JP5853589B2 - 運転支援装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、修正操舵を抑えつつ車線に沿った安定した走行を可能とする運転支援装置を提供することを目的としている。
この結果、運転者は走行経路からのずれを微調整するために操作子を細かく修正操舵することをしなくても、車線に沿った安定した走行を行うことが可能となる。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置を搭載した車両を説明する概念図である。
本実施形態の運転支援装置は、運転者が操舵する操作子としてのステアリングホイール1と転舵輪4の転舵とが機械的に非接続状態のステアリングバイワイヤ方式の操舵装置を備えた運転支援装置である。運転者が操舵する操作子は、ステアリングホイールである必要はなく、レバー状の操作子であっても良い。以下の例では、操作子としてステアリングホイール1を例に挙げて説明する。
上記操舵反力装置3は、操舵反力と操舵角を制御するための装置である。上記操舵反力装置3は、ステアリングホイール1と、ステアリングコラムシャフト8と、該ステアリングコラムシャフト8に対し減速ギヤ機構を介して設けられた操舵反力用アクチュエータ2と、を有する。
操舵反力用アクチュエータ2は、ステアリングコラムシャフト8を介してステアリングホイール1に操舵反力を入力するアクチュエータである。操舵反力用アクチュエータ2は、例えばモータから構成されて、上記ステアリングコラムシャフト8の回転軸を連結する。操舵反力アクチュエータに対し操舵反力用モータ角センサ9が付設されている。操舵反力用モータ角センサ9は、操舵反力アクチュエータの回転数を検出する。
転舵用アクチュエータ6は、操舵反力用アクチュエータ2と同様に、クラッチ付きのモータである。その転舵用アクチュエータ6には、転舵用モータ角センサ17が付設されている。転舵用モータ角センサ17は、転舵用アクチュエータ6の回転軸を検出することで、転舵角(車両前後方向に対する転舵輪4の傾き)を検出する。
また、符号11は、車速センサ11であって、車速を検出する。
符号12は、車両前方を撮像するカメラであって、車両の前方風景を撮像する。カメラ12は、例えば広角レンズを備えることで、車両前方に位置する複数の車線の白線情報を検出可能となっている。
符号14は、方向指示器であって、運転者の車線変更の意図を検出する装置である。
符号5は、運転者が操作可能な各種のスイッチを表す。本実施形態に関わるスイッチ5としては、付与操舵反力付加制御の有無のスイッチ、ステアリングホイール零点維持制御の有無のスイッチ、現在の走行経路を記憶するかのスイッチなどがある。
また本装置の制御部として、反力制御装置10と転舵制御装置18とを備える。
反力制御装置10は、操舵反力アクチュエータ6を制御することで、ステアリングホイール1に付加する操舵反力を制御する装置である。その反力制御装置10は、操舵制御コントローラ20と操舵反力装置用コントローラ35とを備える。この2つのコントロールは排他的に作動する。
操舵反力装置用コントローラ35は、運転者に操舵量に応じた基本の操舵反力分の反力をステアリングホイール1に入力するように操舵アクチュエータを制御するためのコントローラである。このために、操舵反力装置用コントローラ35は、操舵角に応じた制御電流を反力トルクの指令値として出力する。
走行制御コントローラ21は、操舵反力装置3からの入力、及び、前方撮像カメラ12からの入力に応じて転舵輪4を制御するためのコントローラである。
転舵装置用コントローラ36は、モデルマッチング補償器、外乱補償器、差分器、電流リミッタを設けたコントローラからなる。すなわち、上記転舵装置用コントローラ36は、ロバスト補償器による外乱推定手段と、モデルマッチング補償器と電流リミッタによりモータ制御指令値を算出するモータ制御指令値算出手段と、モータ制御指令値を転舵用アクチュエータ6の指令電流に変換するモータ駆動回路によるモータ駆動手段と、を有する。
上記操舵反力装置用コントローラ35は、転舵装置用コントローラ36からの外乱推定値のみを転舵側から操舵反力側にフィードバックし、転舵用アクチュエータ6からの実転舵角度と、操舵反力用アクチュエータ2からの実操舵角度と、を入力する。そして、指令電流を操舵反力用アクチュエータ2に対し出力すると共に、目標転舵角度を転舵制御装置18に出力する。
上記転舵装置用コントローラ36は、反力制御装置10からの目標転舵角度と、転舵用アクチュエータ6からの実転舵角度を入力する。そして、指令電流を転舵用アクチュエータ6に出力すると共に、外乱推定値を反力制御装置10に出力する。
上記転舵用アクチュエータ6は、転舵制御装置18からの指令電流を入力する。そして、反力制御装置10と転舵制御装置18に対し実転舵角度を出力する。
図2は、本実施形態の運転支援装置の操舵反力制御系および転舵角制御系の全体構成を示す図である。
上記操舵制御コントローラ20は、ベース反力生成部23,付与反力生成部24,合計反力生成部25、操舵角自動調整部26、走行経路変更方式部27、付与操舵反力入力読取り部28、経路変更にかかわる時定数の変更部29、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30、ステアリングホイールの中立位置の自動復帰部31を備える。
上記操舵制御コントローラ20は、現在走行経路予測制御部34と付与反力走行経路予測制御部32とを備える。
図3は、上記操舵制御コントローラ20及び走行制御コントローラ21の処理例を示すフローチャートである。
まず初期モード設定部22が、モードを1に設定して、ベース反力生成部23の処理及び現在走行経路予測制御部34の処理に移行する。
ここで、モードは1〜3であって、各モードは次の通りである。
モード1:手動操作(操舵角に応じた転舵角に制御)
モード2:レーン内の経路変更支援
モード3:レーン外に出るための車線変更支援
付与反力生成部24は、操舵量変化に沿って周期的に発生させる付与操舵反力を生成し、ベース反力に付加する条件を決める処理を行う。その後、合計反力生成部25の処理に移行する。
操舵角自動調整部26は、転舵角に応じた操舵角にステアリングホイール1を回転させるかを判断し、判断結果に基づきステアリングホイール1の回転を制御する。その後、走行経路変更方式部27の処理に移行する。
走行経路変更方式部27は、経路変更が現在の車線内か、白線を跨いで隣の車線に車線変更するかによって制御方式を変更する。その後、付与操舵反力入力読取り部28の処理若しくは操舵反力装置用コントローラ35の処理に移行する。
経路変更にかかわる時定数の変更部29は、運転者の操作入力を完了するまでの時間を調整する。その後、経路変更中の付与操舵反力入力処理部30に移行する。
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、運転者が入力した操作を完了する前に、運転者が操作入力をキャンセルしたときの処理と運転者が追加で操作入力したときの処理を行う。その後、ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31,付与反力走行経路予測制御部32,ベース反力生成部23に移行する。
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、運転者が入力した操作を完了する前に、運転者が操作入力をキャンセルしたときの処理と運転者が追加で操作入力したときの処理を行う。
付与反力走行経路予測制御部32は、付与操舵反力の情報に基づき走行経路を決定し走行する処理を行う。
なお、上記操舵制御コントローラ20は、上述のような、モデルマッチング補償器、外乱補償器、差分器、電流リミッタを設けた転舵制御の装置であり、転舵輪4を制御する。
ベース反力生成部23は、まずステップS37にて、付与操舵反力制御FLGがONになっているか判定する。付与操舵反力制御FLGがONで無い場合には、付与操舵反力制御を終了して、通常の反力制御となると共に、通常の操舵反力制御及び操舵量に応じた転舵制御に戻る。一方付与操舵反力制御FLGがONの場合には、ステップS38に移行する。
ステップS38では、一方向に向けた一連の操舵入力中に発生した付与操舵反力の数が2以下か否かを判定する。付与操舵反力の数が2以下の場合にはステップS39に移行する、付与操舵反力の数が2より大きい場合にはステップS66に移行する。
ステップS40では、付与操舵反力を付加する前に、車両・操舵状態からベースとなる操舵反力を算出するにあたり、必要なパラメータとして、車速、横G、転舵角、転舵角速度の情報を入力する。その後、ステップS41に移行する。
ベースとなる操舵反力 = k1×転舵角+k2×転舵速度×kv×kg
付与反力生成部24は、まずステップS42にて、付与操舵反力の算出に必要な初期パラメータを読み込む。まず、付与操舵反力のデフォルト波形設定を記録部から読み込む。この波形の周期と振幅は、後の処理で必要に応じて更新する。周期と振幅をかえるために、ステップS82の処理による前方撮像カメラ12の映像の画像処理情報に基づき、一車線内に設定する、予め設定された走行経路の数を求める。また、車両信号(車速・横G・転舵速度)を読み込む。その後、ステップS43に移行する。
ステップS44では、付与操舵反力を運転者がしっかりと認識可能なように、車速・横G・転舵速度のいずれかが、予め設定した各設定値よりも大きい場合は、付与操舵反力の振幅が大きくなる様に振幅を変更する。その後、合計反力生成部25のステップS45に移行する。
合計反力生成部25では、まずステップS45にて、ベース反力と付与操舵反力の和を求める。求めた反力の和は、モータに指令値として送るため電流指令値に変換する。その後ステップS46に移行する。
ステップS46では、ステップS45にて求めた電流指令値が、予め設定したリミット値よりも大きい場合には、そのリミット値を電流指令値とする処理を行う。この処理は、電流指令値が大きいとモータが焼け付く恐れがあるため、リミッタを設け、予め決めた値以上は電流を流さない様にするための処理である。その後、操舵角自動調整部26のステップS47へ移行する。
操舵角自動調整部26は、まずステップS47にて、転舵角によって決まる操舵角指令値と実操舵によって決まる実操舵角の差を検出する。その後、ステップS48に移行する。
ステップS48では、ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFか否かを判定する。ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFの場合にはステップS49に移行する。ステアリングホイール零点維持制御FLGがOFFでない場合にはステップS50に移行する。
ステップS49では、ステアリングホイール1の目標角度を、転舵角に基づく操舵角に設定する。その後、ステップS51に移行する。
ステップS51では、ステアリングホイール1を目標角度まで戻すのに掛かる時間の情報(時定数)を、記憶部から読み込む。すなわち時定数として予め設定した値を設定する。その後、ステップS52に移行する。
ステップS52では、予め設定した時定数に基づき、ステップS30で求めた差分値が0になる方向にPID制御などを用い操舵角を修正する。その後、走行経路変更方式部27のステップS53に移行する。
走行経路変更方式部27は、まずステップS53にて、運転者による車線変更の指示があるか否かを判定する、車線変更の指示があると判定した場合には付与操舵反力入力読取り部のステップS58に移行する。なおこの場合、モードは2のままである。一方、車線変更の指示が無いと判定した場合にはステップS54に移行する。
ステップS54では、モードを3に変更する。その後、ステップS55に移行する。
ステップS55では、車線変更前の走行位置記録の処理を行う制御がONか否かを判定する。ONと判定した場合にはステップS56に移行する。OFFと判定した場合にはステップS57に移行する。
ステップS57では、車線変更する前における自車の走行位置の記録をリセットすると共に、新たに直近の走行経路を目標車両位置に再設定する。その後、付与操舵反力入力読取り部のステップS58に移行する。
付与操舵反力入力読取り部28は、ステップS58にて運転者の操作を読み取る。その後、ステップS59に移行する。
ステップS59では、予め設定した単位時間あたりにおける、1方向に向けた連続した操舵入力中に発生した付与操舵反力の数を数える。すなわち、ステップS59では、操舵入力中に発生した付与操舵反力の数を検出する。その後、ステップS60に移行する。本実施形態では、操舵量の変化に伴い、予め設定した操舵角の変化毎に付与操舵反力が発生し、その発生する付与操舵反力をいくつ乗り越えるように操舵したかを検出する。
ステップS61では、検出した付与操舵反力の数が0か否かを判定する。付与操舵反力が0の場合にはベース反力生成部23に移行する。付与操舵反力が1以上の場合には、ステップS62に移行する。
ステップS63では、走行制御コントローラ21が、運転者が1走行経路分だけ走行経路を変更すると認識処理し、認識処理変数kに1を代入する。その後、経路変更にかかわる時定数の変更部29のステップS68に移行する。
ステップS65では、走行制御コントローラ21が、運転者が2走行経路分だけ走行経路を変更すると認識処理し、認識処理変数kに2を代入する。その後、経路変更にかかわる時定数の変更部29のステップS68に移行する。
ステップS67では、モードを1に設定変更する。その後、ベース反力生成部23のステップS37に移行する。これによって、検出した付与操舵反力の数が2以上のときが続く場合に限り、ステップS37→ステップS38→ステップS67の処理を繰り返し実行する。この繰り返し処理の間、転舵角は操舵入力に応じて変更することとなる。
経路変更にかかわる時定数の変更部29は、まずステップS68にて、経路変更に要する時定数を読み込む。このとき、走行経路を2つ分だけ移動する場合には、時定数は、走行経路を1つ分移動する場合の2倍になるように設定する。その後、ステップS69に移行する。
1/(新たな時定数) =操舵角速度 ×(1/(走行経路に応じた時定数))
経路変更中の付与操舵反力入力処理部30は、まずステップS70にてカウンタが0か否かを判定する。カウンタが0の場合、ステップS71に移行する。一方、カウンタが0で無い場合にはステップS73に移行する。なお、カウンタは、初期値が0である。
ステップS71では、新たな時定数がカウンタの値と等しいか否かを判定する。等しいと判定した場合にはステップS72に移行する。一方、一致しない場合には、ステップS76に移行する。
ステップS73では、走行経路の変更方向と操舵方向とが同じ方向か否かを判定する。同じ方向と判定した場合にはステップS74に移行する。異なる方向と判定した場合にはステップS75に移行する。
ステップS76では、キャンセル操作があったか否かを判定する。キャンセル操作があった場合にはステップS77に移行する。キャンセル操作が無い場合にはステップS78に移行する。
ステップS78では、カウンタの値を1だけ加算する。その後、ステップS79及びS92の処理に移行する。これによって、経路変更数が1だけ大きくなる。
ステップS100では、追加操作があったか否かを判定する。追加操作があったと判定した場合にはステップS101に移行する。追加操作が無かった場合にはステップS71に移行する。
ステップS101では、カウンタの値を0にリセットする。その後ステップS71に移行する。
ステアリングホイール1の中立位置の自動復帰部31は、まずステップS79にて、転舵角によって決まる操舵角指令値と運転者による操作があるときの操舵角との間に差があるかを検出する。すなわち、ステップS79にて、転舵角に基づき操舵角(操舵角指令値)と実操舵角との差分を算出する。その後、ステップS80に移行する。
ステップS80では、予め決めた時定数に基づき、ステップS79で求めた差分が0になる方向に操舵角を制御する。本ステップの制御は、PID制御でも何でも良い。その後、ステップS100に移行する。
現在走行経路予測制御部34は、カメラ12が撮像した車両前方の映像を取得する。その後、ステップS82に移行する。
ステップS82では、取得した映像に対し、車線検出するため前処理としての画像処理(グレースケール、2値化など)を施す。その後、ステップS83に移行する。この画像処理の情報は、ステップS42の処理でも使用される。
ステップS83では、上記前処理を施し映像データから、例えばカルマンフィルタを用いて白線を検出する。その後、ステップS84に移行する。
ステップS85では、車両を選択された走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対する横変位差を算出する。その後、ステップS86に移行する。
ステップS86では、車両を走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対するヨー角偏差を算出する。その後、ステップS87に移行する。
ステップS88では、左右輪の目標転舵角を算出する。その後ステップS90に移行する。
ステップS90では、転舵輪4を目標転舵角になる様に転舵制御を実行する。その後、付与操舵反力入力読取り部28のステップS58に移行する。
付与反力走行経路予測制御部32では、まずステップS91にて、認識処理変数kに応じて、車両の移動先である走行経路を決める。認識処理変数kが1のときは隣接する走行経路、認識処理変数kが2のときは2つとなりの走行経路とする。走行経路の変更方向は操舵方向側である。その後ステップS92に移行する。
ステップS93では、映像などの自車両の周囲環境の情報に基づき、上記変更経路上に他車両などの障害物がないか判定する。障害物が存在する場合には、経路変更を中断若しくは遅らせるか、変更経路の再設定を行う。この場合には、運転者にその旨を報知することが好ましい。その後、ステップS94に移行する。
ステップS95では、車両を走行経路に沿って走行させるための変数として、左右側方向に対するヨー角偏差を算出する。その後、ステップS96に移行する。
ステップS96では、走行路のカーブの曲率に基づき偏差の補正ゲインを設定変更する。偏差の補正ゲインは、カーブの曲率が大きいほど、大きな値に設定する。その後、ステップS97に移行する。
ステップS98では、左右輪の目標転舵角を算出する。その後、ステップS99に移行する。
ステップS99では、転舵輪4を目標転舵角になる様に転舵制御する。そのステップS100に移行する。
本運転支援装置では、検出された各車線内にそれぞれ複数の走行経路を設定し、その設定された複数の走行経路から選択された1つの走行経路に沿って車両が走行するように転舵輪4の転舵制御を実行する。
ここで、各車線内にそれぞれ複数の走行経路を設定するために、図15のように、本実施形態の運転支援装置は、広角カメラ12で、自車線を含む複数の車線を撮像し、その撮像した画像を画像処理して、白線位置を検出すると共に、各白線間、つまり各車線内に複数の走行経路を設定する。図15では、運転支援装置は、各車線毎に3本の走行経路を設定する場合を例示している。例えば、運転支援装置は、魚眼レンズ付カメラ12(広角カメラ12)で進行方向にある複数の車線を検出し、その結果から自車が走行可能な走行経路(右下図の白い点線、車線中央だけとは限らない)を算出する。このとき、運転支援装置は、魚眼レンズ付カメラ12で映像を座標変換して、人の目と同様な座標系にし、計算に必要な映像部分を切り出してグレースケール(or2値化)し、そして、カルマンフィルタを用いて白線検出を行い、予め定義した1車線内の走行経路の数に応じて自車が走行可能な走行経路(図中央では走行予想軌跡と表記、右下図では白い点線)を複数求める。
すなわち、図16,図17のように、運転者が操舵入力を行うと、その操舵入力に伴う操舵量の変化に沿って周期的な付与操舵反力が発生し、操舵を開始してから予め設定した設定操舵時間内において、運転支援装置は、一方向に向けた1回の連続した操舵入力によって乗り越えた付与操舵反力の数を検出する。そして運転支援装置は、検出した付与操舵反力の数に応じてデジタル的に走行経路が決定されて、その決定された走行経路に沿って転舵制御が実施される。
ここで、本実施形態では、ステアリングホイール1は転舵輪4と切り離されている。運転支援装置は、付与操舵反力とステアリングホイール1が呈する角度(操舵停止角度)はモータに流す指令電流で制御する。操舵停止角度は、操舵入力に伴い発生する付与操舵反力によって、付与操舵反力の山と山の間の谷部分となる。付与操舵反力は、操舵角の変化に応じて予め設定した操舵角毎に周期的に起こる。付与操舵反力は車両挙動に応じて決まる反力(ベース反力)に付加される。ただし、ベース反力は車速や横Gに応じて増えるが転舵角、転舵角速度に応じて増えない様にする。付与操舵反力は、転舵角や転舵角速度、横G、車速に応じて変えるようにする。
運転支援装置は、経路変更に要する時間と経路変更のための軌跡はロジスティック関数から算出する。すなわち、経路変更はロジスティック関数(ロジスティック曲線)で定義する。運転支援装置は、ロジスティック関数の引数であるCを操舵角速度と車速、横Gに応じてかえる。運転支援装置は、自車位置がロジスティック関数上のどこにあるかはカルマンフィルタなどを用い自車位置推定と次にあるべき自車位置を逐次計算しながら行う。
このため、車線がカーブしている場合には、カーブに応じた位置が中立位置となるように、つまりカーブに沿った方向にステアリングホイール1が操舵制御される。
このとき、運転者が、1付与操舵反力分を乗り越えるだけステアリングホイール1を操作した後、その操舵状態を、予め設定した設定維持時間だけ維持したと判定した場合には、更に隣の走行経路が選択されたとして、その再選択された走行経路に沿って走行するように転舵輪4を転舵制御して、当該再選択された走行経路に自動的に移行する。
すなわち、図20に示すように、1付与操舵反力入力分、経路変更している最中に逆に1付与操舵反力入力すると経路変更をキャンセルできる。1付与操舵反力入力分、経路変更している最中に、そのままステアリングホイール1を戻さないでいる、もしくは、ステアリングホイール1を同じ方向にきるとともに、もう1付与操舵反力分経路変更を行う。これより、運転者は誤操作をキャンセルできる。
車線変更前の車線内における自車位置を記録するボタンをONにしている場合、方向指示器16+1付与操舵反力分の操舵で、車線変更した車線内における相対的に同じ位置に存在する走行経路を選択するようにして、隣の車線に自車を移動させる様に指令を出す(認識処理変数kに4を代入する)。車線変更前のレーンに対する自車位置を記録するボタンをOFFにしている場合、車線直近の走行経路に車両を移動させる様に指令を出す(認識処理変数kに5を代入する)。
また、図21に示すように、操舵角速度が大きいときに経路変更の時間を短くする。車速と横Gが大きいときは経路変更の時間を長くする。経路変更の時間を操舵状態に応じてかえることができる様になり、運転者が早く経路変更を終えたいというニーズを満たすことができる。
このとき図22に示すように、操舵角速度と現在の車両位置と移動先の走行経路から、ロジスティック曲線に応じて経路変更に要する時間と車両軌跡を決め、決められた情報を元に車線変更を行う。これより、付与操舵反力信号だけで車線変更できる様になる。
モード2からモード3への遷移は、方向指示器16の指示を使用して行う。これより、レーン内とレーン外に操作の自由度をわけることにより、運転者にかかる行動選択の負荷を減らすことができる。
ベース反力生成部23は基本操舵反力算出手段を構成する。付与反力生成部24は付与操舵反力算出手段を構成する。合計反力生成部25は操舵反力入力手段を構成する。
付与反力入力読取り部28は、反力数検出手段、経路選択手段を構成する。現在走行経路予測制御部34及び付与反力走行経路予測制御部32は、車線検出手段、走行経路設定手段、転舵制御手段を構成する。方向指示器16は、車線変更指示検出手段を構成する。
本実施形態は、次の効果を奏する。
(1)操舵制御コントローラ20は、上記操作子の操舵量に応じた基本の操舵反力を算出する。操舵制御コントローラ20は、上記操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付加する付与操舵反力を算出する。操舵制御コントローラ20は、上記算出した基本の操舵反力に対し上記算出した付与操舵反力を重畳した操舵反力を上記操作子に入力する。操舵制御コントローラ20は、1方向に向けた操舵入力に伴い発生した上記付与操舵反力の数を検出する。走行制御コントローラ21は、自車両の進行方向前方に存在する車線を検出する。走行制御コントローラ21は、上記検出した車線内に複数の走行経路を設定する。操舵制御コントローラ20は、上記検出した付与操舵反力の数に基づき、設定した複数の走行経路の一つを選択する。走行制御コントローラ21は、選択した走行経路に沿って走行するように、上記転舵輪4の転舵を制御する。
このように、一方向に向けた操舵入力だけによって、デジタル的に、複数の走行経路の1つ走行経路が選択され、その選択された走行経路に沿って走行するように転舵制御される。この結果、走行経路変更のために要する修正操舵が抑制されて、運転者は、走行経路からのずれを微調整するために操作子を細かく修正操舵することをしなくても、車線に沿った安定した走行を行うことが可能となる。
これによって、付与操舵反力を、より簡易且つ確実に、操作子の操舵量の変化に伴い周期的に付加することが可能となる。
(3)走行制御コントローラ21は、車両前方を撮像するカメラ12が撮像した画像に基づき車線位置を検出する。
これによって、より確実に、車線毎に複数の走行経路を設定することが出来る。
この構成によれば、操舵した方向に操舵量に応じたデジタル値だけ走行経路が変更される。このため、経路変更が容易に実施される。
これによって、車線変更の選択が容易となる。又、現在の車線内での経路変更と車線変更とが、方向指示器16の指示で区別される別のモードとして定義される結果、不意な操舵入力によって複数の付与反力数が検出されても、レーン外に飛び出ることが防止される。
この構成によれば、誤操作や経路変更意図の思い直しなどについて、容易の対応可能となる。
(7)操舵制御コントローラ20は、付与操舵反力の数に応じて走行経路を選択したとき、その選択時の操舵位置が予め設定した設定維持時間以上維持されたと判定すると、現在選択した走行経路の隣の走行経路に選択を変更する。
この構成によれば、選択した経路選択の変更が容易となる。
この構成によれば、運転者が自らステアリングホイール1を、走行経路に応じた中立位置に戻す必要がない。また中立位置に自動復帰することで、経路選択のための操舵入力の終了を認識し易いという効果もある。
(9)操舵制御コントローラ20は、選択した新たな走行経路への経路変更に要する時間を、操舵角速度が大きいほど短くすると共に、車速若しくは横加速度が大きいほど長くする。
この構成によれば、走行状態に応じて経路変更の時間を適性に設定可能となる。
これによって、確実に新たな走行経路への移動が可能となる。
(11)走行制御コントローラ21は、操舵速度が予め設定した操舵速度以上で予め設定した操舵量以上の操舵を検出すると、付与操舵反力数に関係無く、その操舵角に応じた転舵角に制御する。
この構成によれば、緊急回避的な操舵が可能となる。
2 操舵反力用アクチュエータ
3 操舵反力装置
4 転舵輪
6 転舵用アクチュエータ
7 転舵装置
9 操舵反力用モータ角センサ
10 反力制御装置
12 カメラ
16 方向指示器
17 転舵用モータ角センサ
18 転舵制御装置
20 操舵制御コントローラ
21 走行制御コントローラ
22 初期モード設定部
23 ベース反力生成部
24 付与反力生成部
25 合計反力生成部
26 操舵角自動調整部
27 走行経路変更方式部
28 付与反力入力読取り部
29 経路変更にかかわる時定数の変更部
30 経路変更中の付与操舵反力入力処理部
31 ステアリングホイールの中立位置の自動復帰部
32 付与反力走行経路予測制御部
34 現在走行経路予測制御部
35 操舵反力装置用コントローラ
36 転舵装置用コントローラ
Claims (8)
- 運転者が操舵する操作子と上記操作子の操舵量に応じて転舵される転舵輪とが機械的に非接続状態の操舵装置と、
上記操作子の操舵量に応じた基本の操舵反力を上記操作子に入力する操舵反力制御手段と、
自車両の進行方向前方に存在する車線を検出する車線検出手段と、
上記車線検出手段が検出した車線それぞれを複数に分割した複数の走行経路の一つを選択する経路選択手段と、
上記経路選択手段が選択した走行経路に沿って走行するように、上記転舵輪の転舵を制御する転舵制御手段と、
を備えた運転支援装置において、
上記運転者の操舵入力による上記操作子の操舵量の変化に伴い予め設定した操舵角毎に周期的に付加する付与操舵反力を算出する付与操舵反力算出手段と、
上記付与操舵反力を上記基本の操舵反力に付与する制御を実施するか否かを設定する付与操舵反力制御スイッチと、
上記付与操舵反力制御スイッチによって上記付与操舵反力を付与する制御の実施が設定されているときに上記付与操舵反力を上記基本の操舵反力に付与する付与操舵反力制御手段と、
上記操舵入力を開始してから予め設定した単位時間あたりにおける、1方向に向けて連続した上記操舵入力中に上記付与操舵反力算出手段が算出し発生した上記付与操舵反力の数を検出する反力数検出手段と、
を備えており、
上記経路選択手段は、上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数が大きいほど、操舵方向に向けた上記付与操舵反力の数の分だけ、現在の自車走行位置から離れた位置の上記走行経路の一つを選択することを特徴とする運転支援装置。 - 上記車線検出手段は、車両前方を撮像するカメラが撮像した画像に基づき車線位置を検出することを特徴とする請求項1に記載した運転支援装置。
- 運転者による車線変更の指示を検出する車線変更指示検出手段を備え、
上記経路選択手段は、上記反力数検出手段が検出した付与操舵反力の数が予め設定した数以上であって、且つ車線変更指示検出手段の検出に基づき車線変更の指示があると判定した場合にだけ、現在走行中の車線とは異なる車線内の走行経路を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した運転支援装置。 - 上記転舵制御手段は、経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更のための転舵制御中に、経路変更方向とは反対方向への操舵入力による1以上の付与操舵反力を反力数検出手段が検出すると、上記経路変更を中断することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した運転支援装置。
- 上記径路選択手段は、付与操舵反力の数に応じて走行経路を選択したとき、その選択時の操舵位置が予め設定した設定維持時間以上維持されたと判定すると、現在選択した走行経路の隣の走行経路に選択を変更することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した運転支援装置。
- 転舵輪の転舵角に応じた操作子の操舵角位置を中立位置とし、
経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更が終了すると、上記中立位置に向けた復元力を操作子に付与することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に運転支援装置。 - 転舵制御手段は、経路選択手段が選択した新たな走行経路への経路変更に要する時間を、操舵角速度が大きいほど短くすると共に、車速若しくは横加速度が大きいほど長くすることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した運転支援装置。
- 転舵制御手段は、操舵速度が予め設定した操舵速度以上で予め設定した操舵量以上の操舵を検出すると、付与操舵反力数に関係無く、その操舵角に応じた転舵角に転舵輪を制御することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した運転支援装置。
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