JP5855868B2 - 鍛造プレス機 - Google Patents
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Description
クランク軸13は、コンロッド(コネクティングロッド)17を介してスライド16に連結され、その回転動がスライド16の往復昇降動に変換される。クランク軸13の回転はブレーキ15により停止または減速できるようになっている。
フレーム16a内に配置されたスライド16の下面には金型が取り付けられ、スライド16の下方に対向して配置されたボルスタ18にも金型が取り付けられて、スライド16の昇降動にともないワークが上下の金型によって鍛造プレスされるようになっている。
メインモータ11がインバータモータなどの汎用モータである場合、定常状態における制御には適しているが、応答性、停止精度などが悪いため過渡状態における制御には適しておらず、プレス加工時のプレス速度の素早く精度の高い調整は困難であった。
そして、量産加工中はフライホイールによりクランク軸を回転させ、所定の鍛造速度で効率よく鍛造し、試作時にはサーボモータによりクランク軸を回転させ、最適な鍛造速度を容易に短時間で選定できるようにしている。
またこのことから、サーボモータとしては、特別に高価な高出力のものを用いる必要がないため、コストを抑えることができる。
フライホイール12は、サーボモータの容量と要求されるプレス能力に応じて、その回転速度を制御しやすい大きさのGD2(GDスクウェア)を有するものが適宜選択される。
すなわち、GD2が大きくなると速度変化率が小さくなり制御が困難となり、GD2が小さくなると速度変化率が大きくなって制御が容易となる一方で、GD2が小さすぎると蓄積可能な回転エネルギーが小さくなってしまうため、その均衡から決定される。
クランク軸13は、主軸受13aに回転可能に支持されている。
一方、クランク軸13の他端には、ブレーキ(ディスク型)15が連結され、そのブレーキ15の操作により回転するクランク軸13を減速または停止できるようになっている。
このためクランク軸13の回転は、コンロッド17を介してスライド16の昇降往復動に変換されるようになっている。スライド16は、上方の待機位置(上死点付近)と下方のプレス位置(下死点付近)との間で昇降する。
またスライド16の下面には、鍛造プレスする際に用いられる金型の上型が取り付け可能となっており、この上型はワークの種類に応じて取り換え可能となっている。
ボルスタ18の上面には、金型の下型が取り付け可能となっており、かつワークの種類に応じて取り換え可能となっている。
いまスライドが待機位置にありクラッチ14が切られた状態で、メインモータ11を規定トルクで駆動させながら、その回転数を所定の回転数まで増加させてゆくと、これに伴いVベルト11aを介してフライホイール12の回転数が増加する(図2では45SPM→70SPM)。
図2のステップS1に示すように、フライホイールが予め定められた回転数になり、所定の回転エネルギーが蓄積されるまでこの状態が継続される。メインモータ11にサーボモータを使用していることから、回転数やトルクの調整が容易となっている。
このフライホイール12の加速は、たとえばワークの順送りまたはセッティングの際におこなう。
フライホイール12に所定の回転エネルギーが蓄積された状態で、クラッチ14を入れてフライホイール12とクランク軸13を接続する。
これによりクランク軸13の回転が開始され、図2のステップS2に示すように、コンロッド17を介して動力が伝達されてスライド16が待機位置から下降をはじめる。
この間、メインモータ11は駆動状態を継続させておく。
スライド16がプレス位置まで下降すると、メインモータ11の駆動を停止しそのまま空転状態とする。
プレス位置においてワークはスライド16の上型とボルスタ18の下型によりプレス加工され、これに伴いフライホイール12の回転エネルギーが消費される。メインモータ11が空転状態にあるため、メインモータ11からフライホイール12にエネルギーが補充されることはない。
そのため図2のステップS3に示すように、エネルギーの消費によりフライホイール12の回転数が減少しながらプレス作業がおこなわれる。ちなみに、フライホイール12のGD2が小さいほど、この減少量は大きなものとなる。
ここで、プレス加工時のスライドの速度を比較的遅くするほうが、成型品にしわや亀裂が発生しにくく成型の精度が高まるという知見もあることから、実施形態のようにスライド16が自動的に減速することで、成型精度の向上が期待できる。
この実施形態では、加圧ステップS3でメインモータ11を空転させているため、メインモータ11の制御が容易になっている。
プレス作業が終了すると、図2に示すように、メインモータ11を空転させたままで、フライホイール12に残存する回転エネルギーを利用してスライド16を待機位置まで上昇させる。
スライド16が待機位置まで上昇すると、クラッチ14を切ってフライホイール12からクランク軸13への回転動力を遮断する。そしてブレーキ15によりクランク軸13を停止させる。
待機位置において残存するスライド16のエネルギーが小さいため、ブレーキ15によりクランク軸13を停止させる際に要する力が小さくすむことになり、ブレーキ15の容量設計の低減化およびブレーキライニングの高寿命化が図られる。
このステップS1〜S4が繰り返されることで、プレス作業が連続的におこなわれることになる。
図示のように、この例では、実施形態と異なり、加圧ステップS3においてメインモータ11を駆動させて、その出力の範囲でフライホイール12の回転数の減少量を適宜増減させている。フライホイール12の回転数の減少量をメインモータ11によりさらに大きくしたり、逆にメインモータ11により回転数の減少量を小さくしたりして、成形精度の向上を図ることが可能である。
これにより、低出力のモータを用いた場合でも、ワークの種類に応じて最適のプレス速度に調節することができる。
これに対して、上記各実施形態の鍛造プレス機10の場合、クランク軸13の減速を50%程度まで許容する設計とし、これにより100kw程度の比較的低出力のメインモータ11が採用可能である。
本発明の範囲は以上の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
実施形態では、フレーム16aをストレートサイドフレーム(門型フレーム)としているが、フレーム16aの構造はこれに限定されず、ギャップフレーム(C型フレーム)としてもよい。実施形態では、ブレーキ15をディスク型ブレーキとしているが、これに限定されない。
フライホイール12の回転動をスライド16の昇降動に変換する機構は、コンロッド17に限定されない。
また本明細書でいうクランク軸13には、エキセン軸も含まれるものとする。
また上昇ステップS4においてメインモータ11を空転させているが、駆動させてもよい。
なお鍛造プレス方法の他例の加圧ステップS3における減速量の調整度合いは、図3に示されるものに限定されない。
11 メインモータ(サーボモータ)
11a Vベルト
12 フライホイール
13 クランク軸
13a 主軸受
14 クラッチ
15 ブレーキ
16 スライド
16a フレーム
17 コンロッド
18 ボルスタ
S1 蓄積ステップ
S2 下降ステップ
S3 加圧ステップ
S4 上昇ステップ
Claims (2)
- メインモータ11と、
前記メインモータ11により回転させられて回転エネルギーを蓄積可能な単一のフライホイール12と、
前記フライホイール12により回転させられるクランク軸13と、
前記フライホイール12からクランク軸13への回転動力を伝達状態または遮断状態に切り替え可能なクラッチ14と、
前記クランク軸13の回転を減速または停止させるブレーキ15と、
前記クランク軸13の回転動に連動して往復昇降動する、下面に鍛造プレスのための金型を取り付け可能なスライド16と、
前記スライド16の下方に対向して配置され、その上面に鍛造プレスのための金型を取り付け可能なボルスタ18と、を備え、
前記メインモータ11が100kwの低出力のサーボモータであり、前記スライド16の下降位置におけるプレス時に、クランク軸13の減速を50%許容する鍛造プレス機。 - 前記クラッチ14を切った状態で前記メインモータ11により前記フライホイール12に回転エネルギーを蓄積させたうえで、前記クラッチ14を入れて前記フライホイール12を前記クランク軸13に接続し前記スライド16を駆動させることにより、高負荷の鍛造プレスを可能とした請求項1に記載の鍛造プレス機。
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