JP5859164B1 - 塗布具 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、紙や人の肌などの塗布対象物に塗布するインクや化粧水などの液体を中綿などの吸蔵体に吸収させた状態で貯蔵するのではなく、生のままの状態で貯留し、適宜塗布できるようにした塗布具が実用化されている。
この種の塗布具は、吸蔵体に吸収させた状態で保存することができない種類の液体、例えば顔料インクの使用が可能であり、これが大きな利点となっている。
顔料系のインクの優位性は、その発色性の良さにある。例えばアイライナーに顔料系のインクを使用した場合、はっきりした深みのある色彩表現が可能となり、使用者に満足感をもたらす。もちろんアイライナーに限らず、ペンなどの筆記具であっても、顔料系のインクの使用によって鮮やかな発色を楽しむことができることは言うまでもない。
いずれの文献に記載された塗布具も、筒形のハウジングの内周面に沿って形成した貯留室にインクを貯留しておき、貯留したインクをハウジングの一端に取り付けた塗布体に供給する点で共通性を有している。
相違するのは、貯留室から塗布体にインクを導くための構造である。
インクなどの液体を生のままの状態で貯留するようにした塗布具が克服しなければならない課題の一つは、塗布体からの液体の漏洩、いわゆるボタ落ちの防止である。
例えば気温の上昇や筆記時の体温の伝達などを原因として貯留室の内圧が高まった場合、貯留室から液体が溢れ出し、溢れ出した液体が過剰に塗布部に送られてその保持容量を超え、塗布部からボタ落ちしてしまうことがある。
あるいは塗布具に衝撃が加わった場合にも、やはり貯留室から液体が漏れ出し、塗布部に過剰に送られてボタ落ちしてしまうことがある。
そこで液体を生のままの状態で貯留するようにした塗布具では、このような塗布体からの液体の漏洩、いわゆるボタ落ちを防止するための対策が必要になる。
したがって内圧上昇や衝撃による貯留室(インク室23)からの変則的なインクの漏れ出しが発生すると、中綿7、11、15が漏れ出したインクを吸収して保持し、塗布体(ペン体2)からのインクのボタ落ちを防止する(特許文献1の段落[0023]参照)。
つまりインキ吸蔵体5はインキ連通部4よりも密度(又は毛管力)が低く設定され、通常時にはインクの吸収が抑制されている。これによりインキ吸蔵体5はインクが空の状態を保つため、貯留室から溢れ出したインクを吸収して一時的に保持するスペースとして機能することになる。
したがって内圧上昇や衝撃による貯留室からの変則的なインクの漏れ出しが発生すると、インキ吸蔵体5が漏れ出したインクを吸収して保持し、塗布体からのインクのボタ落ちを防止する(特許文献2の段落[0016]参照)。
このように上記二つの文献に記載された発明によれば、内圧上昇や衝撃によって貯留室からインクが溢れ出した場合、漏れ出たインクを吸収体(特許文献1の「中綿7、11、15」、特許文献2の「インキ吸蔵体5」)に吸収させて一時的に保持するようにしている。
このため吸収体に一時的に保持させたインクを回収する必要性が生ずる。
したがって一旦は高まった貯留室の内圧が元の状態に戻るに際して、中綿7、11、15に保持されているインクはより密度勾配が高い貯留室の側に引き込まれ、貯留室に回収される(特許文献1の段落[0015]〜[0016]、[0024]参照)。
つまり貯留室から溢れ出したインクを一時的に保持するいわばリザーバ領域とでも呼ぶべき領域を設けておき、毛管現象の強弱関係を利用して、溢れ出たインクの一時的な保持と回収とを上手く制御しているわけである。
特許文献1、2に記載された発明では、毛管現象の作用力(説明の便宜上、「毛管力」と略称する)の強弱をもって、通常時におけるリザーバ領域へのインクの回り込みを抑制するようにしている。
つまり特許文献1に記載された発明では、文献中に明示はないものの、貯留室(インク室23)に貯留されたインクを塗布体(ペン体2)に導く超親水性インク流動用繊維束8、12、16よりも、その周囲に配置したリザーバ領域を構成する中綿7、11、15の方の毛管力を弱く設定しているものと思料される。したがって貯留室に内圧上昇や衝撃が加わらない通常時には、インクは相対的に毛管力が強い超親水性インク流動用繊維束8、12、16に吸収され、中綿7、11、15への回り込みが抑制される。
特許文献2に記載された発明も、同様のメカニズムによって、通常時におけるリザーバ領域へのインクの回り込みを抑制している。つまり特許文献2に記載された発明は、貯留室(インキ収容部1)に貯留したインクを塗布体(塗布体3)に導く中継部材としてインキ連通部4を用いるわけであるが、このインキ連通部4はリザーバ領域を構成するインキ吸蔵体5と一体化されている。したがって両者の間の毛管力に差がなければ、インキ連通部4が吸引したインクはインキ吸蔵体5に回り込んでしまうところ、インキ連通部4よりもインキ吸蔵体5の方の毛管力を弱く設定し、これによってインキ吸蔵体5へのインクの回り込みを抑制しているわけである(特許文献2の段落[0016]参照)。
・特許文献1は「中綿7、11、15」
・特許文献2は「インキを吸収しやすく且つ吐き出しやすい、スポンジ又はポリエステルやアクリル、アセテート繊維を集束したいわゆる中綿」
をインキ収蔵体として用い、これによってリザーバ領域を形成しているわけである(特許文献1の段落[0023]、特許文献2の段落[0014]参照)。
このため貯留室に内圧上昇や衝撃が加わらない通常時において、リザーバ領域へのインクの回り込みを完全に抑制することができないという問題が発生する。
その理由は次の通りである。
特許文献1、2が紹介する中綿などのインキ吸蔵体は、その構造上、繊維密度(中綿)や孔径(スポンジ)が場所によって一定せず、液体に吸引作用を及ぼす毛管現象の強さが場所ごとに異なる。このため貯留室から塗布体にインクを導く中継部材、例えば、
・特許文献1の「超親水性インク流動用繊維束8、12、16」
・特許文献2の「インキ吸蔵体5」
よりも、部分的に毛管力が強い部分がリザーバ領域に現れてしまう可能性が生ずる。
インクは毛管力が強い場所に吸引されるので、こうなるとリザーバ領域へのインクの回り込みが発生してしまうのである。
以下、第1〜第3の実施の形態を順に紹介する。
第1の実施の形態を図1(a)(b)に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、本実施の形態のアイライナー101は、細長い筒状のハウジング102の一端側に塗布体111を取り付け、インクIKを封入する他端側の開口部102aを栓体としての尾栓103で閉じた構造を有している。
塗布体111は複数本の繊維を集束して圧縮したもので、繊維束の長手方向を軸方向とする断面が真円の棒形状に形成されている。したがって個々の繊維の間に毛管現象を生じさせ、長手方向に液体を移動させる。
このような塗布体111は、後端部分が切り落とされて平坦な連結面111aとされ、先端部分は丸みを帯びた形状に加工されて塗布面111bとされている。塗布面111bは、人の皮膚であるアイライン上にインクIKを塗布する役割を担う。
これによってハウジング102は後端側、つまり尾栓103の側にインクIKを貯留する貯留室131を形成し、先端側、つまり塗布体111の側にリザーバ室141を形成している。
吸蔵体ホルダ121は、貯留室131の側で気液交換用の吸蔵体122を保持し、リザーバ室141の側でリザーバ用の吸蔵体123を保持し、二つの吸蔵体122、123を連絡路124で連絡している。これらの二つの吸蔵体122、123は、毛管現象の作用でインクIKを吸収して保持する。したがって貯留室131に貯留されたインクIKは、気液交換用の吸蔵体122に吸収されて保持されている。
中継部材151は、塗布体111と同様に、複数本の繊維を集束して圧縮し、繊維束の長手方向を軸方向とする断面が真円の棒形状に形成したものである。したがって個々の繊維の間に毛管現象を生じさせ、長手方向に液体を移動させる。このような中継部材151は、その後端側を尖った形状の給液部151aとし、先端側を平坦な連結部151bとしている。
そこで本実施の形態では、中継部材151の給液部151aを気液交換用の吸蔵体122に接触させてインクIKに浸し、連結部151bを塗布体111の連結面111aに接触させることで、中継部材151に働く毛管現象の作用を利用して、貯留室131から塗布体111にインクIKを誘導している。
この場合、毛管現象が作用する力(以下「毛管力」と呼ぶ)は、中継部材151よりも塗布体111の方が強く設定されている。それ故にインクIKは、貯留室131から中継部材151を経由して塗布体111に至る方向に流れる。液体は毛管力が弱い側から強い側に吸引されるからである。
塗布体ホルダ112は、ハウジング102と同軸上に円筒状の大径部112aと小径部112bとを備えている。大径部112aは小径部112bよりもハウジング102の先端側に配置され、塗布体111を圧入状態で嵌合させて保持する。小径部112bは中継部材151を圧入状態で嵌合させて保持する。
もっとも大径部112aと小径部112bとは内部で連絡しており、大径部112aに保持された塗布体111の連結面111aと小径部112bに保持された中継部材151の連結部151bとは、互いに接触可能になっている。
つまり吸蔵体ホルダ121は、両端をカップ形状に形成してそれぞれ第1及び第2の保持部125、126とし、これらの保持部125、126の底面同士を囲繞孔127で連絡させているわけである。囲繞孔127は断面が真円形状に形成され、吸蔵体ホルダ121の軸上であって、軸方向の中央部分に配置されている。
第1及び第2の保持部125、126に収納されて保持される吸蔵体122、123は、例えばポリエステル、アクリル、アセテートなどの繊維を複数本からめた中綿状のものであり、繊維と繊維の間の隙間に毛管現象を作用させてインクIKを吸引し、吸引したインクIKを保持する。
これにより中継部材151は、連結部151bの側が塗布体ホルダ112の小径部112bに保持され、給液部151aの側が気液交換用の吸蔵体122に保持されることから、ハウジング102の内部で位置決めされて保持されている。
したがって中継部材151は二つの吸蔵体122、123に接触し、囲繞孔127との間に隙間を形成している。この隙間が連絡路124となる。連絡路124は、共に形が定まった囲繞孔127と中継部材151との間に形成される定形のもので、インクIKに対して毛管現象を作用させる。
そこで本実施の形態では、第1の保持部125での吸蔵体122の収納量よりも第2の保持部126での吸蔵体123の収納量を少なくすることで、リザーバ用の吸蔵体123の毛管力を気液交換用の吸蔵体122の毛管力よりも弱く設定している。
もっとも気液交換領域EAとリザーバ領域RAとを連絡する連絡路124も毛管現象を生ずるので、これらの三箇所における毛管力の強弱も重要である。本実施の形態では、リザーバ用の吸蔵体123の毛管力を連絡路124の毛管力よりも弱く設定し、連絡路124の毛管力を気液交換用の吸蔵体122の毛管力よりも弱く設定している。
CP1>CP2>CP3>CP4>CP5 ・・・・・式1
の関係になる。
ただしCP1は塗布体111に生ずる毛管力、CP2は中継部材151に生ずる毛管力、CP3は気液交換領域EAに生ずる毛管力、CP4は連絡路124に生ずる毛管力、そしてCP5はリザーバ領域RAに生ずる毛管力である。
貯留室131は、塗布体111においてインクIKが消費されるにしたがい負圧になる。このため負圧になった貯留室131に空気を供給するための仕組みが必要になる。そのために設けられているのが吸気通路161である。
塗布体111においてインクIKが消費されると、まずは気液交換用の吸蔵体122に吸蔵されているインクIKが中継部材151を介して塗布体111に供給され、気液交換領域EAは連絡路124につながる空気の通路を形成する。毛管現象の作用で液体が移動する場合、液体は最も毛管力が弱い部分から強い部分に移動するからである(上記式1参照)。
そこで本実施の形態は、気液交換領域EAに空気の通路が発生するという現象を利用して、気液交換領域EAと連絡路124を介してこれに連絡するリザーバ領域RA及びリザーバ室141とを吸気通路161の一部として利用する。
そして吸気通路161の残りの一部を塗布体ホルダ112に形成している。つまり塗布体ホルダ112には、大径部112aの内壁の一部と小径部112bの内壁の一部とに、それぞれ塗布体111と中継部材151との間に隙間を生じさせる通気溝113を形成する。これによってリザーバ室141が塗布体ホルダ112の先端部から外部につながり、貯留室131を大気に連絡させる吸気通路161が生成される。
この際、貯留室131に貯留されているインクIKは、吸蔵体ホルダ121の第1の保持部125に保持された気液交換用の吸蔵体122にも吸引されているので、気液交換領域EAを満たしている。したがって吸気通路161は閉じられた状態になっている。
これによって貯留室131が負圧になる。
これに対して、塗布体111が貯留室131からインクIKを吸引すると、中継部材151よりも毛管力が弱い気液交換領域EAのインクIK(気液交換用の吸蔵体122に吸蔵されているインクIK)が塗布体111に向けて移送され、気液交換領域EAは連絡路124につながる空気の通路を形成する。すると吸気通路161が開通し、負圧になっている貯留室131が大気を吸引して負圧状態を解消する。
そして塗布体111でのインクIKの消費が停止すると、気液交換領域EAに保持されている気液交換用の吸蔵体122は貯留室131に貯留されているインクIKを吸収し、再びインクIKが満たされた状態になる。
このような作用が繰り返されることで、塗布対象物であるアイラインへのインクIKの塗布が行われる。
本実施の形態のアイライナー101は、このようなインクIKのボタ落ちという現象に対して、二重の防止策を施している。
これに対して、リザーバ領域RAにはリザーバ用の吸蔵体123が設けられているので、リザーバ領域RAに流れ込んだインクIKは毛管現象の作用で吸蔵体123に吸収されて保持される。このためアイライナー101がどのような角度に傾けられた場合であっても、リザーバ領域RAはインクIKの保持状態を維持する。
もっともリザーバ用の吸蔵体123の容量を超えるインクIKがリザーバ領域RAに流れ込めば、インクIKはリザーバ領域RAから溢れ出してしまう。これに対して本実施の形態では、こうしてリザーバ領域RAからインクIKが溢れ出したとしても、漏れ出たインクIKはリザーバ室141に流れ込んで保持される。
このように本実施の形態によれば、内圧上昇や衝撃によって貯留室131からインクIKが押し出された場合、インクIKはリザーバ領域RAあるいはリザーバ室141に保持される。これによって塗布体111からのインクIKのボタ落ちを二重に防止することができる。
リザーバ領域RAで吸蔵体123に保持されているインクIKは、一旦は高まった貯留室131の内圧が元に戻れば、より毛管力が強い連絡路124に吸引される(上記式1参照)。そして連絡路124が吸引したインクIKは、より毛管力が強い気液交換領域EAの吸蔵体122に吸引され(上記式1参照)、貯留室131に回収される。
あるいはリザーバ領域RAで吸蔵体123に保持されているインクIKは、塗布体111での塗布動作が行われれば、より毛管力が強い中継部材151に吸引され(上記式1参照)、塗布体111に回収される。
こうしてリザーバ領域RAからインクIKが抜き取られ、リザーバ領域RAは初期状態に復帰する。
リザーバ室141に保持されたインクIKは、塗布体111が上方を向くようにアイライナー101が傾けられると、リザーバ領域RAの出口に向けて集められる。すると毛管現象の作用で、リザーバ領域RAに設けられているリザーバ用の吸蔵体123に吸引されていく。
インクIKがリザーバ領域RAの吸蔵体123に吸引されれば、先に説明したように、貯留室131に回収されるか、あるいは塗布体111に回収される。
このため、もしも気液交換領域EAの吸蔵体122とリザーバ領域RAの吸蔵体123とを直接接触させた場合には、上記式1の「CP3>CP5」という関係が部分的に崩れる可能性がある。気液交換用の吸蔵体122には、その一部においてリザーバ用の吸蔵体123よりも毛管力が弱い部分が発生し、反対に、リザーバ用の吸蔵体123には、その一部において気液交換用の吸蔵体122よりも毛管力が強い部分が発生することがあるからである。
このようなことから、貯留室131に内圧上昇や衝撃が加わらない通常時において、リザーバ領域RAの一部にインクIKが回りこんでしまい、リザーバ領域RAからインクIKが漏れ出てしまうことがあるという問題が発生する。
つまり連絡路124は形が定まった、つまり定形の囲繞孔127と定形の中継部材151との間の隙間によって形成されているので、自ずと定形になり、場所によって強さに変動がない均質で安定した毛管現象を発生する。したがって、上記式1の「CP3>CP4」という毛管力の強弱関係より、気液交換領域EAの吸蔵体122に保持されているインクIKは連絡路124に回り込まず、この連絡路124において完全に塞き止められる。
したがって本実施の形態によれば、内圧上昇や衝撃などの不規則な現象が貯留室131に加わらない通常時において、気液交換領域EAからリザーバ領域RAへのインクIKの移動を規制することができ、リザーバ領域RAにインクIKが回り込んで漏れ出してしまうような不測の事態の発生を確実に防止することができる。
したがってリザーバ領域RAがインクIKを一時的に保持している際、一旦高まった貯留室131の内圧が下がり、元の状態に戻るにしたがい、リザーバ領域RAに一時的に保持されているインクIKを塗布体111に回収することができる。
つまり吸蔵体ホルダ121は、中継部材151を軸方向に貫通させ、中継部材151の一端側(給液部151a)を接触させるように気液交換用の吸蔵体122を保持する第1の保持部125と、中継部材151を貫通させるようにリザーバ用の吸蔵体123を保持する第2の保持部126とを、中継部材151を囲繞してこの中継部材151との間の隙間に連絡路124を形成する囲繞孔127を介して直列に配列している。
したがって気液交換領域EAと連絡路124とリザーバ領域RAとを容易に形成することができ、製造の容易化や、製造コスト及び部品コストの低減を図ることができる。
第2の実施の形態を図2(a)(b)に基づいて説明する。
第1の実施の形態と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
囲繞孔127はその断面形状及び大きさをどの位置でも同じにするストレート形状に形成されているので、連絡路124の断面形状及び大きさは、どの位置においても一定である。
このような六条に分割された連絡路124も、第1の実施の形態における非分割である単一の連絡路124(図1(b)参照)と同様に、気液交換領域EAよりは弱く、リザーバ領域RAよりは強い毛管力を発生させる。
このような効果は、囲繞孔127の断面形状が六角形形状である場合のみならず、各種多角形形状、あるいは楕円形状などの場合でも同様に奏される。
第3の実施の形態を図3に基づいて説明する。
第1及び第2の実施の形態と同一部分は同一の符号で示し、説明も省略する。
第1及び第2の実施の形態と同様に、吸蔵体ホルダ121は気液交換用の吸蔵体122とリザーバ用の吸蔵体123とを第1の保持部125と第2の保持部126とにそれぞれ保持しているので、気液交換領域EAとリザーバ領域RAとを形成している。
吸蔵体ホルダ121は、カートリッジケース172の閉じられた一端側に気液交換領域EAを向けており、カートリッジケース172の内部に貯留室131を形成している。貯留室131にはインクIKが封入されている。
このような吸蔵体ホルダ121には、中継部材151の一部が取り付けられている。つまり中継部材151は二分割され、その一方(中継部材151A)は吸蔵体ホルダ121が保持するリザーバ用の吸蔵体123に保持され、もう一方(中継部材151B)はハウジング102の側に取り付けられている。
こうして規定の位置に位置付けられたレフィル171は、二分割された一方の中継部材151Aの先端面に形成した連結凹部151Aaをもう一方の中継部材151Bの後端面に形成した連結凸部151Baに連結する。連結凹部151Aaは凹面形状、連結凸部151Baは凸面形状に形成されているのでお互いの密着性が向上し、より確実な連結がなされる。
また規定の位置に位置付けられたレフィル171は、その後端部分をハウジング102の開口部102aから飛び出させて外部に露出させる。したがってこの露出部分を摘むことで、ハウジング102に対するレフィル171の着脱作業を行うことができる。
ハウジング102の開口部102aを封止する尾栓103は、開口部102aから飛び出ているレフィル171の後端部分を覆うことができるように形成されている。
したがってレフィル171に封入されているインクIKが消費された場合、それまで装着されていたレフィル171を取り外し、インクIKが十分に封入されているレフィル171を装着すれば、アイライナー101を長期にわたり使用することが可能となる。
以上説明した第1〜第3の実施の形態については、各種の変形や変更が可能である。
例えば二つの吸蔵体122、123のいずれか一方又は両方は、スポンジなどの多孔質部材によって形成してもよい。
また連絡路124については、二個に連絡路124を分割する二箇所の位置で中継部材151Aを位置決めするようにしてもよい。このような連絡路124は、断面楕円形状に形成することによって実現可能である。
連絡路124は、テーパー形状に形成されていてもよい。この場合、気液交換領域EAに面する側からリザーバ領域RAに面する側に向かうにしたがい拡がるようなテーパー形状とする。これによってリザーバ領域RAに一旦保持されたインクIKが気液交換領域EAに戻るに際して、インクIKの移動が円滑になる。
またレフィルに関しては、上記第3の実施の形態で示したレフィル171の形態ではなく、上記第1又は第2の実施の形態でアイライナー101として説明したものをレフィルとすることもできる。この場合には、予め用意した円筒状の外装ケース(図示せず)に対して、上記第1又は第2の実施の形態でアイライナー101として説明したレフィルを着脱自在にする。
第3の実施の形態では、中継部材151を二分割し(中継部材151A、中継部材151B)、中継部材151と塗布体111とを間接的に連結しているが、直接的に連結させる構成であってもよい。例えばハウジング102の側に塗布体111のみを取り付けておき、この塗布体111にレフィル171に取り付けた単一の中継部材151を接触させるようにすることができる。
また上記第1〜第3の実施の形態はアイライナー101の各種の例を示したが、サインペンやマーキングペンなどの筆記具、スタンプ、薬剤塗布容器などに適用してもよいことは言うまでもない。
その他、あらゆる変形や変更が許容される。
102a・・・開口部
103 ・・・尾栓(栓体)
111 ・・・塗布体
121 ・・・吸蔵体ホルダ
122 ・・・気液交換用の吸蔵体
123 ・・・リザーバ用の吸蔵体
124 ・・・連絡路
125 ・・・第1の保持部(保持部)
126 ・・・第2の保持部(保持部)
127 ・・・貫通孔(囲繞孔)
131 ・・・貯留室
141 ・・・リザーバ室
151 ・・・中継部材
171 ・・・レフィル
172 ・・・カートリッジケース
IK ・・・インク(液体)
EA ・・・気液交換領域
RA ・・・リザーバ領域
Claims (8)
- 液体を貯留する貯留室と、
供給された液体を毛管現象によって吸引して一面に導く塗布体と、
前記塗布体よりも弱い力の毛管現象の作用で前記塗布体に液体を導く棒状の中継部材と、
前記貯留室から供給された液体を前記中継部材よりも弱い力の毛管現象の作用で気液交換用の吸蔵体に吸蔵し、前記中継部材に導く気液交換領域と、
前記貯留室から押し出されて前記気液交換領域を通過した液体を前記気液交換用の吸蔵体よりも弱い力の毛管現象の作用でリザーバ用の吸蔵体に吸蔵し、一時的に保持するリザーバ領域と、
前記気液交換領域よりも弱く前記リザーバ領域よりも強い力の毛管現象を生じさせる定形の隙間を介して前記気液交換領域と前記リザーバ領域とを連絡する連絡路と、
を備えることを特徴とする塗布具。 - 前記連絡路は、前記中継部材を囲繞する囲繞孔と前記中継部材との間に生ずる前記隙間によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。 - 前記連絡路は、少なくとも二個以上のN個に前記隙間を分割するN箇所の位置で前記中継部材を位置決めする、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。 - 前記連絡路は、前記中継部材を各辺で位置決めする断面多角形形状を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の塗布具。 - 先端側に前記塗布体を保持し、後端側に開口部を有する筒状のハウジングと、
前記中継部材を軸方向に貫通させ、前記中継部材の一端側を接触させるように前記気液交換用の吸蔵体を保持する保持部と、前記中継部材を貫通させるように前記リザーバ用の吸蔵体を保持する保持部とを、前記中継部材を囲繞してこの中継部材との間の前記隙間に前記連絡路を形成する囲繞孔を介して直列に配列し、前記リザーバ領域を前記塗布体の側に向けて前記ハウジングの内部に固定される吸蔵体ホルダと、
前記ハウジングの開口部を封止し、前記気液交換領域との間に前記貯留室を形成する栓体と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の塗布具。 - 先端側に前記塗布体を保持し、後端側に開閉自在の開口部を有する筒状のハウジングと、
前記貯留室と前記中継部材と前記気液交換領域と前記リザーバ領域と前記連絡路とを備え、前記ハウジングに対して着脱自在で、このハウジングに取り付けられた状態で前記中継部材を前記塗布体に連結するレフィルと、
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の塗布具。 - 前記レフィルは、
一端側が開口して別の一端側が閉じられた筒状のカートリッジケースと、
前記中継部材を軸方向に貫通させ、前記中継部材の一端側を接触させるように前記気液交換用の吸蔵体を保持する保持部と、前記中継部材を貫通させるように前記リザーバ用の吸蔵体を保持する保持部とを、前記中継部材を囲繞してこの中継部材との間の前記隙間に前記連絡路を形成する囲繞孔を介して直列に配列し、前記気液交換領域の側に前記液体を封入した前記貯留室を形成するように前記カートリッジケースの内部に固定された吸蔵体ホルダと、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の塗布具。 - 前記リザーバ領域から漏れ出た液体を貯留するリザーバ室を備える、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一に記載の塗布具。
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