる。また、前記所定のリムに装着し前記所定の内圧を充填した状態におけるタイヤ幅方向断面にて、前記リムのフランジ部が形成する曲線部の曲率中心を通りタイヤ軸心に平行に仮想的に引いた直線を基準線として、前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部が、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に7°の角度で引いた直線と、前記基準線との間に位置することにより、端部に応力が集中し、セパレーション故障が発生する可能性がある。また、前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で内側に位置する側の端部が、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に10°の角度で引いた直線と、前記基準線との間の範囲の外側にあると、端部に応力が集中し、セパレーション故障が発生する可能性がある。
また、この発明の空気入りタイヤにあっては、前記ゴムチェーファの300%伸張時の弾性率が、11〜13MPaであることが好ましく、11MPa未満だとゴムの剛性が
低いため、荷重時の倒れこみ量が著しく増加し、ビード部に発生する歪が大きくなる。
13MPaを超えると、ゴムが固くなりすぎて、タイヤをリムに装着する際に、リムとタイヤの間の締め代に対してゴムが反発する為、リム組みが困難になる可能性がある。
また、この発明の空気入りタイヤにあっては、前記サイドゴムの300%伸張時の弾性率が、7〜9MPaであることが好ましく、7MPa未満だとゴムの剛性が低いため、内圧時と荷重時にリムフランジと接触する範囲にへたりが発生して外観が悪くなり、9MPaを超えると、ゴムが固くなり、タイヤ転動時にビード部に発生する剪断変形にゴムの追従変形が追い付かなくなり、タイヤ表面にクラックが発生する虞がある。
また、この発明の空気入りタイヤにあっては、前記シート状のゴム部材の300%伸張時の弾性率が、10〜12MPaであることが好ましく、10MPa未満だとビードコア下において、タイヤとリム間の締め代部の圧縮によりへたりが発生し、前述のようなワイヤーコードと有機繊維間の剪断歪を抑制する効果が小さくなってしまう。12MPaを超えると、前述のゴムチェーファと同様、ゴムが固くなり、タイヤとリム間の締め代に対してゴムが反発する為、リム組みが困難になる虞がある。
さらに、この発明の空気入りタイヤにあっては、前記ワイヤーチェーファを構成するワイヤーの延在方向が、タイヤ周方向に対して40°〜60°の範囲であることが好ましく、40°未満だとPLYコードとなす角度が小さくなり、ワイヤーコードの効果である周方向の剪断剛性が低下してしまう。60°を超えると、ワイヤーコードの端部に発生する歪が大きくなり、クラックが発生し故障に至る。
また、この発明の空気入りタイヤにあっては、前記シート状のゴム部材の厚さが、1mm〜2mmであることが好ましく、1mm未満だとワイヤーコードと有機繊維間の剪断歪を十分に低減できない。2mmを超えると、タイヤとリム間の締め代によって発生するリムとタイヤ間の周方向剛性が低下し、タイヤとリムの間で滑りが発生してしまう。また、シート状ゴム部材のタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部を、ビードコアの最大幅の位置におけるタイヤ径方向高さに配置することが好ましい。これによってビード部の剛性が下がらないので、倒れこみ量が大きくならない。
この発明によれば、ビード部にワイヤーチェーファを配設して補強したタイヤにつき、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障およびサイドウォール部表面におけるクラックの発生を抑制した空気入りタイヤを提供することが可能となる。
この発明にしたがう一実施形態の空気入りタイヤのタイヤ幅方向の断面を示す図である。 図1の空気入りタイヤのビード部を拡大して示す断面図である。 従来構造の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面を示す図である。 (a)は従来の空気入りタイヤの荷重負荷時の状態を示す断面図であり、(b)は負荷転動時におけるタイヤ側面の模式図である。
以下、この発明にしたがう実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、図中、符号Rは、空気入りタイヤを組み付ける、上述の正規リムとすることができるリムを示し、符号RFは、リムのフランジ部を示し、また、リムのフランジ部は、所定曲率の曲線部を有する。また、図1は、空気入りタイヤを正規リムRに組み付け、正規内圧を充填しかつ荷重の負荷しない状態(以下、「所定状態」という。)を示している。
この実施形態の空気入りタイヤ(以下、「タイヤ」ともいう。)1は、図1に示すように、それぞれビードコア3が埋設された一対のビード部5と、ビード部5のタイヤ径方向外側に連なる一対のサイドウォール部7と、該一対のサイドウォール部7間を跨るトレッド部9とからなる。
タイヤ1の内部には、ビードコア3の相互間にわたってトロイド状に延び、上記ビード部5、サイドウォール部7、トレッド部9を補強する少なくとも1枚(ここでは1枚)のカーカスプライからなるカーカス11と、カーカス11のタイヤ径方向外側に配置された、複数のベルト層からなるベルト13を備える。
なお、この実施形態でカーカス11は、プライコードをプライゴムで被覆してなる1枚のカーカスプライからなるが、複数のカーカスプライを重ね合わせたものでも良い。また、ビードコア3のタイヤ径方向外側には、軟硬2種のゴムからなり、先細りに延びるビードフィラー15を備える。
図2は、図1に示す空気入りタイヤ1のビード部5を拡大した図であり、ビードコア3の周りで、カーカス11の外側にビード部5を補強する少なくとも1層(ここでは1層)の複数本のスチールコードをゴム被覆してなるワイヤーチェーファ21および少なくとも1層(ここでは1層)の有機繊維コードをゴム被覆してなる有機繊維補強層23が配置されている。タイヤ1の外表面と、リムのフランジ部RFとが接している部分で、タイヤ径方向の最外側の点を接触点25とし、ワイヤーチェーファ21の両端部21a、21bはそれぞれ接触点25よりもタイヤ径方向内側に位置する。さらに、サイドウォール部の外表面を構成するサイドゴム27は、接触点25付近まで延び、そのタイヤ幅方向内側にサイドゴム27より300%伸張時の弾性率の大きいゴムチェーファ29が配置され、ゴムチェーファ29は図示のように、ビードコア3の周りで、有機繊維補強層23の外側を覆うように配置される。なお、有機繊維コードの材質は、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、レーヨンなどであるが、他のものでも良い。
ここで、従来構造をもつ空気入りタイヤについて、図3、4を用いて説明する。図3は、所定状態の従来構造を持つ空気入りタイヤ1’を示す。図1に示す本願の一実施形態のタイヤとは、ワイヤーチェーファと、サイドゴムの位置が異なる。ビードコア3’の周りで、カーカス11’の外側に配置されたワイヤーチェーファ21’の、タイヤ幅方向外側の端部21a’は接触点25’よりもタイヤ径方向内側に配置される。ビードコア3’から見て、ワイヤーチェーファ21’の外側には有機繊維補強層23’が配置され、その外側はゴムチェーファ29’で覆われている。また、接触点25’を超えてタイヤ径方向外側までタイヤ外表面を構成しながら延びており、サイドウォール部を構成するサイドゴム27’がタイヤ径方向の外側から、ゴムチェーファ29’のタイヤ幅方向内側に延びる。
上記のような従来構造のタイヤ1’の、荷重負荷時のビード部5’の変形の様子を図4(a)に示す。ワイヤーチェーファ21’の、タイヤ幅方向外側の端部21a’が接触点25’よりもタイヤ径方向内側、つまり倒れこみ変形による歪が小さい領域に配置されているため、端部21a’付近での歪は低減する。しかし、端部21a’よりもタイヤ径方向の外側部分の剛性は低下することから、倒れこみ変形は大きくなる。さらにワイヤーチェーファ21’の補強範囲を縮小したことにより、タイヤ周方向の剛性も低下しており、図4(b)に示すように、タイヤ周方向に引っ張られる向きに変形する。負荷転動によって、変形が繰り返されることにより、ビード部の外表面に露出するゴムチェーファ29’が次第に疲労し、最終的にクラックが発生するおそれがある。
一方、図1,2に示す本願発明の実施形態のタイヤ1は、ワイヤーチェーファ21の両端部21a、21bを、接触点25よりもタイヤ径方向内側に配置することで、ワイヤーチェーファ21の両端部21a、21b付近でそれぞれ生じる歪が小さくなり、これら両端部21a、21bを起点としたセパレーション故障を引き起こす可能性は低減される。また、リムのフランジ部RFと接するビード部5の外表面付近まで、ゴムチェーファ29よりも弾性率の小さいサイドゴム27が延在していることで、荷重負荷時に大きく倒れこみ変形を生じても、変形の大きい外表面にはサイドゴム27が延在しているので、図4(b)に示すようなタイヤ転動時にリムのフランジ部との接触点付近のタイヤ表面に発生する剪断変形に対し、伸びに強いサイドゴムが伸縮し追従することでクラックを抑制し、クラックの発生が低減できる。また、サイドゴム27のタイヤ幅方向内側にゴムチェーファ29を配置したため、剛性の低下を低減できる。タイヤ周方向の剪断変形が繰り返された際にも、リムとタイヤ間で発生する剪断歪をサイドゴム27が伸縮し追従することで低減し、その結果外表面の耐久性を確保してダイアゴナルクラックの発生を抑制することができる。
また、ワイヤーチェーファ21と有機繊維補強層23の間にも、剛性の違いによって、負荷転動時に剪断力が働き、長期の使用によってセパレーション故障へと発展するおそれがある。図示は省略するが、ワイヤーチェーファ21と有機繊維補強層23の間にシート状のゴム部材を配設することで、それらの間に生じる剪断力を緩和し、セパレーション故障を防止することができる。シート状のゴム部材は、1mm〜2mmであることが好ましく、1mm未満だとワイヤーコードと有機繊維間の剪断歪を十分に低減できず、2mmを超えると、締め代の剛性の低下からタイヤとリム間の接触部分によって発生する摩擦力が低下し、タイヤとリムの間で滑りが発生してしまう。また、シート状ゴム部材のタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部を、ビードコアの最大幅の位置におけるタイヤ径方向高さに配置することが好ましい。これによってビード部の剛性が下がらないので、倒れこみ量が大きくならない。さらに、ゴム部材の300%伸張時の弾性率は10〜12MPaであることが好ましく、10MPa未満だとビードコア下において、タイヤとリム間の締め代部の圧縮によりへたりが発生し、前述のようなワイヤーコードと有機繊維間の剪断歪を抑制する効果が小さくなってしまう。12MPaを超えると、前述のゴムチェーファと同様、ゴムが固くなり、タイヤとリム間の締め代に対してゴムが反発する為、リム組みが困難になる。また、シート状ゴム部材の端部のうち、タイヤ幅方向外側の端部を、ビードコアの最大幅の位置におけるタイヤ径方向高さに配置することが好ましい。これによれば、ビード部の剛性が下がらないので、倒れこみ量が大きくならない。
図2に示す点Pは、リムのフランジ部RFが形成する曲線部の曲率中心であり、該点Pを通りタイヤ軸心に平行に仮想的に引いた直線を基準線Aとして示す。点Pからビード部に向けて、基準線Aに対してタイヤ径方向の外側に7°の角度で仮想的に引いた直線をBとし、同様に10°の角度で仮想的に引いた直線をCとして示す。ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部21aは、基準線Aと直線Bの間に位置し、ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で内側に位置する側の端部21bは、基準線Aと直線Cの間に位置することが好ましい。
また、ゴムチェーファ29の300%伸張時の弾性率が、11〜13MPaであることが好ましく、11MPa未満だとゴムの剛性が低いため、荷重時の倒れこみ量が著しく増加し、ビード部に発生する歪が大きくなる。13MPaを超えると、ゴムが固くなりすぎて、タイヤをリムに装着する際に、リムとタイヤの間の締め代に対してゴムが反発する為、リム組みが困難になる。
また、サイドゴム27の300%伸張時の弾性率が、7〜9MPaであることが好ましく、7MPa未満だとゴムの剛性が低いため、内圧時と荷重時にリムフランジと接触する範囲にへたりが発生して外観が悪くなり、9MPaを超えると、ゴムが固くなり、タイヤ転動時にビード部に発生する剪断変形にゴムの追従変形が追い付かなくなり、タイヤ表面にクラックが発生する虞がある。
さらに、ワイヤーチェーファを構成するワイヤーの延在方向が、タイヤ周方向に対して40°〜60°の範囲であることが好ましく、40°未満だとPLYコードとなす角度が小さくなり、ワイヤーコードの効果である周方向の剪断剛性が低下してしまい、60°を超えると、ワイヤーコードの端部に発生する歪が大きくなり、クラックが発生し故障に至る虞がある。
次にこの発明に従うタイヤを試作し、性能評価を行ったので以下で説明する。実施例、従来例、比較例のタイヤはいずれも、タイヤサイズが26.5R25である。
実施例1〜4、比較例、及び従来例のタイヤは、ワイヤーチェーファの配設範囲、およびサイドゴム、ゴムチェーファの配設位置、シート状ゴム部材の有無において異なる。上述のリムのフランジ部が形成する曲線の曲率中心Pから、ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向外側、および内側それぞれにおける側の端部に向けて引いた直線と、基準線とがなす角度をそれぞれα、βとして、実施例、比較例、従来例のタイヤの値をそれぞれ表1に示す。α、βの値はともに、基準線に対してタイヤ径方向外側に向かう方向を正とする。
従来例、および比較例のタイヤは、図3に示すように接触点25’付近におけるタイヤ外表面にはゴムチェーファ29’が配置され、そのタイヤ幅方向内側にサイドゴム27’が配置されている。実施例1〜4のタイヤは、接触点までサイドゴムが外表面を構成しながら延び、そのタイヤ幅方向内側にゴムチェーファが配置されている。また、比較例および実施例1〜3のタイヤには、1mmの厚さのシート状のゴム部材をワイヤーチェーファと有機繊維補強層の間に配設している。
Figure 0005878388
上記各供試タイヤをリム(22.0/3.0)に組付け、タイヤ内圧:500kPa、タイヤ負荷荷重:15.0ton、速度:20km/hの条件で室内回転ドラムを用いて、それぞれ所定の走行時間走行させた後に、ワイヤーチェーファ端部の故障、ビードコア周辺の故障、ダイアゴナルクラックの発生の有無を調べた。ワイヤーチェーファ端部の故障とは、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障を指し、ビードコア周辺の故障とは、ワイヤーコードと有機繊維コード間に発生するセパレーション故障を指す。結果を表2に示す。
Figure 0005878388
表2の試験結果から、従来例と比べて、実施例のタイヤは、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障を抑制していることがわかる。また、リムのフランジ部との接触点付近まで、タイヤの外表面にサイドゴムを延在させたことで、クラックを低減していることがわかる。さらに、シート状のゴム部材によって、ワイヤーチェーファと有機繊維補強層の間のセパレーション故障を抑制していることがわかる。
かくして、この発明により、ビード部にワイヤーチェーファを配設して補強したタイヤにつき、ワイヤーチェーファの端部を起点としたセパレーション故障およびサイドウォール部表面におけるクラックの発生を抑制した空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 空気入りタイヤ
3 ビードコア
5 ビード部
7 サイドウォール部
9 トレッド部
11 カーカス
13 ベルト
15 ビードフィラー
21 ワイヤーチェーファ
23 有機繊維補強層
25 接触点
27 サイドゴム
29 ゴムチェーファ
R リム
RF リムフランジ

Claims (5)

  1. 一対のビード部内に埋設したビードコア相互間にわたってトロイダルに延び、前記ビードコアの周りをタイヤの幅方向内側から外側に向かって折り返してなる、少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスを備え、前記ビードコアから見てカーカスの外側に順にワイヤーチェーファおよび有機繊維補強層を有する空気入りタイヤにおいて、
    該空気入りタイヤを所定のリムに装着し定の内圧を充填した状態におけるタイヤ幅方向断面にて、該空気入りタイヤの外表面とリムのフランジ部との接触点よりもタイヤ径方向内側に前記ワイヤーチェーファの両端部を配置し、
    前記接触点よりもタイヤ径方向外側において、空気入りタイヤのサイドウォール部表面を構成するサイドゴムのタイヤ幅方向内側に、該サイドゴムより300%伸張時の弾性率の大きいゴムチェーファを配置してなり、
    前記ワイヤーチェーファと前記有機繊維補強層の間に、シート状のゴム部材を配設してなり、
    前記所定のリムに装着し前記所定の内圧を充填した状態におけるタイヤ幅方向断面にて、
    前記リムのフランジ部が形成する曲線部の曲率中心を通りタイヤ軸心に平行に仮想的に引いた直線を基準線として、
    前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で外側に位置する側の端部は、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に7°の角度で引いた直線と、前記基準線との間に位置し、
    前記ワイヤーチェーファのタイヤ幅方向で内側に位置する側の端部は、前記曲率中心から前記ビード部に向けて、前記基準線に対してタイヤ径方向外側の方向に10°の角度で引いた直線と、前記基準線との間に位置し、
    前記シート状のゴム部材は、少なくとも前記ビードコアのタイヤ径方向内側に配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴムチェーファの300%伸張時の弾性率が、11〜13MPaである、請求項に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイドゴムの300%伸張時の弾性率が、7〜9MPaである、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記シート状のゴム部材の300%伸張時の弾性率が、10〜12MPaである、請求項1〜3の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ワイヤーチェーファを構成するワイヤーの延在方向が、タイヤ周方向に対して40°〜60°の範囲である、請求項1〜の何れか一項に記載の空気入りタイヤ。
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