JP4853068B2 - 車両用支援制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、障害物の回避を支援することのできる車両用支援制御装置に関するものである。
従来から、障害物の回避を行う車両用支援制御装置には、その障害物の回避走行を適切に実行することを目的として、制動操作のみで障害物を回避できないと判定された場合に、自車の車両制御モードを回避走行モードに移行させる構成のものが知られている。
この従来のものでは、回避走行モードが通常より回頭性を向上させる方向に制御特性を変更する第一モードと、第一モードより車両姿勢を強く維持させる方向に制御特性を変更する第二モードとから構成され、第一モードの実行中にハンドル操舵方向が反転した場合に第二モードに切り替えることによって、回避前から回避後までを考慮して障害物の回避を適切に行なわせるようにしている(特許文献等1参照)。
特開2000−302057号公報
ところが、この特開2000−302057号公報に開示のものでは、運転者のハンドル操舵方向の反転を検出してから制御モードを回頭性重視から車両姿勢安定性重視に切り替える構成となっていて、制御モードの切り替えの際に自車の周囲情報を用いる構成とはなっていないので、障害物回避と路外逸脱防止とを両立させるのに適した切り替えタイミングにならない場合があるという問題点が残存している。
例えば、運転者のハンドル操舵が過剰な場合、運転者のハンドル操舵の反転で回頭性重視から安定性重視に切り替えたのでは、タイミングが遅くて、切り替えた時点で既に必要以上に車両ヨー角が生じており、障害物の回避には成功しても、回避後に路外逸脱に至るリスクがあって、このリスクを十分に考慮した制御構造であるとは言い難い。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、運転者の障害物回避行動の意図を反映させつつ、緊急回避が必要と判断されたときに、その運転者の障害物回避行動による制御から緊急回避制御への切り替えを迅速に行うことのできる車両用支援制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の車両用支援制御装置は、自車前方に位置する障害物と自車前方の道路境界を含めて自車前方の道路状況を検出する前方状況検出手段と、自車の走行状態を検出する自車走行状態検出手段と、運転者の操舵量を検出する操舵量検出手段と、前記運転者の操舵量に応じて車両の操舵系を駆動する通常時車両操舵手段と、前記運転者の前記通常時車両操舵手段による回避制御によっては前記障害物を回避し切れないと判断したときに前記障害物の回避指令を行う緊急時障害物回避手段とを備え、
該緊急時障害物回避手段は、前記前方状況検出手段により検出された障害物の位置と前記自車走行状態検出手段により検出された自車両の走行状態とに基づいて前記通常時車両操舵手段による回避制御によって前記障害物の回避が可能か否かを判断する緊急支援必要性判定手段と、前記緊急支援必要性判定手段に基づき緊急支援が必要であると判断された時点である現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までに前記運転者が実行すると予想される操舵の時系列を算出する運転者操舵予測手段と、前記緊急支援必要性判定手段によって緊急支援が必要と判定されたときに前記障害物回避を行うための緊急時支援制御量を算出する支援制御量算出手段と、該支援制御量算出手段により得られた緊急時支援制御量に基づき緊急時に車輪を制御する緊急時車輪制御手段とを備え、
前記支援制御量算出手段は、前記運転者操舵予測手段による操舵の時系列に基づいて緊急支援時の車両運動を予測する車両運動予測手段と、前記現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までの間の車両運動の予測結果と前記障害物との関係から提供される障害物の回避リスク状態を評価するための状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段と、前記通常時車両操舵手段と協働して決定される車両走行軌跡の回避リスク状態が適正となるように前記状態評価関数に基づき前記緊急時支援制御量を算出する算出手段とを備え、
前記運転者操舵予測手段は、予め定められた複数個の操舵パターンを有し、前記現在時刻における操舵量と前記運転者の現在時刻における操舵速度とに基づき前記複数個の操舵パターンの中から操舵パターンを選択することによって運転者操舵予測時系列を生成することを特徴とする。
請求項2に記載の車両用支援制御装置は、自車前方に位置する障害物と自車前方の道路境界を含めて自車前方の道路状況を検出する前方状況検出手段と、自車の走行状態を検出する自車走行状態検出手段と、運転者の操舵量を検出する操舵量検出手段と、前記運転者の操舵量に応じて車両の操舵系を駆動する通常時車両操舵手段と、前記運転者の前記通常時車両操舵手段による回避制御によっては前記障害物を回避し切れないと判断したときに前記障害物の回避指令を行う緊急時障害物回避手段とを備え、
該緊急時障害物回避手段は、前記前方状況検出手段により検出された障害物の位置と前記自車走行状態検出手段により検出された自車両の走行状態とに基づいて前記通常時車両操舵手段による回避制御によって前記障害物の回避が可能か否かを判断する緊急支援必要性判定手段と、前記緊急支援必要性判定手段に基づき緊急支援が必要であると判断された時点である現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までに前記運転者が実行すると予想される操舵の時系列を算出する運転者操舵予測手段と、前記緊急支援必要性判定手段によって緊急支援が必要と判定されたときに前記障害物回避を行うための緊急時支援制御量を算出する支援制御量算出手段と、該支援制御量算出手段により得られた緊急時支援制御量に基づき緊急時に車輪を制御する緊急時車輪制御手段とを備え、
前記支援制御量算出手段は、前記運転者操舵予測手段による操舵の時系列に基づいて緊急支援時の車両運動を予測する車両運動予測手段と、前記現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までの間の車両運動の予測結果と前記障害物との関係から提供される障害物の回避リスク状態を評価するための状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段と、前記通常時車両操舵手段と協働して決定される車両走行軌跡の回避リスク状態が適正となるように前記状態評価関数に基づき前記緊急時支援制御量を算出する算出手段とを備え、
前記運転者操舵予測手段は、前記現在時刻から所定時間経過後までの間に加える操舵の結果として発生する車両運動の状態を評価する状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段とを備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の車両用支援制御装置は、前記緊急時障害物回避手段は、前記障害物の移動軌跡を予測する障害物移動軌跡予測手段を備え、前記状態評価関数は前記障害物の移動軌跡を含み、前記緊急時支援制御量は前記障害物の移動軌跡を考慮して決定されることを特徴とする。
請求項4に記載の車両用支援制御装置は、前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の操舵を行う構造であることを特徴とする。
請求項5に記載の車両用支援制御装置は、前記通常時車両転舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の制動力の差に基づき後輪を制御する構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の車両用支援制御装置は、前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は前記通常時車両操舵手段の操舵量に対応する操舵角に補正を加える構造であることを特徴とする。
請求項7に記載の車両用支援制御装置は、前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵すると共に後輪の操舵量又は後輪の制動力の差を発生させる構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の操舵を行う構造又は左右の後輪の制動力の差に基づき後輪を制御する構造であることを特徴とする。
請求項8に記載の車両用支援制御装置は、前記緊急支援必要性判定手段は、前記自車両と該自車両の前方に存在する障害物までの相対位置と前記自車両に対する前記障害物の相対速度と運転者の操舵量と運転者の操舵速度とが所定の条件を満たした場合に、緊急支援を開始させることを特徴とする。
請求項9に記載の車両用支援制御装置は、前記緊急支援必要性判定手段は、前記運転者操舵予測時系列に従って自車を運転した場合に自車と障害物との距離が所定値以下又は自車と道路境界との距離が所定値以下の場合に、緊急支援を開始させることを特徴とする。
請求項10に記載の車両用支援制御装置は、緊急支援開始後に、所定時間間隔毎に支援制御量の算出を繰り返し、支援制御量を更新して更新された支援制御量を目標値として、緊急支援を行うことを特徴とする。
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、運転者の操舵に基づく回避行動によっては回避しきれないときに、運転者の回避行動意図を反映しつつ通常時の制御から緊急時の制御への切り替えを迅速に行うことができるという効果を奏する。
特に、請求項1に記載の発明によれば、あらかじめ定められた複数個の操舵パターンから操舵パターンを選択して運転者操舵予測時系列を生成することにしたので、運転者操舵予測時系列を簡単に生成することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、運転者の操舵パターンを予測して、運転者の操舵操作のみで回避操作を行った場合を基準として緊急支援を開始させるか否かの判定を行うことにしたので、実際に緊急支援制御が必要な場面でのみ緊急支援制御が実行され、不必要に運転者の操作に介入することを防止することができるという効果を奏する。
この場合に、障害物と道路境界とを考慮して緊急時支援制御量を決定する構成とすれば、車両の制御特性を切り替える方式に較べて、障害物の回避の際にきめ細かな車両運動を実現できる。
請求項3に記載の発明によれば、障害物の移動軌跡を予測して緊急時支援制御量を決定できるので、移動障害物に対しても適切な回避支援制御を実現できるという効果を奏する。
請求項4、請求項5に記載の発明によれば、緊急時にのみ後輪の制御を行って障害物の回避を行う構成となっているので、通常走行時及び通常回避操作時には普段と変わらない運転感覚を保ちつつ、緊急時の障害物回避を実現できる。
請求項6に記載の発明によれば、運転者が操舵する前輪の操舵角を緊急時に補正する構造としたので、緊急支援時の車輪制御を前輪のみで行うことができることになり、緊急時支援制御装置を後輪制御により行う構造のものに較べて安価に制作できるという効果を奏する。
請求項7に記載の発明によれば、緊急時の制御とは別に通常時においても後輪操舵又は左右駆動力差の差の制御を行うことができるので、緊急時の障害物回避性能の向上と通常操作時の運転性の向上を両立させることができるという効果を奏する。
請求項8に記載の発明によれば、障害物との接近度合いと運転者の操舵操作とを基準として緊急回避支援の必要性を判定することにしたので、運転者の障害物との接触リスクの認知に呼応して緊急回避支援を開始することができ、回避支援制御の開始に起因する運転者の転舵操作の違和感を低減できるという効果を奏する。
請求項9に記載の発明によれば、運転者の操舵による自車の走行予想軌跡と障害物又は道路境界との接近度合いを基準として緊急回避支援制御の必要性を判定しているので、障害物との接触や路外逸脱のリスクを精度良く考慮することが可能になり、不必要な緊急回避支援制御を抑制することができる。
請求項10に記載の発明によれば、所定の時間間隔ごとに緊急時支援制御量を更新する構成となっているので、運転者の操舵パターンや障害物の移動軌跡といった不確定要素の予測について、以前の予測と現在の車両との挙動にずれが発生した場合でも速やかに新たな予測に基づく適切な緊急支援制御を実行することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図11は、本発明の第1実施例に係わる車両用支援制御装置を説明するための図である。
図1はこの実施例1に係わる車両用支援制御装置に必要な構成要素の配置図である。
この図1において、1はカメラ、2は車速センサ、3はヨーレートセンサ、4は加速度センサ、5はステアリング角度センサ、6はマイクロプロセッサ、7は後輪操舵コントローラ、8は後輪操舵角センサ、9は後輪操舵用モータである。これら各構成要素は、以下に説明するように車両10の適宜箇所に配備される。
カメラ1は、車室内前方に取り付けられて、自車前方の道路状況を撮影して、障害物、道路境界、白線等を含めて自車前方の道路状況を検出する前方状況検出手段10A(図2参照)として機能する。ここでは、カメラ1は車両10の車幅方向に間隔を開けて一対設けられ、障害物の方向及び距離を検出可能な構成となっている。
車速センサ2には、ここでは、車輪のホイール(図示を略す)に取り付けられたロータリーエンコーダが用いられ、ホイールの回転に比例して発生するパルス信号を検出することによって車速が計測される。
ヨーレートセンサ3は、車両10の中央部に設けられ、水晶振動子や半導体を用いた公知のデバイスが用いられている。このヨーレートセンサ3は、車両10に発生するヨーレートを検出する。
加速度センサ4は、適宜箇所に配備され、圧電素子等を用いた公知のデバイスが用いられ、車両10に発生する特定の方向の加速度を検出するのに用いられる。ここでは、特に車両10の横方向に発生する加速度を検出する構成を想定する。その車速センサ2、ヨーレートセンサ3、加速度センサ4は、自車の走行状態を検出する自車走行状態検出手段10Bとして機能する。なお、カメラ1を自車走行状態検出手段10Bの一部としても用いる。
ステアリング角度センサ5は、ステアリングシャフト5Aに設けられ、ステアリングシャフト5A内のギアの回転角を検出することによって、運転者の操舵によるステアリングホイール5Bの回転角度を計測するのに用いられる。そのステアリング角度センサ5は、運転者の操舵量を検出する操舵量検出手段10Cとして機能する。
マイクロプロセッサ6は、A/D変換回路、D/A変換回路、中央演算処理装置、メモリ等から構成される集積回路であり、適宜箇所に配備されている。
マイクロプロセッサ6は、そのメモリに格納されたプログラムに従って、各センサ2〜5により検出された信号の処理と緊急回避支援のための緊急支援制御量の演算を行い、その結果を後輪操舵コントローラ7に出力する。
そのマイクロプロセッサ6は、通常時車両操舵手段10Dによる回避制御によっては障害物を回避しきれないと判断したときに障害物の回避指令を行う緊急時障害物回避手段として機能し、このマイクロプロセッサ6は、前方状況検出手段10Aにより検出された障害物の位置と自車走行状態検出手段10Bにより検出された自車両の走行状態とに基づいて通常時車両操舵手段10Dによる回避制御によって障害物の回避が可能か否かを判断する緊急支援必要性判定手段6Aと、緊急支援必要性判定手段6Aに基づき緊急支援が必要であると判断された時点である現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までに前記運転者が実行すると予想される操舵の時系列を算出する運転者操舵予測手段6Bと、緊急支援必要性判定手段6Aによって緊急支援が必要と判定されたときに障害物回避を行うための緊急時支援制御量を算出する支援制御量算出手段6Cとしての機能を受け持っている。各手段の詳細については後述する。
後輪操舵コントローラ7は、制御演算を行うためのマイクロプロセッサと後輪操舵用モータ9とを駆動するための昇圧回路等から構成されている。この後輪操舵コントローラ7は、マイクロプロセッサ6から出力される緊急時支援制御量である後輪操舵角情報に基づいて目標とするサーボ制御を実行する。
後輪操舵角センサ8は、ラック−ピニオン方式の後輪操舵機構におけるラックストローク量を検出することによって操舵角の値を計測し、サーボ制御時のフィードバック信号として後輪操舵コントローラ7に向けて計測値を出力する。後輪操舵用モータ9は、ピニオンギアを回転させることによって、後輪9Dの操舵機構9Cを自動駆動する役割を担う。これらの後輪操舵コントローラ7、後輪操舵角センサ8、後輪操舵用モーター9は車両後部の適宜箇所に配備され、後輪操舵コントローラ7、後輪操舵角センサ8、後輪操舵用モータ9は支援制御量算出手段6Cにより得られた緊急時支援制御量に基づき緊急時に後輪9Dを制御する緊急時車輪制御手段10Eとしての役割を果たす。
図2は、これらの構成要素を機能面からブロック別にまとめて表現したブロック図である。
ステアリングホイール5Bと前輪操舵機構5Cとはギアを介して機械的に接続され、ステアリングホイール5Bの回転角に応じて前輪5D、5Dが操舵される。このステアリングホイール5Bと前輪操舵機構5Cとを含んで前輪5Dを制御する操舵系は既述の通常時車両操舵手段10Eを構成している。
緊急回避支援制御量の算出にあたって自車の運動状態を表す情報、具体的には自車の位置、速度、姿勢角、ヨーレート、横加速度等の情報が必要であり、これらの情報は、既述したカメラ1、車速センサ2、ヨーレートセンサ3、加速度センサ4の各情報を統合的に処理することによって得られる。
また、運転者の操舵入力に関する情報も必要であり、既述したステアリング角度センサ5によって運転者の操舵入力を計測することにより得られる。
さらに、障害物の運動状態や道路境界の位置に関する情報も必要であり、これらについては、カメラ1によって撮像したイメージを画像処理して障害物および道路境界の情報を抽出することによって得られる。画像処理による障害物や道路境界の検出手法については多数の公知技術が知られているので、ここではその具体的方法の説明は省略する。
マイクロプロセッサ6は、各センサ2〜5の信号処理に加えて、既述したように緊急支援制御量を算出する役割を担っている。マイクロプロセッサ6の図2に示す緊急支援必要性判定手段6A、運転者操舵予測手段6B、支援制御量算出手段6Cはソフトウェアモジュール群から構成され、必要機能を分担して処理を行う構成となっている。
運転者操舵予測手段6Bは、計測されたステアリング角度信号に基づき、運転者が緊急支援必要性判定手段6Aにより緊急支援が必要であると判断した時点である現在時刻から未来に実行すると予想される操舵の時系列を算出する。
カメラ1により検出された障害物について、障害物が移動している場合には、障害物移動軌跡予測手段6Dによって障害物の移動軌跡の予測が行われる。
緊急支援必要性判定手段6Aは、自車と障害物が接触するリスクが高く、なおかつ、運転者が回避のための操舵を行っている場合に、支援制御が必要であると判定して、支援制御量算出手段6Cの処理を実行する。
支援制御量算出手段6Cは、現在時刻から所定時間経過後の未来までの間に運転者の操舵と独立に制御可能な後輪9Dを操舵するために、自車にとって最も好都合な操舵パターンを算出する。
支援制御量算出手段6Cは、前輪5Dの操舵、後輪9Dの操舵の時系列に基づき緊急支援時の自車の運動状態を予測する車両運動予測手段6Eと、ある操舵パターンを実行した場合に予測される自車の運動状態が障害物の回避および路外逸脱の防止という目的に照らしてどの程度適切かを数値的に評価する状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段6Fと緊急時支援制御量を算出する算出手段6Gとを備えている。
車両運動予測手段6Eと状態評価関数生成手段6Fもソフトウェアモジュールから構成され、これらの詳細については後述する。
支援制御量算出手段6Cによって算出された後輪9Dの操舵量時系列は、順次、後輪操舵コントローラ7に操舵指令値として送られる。後輪操舵コントローラ7はマイクロプロセッサ6からの操舵指令値に基づき、後輪操舵用モータ9を駆動することによって操舵指令値に対するサーボ制御を実行する。操舵サーボ系のシステムは、公知技術を利用することによって構築することが可能なので、ここではその説明を省略する。
以下、マイクロプロセッサ6の緊急時支援制御量の算出手順について、図20に示すマイクロプロセッサ6の処理フローチャートに基づいて説明する。また、説明の具体化を図るために、この実施例では図3に示す場面を想定して処理内容の説明を行う。
図3は、自車NSが直線道路ROを走行している時に、自車NSの前方道路の左側から障害物WOとしての歩行者が横断を開始して自車NSの前方進路上に飛び出してきた場面を想定している。その自車NSの直線道路ROはその両側が仕切り壁WAで仕切られていて、道路外への逸脱が物理的に不可能な状況になっている。
マイクロプロセッサ6は、図20に示すように、カメラ1と各センサ2〜5の検出信号を読み込み、読み込まれた信号を処理して支援制御量の算出に有用な情報に変換する(S.1)。
図21は、そのステップS.1の処理内容の詳細を示す処理フローチャートである。
その図21に示すように、カメラ1によって撮像された前方道路状況を含む画像、各センサ2〜5によって検出された信号がマイクロプロセッサ6の所定のメモリ領域に格納される(S.11)。
マイクロプロセッサ6は、カメラ1によって撮像された画像を処理して道路境界ROR、ROLを検出し、自車NSと右側道路境界ROR、左側道路境界ROLまでの距離LL、LRを算出する(S.12)。
マイクロプロセッサ6では、自車NS、障害物WOの運動を記述するための座標系を設定する。この実施例では、図4に示すように、直線道路ROの進行方向に沿ってX軸を、X軸と直交する方向にY軸を設定する(S.13)。
座標原点Oは任意に選ぶことが可能であるが、例えば自車NSの重心点の現在時刻における位置をX座標の原点、道路の中心線付近にY座標の原点を設定することができる。座標系を設定することにより、自車NS、障害物WO、道路境界ROR、ROLの位置を座標値で表現することができる。ここでは、道路境界ROR、ROLをそれぞれY=yR、Y=yLと記述する。
マイクロプロセッサ6は、カメラ1によって撮像された画像を処理して障害物WOを検出し、その障害物WOの位置を算出する。画像処理によって直接的に算出された自車NSと障害物WOとの相対位置が、設定された座標系の値に変換されて所定のメモリ領域に記録される。
ここでは、障害物WOの位置を(X,Y)=(xP,yP)と記述する。また、障害物WOがそれ以前の制御周期において既に検出されている場合には、前回の障害物WOの位置と現在時刻における障害物WOの位置との差分をとることによって障害物WOの移動速度も算出されて、所定のメモリ領域に記録される。障害物WOの移動速度のX成分とY成分をそれぞれ、(vp x,vp y)と記述する(S.14)。
マイクロプロセッサ6は、ついで、自車NSの運動予測のために必要な車両運動状態量の値を算出する。この車両運動状態量としては、まず自車NSの位置が挙げられる。自車NSの位置は座標系を導入する時点で自動的にその値が定まる。ここでは、自車NSの位置を(X,Y)=(x,y)と記述する。この車両運動状態を記述するのに必要な状態量として、車両ヨー角θ、走行速度v、すべり角β、ヨーレートγがある。このうち、走行速度vについては、車両前後方向の速度成分に比べて車幅方向の速度成分が十分に小さいと仮定して、車速を非駆動輪の車輪速で近似する。
ヨーレートγはヨーレートセンサ3から得ることができる。車両ヨー角θは、ここでは、道路が直線道路ROであるので、道路境界ROR、ROLと自車NSの向いている方向との為す角度を画像処理によって推定することによって求めることができる。また、あるいは、適当な初期値を定めて、ヨーレートセンサ3の出力値を積分することによって算出してもよい。すべり角βは、車両前後方向の速度をvx、車幅方向の速度をvyと記述して、下記の式(1)によって求めることができる(S.15)。
Figure 0004853068
ここで、車両前後方向の速度vxを走行速度vによって近似し、車幅方向の速度vyを加速度センサ4の出力を積分することによって求めれば、(1)式からすべり角βの近似値が得られる。
この他、車輪速、ヨーレート、車幅方向の加速度(横加速度)等の信号をオブザーバを用いることによって、より精度良くすべり角βを推定する公知技術も知られているので、そのような手法を用いてすべり角βを得てもよい。
ついで、マイクロプロセッサ6は、ステアリング角度センサ5の検出値と、それ以前の制御周期におけるステアリング角度センサ5の検出値との差分をとることによって、ステアリングホィール5Bの回転角速度の値を算出する(S.16)。
マイクロプロセッサ2は、ついで、支援制御必要性判定を行う(S.2)。この実施例では、自車NSと障害物WOとの相対的運動状態から、自車NSと障害物WOとの回避リスクを評価する。具体的には、次の条件式で回避リスクの高さを判定する。
Figure 0004853068
更に、運転者が回避操舵を行ったか否かを次式で判定する。
Figure 0004853068
ただし、TTC0、Y0、ω0は判定のための閾値を表すパラメータである。(2)、(3)、(4)式が全て成立した場合に支援制御が必要であると判定を下す。
支援制御の必要がないと判定した場合には処理を終了する。支援制御の必要があると判定した場合には、S.3の処理に移行する。
障害物WOの未来の移動軌跡を推定する。障害物WOの位置については、画像処理によってその座標値を決めることができることは既述した。移動軌跡の推定については、単純方法として、例えば、障害物WOのそれまでの検出履歴から障害物WOの移動速度を推定し、障害物WOが推定した移動速度を保って等速直線運動を行うという仮定のもとに移動軌跡を算出できる。すなわち、時刻tにおける障害物WOの位置の推定値を次式によって算出する(S.3)。
Figure 0004853068
なお、障害物WOが静止していると判定したときには、障害物WOの位置は時刻によって変化しないので、S.3の処理をスキップしてもよい。
マイクロプロセッサ6は、ついで、運転者の操舵パターンの予測を行う(S.4)。ここでは、回避のための操舵が図5に示す基本パターンFDPによって行われるものと仮定し、実際の運転者の操舵操作に応じて、基本パターンFDPに基づき具体的な操舵パターンの形状が関数を用いて決定される。
図5に示す基本パターンは、八区間に分割され、各区間はDB1:操作前、DB2:回避方向へ操舵、DB3:操舵角保持、DB4:中立位置への戻し操作、DB5:逆方向へ操舵、DB6:操舵角保持、DB7:中立位置への戻し操作、DB8:操作完了というステアリングホィール(ハンドル)操作状態に対応している。
ここで、具体的な操舵パターンの形状を関数を用いて決めるのに必要なパラメータとして、操舵角速度κ、操舵角振幅θms、切り替え時刻T1がある。
このうち、操舵角速度κを、支援制御必要性判定時点の時刻t0におけるステアリング角速度をωs(t0)として、
Figure 0004853068
を用いる。
操舵角振幅θmsについては、運転者がステアリングハンドル(ステアリングホィール5B)を持ち替えることなく操作できる角度範囲を基準として適当な値を用いる。
切り替え時刻T1については、運転者が障害物WOの真横を通過する時点においてステアリングホィール5Bを中立位置に戻す操作を行うものと仮定して設定する。図3の場面において、自車NSがほぼ等速走行していると仮定して、
Figure 0004853068
を用いる。
すなわち、マイクロプロセッサ6は、(7)式、(8)式を用いて設定した操舵パターンの中から、図6に示すように、区間DV2においてステアリングホィール5Bの操舵角度θsがθs(t0)になった時点t0を基点とし、あらかじめ決められた予測区間長さTの時間区間を切り出して操舵パターンを運転者操舵予測時系列として決定する。
なお、上記の説明では操舵開始時のステアリング角度θsが、
Figure 0004853068
の範囲内にあるものとして説明したが、操舵開始時におけるステアリング角度θsが上記(9)式の範囲を超えている場合、ハンドルの持ち替えが行われていると仮定して、その時点でのステアリング角度θsを中心として操舵角振幅+θms、−θmsの範囲に操舵パターン予測値のとりうる範囲を設定する。すなわち、
Figure 0004853068
で表される範囲に操舵予測時系列を生成する。
また、(9)式の範囲内で、場合によっては区間DV2で設定された直線から区間DV4で設定される直線へ直接移行することも考えられるが、その場合には区間DV3は設定されず、区間DV2から区間DV4へ直接遷移するパターンが生成される。これに対応して、区間DV6は消滅し、区間DV5から区間DV7へ直接遷移するパターンが生成される。
なお、予測区間長さTとしては、障害物WOの回避後の運動まで考慮した予測ができるような設定が望ましいので、例えば、
Figure 0004853068
という設定が考えられる。
以上で、マイクロプロセッサ6のステップS.4の処理の内容の説明を終わる。
マイクロプロセッサ6は、ついで支援制御量の算出を行う(S.5)。図2に示す支援制御量算出手段6Cは、既述したように車両運動予測手段6Eと、状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段6Fとを備えている。
車両運動予測手段6Eは、具体的な操作パターンを決めた場合にその結果として予想される車両運動の予測を車両モデルに基づいて行う。車両モデルとしては各種のモデルを利用することができるが、この実施例では、四輪車両の運動を二輪車両の運動に近似した二輪モデルに基づいて運動予測を行うものとする。
車両速度が一定であると仮定すると、二輪モデルは以下の微分方程式で記述される。
Figure 0004853068
ただし、m、I、lf、lrはそれぞれ車両質量、車両ヨー慣性モーメント、車両重心から前輪軸までの距離、車両重心から後輪軸までの距離を表す。Yf、Yrはタイヤ横力をあらわす関数であり、それぞれ、前輪すべり角βf、後輪すべり角βrの関数であると仮定している。
具体的なタイヤ横力Yf、Yrの関数の形状の例を図7に示す。なお、前輪すべり角βf、後輪すべり角βrは次式を用いて計算できる。
Figure 0004853068
ここで、δf、δrはそれぞれ前輪舵角と後輪舵角とを示す記号である。
以上のモデルを用いる場合、車両の運動状態を表す状態ベクトルは、
Figure 0004853068
という6次元のベクトルとなる。また、車両に対する操作入力としては前輪舵角δfと後輪舵角δrの二つがあるので、入力ベクトルは、
Figure 0004853068
という2次元のベクトルとなる。(11)式から(17)式で表現されるモデルは、舵角δを入力とする非線形微分方程式であり、車両運動モデルの右辺をまとめてベクトル値関数と表記すれば、
Figure 0004853068
という一般的な表現式で表すことができる。入力ベクトルのうち、前輪舵角δfについては、運転者のステアリング操作と1対1に対応しており、ステップS.4で生成された運転者操舵予測時系列と関連付けられる。ステアリング角度θsから前輪舵角δfまでのトータルのギア比をKfとすれば、
Figure 0004853068
によって、前輪舵角δfは決定される。従って、実質的には(21)式の入力は、後輪舵角δrの一つだけである。
評価関数は、現在時刻から所定時間経過後までに車両に対して加えた後輪舵角操作量に対する車両状態ベクトルの予測値に基づいて次式の関数を用いて生成する。
Figure 0004853068
ただし、Lは現在時刻t0から経過時刻t0+Tまでの間の各時刻における車両運動状態および操作量の望ましさを評価する評価式、τは現在時刻t0から経過時刻t0+Tまで変化する積分変数である。
(24)式に示す状態評価関数Jを用いることにより、車両の現在の走行状態だけでなく、未来の車両状態を予測した操作量の算出が可能になる。
評価式Lは、以下の要請項目を反映させて、これらの要請項目を組み合わせることによって作成する。
「1. 障害物WOに近づきすぎない;2.道路境界ROR、ROLに近づきすぎない;3. 後輪舵角δrを必要以上に切りすぎない」
要請項目1は、自車NSと障害物WOとの距離が近くなれば近くなるほど値が大きくなる関数を用いて記述する。具体的には、例えば次式の関数を用いる。
Figure 0004853068
ただし、σx、σyは関数の形状を決めるパラメータであり、ここでは、それぞれ検出された障害物WOのx軸方向の幅、y軸方向の幅に応じた値が設定される。奥行き方向であるx軸方向の情報が得られない場合には、σx=σyと設定する。障害物WOの位置xp、ypには、ステップS.3において算出された障害物WOの移動軌跡の値が用いられる。
要請項目2は、自車NSと道路境界ROR、ROLとの距離が近くなれば近くなるほど値が大きくなる関数を用いて記述する。具体的には、例えば次式の関数を用いる。
Figure 0004853068
ただし、Δは道路境界ROR、ROLへの接近の余裕幅を指定するパラメータであり、Δの値が大きいほど、道路境界ROR、ROLとの接近余裕を大きくとる回避経路が算出される。
評価式LPと評価式LRとは直線道路RO上に障害物WOと道路境界ROR、ROWとに対する回避リスクを反映したリスクポテンシャルを定義することになる。
図8はその評価式LPとその評価式LRとを足し合わせすことによって得られた状態評価関数JをX―Y座標系上にプロットした図を示している。中央の山の部分MPが障害物WOに対応する式によって形成されたポテンシャルであり、中央の山の部分MPの両側の谷の部分MTを挟んで、その両側の山の傾斜面部分MKが道路境界ROR、ROLに対応する関数によって形成されたポテンシャルである。
回避経路は、図8に示す谷の部分MTに相当するリスクポテンシャル場の値の低い領域に可能な限り沿うように生成されることになる。
要請項目3は、なるべく小さな舵角で回避操作を行うことによって効率的な回避を行うことを要請するために導入した項目である。この評価式LPには、例えば、次式の関数を用いる。
Figure 0004853068
以上、三つの評価式に適当な重みづけをして足し合わせた関数を、評価式Lを用いる。すなわち、wR、wP、wrをそれぞれ要項項目1、2、3に対する重みづけとすると、評価式Lは、
Figure 0004853068
という式によって表される。
このように表された車両運動モデルと状態評価関数Jとに基づいて、支援制御量算出手段6Cは、評価関数値を最良とする緊急時支援制御量、この場合、後輪舵角δrを算出する演算を行う。
(22)式に従う制御対象に対して、(24)式のような形の状態評価関数Jの値を最良とする操作量を求める問題は、最適制御問題として広く知られている問題であり、その数値解を算出するアルゴリズムが公知技術として開示されている。そのような公知文献の一つに、例えば「T. Ohtsuka, “A continuation /GMRES method for fast computation of nonlinear receding horizon control”, Automatica, vol.40, 563/574, 2004. 」がある。
そこで、このような数値演算技術を用いて、支援制御量である後輪舵角δrの時刻tから時刻t+Tまでの時系列が算出される。実際の操作量の算出にあたっては、評価区間を適当なステップ数Nで分割して、各離散化ステップ時点における操作量の値を算出することになる。すなわち、
Figure 0004853068
というN成分からなる後輪舵角δr *の時系列が得られる。
ステップ6では、算出されたδr *をマイクロプロセッサ6の内部のバッファメモリ領域に格納する処理が行われて、マイクロプロセッサ6の処理が終了する。バッファメモリ領域に格納された操作量としての後輪舵角δr *の時系列は、後段の後輪操舵コントローラ7によって必要に応じて適宜読み出される。
この実施例1の場合、バッファメモリ領域に緊急時支援制御量がセットされると、後輪操舵コントローラ7が起動され、バッファメモリ領域の操舵指令値(後輪舵角指令値)をT/Nの時間周期で順番に読み込み、読み込まれた後輪舵角指令値を目標舵角として後輪操舵角のサーボ制御を実行する。
バッファメモリ領域にセットされた操作量が全て読み出された時点でサーボ制御が終了し、ドライバーが運転を行う通常走行の状態に復帰する。
図9は運転者操舵予測手段6Bによる予測に基づいて算出した前輪舵角時系列と、支援制御量算出手段6Cによって算出された後輪舵角の時系列の例の対応関係の一例を示している。
また、図10は前輪5Dのみを操舵した場合の車両軌跡、図11は前輪5Dと後輪9Dとを操舵した場合の車両軌跡をそれぞれ示す。図10に示すように、運転者の操作による前輪5Dのみの操舵の場合、操舵角が大きいために、障害物WOの回避には成功するものの、回避後の復帰挙動が間に合わずに道路境界RORである仕切り壁WAを回避できない車両挙動となっている。
これに対して、後輪操舵を加えた場合、最初に前輪5Dと同方向に操舵することによって車両姿勢を保ち、前輪5Dの操舵方向が変わるよりも少し遅れて後輪9Dの操舵方向を反転させることによって、障害物WOの真横を通過するタイミングで前後逆相の操舵状態を形成して、車両姿勢を大きく変化させ、路外逸脱を防止する車両挙動が得られている。
図12は、この実施例2に係わる車両用支援制御装置に必要な構成要素の配置図である。
この実施例2では、後輪9Dに駆動モータ9Gと自動制御が可能なブレーキアクチュエータ9Hとを備え、左右の後輪9Dそれぞれの制動力と駆動力を調整することができる構成となっている。
これらの駆動モータ9Gとブレーキアクチュエータ9Hとを制動力差コントローラ7’によって制御することにより、後輪9Dに発生する駆動力又は制動力の左右の後輪9D間での差を生じさせ、左右の後輪9Dの駆動力差(制動力差)によって、車体にヨーモーメントを発生させ、緊急回避支援制御を行う構成となっている。その他の構成は実施例1と同様である。
この実施例2では、緊急回避支援制御を後輪操舵にかえて左右制駆動力差で実行すること以外、実施例1とほぼ同じであり、マイクロプロセッサ6による処理も図20、図21に示すフローチャートに従って行われる。ただし、車両運動予測手段6Eの車両運動モデルを表す(12)から(19)式のうち、(17)式と(19)式とが下記の(30)式、(31)式に置換される。
Figure 0004853068
また、これに伴って、(24)式の状態評価関数Jを生成する(28)式で記述されていた評価式Lも、後輪舵角δrを評価する評価項wr・Lrに代わって、後輪左右制駆動力差を評価する評価項wu・Luが加わることになる。すなわち、評価式Lは次式のようになる。
Figure 0004853068
ここで、wuは左右制駆動力差に対する評価重みを表すパラメータである。
左右制駆動力差は、後輪操舵と同様に車両の姿勢を制御する作用があるので、図3の場面に適用した場合、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図13ないし図15は、この実施例3に係わる車両用支援制御装置を説明するための図である。
図13において、5Gは電磁クラッチ、5Hは前輪操舵モータである。ステアリングホイール5Bと前輪操舵機構5Cとが電磁クラッチ5Gによって連結され、電磁クラッチ5Gによる連結時は、実施例1と同様にステアリングホイール5Bの回転角度に応じて前輪操舵角が操舵される構成となっているが、電磁クラッチ5Gを切り離すと、前輪操舵モータ5Hを駆動することによって、運転者のステアリング操作とは独立して前輪操舵角を制御できるようにしたものである。
これに対応させて、前輪5Dを自動制御するための前輪操舵角コントローラ5Jと前輪操舵角センサ5Mとが車両10に設けられている。
この実施例3のマイクロプロセッサ6の処理を図22に示すフローチャートに従って説明する。
マイクロプロセッサ6は、角センサからの信号の読み込みと処理を行う(S.1’)。このステップS.1’の処理は実施例1の処理と同じ処理である。
マイクロプロセッサ6は、ついで、支援制御の必要性を判定する(S.2’)。このステップS.2の処理も実施例1と同様であり、、例えば(2)、(3)式が両方とも成立した場合に支援制御が必要であると判定し、そうでない場合には支援制御は不要であると判定する。
マイクロプロセッサ6は、支援制御が必要であると判定した場合、支援制御の実行状態を記録する支援制御実行フラグをONにしたうえで、ステップS.3’からステップS.8’までの処理を順次実行する。これらの処理のうち、ステップS.3’の処理とステップS.4’の処理とは、実施例1と同じ処理である。
ステップS.5’の処理も、基本的には実施例1の計算方法と同様の計算方法に基づいて支援制御量を算出するが、この実施例では運転者による前輪操舵を補正するように支援制御を実行する構成となっているので、車両運動予測手段6Eと状態評価関数Jをそのような構成に合わせた設定とする。具体的には、実施例1において用いられた車両運動モデルを表す(12)から(19)式のうち、(18)式が以下の(34)式に、(19)式が(31)式に置換される。
Figure 0004853068
ただし、δf pは運転者操舵予測手段6Bによって算出されたステアリング角度に基づいて(23)式によって算出される前輪操舵角の予測値、δf uは緊急支援制御による前輪舵角の補正量を表す。
また、これに伴って、(24)式の状態評価関数Jを生成する(28)式の評価式Lについても、後輪舵角を評価する評価項に代わって前輪舵角補正量を評価する評価項が加わることになる。
すなわち、評価式Lは次式のようになる。
Figure 0004853068
ここで、wfは前輪舵角補正量に対する評価重み付けを意味するパラメータである。
これらの設定により、最適化計算用のアルゴリズムを用いることにより、実施例1の(29)式に相当する前輪舵角補正量の時系列δf u*が得られる。従って、運転者操舵予測手段6Bによって算出した時系列δf pと足し合わせることによって、前輪操舵角の時系列が次式から得られる。
Figure 0004853068
マイクロプロセッサ6は、以前にバッファメモリに記録された制御量の有無に関係なく、バッファメモリの内容をクリアしたうえで、ステップS.5’において算出された前輪舵角補正量の時系列(37)式をバッファメモリに記録する(S.6’)。
ついで、マイクロプロセッサ6は、バッファメモリの先頭に記録されている前輪操舵角の指令値を前輪操舵角コントローラ5Jに出力し、前輪操舵角コントローラ5Jは指令値を受け取って指令値を実現するべく制御を実行する。
マイクロプロセッサ6は、ついで、バッファメモリの先頭指令値をバッファメモリから削除し、2番目以降の指令値を先頭方向にシフトする操作を行う。これによって、2番目の位置に記録されていた指令値が先頭指令値となる。なお、バッファメモリの最後尾には指令値「0」が記録されている。
マイクロプロセッサ2は、緊急支援制御が不要であると判定した場合には、ステップS.9’において現在、緊急支援制御を実行中であるか否かを支援制御実行フラグの値から判定する。
マイクロプロセッサ2は、支援制御を実行していないと判断した場合、ステップS.12’において支援制御実行フラグをOFFにしたまま処理を終了する。支援制御を実行していると判定した場合、ステップS.10’に移行する。
マイクロプロセッサ2は、ステップS.10’において、バッファメモリの内容をチェックし、バッファメモリが空であるか否か、すなわち、バッファメモリの全ての指令値が「0」であるか否かを判断し、バッファメモリの全ての指令値が「0」であるときには、必要な支援制御が終了したものとして、ステップS.12’に移行して支援制御実行フラグをOFFにして処理を終了する。
マイクロプロセッサ2は、バッファメモリに指令値として「0」以外の指令値が残存している場合、制御を続行するためバッファメモリの内容を保持して(S.11’)、ステップS.7’に移行し、残存する指令値を順次実行する処理を続ける。
図3に示す場面にこの実施例3を適用した場合の結果の前輪操舵角の一例を図14に示し、図13に示す前輪操舵角の補正を行った場合の車両運動軌跡を図15に示す。
図14において、破線は運転者の操舵に従った場合の操舵角であり、実線は緊急支援制御を実行して、運転者の操舵に補正を加えた場合の操舵角である。
この図14において、運転者の操舵角に較べて、緊急支援制御の操舵角が小さくなっており、運転者の過剰な操舵を抑制する方向に前輪操舵角の補正が行われている。その結果、補正を行わない場合には図11に示すように路外逸脱に至る結果が予想されるのに対し、緊急支援制御実行の場合には、図15に示すように、自車NSが路外逸脱に至ることのない回避経路となっている。
この実施例3では、既述したように制御周期毎に指令値の時系列を更新する構成となっているので、このように制御周期毎に、指令値の時系列を更新する構成とすると、運転者の操舵予測や障害物の移動予測が当初の予測からはずれた場合でも、最新の予測に基づき適切な指令値の算出を行うことができる。
図16ないし図19は、実施例4に係わる車両用支援制御装置を説明するための図である。
この実施例4に係わる車両用支援制御装置のハードウェアの構成には、実施例1の図1に示す配備構造のものを用いる。
図16は、実施例4に係わる制御系のブロック図を示している。この実施例4では、ステアリング角度センサ5の検出出力がマイクロプロセッサ6と後輪操舵コントローラ7とに入力されている。運転者操舵予測手段6Bは車両運動予測手段6E’と運転者操舵評価関数生成手段6F’とを含むように拡張されている。
図17は、制御系の信号系統をブロック線図で示している。
実施例1では、前輪5Dは運転者のステアリング操作で操舵され、後輪9Dは支援制御量算出手段6Cによって算出された操舵指令値に基づいて操舵される構成となっていたが、この実施例4では緊急回避のための支援を必要としない通常の走行状態においても、運転者のステアリング操作に応じて前輪5Dだけではなく後輪9Dも操舵される構成となっている。
緊急回避のための支援を行う場合、通常走行時の操舵指令値に支援制御量算出手段6Cで算出された指令値が重畳されて後輪9Dが操舵される。すなわち、実施例1と比較してこの実施例4では、緊急支援時のみではなく通常の走行時においても、後輪操舵制御を実行している。
運転者のステアリング操作に連動した後輪操舵の制御則として、各種の方法が公知技術としてあり、この実施例の通常走行時の制御則には、そのような公知技術の中から適当な技術を選ぶことができる。
利用可能な公知技術としては、例えば、「伊藤、藤代、川邊、金井、越智:“四輪操舵車の新しい制御法”、計測自動制御学会論文集、Vol.23、No.8、pp.828-834 (1987)」がある。
これらの公知技術を含め、後輪操舵の制御則はステアリング角度を入力とし、ヨーレートや車両速度信号をフィードバックして、後輪舵角を出力とする構成をとることになるので、制御則は一般に、
Figure 0004853068
という式で表される。ここで、xcは後輪操舵制御則の状態量、g、hは制御則を表す関数である。
この実施例4においては、通常回避走行時は(38)、(39)式の制御則に基づいて後輪9Dを操舵し、緊急支援制御が必要であると判定した場合には、(38)式、(39)式の制御則を補正する制御量を支援制御量算出手段6Cによって算出し、下記の式
Figure 0004853068
を最終的な後輪操舵角として実現するという制御を実施する。
支援制御量算出のためのマイクロプロセッサ6の処理自体は実施例と1ほぼ同じであり、図21および図22のフローチャートに従って処理が行われる。ただし、車両運動予測手段6Eの車両運動モデルは、(22)、(23)、(38)、(39)、(40)式を連立して得られる次式のモデルに変更される。
Figure 0004853068
ただし、
Figure 0004853068
である。
θsは運転者操舵予測手段6Bで算出される運転者操舵パターンの時系列である。
また、これに伴って後輪舵角を評価する評価項(27)式が、補正量δr uを評価する以下の評価式に置換される。
Figure 0004853068
また、この実施例4では、図21に示すステップS.4の運転者操舵パターンの予測を、支援制御量算出手段6Cと同様の最適化演算に基づいて算出する。すなわち、θsを以下の最適化問題を解くことによって得る。
Figure 0004853068
ただし、wp’、WR’は、 それぞれ(25)、(26)式の評価項に対する評価重み付けを表すパラメータである。また、wθは下記に示す評価項に対する評価重み付けである。
以上のように導入した後輪操舵制御則と運転者操舵予測を図3の場面に適用して得られた操舵の一例を図18に示す。この図18では、通常時の後輪操舵制御則は、車両の旋回性能が向上するように設定され、後輪9Dを前輪5Dとは逆相に切って、初期の旋回速度を高める結果が得られている。実施例1と同様に、運転者がステアリングをθsまで操作して前輪舵角がδfまで到達するパターンでは、図10に示すと同じように路外逸脱するような走行軌跡となることが予想される。
これに対して、緊急支援制御量を算出して後輪操舵角を補正した結果の一例が図19に示されている。通常時の制御則によって前輪5Dと逆相方向に操舵していた後輪9Dをすみやかに前輪5Dと同相方向に修正することによって、車両姿勢を安定させことにより、図11に示すと同様に障害物WOの回避と路外逸脱の防止とを両立する操作量が得られている。
この実施例4では、通常回避走行時、緊急支援時、運転者の操舵に加えて後輪操舵を用いる方法を示したが、運転者の操舵に加えて後輪9Dの左右駆動力(制動力)差により、車体にヨーモーメントを発生させる方法を用いても良い。
なお、以上説明した実施例1ないし実施例4では、(2)式〜(4)式が全て成立した場合に、緊急支援を開始させているが、運転者操舵予測時系列に従って自車NSを運転した場合に、自車NSと障害物WO(又は道路境界ROR、ROL)との距離が所定距離よりも小さい場合に、緊急支援の制御開始をさせても良い。
本発明の実施例1に係わる緊急支援制御装置の配備状態を示す説明図である。 図1に示す緊急支援制御装置の機能を説明するためのブロック図である。 図1に示す緊急支援制御装置の適用場面の一例を示す図である。 図3に示す適用場面に自車状態量の定義のための座標系を設定した状態を示す説明図である。 実施例1の運転者操舵予測の原形となる操舵パターンを示す説明図である。 実施例1の運転者操舵予測の予測結果の操舵予測時系列を示す説明図である。 車両運動モデルのタイヤ横力の関数形状の一例を示す説明図である。 図3に示す障害物と道路境界とから生成される状態評価関数の形状の一例を示す説明図である。 図2に示す運転者操舵予測手段に基づいて算出された前輪操舵時系列と最適支援制御量算出手段で算出された後輪操舵時系列の一例を示す図である。 実施例1の前輪操舵のみを行った場合の車両運動軌跡の一例を示す図である。 実施例1の前輪操舵に加えて後輪操舵を行った場合の車両運動軌跡の一例を示す図である。 本発明の実施例2に係わる緊急支援制御装置の配備状態を示す説明図である。 本発明の実施例3に係わる緊急支援制御装置の配備状態を示す説明図である。 実施例3の運転者操舵予測手段に基づいて算出された前輪操舵時系列と支援制御量算出手段で算出された補正量を加えた場合の前輪操舵角時系列を示す説明図である。 実施例3の前輪操舵を補正した場合の車両運動軌跡の一例を示す図である。 本発明の実施例4の緊急支援制御装置の機能を説明するためのブロック図である。 実施例4の制御系の信号系統のブロック線図である。 実施例4の運転者操舵予測手段によって算出された前輪操舵角の時系列と予想された操舵パターンを実行した場合の後輪操舵角の時系列を示す図である。 実施例4の後輪操舵角に支援制御量算出手段で算出された補正量を加えた場合の後輪操舵角時系列を示す図である。 本発明の実施例1のマイクロプロセッサの処理フローチャートである。 図21のステップS.1の処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 本発明の実施例3のマイクロプロセッサによる処理フローチャートである。
符号の説明
6…マイクロプロセッサ(緊急時障害物回避手段)
10D…通常時車両操舵手段

Claims (10)

  1. 自車前方に位置する障害物と自車前方の道路境界を含めて自車前方の道路状況を検出する前方状況検出手段と、自車の走行状態を検出する自車走行状態検出手段と、運転者の操舵量を検出する操舵量検出手段と、前記運転者の操舵量に応じて車両の操舵系を駆動する通常時車両操舵手段と、前記運転者の前記通常時車両操舵手段による回避制御によっては前記障害物を回避し切れないと判断したときに前記障害物の回避指令を行う緊急時障害物回避手段とを備え、
    該緊急時障害物回避手段は、前記前方状況検出手段により検出された障害物の位置と前記自車走行状態検出手段により検出された自車両の走行状態とに基づいて前記通常時車両操舵手段による回避制御によって前記障害物の回避が可能か否かを判断する緊急支援必要性判定手段と、前記緊急支援必要性判定手段に基づき緊急支援が必要であると判断された時点である現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までに前記運転者が実行すると予想される操舵の時系列を算出する運転者操舵予測手段と、前記緊急支援必要性判定手段によって緊急支援が必要と判定されたときに前記障害物回避を行うための緊急時支援制御量を算出する支援制御量算出手段と、該支援制御量算出手段により得られた緊急時支援制御量に基づき緊急時に車輪を制御する緊急時車輪制御手段とを備え、
    前記支援制御量算出手段は、前記運転者操舵予測手段による操舵の時系列に基づいて緊急支援時の車両運動を予測する車両運動予測手段と、前記現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までの間の車両運動の予測結果と前記障害物との関係から提供される障害物の回避リスク状態を評価するための状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段と、前記通常時車両操舵手段と協働して決定される車両走行軌跡の回避リスク状態が適正となるように前記状態評価関数に基づき前記緊急時支援制御量を算出する算出手段とを備え、
    前記運転者操舵予測手段は、予め定められた複数個の操舵パターンを有し、前記現在時刻における操舵量と前記運転者の現在時刻における操舵速度とに基づき前記複数個の操舵パターンの中から操舵パターンを選択することによって運転者操舵予測時系列を生成することを特徴とする車両用支援制御装置。
  2. 自車前方に位置する障害物と自車前方の道路境界を含めて自車前方の道路状況を検出する前方状況検出手段と、自車の走行状態を検出する自車走行状態検出手段と、運転者の操舵量を検出する操舵量検出手段と、前記運転者の操舵量に応じて車両の操舵系を駆動する通常時車両操舵手段と、前記運転者の前記通常時車両操舵手段による回避制御によっては前記障害物を回避し切れないと判断したときに前記障害物の回避指令を行う緊急時障害物回避手段とを備え、
    該緊急時障害物回避手段は、前記前方状況検出手段により検出された障害物の位置と前記自車走行状態検出手段により検出された自車両の走行状態とに基づいて前記通常時車両操舵手段による回避制御によって前記障害物の回避が可能か否かを判断する緊急支援必要性判定手段と、前記緊急支援必要性判定手段に基づき緊急支援が必要であると判断された時点である現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までに前記運転者が実行すると予想される操舵の時系列を算出する運転者操舵予測手段と、前記緊急支援必要性判定手段によって緊急支援が必要と判定されたときに前記障害物回避を行うための緊急時支援制御量を算出する支援制御量算出手段と、該支援制御量算出手段により得られた緊急時支援制御量に基づき緊急時に車輪を制御する緊急時車輪制御手段とを備え、
    前記支援制御量算出手段は、前記運転者操舵予測手段による操舵の時系列に基づいて緊急支援時の車両運動を予測する車両運動予測手段と、前記現在時刻から所定時間経過後の経過時刻までの間の車両運動の予測結果と前記障害物との関係から提供される障害物の回避リスク状態を評価するための状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段と、前記通常時車両操舵手段と協働して決定される車両走行軌跡の回避リスク状態が適正となるように前記状態評価関数に基づき前記緊急時支援制御量を算出する算出手段とを備え、
    前記運転者操舵予測手段は、前記現在時刻から所定時間経過後までの間に加える操舵の結果として発生する車両運動の状態を評価する状態評価関数を生成する状態評価関数生成手段とを備えていることを特徴とする車両用支援制御装置。
  3. 前記緊急時障害物回避手段は、前記障害物の移動軌跡を予測する障害物移動軌跡予測手段を備え、前記状態評価関数は前記障害物の移動軌跡を含み、前記緊急時支援制御量は前記障害物の移動軌跡を考慮して決定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  4. 前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の操舵を行う構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  5. 前記通常時車両転舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の制動力の差に基づき後輪を制御する構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  6. 前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵する構造であり、前記緊急時車輪制御手段は前記通常時車両操舵手段の操舵量に対応する操舵角に補正を加える構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  7. 前記通常時車両操舵手段は、前記運転者の操舵量に比例して前輪を転舵すると共に後輪の操舵量又は後輪の制動力の差を発生させる構造であり、前記緊急時車輪制御手段は左右の後輪の操舵を行う構造又は左右の後輪の制動力の差に基づき後輪を制御する構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  8. 前記緊急支援必要性判定手段は、前記自車両と該自車両の前方に存在する障害物までの相対位置と前記自車両に対する前記障害物の相対速度と運転者の操舵量と運転者の操舵速度とが所定の条件を満たした場合に、緊急支援を開始させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  9. 前記緊急支援必要性判定手段は、前記運転者操舵予測時系列に従って自車を運転した場合に自車と障害物との距離が所定値以下又は自車と道路境界との距離が所定値以下の場合に、緊急支援を開始させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
  10. 緊急支援開始後に、所定時間間隔毎に支援制御量の算出を繰り返し、支援制御量を更新して更新された支援制御量を目標値として、緊急支援を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用支援制御装置。
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